風と共に去りぬ
  
   ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

※ストーリーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。

前編  〜プロローグ〜〜タラの土地〜〜ドレス〜〜園 遊会〜〜〜〜意見〜〜圧 倒〜〜花瓶〜〜陰口プロポーズ〜〜挙式〜〜戦 争〜〜バザー会場〜〜パリ土産
ク リスマス休暇〜〜北軍の砲撃
メラニーの陣 痛〜〜馬車〜〜大火災〜〜告白〜〜道のり〜〜重 荷後編南部の荒廃〜〜終戦〜〜スカーレットとメラニー
スカーレットとアシュレー〜〜再会〜〜ケネディの店
ケネディ夫人〜〜商売〜〜メラニーの家〜〜スカーレットとレット〜〜バトラー夫人〜〜ボニー誕生
ベル
製材所〜〜パーティ〜〜〜〜ス カーレットの部屋〜〜ボニーとレッ ト〜〜階段〜〜別 れ〜〜メラニーレット〜〜エピ ローグ 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わり に] web拍手 by FC2
(1939)(米、MGM)(ア カデミー賞作品賞)(ア メ リカ 映画ベスト100で4位)(キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で5位)(ア メ リカ 映画ベスト100 10周年版で6位)-Gone with the Wind-
監督…ヴィクター・フレミング(ジョー ジー・キューカー、サム・ウッド、ヴィクター・フレミング他の交代)(ア カデミー賞監督賞)
製作…デビッド・O・セルズニック(ア カデミー賞アーヴィング・タールバーグ記念賞)
原作…マーガレット・ミッチェル(ピューリッツア賞)
脚色…シドニー・ハワード(ア カデミー賞脚色賞)
撮影…アーネスト・ハラー/レイ・レ ナハン(ア カデミー賞撮影賞)
装置…ライル・ホイーラー(ア カデミー賞室内装置賞)
編集…ハル・C・カーン/ジェーム ズ・E・ニューカム(ア カデミー賞編集賞)
音楽…マックス・スタイナー
挿 入曲♪タラのテーマ
出演…ヴィ ヴィアン・リー(Vivien Leigh)スカーレット・オハラ(Scarlett O'Hara)(ア カデミー賞主演女優賞)(南部の心臓部といわれるジョージア州アト ランタに近いタラの 大農場主オハラ家の長女個性的な美貌と火のように激しい気性の持ち主。アシュレーに失恋した腹いせにチャール ズ・ハミルトンと結婚する)
………ク ラーク・ゲーブル(Clark Gable)レット・バトラー(Rhett Butler)(南軍の敗北を見ぬき、戦争をばか げた浪費だといって密輸入で巨利をしめる大胆不敵な風雲児。風のごとくスカーレットの前にあらわれて、彼独特の やり方で求愛をつづける)
………レスリー・ハワード(Leslie Howard)アシュレー・ウィルクス(Ashley Wilkes)(トウェルヴ・オークスと呼ばれる 大農場をもつジョン・ウィルクス家の長男。貴族的南部の教養と文化を身につけた青年。スカーレットの情熱に惹か れながら、南部の伝統的社会に相応しい従妹のメラニーと結婚する)
………オリビア・デ・ハビラン ド(Olivia Dh Havilland)メラニー・ハミルトン(Melanie Hamilton)(アシュレーの妻。献身的で寛 容な心の持ち主。チャールズの妹)
………トーマス・ミッチェル(Thomas Mitchell)ジェラルド・オハラ(Gerald O'Hara)(広大な綿花畑と多くの黒人奴隷を もつアイルランド生まれの豪農。反骨と剛毅の性格の反面に優しい心情の持ち主)(同年の『駅馬車』 アカデミー賞助演男優賞)
………バーバラ・オニール(Barbara O'Neil)エレン・オハラ(Ellen O'Hara)(ジェラルドの妻。フランス人を祖 父母にもつ優雅な貴婦人。スカーレットの母)
………ハティ・マクダニエル(Hattie Mcdaniel)マミーー(Mammy)(エレンが実家からつれてきた黒人の侍女)(ア カデミー賞助演女優賞)(オスカーを獲得した最初の黒人俳優)
………バタフライ・マックイーン(Butterfly Mcqueen)プリシー(Prissy)(オハラ家の召使)
………フレッド・クレイン(Fred Crane)ブレント・タールトン(Brent Tarleton)(双子のタールトン兄弟)
………ジョージ・リーヴス(George Reeves)スチュアート・タールトン(Stuart Tarleton)(双子のタールトン兄弟)
………イヴリン・キーズ(Evelyn Keyes)スエレン・オハラ(Suellen O'Hara)(オハラ家の次女)
………アン・ラザフォード(Ann Rutherford)カリーン・オハラ (Carreen O'Hara)(オハラ家の三女)
………ローラ・ホープ・クルーズ(Laura Hope Crews)ピティパット叔母(Aunt Pittypat)(メラニーやチャールズの叔 母。アトランタ在住)
………ハリー・ダベンポート(Harry Davenport)ミード博士(Dr.Meade)(アトランタの医師)
………オナ・マンソン(Ona Munson)ベル・ワトリング(Belle Watling)(レットの愛人。娼婦宿の経営 者)
………キャロル・ナイ(Carroll Nye)フランク・ケネディ(Frank Kennedy)(スエレンと恋仲)
………ランド・ブルックス(Rand Brooks)チャールズ・ハミルトン(Charles Hamilton)(メラニーの兄)
………アリシア・レット(Alicia Rhett)インディア・ウィルクス(India Wilkes)(アシュレーの妹)
………ハワード・ヒックマン(Howard Hickman)ジョン・ウィルクス (John Wilkes)(アシュレーやインディアの父)
………レオーナ・ロバーツ(Leona Roberts)ミード夫人(Mrs.Meade)(ミード博士の妻)
………オスカー・ポルク(Oscar Polk)ポーク(Pork)(オハラ家の内働きの黒人下僕)
………ウォード・ボンド(Ward Bond)北軍大尉トム(Tom,A Yankee Captain)
ア カデミー賞の作品・監督・脚色・主演女優・助演女優撮 影・室内装置・編集特 別(装置と色彩を認められてウィリアム・カメロン・メンジース)の 各賞とデ ビッド・O・セルズニックがアーヴィング・タールバーグ記念賞を受賞。

前編

 マーガレット・ミッチェルが作 り出し た4人のキャラクターは、人間がそれぞれ持っているところに触れているから興味を持つ。
 それに巨額を投じたプロデュー サーがいて、壮大な作品にした。
 そして、適役の役者や監督・脚本 家・音楽家などが総力を出した作品である。
 中でも、ヴィ ヴィアン・リーのスカーレット・オハラは脳裏に焼き付いて離れない。

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〜プロローグ〜


セルズ ニック・インターナショナル・ピクチャーズ

セルズ ニック・インターナショナル・ピクチャーズのファンファーレが響き、タラの空が 映し出され「GONE WITH THE WIND」の タイトルが♪ タラのテーマと共に画面一杯に登場し消え去ってゆく。
 壮大なオープニング に気持ちが高揚する。
 見事な演出だ。


『風と 共に去りぬ』

“騎 士道が花咲き 綿畑の広がるその土地をー
人は「古きよき南部(オールド・サウス)」と呼んだ
その美しい世界に かつて生きたー
雄々しい男たち あでやかな女たち
そして奴隷を 従えた支配者たちもー
今ではすべて夢 人の心にのみ残る
風と共に去った時代である”

オハラ家 のポーチで双子のタールトン兄弟ブレント(フレッド・クレイ ン)と、スチュアート(ジョージ・リーヴス)が南北戦争の話を している。
ス カーレット・・・「イヤね 戦争 戦争って」と、双 子を従えていたスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)のアップになる。

大 農場主の娘スカーレット・オハラは戦争には関心がなかった。


『風と 共に去りぬ』フレッド・クレイン、ヴィヴィアン・リー、ジョージ・リーヴス

スカー レットにソッポを向かれたくないタールトン兄弟は話題を変えてウィルクスの園遊 会のことを話だす。
ブ レント・・・「僕らと一緒に行くよね?」と聞く ブレント。

ス カーレット・・・「明日のことは 明日 考え るわ」と答えるスカーレット。
ス チュアート・・・「ワルツは予約だよ ブレントと僕と交代にね」と言う スチュアート。
ス カーレット・・・「いいわよ」と言う スカーレット。
ター ルトン兄弟は喜び、はしゃぐ。
ス カーレット・・・「ほかに申込みがなければ ね」と茶化すスカーレット。
ス チュアート・・・「お願いだ」と頼む スチュアート。
興 味を惹かせようと、
ブ レント・・・「秘密を教えるから」と言う ブレント。
ス カーレット・・・「どんな?」と身を 乗り出すスカーレット。
ター ルトン兄弟はアシュレー(レスリー・ハワード)とメラニー(オ リビア・デ・ハビランド)が結婚するという噂話を始める。
ア シュレーに恋をしていたスカーレットは驚き、
ス カーレット・・・「彼が愛しているのは私 よ!」と憤慨し、その場から立ち 去る。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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〜タラの土地〜

父親ジェ ラルド(トーマス・ミッチェル)を見付け駆け寄るスカーレット。

アシュ レーのことを気にかけている長女スカーレットに、
ジェ ラルド・・・「タラもいずれは お前のものだし な」とタラ の土地のことを語り出すジェラルド。

ス カーレット・・・「農園など意味ないわ」と言う スカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、トーマス・ミッチェル

ジェラル ド・・・「本気かね? タラの土地が無意味 だと?
この世で頼りになる唯 一の ものが土地だ
土地は永遠に残る」と言う ジェラルド。
ス カーレット・・・「アイルランド人らしいこ と」
と言う スカーレット。
ジェ ラルド・・・「それが わしの誇りだし お前もその血を継いどる
わしらには 土地は母親と同じだ
お前もいつか 土地への愛に目覚める
わしの娘である限りな」とタラ の土地をスカーレットに見せ語るジェラルド。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、トーマス・ミッチェル

 このシーンはスカーレットがアイルランド人気質を備えていることを知らせる 重要なところである。
 それと、「明日のことは 明日 考えるわ」はラストシーンの名台詞の「彼を連れ戻す方法は 故郷に帰って考えるわ 明日に望みを託し て」の伏線である。

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〜ドレス〜

スカー レットが侍女マミー(ハティ・マクダニエル)にコルセットの紐を締めてもらっている。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、ハティ・マクダニエル

侍女マ ミー(ハティ・マクダニエル)に 園遊会に着て行くドレスのことでわがままを言うスカーレット。
 マミーとスカーレットが駆け引きをしている愛らしい目がいい。

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〜園遊会〜

さあ、園 遊会だ。
青 年たちのあこがれの的のスカーレットは注目を一身にあびている。
上 機嫌のスカーレット。
だが、 スカーレットの目的はただ一つ、ア シュレー(レスリー・ ハワード)に自分の気持ちを伝えるこ とだ。
ア シュレーを見付ける。
“今だ!”と駈け寄って行くスカーレットにアシュレーは婚約者のメラリー(オリビア・デ・ハビランド)を紹介する。
メ ラリーは快活なスカーレットに好意的に接する。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード、オリビア・デ・ハビ ランドら

スカー レットはアシュレーについてうそぶいて話し、アシュレーに見せ付けるようにして 青年たちを軽くあしらいながら階段を上って行く。
すると、見知らぬ男(ク ラーク・ゲーブル)が階下からスカー レットを見ている。
すべてを見通すような視線が 気に掛かる。
ス カーレット・・・「ねえ あれは誰?」とキャ スリンに聞くスカーレット。
キャ スリン・・・「誰?」と階下 を見るキャスリン。


『風 と共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

スカー レット・・・「こ ちらを見てる人
いやらしいわ」と言う スカーレット。
キャ スリン・・・「レット・バトラーよ」
と答 え、
「評判のよくない人物だわ」と言う キャスリン。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル

スカー レット・・・「あ の目つき 私を裸にしているみたい」と言う スカーレット。
キャ スリン・・・「身内からも つまはじきにされ  北部で暮らしてたのよ
士官学校も退学処分
女を捨てた一件でも有 名よ」と話す キャスリン。

ス カーレット・・・「教えて!」と好奇 心が膨らむスカーレット。
キャ スリン・・・「日暮れに娘と二人きりで 馬車で出かけておきながらー
結婚を断ったのよ」と耳打 ちするキャスリン。
耳 打ちし返すスカーレット。
キャ スリン・・・「どのみち傷物ってわけ」と話す キャスリン。
瞳を輝かせるスカーレット。
 好奇心に満ちた表情のヴィ ヴィアンが可愛い

野 外宴会でスカーレットが青年たちに囲まれている。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

にこやか に応対していたスカーレットの瞳に、寄り添って散歩しているアシュレーとメラ ニーの姿がとまる。
一 瞬にして表情が曇るスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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〜時〜

淑女たち がいつもの習慣で昼寝をして休んでいる場面に変わる。
オー クス屋敷の立て札がアップになる。

“時を浪費するなかれ 人生は時にて成ればなり”

そう、スカーレットには園遊会に来た目的がまだ達成出来ていない。
こっ そりと抜け出す。

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〜意見〜

その頃、 紳士たちは戦争の話で盛り上がっている。
ジェ ラルド(トーマス・ミッチェル)が 志気をあげている。
ジェ ラルド・・・「北部がどうわめこうとー 我々は奴隷制度を守り抜く
そのためには連邦も脱退だ 力で主張するのだ
すでにサムター砦で撃ち合いもあった 戦いあるのみだ!」
青 年たち・・・「命乞いをさ せよう」
ジェ ラルド・・・「北部は腰抜け結果は見えとる」
青 年たち・・・「やつらは戦 う前に退却さ」
青 年たち・・・「南部男の 敵じゃない」
意 気盛んだ。
そ れを軽蔑するような表情を浮かべ落ち着きはらって聞いているレット。
青 年たち・・・「紳士は暴徒 より強い」
青 年たち・・・「その通り だ」
ジェ ラルドがアシュレー(レスリー・ハ ワード)に意見を求め る。
ア シュレー・・・「南部が 戦う時は戦うがー
北部がこれ以上介入しないよう願う」と言う アシュレー。
青 年・・・「臆病風 か?」と言う 青年。
ア シュレー・・・「戦争は 悲劇の原因だ
戦争が終わって残るのは むなしさだけだ」と語る アシュレー。
騒 然とする。
ジェ ラルド・・・「諸君 静まれ
バトラー君は北部にいた あんたの意見は?」とジェ ラルドがレット(ク ラーク・ゲーブル)に意見を求める。
レッ ト・・・「能書きでは 勝てない」と言う レット。
青 年たちの中から身を乗り出してきてチャールズ(ランド・ブルックス)が、
チャー ルズ・・・「と言うと?」と言 う。
レッ ト・・・「南部には大 砲工場もない
代わりに勇気がある
いざとなれば 勇気より大砲だな」と語る レット。
チャー ルズ・・・「北部が有利だとでも?」と言う チャールズ。
レッ ト・・・「明白だ 装 備は我々より はるかに 勝る
兵器工場 造船所 港を封鎖できる艦隊も持つ
我々にあるのは 綿と奴隷とお ごりだと言う レット。
憤 慨し詰め寄る青年たち。
チャー ルズ・・・「この裏切り者め!」と言う チャールズ。
レッ ト・・・「気に障った ら謝る」と言う レット。
チャー ルズ・・・「それで済むと思うか? 君は士官学校を退学になりー
身内にまで見放された ろくでなしと聞いた」とレッ トに吹っかけるチャールズ。
レッ トは“むっと”しながらも冷静に反応し、
レッ ト・・・「重ねておわ びしよう」と一礼 し、
「庭園など拝見してこよう」とア シュレーに向かって言う。
頷 くアシュレー。
そ して、レットは一同に向かって、
レッ ト・・・「皆さんの勝 利の夢をぶち壊したよう だ」と再び一礼してその 場を去 る。
青 年・・・「あんなの 南 部男の恥だ」
青 年・・・「あわや決闘 だった」と言う 青年たち。
チャー ルズ・・・「やつは 逃げた」と言う チャールズ。
ア シュレー・・・「違うね  君を助けたんだ」と言う アシュレー。
チャー ルズ・・・「助け た?」
聞 き返すチャールズ。
ア シュレー・・・「彼は射 撃の名手だ 強い相手 を何人も倒してる」と言う アシュレー。
粋 がるチャールズ。
チャー ルズを制止し、
ア シュレー・・・「無謀は やめろ 戦う相手はほ かにいる
彼も私の客だ 屋敷内を案内してくる」と言い レットの方へ向かうアシュレー。
 このような話題に興味がないアシュレーの性格が演出されている。
 アシュレー自身がこの場を立ち去りたかったのだろう。

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〜圧倒〜

隠れて 待っていたスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)がアシュレーの方へ駆け出す。
ア シュレーに小声で呼びかけ図書室へ招き入れるスカーレット。
ア シュレー・・・「誰から 隠れてるの?」
ド アを閉めているスカーレットを見て、
ア シュレー・・・「何のま ね? なぜ昼寝をしな いの?
秘密の話でも?」と言う アシュレー。
ス カーレット・・・「ア シュレー… 愛してるの
愛してるのよ!」とア シュレーに迫るスカーレット。
一瞬、息詰まるような鋭い沈黙が。
アシュレーは信じられない驚きから気を取り戻すようにして、
ア シュレー・・・「男たち 全員の心を手に入れて  まだ足りないの?」と 言う。
ス カーレット・・・「あな たの心が知りたいの  愛してるわ」と言う スカーレット。
ア シュレー・・・「軽々し く言うと きっと後悔 するよ」と言う アシュレー。
熱く沸き立ってくる気持ちをぶつけ、
ス カーレット・・・「しな いわ あなたも私を 思ってるもの
そうでしょ?」と 言うスカーレット。
ア シュレー・・・「そう  思っている…」と言う アシュレー。
愛撫を求め身を寄せるスカーレット。
抱きたい気持ちを抑え遮るアシュレー。
ア シュレー・・・「この話 は忘れよう」と窓際 にゆき背を向けるアシュレー。
ス カーレット・・・「なぜ なの? 私と結婚した くないの?」
な おも詰め寄るスカーレット。
外 を見たままで、
ア シュレー・・・「メラ ニーと結婚する」と言う アシュレー。
ア シュレーを自分に向かせながら、
ス カーレット・・・「私を 愛してるのに?」と言う スカーレット。
“どうか分かってくれ”と嘆願するようにスカーレットの両手をしっかりと握りしめて、
ア シュレー・・・「これ以 上 言わせないで
君には分かってない 結婚というものの意味がね」と 言うアシュレー。
ス カーレット・・・「あな たの妻になることよ  なぜメラニーなの?」と言う スカーレット。
ア シュレー・・・理解し 合えるんだ 同じ血が 通っているから」と話す アシュレー。
ス カーレット・・・「私 は?」と聞く スカーレット。
ア シュレー・・・「君はす てきだ 僕にはない燃 える情熱がある
だが結婚となると 僕たちは違いすぎる」と言う アシュレー。
ス カーレット・・・「私が 怖いんでしょ 意気地 なし!
あの魅力のない女が似合いだわ
子育てしか能のない 平凡な女がね!」と感情 的に言い捨てるスカーレット。
ア シュレー・・・「その言 い方はない」と言う アシュレー。
ス カーレットの声が上擦ってくる。
ス カーレット・・・「自分 こそ何よ! 私を誘っ て その気にさせて!」
ア シュレー・・・「言いが かりだ 僕は決し て…」
傷 つけないように話そうとしていたアシュレーは、感情的になっているスカーレットに圧倒されて言葉に詰まる。
ス カーレット・・・「そう よ 気を引いたわ!  あなたなんか嫌い!
大嫌いだわ!
泣きながらアシュレーに平手打ちをするスカーレット。
ア シュレー・・・「・・・」
静 かにドアを閉めて出て行くアシュレー。

