新・
ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock
Presents-
富豪の殺意
-Deathmate-
アルフレッド・ヒッチコック
※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ
い。
☆ → 〜パーティ〜〜電話〜〜尾行〜〜財産〜〜前祝〜〜痣〜〜行 動〜 ←
記号[☆:スタッフ・キャスト →:
始めに ←:終わりに]
(1980年代)(米)(TV映画)-Deathmate-
演出…アラン・キング
制作…タウンゼント・フィルム・プロ
ダクションズ(米)
原作…ジェームズ・コージー
出演…サマンサ・エッガー(リサ)/ウェイン・ベスト(マーク)
ストーリーテラー…ア
ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導
軽くテニスを楽しんだリサがシャワーを浴び
ていると、後ろから突然、マークが口を塞ぐ。
驚
いたリサが振り向き、
リ
サ…「マーク」と
嬉しそうに言う。
キ
スをするマーク。
リ
サ…「誰か来るわよ」
マー
ク…「そのスリルが堪らない」と
言い再びキスをする。
そ
れを楽しむリサ。
『富豪の殺意』ウェイン・ベスト、サマンサ・エッガー
Top
〜パーティ〜
リサの夫カーターの60才を祝うパーティが行われる。
出
席しているマークの前で妻リサとの関係を皮肉ってコメントしたり、リサを抱き寄せるカーター。
『富豪の殺意』サマンサ・エッガーら
嫌がるリサ。
席
をはずしたマークにメイドがシャンパンを勧めながら手に触れる。
素
知らぬ振りをするマーク。
マー
クを見ていたブライアンが声を掛ける。
ブ
ライアン…「美術が趣味かね」
マー
ク…「観て楽しむだけです
こりゃ いい」
ブ
ライアン…「目は利くが それだけでは…」
マー
ク…「何か足りない?」
ブ
ライアン…「金だ」
マー
ク…「へっ
いい趣味を持つには 金が要ることは分かってます」
ブ
ライアン…「ブライアンだ クラブで会った
な」
握
手をする。
マー
ク…「マーク・テーラー」
ブ
ライアン…「趣味と金と リサは両方持って
る
たっぷり」
マー
ク…「それです」
カー
ターが割り込んできて若い者には負けないと強がる。
席
をはずすブライアン。
マー
クにリサとの関係を続けてゆくことに釘を刺し、高笑いして他の客たちの方へ戻って行くカーター。
『富豪の殺意』
戻ってきたブライアンが、
ブ
ライアン…「愉快な男だ 取引でも?」と
言う。
マー
ク…「共通の利害が ある」
ブ
ライアン…「私も共通の利害がある」
高
笑いして寄って来たカーターが、
カー
ター…「面白いものを見せるから 向こう
の部屋へ来ないか」と
二人に声を掛け、客たちを呼ぶ。
そ
して、外灯に向かってライフルを発射させる。
驚
いたリサが、
リ
サ…「何をしてるのよ」と
言う。
カー
ター…「衰えていないところを 君に見せ
てるのだ」
リ
サ…「どうかしてるわ」
カー
ター…「私の手を見ろ ビクとも動かん ぞ」と
言い再び撃つ。
ウ
ンザリして立ち去るリサ。
寂
しさと思い通りにならないリサに苛立ち、
カー
ター…「パーティは終わりだ 皆帰ってく れ
帰れ みんな終わりだ
さあ帰った 帰った 帰ってくれ ほら」
客
を追い払い、二階に上がってゆくカーター。
メ
イドがリサに、
メ
イド…「今日は もう終わりですね」と
言う。
リ
サ…「早く終わってよかったわ 退屈でウン
ザリしてたの」
メ
イドにチップを渡すリサ。
メ
イド…「ありがとうございます こんなにい
ただいていいんですか」
リ
サ…「手伝っていただいて 助かったわ」
に
こやかに、
メ
イド…「じゃあ おやすみなさい」と
リサに言い、マークに向かって、
メ
イド…「テーラーさん」と
意味深く声を掛けるメイド。
メ
イドに興味を示さないようにして、リサに近づき、
マー
ク…「ご亭主もよくやるよ」と
言うマーク。
リ
サ…「私の頭の上の林檎を撃つって言い出す
