悲しみよこんにちは
  

※ストーリーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

  〜〜避暑地〜〜〜〜アンヌ〜〜大人〜〜タイ ミング〜〜おかげ〜〜17 才〜〜地獄の入り口無感情〜〜計画〜〜苛立ち〜〜見せつけ〜〜散歩
衝撃〜〜侘び る〜〜反省〜〜猛スピード
事故、それとも…〜〜無感情〜〜ひ とり 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わり に] web拍手 by FC2
(195)(米.コロムビア)-Bonjour Tristesse-
監督…オットー・プレミンジャー
製作…オットー・プレミンジャー
原作…フランソワーズ・サガン
脚色…アーサー・ローレンツ
撮影…ジョルジュ・ペリナール
音楽…ジョルジュ・オーリック
主題歌♪ボンジュール・トリステス(Bonjour Tristesse)(歌:ジュリエット・グレコ)
スクリプター…菅井汲
タイトル・デザイン…ソウル・バス
出演…デ ボラ・カー(デザイナー/アンヌ・ラルサン)
………デイヴィッド・ニーヴン(レイモン)
………ジーン・セバーグ(セシール)
………ミレーヌ・ドモンジョ(レイモンの愛人/エルザ)
………ジェフリー・ホーン(若い法科の学生/フィリップ)

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 18才の新人作家フランソワーズ・サガン が南仏の避暑地を舞台に純粋さと残忍さを併せ持つ少女の心理を描いて、センセーションを巻き起こした小説の 映画化。
 17才のブルジョワ嬢セシールを演じたジーン・セバーグ(当時19才)のボーイッシュな魅力 は世界中を魅了し“セシール・カット”が大流行し た。(このショート・ヘアは同監督の前作『聖女ジャンヌ・ダーク』(1957) (主演デビュー作)で丸坊主にした髪が伸びきっていない状 態での出演だったらしい)

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〜壁〜

モノクロ による景色が映し出される。
父 レイモン(デイヴィッド・ニーヴン)と共にパーティに出席 しているセシール。

ダンスを する今回の相手のジャックが、
ジャッ ク…「あす競馬にで も」と 誘う。
セ シール「すてき 喜んで」と 答えたセシールの胸の内は…
“競馬のあとは 食事に誘うだろう
木曜日はテニスに 日曜日はドライブに
時間の浪費よ ジャック
私の気持は動かないわ
ジュ リエット・グレコが歌う♪ボンジュール・トリステスが流れる。
 セシールの心情を表している。
♪“私の心はメランコリー
私の友は いわれない悩み
朝ごと目覚めて 私はつぶやく
「悲しみよ こんにちは」
セ シール“この優しいジャックに
どうしたら 理解させられるだろう
私が楽しみや喜びに 無感 動だと
それは壁のせいだと
つらい思い出の壁が 私の 心を閉ざしていると 心の中で呟くセシール。
♪“私が住むのは 悲しみの町
私の家に 住所はない
自分あての手紙の 書き出しは
「悲しみよ こんにちは」

恋人の言葉は 胸に痛く
思い出を より苦くする
ひとときの恋に 痛みなどない
次の戯れの恋が 取って代わるだけ
この痛みは 自分を失った痛み

見せかけだけの 私のほほえみ
愛のない 私の口づけ
私は忠実だ 自分の恋 人に
悲しみという名の 苦 く甘 い恋人に
今 回の相手デニーズとダンスをしていたレイモンがセシールを見て、
レ イモン…「私と踊ろう」
と 言う。
ジャッ ク…「途中だ」と 言うジャックからセシールを引き寄せるレイモン。
セ シールに、
レ イモン…「彼はどう?」と 言うレイモン。
セ シール「いい人 デニーズは?」と 言うセシール。
レ イモン…「いける 楽しもうな」と 言うレイモン。
セ シール「そのつもり」と 答えるセシール。
笑 い合う父娘。
レ イモン…「気が合う親子で幸せだ」と 言うレイモン。
セ シール「ほんと ツイてるわ」と 言うセシール。
“父も前と同じ父ではない
あの曇りなない幸せは 戻らないのか
1年前の夏のリビエラで
私が味わったあの幸せは”と 心の中で呟くセシール。


