新・ ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
殺人特許申請
-The Final Twist-
        
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

  〜計画〜〜仕事〜〜電話〜〜〜〜税 金〜〜接近〜〜乾杯
設計図〜  〜憎悪〜 〜準備中〜 〜オスカー〜 〜今だ!〜 〜仕上げ〜 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1980年代)(米)(TV映画)-The Final Twist-
演出…アトム・エゴヤン
制作…タウンゼント・フィルム・プロ ダクションズ(米)
原作…ウィリアム・バンキア
脚本…ジム・ビーバー
ストーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導

SFXを駆使した炎上シーンを見て、


『殺人特許申請』

ハーバー…「素晴らし い!」と、 絶賛するハーバー。
映 写機のスイッチを切るデニス。
ハー バー…「立体映画には 眼鏡が必要だと 思っていたが」と 言うハーバー。
マ イク…「いや いりません
デニスのシステムは画期的なもので
二つの映像を…」
身 を乗り出して説明しようとする編集のマイク・ジョンソン。
  映写室の壁にア ルフレッド・ヒッチコックのポスターが張られているのが面白い。
ハーバー「あ〜 方法はどうでもいい」
手 を振り説明を遮るハーバー。
デ ニス…「気に入っていただけました」
ハー バーの傍に来て言うデニス。
ハー バー…「これなら誰でも気に入るさ
いや 素晴らしい」と 言い、デニスと握手するハーバー。
ハー バー…「これで私の映画は ヒット間違い なしだ
君たちは有名になって 皆大金持ちになる」と 言い、立ち上がるハーバー。
顔 を見合わせ笑うマイクとデニス。
ハー バー…「それで 独立するのは何時になる んだ」と 言うハーバー。
デ ニスと顔を見合わせ、
マ イク…「独立?」と 言うマイク。
ハー バー…「隠すなよ 経理の男から話は聞い てるぞ
なんて言った? あ〜」と 言うハーバー。
マ イクと顔を見合わせ、
デ ニス…「ロン」と 言うデニス。
ハー バー…「そう ロンだ
“近いうちに三人で  SFX専門の会社を創める”って言ってた
いいかね 特許の方は きちんとしとけよと 言い、映写室を出るハーバー。
デ ニス…「申請は出しましたが それより心 配なのは…」
ハーバーを送りながら心配するデニス。
ハー バー…「大丈夫だ
あの虎魚(おこぜ)のような顔をした社長には 何も言わんよ
虎魚が気を悪くするから」と 言うハーバー。
笑 うデニス。
ハー バー…「いいかね 独立したら知らせてく れ
君らが扱える限りの  仕事を回す
ただし 予算が少なくて 高い金は払えんこともあるが
その時も文句言わずに やってくれよ」と 言うハーバー。
マ イク…「やります ハーバーさん」
手 を挙げて言うマイク。
にっ こりして頷くデニス。
ハー バー…「ジムでいい 電話を忘れるな」と 言い帰るハーバー。

Top

〜 計画〜

ハーバーを見送っている二人にロンが近寄って来て、両手を前に出し“どう?”と言うポーズをする。
デ ニス…「すっかり 気に入ってくれたわ」と 言うデニス。
マ イク…「し〜 誰かに聞かれていいのか」と 二人に言い、編集室の方へ移動させるマイク。
デ ニス…「いい 私たちが独立してからの話 だけど
“扱える限りの仕事を回すって” 言ってくれたの」と ロンに小声で話すデニス。
喜 ぶロン。
ロ ンの肩に手をやり、
マ イク…「そこで疑問が生まれる
ハーバーさんが 何故そいつを知ってたかだ」と 言うマイク。
腕 組みしてロンを見るデニス。
ロ ン…「それが あ〜
色々とお喋りしてる間に 話したかもしれないな」
極 り悪そうに言うロン。
マ イク…「いいかい 用意が出来るまでは
この話は誰にもするな
社長に知られたら 全 ては水の泡になる
ロ ンのネクタイを締め直してやりながら言うマイク。
デ ニス…「ほんと いざ独立って時までは  絶対に秘密よ
この計画」
ロ ンの腕を掴んで言うデニス。
頷 くロン。
笑 い頷くマイク。
社 長…「計画?」と 言い、三人の傍に来る社長。
マ イク…「ええ 社長」