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〜花瓶〜

苛立ちを 押えきれないスカーレットは傍にあった花瓶を暖炉の方へ投げ付ける。
す ると、何とレット(ク ラーク・ゲーブル)が口笛を「ピュー」と鳴らしながら長椅子から起き上がってくる。
ス カーレット・・・「ハッ」

驚 くスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

レットは 暖炉の花瓶の方を見直し、
レッ ト・・・「戦争か?」と言 う。

ス カーレット・・・「なぜ そこで黙ってらした の?」と聞くスカーレット。
レッ ト・・・「美しいラブ・シーンを邪魔するのも 不粋だ
大丈夫 秘密は守る」と言 い、面白がるレット。
ス カーレット・・・「紳士じゃないわね」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「あなたも淑女じゃないな」と言い 返すレット。
ス カーレット・・・「まあ」
思 い掛けない言い返しに驚くスカーレット。
レッ ト・・・「そこが魅力だ 淑女は面白味がな い」と遣り取りを楽しむレッ ト。
ス カーレット・・・「私を侮辱する気なの?」
苛 立つスカーレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「ほめてる んだ 私と合いそうだ アシュレー君よりね 弱虫には過ぎた女さ
何せ “燃える情熱”だ」
ア シュレーの言葉を真似てからかうレット。
ス カーレット・・・「少な くとも彼は紳士だ わ!」
怒っ て出て行くスカーレット。
笑 いながら、
レッ ト・・・「大嫌いなは ずだったろ?」と言う レット。
 いい。
 告白・抑制・攻撃・怒り・哀しみ・泣き・驚き・笑いありの贅沢な場面だ。
 特にレットのからかいに苛立つスカーレット。
 何度観ても笑ってしまう。
 二人の演技に拍手だ。

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〜陰口〜

アシュ レーに受け入れられなくて悲しんでいるスカーレットに、追い討ちをかけるような 淑女たちの話し声が聞こえる。
淑 女・・・「男と見たら すぐ気を引くのよ」
淑 女・・・「男には気晴らしの対象ね」

た だメラニー(オリビア・デ・ハビランド)だけは、
メ ラニー・・・「殿方たちがあの人を ほっとか ないのよ
あの人は社交家で快活なだけ」と庇っ ている。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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〜プロポーズ〜

青年たち が口々に叫んでいる。
「戦争だ!」
い よいよ戦争に突入らしい。

青 年たちが活き立っている。
チャー ルズ(ランド・ブルックス)がスカーレットを捜し求めて 遣って来る。
チャー ルズ・・・「ミス オハラ! リンカーンが我々と戦う決意をした!」
ス カーレット・・・「戦争なんてバカらしいわ」と言う スカーレット。
チャー ルズ・・・「皆 軍隊に入るんです もちろん 僕も」と言うチャールズ。
ス カーレット・・・「みんな?」
ア シュレーを捜そうと窓の方へ行くスカーレット。
チャー ルズは自分と離れ離れになるのを悲しんでいると思い込み、
チャー ルズ・・・「寂しいですか? 戦いに行ったら」と言 う。
ス カーレットはアシュレーを捜しながら、
ス カーレット・・・「毎晩 泣くわ」と言 う。
チャー ルズ・・・「あなたを愛しています」と言 い、
なおも、

「あなたは世界一美しく かわいい人だ
僕などダメですか? そりゃヤボで気が利かない
でも もし結婚してくれたら どんなことでもします」と言う チャールズ。
ス カーレット・・・「今 何て?」
ア シュレーを捜していたスカーレットが“結婚”と言う言葉に反応して聞き返す。
チャー ルズ・・・「結婚してほしいと」と答え るチャールズ。
スカーレットが窓の外に目をやるとアシュレーとメラニーが…
ス カーレット・・・「お受けするわ」
チャー ルズ・・・「待っててくれますか?」
ス カーレット・・・「待つのはイヤよ」
チャー ルズ・・・「では出発前に?」
ス カーレット・・・「…」
チャー ルズ・・・「オー ミスオハラ スカーレット」


『風と 共に去りぬ』ランド・ブルックス、ヴィヴィアン・リー

チャール ズ・・・「いつ父上に?」
ス カーレット・・・「早いほうが」
チャー ルズ・・・「ではすぐ申し込みを 待ってい て… 君

君…」
喜 び勇んでジェラルド・オハラを捜しに行くチャールズ。
スカーレットは窓の外のアシュレーを見詰め、


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「ア シュレー アシュレー」と 悲しみを込め口ずさむ。

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〜挙式〜

チャール ズとスカーレットの挙式。
前 日挙式を終えたメラニーは、
メ ラニー・・・「昨日の私たち以上にー すばら しい式だったわ」
と祝福 する。
ス カーレット・・・「そう」
メ ラニー・・・「私たち姉妹だわ」


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー、ランド・ブ ルックス

そしてア シュレー。
ス カーレットの視線はアシュレーに注がれている。
ス カーレットに打ち明けられたばかりなので、素っ気無く振舞うアシュレー。
チャー ルズは涙を流すスカーレットに、
チャー ルズ・・・「泣かないで じき終戦だ すぐ戻るよ」と言 う。
な おも泣き続けて涙で濡れているスカーレットの瞳はアシュレーに…。

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〜戦争〜

「チャールズ・ハミルトン大尉はー
はしかに肺炎を併発して死亡
戦場における 名誉の戦死にあらずともー
英雄に劣らずと存じ上げ候」

訃報が届 き若くしてスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)は未亡人に。
ス カーレットは喪服ばかりで過ごさなければならない仕来りに堪らないでいる。
ス カーレットはマミー(ハ ティ・マクダニエル)に悟らされて いる。

 マミーとの掛け合いが、ここでまた見られる。
思 い通りにならないのでベッドに伏せて泣くスカーレット。
心 配して入ってきた母親エレン(バーバラ・オニール)はス カーレットの機嫌を直させようと、
エ レン・・・「出かけてみたら? アトランタ は? にぎやかよ」と基金 集めの集会をやっているアトランタに行くことを薦める。
メ ラニーもいるという。
 この後のスカーレットの目の動きがいい。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、バーバラ・オニール

 憎めない。
 愛らしい。
 この表情はスカーレット像を知らせるためにヴィ ヴィアン・リーは再三使っている。

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〜バザー会場〜

バザー会 場(アトランタ陸軍病院)
陽 気にダンスを踊っている紳士淑女。
手 伝いにきている喪服のスカーレットは羨ましそうに眺めている。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

喪服の中 の足を左右にステップさせながら。
 うずうずしている内 面が表現されて微笑ましい。
ミー ド博士(ハ リー・ダベンポート)が会場の紳士淑女に向かっ て言う。
ミー ド博士・・・「皆さん 重大な発表があります!  我が南軍が勝利を収めました!」

紳 士淑女・・・「ワー!」
ミー ド博士・・・「リー将軍は敵を撃破しー 北軍をバージニアから 駆逐したのです!」
紳 士淑女・・・「ワー!」
ミー ド博士・・・「もう1つ うれしいニュースを 敵の封鎖を破った勇士が ここにおられます
帆船団を率い 敵の砲火をくぐりー 我々に衣類を届けてくれた人物
それは神出鬼没の海の英雄 チャールストン生まれのー レット・バトラー船 長!」
紳 士淑女・・・「ワー!」
お 辞儀をしているレット(ク ラーク・ゲーブル)
驚 くスカーレット。
ス カーレットに気付くレット。
こ の場を逃れようとするスカーレット。
帽 子のレースが引っかかる。
外 してやるレット。
 このシーンは二人の関係を演出している。
 もう一度ある。注目だ。
 ここでのレットとスカーレットのやりとりはコミカルでいい。
 特にスカーレットが指輪を南部同盟のために寄付すると言った後 の、レットの「見上げたものだ 大切 なものをね」とからかうような目の表 情がチャーミングで思わず微笑んでしまう。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブルら

ミード博 士・・・「皆さん 基金募集のための 名案 があります
ご希望の淑女と踊りた い殿方にはー 入札をお願いする」
淑 女たち・・・「キャー!」
ミー ド博士・・・「紳士諸氏は入札を! 遠慮をせず に!」

紳 士・・・「20ドル! メリウェザー嬢に20 ドル!」
紳 士・・・「エルシング嬢に25ドル!」
ミー ド博士・・・「安すぎますぞ」
レッ ト・・・「金貨で150ドル!」
淑 女たち・・・「キャー!」
ミー ド博士・・・「お相手は?」
レッ ト・・・「ハミルトン夫人だ」
驚 きながらも喜ぶスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

ミード博 士・・・「どなた?」
レッ ト・・・「ハミルトン夫人だ」
ミー ド博士・・・「夫人は喪中の身です ほかのご婦 人を」

レッ ト・・・「ぜひハミルトン夫人に」
ミー ド博士・・・「承知なさらんでしょう」
ス カーレット・・・「お受けします!」
紳 士淑女が憤慨している中を突破して進み出るスカーレット。
そ れを見てニヤリと笑うレット。
レッ ト・・・「南部同盟に打撃を与えた」
ス カーレット・・・「封鎖破りがお得意ね」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブルら

レッ ト・・・「見返りも  すでに計算済みだ」
ス カーレット・・・「誰が 何を思おうと 今夜は 踊りまくるわ リンカーンとだって!」

軽快な音 楽が流れダンスが始まる。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブルら

嬉しそう なスカーレット。
愉 快なレット。
ス カーレット・・・「これ で私も札つきね」
レッ ト・・・「勇気のある 証拠さ」
ス カーレット・・・「おっ しゃること!」
ダ ンスが続く。
ス カーレット・・・「あな たのワルツすてきよ」
レッ ト・・・「そんな外交 辞令はいらん それ以上 のものが欲しい」
ス カーレット・・・「何 を?」
レッ ト・・・「その作り笑 いをやめたら 教える よ」
剥 れるスカーレット。
レッ ト・・・「アシュレー に言った言葉を聞きたい  “愛してる”と」
ス カーレット・・・「一生  待っても聞けないわ よ」

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〜パリ土産〜

場面は変 わって、レットがスカーレットにパリからの土産を持ってきている。
 この時の喜んでいる 仕草がいい。
 特に土産を手渡して 貰うまでの体の動きがいい、
 それに「OH レット」と言った後の目の輝きが見事だ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

 この場面は見所が満載だ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

貰った帽 子をどちらが前か分からないで被ってレットに見せる。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

「帽子の向きが逆だ」と言って直してやろうとするレットに「もう大丈夫」と言って結び直す。
 ここで二人がにこや かな表情を見せる。
 息がピッタリだ。
 また、「こんな卑しい男を なぜ家に入れたのかしら」と言った後、レットに背を向けた時のヴィ ヴィアンの一連の所作は見惚れてしまう。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

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〜クリスマス休暇〜

“ア トランタ市民の悲しみの日はー
北部の小都市に向いていた
歴史に残る3日間の死闘がー
ペンシルベニアの農地で繰り広げられた”

アシュ レー(レスリー・ハワード)の 安否を心配しているメラニー(オリビ ア・デ・ハビランド)と スカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー

そのア シュレーに1863年12月23日に騎兵隊司令部より特命が出る。

「ペ ンシルベニア作戦の
殊勲によりー
アシュレー・ウィルクス少佐に
3日のクリスマス休暇を与える」

アシュ レーをプラットホームで出迎えるメラニーとスカーレット。
立 場が違う2人はアシュレーの無事な姿を見て、それぞれの思いで感激の涙を流す。


『風と 共に去りぬ』レスリー・ハワード、ヴィヴィアン・リー


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

再び戦火 に趣くアシュレーにスカーレットが、プレゼントを渡し結んでやる。
ス カーレット・・・「その上着に合うように私が 作ったの」
ア シュレー・・・「自分で?」

 この後、頷くヴィ ヴィアンの仕草が可愛い。
 好きだ。


『風と 共に去りぬ』レスリー・ハワード、ヴィヴィアン・リー

アシュ レー・・・「大切 にしよう」
ス カーレット・・・「あなたの役に立ちたいの」とア シュレーを見詰めるスカーレット。
ア シュレー・・・「その言葉に甘えよう」
ス カーレット・・・「何でも」
ア シュレー・・・「メラニーを頼む 彼女は虚弱 だし 君を頼っている
僕が死んだら…」
ス カーレット・・・「不吉だわ! お祈りをし て」
ア シュレー・・・「君もお祈りを 最後の時には  祈るしかない
戦争と共に 私たちの 世界も終わる」
ス カーレット・・・「南軍は負けるの?」
ア シュレー・・・「もう力尽きている 北部の雪 の中でね
一方 北軍は日ごとに  兵力を増強している
僕も生きては帰れない  どうかメラニーの支えに 約束して」
ス カーレット・・・「YES それだけなの?」
ア シュレー・・・「そう… さよなら」
ス カーレット・・・「イヤよ 行かせないわ!」
ア シュレー・・・「勇気を出さなきゃ」
ス カーレット・・・「NO」
ア シュレー・・・「僕を安心させて 君は賢く  強く 美しい
美しいのは 顔だけで はないはずだ」
出 発の合図の鐘がなり立ち去ろうとするアシュレー。
後 を追うスカーレット。

ス カーレット・・・「お願い お別れのキスを」
額にキスするアシュレーに抱きつき唇にキスをするスカーレット。
抱き寄せるアシュレー。
ア シュレー・・・「スカーレット」
ス カーレット・・・「愛しているわ あなただけ を愛してきたわ 腹いせに結婚したの
愛していると言って その一言を頼りに生きるわ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

アシュ レー・・・「さよ なら」
思いを振りほどくようにして 出て行くアシュレー。
アシュレーを見送りながら、


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「待 つわ アシュレー 戦争が終わるまで」と 言うスカーレット。

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〜北軍の砲撃〜

“市 民の祈りをよそにー
進軍を続ける北軍に押されー
負傷兵や避難民は
ジョージアになだれ込んだ”

スカー レットはアトランタで従軍看護師としてメラニー(オリビア・デ・ ハビランド)と一緒に手伝っている。

“北 軍の砲撃でー
恐慌状態のアトランタからー
市民たちは我先に逃げ出しー
残った兵は望みのない戦い にー
立ち向かっていった”


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、オリビア・デ・ハビランド

メラニー は衰弱しているので休養を言い渡されていたので、スカーレットは今は一人で ミード博士(ハ リー・ダベンポート)に付き添い看護を手 伝っていた。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、ハリー・ダベンポートら

だが、死 人、血、麻酔無しの切断手術の負傷兵の悲鳴などに、堪らなくなったスカレット は外へ飛び出る。
そ こで目にした光景は、逃げ惑う人々でごったがえしていた。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

北軍の砲 撃が轟く。
群 衆に押し返されるスカーレット。
凄 まじい。
馬 車と群衆が入り混じって逃げ惑っている。
そ んな中でタラでの使用人のビッグ・サムを見つけたスカーレットは母親が病気だと知らされる。

再び群衆 の中を突き進もうとしているスカーレットに呼ぶ声がする。
「スカーレット!」
レッ ト(ク ラーク・ゲーブル)だ。

レッ トはスカーレットを馬車に乗せ助け出し、スカーレットが世話になっているピティパットの家まで送ってゆく。だが、 いつものようにからかう。
ピ ティパットの家に着く。
馬 車から降り、その場から離れようとするスカーレット。が、ま たもや裾が馬車に引っかかる。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

 そう、スカーレットはからかうレットが気に掛かっているのだ。
 本心を見透かれているから逃げようとするスカーレット。
 自由奔放なスカーレットに惚れているから解き放してやるレット。
 上手い演出だ。

母親の病 気を知り一刻も早くタラに行きたいスカーレット。だが、 妊婦のメラニーは衰弱し動かせない。
ア シュレーとの約束を思い出し留まることにするスカーレット。
 ミード博士がアシュ レーのことを口にした後にスカーレットが「アシュレー」と口ずさむ表情がいい。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、ハリー・ダベンポート

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〜メラニーの陣痛〜

“攻撃は続く
35日間 砲弾の雨の中でー
アトランタは奇跡を祈り続けた
次に砲弾の雨より恐しい
沈黙が訪れた”

ピーチツ リー通りを疾走しながらやってくる騎兵。
ス カーレットがピティパットの家から駆け出して来て、
ス カーレット・・・「止まって!止まって!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

「止まって! お願い止まって!」と騎兵 を必死に止める。
ス カーレット・・・「北軍が来るの?」
陸 軍大尉・・・「味方は撤退です」

ス カーレット・・・「私たちを敵に渡すの?」
陸 軍大尉・・・「撤退を急がないと 敵に道路を 封鎖されます」
ス カーレット・・・「私たちはどうしたら?」
陸 軍大尉・・・「直ちに南へ避難を! 失礼しま す 奥さん」と敬礼 し行ってしまう。
急 がなくてはと向きを変え半狂乱になって家に駆け込むスカーレット。
金 切り声をあげながら、
ス カーレット・・・「プリシー! プリシー!」と玄関 に飛び込む。
プ リシー(バタフライ・マックイーン)に、
「荷物をまとめて タラへ行くのよ!」
階 段を上がりながら、
「北軍が来るわ」
2 階の廊下にやってきた。
そ の時、スカーレットを呼ぶメラニーの声が、
メ ラニー・・・「スカーレット! スカーレッ ト!」
メ ラニーの寝室に入りながら、
ス カーレット・・・「メラニー 早く…」
メ ラニーに陣痛が始まっていた。
驚 き、
「メラニー」


