新・
ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock
Presents-
妄想の回路
-Beast
in View-
アルフレッド・ヒッチコック
※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ
い。
☆ → 〜ある男〜 〜今夜〜 〜悲鳴〜 〜嫌〜 〜地下室〜 ←
記号[☆:スタッフ・キャスト →:
始めに ←:終わりに]
(1980年代)(米)(TV映画)-Beast
in View-
演出…マイケル・トシユキ・ウノ
制作…レビュー・スタジオ(米)
原作…マーガレット・ミラー
脚本…ロバート・グラス
出演…ジャネット・アイルバー(精神科医/マリオン・マグレガー)
ストーリーテラー…ア
ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導
Top
精神科医マリオン(ジャネッ
ト・アイルバー)が窓辺に立ち雷雨で吹き荒れている外を眺めながら留守番電話
を聞いている。
あ
る男…“やあ マリオン
久し振りだな
驚いたな
そうだ私は死んじゃいない
遠くからお前のすることに 腹を立てている
気に入らんな
懲りずに男をつくったのは 許せるにしても
あの男はいけない
前科がある フッフフフ
また火傷するのも 知らないで
すっかりよくなったと 思ってるのか
精神科の医者だろ 自 分で診察してみろ
お前を幸せにしたいんだ〜
そのためには 何でもするつもりでいる”
彼
女は精神科医として名が売れ、結婚も控えているがある男からの不気味な脅迫に悩まされていた。
が、
ロジャー・ハーデンと結婚して新たな生活に踏み切る。
Top
〜
ある男〜
結婚した二人が屋敷の周辺を散歩をしているとマリオンの飼い犬ビスマークがロジャーに
吠える。
ビ
スマークを叱るマリオン。
電
話が鳴り家の中にマリオンが入っていくと、ビスマークに近づき声を掛けるロジャー。
マリオンが脅迫電話を聞いている。
あ
る男…“構わず結婚してしまったな まだ懲
りないようだ
言ったことは 必ず実行するからな”
『妄想の回路』ジャネット・アイルバー
怯えて聞いていたマリオンが地下に降りてゆく。
夜、地下の貯蔵庫からワインを持ってきたマリオンに、
ロ
ジャー…「留守の間に 電話が掛かってき
た」と ロジャーが言う。
そ
して、留守番電話のスイッチを入れる。
あ
る男…“あの男と手を切らんとどうなるか
警告したのに
構わず”結婚してしまったな
まだ懲りないようだ
言ったことは 必ず実行するからな”
ス
イッチを切るマリオン。
ロ
ジャー…「誰なんだ」
マ
リオン…「知らないわ 誰かの悪戯よ」
ロ
ジャー…「ただの悪戯とは思えないな
何時から 掛かってる」
マ
リオン…「精神科の医者をしてると よくあ
るの
患者も色々いるでしょ」
ロ
ジャー…「警告って言うのは」
マ
リオン…「ねぇ 変な電話で素敵な夜を 台
無しにしないで」と
言いロジャーにキスする。
「楽しむの
お願い これ開けて」
ワ
インを渡すマリオン。
ワ
インを受け取りマリオンを見ているロジャー。
マ
リオン…「明日も休めると いいのだけど」と
言いロジャーを誘惑するマリオン。
心
配そうにマリオンを見ているロジャー。
マ
リオン…「気にすることないわ」
ロ
ジャー…「心配なんだ
何があったか 教えてくれ」
マ
リオン…「分かったわ
“喉を掻っ切る”って言われたの」
Top
〜
今夜〜
ラジオ番組で人生相談に答えているマリオン。
そ
こに脅迫文が届けられる。
“今夜だ”と。
家に帰って来たマリオンが、
マ
リオン…「ロジャー いないの」
留
守番電話のランプが点滅している。
近
づいてスイッチを入れる。
あ
る男…“いい身分になったもんだ
有名人の仲間入りして 金も出来た
デカイお屋敷には 新しい亭主もいるし
私がいなくなって せいせいしてたんだろうが
そうはいかない」
誰
かが部屋に入ってくる。
電