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグら

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〜避暑地〜

モノクロ から徐々にカラーになって行き、回想シーンが現れる。
セ シール“占いに凝っていた 私のラッキー ナンバーは
7と3で
7は私の年齢の17から
3は家の住人 陽気な3人組からの数字だ”

鮮明なカ ラーになる。
色 彩を持っていた1年前のセシールに。
リ ビエラの別荘で妻に先立たれた父レイモンと父の愛人エルザ(ミレーヌ・ドモンジョ)3人で 気楽な生活を送っていたセシール。

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〜客〜

そこへ、 パーティでレイモンが駄目もとで誘った亡き母の友人でデザイナーのアンヌ(デ ボラ・カー)がやって来るという手紙に気付き慌て るレイモン。
レ イモン…「聞いて お客が来る」
エ ルザ…「知ってる人?」

レ イモン…「アンヌだ」
着 ている服に目をやり、
エ ルザ…「彼女のデザインよ」と 言うエルザ。
セ シール「いつなの」
レ イモン…「来週だ」
エ ルザ…「彼女は結婚してるの?」と 言うエルザ。
レ イモン…「離婚した」
エ ルザ…「いくつ」と 言うエルザ。
笑 いながら、
レ イモン…「君より上」と 答えるレイモン。
セ シール「母の親友だったの」と 言うセシール。
エ ルザ…「それなら きっと美人ね」と 言うエルザ。
笑 いながら、
レ イモン…「君の論理はわからん」と 言い、エルザを抱き寄せキスをするレイモン。
真っ 赤に日焼けした肌で、
エ ルザ…「背中に触らないで 痛いから脱ぐわ」と 言い、レイモンの肩に両手を置き、甘えた視線を送りキスをして部屋へ向かうエルザ。
セ シールに、
レ イモン…「コオロギのパーティーだ」と 言うレイモン。
セ シール「レイモン」
呆 れた視線をレイモンに向けるセシール。
レ イモン…「お説教はするな」と 言い、セシールの肩に手を回すレイモン。
セ シール「聞かせて」と 言うセシール。
レ イモン…「NO」
セ シール「なぜアンヌを呼んだの」と 言い、肩に回していたレイモンの手を下ろすセシール。
レ イモン…「嫌いか」と 言うレイモン。
セ シール「好きよ でもずっと疎遠じゃない の」と 言うセシール。
レ イモン…「僕はよく会う」と 言い、目を逸らすレイモン。
全 て見通して、
セ シール「たまにパーティーで」と 言うセシール。
レ イモン…「この前 打ち解けた話をした」と 言うレイモン。
セ シール「OH」と 笑うセシール。
レ イモン…「何だい」と 言うレイモン。
笑 いながら、
セ シール「打ち解けついでに ご招待?」と 言うセシール。
レ イモン…「招待したの忘れてた」と 首を掻くレイモン。
笑 いながら、
セ シール「だけど なんで誘う気に?」と 言うセシール。
レ イモン…「とても魅力的だった いつも冷淡で 高慢な彼女が」と 話すレイモン。
セ シール「私たちと休暇を過ごすの よく承 知したわ」と 言うセシール。
レ イモン…「僕は女にもてる」と 得意げに言うレイモン。
セ シール「アンヌ以外の」と 言うセシール。
レ イモン…「でも来るんだ」と 指差し、
「君を武器として 使わせてもらった」と 言うレイモン。
セ シール「言ったのね
“娘はもう子供じゃない”」
笑うレイモン。
続 けるセシール。
セ シール「“僕に母親の代わりは できない
あなたの助言が必要だ”」
噴 出し、
レ イモン…「負けるな 今度ご指導を」と 笑い、抱き寄せるレイモン。
笑 うセシール。
セ シール「エルザのこと話した?」と 聞くセシール。
レ イモン…「エルザ」
困っ た表情を浮かべるレイモン。
セ シール「のんきね」と 呆れるセシール。
レ イモン…「エルザは予定外だった
アンヌは はっきりしないし…」と 話、想定外のことに困惑しているレイモン。
2 階の部屋から、
エ ルザ…「アンヌの部屋は?」と 聞くエルザ。
レ イモン…「僕の部屋を」と2階 を見上げながら答えるレイモン。
笑 うエルザ。
苦 笑いしながら、
レ イモン…「更衣室で寝るよ」と セシールに向かって言うレイモン。
セ シール「私が移る」と 言うセシール。
レ イモン…「女性3人はここに」と 言うレイモン。
セ シール「体面を気にするなんて」と 言うセシール。
レ イモン…「自分でも驚きだ」と 笑いながら答えるレイモン。
セ シール「でも事態は困難よ」と 笑いながら言うセシール。
レ イモン…「彼女は月曜に着く
僕を見捨てるか 助けるか」と 聞くレイモン。
笑 い、
セ シール「助けるわ」と 答えるセシール。
レ イモン…「よかった」と キスするレイモン。
首 を横に振り、
セ シール「あきれるわ」と 笑うセシール。
レ イモン…「いい娘を持って幸せだ」と セシールを抱き上げ、クルクル回してやるレイモン。
嬉 しそうに抱き付いているセシール。
下 ろしても離れないセシールに、
レ イモン…「どうしたんだ」と 言うレイモン。
セ シール「今が続けばいい」と 言い、レイモンに強く抱き付くセシール。


