新・
ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock
Presents-
殺人学入門
-The
Initiation-
アルフレッド・ヒッチコック
※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ
い。
☆ → 〜屋根の上〜〜ジョーク〜〜落ち零れ〜〜新入生〜〜挨拶〜〜入寮儀式〜〜銃〜〜やめて!〜〜ど うする〜〜冗談〜〜幽霊〜〜シー〜〜弾〜〜ゾンビ〜〜ウインク〜〜バ〜ン!〜 ←
記号[☆:スタッフ・キャスト →:
始めに ←:終わりに]
(1980年代)(米)(TV映画)-The
Initiation-
演出…ロバート・イスコブ
制作…タウンゼント・フィルム・プロ
ダクションズ(米)
原作…ロブ・ヘデン
脚本…ジェームズ・ノーマン・ビー
バー・ジュニア/ロブ・ヘデン
出演…マリオン・ロス(寮母/マギー)
ストーリーテラー…ア
ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導
寮母のマギーが寮に帰って来ると、音楽がガ
ンガン鳴り響き、室内は散らかったままになっている。
酔
い潰れている寮生や、女学生と抱き合ったまま寝ている寮生に、飲み物に浸かった女性の下着を見て、
『殺人学入門』マリオン・ロス
マギー…「ふ〜うん」
呆
れてしまうマギー。
通
りかかった寮生バックスに、
「おお お早うバックス」と
声を掛ける。
バッ
クス…「ああ お帰りなさい
マギー」と
気拙そうにするバックス。
マ
ギー…「やってくれたわね〜」と
腕組みをして言うマギー。
バッ
クス…「ねえ ジョンが待ってたよ」と
言い2階へ上がって行くバックス。
マ
ギー…「一言 言ってやらないと」と
言うマギー。
笑
いながら、
バッ
クス…「裏にいる」と
言うバックス。
裏
の方へ急ぐマギー。
Top
〜
屋根の上〜
裏で寮生のアレックたちがフットボールで遊んでいる。
マ
ギー…「アレック」
声
を掛けるマギー。
ア
レック…「お〜帰り マギー」と
弾んで言うアレック。
マ
ギー…「ジョンは何処?」
ア
レックに近寄ってきて聞くマギー。
屋
根の上に向かって、
ア
レック…「お〜い ジョ〜ン!」と
呼ぶアレック。
屋
根の上でボリームを上げて音楽を楽しんでいるジョンに向かって、
マ
ギー…「ジョン 降りてらっしゃい
危ないでしょ 降りてらっしゃいたら!」と
大声で言うマギー。
音
楽を止めて、
ジョ
ン…「何だって マギー」と
言うジョン。
マ
ギー…「今週の掃除係りでしょ 違う?」と
屋根の上のジョンに向かって言うマギー。
ジョ
ン…「そうだよ だから」と
つまらなそうに言うジョン。
マ
ギー…「新入生歓迎パーティーの 用意を して欲しいと思ったら
さっさと降りて来て 片付けなさいな〜!」と
怒鳴るマギー。
ジョ
ン…「ああ 分かってる
今 行くって」と
言うジョン。
呆
れて見上げているマギー。
ジョ
ン…「やあ アレック
ボールを投げろよ」と
言うジョン。
ア
レック…「降りて来いって 言われたろ」と
言うアレック。
ジョ
ン…「いいから 早く投げろって」と
言うジョン。
ア
レック…「ふぁ
行くぞ〜 いいか〜!」
“仕様が無いな〜”とばかりに溜息を付き、フットボールを屋根の上のジョンに投げるア
レック。
ジョ
ン…「あう
あああ〜 あああ〜! あ
ああ〜!」
フットボールを取り損なったジョンが、屋根から悲鳴を上げてマギーたちの死角にな
る側に落ちて行く。
『殺人学入門』
“ドスン!”
