新・ ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
殺人ハネムーン
-Deadly Honeymoon-
        
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

  〜疑心暗鬼〜〜電話〜〜〜〜ウエルス〜〜注射器〜〜外科部長〜 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1980年代)(米)(TV映画)-Deadly Honeymoon-
演出…ドン・メッドフォード
制作…レビュー・スタジオ(米)
原作…ヘンリー・スレザー
脚本…スティーブン・クローニッシュ
ストーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導

出会って2日も経たずに結婚したという Dr.トーマス・リグビーと妻キャロル。


『殺人ハネムーン』

空港で出迎えたキャロルとキスをしているトーマスに呼び出しがある。
受 話器を取り、
トー マス…「もしもし Drリグビーだ
誰から? じゃ何故呼び出した」
相 手も分からず呼び出されて“何だ  これは?”と怒っ て電話を切る。
キャ ロルのところへ戻ろうとするが、競馬のレース状況が気になり公衆電話で聞き追加で賭けるトーマス。
トー マスが電話を掛けている間を見て、私立探偵エド・ウエルスと名乗る男がキャロルに近づいて来る。


『殺人ハネムーン』

トーマスの元妻スーザン・モールスの家族の依頼で調査していると言う。
興 味がないと言うキャロルに、聞きたいことがあると詰め寄る。
興 味がないと避けようとするキャロルに、
ウ エルス…「ご主人が疑われていることは ご 存知でしょ」
キャ ロル…「なあに?」
ウ エルス…「殺人です」
驚 いてウエルスを見るキャロル。
ウ エルス…「前の奥さんのスーザン・モールス は 川下りの事故で死んでいます
殺されたんです」
キャ ロル…「馬鹿馬鹿しい」
ウ エルス…「結婚していたことは ご主人に聞 いていますか」
キャ ロル…「勿論よ
しつこくすると ガードマンを呼ぶわよ」
キャ ロルを見返し立ち去るウエルス。
“どういうことだろう”と考えをめぐらすキャロル。

考え事をしている妻に車中で、
トー マス…「私も新婚旅行には行きたいと思っ てる
しかし 今は休暇を取れない
病院の理事長に電話したら
“外科部長の候補者は 他にもいるんだが 休むことは考えるな”
と言われてしまった」
トー マスを見ているキャロル。
トー マス…「約束するよ 4月には
パリに行こう ニースにマドリード
ローマにだ」
微 笑むキャロル。
キ スをする二人。

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 〜疑心暗鬼〜

トーマスは新婚旅行に連れて行けないキャロルに高級車をプレゼントする。
キャ ロル…「まあ!トーマス」
喜 ぶキャロル。

ウエルスから聞いたことが気になり、スーザンがどうして死んだのかと然りげ無く尋ねる キャロル。
事 故だったと説明するトーマス。

外科部長室のドアに“トーマス・リグビー博士”と書かれている。
トー マスが外科部長になった訳だ。

賭け事を繰り返すトーマス。


『殺人ハネムーン』

ショッピングしているキャロルを見ていたウエルスがキャロルの目の前に来る。
驚 くキャロル。
キャ ロル…「付き纏うのを止めないと 警官を 呼ぶわよ」
ウ エルス…「ご主人のことを話したいだけで す」
キャ ロル…「スーザンのことは詳しく聞いたし  あなたに話してもらうことは何もないわ」
ウ エルス…「スーザンは2人目の奥さんでし て」
キャ ロル…「…」
ウ エルス…「初めの奥さんも 死んでるんで す」
“もう聞きたくない”と思い立ち去ろうとするキャロル。
後 を追いながら、
ウ エルス…「昨日 市役所で調べてきたんです
最初の奥さんはバーバ ラといって 睡眠中に脳出血を起こして死んでます
年は26でした」
キャ ロル…「そんなこと聞いてないわ」
ウ エルス…「どちらの場合も目撃者はいないし  死亡診断書を書いたのもご主人で
二人の死によってご主人は 45万ドルの生命保険を受け取っていること は
聞いていますか」
キャ ロル…「殺したっていう証拠でもあるの
トーマスは優秀な外科医で あんな優しい人が…」
ウ エルス…「賭け事にのめり込んで 大きく負 けてます」
キャ ロル…「たとえ負けても 困りはしないわ
去年の年収は…」
ウ エルス…「収入は30万ドルですが その半 分は賭け屋に払ってます」
キャ ロル…「外科部長になって 収入も増えた し…」
ウ エルス…「まだ分からんのです
二人の奥さんが死んで  保険金を手に入れたら
また結婚して 相変わ らず賭けには負け続けている
金が要るんです
驚いてウエルスを見ているキャロル。
ウ エルス…「3人目の犠牲者は あなたです」
キャ ロル…「私を愛してるのよ
保険は掛けていないし 財産もない
殺しても何の得にもならないわ」
上 着から名刺を取り出し、
ウ エルス…「私の名刺です
もし何かあったら」と 名刺をキャロルのバックの中に入れるウエルス。
キャ ロル…「二度と会う気はない」と 言い立ち去るキャロル。
疑心暗鬼が生じてきているキャロルを見ているウエルス。