『殺人特許申請』

「大火災をどうするかと」
誤 魔化し、デニスと目を合わせるマイク。
社 長…「あれは もう終わったはずだろ」と 言う社長。
マ イク…「デニスが直せと言うんで」
デ ニスを見て言うマイク。
社 長…「すまんがマイクに話があるだ 外して くれ」
デ ニスとロンを見て言う社長。
心 配して振り返りながら出て行くデニス。
社 長の背に、顰めた顔を浴びせて出て行くロン。

Top

〜 仕事〜

社長…「仕事は予定通 り やってくれんとな」と 言う社長。
マ イク…「やってますよ ああ ただ…」と 言うマイク。
社 長…「今電話があって 例の航空会社のCM を
“編集し直せ”と言ってきた」と 言う社長。
マ イク…「何故ですか〜」
作 業しながら相手するのが嫌そうに言うマイク。
社 長…「テンポが遅い」と 言う社長。
マ イク…「社長が直させた前に 戻すんです ね」
皮 肉を言うマイク。
社 長…「“明日の夜までに”と 言ってる
直ぐ掛かりたまえ」と 言う社長。
マ イク…「二日は必要です」
驚 くマイク。
社 長…「ほぼ二日ある 十分だ」と 言う社長。
マ イク…「前から言ってあるでしょ 明日は ウェンデェイを迎えに空港に行くんです」と 言うマイク。
社 長…「仕事より 女を優先させるのか」
嫌 みを言う社長。
マ イク…「ウェンデェイは明日で8才になる  私の娘で
独りでロスから来るんです」
苛 立つマイク。
社 長…「ロスで何をしてるだ」と 言う社長。
マ イク…「母親と暮らしてる」
言 い辛そうにするマイク。
社 長…「女房に逃げられたんだったな 仕事 じゃそんなヘマをするなよ」と 皮肉を言い、編集室を出て行こうとする社長。
マ イク…「ウェンデェイを迎えに行きますよ」
声を荒げて言うマイク。
社 長…「行けよ 止めはしないさ
編集が終わった後ならな」
編集室を出て行く社長。
苛立ち、“どうしたらいいか”と考えるマイク。

Top

〜 電話〜

社長室。
社 長…「後 幾ら欲しいって!
馬鹿いえ いいさ
頼まんよ」と 言い、荒っぽく受話器を置く社長。
電 話が鳴る。
社 長…「ギャリスンです えっ
マイク・ジョンソン ええ 仕事中だ
え〜 だから言ってるだろ ここにはいない!
いいとも聞いとこ
ああ分かってる 大事な伝言なんだな伝えるよ
会社に帰ってきたら すぐそう言ってやる
そうだ それじゃ」
受 話器を置く社長。
税 金の申告のことを考え込む。
「ああっ」
溜 息を付く社長。

Top

〜 運〜

デニス…「運がよければ ここともさよなら ね」と 言うデニス。
ロ ン…「途端に税金とか 借入金の返済の心配 が生まれる」と 言うロン。
デ ニス…「歓迎するわ」
嬉 しそうに言うデニス。
ロ ン…「ヘヘッ」
笑 うロン。
デ ニスのデスクの模型を見て、
ロ ン…「何やってる?」と 言うロン。
デ ニス…「あ〜 何時もの 三流のホラー映 画
火薬で街を 吹っ飛ばすのはいいけど
“役者のカツラを焦がさないように やれ”って言うの」と 言うデニス。
ロ ン…「へえ〜 面白そう
そいじゃ また後で」と 言い、デニスの部屋を出るロン。
微 笑むデニス。

Top

〜 税金〜

社長…「ウ〜ン やっ と帰って来たな
何処で食事する 火星か」
嫌 みを言いながらロンの傍に来る社長。
苦 笑いするロン。
社 長…「なあ ロン
公認会計士が“料金を値上げしろ”と 言ってきたんで
“糞食らえ”と言ってやった
そこで ほら」
箱 に入った領収書をポンとロンに渡す社長。
箱 の中を見ながら、
ロ ン…「でも あなたの税金でしょ」と 言うロン。
社 長…「そうだ 今日からは君の仕事になっ た」
平 然と言う社長。
ロ ン…「申告の期限は火曜日ですよ」
呆 れるロン。
社 長…「そうだ 延滞金を取られたら
給料から 差っ引くからな」と 言い、威圧する社長。
ロ ン…「…」
社 長に威圧され黙ってしまうロン。
出 て行く社長。