話を聞いているマリオン。
あ
る男…“殺してやるマリオン
お前が油断してる時に たっぷり時間を掛けてな
苦しみ抜いて死ぬんだ”
マ
リオンに近づいて来る足元がアップになる。
あ
る男…“覚悟してろ”
怯
えているマリオンが振り向くと後ろにロジャーが立っている。
マ
リオン…「あ あっ」
驚
くマリオン。
ロ
ジャーだと分かってホッとする。
マ
リオン…「ああ〜 よして
驚くじゃない」
マ
リオンを両手で掴み、
ロ
ジャー…「聞いてくれ 警察に知らせて調べ
てもらうんだ」
マ
リオン…「駄目」
ロ
ジャー…「どうして? 電話を逆探知すれ
ば」
マ
リオン…「そんなこと 出来ないわ」
ロ
ジャー…「何故出来ない」
言
いよどむマリオン。
ロ
ジャー…「誰だか 知ってるんだな」
マ
リオン…「あの声は 前の主人よ」
ロ
ジャー…「それなら」
マ
リオン…「ゴードンであるはずないわ」
ロ
ジャー…「どうして」
マ
リオン…「死んだの
4年前に 車の事故 で」
ロ
ジャー…「マリオン
いいかい どうなってるか知らないが
直ぐ警察に知らせた方がいい」
マ
リオン…「電話番号 替えたら」
ロ
ジャー…「駄目だ」
マ
リオン…「それじゃ〜 引っ越せばいいわ
あなたのためにも この家じゃない方が」
ロ
ジャー…「じゃあ 私のためだ
頼むよ 警察に電話してくれ」
マ
リオン…「そうね いいわ」
ロ
ジャー…「疲れた?」
マ
リオン…「う うん」
ロ
ジャー…「ゆっくり寝れば 大丈夫さ」
外
からマリオンたちを男が見ている。
『妄想の回路』
Top
〜
悲鳴〜
マリオン…「今までに
ゆっくりさせたことなかったくせに」
ロ
ジャー…「文句ある」
服
を脱ぎながら、
マ
リオン…「文句言っているように 見える」
キ
スをする。
マ
リオン…「ファスナー降ろして」
首
筋にキスをするロジャー。
ベッ
トの上を見て悲鳴を上げるマリオン。
マ
リオン…「あああああ〜」
飼
い犬ビスマークの死骸が置いてある。
マ
リオン…「ロジャー」
ロ
ジャーに抱きつき泣く。
優
しく抱きしめ宥めるロジャー。
Top
〜
嫌〜
刑事が地下室を調べる。
マ
リオン…「生きてる可能性はないんでしょ」
警
官…「何とも言えません
車は谷に落ち 燃えましたからね
誰が運転してたのか 確認する方法もなかったのです
さて まだ見ていない部屋がありますか?」
マ
リオン…「これで全部です」
刑
事が階段を上がってゆく。
地
下の片隅がアップになる。
屋敷を調べ終わった刑事は、ロジャー・ハーデンの身元を調べるように指示を出す。
マリオンの出版サイン会に窓から見ていた男が列に並んで、マリオンを見ている。
慌
てて逃げるマリオン。
追
う男。
駐
車場に駆け込み、
マ
リオン…「こないで」
男…「待ちたまえ マリオン」
マ
リオン…「嫌〜」
車
で男を振り払って逃げる。
家に帰ってくる。
マ
リオン…「ロジャー」
ロ
ジャーのメモに気づき見る。
ロ
ジャー…“就職の面接に行く”
読
み終わったその時、ある男の声がする。
あ
る男…“マリオン!”
マ
リオン…「ああっ!」
『妄想の回路』ジャネット・アイルバー
怯え傍にあった火掻棒を手にする。
辺
りを見回しながら電話機のところに急ぎ受話器を取るマリオン。
あ
る男…“よせ”
あ
る男の声に怯え、受話器を落として逃げる。
マ
リオン…「やめて」
泣
き出すマリオン。
勝
手口を開けようとする。
あ
る男…“逃げられると思うのか”
勝
手口が開かない。
マ
リオン…「誰よ ああっ」
外
で犬が吠えている。
地
下室に降りてゆく。
Top
〜
地下室〜
ロジャーがマリオンを捜している。
ロ
ジャー…「マリオン いい物を買ってきたよ
何処だ マリオン」
銃
を取り出し物音がした方に急ぐと地下室からある男の声が聞こえる。
あ
る男…“私を殺したつもりで いたんだろう
が
あんな手はくわんよ
谷へ落ちる前に 飛び出した
どうした 何を怖がってる
それでもいくらかは良心が 咎めるか
見ろよマリオン
ほら こっちを見るん だ!”