キャロルがプレゼントされた高級車のエンジンを掛けようとすると、電気関係がショート して突然爆発を起こしボンネットから火が上がり車内が煙に包まれる。


『殺人ハネムーン』

苦しそうに喘ぎながら車から飛び出すキャロル。
係 員が駆けつけ、
係 員…「奥さん座って
大丈夫」
苦 しくて咳き込むキャロル。 
係 員…「誰か爆弾でも仕掛けたのか」
恐 怖におののくキャロル。

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 〜 電話〜

気分が悪くなって休んでいたキャロルが、隣の部屋で電話しているトーマスの声で目が覚 める。
トー マス…「じゃどうしろと言うんだ 嫌だな これ以上我慢する気はない
いや駄目だ 他にて手はない
あの女とは性格が合わないんだ」
電 話しているトーマスの姿が鏡で見える。
トー マス…「することなすこと気に入らん も う一緒にいるのは耐えられんよ」
驚 いて起き上がるキャロル。
トー マス…「はっきり言ったぞ 今週一杯だ
それまで何とかしたまえ
来週は顔を見ずに済むようにだ 分かったな」
怒っ て電話を切るトーマス。
怯 えて見ているキャロル。
トー マスが寝室に入ってくる。
トー マス…「起きた 気分はどう?」
キャ ロル…「うん」
トー マス…「ディラーの話では 電気関係が ショートしたらしいが
どうしてそうなったのか分からんそうだが
訴訟起こしてギャーと言わせる程の 賠償金を取ってやる」
キャ ロル…「…」
トー マス…「ここにいようか」
キャ ロル…「いいえ いいの」
トー マス…「おやすみ」
寝 室を出て行こうとするトーマスに、
キャ ロル…「誰に電話してたの?」
トー マス…「ああ あれか
秘書に辞めてもらうんだ
これで3人目 タイプ打てる
速記は 医学用語知ってる?」
キャ ロル…「…」
トー マス…「愛してるよ」
キャ ロル…「私も」
トー マス…「じゃ行って来る」

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 〜 銃〜

トーマスがいない間にトーマスの書斎の留守番電話を聞く。
“トーマス 奥さんの保険契約が今日付けで発行したから知らせておく 死亡保 険金25万ドル 受取人は勿論君だ 契約証はもう郵送した 来週テニスをしよう 電話をくれ”
驚 き顔が硬直してくるキャロル。


『殺人ハネムーン』

怖くなったキャロルはウエルスに連絡し会う。
キャ ロル…「あの人は私に生命保険を掛けてる の」
ウ エルス…証拠はもう十分でしょ
知り合いの医者の話によると 最初の奥さんバーバラは
テレビオタリンという薬を注射されて 死んだ可能性があるということで す」
キャ ロル…「でも それなら解剖で判るはずで しょ」
ウ エルス…「解剖はしてない 死んだその日に
あなたのご主人が 火葬にしてしまったのです」
言 葉を失っているキャロルを車に誘いあたりを見回しながら話を続ける。
「気付いたのを 知ってますか」
キャ ロル…「いいえ」
ウ エルス…「もし知ったら ことを急ぐでしょ
それも疑いがかからないようにです
証拠を残さない毒殺とか さもなければ注射
階段から突き落とすとか」
思いついたように上着のポケットから銃を取り出し、キャロルの目の前に出す。