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグ

アンヌの ことは好きだが、今の生活が続くことを望んでいるセシールに不安が過ぎる。
 アンヌが来ることでラッキーナンバーの「3」でなくなることに不安を抱いて いる。
セ シール予感があった この幸せが いつか終わると
その日は火曜で 次の月曜まで6日あった
7日ならよかったのに
アンヌが来た日は暑く
父は駅に迎えに行った”

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〜アンヌ〜

アンヌが 打った電報を見らずに駅に迎えに行ったレイモンと行違いになったアンヌが車で ひとりで来る。
アンヌに戸惑いながら挨拶す るセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

セシール の様子を見て、状況を推測して見せるアンヌ。
出 迎える準備が出来ていないのではと。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

レイモンからセシールのことを頼まれていたアンヌは久しぶりに会ったセシールの状 況を知ろうとする。
 だが、セシールはこ れが気に入らなかった。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

エルザがいることをセシールから聞いたアンヌはショックを受け、取り乱す。
そ して、直ぐに帰るという。
ア ンヌの態度に驚きながら部屋を出るセシール。
 想像していた以上の反応に驚くセシール。

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〜大人〜

駅で待ち 疲れたレイモンがアンヌに渡そうと持って行った花束を片手にエルザと帰って来 る。
レ イモンにアンヌの状態を伝えるセシール。
懼 れていた事態に慌てるレイモン。

だ が、アンヌは何もなかったようににこやかにして現れ、レイモンたちと挨拶を交わす。
驚 くセシール。
 堅 実なアンヌはエルザがいることにショックを受けるが、大人の対応をして避暑地で過ごすことにしたの だ。


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ミレーヌ・ドモンジョ、ジーン・セバーグ、デボラ・カー

カラーか らモノクロに戻る。
セ シール“アンヌはとどまり 皆がそれを喜 んだ
メイドたちまで
彼女は姉妹(メイドの)を上手に使い 私たちを手なずけた”

“アンヌは私たちの生活の 中心的存在になっていた
私たちは ともに楽し んだ
すべてが順調で お互 いの関係も良好だった”


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

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〜タイミング〜

再び、カ ラーに。
優雅なアンヌに惹かれる父。
セシールはレイモンが言い寄ってもアンヌが本気になるはずないと思っていた。
そんなセシールに、
エ ルザ…「男と女の間って  タイミングの問題な の」と 言うエルザ。