驚いて駆けつけるマギー、そして、寮生たち。
横
たわっているジョンを見て、
ア
レック…「ああっ」と
声を上げるアレック。
マ
ギー…「あっ 待って
救急車を!」
アレックを宥め、他の寮生に指示を出すマギー。
ジョンの傍に行き、
マ
ギー…「何てことを〜」と
悲しそうにジョンを見るマギー。
ア
レック…「駄目だ〜 もう死んでる」と
言うアレック。
ジョンを見て、
マ
ギー…「いいえ 嘘よ
嘘だわ 死んでるなんて
そんなはずないわ ないわよ〜ぉ」と
声を震わせながら首を横に振り、泣き出すマギー。
口から血を出して横たわっていたと思われたジョンが、目を開けマギーを見る。
マ
ギー…「ああっ!」
驚くマギー。
ジョ
ン…「バッチリ 引っ掛かった」と
言い笑うジョン。
囲
んでいた寮生たちも大笑いする。
驚
いているマギーにキスするジョン。
ジョ
ン…「どう “ゾッ”としたろう」と
言うジョン。
心配していたマギーが、
マ
ギー…「何よ〜 酷いじゃないの〜」と
泣きながらジョンを叩く。
ジョ
ン…「“ジョーク”だよ 怒ることないだ ろ
アッハハハ」
笑うジョン。
泣くマギー。
ジョ
ン…「どうやったのか 見せてやろう
ほら 映画のスタントマンと同じだ ハッハハハ」と
言い寮生たちとカバーを剥いで隠していたダンボールを見せ戯れるジョン。
寮
生たち…「アッハハハハ〜」
ダ
ンボールの上に乗り戯れ、笑い続ける寮生たち。
マ
ギー…「まあ! 絞め殺してやりたいわ もう」
ジョ
ン…「なに カッカしてるの
ジョークじゃないか」と
言うジョン。
ア
レック…「ヘッヘヘ
ユーモアには 理解あるんだろ」と
言うアレック。
マ
ギー…「そりゃ あるけど
今のは 笑えないわ」と
言うマギー。
ジョ
ン…「自分の顔 見てないからだよ」と
からかうジョン。
寮
生たち…「ハッハハハハ〜」
笑
う寮生たち。
マ
ギー…「皆が可愛いのよ
倒れてるのを見て 心臓が止まりそうだったわ
こんなことが面白いな ら 皆屋根から飛び降りたらどうなの!」と
怒り泣きながら走り去るマギー。
ジョ
ン…「あれは どうしちまったんだよ」と
言い仲間と顔を見合わせるジョン。
Top
〜
ジョーク〜
マギー…「ジョン」
マ
ギーがジョンと話をしようと部屋に入って来る。
顔
に帽子を置いてベッドで休んでいたジョンが慌てて体を起こす。
「お願い」と
ボリュームを上げて音楽を聴いているアレックの方を見てボリュームを下げて欲しいという仕草をするマギー。
ア
レックがスイッチを切る。
マ
ギー…「ありがとう」と
アレックに言い、
「ジョン
今朝はつい興奮しちゃって ごめんなさい」と
ジョンに向かって言うマギー。
ジョ
ン…「アッハハハ」
笑
うジョン。
マ
ギー…「私も騒ぎ過ぎだけど
ジョークにしては 度が過ぎるわ」と
言うマギー。
ジョ
ン…「ユーモアのセンスは 何処に行っち
まったんだい
椅子を釘付けにした時は 笑ってたろ」と
言うジョン。
マ
ギー…「あれは別よ 気が利いてるし
何の害も無いわ
でも あなたは調子に
乗って 遣り過ぎるから
何時か怪我人が出るわ」と
言うマギー。
ジョ
ン…「…」
マ
ギー…「いいわね よく考えといて」と
念を押すマギー。
ジョ
ン…「ああ 分かったよマギー」と
言い、ベットから起き上がり腰掛て本を読む仕草をするマギー。
マ
ギー…「それじゃ 勉強し過ぎないように してね」と
二人を見て言い出て行くマギー。
ジョ
ン…「ああ そうする」と
言うジョン。
Top
〜
落ち零れ〜
マギーと入れ違いに寮生リックが入って来くる。
ア
レックに、
リッ
ク…「おい 下に新入生の入寮希望者が来
てるぜ〜」と
言う。
ア
レック…「ほんとか」と
言うアレック。
リッ
ク…「ああ」
嬉
しそうに答えるリック。
ジョ
ン…「5日も経ってからかい
きっと 方々で断れたな」と
言うジョン。
ア
レック…「それで どんな奴だ」と
言うアレック。
リッ
ク…「落ち零れを絵に描いたみたい」と
言い笑うリック。
笑
うアレック。
ジョ
ン…「ようし 見てこようぜ」と
言いアレックたちと、燥いで見に行くジョン。
Top
〜
新入生〜
ださい眼鏡を掛けた新入生アンドリューが、荷物を抱いてソファーに腰掛けている。
そ
れを階段から見て、
ジョ
ン…「あれは酷い 落ち零れオリンピック