Top

〜 接近〜

デニスの部屋へ行く社長。
仕 事をしているデニスをニンマリと見ながら傍に寄る社長。
デ ニス…「あっ」
後 ろに立っている社長に気付き驚くデニス。
社 長…「すまない
驚いたかい」
に こやかな顔をする社長。
デ ニス…「はあ ええ
何かご用?」
つ れなく言うデニス。
社 長…「…」
デ ニスを見ている社長。
デ ニス…「忙しいの」と 言うデニス。
社 長…「ああ〜 君が考案した特殊効果のこと を聞きたいんだが
話してくれ」
用 件を考え出して言う社長。
デ ニス…「ああっ もう少し健闘したいんで す
かなり危険なので」と 言うデニス。
社 長…「いざとなってから 考えりゃいいさ
これでやるのか」
模 型を見て言う社長。
デ ニス…「ええ でも
まだ出来上がってないんです」と 言うデニス。
社 長…「…」
デニスを口説こうと見ている社長。
デ ニス…「それからでは」
嫌がり避けるデニス。
社 長…「いいさ
週末は?」
誘う社長。
デ ニス…「また その話」
呆れるデニス。
社 長…「ねえ いいかい
君たちに厳しく言うのは 仕事に追われてるからだ
一歩会社を出れば 人並みに楽しくやってる」
言い寄る社長。
避けるデニス。
社 長…「君たちと変わらんよ」と 言う社長。
デ ニス…「どうかしら」
冷たく言うデニス。
社 長…「確かに君には才能がある きっと成功 するだろ」
デニスの反応を見ながら言う社長。
デ ニス…「だといいけど」
素っ気無く言うデニス。
社 長…「君の 力になりたいんだ」
口説く社長。


『殺人特許申請』

デニス…「…」
呆れるデニス。
社 長…「何でもする」
デニスの反応を見ながら誘惑する社長。
デ ニス…「…」
“よく言うわ”と呆れて社長を見て、苛立つデニス。
社 長…「あっ そうだ
まだ スティーブと会っているのか」
部屋を出て行くと思わせ、立ち止まって言う社長。
デ ニス…「ええ でも そんなことを…
どうして それを知っ てるです
声を荒げるデニス。
社 長…「君の留守に訪ねて来て お喋りした」
デニスを指差して言う社長。
驚いて社長を見るデニス。
社 長…「いい男だが 君には相応しくない
ハッハハハ」と 言い、笑いながら出て行く社長。
デ ニス…「ギャリスンさん」と 言い、受話器を取るデニス。

Top

〜 乾杯〜

バー。
マ イク…「訴えてやるよ」
怒るマイク。
デ ニス…「殺したいわ」と、 憎しみを込めて言い、
デ ニス…「狡いのよ あからさまには言わな いで」と マイクに話すデニス。
考えを巡らせて聞いているマイク。
デ ニス…「私と何かあるように スティーブ には思わせてるの」と 話すデニス。
マ イク…「直ぐ電話したら」と 言うマイク。
デ ニス…「したわよ
駄目 頭に来て 喧嘩になって
切っちゃったわ 
悔しそうに言うデニス。
マ イク…「デニス
あくどいやり方は 何時までも続かない
必ず報いを受けるさ」と 言うマイク。
デ ニス…「とても それまで待てそうもない わ」
首を横に振って言うデニス。
ロ ン…「いや もう長く待つことないな
例の不動産屋が “会社を造るのにピッタリの場所がある”と
さっき言ってきた」
入っ て来たロンが言う。
マ イク…「アハハハ 金の方はどうだ」
喜 ぶマイク。
デ ニス…「それ 本当」
身 を乗り出して喜ぶデニス。
ロ ン…「銀行のフォードさんに話したら
決められた調査はするけど 個人的には
問題ないと思ってるし」と 話すロン。
顔 を見合わせて喜ぶマイクとデニス。
ロ ン…「“必要な時には 貸せる”と言って た」と 言うロン。
デ ニス…「乾杯しましょ」
目を輝かせて酒を二人に差し出すデニス。
ス トローを掴むマイクとロン。
デ ニス…「私たちの新しい会社に」と 言い、
「ギャリスン抜きの」
マ イク…「ギャリスン抜きの」
ロ ン…「ギャリスン抜きの」
マ イクとロンと声を合わせて言うデニス。
ロ ン…「明日の昼休みに ビルを見に行く」と 言い、酒を飲むロン。
マ イク…「ああっ 僕は駄目だ
再編集をやらなきゃ」
詰 まらなそうに言うマイク。
デ ニス…「そうね 出来ると思う?」
心 配するデニス。
マ イク…「5分前は死んでたけど 力が湧いて きたよ」と デニスに言い、ロンを見るマイク。
マ イクを見るロン。
にっ こりして頷くデニス。
マ イク…「出来るって」
デ ニスを見て嬉しそうに言うマイク。
一 斉に立ち上がってバーを出る。

