新・ ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
死体解剖室の叫び
-Breakdown-
         
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

  〜事故〜〜囚人〜〜子供〜〜〜〜搬 送〜〜死体置き場〜〜検死官〜〜手術室 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1980年代)(米)(TV映画)-Breakdown-
演出…リチャード・ピアース
制作…レビュー・スタジオ(米)
原作…ルイ・ポーラックの短編
脚本…アルフォンセ・ルジェロ・ジュ ニア
出演…ジョン・ハード(実業家/カラハル)
………アンディ・ガルシア(麻薬密造組織のボス/アレックス)
ストーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導

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やり手の実業家カラハルが、南米でコカインの精製にも手をつけた。
実 業家は麻薬密造のトラブルを処理しようとジェット機で南米に出向く。
自 分の利益のために邪魔になった麻薬密造組織のボス、アレックスを罠にはめるために。
車 で移動中に貧しい現地の子供たちや、涙を流して花を買ってくれるよう頼む老人を無視する実業家。


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード

ボルトス将軍にこれまで賄賂を渡していたが、最近、改革派がコカインの密造を標的にし ているというので、自分の支配下で動いている麻薬密造組織のボス、アレックスを逮捕させることを計画する。
実 業家はボルトス将軍にアレックスの行動を通報する。
そ のことを知らないアレックスは実業家の言った方法でコカインと大金を運ぶ。


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード、アンディ・ガルシアら

そして、運んでいる途中に麻薬密造の現行犯としてボルトス将軍に逮捕される。

ボルトス将軍から逮捕時のアレックスの様子を聞き笑い、将軍が押収した品物は口止め料 として渡す。
そ れが自分の保険金となるのだからと喜ぶ実業家。
事がうまく運び上機嫌な実業家は、もう二度とアレックスと顔を合わすことはないと 祝杯を挙げる。

意気揚々とアレックスの車に乗って自国へ帰ろうと空港に向かう実業家。
そ の途中に囚人たちが作業をしている工事現場に出会す。
車 を止められイライラしてきた実業家が車を急発進させる。
そ こに作業中の囚人が運転するブルドーザーが近づいてきた。
危 うくぶつかりそうになり急ハンドルを切る実業家。
そ こに立っていた警備員を跳ね飛ばす。
そ の反動で止めてあったトレーラーに乗り上げ真っ逆さまに落ち、車がひっくり返る大事故になる。

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 〜 事故〜

跳ね飛ばされて死んでいる警備員の銃を奪い逃走する囚人たち。
工 事現場にブルドーザーやトレーラーなどが置きっぱなしになっている。
ひっ くり返っている車をカメラが映し出す。


『死体解剖室の叫び』

次第にひっくり返っている車の下の方がアップになってゆく。


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード

実業家…“何だ
ああ どうした
変だぞ
どうなってる
そうらっ あっあ
駄目だ〜
体を動かせない
ひっ くり返った車の隙間に実業家が死んだような形相で倒れている。
実 業家…何故だ 何故動けないんだ
あっ 誰か来てくれ
早くここから出してくれ!〜
わたしゃ生きてる 死んじゃいないぞ!
わたしゃ生きてるんだ!〜”
実業家は、意識はあるのに体が動かないのだ。

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 〜 囚人〜

2人の囚人が車の下を覗き込んでいる。
一 人が、
囚 人…「手を貸せ」ともう 一人を呼ぶ。
実 業家…“やっと来たか
生きているのが判って
ここから出して 病院へ連れて行くんだ”
2 人の囚人が車の隙間から、実業家を引っ張り出そうとしている。
実 業家…“そうっとだ そうっとやれっていう んだ”
車 の隙間から引っ張り出される。
実 業家…“うぁ いいぞ
何する どうする気だ
何故 こんな所で服を脱がせる
やめろ!
実 業家の服を剥ぎ取っている2人の囚人。
実 業家…裸にしてるぞ
やめないか お前たち
何考えてるんだ!
わたしゃ死んじゃいな い!
そうか こいつら さっきの囚人だ
囚人服と交換して
私の服を着ていけば 怪しまれずに
逃げられると 思っているのか
馬鹿め
いいか することは
直ぐ誰か来る 助けに来るさ”
実 業家の服を来て立ち去ってゆく2人の囚人。
実 業家…“焦らずに 待つんだ
焦ちゃいかん”