『殺人ハネムーン』

ウエルス…「これがい るでしょ」
キャ ロル…「…」

キャロルを送ってゆくウエルス。
自 宅前で、
キャ ロル…「はっきりさせるわ 帰ってきたら 何を考えてるのか聞くの」
ウ エルス…「勧められませんね」
キャ ロル…「何かちゃんとした理由があるはず だわ」
ウ エルス…「博打の金を払うのが目的です」
車 から降りようとするキャロルに、
ウ エルス…「ねっ聞いてください
追い詰めたら 何をするか分かりません
そして危険を感じた時は 電話して警察を呼ぶんです
あたしでは間に合わないかもしれません」と 言う。
車から降りたキャロルが助手席に置いてある銃を持ってゆく。
それを見ているウエルス。

キャロルが家に戻ると人相の悪い見知らぬ男フィルがグラスを片手に景色を眺めていた。
キャ ロル…「私の家に入り込んで 何をしてる の」
フィ ル…「う〜ん 俺の家だ
いずれそうなる
借りを払ってくれなきゃな
20万ドル 半端は負けてやるよ
俺からの結婚祝いだ
あの男にはまったく困ったもんだ〜
よく言ってくれ〜
“指を切られちゃ 外科医は勤まらんだろ”ってな
会えて楽しかった ご馳走さん」と グラスをキャロルに渡し出てゆく。
フィ ルはトーマスが賭博で借金している相手だった。

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 〜ウエルス〜

“もうここにはいられない”と急いで荷物をまとめるキャロル。
トー マスが帰って来る。
トー マス…「どうしたんだ」
驚 くキャロル。
トー マス…「何をしてる」
キャ ロル…「ここを出るの 何故私と結婚した か
理由は分かってるのよ」
トー マス…「何を言ってるんだ」
キャ ロル…「借りがあるんでしょ 20万ドル も」
トー マス…「何だって」
キャ ロル…「フィルが来たの」
トー マス…「何時だ ここに来ちゃいかん て…」
キャ ロル…「直ぐ返せって言ってたわ あなた はそのためにお金がいるんでしょ
私が死ねば全部返して お釣りが来るわ」
トー マス…「何!」
キャ ロル…「保険金さえ取れれば 私じゃな くってもよかったんでしょ」
トー マス…「馬鹿を言うな 私を何だって思っ てるんだ」
ボ ストンバックを持って走って出て行こうとするキャロル。
後 を追うトーマス。
トー マス…「なぁキャロル 待てよ
待てったら待てよ」
キャ ロルの腕を掴み、自分の方に向かせる。
トー マス…「君は本当にそう思ってるのか」
キャ ロル…「ウエルスから全部聞いたわ
初めは私も信じなかったんだけど」
トー マス…「ウエルスってえのは誰だ」
キャ ロル…「私立探偵よ
バーバラもスーザンも あなたが殺したんだって言ってるわ」
トー マス…「何 そんな話を聞いて信じたの か」
驚いてキャロルを見るトーマス。
そ の隙きに出口へ向かうキャロル。
トー マス…「なぁ待てよ 待ってくれよ」
キャ ロルのボストンバックを掴み引っ張るトーマス。
そ の拍子に蓋が開き中に入れていた服が飛び散る。
キャ ロル…「あっ ああ〜」
飛 び散った服を見ているキャロル。
トー マス…「ああ」
“なんてことだ”と頭を抱えるトーマス。
服 をボストンバックに戻そうとしているキャロルに、必死に説明する。
トー マス…「いいか〜 スーザンのことは話し たろ
バーバラのことを知りたければ 私に聞け
結婚は初めから失敗で 6週間で別れた
死んだのはお母さんの家に帰った後だ」
服 を入れているキャロルの腕を掴み、自分の方に向かせる。
「キャロル
私に君を殺せると 本当に思ってるのか
他の誰でもだ
私がそんな男だと思うのか
そのウエルスってえのは 何者なんだい
何処で会った
私に会わせろ 取っちめてやる」
キャ ロル…「いいわ 電話して」と ウエルスの名刺を渡すキャロル。
トー マス…「電話だ 電話だけじゃ済まさない ぞ
ギュッという目に遭わせて
根も葉もないことを言うとどうなるか
思い知らせてやる」と 怒りながら電話する。
トー マス…「この番号は使われていないそうだ  新しい電話は届けてない」
電 話を切り名刺を持ってキャロルに近づき、
トー マス…「こいつは食わせ者だ
ねぇ何を怯えて そんなことを聞き込んだか
聞いてくれ」と 言いキャロルの腕を掴み、自分の方に向かせる。
トー マス…「いいかい 何がどうなってるのか 分からないが
ギャンブルがいけないのか フィルがここへ来て俺たちと…」
キャ ロル…「止めて」
立 ち上がるキャロル。
トー マス…「もう一度チャンスをくれ 君に頼 むのはそれだけだ
ギャンブルが駄目だって言うのなら 止めるから
出て行かないでくれ
跪 いたままで必死に頼むトーマス。
トー マスを見ているキャロル。
トー マス…「今 君に見捨てられたら 私はど うすればいい
頼む 出て行かないで
泣 きながら頼むトーマスを抱きしめるキャロル。