の金メダルだ〜」
アレックたちと笑うジョン。
ジョ
ン…「俺たちの部屋へ通せ」と
リックに言い、アレックと部屋に戻るジョン。
アレック…「どうかし
てるんじゃないのか あんな奴をこの寮に入れるつもりか」と
ジョンに言うアレック。
ジョ
ン…「よしてくれ 冗談じゃない
入れてやると言っても 向こうで断るさ」と
意味有りげに言うジョン。
ア
レック…「入寮儀式か」と
嬉しそうに言うアレック。
ジョ
ン…「ああ それそれ」と
言いアレックと笑うジョン。
Top
〜
挨拶〜
リックと部屋に入ってこようとしているアンドリューを見て、
ジョ
ン…「よう 来たな」と
言うジョン。
ア
ンドリューが部屋に入って来る。
ア
ンドリューに、
ア
レック…「やあ
BXΩの委員長の アレック・ターナーだ」と
自己紹介するアレック。
新
入生アンドリュー…「やあ」と
緊張して挨拶するアンドリュー。
ア
レック…「そいつは
副委員長の ジョン・ミッチェル」と
忙しそうにしている振りをしているジョンを見て言うアレック。
ジョ
ンに挨拶しようとするが視線が合わなくてアレックの方を向くアンドリュー。
オ
ドオドしながら小声で、
新
入生アンドリュー…「やあ よろしく
アンドリュー・スペンサーです」と
アレックに向かって手を伸ばし握手しようとするアンドリュー。
後
ろで笑いながら見ているリック。
ア
レック…「やあアンドリュー それともアン
リーか」と
からかうアレック。
新
入生アンドリュー…「家では “デュー
ク”って呼ばれてます」と
にこやかに言うアンドリュー。
後
ろからアンドリューの肩を掴み、
ジョ
ン…「漫画のデュークに肖ったって訳だ」と
からかうジョン。
新
入生アンドリュー…「デューク・エリントン
から取ったんでしょう」と
弱々しく言うアンドリュー。
ジョ
ン…「誰?」と
惚けるジョン。
ア
レック…「よし デューク
ちょっと 自分のことを話してみろ
専攻は何をやる」と
言うアレック。
新
入生アンドリュー…「音楽史です」と
言うアンドリュー。
ア
ンドリューの肩に手を乗せたまま、
ジョ
ン…「う〜ん」と
言いリックと顔を見合わせ面白がるジョン。
新
入生アンドリュー…「それと クラリネッ
ト」と
ニコニコして言うアンドリュー。
『殺人学入門』
アレック…「クラリ
ネットを吹く奴が 一人欲しいところだった
なあ リック」と
罠を仕掛けリックを見るアレック。
リッ
ク…「ああ ほんと」と
調子を合わせるリック。
ア
レック…「BXへようこそ」と
言いアンドリューに手を差し出し握手するアレック。
ジョ
ン…「そうだ いい考えがあるぜ
デュークを隣の部屋に 入れたらどうだい
バスルームを共同で 使うことになるけど
言ってみれば俺たちは ルームメイトって訳だ」と
アンドリューの肩に手をやり親しげに言うジョン。
新
入生アンドリュー…「いやあ 待ってくださ
い
入れてもらえるんですか
ああ もっと詳しい話を…」と
言うアンドリュー。
ジョ
ン…「いやあ 必要なことは全部聞いたよ
デューク」と
アンドリューに言い、“上手くいった”とアレックとハイタッチするジョン。
新
入生アンドリュー…「はあ〜 ほんとなんですか
信じられないみたいだ」と
喜ぶアンドリュー。
ア
レック…「ああ 信じていいさ
エッヘヘ じゃデューク仲良くやろうぜ」と
アンドリューの肩に手を遣り、ドアまで送り握手するアレック。
新
入生アンドリュー…「よろしく」と
頭を下げ嬉しそうに握手し、
「ありがとう」と
アレックに言い部屋を出てゆくアンドリュー。
部屋で寝そべって本を開いているジョンの傍に行き、
ア
レック…「何故 ピーターの部屋に入れたん
だ」と 小声で言うアレック。
ジョ
ン…「あいつは兄貴の結婚式で 後3日
帰ってこない
それまでには 逃げ出してるさ」と
言うジョン。
ア
レック…「それで どんな入寮儀式をやらせ
るつもりだ」と
言うアレック。
ジョ
ン…「分からない いい手を考えるさ
何にしろ そいつが終わる頃には
ここへ入ろうなんてこ とは 二度と考えなくなる」と
ページを捲りながら言うジョン。
笑うアレック。
笑うジョン。
Top
〜
入寮儀式〜
賑やかに食事をしている寮生に圧倒されたアンドリューが、
新
入生アンドリュー…「静かにしてなきゃいけない時間て あるんですか?