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 〜 子供〜

2人の現地の子供が車の下を覗き込んでいる。
実 業家…“何だ 誰か来てる

子供じゃないか”
子 供Aが、
子 供A…「ラジオをとれ」と 子供Bに言う。
実 業家…“ああ いいさ
スーツケースでもラジオでも 欲しいものは何でもくれてやるから
さっさとこっちへ来て 私を調べろ〜
何処へ行く おい
車 からラジオを抜き取った子供Bが実業家を見ている。
実 業家…“ああ そうだ 私を見ろ
よく見るんだ 生きているのが判るだろう
何をしてる 目を覚ま せ
わたしゃ死じゃいない
子 供Bが実業家を一生懸命に見ていて顔を触ろうとする。
実 業家…“そうだ そうだ手を伸して触れ〜
顔に触るんだ ようし よし もう少し
どうした?”
子 供Aが子供Bの腕を掴む。
実 業家…“早くしろ〜”
子 供Aが子供Bに、
子 供A…「さわるな 悪霊がのり移るぞ」と 言い止める。
実 業家…“何してる〜”
立 ち去ろうとしていた子供Bが振り向く。
そ して、実業家に向かって十字を切って逃げてゆく。
実 業家…“駄目だ 誰も来ない”
落 胆する実業家。

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 〜 指〜

暗くなってきている。
実 業家…“暗くなる 夜になったら終わりだ
ここで死ぬんだ もう助けはこない”
実 業家の目の前をゴキブリが横切る。


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード

“カチ〜”物音がする。
実 業家…“何だ あれは
あの音は何だ 何だ”
実 業家の手がアップになる。
実 業家…指だ〜
私の指だ!
指動かせるんだ
よしぃ いいぞ
指で音を出せる
誰かが来たら これをやればいい
気がつくはずだ”と 喜ぶ実業家。

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 〜 搬送〜

すっかり暗くなっている。
実 業家…“車が来るぞ 音を出せば生きている のが分かる”
“カ チ カチ カチ〜”と指で地面を弾き音を出す実業家。
警 察が事故状況を調べ、救急隊員に死体を救急車に運ばせる。
ま ず、警備員の死体を詰み、そして、実業家だ。
救 急隊員に気付いてもらおうと必死に指を動かし、
実 業家…“見てくれ 私の指を見ろ
ほら 誰でもいいから私の指を見てくれ
動いているのが分らな いのか
指を見ろ”と 言う。
救 急車に積み込まれそうになる。
おい 私はまだ死んじゃいないんだ
この指を見てくれ おい
待ってくれよ 早まるな
違う違う 私は生きて る
死体と一緒にするな
死 体として扱かわれ救急車に転がされる。
実 業家…“医者は何処だ 調べれば直ぐ分かる はずだ
よく見てくれ 指が動いているだろう
お前たち分からないの か〜
救 急車の後部ドアが閉められる。

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 〜死体置き場〜

実業家がストレッチャーに乗せられて運ばれている。
実 業家…“ようやく病院へ来たか 大丈夫だ”と 言い、ここには名外科医がいると希望を膨らませる。
実 業家…“しかし 病院にしてはひどく静か だ”
ス トレッチャーからベットに移される。
実 業家…“病院とは様子が違うぞ
おい 待ってくれ
おい 何だ
何する”
実 業家にシーツが被せられる。
何の真似だ
何処へ行く 戻って来い
何処へ行くんだ〜
ここは何処だ〜
死 体置き場のドアが“バン”と閉められ搬送した2人の救急隊員が出てゆく。
実 業家…“死体置き場か 死体置き場に入れら れた”