それが、的中する。
レイモンのプロポーズをアン ヌが受け入れたのだ。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー、デ イヴィッド・ニーヴン

レイモン がアンヌをホテルに連れて行こうとするのを見ているセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

セシール腹を立てながら
私は興奮で どきどき した
父はブロンド娘の柔肌 を 太陽に焼かせ
彼女が赤むけになると  あっさり捨てた
身勝手を責めながらも  私は思った
アンヌをものにした父 を  さすがだと
問題は 彼の熱が冷め やすいこと
いつもそうだった


『悲し みよこんにちは』ミレーヌ・ドモン ジョ、ジーン・セバーグ、、ジェフリー・ホーンら

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〜おかげ〜

気楽な生 活が乱れだす。
二人から結婚すると聞かされ る。
 予測していたことと はいえショックを受けるセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

レイモ ン…「アンヌのお かげで 皆が幸せだ」と レイモンは言い、アンヌとセシールにシャンパンを注ぎ乾杯する。
 父を奪われた思いを持つセシール。

セシール“「アンヌのおかげ」を 私は信じ ようとした”


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー、デイヴィッド・ニーヴン

“事実 私たちの生活に
彼女がもたらしたー
微妙な変化は 私を幸せにもした”

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〜17才〜

仲良く やっていたエルザが去り、父を奪われた嫉妬と女の幸せを独り占めにしているよう なアンヌを羨ましくもあり妬ましくもあった。
そ のことをフィリップに話すセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、、ジェフリー・ホーン

話してい るうちに感情が高まりフィリップに抱きつき身を任せようとするセシール。
そ れを見たアンヌがセシールに衝動的な行動を取らないようにと注意する。
そ して、大事な時期だからフィリップにも会わないようにして勉強するように言う。
母 親気取りのアンヌに苛立つセシール。

アンヌに 注意され、また、アンヌの肩を持つレイモンにも腹を立て苛立つセシール。
 先ほどのことをアン ヌがレイモンに言いつけたと思っているから怒りが倍増し ている。
部 屋に戻ったセシールは、机の上の本を払い落とし、ベッドサイドのレイモンとアンヌの写真を引き出しの中に放 り込む。
そ して、人形を手に取り、

セ シール「お高くて干渉ばかり
しかも物知りぶって 大嫌い」と 言い、傍にあった針を人形に刺し、手荒く揺すり床に投げ捨てる。
怒 りが治まらないセシールは、
「パパを変え 私を変えるわ
家中を変える
あんな女は大嫌い 大嫌い」と 続ける。
だ が、自分が悪いことは解っていた。
鏡 に映し出された自分に向かって、
「違う パパがあんたを
愛さなくなったのは
あんたが悪い子だから
高慢で怠け者だし
意地悪だもの」と 言い、舌を出すセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

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〜地獄の入り口〜

カラーか らモノクロに戻る。
セ シール“アンヌによって 自分の醜さを知 らされ
私は彼女への反抗心を 募らせた”
セ シールのことでジャックと小競り合いをしていた男が、
男…「彼に君は向かない」と 言う。
セ シール「だれなら」と 言うセシール。
男…「彼じゃない」と 言う。
セ シール「あなたの住所は?」と 言うセシール。
男…「僕の? 知ってるの に」と 言う男。
セ シール「私が父と住むのは 地獄の入り 口」と 言うセシール。

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〜無感情〜

父の所に 来たセシールに、
レ イモン…「来ないのかと 思った」と 言うレイモン。
セ シール「どうして」
レ イモン…「様子が変だっ た」
セ シール「私は変な子よ」と 言い、笑うセシール。
レ イモン…「僕の恋人だ」と 言い、抱き寄せるレイモン。
セ シール「そうよ 恋人よ」と 言うセシール。
レ イモン…「楽しいかい」と 言うレイモン。
セ シール「ええ とても」と 言い、視線を逸らすセシール。
表 情を曇らすレイモン。
セ シール父は楽しみたいのだ かつ ての日々のように
アンヌは まじめすぎた
だから私は 彼女の追い出しを謀った”