そうだな 例えば…勉強の…時間とか」と
言う。
ジョ
ン…「勉強?」
笑
い出すジョン。
笑
う寮生たち。
ジョ
ン…「ここは大学の寮だぞ 何をしようと
自由さ
煩いと文句つける奴がいたら 俺に言えよ
追い出してやる」と
言い立ち上がり食べ物を取りに行くジョン。
ジョ
ンの迫力に圧倒され、
新
入生アンドリュー…「そうします」と
弱々しく言い、
「よかった BXΩに入れてもらえたのは
皆さんのお蔭だって ほんとに感謝してます」と
寮生たちに話すアンドリュー。
ア
ンドリューの目の前から、隣に座っているリックへ果物をパスするジョン。
そ
れを見ながら、
新
入生アンドリュー…「僕は 運がよかった」と
寮生たちに言うアンドリュー。
ア
レック…「本当」と
言うアレック。
新
入生アンドリュー…「黙っていようかと思っ
たんですけど 言います」と
言うアンドリュー。
ジョ
ン…「なんだよ」と
席に戻ったジョンが言う。
新
入生アンドリュー…「他の寮は 何処でも全
部断られてきました」と
言うアンドリュー。
寮
生たちの方を向き、
ジョ
ン…「ふ〜ん」
“やっぱり”という表情をするジョン。
ア
レック…「それ ほんとかよ」と
驚いた振りをして言うアレック。
新
入生アンドリュー…「ええ
こういった時に僕みたいな奴は 弱いですからね〜
スポーツは遣らないし 金持ちの息子でもないでしょ
まるでゴミです
皆さんに会えて 本当によかった」と
言うアンドリュー。
含
み笑いをしていたジョンが、
ジョ
ン…「そいつは 俺たちも同じさ」
ポ
ンとアンドリューの肩を叩き、
「この寮にも 新しい血が必要だ」と
言う。
新
入生アンドリュー…「ええ」
嬉
しそうに頷くアンドリュー。
ジョ
ン…「ここへ来たことは 一生君の記憶に
残るぞ〜」と
言うジョン。
新
入生アンドリュー…「ええ」と
答えるアンドリュー。
ア
レック…「ほんとだ」と
言うアレック。
ジョ
ン…「2階で 入寮儀式の話をしよう」と
言うジョン。
新
入生アンドリュー…「入寮儀式?」と
言うアンドリュー。
ジョ
ン…「ああ」と
答え、
「行こうぜ」と
寮生たちに言い立ち上がるジョン。
ア
レック…「よおし」と
言い立ち上がるアレック。
寮
生たちも一斉に立ち上がる。
マ
ギー…「あ あ あっ 忘れ物
お皿運んで〜」と
マギーが近寄ってきて言う。
ア
レック…「うん ハイハイ 分かりましたよ
ほれ デューク」と
言い、皿を持っているアンドリューに自分の皿を押し付けるアレック。
ジョ
ン…「さあ デューク」と
ジョンもアンドリューに自分の皿を押し付ける。
皆
の皿を抱きかかえているアンドリューを見て、
マ
ギー…「その子 誰なの」と
言うマギー。
ジョ
ン…「新入生だ デューク」と
皿を抱きかかえたままで立ち上がろうとするアンドリューの肩に手を遣り紹介するジョン。
新
入生アンドリュー…「やあ よろしく
アンドリュー・スペンサーです」
重
ねられた皿を片方に抱きかかえ直して、手を差し出し握手するアンドリュー。
マ
ギー…「こちらこそ よろしくアンド リュー
ハウスマザーのスタードベントよ
マーガレットと呼んで」と
言うマギー。
新
入生アンドリュー…「そうします」と
言うアンドリュー。
ア
ンドリューの肩に手を遣り、
ジョ
ン…「“マギー”だ
“マギー”でいいんだ」と
言うジョン。
呆
れて見ているマギー。
ア
ンドリューに、
ジョ
ン…「俺の部屋で待ってるからな 直ぐ来
いよ」と
耳打ちして、重ねられた皿の上に更にコップを置くジョン。
Top
〜
銃〜
机の引き出しから銃を取り出し、上に置くジョン。
ア
レック…「それが 入寮の儀式だ」と
言うアレック。
銃
を見ているアンドリューに、
ジョ
ン…「この前に比べれば 軽いもんさ
真昼間に自転車で校庭を 2回も回らせたんだ
裸で」と
言うジョン。
首
を捻るリック。
新
入生アンドリュー…「銃が怖いんです」と
言うアンドリュー。
リッ
ク…「弾は空砲だ」と
言うリック。
ア
レック…「ただ あんまり近づけて撃つな よ」と
言うアレック。
新
入生アンドリュー…「駄目です」と
首を横に振るアンドリュー。
ジョ
ン…「やるんだ この寮に入りたけりゃ な」と
言い、銃をアンドリューの目の前に持ち上げるジョン。
新
入生アンドリュー…「やります」と
言うアンドリュー。
頷くアレック。
銃を受け取るアンドリュー。
喜ぶリック。
『殺人学入門』
ジョン…「出来るって
出来るさ
君なら出来るよ」と
言い、アンドリューの眼鏡を外すジョン。
覆
面を被せ扮装させる寮生たち。
ジョ
ン…「さあ 行って来い」と
肩を叩くジョン。
ア
ンドリューの肩を叩き、
寮
生たち…「よし行けよ 頑張れよ オウオウ
オ
しっかり遣れ アッハハハハ〜
台詞を忘れるなよ アッハハハハ〜
足が震えてるぜ アッハハハハ〜」
などと囃し立て燥ぐ寮生たち。
銃
を構えて部屋を出て行くアンドリュー。
Top
〜
やめて!〜
足を忍ばせて階段を上がりマギーの部屋へ行き、ドアを開けるアンドリュー。
ベッ
ドで寝ていたマギーが物音で目が覚め、
マ
ギー…「誰なの?」と
起き上がって言う。
覆
面を被ったアンドリューがマギーに近づく。
マ
ギー…「誰よ
何 何よ」と
言うマギー。
マ
ギーの目の前に立つアンドリュー。
マ
ギー…「誰?