Top

〜 設計図〜

マイク…「あ〜」
再 編集がやっと終わって、体を休めるマイク。
編 集室に来てマイクを見ているデニスとロンに、
マ イク…「終わったよ」と、 にっこりして言うマイク。
デ ニス…「マイク 素敵なの
広くて」
マ イクに設計図を嬉しそうに見せるデニス。
休 めていた体を起こすマイク。
デ ニス…「見て 実験室」
指 差し説明するデニス。
マ イク…「ああっ」
見 て返事するマイク。
デ ニス…「編集室」と 説明するデニス。
ロ ン…「ここが 僕の重役室」
指 差して言うロン。
マ イク…「ハハハハハハ」
笑 い、設計図を手に取って見るマイク。
デ ニス…「場所も この上なしよ」
興 奮するデニス。
マ イク…「なるほど」
設 計図を見ながら言うマイク。
三 人で設計図を見ている。
社 長…「こいつを見てくれ」
寄っ て来て資料を差し出す社長。
設 計図を折り曲げ隠すマイク。
そっ と受け取り隠すデニス。
ロ ン…「ああっ 何ですか」
差 し出された資料を受け取るロン。
ロ ン…「これはデニスが考えた 立体映像の特 許の
申請だ
驚くロン。
社 長…「そう」
平然と言う社長。
ロ ン…「しかし 社長の名義になってます」と 言うロン。
社 長…「そう」と 言う社長。
マ イク…「そんな権利はない!」
声を張り上げ立ち上がるマイク。
社 長…「あるさ
契約書を見ろ
社員の発明は 会社のもの
私が会社か アハハハと 笑う社長。
デ ニス…「信じられない」
苛立ち、顔を背けるデニス。
社 長…「あ〜あ 銀行の方でも同じことを言っ てた
ついさっき電話があって 君たちの計画のことについて話し合った
残念だが “権利のな い発明を担保に
銀行からの融資を 引き出そうとしているようだ”
言うしかなかった」と 言う社長。
社長を睨むマイク。
驚いてロンを見るデニス。
驚いて聞いているロン。
社 長…「大変驚いてたよ」と 言う社長。
やられたと肩を落すロン。
社 長…「“詐欺になる”と言ってた」と 言う社長。
マ イク…「詐欺だと!
待ってくれないか そんなこと…」と 言うマイク。
社 長…心配するな 私が宥めておいた
君たちは若いし
こういったことには まだ経験も浅いから
“悪意ではなしに 知らずにやったことだろ”って
その通りだろ 違うか
誤解から生まれたことだ
いずれにしても 私は怒っちゃいない
アハハハハ」
嫌みを言い、笑って出て行く社長。
呆れ果てているデニス。
ガッカリしているマイク。
ロ ン…「雇用契約を調べて 抜け道を探そう」と 二人に向かって言うロン。
マ イク…「後だ 娘を迎えに言ってくる間だけ でも
この忌々しいことを  忘れたいよ
腹を立てて出て行くマイク。
設計図をグシャグシャにするデニス。