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〜計画〜

モノクロ からカラーになる。
“私は慎重に真剣に 計画を進めた
小悪魔は 勉強するふりをして
父をめぐる 2人の女を比 較した
アンヌと私だ
魅力と欠点を書き並べた
公平な採点では 私の方が不利だった
許せない
アンヌは追放だ
問題は 追い出す方法だったが
救いの神が現れた”
エ ルザだ。
レイモンの争奪戦のライバルであるアンヌに対して、セシールはレイモンの愛人だっ たエルザとフィリップを使って追い出す方法を思い付く。
 何時もレイモンの中で自分のことが1番であったのが、今回はアンヌを本気で 愛していることに焦りがあった。
協 力を渋っているフィリップにアンヌが自分たちの関係の壁になっていると言い、追い出して障害を取り除こうと 説く。
レ イモンの行く先々でエルザとフィリップが抱き合っているのを見せつけ、焼け棒杭に火をつけようというのだ。
レ イモンがエルザと縒りを戻したところをアンヌに見せ付ければ、アンヌは去って行くだろうという小悪魔的な考 えに気持ちが高ぶってくるセシール。

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〜苛立ち〜

計画を思 い浮かべ楽しんでいるセシール。
そ こへ、アンヌが入って来る。
邪 魔され苛立つセシール。

そ のセシールに勉強をしていないことを指摘し、嘘をついていたことを注意するアンヌ。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

黙ってい るセシールに、
ア ンヌ…「あなたが  わからないわ」と 言い部屋を出て行くアンヌ。
怒 りが込み上げ、
セ シール「わかりっこない」と 吐き捨てるように言い、服を着替え外に飛び出すセシール。

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〜見せつけ〜

フィリッ プの元へ行き抱かれるセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、ジェフリー・ホーン

初体験し てきたセシールはアンヌに私は大人になったと見せつけようと、アンヌの前に置 いてある煙草を口に持ってゆき吸おうとする。
が、 煙草の向きが逆になっていた。
セ シールの子供じみた行動を見てアンヌは、煙草の向きを変えてやり火を点けてやる。

大 人の対応をしたわけだ。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー、 ジーン・セバーグ

そのこと も反抗的になっているセシールには面白くない。
 17才という年齢特有の精神状態をジーン・セバーグが熱演、いや、率直に伝 えてくれた。

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〜散歩〜

セシール の策略に嵌ったレイモンがランチ後エルザと落ち合う海辺に向かう。
セ シール“あきれたパパ でも私は彼が好き だ”


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグ

浮かれて いるレイモン。
セ シール“私は怖くなってきた
アンヌにすべてを話そ う”


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

アンヌの 部屋の方へ忍び寄り、覗くセシール。
デ ザインのスケッチをしているアンヌ。
セ シール“いま話さなくては

でもどうやって
何て
彼女は許さないだろうし
一生 弱みを握られる
ス ケッチをやめ立ち上がり外に出るアンヌ。
隠 れてアンヌの姿を追うセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

セシール“彼女はどこへ アンリのヨットだ ろうか
だめ 止めなくては”
ア ンヌの跡をつけるセシール。
海 辺の更衣室へ向かうアンヌ。

セ シール“止めるのはよそう
どうするか見よう”
更 衣室でシューズに履き替え、帽子を手に取り海辺の散歩をするアンヌ。
木 陰に隠れて見ているセシール。
海 辺の心地よい空気を味わいながら散歩をするアンヌ。
隠 れながら跡をつけるセシール。
散 歩を続けるアンヌ。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デボラ・カー

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〜衝撃〜

エルザの笑い声が聞こえる。
驚いて足を止めるアンヌ。
エ ルザ…「レイモン やめて」と 笑いながら言うエルザの声。

表情が凍りつくアンヌ。
レイモンの声も聞こえる。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー

エルザ…「無理よ 前の 関係を
取り戻そうなんて」と 笑いながら言うエルザの声。
木陰に隠れているセシールに も聞こえる。
 動 揺するセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