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 〜 注射器〜

トーマスが作った料理に、
キャ ロル…「料理が上手なのね」と 言い元気のないトーマスを見詰めるキャロル。
料 理のことを聞き、話題を変えようとしているキャロルに、
トー マス…「教えてくれ 私に人を殺せるなん てどうしてそんな…」
“リ リリ〜ン リ〜ン リリリ〜ン”電話が鳴る。
席 を立ち受話器を取るトーマス。
トー マス…「ハイ ああ君が来たことは聞いた よ
何のつもりで
分かってる」
キャ ロル…「…」
聞き耳を立てているキャロル。
トー マス…「そうだ〜」
キャ ロル…「…」
開 き戸を閉めながら、
トー マス…「もう少し待ってくれって 言って るだろ」と 言うトーマス。
トー マス…「いいか 間も無く金が入る当てがあるんだ」
“この料理に毒が!”と思い硬直するキャロル。
トー マス…「直ぐに」
トイレに急ぐキャロル。
トー マス…「払うよ 約束する」
トイレで食べた物を口に手を入れて吐き出すキャロル。
キャ ロル…「ああ あ〜
ああっ」
フ ラフラしながら洗面台へ行き手を洗うキャロル。
キャ ロル…「ああ あ〜」
トー マスが、
トー マス…「キャロル」と 言いドアをノックする。
キャ ロル…「ああ あ〜」
洗 面台で頭を抱え込むキャロル。
トー マス…「大丈夫か
キャロル」と ドアを開け入ってくるトーマス。
タ オルで顔を覆うキャロル。
キャ ロルの後ろから腰に手を回し気遣うトーマス。
トー マス…「大丈夫?」
キャ ロル…「…」
トー マス…「どうしたんだ」
顔 を微かに上げキャロル。
キャ ロル…「ああっ シチューに何を入れたの
あああっ」
驚くトーマス。
再 びタオルで顔を覆うキャロル。
キャ ロル…「あああっ」
悲しそうに、
トー マス…「ああ〜 キャロル」と キャロルを見るトーマス。
トー マス…「まだそんなこと考えてるのか 君 の思い過ごしだよ」
顔 を上げ鏡越しにトーマスを見てキャロル。
キャ ロル…「ああ 何を入れたのよ」
鏡 越しにキャロルを見て、
トー マス…「神経が過敏になりすぎてるんだ
ああ〜 注射を1本打てば直ぐ治まる」と 注射器を出そうとするトーマス。
注射と聞き驚いて鏡越しにトーマスを見て、逃げ出し寝室のドアの鍵を全部閉める キャロル。
トー マス…「キャロル」
注 射器と薬を手にするトーマス。
警察に電話をするキャロル。
キャ ロル…「もしもし もしもし お願い助け に来て」
注射器を手にしているトーマスがガラス窓からキャロルを見て声を掛ける。
トー マス…「キャロル!」
ガ ラス窓を強引に開けようとするトーマス。
警 察に、
キャ ロル…「私 キャロル・リグビー
ウィルシャーアパートの21のBに住んでいます
主人に殺されそうなん ですと 言い助けを求めるキャロル。
強 引にドアを開けようとするトーマス。
キャ ロル…「ああ」
怯えるキャロル。
トー マス…「キャロル!」
キャ ロル…「お願い直ぐ来てください あ あっ」
トー マス…「ドアを開けろ」
受 話器を置き、部屋をオロオロとするキャロル。
トー マス…「開けないか」
ド アを叩くトーマス。
トー マス…「早く」
キャ ロル…「ああっ」
怯 えながらサイドテーブルの横に縮こまり、ドアの方を見ているキャロル。
トー マス…「開けるんだ キャロル」
ド アを叩くトーマス。
トー マス…「“開けろ”と言ってるんだ」
ド アを叩くトーマス。
ドアを壊し寝室へ飛び込んで入って来るトーマス。
トー マスを見て、
キャ ロル…「傍に寄らないで」と 言うキャロル。
トー マス…「神経が高ぶってるんだ 放って置 けない」と 言いながら注射器に薬を注入しキャロルに近づいてゆく。
キャ ロル…「“こないで”と言ってるでしょ」
サ イドテーブルの上に置てある目覚まし時計をトーマスに向かって投げ付けるキャロル。
時 計を躱し、
トー マス…「いいかい これは弱い鎮静剤だ
これで冷静になれる」と 言いキャロルに近づくトーマス。
怯 えてトーマスを見て、
キャ ロル…「私には分かってるのよ」と キャロル。
注射をする状態で構えて、
トー マス…「君は何で おかしくなったんだ い」
近づくトーマス。