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー

メラニー の傍に行くスカーレット。
痛 みを堪えながら、
メ ラニー・・・「ごめんなさい 面倒をかけて

明け方から始まったの」
避 難の機会を失ったことがわかり、
ス カーレット・・・「でも… 北軍が来るのよ」と狼狽 えながら言う。
ス カーレットを見ながら、
メ ラニー・・・「私さえいなければ とっくにー  タラに帰れたのに」と言い 手を差し出し、
「感謝してるわ こんなに尽くして下さって」とス カーレッの手を握り締め、
「姉妹以上だわ」と胸に 抱き寄せるメラニー。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、オリビア・デ・ハビランド

そして、衰弱しているメラニーはスカーレットに思いを伝える。
握り締めたスカーレットの手 を抱くようにして、
メ ラニー・・・「考えてたんだけど もし私が死 んだらー
子供を育ててくれ る?」
驚くスカーレット。
動揺して、
ス カーレット・・・「何を言うの? 誰も死んだ りしないわ」

こ の話は聞きたくないとばかりに離れようとする。
 この場面はメラニーとスカーレットの内面が演出されていて興味深い。
メ ラニーの痛みが酷くなる。
も がいている。
ス カーレットはメラニーを心配し召し使いのプリシーにミード先生(ハリー・ダベンポート)を呼びに行かせる。
が 中々帰ってこない。
茹 だるような熱さだ。
メラニーを扇いでやりながら一生懸命看病をするスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、オリビア・デ・ハビランド

プリシー の声が聞こえ窓の外に目をやると、のんびり歌いながら帰ってくるプリシーの姿 があった。
訳 を聞くと先生は病院ではなく駅にいるという。
怖 くて駅にいけないというプリシーにメラニーの看病を言い渡しスカーレットは急ぎ駅に向かう。

そこでスカーレットが目にしたのは、照りつける太陽の下に数知れぬ負傷兵の群れ が、いくつもの長い列をつくって横たわっている光景だった。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

ひどい臭 気やうめき声の中を通り、やっとミード先生を探し出しメラニーが産気づいたの で来てくれるよう頼むが、先生はそれどころではなかった。
落 胆し疲れ果てて帰るスカーレット。
プ リシー・・・「先生は?」

ス カーレット・・・「来ないわ」
プ リシー・・・「具合が悪いのによ」
ス カーレット・・・「誰も当てにできないわ
お前がやるしかないわ 手伝うから」
プ リシー・・・「そりゃ困るだ!」
ス カーレット・・・「何なの?」
プ リシー・・・「先生は必要だって! お産のこと知らねえもの!」
ス カーレット・・・「知らない?
知ってると言ったのに!」
プ リシー・・・「出まかせだよ お産は見たこともねえ」
プ リシーに平手打ちをくらわすスカーレット。
金 切り声をあげ泣き叫ぶプリシー。
弱々 しい声でスカーレットを呼ぶメラニー。
泣 き叫ぶプリシーを黙らせ決心するスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、バタフライ・マックイーン

スカー レット・・・「火 をおこして お湯を沸かすの
ほかに麻糸と タオル とハサミを 間違えないで!
大急ぎだよ!」
再 びスカーレットを呼ぶメラニーの声がする。
メ ラニー・・・「スカーレット

スカーレット
スカーレット」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「今  行くわ すぐよ」
手 摺につかまりながら階段を登って行くスカーレット。
の しかかってきた重荷を担いで…

難産で あったがスカーレットはメラニーの赤ちゃんを無事取り上げた。
一 刻も早くタラへ行きたいスカーレットは、レット(ク ラーク・ゲーブル)に馬車を回して貰うようプリシーを使いに出 す。

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〜馬車〜

レットが 馬車を調達してくる。
ス カーレット・・・「レットなの?
よかった!」
レッ ト・・・「旅にはよい晩ですな」

ス カーレット・・・「ふざけると殺すわよ」
レッ ト・・・「怖いのか?」
ス カーレット・・・「怖くなかったら 人間じゃ ないわ!」
爆 音がする。
ス カーレット・・・「北軍だわ!」
レッ ト・・・「味方が撤退前に 爆薬を処分してる んだ」
ス カーレット・・・「逃げなきゃ」
レッ ト・・・「それで行き先は?」
ス カーレット・・・「タラよ」
レッ ト・・・「あそこでは激戦があった
病人と赤ん坊を連れて 敵陣を突破する気か?
それとも独りで?」
ス カーレット・・・「みんな一緒よ 止めない で」
レッ ト・・・「悪路の旅は 病人には危険だぞ」
ス カーレット・・・「お母様に会いたい! タラ に帰りたい!」
泣 き乱れ叫ぶスカーレット。
荒々 しくレットは、
レッ ト・・・「タラの焼け野原は敗残兵でいっぱい だ
苦労して盗んだ馬を 奪われるのはご免だ」と言 う。
こ ぶしでレットの胸を叩きながら泣き叫ぶスカーレット。
ス カーレット・・・「歩いてだって帰る! 止め たりしたら殺すから!」
泣 き乱れ壊れそうなスカーレットを腕のなかに抱き寄せるレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

そして、 優しく包み込むようにしてスカーレットを宥める。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「分かった  きっと帰れる
君の意気には 北軍もしっぽを巻くさ
泣くな
鼻をかんで」
スカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)は独りで背負い込んでいた 重しと恐怖と緊 張が解きほぐされた。
それはレットの懐であった。

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〜大火災〜

さあ、タ ラへ。
ス カーレット・・・「あれ は?」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、オリビア・デ・ハビランド、クラーク・ ゲーブル、バタフライ・マックイーン

レッ ト・・・「味方が倉 庫に火を放った 爆薬庫が爆発する前にー
通り抜けよう」
ス カーレット・・・「ほかの道は?」
レッ ト・・・「北軍に封鎖されている」

疲 れ果てた兵隊が横断し道をふさいでいる。
ス カーレット・・・「じれったいわ」
レッ ト・・・「だが軍隊が去ると共にー
最後の秩序もなくなる」
窓 ガラスが割られる。
レッ ト・・・「もう始まった」


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

町のあち らこちらで火災が起きている。
レッ ト・・・「急ごう」
群 集・・・「馬だ!」

馬 車を奪おうと押し寄せてくる群衆。
群 衆を殴り飛ばし蹴落とすレット。
群 衆に抵抗するスカーレット。
馬 車の中で泣き叫ぶ赤ちゃんを抱き寄せて怯えているメラニーと金切り声を出しているプリシー。
 
やっ と群衆から逃れてきたが目の前は火の海だ。
奇 声をあげ泣き叫ぶプリシー。
ス カーレットにレットは、
レッ ト・・・「じきに火が爆薬に回るぞ」と言 う。
馬 が火の粉に怯え暴れ前に進まない。
レッ トは馬車から飛び降り手綱を引くが馬が怯えている。
ス カーレットに、
レッ ト・・・「肩掛けを!」
ス カーレットから受け取った肩掛けを馬の頭に被せながら、「我慢しろよ」と言い馬に目隠しをして引っ張る。
やっ との思いで横切って行った時、背後に爆音が轟く。


『風と 共に去りぬ』

大火災となり燃え広がった倉庫が崩壊する。
それがひとつの時代の終わりを告げる。
 音響効果・撮影技術、それに演出が素晴らしい。
 目を見張る場面だ。
 “これぞ映画だ”と誇らしげな声が聞こえてくるようだ

 そして、負傷兵の列を見てレットがスカーレットに語る重要な台詞になる。
レッ ト・・・「よく見ておくんだ
南部が滅びた夜のこと を 孫たちに話す時のために
勝利を公言していた  バカ者どもが」
ス カーレット・・・「こんな戦いに 私たちを巻 き込んで」

レッ ト・・・「愚かな戦いだった…」
ス カーレット・・・「志願しないでよかったわ
あなたは賢明だったのよ」
レッ ト・・・「自慢はできん」


『風と 共に去りぬ』

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〜告白〜

小高い丘 に達した時、レットは馬を休めスカーレットに向かって言う。
レッ ト・・・「まだ強行軍を続ける気か?」
ス カーレット・・・「きっと やり通せるわ」

レッ ト・・・「ではやるんだな おれは降りる」と言い 馬車から降りる。
ス カーレット・・・「どこへ行くの?」
レッ ト・・・「軍隊に志願する」
ス カーレット・・・「また冗談を 脅かさない で」
レッ ト・・・「まじめだ 栄誉ある南軍に 入れて もらう」
ス カーレット・・・「負けたのよ」
レッ ト・・・「まだ最後の決戦があるはずだ
遅まきながら手伝いたい」
ス カーレット・・・「本気にしないわ」
笑 いながらレットは、
レッ ト・・・「自分勝手を押し通す君には 大儀な ど意味ないな」と言 う。
ス カーレット・・・「こんな仕打ちはひどいわ  なぜ今になって行くのよ?
なぜ?」
レッ ト・・・「弱い者に 味方したくなる癖があ る」
暗 い表情で、更に、
「罪滅ぼしか…
分からん」と言う レット。
ス カーレット・・・「かよわい女を ほうり出す の?」
レッ ド・・・「かよわい?」
せ せら笑いながら、
「君に出会う北軍こそ災難だ
降りて 別れのあいさつを」と言う レット。
ス カーレット・・・「NO」
帽 子を被り馬車に足をかけ手をのばしてスカーレットを抱きかかえ下ろすレット。
ス カーレット・・・「行かないで 行ったら許さ ない!」
スカーレットを抱き寄せ帽子を取り、
レッ ト・・・「我ながら こんな行為は愚かと思う
弾丸に当ったら それは天罰だ
だが君への愛は本物だ
世界が砕けようと この愛は変わらない
おれたちは似ている
利己的だが自分を主張する強さを持っている」と 言う。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

スカー レット・・・「放 してよ」
顔を背けるスカーレット。
両手で頭を包み向き直らせる レット。
レッ ド・・・「おれを見ろ
こんなに 女を愛した のは初めてだ
こんなに我慢強く待っ たのもだ」
額にキスするレット。
ス カーレット・・・「やめて!」

レッ ト・・・「この南軍の一兵士を 抱いてくれ
キスで戦場に送ってくれ
死にゆく男に せめて美しい思い出を
スカーレット キスを」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

強く抱きしめ唇にキスをするレット。
離れようともがくスカーレッ ト。
ス カーレット・・・「下劣な男ね!」と 言いながら平手打ちをするスカーレット。
ス カーレット・・・「うわさ通りだわ あなたは 紳士じゃない!」

 この後のク ラーク・ゲーブルの表情がいい。
 レットは愛する女に死を覚悟しているから本心を告白した。が、 帰ってきたのは叱責と侮辱だった。
 寂しい表情を浮かべるレット。
 一瞬見せるレットの胸の内が堪らない。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

レットは 寂しい胸の内を気付かれないように何時もの口調で、
レッ ト・・・「紳士でなくて結構」と言い 帽子を被り、

レッ ト・・「馬泥棒はこれで 誤って馬を撃つな よ」と銃をスカーレットに渡 す。
ス カーレット・・・「さっさと行って!
弾丸に当って 吹っ飛べばいいわ!」
涙 声になっているスカーレット。
レッ ト・・・「希望に添うようにしよう
死んだら 少しは悲しんでくれよな」
被っ た帽子を取って、
レッ ト・・・「さようならスカーレット」と言い 立ち去る。
スカーレットは泣きながら馬車の方へ向かい崩れそうになるが、手綱を握り締め、
ス カーレット・・・「さあ タラへ!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

馬車を引っ張ってゆく。

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〜道のり〜
 
馬 泥棒などに見つからないように橋の下に隠れ、手綱をしっかり持っているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)


『風と 共に去りぬ』バタフライ・マックイーン、ヴィヴィアン・リーら

頼りない プリシー(バタフライ・マックイーン)、衰弱しているメラニー(オリビア・デ・ ハビランド)、そして赤ちゃんを連れての道のりは厳しい。だが、 スカーレットのタラへ行きたいという意志は困難を乗り越えて行く。
死 体が散乱している中を突き進む。


『風と 共に去りぬ』バタフライ・マックイーン、ヴィヴィアン・リー

馬は泡を 出しあえいでいる。
夜 更けにオークス屋敷に着くが人気もなく廃墟化している。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、バタフライ・マックイーン

屋敷を見 渡しながら、
ス カーレット・・・「アシュレー あなたにみせ たくないわ」と呟 く。

そ して、怒りが込み上げてくる。
ス カーレット・・・「北軍のけだもの!」
す ると、“カチャカチャ”と物音がする。
 この時の驚くヴィ ヴィアンの表情は必見だ。
 上手い!


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

人騒がせ な牛をメラニーの赤ちゃんのミルク用に連れて、更にタラへ向かう。
辺 りは真っ黒だ。
ス カーレット・・・「着いたわ!

タラよ!」
馬 を鞭打つ。
ス カーレット・・・「進むんだよ!」
倒 れる馬。
プ リシー・・・「死んじまった!」
ス カーレット・・・「家が見えない 焼けた の?」
そ の時、月明かりが射しこんでくる。
ス カーレット・・・「あった! 焼けてないわ!
無事だった!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

家へ向 かって駆け出すスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「お 母様! 戻ったわ!
お母様! 戻った わ!」
ド アを叩く、
ス カーレット・・・「お母様! 私よ!

私よ! 戻ったわ!」
ド アが開かれる。
夢 遊病者ように黙ったままジェラルド(トーマス・ミッチェル)が 立っている。
ス カーレット・・・「お父様 戻ったわ」
ジェ ラルドに抱きつく。
記 憶を呼び戻したようにしてジェラルドは、
ジェ ラルド・・・「お前… スカーレット!」と抱き 寄せる。
マ ミー(ハティ・マクダニエル)が寄ってくる。
マ ミーに気が付くスカーレット。
ス カーレット・・・「マミー マミー」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

抱きつき 泣き出すスカーレット。
抱 き寄せるマミー。
ス カーレット・・・「お母様は?」

困っ た表情になって、
マ ミー・・・「妹様方は チフスにかかられて…
もう治られたが ひどく細くおなりだ」と言う マミー。
眉 間に皺を寄せて、
ス カーレット・・・「お母様は?」と言う スカーレット。
言 葉を詰まらせて、
マ ミー・・・「奥様はろくでなしの エミーの看 病をして」と言う マミー。
動 悸がするスカーレット。
ス カーレット・・・「…」
マ ミー・・・「病気をうつされて」
緊 張に顔が強張ってくるスカーレット。
ス カーレット・・・「…」
マ ミー・・・「そして昨夜…」
ス カーレット・・・「お母様?」
エ レン(バーバラ・オニール)を探すスカーレット。
声 を上げ「お母様?」部屋を見回し「お母様?」マミーに近寄り奇異な声で「お母様は?」
マ ミーが光が漏れている部屋のドアの方へ視線を向ける。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

動悸に押 し潰されそうになりながら視線をドアの方へ向け歩き出すスカーレット。
そ してドアを開く。
そ こにはロウソクの灯りに囲まれたエレンの遺体が…

ス カーレットは現実を受け止めたくない気持ちを持ちながら近づいて行く。
そ して現実を目の前にした時、悲鳴と共に崩れ落ちる。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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〜重荷〜

それか ら、どのくらい経ったのだろう。
泣 きはらしたスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が部屋から出てくる。
心 配して待っていたマミーや召し使いのポーク(オスカー・ポルク)が寄ってくる。
ポー ク・・・「何かご用 は?」
ス カーレット・・・「メラ ニーはどう?」
マ ミー・・・「心配はねえ だ 赤ちゃんとお休み だで」
頷 きスカーレットは、
ス カーレット・・・「牛は 納屋に入れてね」
ポー ク・・・「納屋はねえ です」
驚 き向き直るスカーレット。
ポー ク・・・「北軍がたき 木にしちまって」
マ ミー・・・「ここを司令 部にしてただ」
ポー ク・・・「大勢が野営 を」
ス カーレット・・・「北軍 がここに?」
マ ミー・・・「あげく盗ん でいっただ 衣類も敷 物も」
悲 しそうに、
マ ミー・・・「奥様のロザ リオまで」
溜 息をつくスカーレット。
ス カーレット・・・「何か 食べる物を」
マ ミー・・・「みんな食わ れちまった」
ス カーレット・・・「にわ とりも?」

ポー ク・・・「食った残りは 鞍につけて行った です」
ス カーレット・・・「もう聞きたくないわ」
ス カーレットが視線を向けるとジェラルドが目にとまる。

近 寄る。
そ して、ジェラルドが精神異常になっている事に気付く。
 驚く表情が細やかに移り変わってゆくヴィ ヴィアンの見事な演技だ。
ジェラルドの肩に両手を置き、
ス カーレット・・・「何も心配しないで スカー レットがいるわ
大丈夫よ」と 言う。
 胸をうつ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

あまりに も多くの悲しみや衝撃に憔悴し疲れきっているスカーレットに、
マ ミー・・・「メラニー様や赤ん坊に 何を差し 上げたら?」と言う マミー。

首 を横に降り、
ス カーレット・・・「分からない」と言う スカーレット。
マ ミー・・・「畑には大根しかねえです」
ス カーレット・・・「…」
プ リシー・・・「妹様方が 体をふいてくれっ て」
ス カーレット・・・「召し使いたちは?」
マ ミー・・・「あたしら以外は 兵隊に行ったり  逃げたり…」
ス カーレット・・・「…」
プ リシー・・・「一人で赤ん坊と病人たちの 世話はできねえだ」
ポー ク・・・「乳しぼりは誰が? 外働きがいねえです」
ス カーレット・・・「…」
スカーレットはタラに帰れば重荷がおろせ優しく包み込んでくれる母がいる。
その思いがあったからどんなに過酷で困難な道でも突破し、どんなに重荷を背おあさ れても背筋をあげて頑張って帰って来たのに母はいない。
重荷は益々のしかかってくる。
辺 りを見回すと焼け野原だ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

疲れ果て て、フラフラしながら空腹の胃袋に入れられるものを求めて足を進める。
ふ らつき畑へ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

もう限界 だ!
大 根を見つけ飛びつく。
や せ細った大根を手にし、かじる。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

弱った胃 は受け入れず吐く。
惨めさと屈辱感におおわれ涙 し蹲る。
そして、蹲っていたスカー レットが立ち上がる。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

荒れ果てた畑で力を振り絞って誓う。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「神 よ お聞き下さい
この試練に私は負けま せん
家族に二度と ひもじ い思いはさせません 生き抜いてみせます!
たとえ盗みをし 人を 殺してもでも!
神よ 誓います 二度 と飢えに泣きません!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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 感動的なシーンだ。
 蹲っていたスカーレットが立ち上がる。
 その時の蠢く様に動くヴィヴィアンの左右の肩甲骨の動きがい い。
 生が見える。
 躍動し立ち上がった姿に自分と重ね合わせて観ていた私は、身を乗り出し「頑 張れ!」と内なる声でエールを送っていた。