レイモ ン…「滑らかな肌 だ」と 言うレイモンの声。
エ ルザの笑い声。

凍 り付いて聞いているアンヌ。
エ ルザ…「上手に日焼けしたでしょ」と 言うエルザの声。
衝 撃に肩で息をしているアンヌ。
レ イモン…「きれいだ」と 言うレイモンの声。
エ ルザ…「アンヌより?」と 言うエルザの声。
レ イモン…「ずっと 若い女の肌がいちばんだ」と 言うレイモンの声。
レ イモンに愛されていると信じていたのに、そこで耳に入る会話は…
辛 く、悲しくなり目を閉じるアンヌ。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー

エルザの 笑い声。
エ ルザ…「2週間前はどうだった」と 嬉しそうに言うエルザの声。

隠 れて聞いているセシール。
レ イモン…「彼女に好奇心を持っただけ」と 言うレイモンの声。
隠 れて聞いていたセシールは怖くなる。
エ ルザ…「つまりは欲望よ」と 言うエルザの声。
目 を閉じて堪えているアンヌ。
レ イモンの笑い声。
エ ルザ…「なぜ結婚する気に」と 言うエルザの声。
レ イモン…「ものにするには 結婚がエサだよ」と 言うレイモンの声。
エ ルザの笑い声。
エ ルザ…「レイモン」
嬉 しそうに笑い続けるエルザの声。
残 酷な会話に堪えられなくなり、肩を震わせ涙を流すアンヌ。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー

泣いてる アンヌを隠れながら驚いて見ているセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

泣きなが ら走り出すアンヌ。
跡 を追うセシール。

Top

〜侘びる〜

セシール「アンヌ」と 声を掛けるセシール。
車 に向かうアンヌ。

セ シール「アンヌ」と 声を掛け追うセシール。
運転席に座ってエンジンを掛けているアンヌに、
セ シール「私が悪かったの」と 謝るセシール。
ドアの窓に手を掛けているセシールの手をどけ、
ア ンヌ…「止めないで」と 言うアンヌ。
アンヌの手を両手で握り締め、
セ シール「捨てないで」と 嘆願するセシール。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー、 ジーン・セバーグ

涙を一杯浮かべて、
ア ンヌ…「私など必要ないのよ」と言い、首を横に振るアンヌ。
セ シール「必要よ

待って
許して」と アンヌの手を掴み必死に止めるセシール。


『悲し みよこんにちは』デボラ・カー、 ジーン・セバーグ

セシールの手を外そうとしながら、
ア ンヌ…「行かせて」と 涙が一杯の瞳で言い、車を発車させるアンヌ。
振 り払われたセシールが立ち去る車を見ている。

Top

〜反省〜

手紙を書 いているレイモン。
上 手く書けないで捨てる。
 何度も書いては捨て ていたのだろう。
 顔を顰め弱ってい る。
セ シールが部屋に入ってくる。

レ イモン…「彼女に手紙を」と 言うレイモン。
セ シール「パリに?」と 言うセシール。
レ イモン…「たぶん帰ってる 何て書こう」と 顔を顰め、
「“彼女といたところを 君が見つけたのは不運だ”」と 言うレイモン。
笑 うセシール。
レ イモン…「“エルザとは ただの遊びだ”」と 言うレイモン。
セ シール「それじゃだめ」と 言うセシール。
レ イモン…「“男は女に対して愚かだ
バカな男は特に”と 顰め顔で言い、
「エルザでなくても いつか起こったろう
僕は愚か者だよ」と セシールと向かって話すレイモン。
弱り切っているレイモンに、
セ シール「やめて」と 言い、手を差し出すセシール。
レ イモン…「自覚はある」と 言うレイモン。
セ シール「きっと戻ってくれる 2人でよく 謝るのよ」と 言うセシール。
 ラッ キーナンバーではない。
レ イモン…「君もか」と 言うレイモン。
 セ シールが企てたことだと知らないから。
セ シール「そうよ 私もよ
反抗したもの」と 言い、視線を逸らし、
「愚かな頭も2つなら いい文句が浮かぶ」と 椅子に腰掛、ペンを持つセシール。
 レイモンには愚かなことをしたことは言えない。
セ シールの頭に手を回し便箋に目をやるレイモン。
“リ〜〜”
そ のとき、電話が鳴る。
受 話器の方に目をやるレイモンとセシール。
“リ〜〜”
レ イモン…「もしかすると…」と 言うレイモン。
 も しかすると…彼女からと思い受話器を取るレイモン。
レ イモン…「YES」と 答えたレイモンの顔が曇る。
不 安な面持ちでレイモンを見ているセシール。
凍りついた表情になるレイモン。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デイヴィッド・ニーヴン