何が欲しいの」と
怯えながら言うマギー。
新
入生アンドリュー…「あんた」
銃を構えて、
「あんたの命だ」と
言うアンドリュー。
顔を引き攣らせて、
マ
ギー…「やめて!」と
言うマギー。
目を閉じ、
“バ〜ン!”
引き金(トリガー)を 引き撃つアンドリュー。
マ
ギー…「ああ!」と
呻き胸を押さえるマギー。
驚いてマギーを見るアンドリュー。
胸を真っ赤にさせてマギーが倒れる。
銃を持ったまま、呆然としているアンドリュー。
ジョ
ン…「どうだい やったかい」と
笑いながら寮生たちとマギーの部屋に入ってくるジョン。
横たわっているマギーを見て、
ア
レック…「大変だ 本当に殺しちまった」と
言うアレック。
覆
面を外すアンドリュー。
ア
ンドリューを見るアレックとジョン。
Top
〜
どうする〜
寮生たちが鎮痛な顔して集まっている。
イ
ライラしながらジョンに、
ア
レック…「まったく それで
この後どうする気だ」と
言うアレック。
ジョ
ン…「うるさい!」と
言うジョン。
ア
レック…「銃には空砲を込めとくはずじゃ
なかったのか」
ジョンの胸倉を掴んで言うアレック。
突
き放すジョン。
ア
レック…「どうしようもないよ 皆刑務所行
きだぜ〜
ヘッヘヘヘヘ」と
言い苦笑いするアレック。
頭を抱えて座っているアンドリューを指差し、
ジョ
ン…「奴が 銃を撃ったんだ」と
言うジョン。
驚いてジョンを見るアンドリュー。
ア
レック…「誰が撃っても同じだ! 俺たちは
皆共犯なん…」と
怒鳴るアレック。
首
を横に振り、
ジョ
ン…「ならない」と
言うジョン。
ア
レック…「何故?」と
言うアレック。
ジョ
ン…「捨てて来る」と
言うジョン。
ア
レック…「ヘッ ハッ」
驚
くアレック。
頷
くジョン。
驚
いてジョンを見るアンドリュー。
Top
〜
冗談〜
車のトランクにマギーを入れる。
マ
ギーの手がはみ出す。
慌
ててトランクの中に押し込むアレック。
ジョ
ンとアレックが車に乗り込むと、パトカーが近づいて来る。
ジョ
ン…「やばいぜ」と
アレックに言うジョン。
顔
を照らす警官に、
ジョ
ン…「やあ 今晩は」と
言うジョン。
警
官…「ここの学生か?」と
言う警官。
ジョ
ン…「ええ」
ア
レック…「そうです」
警
官…「土曜日でもないのに 遅いな〜」と
言う警官。
ジョ
ン…「ずっと勉強してたもんで コーヒー
を飲みに」と
言うジョン。
警
官…「付近の住人から 電話があって
銃声を聞いたそうだ 何か知らないか」と
言う警官。
言
い考えを思いついて、
ジョ
ン…「僕らですよ ハウスマザーをピスト
ルで撃って
死体を捨てに 行くところなんです
エヘ」と
笑いながら、驚いているアレックの方を見るジョン。
ジョ
ンの考えが解かり笑い出すアレック。
声
を上げて笑っている二人を見ている警官たち。
ジョ
ン…「いや どうもすみません
本当は花火の音ですよ 向こうの3Δの連中です
時々やるんですよね」と
真顔になり話すジョン。
警
官…「分かった 冗談にも人を殺したなんて
言うな
笑い事じゃ済まんぞ」と
言う警官。
ジョ
ン…「ハイ 気をつけます」と
言うジョン。
パ
トカーを出す警官。
マ
ギーを乗せたジョンたちも車を出す。
そ
れを寮の窓から見ているアンドリュー。
Top
〜
幽霊〜
人気の無いところで車を止め、トランクを開けるジョン。
マ
ギー…「ああ〜 ああ
ユーモアのセンスが無いとは 言わせないわよ」と
言い起き上がるマギー。
ジョ
ン…「ヘッヘヘ 大丈夫もう言わないよ」と
笑うジョン。
ア
レック…「こんな傑作な入寮儀式は 初めて
だ〜
アッハハハハ」と
笑うアレック。
マ
ギー…「私たちがオハイオ州立大学で こ れを遣った時には