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※前編終了、草鹿宏著でヴィ ヴィアンはスカーレットに相応しく、世界中から選び抜かれた唯一の女優である。と語ら れたヴィ ヴィアン・リーと原作者マーガレット・ミッチェルにレットはゲーブルをイメージして書 いたと言われたク ラーク・ゲーブル。映画史に燦然と輝く『風と共に去りぬ』の後編をお楽しみ下さい。

後編

    
          クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

 映画史に燦然と輝く『風と共に去りぬ』の後編は、マーガレット・ミッチェル が作 り出した4人のキャラクターが、浮き彫りになって行く。
 中でも、誇り高きスカーレット・ オハラの波乱万丈の行く末は…

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〜南部の荒廃〜

“風はジョージアを吹き荒れた 北軍の進撃!
南部同盟を分断 屈服させよ うとー 侵略者たちは進軍を続けた
アトランタから 海に至る広 大な地域にー
破壊の跡を残しながら…”


『風と 共に去りぬ』

タ ラは生き残った
敗北の地獄と飢えの中に…

綿畑でス カーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の妹スエレン(イヴリン・キー ズ)が小言を言ってい る。
ス エレン・・・「背骨が折れ そうよ
お姉様ったら 人をこき使って!」
ス カーレットが両手に水を入れた桶を持って寄って来て、
ス カーレット・・・「悪 かったわね
でもタラは私一人では 手に負えないの」と言 う。
ス エレン・・・「タラなんて 嫌いよ」と言う スエレンを睨み平手打ちするスカーレット。
ス カーレット・・・「タラ を嫌いだなんて!」
悲 しみを込めて、
「親を憎むのと同じよ」
両 手に水桶を持って立ち去る。

スカー レットの方へジェラルド(トーマス・ミッチェル)が寄って来る。
両 手に水桶をさげ疲れ果てているスカーレットに向かって、
ジェ ラルド・・・「使用人に厳しくしすぎるのは 感 心できんよ」
と言い 出す。
流 れ落ちる汗を拭き、


『風 と共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、トーマス・ミッチェル

スカー レット・・・「私 だって休みなしに 働いてるわ」と言う スカーレット。
肩 で息をしているスカーレットにジェラルドは、
ジェ ラルド・・・「母さんに相談しよう」と何時 もの口癖を言う。
ス カーレットは視線の定まっていない父を見て落胆する。

水桶を広 間に持ってスカーレットが入って来る。
体 が衰弱しているメラニー(オリビア・デ・ハビランド)が2 階から降りて来て、
メ ラニー・・・「あなたが働いてるのに 寝てい られないわ」
と言 う。
ス カーレット・・・「その体では無理よ」
ス カーレットの役に立ちたいと思いを込めて、
メ ラニー・・・「でも何か…」と言 い、嬉しそうにスカーレットの返事を待つメラニー。


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「今  病気をひどくしたら その分 世話が焼けるわ!」
メ ラニー・・・「考えが足 りなかったわ」と言 い、スカーレットの役に立てなくてがっかりして階段を上がって行く。
 メラニーがスカーレットを好き、いや、愛していることが演出されている。
 スカーレットの役に立つ、それはメラニーの喜びでもあるのだ。

外で馬の ひづめの音がし北軍の騎兵が銃を片手に辺りを窺うようにして入って来る。
気 が付いたスカーレットはレッド(ク ラーク・ゲーブル)に 貰った銃を取りに行く。
足 音がしないように靴を脱ぎ北軍の騎兵を捜す。が、階 段で見つかる。
北 軍の騎兵・・・「誰だ? 動くと撃つぞ!」と言い ながら銃を片手に、もう一方の手にエレンの裁縫箱を持ってスカーレットを威圧する。
そ して、
北 軍の騎兵・・・「何を隠してる?」と言っ てスカーレットに近づいて来る。
目 の前に北軍の騎兵が来た時、後ろ手に隠していた銃を放つスカーレット。
北 軍の騎兵の顔面に命中する。
階 段を転げ落ちる。
恐 怖の表情を浮かべて見ているスカーレット。
物 音が聞こえスカーレットが振り向くと、
危 機を感じた寝巻き姿のメラニーが踊り場にサーベルを握って来ていた。
ス カーレットに向かって称賛の気持ちを込めて、
メ ラニー・・・「やっつけたのね
よくやったわ」と言う メラニー。
銃 声に驚いてスエレンたちが外の方から走って来る足音や声がする。
踊 り場の窓を開け、
メ ラニー・・・「スカーレットが銃の手入れをし てたら暴発したの」と機転 を利かせるメラニー。
ス エレンたちは戻って行く。

スカー レット・・・「う そが上手ね」と言い ながらも感謝の表情を浮かべるスカーレット。
 メラニーがスカー レットの役に立った喜びが、この後に行動を共にする時の仕 草に表されている。
メ ラニー・・・「埋めなくちゃ 北軍に見つかっ たら…」
ス カーレットに近づいて腕を掴む。

ス カーレット・・・「一人で来たわ 脱走兵よ」
メ ラニー・・・「でも隠さなきゃ 何から足がつ くか分からないし」
ス カーレット・・・「あずまやの下に埋めるわ  でも どうやって運ぼうか?」
メ ラニー・・・「2人で引きずるのよ」
ス カーレット・・・「あなたは無理よ」
メ ラニー・・・「雑嚢を探ってはいけない?」


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「よ く気がついたわ」
スカーレットと一緒に行動するメラニーに活気が見える。

スカー レットが死体を引きずって運ぼうとすると床に血の跡が付く。
ス カーレット・・・「ガウ ンを貸して 頭に巻く わ」
そ して、寝巻きをスカーレットに渡す。
恥 じらうメラニー。
ス カーレットは死体を運びながら、
ス カーレット・・・「私は 人殺しね」と顰め る。
そ して、スカーレットの口癖、
「考えるのは明日にするわ」と言 う。

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〜終戦〜

南軍が降 伏し戦争が終わる。
ア シュレー(レスリー・ハワード)が戻ってくると喜ぶメラ ニーとスカーレット。
そ して、スカーレットはアシュレーが帰ってきた時のことを思い、
ス カーレット・・・「綿を 育てましょう 天に届 くほど」と農作 業に意欲を燃やす。

“戦 いに敗れた兵士たちはー 皆 家路についた
かっては富と 気品に満ちていた故郷へと
彼らと共に来た残酷な侵略者 それは北部の悪徳政治家だった”

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〜スカーレットとメラニー〜

帰還兵の 世話をしているメラニー(オリビア・デ・ハビランド)を呼ぶスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
嬉 しそうにしてスカーレットの所に来るメラニー。
ス カーレット・・・「死ぬ ほど働いて 手に入れ た食糧をー
あんな人たちに与えるなんて
イナゴにあげるのと同じよ」
メ ラニー・・・「怒らない で それより アシュ レーは捕虜になったと」
ス カーレット・・・「捕虜 に?」
メ ラニー・・・「もし生き てたら 今ごろは釈放 されてるわ
どこかで北部の女性に 情けをかけられてー
食事を分けて もらってるかも」
ス カーレット・・・「なら  いいけど」と、軽 く手をメラニーに添え理解を示してやる。

 この後に、フランク(キャ ロル・ナイ)がスエレン(イヴリン・キーズ)との 結婚の承諾を願う場面がある。
 ヴィ ヴィアンは洗濯物を腕に掛ける仕草で、スカーレットが今や家長であることを知らせる演 技をした。
 これは、『美 女ありき』の中でハーディ艦長が、再びネルソン提督を必要としているとエマに頼む場面 でも見られる。

一人の兵 士が家に向かって道をヨボヨボして歩いて来ているのを見て、
ス カーレット・・・「また来たの
食べるかしら?」
マ ミー・・・「もちろん」

メ ラニー・・・「用意するわ」
 この後のシーンで、スカーレットとメラニー、メラニーとアシュレー、スカー レットとアシュレー(レスリー・ハワー ド)の結びつきを演出している。
 アシュレーに気が付くメラニーと気が付かないスカーレット。
 スカーレットはアシュレーの幻想を追い求めているだけだから、容姿が変わる と判からない。
 それよりも、メラニーが見知らぬ人の方へ行こうとしているのを引き止めよう としている。


『風と 共に去りぬ』ハティ・マクダニエル、オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィア ン・リー

 メラニーとの繋がりが強いことを示している。
 上手い演出だ。
 スカーレットとメラニーは好対照でありながら、いや、あるからこそと言った 方がいいかもしれないが惹かれあっている。
 ただ、メラニーは気付いているが、スカーレットはそれに気付くまで年月が必 要だった。
 勿論、この時点では気が付いていない。

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〜スカーレットとアシュレー〜

ス カーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が税金300ドルの相談を アシュレー(レ スリー・ハワード)にする場面である。
 ヴィ ヴィアン・リーが一番、得意な艶かしい演技が見られるところだ。

働いて働 いて貯まったのは10ドルぽっきりだ。
タ ラにかけられた税金300ドルを払うのは、今のスカーレットには不可能な金額だった。
ア シュレーに相談しに行くスカーレット。

屋 外で不向きな仕事をしていたアシュレーから帰って来た言葉は、
ア シュレー・・・「僕は今 生き地獄をさまよ いー
孤独にうめいている」
聞 きたくないとばかり嫌悪の表情を浮かべるスカーレット。
ア シュレー・・・「君は恐怖を抱いたことなど  ないだろう
現実に挑みー
僕のように逃げたりしない」
視 線をアシュレーに向け、とんでもないとばかりに詰め寄り、
ス カーレット・・・「逃げない?
違うわ 私も逃げたい もう疲れ果てたわ
耕したり 綿を摘んだりは もうたくさん」
気 持ちが高ぶり、
「南部は死んだのよ
死んだのよ
すべてを 北部に奪われてしまったわ」
ア シュレーに言い寄る。
ス カーレット・・・「アシュレー メキシコへ逃 げましょう」
驚 くアシュレー。
ス カーレット・・・「そして二人で暮らすのよ
あなたのためなら 何でもするわ
あなたが愛してるのは 私だって言ったでしょう
それにメラニーは もう子供を産めないのよ」
ア シュレー・・・「昔のことは忘れるんだ」
ス カーレット・・・「忘れられないわ あなたも 私を愛してるのに」
ア シュレー・・・「愛していない」
ス カーレット・・・「うそよ!」
ア シュレー・・・「メラニーを捨てられると思う か
君は父上や妹を捨てられるか」
泣 きながら、
ス カーレット・・・「できるわ あなたのためな ら!」
ア シュレー・・・「君の心境は よく分かる
一人で家族を支えてきた 今後は僕も手伝うよ」
ス カーレット・・・「それより連れて逃げて!  誰に遠慮もいらないわ」
ア シュレー・・・「そうか…
誇りはどうなる」
悲 しそうに背を向け歩き柱に寄りかかるスカーレット。
そ して、泣き出すスカーレット。
歩 みより抱き寄せ宥めるアシュレー。
ア シュレー・・・「スカーレット お願いだ 泣 くのはやめて
泣きやんで 元気を出して」
額 にキスをするアシュレー。
目 と目が合う。
抱 き合いキスする。
そ して、スカーレットは泣き崩れながら、
ス カーレット・・・「私を愛してるくせに… そ う言って!
愛してると言って!
愛してると言って!」
ア シュレー・・・「いけない 僕は家族を連れて タラを出る」
ス カーレット・・・「愛してると言って!
愛してると言って!」
ア シュレー・・・「僕は君の勇気を愛している」
ス カーレット・・・「愛してると言って!
愛してると言って!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

アシュ レー・・・「だか ら もう少しで妻や子を 忘れそうだった」
ス カーレット・・・「愛してると言って!」
ア シュレー・・・「僕には妻子がいるんだ!」

思 いを振りきろうと顔を背けるアシュレー。
取 り乱していたスカーレットが我にかえって、寂しそうに、
ス カーレット・・・「じゃ… 私はもう終わりよ
戦う目的も 生きる望みもないわ」
ア シュレーはスカーレットに向き直り、
ア シュレー・・・「いや あるとも
僕より愛しているものが  君にはある」
足 元の土を掴む。
ス カーレットの手に包み込むようにして渡す。
「タラだ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

手の平の 一握りの土を見ながら、
ス カーレット・・・「そう だったわ」
屋 内へ行きかけて立ち止まり振向く。
「行かないで
恨んで ひもじい思いを させたりしないから
二度と取り乱さないわ」
ア シュレーから遠ざかって行くスカーレット。
頭 を垂れているアシュレー。
 「愛してると言って!」と泣き崩れるヴィ ヴィアンの演技は脆くて切ない。
 ヴィ ヴィアン両肩の動きが女心を切々と訴える。
 抱きしめてやりたい衝動にかられるのはアシュレーだけではない。
 映像を見ている私も気持ちが高ぶり揺り動かされる。

ジェラル ドはかって世話していた男ウィルカースンの横暴さに腹を立てる。
怒 り狂って馬でウィルカースンが乗った馬車を全速力で追う。
柵 を飛び越えようとしたが、つまずいた馬から投げ飛ばされ死ぬ。

父は死に 税金も払う手段がつかない。
ど うしたものかと考えあぐねているスカーレット。
マ ミー(ハティ・マクダニエル)が口にし た、「金を持ってるのはー 北部の やつらだけだね」と いうのに反応して、

ス カーレット・・・「レットよ」と言 い、案を思い付くが、
「やせて青白くて… ドレスもないし…」
割 れた鏡を覗き込んでいたスカーレットの目にカーテンが。
カー テンの方へ行き生地を触って素材を確かめる。
マ ミーに向かって、
「ドレスの型紙を持ってきて」と言 う。
 この後、ヴィ ヴィアンの品定めをする仕草がいい。


『風と 共に去りぬ』ハティ・マクダニエル、ヴィヴィアン・リー

マ ミー・・・「奥様の カーテンで何を?」
ス カーレット・・・「ドレ スを作るの」
マ ミー・・・「あたしの目 の黒いうちは そんな こと…」
ス カーレット・・・「私の ものよ お金を工面し に アトランタへ行くの」
マ ミー・・・「誰と?」
ス カーレット・・・「独り で」
マ ミー・・・「ダメです!  あたしも付き添いま すよ」
ス カーレット・・・「マ ミー…」
マ ミー・・・「猫なで声を 出しても だまされね え
絶対ついて行きますだよ」

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〜再会〜

監獄に囚 われの身になっているレット(ク ラーク・ゲーブル)の妹だと言い面会するスカー レット。
看 守に案内されてスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が入って来る。
ス カーレット・・・「レット!」

ス カーレットを出迎えるレット。
レッ ト・・・「スカーレット! 懐かしの妹よ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブルら

両腕に彼 女を抱き締め額にそっとキスをする。
看 守に向かって、
レッ ト・・・「脱獄の道具を 差し入れに来たん じゃない」
と言い 覗き込もうとしている看守を遮る。
 この時のゲーブルの目の動きがチャーミングだ。
そ して、嬉しそうにスカーレットに寄って行き、
レッ ト・・・「キスしていいか?」と言 う。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「額 にね お兄様」
レッ ト・・・「兄貴はつまらんな」
ス カーレット・・・「あなたが捕らえられたと聞 いて 心配したわ
縛り首って本当?」
レッ ト・・・「うれしいか?」
ス カーレット・・・「まあ、レット」
レッ ト・・・「心配するな
やつらの目当ては お れの金だ」
やっ ぱり持っているんだというような表情を浮かべるスカーレット。
レッ ト・・・「南軍の金を 持ち逃げしたと思って いる」
ス カーレット・・・「そうなの?」
魂 胆見え見えのスカーレット。
レッ ト・・・「いい質問だ だが金の話なんてよそ う
よく来てくれた 相変 わらず美人だ」
下 がってスカーレットの両手を持ち全身を見回すレット。
笑 みを浮かべて、
ス カーレット・・・「田舎娘を おだてるのがお 上手」と言う。
レッ ト・・・「醜い女は見飽きた 回って」
両 手を上げ可愛らしく回るスカーレット。
レッ ト・・・「さすが豪華版だな」
抱 き寄せ食い入るように見詰めるレット。
ス カーレット・・・「タラの暮らしは優雅よ
でも退屈なので たま には都会の空気を吸わなきゃ」
微 笑み合う二人。
ス カーレットを椅子に座らせ、
レッ ト・・・「賛成だ 君は 田舎にはもったいな い女だ」
と言い スカーレットの目の前に座るレット。
ス カーレット・・・「あなたが牢獄にいると聞い て とっても悲しかったわ
でも私を見捨てたあなたを 許したわけじゃないのよ」
レッ ト・・・「そりゃ手厳しい」
ス カーレット・・・「でも あなたは命の恩人だ しー
私は何不自由なく 気ままに暮らしてるのにー
あなたは牢獄にいるんですもの それも馬用のね」
立 ち上がり離れながら、
「私って 泣きたい時には 冗談を言うの」
後 ろを向き、
「泣いちゃうわ」と言 う。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