レイモ ン…「どこで」と 声を荒げるレイモン。
心 配して見ているセシールに目をやるレイモンの耳は受話器の先の声に集中している。
受話器を手荒く戻したレイモンが、慌ててドアの方に向かう。
ただ事ではないことを直感しレイモンを追うセシール。
急 いで車のエンジンを掛けるレイモン。
助 手席に乗るセシール。

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〜猛スピード〜

猛スピードで車を走らせるレイモン。
硬 い表情の2人。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デイヴィッド・ニーヴン

“キ キィ〜 キキィ〜”
カー ブでのブレーキ音が響く。
“キキィ〜”
“キキィ〜”
大 きなカーブの先に人集りが出来ている。

そ こに近づくレイモンの車を警官が制止させる。
車 から降り、警官の制止を振り切って崖の淵で作業しているクレーン車の方に走るレイモン。
レ イモンの後を追うセシール。
警 官が笛を吹いて注意するが2人には聞こえない。
ク レーン車の先のことだけだ。
崖 の下を見るレイモンとセシール。


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグ

引き上げ られようとしている車が目に入り凍りつく2人。
激 しく動悸がする。
祈 る2人。


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグ

海中から 白い車が姿を現す。
 アンヌの車だ!


『悲し みよこんにちは』

レイモン を見るセシール。
セ シールを見るレイモン。
無 言で視線を交わす2人に、最悪の事態が起こった事を認めなければならない悲しみの感情が走る。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デイヴィッド・ニーヴン

クレーン 車の傍に行きうな垂れるレイモン。
悲 しみで視線を定められないでいるセシール。
捜 索隊が帽子を持ってセシールの傍を通る。

そ れが目に入り、
セ シール「それ いただける?」と 言うセシール。
躊 躇する捜索隊に、
セ シール「お友達なんです」と 言い、帽子の方に手を伸ばすセシール。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ ら

受け取った帽子を悲しそうに見るセシール。
 アンヌの帽子を。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバー グ、デイヴィッド・ニーヴンら

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〜事故、それとも…〜

モノクロ からカラーに戻る。
 色彩を失ったセシールに。
セ シール“その場所での事故は 夏に入って 7台目だった
7…
私のラッキーナンバーだ

“ほかの女なら 書き置きを残し
父を一生 苦しめたろう
でもアンヌは 父と私に贈 り物を残した
事故であるかもしれない  可能性を

“父は自殺という言葉を 口にしない
私にさえも”

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〜無感情〜

車で送っ てくれたジャックがセシールにキスをする。
無 感情のセシールに、
ジャッ ク…「明日は競馬の あと トレモワルで食事 を」と 誘うジャック。
セ シール「知ってる」と そっけなく答えるセシール。
ジャッ ク…「楽しみ?」と 言うジャック。
セ シール「楽しみ」と 答えるセシール。
キ スをしようとするジャック。
キ スを避け、
セ シール「では おやすみ」と 言うセシール。
困 惑してセシールを見て帰るジャック。