新入生は2年間電気を消して 寝れなかったのよ〜」と
興奮して話すマギー。
ア
レック…「そうだろうね〜 ヘッヘヘヘ」
嬉しそうに笑うアレック。
ジョ
ン…「アッハハハハ」
笑うアレック。
マ
ギー…「あの時は洗濯物の籠に詰められて 息が詰まったわ〜
アッハハ」と
言いながら後部座席に移るマギー。
ジョ
ン…「さすがマギーだ 最高のアイデア」と
言うジョン。
ア
レック…「あんたを見直したよ」と
言い、助手席から身を乗り出して後部座席に座ったマギーを見るアレック。
マ
ギー…「ありがとう
皆に“煩いおばん”だと 思われたくないの〜」
後部座席のマギーの話を身を乗り出して聞いている二人に言うマギー。
ジョンと顔を見合わせ、
ア
レック…「“煩いおばん”」と
言うアレック。
ジョ
ン…「ヘッヘヘヘ」と
笑うジョン。
ア
レック…「ヘッヘヘヘ」と
笑うアレック。
マ
ギー…「う〜ん 分かるでしょう
私の化粧箱は?」と
言うマギー。
ジョ
ン…「ここにある」
化
粧箱を渡し、
「いいね
頼むから 幽霊に攫われないでね」と
言い笑うジョン。
マ
ギー…「何言ってるの この化粧が終わっ たら」と
言い、
「私が幽霊なって 化けて出る」と
声を落すマギー。
ジョ
ン…「ほんとだ」と
言いアレックと一緒に大笑いして燥ぐジョン。
『殺人学入門』
Top
〜
シー〜
ジョンとアレックが寮に戻って来る。
ジョ
ン…「シー シー」と
帰ってきたことをアンドリューに気付かれないようにして、
「どこだ」と
リックに聞く。
リッ
ク…「自分の部屋」と
答え、
「おい もうやめたらどう
すっかり落ち込んでる から これ以上やるといかれちまうかも知れないぜ〜」と
言うリック。
ジョ
ン…「それもいいだろ フフ」と
言い笑うジョン。
Top
〜
弾〜
アンドリューがジョンの部屋に忍び込んで、引き出しから弾を奪い不気味に笑う。
ジョン…「デューク
話がある」と
言いジョンがアレックと一緒にアンドリューの部屋に入って来る。
後退りして怯えているアンドリューを見て、
「どうした 俺の部屋へ来いよ」と
言うジョン。
オドオドしているアンドリュー。
驚いて見ているアレック。
フ
ラフラした足取りで前に出てきたアンドリューの肩を叩き、
ジョ
ン…「そうだ」と
言うジョン。
部
屋を出て行くアンドリュー。
ア
レック…「ああ リックの言うとおりだ や
めた方がいい
あいつおかしくなってるぜ」と
言うアレック。
ジョ
ン…「今になって やめられるかよ
面白いのは これからだ
そうだろ 最後まで遣るんだ」と
言い不安になっているアレックの肩を叩き、頬を叩くジョン。
ア
レック…「よおし」と
言い笑顔を見せるアレック。
笑
いながらアレックの胸を小突き、アレックと一緒に部屋を出て行くジョン。
Top
〜
ゾンビ〜
グラスに酒を注ぎ、
ジョ
ン…「こいつを一気にやれ 元気が出る ぞ」と
アンドリューに勧めるジョン。
グラスを受け取ったアンドリューの手が震える。
ア
ンドリューの手を掴み耳元で、
ジョ
ン…「ほら 心配するなって 俺たちが旨
くやってやるさ」と
言うジョン。
入口のドアが開く。
怯えた表情のアンドリューに、
ジョ
ン…「デューク おい
大丈夫だ 心配いらん
森の中に埋めてきたから 絶対に見付からないって」と
言うジョン。
バッ
クス…「ウウウッ」と
怯えた声を上げる寮生バックス。
一
斉にドアの方を見る寮生たち。
バッ
クス…「何だ あれ」と
言うバックス。
リッ
ク…「入口に 誰か来たみたいだ」と
言うリック。
ジョ
ン…「見てこよう デュークはここにいろ
任しとけ」と
言い、アンドリューを残し皆と部屋を出て行くジョン。
階段を降りて行く寮生たち。
ゾ