信じられ ない様子でスカーレットを見ているレット。
レッ トの反応を待つような目をし、いたずらっぽく脣を噛んでいるスカーレット。
 愛らしい。
ス カーレットに近寄りながらレット。
レッ ト・・・「スカーレット まさか…」
ス カーレットを振向かせるレット。
鼻 をすすって悲しんでいるふりをするスカーレット。
ス カーレット・・・「何なの?」
両 手でスカーレットを掴み顔を覗き込むレット。
レッ ト・・・「優しい女心が芽生えたか?」
頷 きながらスカーレット。
ス カーレット・・・「そう… そうよ」
ス カーレットの両手を持ちながら、
レッ ト・・・「馬小屋に入ったかいがあった」
両 手の甲にキスをし、
「うれしいな…」
更 に、手の平にキスしようとするレット。
荒 れた手の平を見るレット。
し まったと手を引っ込めようとするスカーレット。
ス カーレットの両手をしっかり掴んで睨み、
レッ ト・・・「虚勢を張るのはよせ 優雅な暮らし をしてるだと?」と言 う。
困っ たというような顔をしながら、
ス カーレット・・・「ええ」と呟 く。
凄 まじく、
レッ ト・・・「この手は何だ?」
と言う レット。
ス カーレット・・・「馬に乗ったから…」
レッ ト・・・「これは小作人の手だ 一体 何をた くらんでる?」
ス カーレット・・・「あの、レット…」
レッ ト・・・「おれが心配だと?」
ス カーレットの手を振り落とし離れる。
後 を追いながらスカーレット。
ス カーレット・・・「本当よ」
怒っ て振向き、
レッ ト・・・「本音を言えよ おれから何を巻き上 げたい?
金か?」と言う レット。
仮 面が剥がれやむなく説明するスカーレット。
ス カーレット・・・「税金に支払う300ドルよ
優雅な暮らしなんて うそよ 地獄のような毎日
助けてちょうだい」
呆 れながら、
レッ ト・・・「担保は何だ?」と言う レット。
ス カーレット・・・「耳飾りは?」
レッ ト・・・「バカ言え」
ス カーレット・・・「じゃタラは?」
レッ ト・・・「興味ない」
ス カーレット・・・「じゃ来年の綿の収穫」
レッ ト・・・「話にならん ほかには?」
一 瞬躊躇して、
ス カーレット・・・「私が好きだと言ったわね  まだ好きなら…」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「おれは独身主義だぞ」
首 を振りながら、
ス カーレット・・・「知ってるわ」と言う スカーレット。
見 詰めるレット。
必 死のスカーレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「300ド ルは高すぎる
男を食い物にする女だ」と侮辱 し背を向け窓の方へ行くレット。
レッ トを視線で追い声を強めるスカーレット。
ス カーレット・・・「お金 のためなら 侮辱に耐 えるわ
生きてる限りは タラを手放したくないの」
レッ トの方へ行き嘆願する。
「お願い お金をちょうだい!」
振 り向き、
レッ ト・・・「ご期待に添 えんな 金はリバプール だ
北軍に知られたら没収される」と言 い、バカにしたような口調で、
「恥をさらしに来ただけだな」と言う レット。
ス カーレット・・・「OH」
「OH」
叫 びレットを叩く。
押 さえ込もうとするレットの腕に噛み付こうとしたりして暴れるスカーレット。
制 止させようと手をスカーレットの体にまわして押さえ、
レッ ト・・・「やめろ?」と言う レット。
押 さえているレットの手に再び噛みつこうとしているスカーレット。
レッ ト・・・「見られる」
やっ と離れてスカーレット。
ス カーレット・・・「この 悪党! 初めから知っ てたくせに!
なのに人に恥をかかせて!」
入 り口の方へ行くスカーレット。
ス カーレットに近寄りながら、
レッ ト・・・「おれの処刑 に立ち合えば 何か遺産 をくれてやるさ」
入 り口で振り向くスカーレット。
そ して、睨み怒りを爆発させ引き戸を荒く開けながら、
ス カーレット・・・「縛り 首を見て 目の前で万 歳してやるわ!」と言い 捨て出て行くスカーレット。
レッ ト・・・「フフフ」と笑い 見送るレット。

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〜ケネディの店〜

レットに お金を借りようと企てた作戦が不発に終わり、アトランタの町をマミー(ハ ティ・マクダニエル)と歩いているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
フ ランク・ケネディ(キャロル・ナイ)が 呼び止める。
店 を開いていると言う。
店 に案内されたスカーレットは中を見回す。
フ ランク・・・「規模は小 さいんですが頑張って ますよ」
ス カーレット・・・「業績 は?」
フ ランク・・・「おかげで何 とか
僕には商才があるようでして
スエレンと すぐ結婚できそうです」
ス カーレット・・・「そん なに ご繁盛?」
フ ランク・・・「百万長者と はいきませんが 千ドルほど貯めました」
そ うなんだとばかりに、さらに見回すスカーレット。
ス カーレット・・・「材木 まで…」
フ ランク・・・「副業にね」
驚 くスカーレット。
ス カーレット・・・「副 業? だってこの辺は  大変な建築ブームでしょ」
フ ランク・・・「本業には資 金不足でね 家も買わなければ」
ス カーレット・・・「何の ために?」
フ ランク・・・「スエレンと 暮らします」
ス カーレット・・・「彼女 とアトランタで?」
残 念とばかりに、
「期待できないわね」
浮 かぬ表情のスカーレット。
気 になるフランク。
フ ランク・・・「どういう意 味です?」
フ ランクの反応に名案を思いつき、
ス カーレット・・・「何で もないの」
声 のトーンを変え愛想笑いをし甘えるように、
ス カーレット・・・「叔母 の家へ送って下さ る?」と言うスカーレッ ト。
ス カーレットの笑顔に反応し、
フ ランク・・・「喜んで」
い そいそと仕度をするフランク。

馬車に乗 り込みながら、
ス カーレット・・・「夕食をご一緒しません?  お別れしたくないわ」と言う スカーレット。

ス カーレットが馬車に乗るのを助けると、
フ ランク・・・「今日はいい予感がしてました」と言 い、
馬車の手綱を解きながらスカーレットを覗き込み、

フ ランク・・・「スエレンの近況を 聞かせて下さい」と言う フランク。
視 線をそらし困ったような表情をするスカーレット。
フ ランク・・・「どうしました? まさか病気じゃ…」
詰 め寄るフランク。
視 線をそらした目をフランクに向けて、
ス カーレット・・・「まあ、違うわ! そうじゃ ないのよ!」
困っ たなぁーとばかりに、
「彼女から聞いていない? もっとも本人の口からはね
何て薄情な妹でしょう」と言う スカーレット。
フ ランク・・・「何ですか? 教えて下さい」
急 いでスカーレットの横に座ったフランクに、
ス カーレット・・・「近くの人と結婚するの」と言う スカーレット。
馬 車の後部で驚くマミー。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、ハティ・マクダニエル

フラン ク・・・「…」
ス カーレット・・・「きっ と待ちくたびれたの ね」
茫 然としているフランクを見ながら、
「私もつらいわ」
更 に、誘惑しようと、
「まあ 寒いこと ポケットに手を入れさせて」と迫 る。
口 をポカンとあけスカーレットを見ているマミー。
 スカーレットが自分に好意を持っているフランクを手玉に取るところを、コミ カルに演じたヴィ ヴィアンの技が冴える。
 それに、驚くマミーの表情がいい。

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〜ケネディ夫人〜

「アトランタ・ナショナル銀行殿
ジョージア州微収官に 税金300ドルの送金を
スカーレット・オハラ・ケネディ」

タラの税 金をフランクと一緒になり支払ったスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
泣 きながら、
ス エレン・・・「ひどいお姉 様! 私のフランクと結婚するなんて
横取りしたのよ」と言う スエレン(イヴリン・キーズ)
メ ラニー・・・「タラを救 うためだわ」
ス エレン・・・「お姉様なん て大嫌い!」
泣 きながら駈けて行くスエレン。
宥 めようと追うメラニー(オリビア・ デ・ハビランド)とカ リーン(アン・ラザフォード)

それを見 ているアシュレー(レスリー・ハワード)
悲 しげな表情で座っているスカーレット。
ア シュレー・・・「責任は俺にある 強盗でもす りゃよかったよ」

ス カーレット・・・「そんなことさせないわ も う済んだことよ」
ア シュレー・・・「済んだことか…
僕がふがいないので 君に犠牲を強いてしまった
俺も男だ 貢献してみせる」
ス カーレット・・・「何の話?」
ア シュレー・・・「ニューヨークへ行く」
驚 き立ち上がるスカーレット。
ア シュレー・・・「銀行で働くよ」
ス カーレット・・・「ダメよ そんなの」
考 えを廻らして思いとどまらせようとアシュレーの前に行き、
「あなたには材木の商いを 手伝ってもらおうと」
ア シュレー・・・「僕は素人だ 何も知らない」
ス カーレット・・・「銀行のお仕事は専門家?」
考 えがひらめいて、
「利益は折半しましょう」
ア シュレー・・・「ありがたい話だが…」
よ かったという表情を浮かべるスカーレット。
ア シュレー・・・「ここで再び 君の力を借りた らー
独り立ちができなくなる」
ス カーレット・・・「心配ないわ あなたの持ち 分を 少しずつ増やして…」
そ ういうことではないとばかりに姿勢を起こし首を振るアシュレー。
ア シュレー・・・「ダメだよ」と言い 部屋を出て行こうとするアシュレー。
そ れを見て泣き始めるスカーレット。
ス カーレット・・・「OH アシュレー」
ア シュレーの反応を盗み見しながら、


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

泣く振り を続ける。
振 り向くアシュレー。
ス カーレット・・・「ア シュレー」
ス カレットに戸惑いながら数歩近づき覗きこんでいるアシュレー。

スカー レットの泣き声に驚いてメラニーが入って来る。
メ ラニー・・・「スカーレット」
突っ 立っているアシュレーを見る。

泣 いているスカーレットを抱き寄せて座り、
「どうしたの?」と言う メラニー。
ス カーレット・・・「アシュレーが いけない の」
ス カーレットを抱きながらアシュレーの方を向き、
メ ラニー・・・「何を?」と言う メラニー。
困っ た表情で、
ア シュレー・・・「アトランタへ来いって」と言う アシュレー。
抱 き寄せられたままメラニーをちらっと見ながら、
ス カーレット・・・「お店を手伝ってほしいのに  イヤだって」と言う スカーレット。
ア シュレーに向かって、
メ ラニー・・・「自分勝手な人ね」
言 葉を返そうとするアシュレーに喋る暇を与えず、
「考えてごらんなさい スカーレットは命の恩人よ」と言う メラニー。
参っ たとばかりに言葉を挟めないないでいるアシュレー。
ス カーレットを前にし見詰め、
メ ラニー・・・「ここでも身を粉にして 私たち を養ってくれたのよ」
再 び、スカーレットを強く抱きしめ、
「かわいそうに」と言う メラニー。
 大袈裟な仕草が可笑しいオリビア。
泣 く振りを続けるスカーレット。
諦 めて、
ア シュレー・・・「分かった アトランタへ行こ う」と言うアシュレー。
よ かったという表情をし、スカーレットを抱いている手に力を込め思いを伝えるメラニー。
ア シュレー・・・「君たちには勝てん」と言 い、部屋を出て行くアシュレー。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、オリビア・デ・ハビランド、レスリー・ハ ワード

上手く 行ったと左右に目を動かしているスカーレット。
 愛らしいヴィ ヴィアン
敗 北したアシュレーが頭を垂れて部屋を出て行く。
 スカーレットとメラニーの結びつきの強さをコミカルな演技で見せるヴィ ヴィアンとオリビア。

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〜商売〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)は製材所を大々的にやりだしてい る。
北 軍と商売したり囚人を雇ったりしているやり方にアシュレー(レスリー・ハワード)が意見を言う。
そ れに対してスカーレットは、
ス カーレット・・・「貧乏 のつらさを忘れたの?  私は絶対に忘れないわ
タラを追い出されないように たくさん お金を貯めるの」と言 う。
ア シュレー・・・「南部人 は皆 辛苦を重ねてい る
しかし誇りと情けは 失っていないよ」
ス カーレット・・・「飢え てね そんな愚か者に 用はないわ
私は北部人と商いをして 最後に勝利を握ってみせる」と言う スカーレット。

益々、拡 大させているスカーレットに、
メ ラニー・・・「南部を滅 ぼした相手に よく商 売できるわね」と言う メラニー。
ス カーレット・・・「もう 終わったことよ 彼ら を利用してやるの」と言う スカーレット。

「戦 争終結につき 貸売お断り」と窓口に掲げてお金を 数えているスカーレット。
ミー ド夫人・・・「北部人を相手に 材木を売り歩いてるそうよ」
メ リーウェザー夫人・・・「恥 知らずね」
イ ンディア・・・「兄に無理難題を押しつけるの」
ピ ティパット叔母・・・「自分で馬車を走らせてね」と人々 がスカーレットを非難する。

レット(ク ラーク・ゲーブル)が葉巻をくわえながら“ウィ ルクス&ケ ネディ”の看板をつけている馬車を見ている。
ス カーレットが馬車の方へ来るのが見えニヤリと笑い、
レッ ト・・・「これは懐か しい ケネディ夫人です な」
帽 子を取って深深とお辞儀をするレット。
ス カーレット・・・「何て 恥知らずの男なの」
レッ ト・・・「待ってりゃ  おれの100万ドルが  転がり込んだのにな」
頭 を振って残念だったなぁとばかりにからかうレット。
馬 車に乗る準備をしながらスカーレット。
ス カーレット・・・「何の 用? 忙しいのよ」
レッ ト・・・「ご本人にぜ ひ うかがいたいことが ある」と言うレット。
ス カーレット・・・「何な の?」
レッ ト・・・「愛してない 男と 結婚するのが趣味 か?」
怒っ て、
ス カーレット・・・「早く 縛り首になって!」
ス カーレット
声 を出し笑うレット。
レッ ト・・・「金で命を買 える世の中だ
君もウィルクス君を 買ったろう」
ス カーレット・・・「まだ 彼が嫌い? 嫉妬して るのね」
自 尊心を持って馬車に乗ろうとしているスカーレットを制して、
レッ ト・・・「相変わらず 大した自信だ
男は皆 自分のとりこになると 思ってるのか」と言う レット。
怒っ て、
ス カーレット・・・「どい て!」
馬 車に乗りこむスカーレット。
ス カーレットに手を添えようとしながら、
レッ ト・・・「怒りたもう な どこへ行く?」と言う レット。
馬 車に座って、
ス カーレット・・・「製材 所よ ほっといて!」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「悪名高い貧 民窟を 独りで通り抜け るのか?」
膝 掛けをし銃をその上に見せ付けるように置き、
ス カーレット・・・「ご心 配なく 銃を持ってる わ」
背 筋を伸ばし馬車を走らせるスカーレット。
レッ トは笑い感心したような表情を浮かべ、
レッ ト・・・「恐れ入っ た」と見送 る。

貧民窟で 襲われるスカーレット。
そ こに居合わせたビッグ・サムが助ける。

サムから 事情を聞くフランク。
ス カーレットの様子を見て決意を固め、
フ ランク・・・「君はメラ ニーさんの家に 僕は 集会に出席する」と威厳 のある言い方をする。
怖 い思いをして泣いているスカーレットはフランクの言ったことに驚き、
ス カーレット・・・「私が あんな目に遭ったのに  よく出かけられるわね」と言 う。
ス カーレットの頭にキスして、
フ ランク・・・「かわいそう に 怖かったんだね」と優し く見詰めるフランク。
ス カーレット・・・「私な ど どうでもいいのよ  ささいな出来事よね!」と泣い ているスカーレット。
フ ランクの反応を確かめながら。
フ ランクはドアの前でスカーレットの方を振り向く。
誇 りと情けを持つ南部の男の顔をして、帽子を静かに被り銃を懐からズボンの腰の所に移動させる。

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〜メラニーの家〜

マミー(ハティ・マクダニエル)はド アの所で、メラニー(オリビア・デ・ハビランド)、スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)、ミード夫人(レオーナ・ロバー ツ)、インディア(アリシア・レット)はテーブルを囲み編 物などをしている。
時 計の音がチクタク鳴るだけで嫌な空気の静けさに我慢できなくなったスカーレットが沈黙を破る。
ス カーレット・・・「男なんて身勝手よ 口先だ け
襲われた私を置いて  集会に出かけるなんて」
メ ラニーが反応し何かいいたそうにスカーレットを見上げる。が、ス カーレットと目が合いそうになり、すぐに編物をしている自分の手元に戻す。
ス カーレットはメラニーの方を見る。
反 応がないので視線を他に移そうとすると、スカーレットを憎しみに燃えた目で睨んでいるインディアが目に入 る。
ス カーレット・・・「インディアさんに うかが いますけど
なぜ私を睨むの? 顔 に何かついてる?」と言う スカーレット。
毒々 しくインディア。
イ ンディア・・・「あんな目に遭っていい気味よ 自 業自得とは このことね」

メ ラニー・・・「およしなさい!」と言う メラニー。
ス カーレット・・・「チャールズを私に取られて  くやしいんでしょう」と言う スカーレット。
睨 んでいるインディア。
ス カーレット・・・「あなたは裸にならないと  男を釣れやしないわ」と言う スカーレット。
悪 意に満ちてインディア。
イ ンディア・・・「あなたなんか最低よ! 下品極まりない恥さらしよ
みんなの命まで 危険にさらして…」
強 い口調で、
メ ラニー・・・「インディア!」と言う メラニー。
ミー ド夫人・・・「おしゃべりはやめましょう 過ぎるといけないわ」
ス カーレット・・・「私に何か隠してるのね」と言う スカーレット。
マ ミー・・・「し〜っ」
一 斉にマミーの方を振り向く。


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、アリシア・レット、レオーナ・ロ バーツ、ヴィヴィアン・リー

立ち上 がってマミー。
マ ミー・・・「誰か来ます だ アシュレー様じゃ ねえ」
足 音に耳をそばだてる。
足 音が近づく、ドアを叩く音がする。
メ ラニー・・・「ミードさ ん 銃を」と言う メラニー。
驚 くスカーレット。
ミー ド夫人から銃を受け取りマミーに合図をするメラニー。
ど ういうことなのか分からないスカーレットはメラニーの動きを追っている。
メ ラニー・・・「しらを切 るのよ」
銃 を持ち立ち上がり構えるメラニー。
ド アを開けるマミー。
急 ぎ足でメラニーの前へ来るレット(ク ラーク・ゲーブル)
レッ ト・・・「皆 どこ だ? 命が危険だ 教え ろ」
メ ラニーの両腕を掴んで詰め寄るレット。
レッ トを見るメラニー。
メ ラニーの直ぐ横に来て、
イ ンディア・・・「言っちゃダメ! スパイよ」と言う インディア。
レッ ト・・・「時間がない んだ」と言う レット。
眉 間に皺を寄せ見ているスカーレット。
メ ラニー・・・「どうした の?」と言う メラニー。
レッ ト・・・「今夜の計画 を知っていると 北軍の 士官が口をすべらせた
やつらは待ち伏せてる」
真 剣にメラニーの目を見て言うレット。
イ ンディア・・・「しゃべっちゃダメ わなよ!」
声 に反応し視線をインディアの方へ向けかけるが、直ぐにレットの方へ戻すメラニー。
そ して、じっとレットの目を見るメラニー。
真 剣な目をメラニーに返すレット。
メ ラニーがレットの目を見ながら話し出す。
メ ラニー・・・「古いサリ バン農場です そこの 地下室に集まって…」
レッ ト・・・「行ってみ る」
出 て行くレット。
何 が行われているのか知らされていないスカーレットはイライラしてメラニーに、
ス カーレット・・・「何の 話? 隠してないで早 く教えて」と言 う。
メ ラニー・・・「あなたが 襲われた村を アシュ レーたちが焼き打ちに」
語 尾を強めて説明するメラニー。
驚 くスカーレット。
メ ラニー・・・「南部の男 は淑女を守るって」
編 物を手にして椅子に座るメラニー。
茫 然と立っているスカーレット。
ス カーレットの前に来て憎しみを込めて、
イ ンディア・・・「捕えられたら縛り首よ あなたの責任だわ」と言う インディア。
ア シュレーたちの身を案じているスカーレットにインディアの言葉が追い討ちをかけるようにズサリと突き刺さっ てくる。
イ ンディアにメラニーは冷静な威厳を込めて、
メ ラニー・・・「黙らない と 出てもらうわ
誰の責任でもないわ 努力の結果がこうなったの」と言 う。
茫 然として、
ス カーレット・・・「フラ ンクにアシュレーが  私のために…」
ぐっ たりと座り込むスカーレット。