わ」
マー
ク…「フルーツを出さないことだ」
リ
サ…「マーク もう我慢できないわ」
キ
スをしようとするリサ。
後
退りして、
マー
ク…「ここじゃいけない」と
言うマーク。
リ
サ…「スリルが好きじゃ なかったの」
マー
ク…「スリルは好きだけど 自殺もしたく
ない
今夜出られる」
リ
サ…「やってみる」と
言い部屋を出て行こうとし、振り向き、
「愛してるわよ」と
愛をささやき立ち去る。
そのリサを見ながら美味しそうにシャンパンを飲むマーク。
“リサは俺の手の内だ”と思いながら。
Top
〜
電話〜
寝室で銃の手入れをしているカーターに、早く休むように言うリサ。
一
緒に寝てくれない妻に苛立ち、銃を床に投げつけるカーター。
頭
を抱え込み、
カー
ター…「年寄りだから 私を嫌ってるの か」と
嫉妬するカーター。
リ
サ…「年を取ったのは あなただけじゃない
わ
私の方がよっぽど それを感じてるのよ」と
言い寝室を出てゆく。
嫉妬深いカーターに嫌気が差しているリサがマークに電話する。
リ
サ…「マーク」
マー
ク…「今 何処から」
リ
サ…「ああ 今日はとても出られそうもない
わ」
マー
ク…「明日という日がある」
リ
サ…「だから耐えられる
何時に会える」
マー
ク…「2時だ」
リ
サ…「あっ 明日が待ち遠しい?」
マー
ク…「時計から目を離さずに 待ってる
愛してるよ」
リ
サ…「あたしもよ」
『富豪の殺意』サマンサ・エッガー
“チュ”
受
話器からキスを送り電話を切るリサ。
リ
サの元で働くメイドを抱きながら電話を受けていたマークが、大きく溜息を付きながら受話器を置く。
メ
イドが、
メ
イド…「時計から目を離さないで 待つ」と
マークの胸に顔を持たせかけ言う。
『富豪の殺意』ウェイン・ベストら
笑い出し、
マー
ク…「あの女には効果がある」と
言う。
メ
イド…「その割には お金にならないみたい
ね」
マー
ク…「あ〜ん もう直ぐだ
あのタイプの女は手が 掛かる」
メ
イド…「このところ ずっと掛かり切りじゃ
ない」
マー
ク…「妬いてんのかい」
メ
イド…「ううん」
笑っ
て、
マー
ク…「気にすんなって 金蔓のひとつだ」
メ
イド…「まだ そうは言えないわ
プレゼント ひとつも貰ってないでしょ
ニューボートの人はくれたのに」
マー
ク…「リサはあの女の何倍も 金持ちだ よ」
メ
イド…「そんなに長く待てそうもないわ」
マー
ク…「そう言わずに 待てよ
せいぜい 退屈させないようにする」
メ
イド…「ああ」
甘
えた声を出すメイド。
そ
れに応えて照明を消し抱くマーク。
Top
〜
尾行〜
翌日、家を出るマークをサングラスを掛けたブライアンが尾行する。
尾
行に気が付いたマークが先回りして隠れる。
マー
ク…「ブライアンさん」
ブ
ライアン…「マーク これは偶然だな」
マー
ク…「違うでしょ」
ブ
ライアン…「直ぐ判ったか」と
サングラスを外しながら言う。
マー
ク…「ええ」
ブ
ライアン…「人を尾行するのは あまり得意
じゃ
ないんでね」
マー
ク…「得意なものは何ですか?」
ブ
ライアン…「他に色々とある」
マー
ク…「じゃあ 手間を省きましょうか」と、
これからの予定を話す。
そ
のマークに、
ブ
ライアン…「ここで話し合う機会を持てたの
は いいタイミングだと言える」
マー
ク…「何故です」
ブ
ライアン…「いい彫刻だと思わんかね
一度に全てを見ること は出来ない 必ず何処かが隠れてる
人間もこれによく似て る」
マー
ク…「何か意味があるのですか?」
ブ
ライアン…「そりゃあるさ
例えば 君だ
教養があり魅力的で 金にも不自由してない
皆にはそう見えるようだが…」
マー
ク…「あなたには そうじゃない」
マー
クをしっかり見て、
ブ
ライアン…「まず感じたのは 好奇心だ
君には似合わん 粗末な部屋に住んでるが
何が理由なのか」
マー
ク…「無駄遣いが嫌いなんです」
ブ
ライアン…「銀行はそうは見てない 口座も
危険なほど底をついてるそうだ」
マー
ク…「それじゃあ 聞きますが