ンビのようなメイクをしているマギーとぶつかりそうになったジョンが、
ジョ
ン…「ウォ! オオ」と
驚く。
「マギー いいじゃない 凄い迫力」
『殺人学入門』マリオン・ロスら
「デュークの奴め ぶったまげて腰を抜かすぜ〜
俺の部屋にいる 今にも泣き出しそうだ」と
斬新なメイクに興奮するジョン。
マ
ギー…「ほんと〜 行くわよ〜」
ゾンビ役になったような声で言うマギー。
笑っ
て見送るジョン。
階
段を上がって行くマギー。
マ
ギーを見ながら、
ジョ
ン…「あいつが本当に震え上がるのは こ
れからだ」と
言うジョン。
Top
〜
ウインク〜
マギーがジョンの部屋にいるアンドリューの傍に行く。
振
り向くアンドリュー。
マ
ギー…「アンドリュー〜 あなたそこにい たの〜」
ゾ
ンビのような声でアンドリューに言うマギー。
新
入生アンドリュー…「やあ ママ」と
小さい声で言うアンドリュー。
アンドリューにウインクするマギー。
怖くて震え上がるアンドリューを見ようと、階段の下で待機している寮生たち。
ジョ
ン…「何してるんだ 悲鳴が聞こえない ぞ」と
言うジョン。
Top
〜
バ〜ン!〜
マギー…「始めましょう 上手に遣るのよ」と
アンドリューに小さい声で言うマギー。
新
入生アンドリュー…「私の入寮儀式は 決し
て忘れないだろ」と
銃を掲げて小さい声で言うアンドリュー。
銃をマギーに向ける。
マ
ギー…「あああ〜〜〜!」
悲鳴をあげるマギー。
驚く階段の下の寮生たち。
ア
レック…「あいつじゃないぞ マギーの声
だ!
行って見よう」と
言うアレック。
寮
生たち…「どうしたんだよ
どうしたんだ 一体」と
言いながら慌てて階段を上がってゆく寮生たち。
窓際に怯えて立っているマギーに近寄って、
ジョ
ン…「マギー どうした」と
言うジョン。
後
から部屋に入ろうとした寮生たちに銃を向けて、
新
入生アンドリュー…「出てろ!」と
言うアンドリュー。
寮
生たち…「おお 落ち着くんだ」と
言いながら慌てて後退りする寮生たち。
ア
ンドリューに向かって手を差し出し、
ア
レック…「銃をよこせ」と
笑いながら言うアレック。
“バ〜ン!”
アレックの直ぐ横の卓上スタンドを撃つアンドリュー。
ア
レック…「あっ」
壊れた卓上スタンドを見て驚くアレック。
マ
ギーに銃を向けるアンドリュー。
怯
えるマギー。
そ
の間に机の引き出しを開けて、弾を確認するジョン。
ジョ
ンに向かって、
新
入生アンドリュー…「何を企んでるか 皆知ってるんだ
空砲を込めた銃 ケチャップ」と
言うアンドリュー。
ジョ
ン…「デューク 怒るな
“ジョーク”だよ」と
言うジョン。
新
入生アンドリュー…「気安く呼ぶんじゃな
い!」と
怒鳴るアンドリュー。
ジョ
ン…「あっ」
驚くジョン。
銃をジョンに向け、
新
入生アンドリュー…「どうだ さぞ面白かったろ
“あんな奴 どんなにショック受けようと
知ったことじゃない”」と
興奮して言うアンドリュー。
首
を横に振るアレック。
怯えてアンドリューを見ているジョン。
新
入生アンドリュー…「“笑い者にしてやれ”
女を殺したと 僕に思わせた!」と
興奮して言うアンドリュー。
『殺人学入門』
マギー…「謝るわよ 私たちが…」と
言うマギー。
“バ〜ン!”
マギーの傍の卓上スタンドを撃つアンドリュー。
マ
ギー…「あ〜あ」
壊れた卓上スタンドを見て怯えるマギー。
マギーに銃を向け、
新
入生アンドリュー…「何が謝るだ! 此奴らを信じ た僕が悪いけど
あんたは味方だと思っ てた!」と
言うアンドリュー。
マ
ギー…「ほんとにそのつもりでいたのよ アンドリューだから私は…」と
言うマギー。
マギーに向かって引き金(ト
リガー)を引くアンドリュー。
“バ〜ン!”
