《シネマトーク》
『ア ンナ・カレニナ』神秘的なガ ルボと情熱的なヴィ ヴィアン
-Anna Karenina Garbo and Vivien-
 この作品は、草鹿宏著によりますと、「ヴィヴィアンの主演映画の中で例 外的な失敗作といわれていて、ヴィヴィアン自身もそれを認めていた」と記されているんですよ。

 ヴィ ヴィアンは病気中のブランクを取り戻そうと、焦っていて、事前にガルボのアンナ を見た時から、異常な興奮をあらわにしていたそうです。

 ガルボ は、1927年1935年『アンナ・ カレニナ』に出演してい ますね。貴方も、ご存知の通り1935年『アンナ・カレニナ』は、特に評価 が高いですよね。私も、ガルボの作品の方がよく纏まってい て、神秘的なガ ルボの魅力がでていたと思います。

 ただ1948 年の、ヴィ ヴィアンのは、生々しいですね。情熱的で悲劇性がより増していました。 その意味でいうとアンナに近かったのは、ヴィヴィアンの演技だと思いますね。
  ヴィヴィアンは、こう語っていますよ。
「私生活の うえで、自分が年を取るという現実に寂しさを感じない女性はないでしょう。老いに近づくことは、女 にとって恐怖に違いありません。しかし私は女優なので す。職業上では、いつも自分の年齢相応の役ばかり演じるわけにはいかず、ときには自分の若さや美し さを破壊すべき役にも挑まなくてはなりません。もし女優 としての容姿が演技力より勝っているという評価を受けたら、私は屈辱を感じるでしょう。未知のもの への挑戦こそ、俳優の喜びなのです。ローレンスは私に “ガルボを忘れろ”と教えましたが、私は彼女を意識の外に置くことができませんでした。夫に絶望 し、家庭生活に破れ、新しく生きる望みをかけたウロンス キーとの恋に身を滅ぼしてゆくアンナの悲劇を、私は最後まで見届けたかったのです。彼女は私にとっ て、最も魅力的な女のひとりでした。それは作品の評価と全く別のことなのです」


『アン ナ・カレニナ』(1935米)グレタ・ガルボ


『アン ナ・カレニナ』(1948英)ヴィヴィアン・リー

更新2005.5.9

『アンナ・カレニナ』はドストイェフス キーが「この作品の中には世界の最大秘密が、悪の秘密が、恐ろしい深さや 力、今日までのわが国になかった程の芸術的完成の現実主義と共に表現されている」と言っていますように、奥の深い作品なのでしょう。
何度も映画化されています。
最初の映画化は1910年にロシ アにおいてで、その後、もう一度、それからアメリカで1915年・1927年(グ レタ・ガルボ主演)・1935年(グレタ・ガルボ主演)
の三度、


『アン ナ・カレニナ』(1935米)グレタ・ガルボ

イタリアで1917年、ドイツ で1919年、ハンガリーで1920年、イギリスで1948年(ヴィヴィア ン・リー主演)


『アン ナ・カレニナ』(1948英)ヴィヴィアン・リー

アルゼンチンで1956年、そ れぞれ一度、という映画歴になっています。(1966年飯島正著 参考)
その後もソ連で1968年にタチ アナ・サモイロワ主演や、


『アン ナ・カレニナ』(1968ソ連)タチアナ・サモイロワ

1998年にソフィー・マル ソー主演が映画化されています。

 私はグ レタ・ガルボの2作品と、ヴィ ヴィアン・リー、それに、タチアナ・サモイロワとソフィー・マルソーのアンナを観ています。
 国や監督で解釈が違うと 感じました。(他の作品でもいえることですが)
 それにアンナを演じる女 優の役の捕らえ方の違いも面白いと思います。
 他の作品も観たいもので す。

※1877年にレフ・トルスト イが発表した「アンナ・カレーニナ」の映画化作品は、その後も作られ続けました。
興味深い女優のキーラ・ナイトレイ(2012英/米)も楽しめました。

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参 考文献
ヴィ ヴィアン・リー
ヴィ ヴィアン・リーバイオグラフィー
『風 と共に去りぬ』
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』公開前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』コスチューム
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』出版前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』ミュージック
『哀 愁』
『美 女ありき』
『欲 望という名の電車』
シ ネマトーク『愚か者の船』 〜公開前後のヴィヴィアン〜
グ レタ・ガルボ
洋 画
シ ネマトーク

映画ありき
映 画ありき2
〜クラシック映画に魅せら れて〜
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