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 〜 検死官〜

解剖室。
実 業家…“ああっ!”
行 き成り被せられていたシーツが捲られ驚く実業家。
実 業家…“忘れた訳じゃなかった”
鼻 歌をしながら解剖の準備をする検死官A。
実 業家…“医者だ
生きていることを 気付かせれば
直ぐ手当てをしてくれる
よし 指を動かすのは今だ
可笑しいな 指はどうしたんだ
どうなってる
動いていないぞ 指が動いてない
ああ”
解 剖の準備をしていた検死官Aが実業家の顔を見る。
実 業家…“何故だ”
検 死官Aが実業家の顔を見ている。
実 業家…“動かない 何てことだ
何故そんな顔して見る”
実 業家の顔を覗き込む検死官A。
実 業家…私の顔に何かついてるのか〜
何を見ている
まだ分らないのか
貴様藪だ〜
検 死官A…「涙です」
実 業家…“なんて言った”
検 死官B…「涙だ?」
天 井の扇風機を見る検死官B。
実 業家…“何処を見てるんだ〜”
天 井の扇風機を指差しながら、
検 死官B…「扇風機を直せと 何度も言ったの にー
やらんからだ」と 検死官Aに言う。
検 死官A…「扇風機?」
実 業家…“何ぃ”
天 井に目をやる検死官A。
実 業家…“違う 扇風機じゃない〜”
天 井の水滴が付いている扇風機から実業家に目を移す検死官A。
実 業家…“ああ 助けてくれ”
涙 を流す実業家の目の周りに天井からの雫が落ちてくる。
実 業家…“頼む 助けてくれ お願いだ〜
涙 を流す実業家。
実 業家の顔を覗き込む検死官A。
検 死官A…「扇風機じゃない 涙です」
実 業家…“助けてくれ”
ド リルを構えている検死官B。
実 業家…“何をしている やつは”
検 死官Aに、
検 死官B…「バカな 死んでるんだ」と 言う。
な おも実業家を見ている検死官A。
実 業家…“やめてくれ〜
やめろ 私を解剖する 気か〜”
ド リルのスイッチを入れる。
実 業家…“ああ〜 やめてくれ 頼む”
“ブシュ ブシュ ブシュ ブシュ”
実 業家…“頼む〜”
検 死官B…「また故障だ」
準 備をしようとした検死官Aが再び実業家を見て驚く。
検 死官Aの肩を小突き、
検 死官B…「おい何してる」と 言う。
目 が見開いて立ち竦んでいる検死官Aに、
検 死官B…「のこぎりを取ってこい」と 言う検死官B。
実 業家の目を指差す検死官A。
実 業家…“嫌だ ああ
切らないでくれ”と 必死に訴える実業家。
実 業家の目を指差しながら、
検 死官A…「ほら 涙だ」と 言う。
実 業家…“私は死んじゃいない 生きてるんだ〜〜
実業家の目から涙が流れ落ちるのがアップになる。


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード

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 〜 手術室〜

救急車がサイレンを鳴らし急発進する。
留 置場を実業家がストレッチャーに乗せられて運ばれている。
実 業家…“助かった 医者が診てくれる
囚人だと思ってるらしいが
少なくとも生きていることには 気付いてくれた”
手 術室で医者が、
医 者…「医科大学で欲しがるのは 死体だけだ
死に損ないがここへ来る
新入りの囚人に 体をきれいにさせろ」と 搬送してきた救急隊員に言いつけながら手術室を一緒に出る。
実 業家…“あの男 刑務所の医者らしい
何やらテストして 何処が悪いか見つけて
動けるようにしてくれる”
ドアが開き囚人が入ってくる。
実 業家…“見てろ あの囚人どもや
盗人のガキや検死官に 思い知らせてやる”
囚 人が近づいて来る。
実 業家…“ああ やっと来たな
早くしろ”
ワ ゴンに手術器具を広げている。
実 業家…“何をしている”
メ スを手にする囚人。
実 業家…“おい”
手 術用照明灯(無影灯)を実業家の方へ向ける。
囚人の顔が見える。
実 業家…“あの男 ああ アレックス”
実業家を睨みながらマスクをはめ、これからやる復讐を愉しむような表情で見るア レックス。


『死体解剖室の叫び』アンディ・ガルシア

実業家…“待てよア レックス”
照明灯を点け実業家を照らすアレックス。
実 業家…“アレックス 違うんだ〜
話せば分かる”
アレックスが目の前に迫ってくる。
“まな板の鯉”の実業家がアップになり、


『死体解剖室の叫び』ジョン・ハード

実業家…“やめ ろ!〜”と 叫ぶ。
が誰にも聞こえていない。

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 実業家は回りまわって罠にはめた麻薬密造組織のボス、アレックスの手にか かることになるとは、これまでの恐怖など比べられないほど、甚振られて始末されるのだろう。
 実業家がやってきたことを見れば自業自得なのだから、仕様がないと思いつつ、あの後 アレックスにどのように“料理”されたのか想像すると怖い。

 また、貧しい現地の子供たちや老人を無視していた実業家が、必死に助けを求める などの皮肉も効いている。
 お見事。

更新2007.7.26
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ヒッチコックがデザインしたという似顔絵

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参考文献
ヒッ チコック劇場
新・ ヒッチコック劇場
ア ルフレッド・ヒッチコック
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