Top

〜 憎悪〜

バー。
カ ウンター席に座っているロンとデニス。
ロ ン…「分からんが 必ず穴はある
見つけてやる」
雇 用契約を見ながら言うロン。
デ ニス…「…」
苛立って座っているデニス。
悲しそうな顔をしてマイクが入って来る。
デニスの隣の席に座るマイク。
驚いてマイクを見るデニスとローン。
デ ニス…「マイク 何処よ?
ウェンディは何処?」
マイクを見て言うデニス。
マ イク…「ロスへ戻ってったよ
早い便で着いたから 僕がいないんで
1時間も待った後 家へ電話して
切符を取ってもらった」
寂 しそうに言うマイク。
デ ニス…「どういうことよ 早く着くってい う連絡はなかったの」と 言うデニス。
マ イク…「あった ギャリスンが受けた」
怒って言うマイク。
驚くデニスとロン。
マ イク…「会社に電話して 伝言を頼んだのに
何も言わずに黙ってた」
怒りに燃えて、
「たった一人で 知り合いもいない空港に放り出されたら
どんな気持ちがする
今日八つになったばか りだ
悲しみ、怒りを爆発させる。
マ イク…「心細かったろう
ギャリスンを捕まえて  あいつの首を圧し折ってやる


『殺人特許申請』

憎しみを込めて言い、立ち上がろうとするマイク。
マイクを制し、
デ ニス…「必要ないわ 自分でやらせるの」
マイクを見て言うデニス。
驚いてデニスを見るロンとマイク。
マイクを見て“いい考えが浮かんだ”と目を輝かせるデニス。

Top

〜 準備中〜

ギャリスンが社長室から出て来る。
ニ コニコしているマイクを見て不審に思う。
フ イルムを持って編集室に入って行くマイク。
デ ニス…「Hi」
社 長を見て親しげに挨拶するデニス。
社 長…「やあ」
嬉 しそうにデニスを見る社長。
ロ ン…「おっ」
大 きな箱を必死に運んでいるロン。
社 長…「おーい ロン
何をしてる
何が始まるんだ」と 言う社長。
ロ ン…「ええっ これから大火災のシーンの
直しをするんです」と 言うロン。
首 を傾げロンを見る社長。
ロ ン…「スリルありますよ〜
ああ 申告はやっときました」と 言うロン。
3 人の態度が何時もと違うので首を傾げ、気になる社長。
編 集室のマイクを覗きに行き、
社 長…「君も大火災に 掛かりっきりだな」
忙 しそうにしているマイクに言う社長。
マ イク…「エッヘ 見ててください」
笑 いながら言うマイク。
社 長…「そんなにいいのか」と 言う社長。
マ イク…「ギャリスンさん 肝を潰すこと保証 付です」
社 長を見て言うマイク。
社 長…「ほう 見たいな」と 言う社長。
マ イク…「まだ準備中です
約束します 失望はさせませんよ」
社 長の前に行き肩をポンポンと叩き送り出し、電話するマイク。
電 話が鳴る。
ヘッ ドフォンをして画像を見ていたデニスが、慌てて受話器を取る。
デ ニス…「ハイ」
マ イク…「絵は出来た」と 言うマイク。
デ ニス…「そう 音もいいわ
食事に行く」
にっ こりするデニス。
マ イク…「ううん」
嬉 しそうに答えるマイク。

Top

〜 オスカー〜

マイク…「必要な物は 揃えた?」と 言うマイク。
ロ ン…「ああ 全部」と 言うロン。
デ ニス…「社長の方は?」と 言うデニス。
マ イク…「上手く乗せた」と 言うマイク。
デ ニス…「いいわ」
笑 い、
「今夜仕事が終わったら…噂をすれば影」 
社 長がバーに入ってくるのが見え笑うデニス。
社 長…「そうか ここが君らの溜まり場だった のか」
笑 いながら近寄る社長。
マ イク…「一緒にどうぞ」
愛 想よく言うマイク。
社 長…「アッハハハ」
笑 いながらデニスの横に座り、
「さあ〜てと 何時になったら秘密を公開してくれる
何時だ」と 言う社長。
マ イク…「あ もう少し時間が掛かります」と 言うマイク。
デ ニス…「今夜 お暇ならどうぞ」と 言うデニス。
社 長…「ようし 気を持たせて 後でガッカリ させるなよ」
三 人を指差して言う社長。
ロ ン…「それだけはありません」と 言うロン。
マ イク…「デニスのやり方は 100年に一度 という発明ですよ」と 言うマイク。
驚いてデニスを見る社長。
にっこりするデニス。
マ イク…「自分では何にも 言いませんけど
オスカーも 夢じゃあ りません
身を乗り出して言うマイク。
びっくりしてデニスを見る社長。