マ ミー・・・「馬の足音 がこっちへ来ます」
メ ラニー・・・「縫い物を して」
皆、 編物を始める。
ド アを激しく叩く音。
メ ラニーの指示を受けドアを開けるマミー。
北 軍の兵士がゾロゾロ入って来る。
大 尉(ウォード・ボンド)が尋ねる。
大 尉・・・「ウィルクス 夫人は?」
威 厳を持って、
メ ラニー・・・「私です」と言う メラニー。
大 尉・・・「ご主人にお 会いしたい」
メ ラニー・・・「留守で す」
大 尉・・・「本当に?」
マ ミー・・・「うそは言わ ねえ」
大 尉・・・「疑うわけ じゃないが 名誉にかけて誓えますか?」と言う 大尉。
 大尉役のウォード・ボンドは人情を重んじた巨匠ジョン・フォード監督のお気 に入りの俳優で監督の作品に殆ど出演している。
 ボンドの人間味ある演技が楽しめるところだ。
メ ラニー・・・「ケネディ さんのお店で 選挙の 集会があって」と言う メラニー。
大 尉・・・「集会など開 かれちゃおらん
お帰りを待たせて頂こう」と言 い、こわばったような礼をし、
「家の周囲を見張れ」と部下 に命令すると出て行く。

マミーの 動揺は色濃く目が見開かれ皆に指示を求めている。
メ ラニーは動揺をしている己と皆を落ち着かせようと、
メ ラニー・・・「縫い物を続けて

私は本を…」と言 い、張り詰めた空気の中でメラニーが読み始める。
「“デビッド・カパーフィールドの生涯
第1章… 余は生まれぬ”」
時 間が経過して行く。
「“第9章 記念すべき誕生日 学校での出来事は省略す”」
ス カーレットたちの不安は高まりを増す。
更 にメラニーは読み続ける。
ス カーレットの瞳がアップになり緊迫した状況が伝えられる。
 ここでのヴィ ヴィアンの動揺した瞳の動きは見事である。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

高まりが 極限にこようとする時に、外から酔っ払いの歌声が聞こえる。
立 ち上がり窓の方へ駆け寄るスカレットたち。
ス カーレット・・・「酔っ てるわ」
ド アの方に行こうとするスカーレットをメラニーは引き止め、
メ ラニー・・・「私に任せ て 何も言わないで ね」と言い、考えを持っ てドア の方へ行く。
ス カーレットに向かって吐き捨てるように、
イ ンディア・・・「責任 取ってよ」と言う インディア。
ミー ド夫人・・・「しっ!」と、イ ンディアを制止、ドアの方に行こうとするスカーレットを引き止めるミード夫人。

メラニー がドアを開く。
そ こに、アシュレー(レスリー・ハワード)を支えている レッ ト(ク ラーク・ゲーブル)たちと、それを阻んでいる 大尉と部下たちがい る。
大 尉・・・「静かにしろ」と言う 大尉。
ア シュレー・・・「こんばんは メアリー」
状 況を読み取ったメラニーは困り果てた妻のふりをしてレットに向かって、
メ ラニー・・・「また主人を誘って飲ませたのね  早く入りなさい」と言 う。
中 に入ろうとするレットたちを制止、
大 尉・・・「ご主人を逮捕する」と言う 大尉。
落 ち着いて、
メ ラニー・・・「酔っ払いを逮捕なさったら 牢 が足りなくなるでしょう」と言う メラニー。
上 目遣いしてメラニーを見るアシュレー。
メ ラニー・・・「船長さん さあ早く」と招き 入れるメラニー。
 この時のオリビアは 教養溢れるメラニーを上手く演じている。
レッ トたちと一緒にいたミード博士(ハリー・ダベンポート)が 酔っ払いが絡むようにして大尉にまとわりつく。
大 尉・・・「話を聞きなさい」
そ の間に歌いながらアシュレーを支えてレットが中に入る。

椅子を示 し、
メ ラニー・・・「座らせて」と言う メラニー。

ア シュレーを支えたレットたちは酔っ払いのように振舞って歌いながら椅子の所へ行く。
ア シュレーの表情は辛そうだ。
ア シュレーを椅子に座らせたレットを睨み怒ったふりをして、
メ ラニー・・・「船長はお引き取り下さい 二度 とお会いしたくないわ」と言う メラニー。
帽 子を取ってメラニーに、
レッ ト・・・「世話になった礼がそれか
置いてくりゃよかった」と言う レット。
酔っ 払いのように振舞って歌いながら、
ミー ド博士・・・「さあ ご一緒に」と言う ミード博士。
ミー ド博士の方に向き直って、
メ ラニー・・・「先生までが こんな男と!」と言 い、酔っ払いのようにして歌っているミード博士を睨むメラニー。
驚 いて見ているスカーレットたち。
椅 子に酔いつぶれたようにしてうずくまっているアシュレーに向かって、
メ ラニー・・・「何て だらしない人なの」と言う メラニー。
ア シュレーを小突くレット。
顔 を上げ、
ア シュレー・・・「酔っちゃいないよ」と言う アシュレー。
マ ミーに向かって、
メ ラニー・・・「お部屋へ連れていって」と言う メラニー。
困 惑した表情の大尉。
だ が、
大 尉・・・「逮捕する!」と叫び アシュレーを掴もうとする。
レッ トが大尉にからまるようにして邪魔し両腕を掴む。
レッ ト・・・「こいつが何をした? 酒ならお前も 飲むだろう」
大 尉・・・「酒は関係ない この男は今夜 村の襲撃を謀り指揮した」と言う 大尉。
ス カレットは自分のことを大尉に持ち出されてムッとしている。
レッ トは片手を大尉の肩に置き、もう一方で椅子を掴んでいる。
大 尉・・・「小屋も焼いて2人も死んだ
南部人に法の裁きを 教えてやる」と言う 大尉。
大 尉の話を聞きながらアシュレーに目を移し、再び大尉の顔を見て激しく笑い出すレット。
大 尉・・・「何がおかしい?」
笑 いながら移動し、
レッ ト・・・「そりゃ見当違いだ 2人はおれと一 緒だったぞ」と言 い、椅子に座るレット。
大 尉・・・「お前と? どこで?」と問い 詰める大尉。
笑 いが止まり困った表情になり、
レッ ト・・・「ご婦人の前じゃ言えん」と言う レット。
大 尉・・・「言うんだ!」と詰め 寄る大尉。
レッ ト・・・「じゃ外へ出よう」と言 い、外を指差し大尉の肩に手を回し出て行こうとするレット。
レッ トに向かって、
メ ラニー・・・「ここで おっしゃって 私も聞 きたいわ」と言う メラニー。
レッ トの方に向き直り答えを待っている大尉。
そ の大尉をチラッと見て、その後に婦人たちに視線を向ける。と、い かにも困り果てたような表情でメラニーに答えるレット。
レッ ト・・・「おれの… 知り合いを訪ねた」
大 尉の方を向き強調して興味を引きつけさせ、
「大尉も知ってる」
再 びメラニーの方を向き、
「ベルの店だ」と言う レット。
目 を伏せるメラニー。
メ ラニー・・・「…」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「そこで遊んで 飲んで…」と続け るレット。
イ ンディア、呆れ果てた表情に。
憤 慨するマミー。
“まあ!”とばかりに夫を見るミード夫人。
ミー ド博士・・・「バカもん! 家内の前で何を言うか!」と言う ミード博士。
笑 うレット。
そ して、大尉に向って、
レッ ト・・・「気が済んだか おかげで明日は家庭 争議だ」と言う レット。
気 の毒そうな表情を浮かべてメラニーの方を見る大尉を意識して、がっかりした表情を浮かべるメラニー。
大 尉・・・「そんなこととは…」
視 線を落としているメラニーを見て慌てる大尉。
大 尉・・・「お前とベルの店にいたと 誓えるか」と、 レットに向かって言う。
レッ ト・・・「疑うのならベルに尋ねろ」と言う レット。
大 尉・・・「紳士として誓うか?」と言う 大尉。
レッ ト・・・「紳士として? 勿論だ」
ニ ヤリと笑い大尉に手を差し出し握手をするレット。
メ ラニーの方を見たり、レットの方を見たり、おどおどして、
大 尉・・・「私の思い違いだったようだ
申し訳ない」と言う 大尉。
心 底傷ついたような表情を浮かべて、
メ ラニー・・・「お引き取り下さい」と言う メラニー。


『風と 共に去りぬ』ウォード・ボンド、ハティ・マクダニエル、レオーナ・ロバーツ
オリビア・デ・ハビランド、 ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、アリシア・ レット

後ずさり しながら、
大 尉・・・「とんだこと になって…
すみません 行くぞ」と部下 たちと出て行く。

ドアが閉 まると、
レッ ト・・・「鍵をかけて カーテンを」と指示 をしアシュレーを抱き起こすレット。
ア シュレーのシャツに血が…

レットが アシュレーを抱き上げベットに運ぶ。
意 識を失っているアシュレーの手当てをしながら、
メ ラニー・・・「何があっ たのか 教えて下さ い」と言うメラニー。
レッ ト・・・「駆けつけた 時は すでに遅く もう 襲撃したあとで
アシュレーは負傷し 先生と逃げるところだった
だからアリバイ工作のために 店へ連れていった」
メ ラニー・・・「店の中 へ?」
レッ ト・・・「ベルは お れの友人だ」と言う レット。
メ ラニー・・・「ごめんな さい」
レッ ト・・・「ほかにいい 場所を 思いつかなかっ た」
立 ち上がってレットを見て、
メ ラニー・・・「あなたに 助けて頂いたのは 2 度目ですわね
お礼を申し上げますわ
じゃ先生のお手伝いを」と言 い、出て行くメラニー。
そ ばで見ていたスカーレットがアシュレーに近づき手を握り締め、
ス カーレット・・・「ア シュレー アシュレー」と案じ ている。
そ の様子を見ていたレットは、
レッ ト・・・「自分の亭主 のことは 心配しないの か」と言うレット。
嘲 笑してスカーレットは、
ス カーレット・・・「彼も ベルのお店へ?」と言 う。
レッ ト・・・「いや」
ス カーレット・・・「今ど こに?」
レッ ト・・・「道端に転 がってる 頭を撃たれてー
死んだよ」と言う レット。
驚 き恐怖に包まれるスカーレット。

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〜スカーレットとレット〜

部屋で喪 服姿のスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が酒を飲んでいる。
フ ランク(キャロル・ナイ)の写真がスカーレットを見ている みたいで落ち着かない。
写 真を伏せる。
馬 車の音がして外を見る。
ス カーレット・・・「あ ら…」
しゃっ くりが出る。
「レットだわ」
酒 を飲んでいた事を隠そうとオーデコロンでカムフラージュすることを考え付くスカーレット。
 オーデコロンでうがいをしているヴィ ヴィアンの表情が滑稽だ。

マ ミー・・・「バトラー 船長がお見えです
泣いてなさると伝えま したが」
ス カーレット・・・「すぐ行くわ 待って頂い て」
オー デコロンを付けてドアを開け体制を整えてレッドの所へ行こうとしているスカーレットがしゃっくりをする。

 可笑しい。
ド アを閉め出て行く。
 ヴィ ヴィアンの品格のある閉め方に目が行く。
 いい。

レット(ク ラーク・ゲーブル)が階下で待っているのを見て威 厳たっぷりに装 うスカーレット。
手 を差し出し階段を降りて行く。
待 ちうけるレット。

手 にキスをする。
異 様な臭いに顔が歪むレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「効果ない な」と言うレット。
ス カーレット・・・「何が?」
レッ ト・・・「コロンさ」
ス カーレット・・・「何のこと?」
視 線をそらし歩き出すスカーレット。
そ のスカーレットを見ながら付いて行き、
レッ ト・・・「酒を飲んでたろう それも浴びるほ ど」と言うレット。
ス カーレット・・・「何しようと勝手でしょ」
頭 を反り返らせるスカーレット。
戸 口で立ち止まり、
レッ ト・・・「独りで飲むな 知れたら評判を落と すぞ」と言い、後ろ手でドアを閉 めるレット。
窓 際の椅子に座って泣き出すスカーレット。
ス カーレットの前に行き、笑いを含んだ顔で、
レッ ト・・・「どうした? 何の演技だ?」と言う レット。
ス カーレット・・・「レット 怖いの…」
レッ ト・・・「怖いもの知らずの君が?」
言 い張って、
ス カーレット・・・「死んで地獄へ行くのが怖い の」と言い、しゃっくり。
笑 い出しそうになるのをこらえて、
レッ ト・・・「地獄なんてないさ」と言う レット。
しゃっ くりし、
ス カーレット・・・「あるわ 子供のころに言わ れたわ」
と言 い、哀れっぽく見上げ、しゃっくり。
レッ ト・・・「君らしくないな」
ス カーレットの目前に座り、
「なぜ地獄へ落ちるんだ?」と言う レット。
ス カーレット・・・「フランクと結婚したからよ  妹の恋人だったのに
私が不幸にして 殺したのよ
後悔するって心情が 初めて分かったわ」と言 う。
 笑いをこらえてスカーレットを見詰めているレットの表情がいい。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

ハンカチ を渡しながら、
レッ ト・・・「そう思っても 同じことを繰り返す のさ
盗んだことより投獄さ れたことを 後悔する泥棒と同じだ」と言う レット。

渡 されたハンカチを手に、
ス カーレット・・・「母がいなくてよかったわ  こんな姿を見られたら…
母のように温厚で 優しい女性になりたかったのに」と声を 上げ泣くスカーレット。
レッ ト・・・「お前は酔って興奮してる 泣き上戸 だな」と言うレット。
泣 きながら立ち上がり移動するスカーレット。
しゃっ くり。
泣 き続けるスカーレット。
ス カーレットの傍に行き、
レッ ト・・・「早く用件を伝えよう」と言う レット。
ス カーレット・・・「帰ってちょうだい」
思 わず、
「何なの?」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「お前なしでは生きていけん」と言う レット。
レッ トの方へ向きを変え、
ス カーレット・・・「こんな時にそんな破廉恥 な…」と言うスカーレット。
レッ ト・・・「オークス屋敷で出会った時に この 人だと決めたんだ
だが おれの金が必要ないから 君から会いには来ない
だから結婚するしかない」と言う レット。
ス カーレット・・・「何て悪趣味な人」
ス カーレットの両手を握り締め、
レッ ト・・・「ひざまずいて すがろうか?」
ひ ざまずくレット。
ス カーレット・・・「汚らわしい 帰って!」


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「事を急ぎ すぎて 大事な方を仰天させたかな
あなたに抱いていた友 情が 愛情へと変わって参りました」と続け るレット。
しゃっ くりをするスカーレット。

レッ ト・・・「美しく 純粋で 神々しく これぞ 真の愛ならん」と言う レット。
ス カーレット・・・「下品な冗談は聞きたくない わ」
怒っ てレットの手を振り解く。
立 ち上がって、
レッ ト・・・「これは名誉ある求婚だ 今こそチャ ンスだ」
ス カーレットの顎の下に手をやり自分の方に向かせて、
「亭主が死ぬのを待つのは もう飽きた」と言う レット。
レッ トの手を払い、
ス カーレット・・・「下品な うぬぼれ屋ね 何 も聞きたくないわ」と言い ながら離れ、
向き直り、

「もう結婚なんてしないわ」と言う スカーレット。
付 いてきたレットは、
レッ ト・・・「いや おれとするんだ」と言う レット。
睨 んで、
ス カーレット・・・「愛してもいない あなた と? 結婚生活はもうイヤ」と言う スカーレット。
吹 き出すレット。
レッ ト・・・「遊びのつもりでどうだ?」
ス カーレット・・・「遊び? 男はそうでしょう けど」と言うスカーレット。
笑 い出すレット。
ス カーレット・・・「外に聞こえるわ」
レッ ト・・・「これまでの相手は 役不足だった
本物を試してみろよ」
ス カーレット・・・「バカな人ね あなたなんか 愛せないわ」
そっ ぽを向こうとするスカーレットを強く引き寄せ、
レッ ト・・・「つまらん意地を張るな 聞きたくな い」
強 く抱きしめ、


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

強引にキ スをするレット。
拒 むスカーレット。が、拒んでいた手の力が次第に抜けて行く。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「気 絶しそう…」
レッ ト・・・「して当然だ  こんなキスをした男が いたか?
チャールズやフランクや アシャレーとは違うぞ」
再 びキスをするレット。
キ スに酔いしれているスカーレットに、
レッ ト・・・「結婚すると 言え!
言え!
言え!」と強要 する。
ス カーレット・・・「する わ」と頷く スカーレット。
ニ ヤリと笑うレット。
再 びキスをしようとするが、
レッ ト・・・「本当か?  取り消さないか?」と確認 する。
ス カーレット・・・「え え」
キ スを求めるスカーレットの顎の下に手をやり自分の方に向かせて、
レッ ト・・・「おれを見て 正直に答えろ 金が目当 てか?」と言う レット。
ス カーレット・・・「ま あ… それもあるけど」と言う スカーレット。
手 を離し、
レッ ト・・・「けど何 だ?」と言 い、歩き出すレット。
後 を追い、
ス カーレット・・・「あな たが嫌いじゃないし」と言う スカーレット。
ス カーレットを見て、
レッ ト・・・「嫌いじゃな い?」と言う レット。
ス カーレット・・・「思い 焦がれてると言えば  うそになるわ
私たちは似ているし…」
笑 みを浮かべて聞いていたレットは、
レッ ト・・・「似た者同士 だ おれだって 命がけ で愛してるとは言わん
どんな指輪がいい?」言 う。
嬉 しそうに、
ス カーレット・・・「ダイ ヤがいいわ 大きい の」と言うスカーレッ ト。
レッ ト・・・「アトランタ で 一番大きいのを買お う」
にっ こりするスカーレット。
レッ ト・・・「新婚旅行は  派手にニューオーリン ズだ」
ス カーレット・・・「まあ  楽しみ」
満 面に笑みを浮かべるスカーレット。
レッ ト・・・「花嫁衣裳も 新調しよう」
ス カーレット・・・「まあ うれしい!」
ちょっ と考え直して、
「でも それは内緒よ」と言う スカーレット。
吹 き出し、
レッ ト・・・「見栄を張る な」と言う レット。
出 て行こうとするレットに、
ス カーレット・・・「さよ ならのキスは?」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「本日の分は 終わりだ」
ス カーレット・・・「意地 悪ね もう来なくても いいわ」
く るりと向きを変えるスカーレットに、
レッ ト・・・「参りますと も」と言 い、ドアを閉めて出て行くレット。
振 り向きドアの方に近づいて見ているスカーレット。