誰に頼まれて調べてるんです」
ブ
ライアン…「金持ちは大体において 保守的
なもんで
よそ者を嫌う 騙されるんじゃないかと思うんだろ」
マー
ク…「私が誰を騙すと言うんですか」
ブ
ライアン…「知らんが いずれ突き止める」
マー
ク…「脅迫ですか」
ブ
ライアン…「君に悪意があれば そうなるか
な」
マー
ク…「ないさ」
ブ
ライアン…「君のためにも ないことを祈る
よ
じゃあ お楽しみを」
『富豪の殺意』
と言い立ち去る。
マー
クの狙いを読んでいるブライアンを見ているマーク。
Top
〜
財産〜
リサに暫く会わない方がいいだろうと言うマーク。
そ
れを断り疑われても平気だと言うリサ。
そ
して、一緒に逃げようと言う。
一
緒に逃げたいが上手くいくはずがないと言うマーク。
リ
サ…「何故?」
マー
ク…「いい暮らしを さしてあげれないだ
ろ」
リ
サ…「いい暮らししてるじゃない」
マー
ク…「最近は駄目だ」
リ
サ…「どうして?」
溜
息をつき、
マー
ク…「事業に失敗したんだ
よくあるだろ 判断のミスと付きのなさが重なって…」
リ
サ…「大丈夫?」
マー
ク…「何とかなる」
リ
サ…「幾らあればいいの」
マー
ク…「大きい 5万ドルだ」
リ
サ…「たったそれだけ」
マー
ク…「君からは貰えないよ」
“ついに貰える”かと期待するマーク。
リ
サ…「今直ぐにもあげたいけど 小切手には
カーターのサインもいるの」
マー
ク…「ふん どうしてそんなことになっ た」
苛
立つマーク。
リ
サ…「結婚した時に 私の財産を見て
管理してる人のやり方が酷いって 辞めさせて
自分でやり始めたの」
マー
ク…「君のために」
リ
サ…「結婚したのもそのせいよ 強くて
一緒になれば もう誰も怖がらなくて済むと思ったの」
マー
ク…「代りに奴が怖くなった」
リ
サ…「怖くて死にそうよ 心臓の発作を起こ
した時に
死ねばよかったのに」
マー
ク…「だが生きてる」
リ
サ…「私はどうすればいいの あなたと一緒
になりたいのよ」
マー
ク…「ふん ダイヤは買えない」
リ
サ…「ダイヤは持ってるわ
あなたといたいの」
抱
き合う二人。
Top
〜
前祝〜
マーク…「前祝だ 今
度こそ上手くいくさ」と
バスタオル姿のメイドに言うマーク。
メ
イド…「初めの時も そう言ってたわ
5万ドルだ あっさり巻き上げてやる」
マー
ク…「一人じゃ小切手切れないんだ」
メ
イド…「一人でサインできるまで 待つわ
け」
マー
ク…「それと注意しながら」
メ
イド…「10年掛かるわ」
マー
ク…「一年だな」
メ
イド…「でも長過ぎるわ」
マー
ク…「亭主と離婚するように 仕向けるん
だから
時間は掛かるさ」
メ
イド…「ああ 諦めちゃって 他の人探した
ら」
マー
ク…「ああ 焦るな 焦るなよ
あの女も鴨の一人だ」
メ
イド…「違うでしょ 目つきで分かるわ」
マー
ク…「狙うは札束だけ」と
言いキスをするマーク。
メ
イド…「魅力的な人よ」
マー
ク…「ふん」
キ
スをし続けるマーク。
マー
ク…「君には敵わない」
メ
イド…「あの人好きじゃないの」
マー
ク…「ここのところずっと 触る気もおき
なかった
欲しいのは君だ」
抱
き合う二人。
Top
〜
痣〜
リサの車で落ち合う。
リ
サ…「会えてよかったわ」
マー
ク…「リサどうした?」
サ
ングラスを外すリサ。
『富豪の殺意』ウェイン・ベスト、サマンサ・エッガー
驚いてリサの顔の痣を触ろうとするマーク。
リ
サ…「駄目触らないで」と
手で痣を覆うリサ。
リ
サ…「痛むのよ」
マー
ク…「カーターか?」
リ
サ…「今日 あたしたちのこと話したの」
マー
ク…「どうして!そんな…」
慌
てるマーク。
リ
サ…「待てなかったのよ
二人で食べていけるだけのお金が 欲しいって言ったら
乱暴されたの」
マー
ク…「君の金だろ!」
リ
サ…「“訴訟を起こして 5年や6年は使え
なくする”って言うの
“さもなきゃ 死ぬまで待て”って
私 金なんてどうでも いいわ」
“このままでは金が手に入らない”と思いながら聞いているマーク。