『殺人特許申請』

社長を見て頷くデニス。
社 長…「オスカー」と 言い、考えを巡らせる社長。
にっこりするデニス。

Top

〜 今だ!〜

ロン…「もういいか」
編 集が出来たか聞くロン。
マ イク…「まだだ
後5分か そこら掛かる」
映 写機を前にしてロンに言い、デニスに時間を知らせるマイク。
デ ニス…「見て来るわ」と 言い、社長室に行くデニス。
社 長…「おう
いいか」
デ ニスを見て言う社長。
デ ニス…「もう少し」と 言うデニス。
社 長…「何時間 待たせる気だ」
苛 立つ社長。
デ ニス…「あたしの部屋へ 行きませんか
ちょっと お話したいことがあるです」と 言い、部屋へ向かうデニス。
ネ クタイを整え嬉しそうについて行く社長。
デ ニス…「どうぞ」
ウ イスキーをグラスに注いで勧めるデニス。
社 長…「しょっちゅう 一人でやってるらしい な
えっ アッハハハハ」と 言い、高笑いする社長。
デ ニス…「ギャリスンさん」
笑 い、乾杯するデニス。
乾 杯する社長。
デ ニス…「心ばかりのお祝いです」と 言うデニス。
社 長…「デニス さっきの話だが
本当だろうな」
真 剣な表情で言う社長。
デ ニス…「オスカーを取れるとは いいませ んけど
あたしが考えた特殊効 果が 画期的な発明であることは確かですと 言うデニス。
社 長…「ノミネートされるだけでも 私たち二 人は注目の的だ」と 言う社長。
デ ニス…「二人?」
ド アの方へ行き閉めるデニス。
社 長…「どうしたデニス さっきの特許の話
まだ腹を立てているのか」と 言う社長。
デ ニス…「ああっ」
ド アの前に立ち社長を見詰めるデニス。
社 長…「よしてくれ 嘘は言ってなかったろ」
デニスを口説こうとする社長。
デ ニス…「ええ その通りです」と 言うデニス。
社 長…「私たち二人と言ったのは 言葉どおり
君と私だ」
指 差して言う社長。
デ ニス…「ああ 皆が協力してやった仕事で す」
視 線を逸らして言うデニス。
社 長…「それにしても 君が発明したってこと は
間違いのない事実だ
あの二人には 何時会 社を辞めてもらっても
痛くも痒くもない  アッハハハと 言い、笑う社長。
呆れていることを気付かれないようにして、
デ ニス…「あのう
話があると言ったのは あのシステムには
安全面で心配な点が 残ってると言うことです」と 言うデニス。
社 長…「まさか 建物ごと吹っ飛ばすんじゃな いだろ」
デ ニスの傍に来て言う社長。
デ ニス…「大丈夫 そこまではやりませんけ ど」
笑 うデニス。
社 長…「いいか これだけは言っておこう
危険を冒さなければ オスカーは取れない
そうだろ
君に悪いようにはしな いさ 信じてくれ
デニスの肩に手をやり口説く社長。
“マイク まだ準備できていないの 早く〜 こんな男に抱かれたくない”と心で叫び待ちわびているデニス。
 指で焦りを表現している。
社 長…「二人が力を合わせれば 怖いものはな い」
迫って来る社長。
“バァ〜ン!”
ドアの向こうから爆発音がする。
社 長…「何だ!」
驚きデニスを盾にする社長。