『殺人ハネムーン』

 注射器を銃のように演出している。
 お見事!
怖 くて泣きそうな顔でトーマスを見ているキャロル。
直ぐ近くに来て、
トー マス…「ぐっすり眠れば直ぐよくなる」と キャロルに注射を打とうとする。
キャ ロル…「ああっ」
逃げるキャロル。
トーマスに腕を掴まれる。
キャ ロル…「あっ」
トー マス…「キャロル 君にはこの注射が必要 なんだ」
トーマスの手を振り解き、
キャ ロル…「あああっ」
枕の下に隠していた銃を取る。
驚くトーマス。
トーマスに向かって撃つ、“バー ン バーン”


『殺人ハネムーン』

弾を浴びて倒れるトーマス。
銃を構えたまま、それを見ているキャロル。
ド アをノックする音がする。
警 官…「警察だ 開けろ」
倒 れているトーマスを見ながら、銃を構えたままで後退りをするキャロル。
銃 を構えた警官がドアを壊し入って来る。
銃 を持っているキャロルに、
警 官…「捨てろ 銃を捨てろ」と 言う。
呆然としているキャロルが銃を構えたままの姿勢で銃を落す。

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 〜外科部長〜

あの外科部長室のドアに“ケネス・パーカー博士”と書かれている。
ケ ネス…「ええ ほんとです
私もショックですよ」
そ の椅子に座って電話している男が映し出される。
あの、私立探偵と名乗っていたウエルスだ!
そう、外科部長の座を狙っていたDr.ケネス・パーカーがウエルスに成り済まして いたのだ。
ケ ネス…「何とも悲惨な出来事でした
トーマスは腕のいい 医者でしたがね
結婚する相手を間違えたようで 異常があったのでしょ
こんな形で部長になる のは 嫌なんですが
分かりました 手術室で会いましょ
ええ では」
受話器を置くケネスの顔が綻び、両手を頭の後ろに持って行き満足そうに背伸びす る。
そして、
「フッフフフ」


『殺人ハネムーン』

「ハッハハハ」と 笑う。
“椅子の座り心地は最高だ”という表情を浮かばせて。

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 Dr.ケネスの思惑通りにことが運んだ。
  外科部長の座が欲しいケネスは優秀なトーマスがいる限り、その座につけない。
  そこで出会って2日も経たずに結婚したというトーマスの妻キャロルに狙いを定める。
  私立探偵ウエルスに成り済まして、“トー マスの前妻たちは賭博の借金返済に充てるために保険金を掛けられ殺害されたのだ”と言い精神的に追い込む。
  トーマスのことをよく知らないで結婚したキャロルは、プレゼントされた車が突然爆発するいう危険にさらされ 次第にトーマスを疑い始める。
  これもケネスが仕掛けていたのだが、前妻たちがトーマスに殺されたと聞いているキャロルには考えも付かない ことだった。
  トーマスと同業者であるケネスはトーマスの取る行動を先読みできる。
  例えば神経が過敏になった患者に鎮静剤の注射を打つだろうと、だから効果覿面と言う訳だ。
  ケネスのシナリオ通りに差し出した銃でキャロルがトーマスを撃つことになるのだから、ケネスとしては笑いが 止まらないであろう。
 相 手のことをよく知らないで結婚した人はケネスのような策略家にはご用心の程。
 操 り人形になりやすいだろうから。

更新2007.9.15
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ヒッチコックがデザインしたという似顔絵

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参考文献
ヒッ チコック劇場
新・ ヒッチコック劇場
ア ルフレッド・ヒッチコック
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