リ
サ…「あなたと暮らしたいだけ」
身
を乗り出して、
マー
ク…「何処にいる」と
聞くマーク。
リ
サ…「家で飲んだくれてるわ
今頃は寝込んじゃってるんじゃない」
“もうこれしかない 今がチャンスだ”と考えをまとめ、
マー
ク…「ねぇ いいかい
君はクラブにいたまえ
食事するか 飲むか
できるだけ多くの人に 話し掛けるんだ」と
言うマーク。
リ
サ…「何故よ 分からないわ」
マー
ク…「金は全部君のもんだ
分からせてやる」
車
を降りようとするマークに、
リ
サ…「でもピストルもあるし 危険だわ」と
言うリサ。
マー
ク…「心配ない
任せておけって」
車
を降りてゆくマーク。
リ
サ…「…」
Top
〜
行動〜
屋敷に乗り込むマーク。
ノッ
クしても反応がない。
リ
サが言ったようにカーターが寝込んでいる。
目
の前にマークが立っているのに気付くカーター。
カー
ターを睨みガウンの襟首を両手で掴み上げるマーク。
カー
ター…「おい 何をする 止めろ」
カー
ターを床に投げつけ気絶させるマーク。
カー
ターを担ぎ浴室に連れて行く。
事
故死に見せかけようと浴槽に水を入れ、カーターの服を脱がせる。
そ
して、水を入れた浴槽に腹ばいに入れ頭を押さえつけるマーク。
カー
ターが死んだことを確認した時に、リサが現れる。
リ
サ…「ありがとう
あなたにやれるとは 思ってなかったわ」
マー
ク…「私も自信がなかった」
リ
サ…「お金持ちの方が 駆け落ちするより
ずっとましね」
マー
ク…「“死ななきゃ 金も使わせない”な
んて言うからだ
“入浴中に心臓の発作で倒れて 頭を水道の栓で打った”
それでいい
警察に電話しよう」
電
話をしに行こうとするマークにリサが銃を向け、
リ
サ…「もうしたわ」と
言う。
驚
いて、
マー
ク…「何を言ったんだ」と
言うマーク。
リ
サ…「心臓はなんともなかったの
健康そのものよ」
ブライアンがリサの背後から姿を現わす。
そして、マークに向けている銃を取り引き継ぐ。
痣と思わせていたメークを取るリサ。
そ
れを見て、
マー
ク…「すると財産は…」
殺
したカーターの死体をみるマーク。
リ
サ…「カーターのよ
直ぐ私の物 ウフフ 二人の」
マークに銃を向けているブライアンの方を見て笑う。
『富豪の殺意』サマンサ・エッガーら
ブライアンもリサを見る。
リ
サ…「手間は掛かったけど 苦労した甲斐は
あったわ」と
マークに見せ付けながらメークを取るリサ。
マー
ク…「…」
“はめられた”とリサを見るマーク。
『富豪の殺意』ウェイン・ベスト
Top
マークとリサが愛人関係で裕福なリサの夫の金を手
に入れようとしているかのように進行するが、実はマークとリサにはそれぞれに愛している人がいた。
お互いが利用してカーターの金を手に入れようと計画していた訳だ。
大金のためなら、男女の関係をいくらでも利用するってことだ。
ああ〜空しいものだ。
マークがメイドを抱きながら話していたとき、リサもブライアンに抱かれながら
同じようなことを話していたのだろう。
マークはブライアンはカーターに頼まれて自分を調べているのだと思っていたが、実はリサの餌に飛び付いてく
るかを見極めていたということだ。
リサたちはマークより、ずっと上手だった。
二
人に、してやられたマークは、ブライアンが話していた「いい彫刻だと思わんかね 一度に全てを見ることは出来ない
必ず何処かが隠れてる 人間もこれによく似てる」に、もうひとつ意味を含ませていたこと
に気付いたのだった。
更新2007.9.26
Top
ヒッチコックがデザインしたという似顔絵
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参考文献
ヒッ
チコック劇場
新・
ヒッチコック劇場
ア
ルフレッド・ヒッチコック
国
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き
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