『殺人特許申請』

 社長の本心が出ていて可笑しい。
デ ニス…「これを心配してたのよ」
ドアの方を見て言うデニス。
社 長…「心配とは?」
動揺する社長。
デ ニス…「“慎重に”と言ったのに」
案じているように言うデニス。
マ イク…「火事だ!〜」
ドアの向こうからマイクの声が聞こえる。
社 長…「火事だ! 逃げよう」
ドアから逃げようとする社長。
デ ニス…「駄目よ! 待って」
行く手を阻むデニス。
マ イク…「デニス何処にいる!」
デニスを捜すマイクの声が聞こえる。
デ ニス…「今行くわ!」
ドアの向こうのマイクに言うデニス。
マ イク…「あっ ワァ〜!」
マイクの叫び声が聞こえる。
デ ニス…「ちょっと 様子を見て来ますから
ここにいてください」と 社長に言うデニス。
社 長…「ああ ここで待ってる」
オドオドして言う社長。
ドアを開けて出て行くデニス。
マ イク…「火事だ!〜 火事だ!〜」
マイクの叫び声が聞こえる。
閉まったドアの隙間から、煙が入って来る。
ロ ン…「火事だ!〜」
ロンの叫び声が聞こえる。
慌てて隙間を傍にあったコートで塞ごうとする社長。
マ イク…「ギャリスンさん! ドアを開けてく ださい」と、 怒鳴りながら社長にドアを開けられないように金具で押さえているマイク。
黙々と入ってくる煙をコートで塞ぐ社長。
マ イク…「デニス 何すんだ〜 開けてくださ い〜」
マイクの怒鳴る声が聞こえる。
ドアをロックする社長。
 自分だけ助かろうとする社長の本性が描かれている。
デ ニス…「キャ〜〜! キャ〜〜!」
デニスの悲鳴が聞こえる。
怯えて傍にあったウイスキーを手に取る社長。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
ドアを激しく叩くマイク。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜 あああ〜」
悲鳴を上げるデニス。
社 長…「あっ」
怯えてドアの方を見ている社長。


『殺人特許申請』

マイク…「助けて!〜  社長!〜」
叫び、
「ウワ〜」
喚くマイク。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
ドアを激しく叩くマイク。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜 あああ〜」
悲鳴を上げ続けるデニス。
社 長…「ワァ 駄目だ ここにも火が入る
怯えてドアの方を見ている社長。
ド アの向こうで、
ロ ン…「ウワ〜!」
喚くロン。
ドアを激しく叩くマイク。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜 あああ〜」
悲鳴を上げ続けるデニス。
社長がいる部屋に向かってドライアイスを吹き出し続けるマイク。
ロ ン…「ウワ〜!」
喚くロン。
喚いているローンに手で合図するマイク。
録音している装置の方へ急ぐローン。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜 あああ〜」
悲 鳴を上げ続けるデニス。
マ イク…「ウワ〜 ああ」
喚 くマイク。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜 あああ〜」
悲 鳴を上げ続けるデニス。
マ イク…「ギャリスンさん! 何してるんです か〜」
叫 ぶマイク。
“リリ〜!リリ〜!リリ〜!リリ〜!リリ〜!リリ〜!リリ〜!リリ〜!”
装置のスイッチを入れ録音している非常ベルを流し、喜ぶローン。
怯えてウイスキーをがぶ飲みする社長。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
マ イク…「社長!」
ド アを激しく叩きながら叫ぶマイク。
デ ニス…「あああ〜 あああ〜」
悲 鳴を上げるデニス。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
マ イク…「私も中に入れてください!」
叫びながらデニスに、手で合図するマイク。
映写機の方へ急ぐデニス。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
マ イク…「社長! 開けてください〜
早く!」
ド アを激しく叩きながら叫ぶマイク。
録音しているサイレンが聞こえる。
社 長…「消防車は何処だ」
ブラインドをずらし窓から外を見て消防車を捜す社長。
デ ニス…「警察
直ぐ来てください」
警察に電話するデニス。
“ドン!ドン!ドン!ドン!”
マ イク…「火事だ!〜」
ドアを激しく叩きながら叫ぶマイク。
マイクに拡声器を持って来て渡すローン。
サイレンが鳴り続ける。
社 長…「いないぞ 何をしてるんだ」
消防車を捜す社長。
デ ニス…「悪い知らせを聞いてから 急にお かしくなって
部屋に閉じ籠もって 誰も中に入れないんです
酔ってますし 馬鹿なことしないか心配で」
警察に電話しながら、SFXを駆使した装置のスイッチを入れる。
照明を調整し、窓の外に救急車と隊員が映し出されるようにする。
上手く調整でき、ニタリとして、
「急いでいただけません
5分」と 言い、時間を確認して電話を切る。
「時間もピッタリね 申し分ないわ」
満足そうに映写機を見るデニス。
社 長…「まだか 何してる!」
煙を避けながら苛立つ社長。
マ イク…「皆さん!」
マイクが拡声器を使って消防隊員に成り済ます。
社 長…「おっ」
声がする方を見る社長。
マ イク…「よ〜く聞いてください こちらは消 防署です
階段には火が回っております」
拡声器を使って言うマイク。
窓の方に急いで行く社長。
マ イク…「下に救助ネットを 張ります
飛び降りる用意を」
拡 声器を使って言うマイク。
窓を開けて下を見る社長。
マ イク…「繰り返します 階段から脱出するの は危険です」
拡 声器を使って言うマイク。
隊員が救助ネットを張っている映像を見る社長。