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〜バトラー夫人〜

二人の生 活が始まる。
自 由奔放に振舞うスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)と、それを眺めて楽しむレッ ト(ク ラーク・ゲーブル)の生活が…
 スカーレットが買っ た物を嬉しそうに扱っている仕草は、自然の流れでいい。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

スカー レットが、うなされて叫び声を上げている。
う なされているスカーレットを優しくキスして抱き寄せるレット。
レッ ト・・・「また悪い夢 を見たな」
脅 えて、
ス カーレット・・・「とっ ても寒くて お腹がす いて 疲れ果てて…
霧の中を走っても 見つからないの」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「何がだ!」
ス カーレット・・・「分か らない とにかくない の いつも同じ夢を見るわ
見つける夢を いつかは見るかしら?」と言う スカーレット。
 スカーレットが満たされていない、幻想を追っていることが演出されている重 要な場面だ。
レッ ト・・・「お前が幸せ になったらー
そんな夢は見なくなる 夢とは そういうもんだ
おれが幸せにしてみせる」
優 しく微笑みかけ抱き締めるレット。
ス カーレット・・・「私の お願いを聞いてくれ る?」と言うスカーレッ ト。
レッ ト・・・「勿論だ」
ス カーレット・・・「早く 町を出ましょう」
ス カーレットを見て、
レッ ト・・・「ニューオー リンズが嫌いか?」と言う レット。
レッ トを見詰め、
ス カーレット・・・「好き だけど 故郷のタラへ 帰りたいの」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「いいとも  明日 発とう」
再 び抱き締めるレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

スカー レットの手を胸に抱き散歩しているレット。
レッ ト・・・「タラの この赤い土が お前の支え なんだ」


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「タ ラをもう一度 昔の姿に戻したいの」
レッ ト・・・「じゃ やっ てみるさ 金はいくら 使ってもいいぞ」
嬉 しそうにレットに抱きつきキスをして、
ス カーレット・・・「何て 優しいの アトランタ にも 家を建てたいわ」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「好きに飾る といい 大理石やステン ド・グラスで」
ス カーレット・・・「私に 意地悪した人達に 思 う存分 見せ付けてやるわ」
大 声で笑い出しスカーレットを抱き寄せるレット。
ス カーレットもにこやかだ。

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〜ボニー誕生〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)とレット(ク ラーク・ゲーブル)に子供ボニーが授かり生れる。
レッ トが手放しで喜んでいる。

レットは ボニーをスカーレットと重ね合わせて可愛がる。

スカー レットは子供を産むことで体型が変わることを気にして子供を産まないようにしよ うと考える。
ス カーレット・・・「外出 するのは やめたわ  ここで食べます」とマ ミーに言い伝える。
そ して、化粧台の前に座りケースに入ったアシュレー(レスリー・ハワード)の写真を眺めてい る。
そ こにレットが入って来る。
不 意をつかれて驚くスカーレット。
ケー スを落とす。
抱 擁しながら、
レッ ト・・・「言づては聞 いた おれもここで食べ る」
更 に、愛撫するレット。
顔 を背けるスカーレット。
レッ ト・・・「イヤなの か?」
ス カーレット・・・「い え…
お好きな所でどうぞ」と、言 いながら窓際に行き、
窓の方を見たまま話しかけるスカーレット。

ス カーレット・・・「レッ ト」
レッ ト・・・「何だい?」
言 い出しにくそうに、
ス カーレット・・・「私 ね… 決めたの
もう子供は産まないわ」と言う スカーレット。
驚 き身を乗り出すレット。
そ の時、足の下で“カチャ”という音が…
ア シュレーの写真が。
ス カーレットの方を見るレット。
そ して、またアシュレーの写真に。
こ れが原因かと悟ったように、
レッ ト・・・「いいさ 1 人でも産んだんだ おれ は それで満足だ」と言い ながらスカーレットの傍に行く。
ス カーレット・・・「そう じゃなくて… 意味分 かる?」
レッ ト・・・「それで離婚 できるんだぞ」
振 り向き、
ス カーレット・・・「そん なこと口にするなんて 最低 紳士なら絶対に…
アシュレーなんか メラニーがあんな体なのに…」
こ れ以上言えないでいるスカーレット。
辛 辣に、
レッ ト・・・「今日 製材 所へ行ったな」と言う レット。
椅 子の方へ戻りながら、
ス カーレット・・・「それ が?」
背 を向けて座る。
ス カーレットの傍に行きながら背に向かって、
レッ ト・・・「アシュレー は紳士か それでどうし た?」と言うレット。
ス カーレット・・・「言っ ても無駄よ」
レッ ト・・・「かわいそう な女だ」
顔 をチラリと向け、
ス カーレット・・・「私 が?」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「そうだ 幸 せを自分で投げ捨てて
不幸を追い求めてるんだ」
ス カーレット・・・「何の こと?」
レッ ト・・・「アシュレー を手に入れたら 幸せに なれると思うか?
お前には あの男を理解できん
お前に理解できるのは 金だけだ」
ス カーレット・・・「それ より さっきのこ と…」
レッ トの方を向くスカーレット。
レッ ト・・・「一人で寝ろ よ おれはかまわん」
部 屋を出て行こうとするレット。
ス カーレット・・・「平気 なの?」
レッ ト・・・「世の中には 人が大勢いる 寂しくな いさ
よそで楽しむ」
ス カーレット・・・「心変 わりすると困るから  部屋に鍵をかけるわ」
ド アの前で、
レッ ト・・・「無駄だな  鍵など すぐ壊せる」と言 い、ドアを蹴り開ける。
驚 くスカーレット。
 威厳を持った驚き。
 お見事。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

隣の部屋 で酒を注ぎ、


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル

口にし、 目の前に飾ってあるスカーレットの肖像画に向かって激しくグラスを投げつける レット。
ス カーレット・・・「…」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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〜ベル〜

レット(ク ラーク・ゲーブル)はベル(オナ・マンソン)にスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)に対する怒りを口にする。
レッ ト・・・「あんな見 栄っ張りの 分からず屋は いない」
ベ ル・・・「よしなさ い」
レッ ト・・・「どういう意 味だ?」
ベ ル・・・「あんたは彼 女のとりこよ 惚れ抜いてるんだわ
腹が立つけどさ」
レッ ト・・・「しかし今度 は決心した」
ベ ル・・・「子供は?  大事な宝を捨てられる?」
レッ ト・・・「お前は利口 だよ いい女だ」
ベ ル・・・「なあに、 レット?」
レッ ト・・・「同じ女でも 違うもんだ
2人とも しっかり者だが…
お前には心があるし…」
ベ ルのイヤーリングを弄くりながら、
「正直だ」と言う レット。
ベ ル・・・「さよなら」
ベ ルの頬をつねり出て行くレット。
去っ てゆくレットの足音を追っているベルにドアが閉まる音がズシリと響いてくる。
 好きな男に捨てられた女の悲しみをオナ・マンソンは細やかな表情で演じてい る。
 上手い。

レットは スカーレットの元へ戻りボニーを溺愛する。
ボ ニーは自由奔放で快活な娘に育って行く。

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〜製材所〜

製材所の アシュレー(レスリー・ハワード)の元にスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が現れる。
 美しい。
 美しさと女らしさが 際立つ。
ア シュレー・・・「こんな時間に珍しいね」
ス カーレット・・・「あの、 アシュレー、  私ー」

ア シュレー・・・「僕の誕生パーティの 支度 じゃなかったの?」
ス カーレット・・・「内緒ってことになってるの に メラニーが落胆するわ」
ア シュレー・・・「大丈夫 仰天してみせるよ」
笑 うスカーレット。
ア シュレー・・・「帳簿を見てくれ
やはり商売は苦手だ」と言う アシュレー。
ス カーレット・・・「ダメよ お帽子が新しいと  計算できないの」
ア シュレー・・・「その姿じゃ計算は似合わん
会う度に美しくなるね」
微 笑んで聞いているスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

アシュ レー・・・「オー クス屋敷の園遊会を 思い出すよ」
表 情が曇るスカーレット。
ア シュレー・・・「大勢の男性に囲まれて…」

ス カーレット・・・「あの私は もういない
何一つ 思いがかなわなかった」
ア シュレー・・・「お互いに長い旅をしたね
懐かしいな 静かな農園の夕暮れ
黒人の平和な笑い声… 黄金色の安らぎに身を任せて」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

瞳を潤ま せて、
ス カーレット・・・「ふり返っては いけないわ
昔を想い出して 進め なくなってしまうもの」と言う スカーレット。

ス カーレットの方へ行き、
ア シュレー・・・「悲しい顔をしないで
君には幸せになって もらいたい」と言 い、抱き寄せるアシュレー。と、その時、インディア(ア リシア・レット)とミード夫人(レオーナ・ロバーツ)が入って来た。
驚 くアシュレー。
異 変に気付き振り向くスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

インディ アたちは二人を見て憤慨して出て行く。
ス カーレット・・・「ア シュレー」
驚 いてアシュレーを見るスカーレット。

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〜パーティ〜

“どうしよう”とベッドで縮こまっているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
ド アを小忙しく叩く音がする。
ス カーレット・・・「誰?」

レッ ト・・・「だんな様だ」
脅 えた声で、
ス カーレット・・・「どうぞ」と言う スカーレット。
レッ ト(ク ラーク・ゲーブル)がパーティの装いをして 入って来る。
レッ ト・・・「“貞節の部屋”へ入るぞ
パーティの支度は?」
ス カーレット・・・「頭痛がするの 一人で行っ て」
レッ ト・・・「そんな臆病者なのか」
手 荒くベッドカバーを剥ぎ取り、
「起きろ! 連れてくぞ」と言う レット。
ベッ ドカバーを引き寄せ、


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

スカー レット・・・「あ あ インディアがわざと私を…」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「インディア が町中に吹聴した」
ス カーレット・・・「大う そつきよ」
レッ ト・・・「おれにだっ て うそと本当の区別は つく」
ス カーレットの腰に手を回し引きずるレット。
「早く起きるんだ!」
必 死に抵抗して、
ス カーレット・・・「行か ないわ 誤解が解ける までは」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「お前のよう な女は メラニーに追い 出されろ」
ス カーレット・・・「私は 潔白よ でも行けない わ」
レッ ト・・・「行かないと  もう人前に顔を出せん
ボニーの将来がかかってる あの子のために行くんだ」
手 荒くベッドカバーを剥ぎ取り、スカーレットをベッドから引きずり出し部屋の向こう側へ押しやるレット。
「着ろ!」
下 着姿で脅えて立っているスカーレット。

クロゼッ トから派手なドレスを持って来るレット。
放 り投げながら、
レッ ト・・・「これを着ろ  ふさわしいドレスだ」
化 粧品をスカーレットの前に手荒く置き、
「紅も濃くして派手にふるまえ」と言う レット。
ド レスを持って化粧台の前に座り不安な表情を浮かべるスカーレット。

誕生パー ティが始まっている。
ド アが開けられる。
入 ろうとするスカーレットに、
レッ ト・・・「おれは帰 る」
ス カーレット・・・「ひど いわ」
レッ ト・・・「独りで行け  ライオンが待ってる」
ス カーレット・・・「一緒 に来て」
ス カーレットを押しながら、
レッ ト・・・「怖いか」
帰っ てしまうレット。

不安が広 がる。が、ス カーレットは背筋を伸ばし頭を反り返し入り口に立つ。
驚 くアシュレー(レスリー・ハワード)
歌っ ていた♪陽気な、いい 奴だからをやめ、非難の目を浴びせるパーティの出席者たち。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

緊張した 沈黙の中をメラニー(オリビア・デ・ハビランド)がスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の所に行く。
ス カーレットに緊張が走る。が、胸を張る。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

スカー レットを見ながら、しっかりと堂々として歩み寄るメラニー。
ス カーレットも視線をそらさないでメラニーを見ている。
 これで信じていたものを確信した。
メ ラニーがスカーレットを出迎える。
キ スの挨拶を交わし、
メ ラニー・・・「素敵なド レスね
インディアは欠席なの 代わりにお手伝いして」
ス カーレットの腰に片方の手を回し、もう一方でスカーレットの手を引き、
「皆さん お待ちよ」と皆の 方へ連れて来るメラニー。
ス カーレットを睨みつけているミード夫人(レ オーナ・ロバーツ)へ、
「ミードさん スカーレットです」と言う メラニー。
こ わばって、
ミー ド夫人・・・「今晩は」と言 い、スカーレットと握手する。
ス カーレットもこわばって、
ス カーレット・・・「今晩 は」と挨拶 する。
客 たちはスカーレットに好奇心や非難の視線を浴びせながら挨拶する。
ス カーレットは恥ずかしさときまり悪さに耐え挨拶に答える。
メラニーはスカーレットを客たちから、守るようにしてアシュレーの前へ連れて行 く。
そ して、アシュレーに、
メ ラニー・・・「あなた  飲み物を差し上げて」と、に こやかに言いながら二人を向き合わせアシュレーに責めを負わせる。
そ れで自分のプライドを守りスカーレットを守る。
ア シュレーとスカーレットは居心地悪そうに向かい合い立っている。

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〜酒〜

深夜に誰 かに見られていないか見回しながら階段を降りて行くスカーレット(ヴィヴィアン・リー)


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

階段の降 り口付近で台所からあかりが漏れているのを見て立ち止まる。
覗 いて見ようとするが見えないので更に降りて行く。
“どうしたのだろう”と思いながら近づくスカーレットにレット(クラーク・ゲーブル)の声が台所から聞こ える。

レッ ト・・・「どうぞ 奥様」
驚 き立ち止まるが、また、歩き出すスカーレット。
座っ たまま上体を前に乗り出しながらスカーレットを見るレット。
酔っ た声で手招きし、
レッ ト・・・「来い!」と言 う。が、思い直して立ち上がりスカーレットの方 に行く。
そ れを見ていて嫌悪感あらわにして立ち止まるが、また、歩き出すスカーレット。
深 深とお辞儀をして待ちうけるレット。
テー ブルの上の酒を見ているスカーレット。
レッ ト・・・「座れ」と椅子 を差し出すレット。
そ れに座るスカーレット。
レッ ト・・・「好きなだけ飲め 遠慮はいらん」と言 い、テーブルの上の酒に手を伸ばす。
ス カーレット・・・「違うの 音がしたので…」
酒 をグラスに注ぎながら、
レッ ト・・・「そんなことで来るもんか 飲みた かったんだろ
酒が欲しいんだ」と言う レット。
ス カーレット・・・「いらないわ…」
レッ ト・・・「飲め!」
グ ラスをスカーレットの前に手荒く置く。
そ して、
「格好をつけるな 飲んでることは知ってる
何でも飲むがいい」と言う レット。
こ んな酔っ払いを相手にしていられないと不機嫌にグィと一口飲み、
ス カーレット・・・「酔ってるのね」と言 い、立ち上がるスカーレット。
レッ ト・・・「酔ってるさ 徹底的に酔ってやる
寝るのはまだ早い」
手 荒くスカーレットを押し、
レッ ト・・・「座れ!」
ス カーレットの前に腰掛けながら、
レッ ト・・・「彼女は優しかったか
恥をかかせた女に かばってもらった気持ちは?」と言う レット。
痛 いところを突かれ肩で息をしているスカーレット。
「彼女はお前たちを疑っていて…
その場を取り繕ったのか
体裁を気にするバカな女だと 思ったろう」
ス カーレット・・・「よして!」
レッ ト・・・「聞け!
メラニーは それほどバカじゃない
お前がそんなことを するはずないと信じてるんだ
お前を愛してるのさ 理解に苦しむが」と言う レット。
ス カーレット・・・「酔っ払いとは お話できな いわ」
立 ち上がるスカーレットに、
レッ ト・・・「立ったら許さん!」と覆い 被さるようにして脅し座らせる。
た だならぬ様子のレットを見上げているスカーレット。
脅 しに従ったスカーレットを見てホッとし話を続けながら酒に手を伸ばすレット。
レッ ト・・・「この茶番劇の3枚目は アシュレー 君だ」
酒 をグラスに注ぎながら、
「心で不貞を働きながら 実践できん軟弱なやつさ」
注 いだ酒を一気に飲み干す。
「フラフラ坊主だ」
ス カーレット・・・「戻る!」と言い ながら立ち上がろうとするスカーレットを手荒く突き座らせスカーレットの後ろに回るレット。
恐 怖で顔が引きつるスカーレット。
ス カーレットの前に手を出し、
レッ ト・・・「俺の手を見ろ」
そ の手をスカーレットの顔に近づける。
顔 を歪め脅えるスカーレット。
「八つ裂きにするか」
両 手でスカーレットの顔を触りながら、
「そうすりゃお前は アシュレーを忘れるかな」
両 手で挟みながら頭の方へ移動させ、
「それが かなわぬなら これはどうだ?
両側から手で頭を挟む」と言う レット。
髪 が波打ち顔がこわばっているスカーレット。
レッ ト・・・「そしてクルミを割るように 押しつ ぶす」
レッ トの手に力が込められスカーレットの顔が歪む。
ス カーレットの緊張が極限にくる。
そ して、
ス カーレット・・・「手を放して! この酔っ払 い!」と力を込めて言う。
崖っ 縁まで追い込まれても強気の姿勢をみせるスカーレットに負けたレット。
そ れを気付かれないように笑うレット。
レッ ト・・・「相変わらず強気だな
追いつめられた時は」
ス カーレットは肩で息をし怖くて堪らなかったのに強がる。
立 ち上がり鋭く、
ス カーレット・・・「追いつめられた? そんな 脅しは効果ないわ
あなたは脅すことしか 出来ない人よ
自分に出来ないことを 嫉妬するの
おやすみなさい」
く るりと向きを変えドアの方へ歩き出す。
笑 い出し、
レッ ト・・・「嫉妬? そうだ 妬いてる」と言う レット。
立 ち止まり振り返るスカーレット。
ス カーレットの前に来て押さえつけ、
レッ ト・・・「お前の貞節を知っていてもだ
相手は誉れ高きアシュレーだ 手は出さんさ
彼は紳士だが 俺たち二人は違う
お前の言う下品なやからさ」と言う レット。
怒っ てレットを払いのけ階段の方へ行こうとするスカーレット。
ス カーレットを見ていたが諦めテーブルの方に行こうとする。が、思 い直しスカーレットを追うレット。
階 段の下でスカーレットを掴み、荒々しく自分の方に向け抱き寄せ、
レッ ト・・・「そうはさせんぞ」
ス カーレットに強引にキスをするレット。
抵 抗するスカーレット。
抱 き締めながら、
レッ ト・・・「お前はやつを夢見て 俺を閉め出し てきた
今日は そうはさせん」
ス カーレットを抱き上げ一気に階段を上って行く。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