胸を押さえるマギー。
ア
レック…「ああっ!」
驚いて声を上げるアレック。
新
入生アンドリュー…「嘘つき」と
憎しみを込めたように言うアンドリュー。
滴り落ち、赤く染まった胸のあたりを押さえてマギーが倒れる。
『殺人学入門』マリオン・ロス
ジョン…「あ〜ぁ」
驚いてマギーを見ているジョン。
ア
レック…「デューク 頼むよ
やめてくれ〜!」と
必死に頼むアレック。
ア
レックからジョンに視線を向けるアンドリュー。
ジョ
ン…「なっ ただの“ジョーク”だよ
何も悪気が…」
怖がって言うジョン。
怒ってテーブルの上のビールが入ったグラスを撃つアンドリュー。
“バ〜ン!”
割れたグラスと飛び散ったビールを見て怯えるジョン。
新
入生アンドリュー…「ジョーク!
“ジョーク” あんたはそう呼ぶのか」と
ジョンに銃を向けて言うアンドリュー。
「じゃあ 笑え」
“バ〜ン!”
ジョンの直ぐ傍のアヒルの置物を撃つアンドリュー。
棚から落ちる置物を見て震え上がるジョン。
新
入生アンドリュー…「笑え」
怯えているジョンを見て笑いながら、銃を突きつけ促すアンドリュー。
首を横に振り後退りするジョン。
新
入生アンドリュー…「ようし 今度は」と
言い、ハンマー(撃鉄)を指で引き起こ
すアンドリュー。
怯えるジョン。
新
入生アンドリュー…「額の真ん中だ」
ジョンにマズル(銃口)を向け構えるアンドリュー。
『殺人学入門』
追い詰められたジョンが向きを変え窓を突き破り外へ飛び出す。
ジョ
ン…「あああ〜! あああ〜! あああ〜!」と
悲鳴を上げながら上階から地面に落ちてゆくジョン。
“ドスン!”
鈍い音が聞こえる。
新
入生アンドリュー…「馬鹿な」と
窓の外を見て言うアンドリュー。
目を開けるマギー。
新
入生アンドリュー…「何てことを!」と
言うアンドリュー。
驚いて起き上がるマギー。
起き上がったマギーを見て驚くアレック。
マ
ギー…「あ〜あ」
恐れながらアンドリューと一緒に窓の方へ行くマギー。
ジョンが地面に横たわっている。
『殺人学入門』
動かないジョンを見ながら、
マ
ギー…「ジョークだったのよ ただの ジョークだったのに」と
言うマギー。
窓から顔を引き攣らせてジョンを見ている親子の背後で、救急車のサイレンが鳴って
いる。
『殺人学入門』マリオン・ロスら
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何と、手の凝んだジョークなのだろう。
寮母のマギーが「私たちがオハイオ州立大学で これを遣った時には 新入生は2
年間電気を消して 寝れなかったのよ〜」と話していたのは、このトリックだった。
新入生アンドリューを罠に掛けようとしていた寮生ジョンたちが、実はマギーの罠に掛けられていた。
アンドリューはマギーの息子でジョンたちの企みを知っていた訳だ。
寮生たちに騙されている振りをして、マギーと一緒に大芝居をして騙した。
だが、度が過ぎて被害者を出してしまった。
“ジョークも度が過ぎると危険だ”と忠告していたマギーが加害者で、忠告されていたジョンが被害者になると
は、何という皮肉なのだろう。
度が過ぎることは誰にも起こり得ると言うことなのだろうか。
怖いものだ。
マギーにしてみれば、何時も騙しては“ジョークだ”と面白がっていたジョンが、あそこまで追い詰められるとは思いも拠らな
かったのだろうが、ジョークも、ここまで来ると笑えない。
リックが「おい もうやめたらどう すっかり落ち込んでるから これ以上
やるといかれちまうかも知れないぜ〜」と言うのを無視して、「それもいいだろ フフ」と突っ走って笑っていたジョンに、「笑い事じゃ済まんぞ」と忠告した警官の言葉が届いていたらと思うが…
※ギリシャ語 BXΩ(ベー
タカイオメガ) 3Δ(トライデルタ)
更新2007.11.15
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ヒッチコックがデザインしたという似顔絵
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参考文献
ヒッ
チコック劇場
新・
ヒッチコック劇場
ア
ルフレッド・ヒッチコック
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映画あり
き
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