『殺人特許申請』

マイク…「救助ネット が位置に着くのを待って 飛び降りてください」
拡 声器を使って言うマイク。
ロ ン…「駄目だ 服に火が付いた
頼む 助けてくれ!〜」
マ イクが持っている拡声器に向かって、叫ぶロン。
マ イク…「さあ 用意はいいですか!」
拡声器を使って促すマイク。
恐れながら飛び降りる用意をする社長。
マ イク…「階段は火と煙に包まれてます 脱出 は不可能です」
拡 声器を使って言うマイク。
映写機を操作しているデニスに、駆け寄るロン。
不安そうに次の指示を待っている社長。
マ イク…「窓枠に登ってください」
拡声器を使って指示するマイク。
窓枠に登る社長。
映像を見ているデニス。
逸るロン。
マ イク…「こちらから合図するまで そこでお 待ちください」
拡 声器を使って言うマイク。
恐怖で顔が引き攣る社長。
マ イク…「どうぞ 飛び降りる用意を」


『殺人特許申請』

拡声器を使って言うマイク。
隊員が救助ネットを張って待っている映像を見ている社長。
マ イク…「今です!」
拡声器を使って指示するマイク。
怯えて躊躇する社長。
マ イク…「降りなさい!」
拡声器を使って命令するマイク。


『殺人特許申請』

飛び降り、
社 長…「ウワァ〜〜〜〜!」 
悲鳴を上げながら上階から地面に落ちて行く社長。

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〜 仕上げ〜

“ペチャツ!”
お皿にケチャップが落とされる。
 ドキッとさせる映像だ。
マ イク…「SFXのスペシャリスト三人に 乾 杯だ」と マイクが言い、乾杯する。
ロ ン…「アレだけは二度と やらずに済むこと を
願って 乾杯」と ロンが言い、再度乾杯する。
マ イク…「ハッハハハ」
嬉しそうに笑うマイク。


『殺人特許申請』

酒を飲む三人。
マ イク…「ウ〜ン
分からないことがあるだ
ネットがあると思って  跳んだのに
あいつ どうして悲鳴 を上げた?と 言い、ロンを見るマイク。
デニスを見るロン。
デ ニス…「最後の仕上げ
飛び降りる瞬間まで待って」と 言うデニス。
マ イク…「どうした?」と 聞くマイク。
デ ニス…「映写機を止めてやったの」
SFXを駆使した仕上げを満足そうに話すデニス。


『殺人特許申請』

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 傲慢な制作会社の社長ギャリスンに嫌気が差してき ていたマイクとデニスとロンの三人は、独立してSFX専門の会社を設立しようと計画していた。
  だが、ギャリスンに感づかれ先回りされ、屁理屈を言われてデニスの発明を横取りされる。
  更に、悪知恵を働かせるギャリスンに、銀行からの融資が受けられないようにされ、詐欺にしたてられそうにな る。
  三人は怒りが込み上げてくるものの、雁字搦めにされて計画を中止せざるを得なくなる。
  また、再三、プライバシーを踏み躙ることをされていた三人は、マイクの娘の心を傷つけられたことで怒りが爆 発する。
  SFXを駆使してギャリスンを罠に掛け反撃することを思いつく。
  ギャリスンに火災が起きたと思わせ、自ら飛び降りるようにさせる仕掛けだ。
  罠に掛かったギャリスンは、自分だけ助かろうと火の手と思っている側にいる三人を遮断し閉じ込もる。
  その方が三人にとって都合がいいとは思いも寄らずに。
  そして、SFXを駆使された映像の救助ネットに向かって、窓から飛び降りる。
  その瞬間に映写機のスイッチを切られたギャリスンは、あったはずのネットがないのに驚き、悲鳴を上げて地面 に叩きつけられる。
  ギャリスンは、“あなたを助ける人はいない”と いうことと、デニスが特許申請していたSFXが素晴らしいことを体験した訳だ。
 発表は出来ないが。

更新2007.12.11
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ヒッチコックがデザインしたという似顔絵

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ヒッ チコック劇場
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