新・ ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
最終脱獄計画
-Final Escape-

※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

記号[☆：スタッフ・キャスト　→： 始めに　←：終わりに]

これまで、男たちを操ってきて罪を逃れてき ていたレナが夫殺しの罪で終身刑となる。
刑 を下されたレナは何としても刑務所から直ぐに出てくると豪語する。

レナは護送中に墓地で一人の老人を目にする。

自分本位のレナは刑務所でも囚人たちのボス、シャリーとトラブルを起こしたり、脱走 に失敗して独房に入れられたりする。
あ げく、ボスのシャリーには目をつけられリンチを受ける。
運 ばれた医務室で“早く、何とかして逃げださなくては”と思うレナ。

墓地で見かけたドクターと呼ばれる老人から所内の死者の埋葬を行う係だと聞きだして いたレナは、ドクターを利用して脱出しようとする。
白 内障のドクターの眼鏡をわざと割り、手術費の申請は不許可だと嘘をつく。
気 落ちしているドクターを言葉巧みに騙し脱獄計画を語る。
レ ナ…「あなたは　自由に外に出 られるのでしょ
初めて来た日に　墓地で見たわ」
老 人ドクター…「だから」
レ ナ…「外に出たいのよ
手を貸して」
老 人ドクター…「出られるもんか
看守が見張ってるんだ」
レ ナ…「死体を埋める時はどうな の
あなたが棺を　運び出すんでしょ」
老 人ドクター…「なぁ〜　しかし」
レ ナ…「あたしを　埋めて
今度　誰か死んだら
あたしも棺に入れて
墓地に埋めて頂戴
そして誰もいなくなったら
戻ってきて　掘り出すの」

老人ドクター…「何を　ばかなことを
窒息して死んでまう」
レ ナ…「大丈夫　1時間かそこら はもつわよ
ねぇ　考えて
また　目が見えるようになるのよ」
ド クターは、レナが自分をここから出してくれたら手術が出来るようにするという言葉に、揺り動かされて“どうしようか”と考えている。
そ して、
老 人ドクター…「君にマスターキーを 預けとく
人が死んで　鐘が鳴ったら
工作室へ行くんだ
死体は棺に入れてあるから
中に入って　蓋を閉めておけば
わしが外に運び出す」
う まくいったと喜ぶレナ。
そ して、ドクターに近づき頬を摺り寄せ囁く。
レ ナ…「決して後悔はさせないわ
約束する」

死者が出た合図の鐘が鳴る。
“合図だわ”と喜び暗い工作室へ入ってゆくレナ。
不 気味な空気に怯えながら置いてあった棺の蓋をそうっと開ける。
ギギギ〜と 軋む嫌な音がする。
手 を入れる。
“空だ”と思って蓋を閉めようとすると、
バタッ！と 物音がする。
レ ナ…「ハッ！」
驚 くレナ。
慌 てて口に手をやり呼吸を整える。
足 音が近づいてくる。
隠 れるレナ。
警 備員だ。
工 作室の前を通り過ぎる。
気 を落ち着かせ、もう一方の棺を開けるレナ。
ギ ギギ〜と軋むが怖がっている場合ではない。
手 で死体が入っているのを確かめる。
レ ナ…“これだわ”
「ハァ」
息 を整え覚悟を決め、恐る恐る棺の中へ入ってゆく。
静 まり返った工作室でガタガタと棺に触れる音がする。
不 気味だ。
棺 の中へ入ったレナが蓋を閉める。
バ タン。
　
翌 日、レナの思惑通りに棺が墓地へ埋葬される。
棺 の中のレナが、
レ ナ…「うまくいった
大成功」と喜 ぶ。
刑 務所の外へ出られたのだ。
　
時 間が経過する。
墓 地の前には人気がない。
レ ナ…「ドクター　なにしてるの よ
早く来て　ハァハァ」と 息が荒くなっている。
思 い浮かべ笑い出す。
「ハッハハハハ　ハハハ
ヘッヘッヘ　私が　いなくなって
あのウスノロ
どんな顔するか
アッハハハハ　ハハハ
愉しみだわ　アッハハハ」
益々 息苦しくなり焦るレナ。
ドクター　は〜早く
息が苦しくなってきた」
汗 びっしょりになり荒い息使いになる。
「顔だけでも　見てこうかしら
アハハハハハ」
苦 し紛れに笑う。
息 が荒くなる。
「ハァハァ　アア
ハァハァ　アア
あッ　マッチはどこ？」
マッ チを必死に探す。
「マッチは？　ハァ〜」
見 つける。
「ああ」
“あった”と苦し そうにしながら喜ぶ。
マッ チを点ける。
マッ チを遺体の顔に近づける。
レナの顔が引きつる。
「あッ　あああ〜」
照らされた顔はドクターだ！
「あああ〜　あッ　あ ああ〜
あああ〜」

狂ったように悲鳴を上げ続けるレナ。
「あああ〜」
人 気のない墓地が映し出される。
「あああ〜」
「あああ〜」

　刑務所の外へ出たがっていたレナは老人ドク ターを騙して外へ出た。
　思惑通りに棺で墓地へ。
　だ が、埋葬された棺からは助け出されることはない。
　レナが棺の中にいることを知るドクターは隣で永久の眠りについているのだから。
　人を騙し続けていたレナに止めが刺された。