地
下室へ降りてゆき、声がする方へ近づきながらマリオンを捜すロジャー。
『妄想の回路』
マリオンが倒れている。
急
いで抱き起こすロジャー。
ロ
ジャー…「マリオン マリオン!」
ロ
ジャーが横を見ると、白骨した死体が置いてある。
『妄想の回路』
気味悪そうに見ているロジャーに、
マ
リオン…「フッフフフ」
ある男の声でマリオンが笑い出す。
驚いてマリオンを見るロジャー。
マ
リオン…「マリオンは死んだ 私が殺したん だ〜」
『妄想の回路』ジャネット・アイルバーら
近くにあったシャベルでロジャーに襲い掛かるマリオン。
ロ
ジャー…「あっ
マリオン!」
マ
リオン…「私はゴードンだ!」
驚
いて後退りするロジャー。
銃
を持っているロジャーの右手に一撃を加えるマリオン。
怪
我をし逃げるロジャー。
転
ぶ。
ロ
ジャーに止めを刺そうとシャベルを振り上げるマリオン。
そ
の時、
男…「マリオン!」と
男の声がする。
振
り向いた先に、窓から覗いていた男と刑事、それに警官らがいる。
警
官がマリオンに銃を向けている。
構
わずロジャーに向けてシャベルを振り降ろそうとするマリオン。
『妄想の回路』ジャネット・アイルバー
ロジャー…「やめ
ろ!〜〜」
“バーン!”
警官がマリオンを撃つ。
銃
弾を浴び倒れるマリオン。
マ
リオン…「あっ あ〜」
マ
リオンの声で呻く。
マ
リオンに近づくロジャー。
ロ
ジャー…「マリオン」
警
官がロジャーをマリオンから引き離す。
驚
いて見ているロジャーに男が近づき、
男…「怪我はないか?」と
覗き込む。
ロ
ジャー…「あんたは?」
男…「ドクターカウネン
精神科医です」
息
途絶えているマリオンを見る。
『妄想の回路』
男、すなわちドクター、カウネンがロジャーにマリオンのことを話して聞かせる。
ド
クター…「4年前に話を聞いた時に 入院さ
せるべきでした」
ロ
ジャー…「何故やめた」
ド
クター…「何故?
さあ〜 同業意識でしょうかね
精神科の医者同士の
治せると思ったんです
現に治療の効果は 上がってた
それがあなたと 結婚することになって
すっかり元に戻ってしまった」
ロ
ジャー…「何が あんなことをさせたんで
す」
ド
クター…「妄想が生んだ人格です」
ロ
ジャー…「ゴードンの死体ですが 何故あそ
こに…」
ド
クター…「“置いといた”
あの男を 愛してたか らです」
驚
いてドクターを見るロジャー。
ド
クター…「酷い仕打ちをされて 殺したんで
すが
捨てきれずに 死体を地下室に隠しておいた」
視
線を落すロジャー。
Top
マリオン(ジャネット・アイル バー)が、脅
迫電話に悩まされていたある男とは、4年前にマリオンが殺した前
夫ゴードンで妄想から生れた人格だったのだ。
酷い仕打ちをされて殺したものの、今でも愛しているゴードンへの思いが、再婚をしたことで後ろめたく感じた
のだろう。
その心の隙間にゴードンの人格が入り込み、マリオンを責め邪魔なロジャーを抹殺する行為に走らせたようだ。
地下にゴードンの死体を隠し続けていたというマリオンの愛。
愛には色々あるだろうが、こんな愛は…ああ〜怖い。
更新2007.8.10
Top
ヒッチコックがデザインしたという似顔絵
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参考文献
ヒッ
チコック劇場
新・
ヒッチコック劇場
ア
ルフレッド・ヒッチコック
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