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〜ひとり〜

アパート の中に入るセシール。
セ シール“フィリップはもう 大学を終えた だろう
エルザは 南米に住ん でいる
父と私はといえば
今も同じアパートに住 み 遊びに明け暮れている
今年の夏も避暑に行く が
イタリアのリビエラだ
気分転換が名目だが
なぜそれが必要か 互 いに尋ねない
去年の夏のことも 互 いに 口にしない
着替えたセシールが引き出し から、あの帽子を取り出して愛しく見ている。
 ひとりのとき何時も 取り出しているのだろう。


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

“トン トトトン”
ド アをノックする音が聞こえる。
慌てて引き出しの中に帽子を 戻し、
セ シール「どうぞ」
と 言い、鏡の前に座るセシール。
疲 れた表情でレイモンが入って来る。
イ ヤリングを外しながら、
セ シール「早いのね」と 鏡越しにレイモンを見て言うセシール。
渋 い表情で、
レ イモン…「デニーズは退屈だ」と 言うレイモン。
イ ヤリングを外しながら、
セ シール「もうなの?」と 言うセシール。
ブ ラック・タイを外しながら、
レ イモン…「時間じゃないよ」と 言い、
「パーティーに イボンヌが来ていたな」と ソファーに腰を下ろすレイモン。
セ シール「ええ 彼女は悪くないわ」と クレンジングクリームを付けながら言うセシール。
レ イモン…「確かにね なかなかの美人だ」と 気乗りしない表情で言い、上着の襟ボタンホールから花を外すレイモン。
レ イモンの様子を鏡越しに見ながら、
セ シール「避暑に一緒に?」と 言い、クリームを顔に付けるセシール。
軽 く笑い、
レ イモン…「考えておくよ」と 言い、顔を顰めてソファーで体を伸ばすレイモン。
 疲れている、あの出来事から自己嫌悪に陥っているから。
セ シール「連れていくなら 私はやめてもい いわ」と 言うセシール。
強張った表情になり、


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン

レイモ ン…「だめだよ  来なくては」と 言うレイモン。
 ひとりになるのが嫌 なのだ。(現在 付き合っている女たちは表向きだけだから)
頑 なレイモンの表情を見ながら、

セ シール「では行くわ」と 言うセシール。
 レイモンの気持ちがよく解り、胸が痛いセシール。
ソ ファーから体を起こしながら、
レ イモン…「君には…
休養が要る 疲れてるよ」と 言い、セシールの傍に来て髪に触れるレイモン。
セ シール「ええ ほんとね」と 声を詰まらせ涙を潤ませるセシール。
セ シールの頬にキスをして、


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ ニーヴン、ジーン・セバーグ

レイモ ン…「おやすみ  ダーリン」と 言い、部屋を出て行くレイモン。
顔全体にクリームを広げなが ら、
セ シール「おやすみ レイモン」
と 嗚咽しそうになりそうなのを必死に堪えて言うセシール。
瞳は悲しみの涙で一杯になっている。
セ シール“私は今 思い出の壁に囲まれてい る”
“忘れたくても それは押し寄せる
その度に思う
父も ひとりのとき

やはり思い出すのだろうかと
胸が痛む
胸の痛みに押し潰されそうになりながらクリームを広げるセシール。
 “悲しみよこんにちは”と映し出す鏡を見ながら…


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

♪“見せかけだけの 私の ほほえみ
愛のない 私の口づけ
私は忠実だ 自分の恋 人に
悲しみという名の 苦 く甘い恋人に”


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ

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 大好きな生活、父を取り戻したい気持 ちの高まりで小悪魔的な考えを実行するセシール。
 そのことがアンヌを死に追いやる ことになるとは思いもよらずに…
 17才。
 ラッキーナンバーであった 「7」は、地獄への入り口を開く数字となってしまった。

 ア ンヌに対する罪の意識を背負うことになった父娘に、曇りない幸せは戻らない だろう。
 ラッキーナ ンバーであったはずの「3」がアンヌとの生活であったことに気付くのが 遅かったから。

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〜写真〜


『悲し みよこんにちは』ジーン・セバーグ


『悲し みよこんにちは』デイヴィッド・ニーヴン、デボラ・カー

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