 力強い男らしいゲー ブルの魅力満載だ。

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〜スカーレットの部屋〜

ベッドで ベン・ボルトのメロディーを幸せそうにハミングしているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
歌 をやめ昨晩のことを思い浮かべて嬉しそうにくすくす笑う。
そ して、ベッドカバーを引き上げ口元まで持って来て恥ずかしそうに思い出し笑いをする。

物 音がし驚いて上体を起こすスカーレット。
レッ ト・・・「やあ…」
レッ ド(ク ラーク・ゲーブル)が寝室に入って来る。
嬉しそうな表情をするスカーレット。
 美しい。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

にこやか に迎え入れるスカーレット。
言 いにくそうに、
レッ ト・・・「昨夜は は したないことをして 失 礼した」と言う レット。
満 たされた顔で、
ス カーレット・・・「そん な…」
い つものからかうような口調で、
レッ ト・・・「泥酔して  お前の魅力に負けてし まった」と言 う。
失 望して開き直るスカーレット。
ス カーレット・・・「いい のよ お里は知れてる から」
ス カーレットに近づきベッドに座りながら、
レッ ト・・・「よく考えた が決心したよ お互いの ために離婚しよう」と言 う。
ス カーレット・・・「離 婚?」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「そうだ
意味のない結婚だ 金銭面では譲歩する
だからボニーを おれにくれ」
怒っ て、
ス カーレット・・・「離婚 で家名を汚したくない わ」と言うスカーレッ ト。
怒っ て立ち上がりながら、
レッ ト・・・「アシュレー が独身なら 自分から  せがむくせに
そうだろう?」と言う レット。
ス カーレット・・・「…」
レッ ト・・・「答えろ」
ス カーレット・・・「うる さいわ 行って」
レッ ト・・・「行くさ 用 は済んだ
商用で今日 ロンドンに発つ」と言 う。
ス カーレット・・・「ま あ!」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「ボニーを連 れていく 支度をしろ」
ス カーレット・・・「私の 子供よ!」
レッ ト・・・「父親は俺だ  身勝手な母親の下には 置けん」と言う レット。
ス カーレット・・・「口だ けは達者ね
許せません ベルのような女のそばに置くのは」
ムッ としてスカーレットに近づき怒りを爆発させるレット。
レッ ト・・・「男なら殺す ところだ 言葉を慎め!
何が母親だ 猫の方がはるかにいい」
レッ トを見るスカーレット。
レッ ト・・・「1時間でボ ニーの支度をしろ さも ないとムチで打ちのめす」
向 きを変えて足早に部屋から出て行くレット。
 この一連の流れは旅から帰ってきた時に階段で出迎える場面でも見られる。

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〜ボニーとレット〜

子供部屋 へ行きボニーを抱き上げ、
レッ ト・・・「キスしてお くれ
遠いおとぎの国へ 連れてってあげよう」と言う レット。
ボ ニー・・・「どこに?  どこに?」
レッ ト・・・「ロンドン塔 を見られるよ ロンド ン・ブリッジも…」
ボ ニー・・・「歌みたいに 落ちる?」
レッ ト・・・「落ちるかも しれんぞ」

ボニーが旅先で怖い夢を見て泣く。
 ボニーがスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の分身であること を強調している。
ボ ニー・・・「ママは?」
思いがけない問いかけにショックを受けるレット(ク ラーク・ゲーブル)
優しくボニーの上にかがみ込んで、
レッ ト・・・「パパがいる じゃないか」と 言うレット。
ボ ニー・・・「おうちに帰 りたい」
これほど愛情を注いでも母親に会いたがるボニーを悲しそうに見ているレット。
そして、ボニーのことを思って、やむなく連れて帰ることにするレットは傷ついてい る。

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〜階段〜

 私が一番惹かれている場面がある。
階 段で旅から戻ったポニーを喜びと興奮で出迎え、その後レッド(ク ラーク・ゲーブル)が来る。
微 笑むスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)

その後だ。
レットが大袈裟なジェスチャーでお辞儀をするのを見てスカーレットが顔を曇らせ る。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

 そう、この表情だ。
 いい。
 寂しい気持ちが実に 良く出ている。
 ヴィ ヴィアンはこのように一瞬の表情で引付ける。
階 段を上ってスカーレットに近づきながら、
レッ ト・・・「バトラー夫人か?」
と言う レット。
寂しい気持ちを押さえて明るく、
ス カーレット・・・「お帰りなさい」と 言うスカーレット。
ス カーレットの前に来て、
レッ ト・・・「ボニーを返す
悪い母親でも恋しいらしい」と言 う。
寂しそうに、
ス カーレット・・・「またお出かけ?」と 言う。
傷ついているレットはスカーレットの気持ちを考えてやる余裕はない。
レッ ト・・・「察しがいいな 荷物は駅だ」
ス カーレット・・・「まあ…」
やはり、また出ていくのかと寂しい表情を浮かべるスカーレット。
行かないでと言えないでいる。
レッ トは腰に手を当てスカーレットを覗き込み、
レッ ト・・・「顔色が悪いな 一人暮らしがこたえ たか」と、からかう。
怒 り、
ス カーレット・・・「あなたのせいよ 一人暮ら しのせいじゃなくて…」
話 を止め向きを変え階段を上り出すスカーレット。
ス カーレットに付いて階段を上りながら、
レッ ト・・・「お続け下さい」と言う レット。
立 ち止まりスカーレット。
声 を荒めて、
ス カーレット・・・「また生まれるの」と言 う。
喜び前へ踏み込みスカーレットに触れるレット。
嫌 がりレットを睨むスカーレット。
落 胆したレットは開き直り、
レッ ト・・・「そうか それで父親は?」と言 う。
怒 り声を荒げ、
ス カーレット・・・「あなたよ! 産みたくな かったのに
あなたの子供なんて」
一 瞬躊躇するが、
「別の人ならよかったわ!」と言 う。
せ せら笑いレットは、
レッ ト・・・「流産を祈るさ」と言 う。
レットの冷淡な態度に怒りが爆発したスカーレットはレットに飛び付くようにして掴 みかかる。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

驚いて体をかわし腕を振り上げて防ごうとするレット。
前のめりになってバランスを 失ったスカーレットは悲鳴をあげ階段から転げ落ちる。
意識を失っているスカーレッ ト。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル

驚き血相を変え駆け下りるレット。

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〜レットとメラニー〜

憔 悴したレット(ク ラーク・ゲーブル)が心配そうにスカーレッ ト(ヴィ ヴィアン・リー)の部屋から出て来たピティ パット叔母(ローラ・ホープ・ク ルーズ)に尋ねる。
レッ ト・・・「どうで す?」
泣 いているピティパット叔母。
レッ ト・・・「私を… 呼 びましたか?」
ピ ティパット叔母・・・「うわ言ばかりよ」

ベッドの 上のスカーレットに激しい痛みが襲いかかっている。
泣きながら弱々しくうわ言を
ス カーレット・・・「レッ ト…
戻って…」
レットを呼んでいるスカーレット。だ が、誰も気付いてくれない。
マ ミー・・・「何です?  誰か呼びなさった か?」
ス カーレット・・・「もう ダメ… ダメよ…」
レットとスカーレットはお互いを強く求め合っているのに空回る。

自分の部 屋で頭を抱え込んで座って泣いているレット。
ノッ クが繰り返される。
気 付いたレットが立ち上がりドアを開く。

メ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)が入って来る。
メ ラニー・・・「先生が…」
し ばらく間を置いて重苦しく声を落として、
レッ ト・・・「死んだのか?」と言う レット。
メ ラニー・・・「いえ 大丈夫よ よくなりま すって」
向 きを変え窓際の椅子の方へ行き頭を抱え込むレット。
レッ トが完全に打ちのめされているのを見て、
メ ラニー・・・「しっかりなさって すぐ元気に なりますわよ」と、体 をかがめレットを包み込むようにして慰めるメラニー。
頭 を抱えたままで、
レッ ト・・・「今度の子は産みたくないと…」と言う レット。
レッ ドの体を小さく揺すりながら、
メ ラニー・・・「うそですわ 女なら誰だっ て…」と言うメラニー。
レッ ト・・・「俺の子を 産みたくないと言ったん だ
だから ついカッとなって 思わずやってしまった」
メ ラニー・・・「そんなこと おっしゃらない で」
レッ ト・・・「子供のことは初めて聞いた 知って たら急いで戻ったよ」
メ ラニー・・・「分かってますわ」
レッ ト・・・「なのに 俺は あの時 何をし た?」
涙 で濡れた顔を起こして、
「せせら笑って…」と言う レット。
レッ ドの顔を見上げて、
メ ラニー・・・「本心じゃないわ 知ってます」と言う メラニー。
レッ ト・・・「嫉妬に狂わんばかりだった」
立 ち上がり、
「俺を思ったことなど 一度もないんだ」
窓 際へ行くレット。
レッ トの前へ行き、
メ ラニー・・・「違うわ 自分じゃ 気付かぬう ちに愛してます」と言う メラニー。
希望を持って、
レッ ト・・・「もしそうなら 俺は待つ 何年でも 彼女が許すまで」と 言うレット。
優 しく微笑んで、
メ ラニー・・・「必ず許してくれますわ」と言 う。
メ ラニーの顔をじっと見ていたレットは思い出し、
レッ ト・・・「いや違う 彼女が誰を愛してる か…」
躊 躇し向きを変え歩きながら、
「知らないから…」
椅 子に腰掛けるレット。
レッ トの前へ行き、
メ ラニー・・・「噂を本気になさるの?
私は人の口など信じません」と言う メラニー。
メ ラニーを見上げるレット。
レッ トを包み込むようにしながら、
「彼女はすぐ元気になって また子供を産みますわ」と言 う。
首 を振り、
レッ ト・・・「こんな事故に会ったんだ もう産め ないさ」と言う レット。
メ ラニー・・・「産めますわ 私だって今…」
メ ラニーを見上げ手を包み込み、
レッ ト・・・「それは危険だ 万一のことがあった ら…」と言う。
レッ トを見ながら、
メ ラニー・・・「子は親の命を受け継ぎます
喜んで試練を受けましょう」と言う メラニー。
メ ラニーを見上げ手を撫でながら、
レッ ト・・・「真の勇気とは このことだ
無事を神に祈ろう
私とスカーレットは あなたの世話になり通しだ
心から感謝します」
感 動し慰められ手にキスをして感謝するレット。
レッ トの頭にもう一方の手を祝祷するときのように置くメラニー。


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、クラーク・ゲーブル

 メラニーをマリア様のように演出する。

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〜テラス〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)がテラスで安楽椅子に体を伸ばしている。
回 復に向ってはいるが流産の苦しみと悲しみで顔色が青ざめている。
レッ ト(クラー ク・ゲーブル)がスカーレットに近づいて来て傍 に座り、

レッ ト・・・「もし許してくれるなら 二人でもう 一度やり直そう」と言 う。
レッ トを一瞥し顔をそむけて、
ス カーレット・・・「二人で? 私たちのことか しら」と言うスカーレット。
レッ トは悔恨の情にかられ真剣に、
レッ ト・・・「そうだ 二人でもう一度 幸せを掴 もう」と言う。
顔 をしかめ、
ス カーレット・・・「もう何も残ってないわ」と言う スカーレット。
静 かにはっきりと、
レッ ト・・・「ボニーがいるし 愛してる」と言う レット。
嘲 るように、
ス カーレット・・・「いつ分かったの?」と言 う。
レッ ト・・・「ずっと愛していたが 君が振り向い てくれなかった」
レッ トの方に向き直り、
ス カーレット・・・「私にどうしてほしいの?」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「製材所を閉めてくれ そして新婚旅 行をやり直そう」
顔 をしかめ、
ス カーレット・・・「製材所を? 儲かってるの に」と言う。
レッ ト・・・「俺たちには必要ない アシュレーに やるさ」
考 えているスカーレット。
レッ ト・・・「メラニーへの礼だ」
メ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)のことを言うレットに ムッとして、
ス カーレット・・・「メラニーが何よ 私なんか そっちのけ」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「そうじゃない」
 レットはアシュレー(レスリー・ハワード)の事をスカーレットが誉める時、スカーレットはレットがメラニーの事を誉める 時に反論し口論となる。
 それぞれが、自分に無い物を持っているアシュレーとメラニーに嫉妬している からだ。
 だが、レットとスカーレットは、それに気付いていないから口にする。
こ の後、ボニーが子馬に横乗りして二人の前に来る。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

バーを高 くして跳ぶから見てといってバーの方へ向かうボニー。
レッ トに向かってスカーレットがやめさせるように言う。
ス カーレット・・・「レット 止めて」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

 母親の表情が滲み出ているヴィ ヴィアンだ。
ジェ ラルド(トーマス・ミッチェル)とボニーの 相似に気付き顔 に恐怖が浮かぶスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

ボニーは ジェラルドのように落馬する。
ス カーレットが悲鳴を上げ気を失う。

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〜別れ〜

ボニーが死んだ。
 それはレッド(ク ラーク・ゲーブル)がスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)を失うことを暗示 している。

マミー(ハティ・マクダニエル)はメ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)を呼び階段 の方に向 う。
メ ラニーが彼女に続く。
レッ トがボニーが死んだ日から人が変ってしまったと泣きながら話す。
マ ミー・・・「あれほど子 煩悩の方は 見たこと なかったです
ボニー様が亡くなった時 即座にあの馬を殺しなすって」
階 段をメラニーと一緒に上る。
マ ミー・・・「自殺なさる かと 思ったほどでし た」
メ ラニー・・・「お気持ち  分かるわ」と言う メラニー。
マ ミー・・・「スカーレッ ト様はだんな様を  “人殺し”だと責めなすってね
そしたら だんな様は “お前には母の資格はねえ”って
血の凍る思いの ののしり合いですだ」
首 を振りながら、
メ ラニー・・・「聞きたく ないわ」と言 う。
マ ミー・・・「その夜か ら…
だんな様はボニー様のお部屋に…
いくら呼んでも 出てらっしゃらねえです
もう2日になります」
恐 ろしさに打ちのめされて、
メ ラニー・・・「ああ、マ ミー!」と言う メラニー。
階 段で立ち止まり、
「そして今日 スカーレット様が 部屋の外からー
明日の葬儀を伝えたらー
“そんなことしたら殺してやる”」
再 び、階段を上りながら、
「“暗がりを怖がったボニーを 土の中へは入れられん”と」と話す マミー。
取 り乱し悲しみに打ちのめされて、
メ ラニー・・・「正気を 失ってしまってるわ」と言 う。
マ ミー・・・「ボニー様を 葬れねえです お助け 下さい」
階 段の一番上まで来ている。
胸 に手を持って行き、
メ ラニー・・・「私に何が できる?」と言う メラニー。
マ ミー・・・「だんな様は 聞かれますよ あなた の言うことなら
お願いします」
メ ラニーはこわばる。
「お願いします」
私 がしなければならないと悟り、
メ ラニー・・・「会ってみ るわ」
レッ トの部屋の方に行くメラニー。
涙 を拭きながら、見ているマミー。
ド アを叩くメラニー。
中 からレットの声がする。
レッ ト・・・「行け 邪魔 だ!」
メ ラニー・・・「メラニー です ボニーに会わせ て下さい」
静 かにドアを開く憔悴したレット。
中 に入って行くメラニー。
そ れを祈るような表情で見ているマミー。
膝 をつき頭を下げて、
マ ミー・・・「神様 だん な様に救いを…」と祈 る。

それか ら、どれくらい経ったのだろう疲れ果てたメラニーが出てくる。
柱 につかまりか細い声で、
メ ラニー・・・「マミー
濃いコーヒーを差し上げて スカーレットを見てきます」と言う メラニー。
心 配しているマミー。
メ ラニー・・・「明日 葬 儀を行なわれるそう よ」と言うメラニー。
天 を仰ぎ、
マ ミー・・・「よかった!  あなたには 天使が ついてますだ」と言う マミー。
メ ラニーが倒れる。

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〜メラニー〜

メラニー(オリビア・デ・ハビランド)の 家。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

死を迎え ようとしているメラニーとの別れをし、アシュレー(レスリー・ ハワード)と息子が部屋から出てくる。
そ して、ミード博士(ハリー・ダベンポート)が、
ミー ド博士・・・「入ってもいいよ」
とス カーレット(ヴィ ヴィアン・リー)を呼ぶ。
泣 きながら、
イ ンディア・・・「先生 私も入れて下さい!」と嘆願 し、
「謝りたいことがあります ぜひ それを…」
泣 き崩れるインディア。
ミー ド博士・・・「彼女はスカーレットを呼んでる」
ミー ド博士とメラニーの部屋の前に来るスカーレット。
部 屋に入ろうとするスカーレットの腕を引き、
ミー ド博士・・・「安らかに行かせよう
自己満足のつまらん告白は 災いを招くだけだ
わかるね?」と言 う。
頷 くスカーレット。
 この頷き方がいい。
 ヴィ ヴィアン特有のものだ。
ミー ド博士がスカーレットを軽く押して彼女が入るとドアを閉める。
ベッ ドに近づきメラニーの手に手を添えて、
ス カーレット・・・「私よ」と言う スカーレット。
メ ラニーの目が静かに開く。
メ ラニーに優しい眼差しを注ぎながら腰掛けるスカーレット。
ス カーレットを見て、
メ ラニー・・・「約束して…」と言う メラニー。
ス カーレット・・・「するわ」


『風と 共に去りぬ』オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィアン・リー

メラ ニー・・・「息子を 頼むわ
1度はあなたに預けた子よ」
悲しみが込み上げてくるスカーレット。
メ ラニー・・・「生まれた 時に」
ス カーレット・・・「変な ことをを言わないで  すぐよくなるのに」
メ ラニー・・・「あの子 を… 大学へ…」
ス カーレット・・・「ヨー ロッパのね 馬にも… 何でもする
しっかりして」と言う スカーレット。
メ ラニー・・・「アシュ レー…
アシュレーとあなた…」
スカーレットの涙で濡れた目が大きく見開かれる。
ス カーレット・・・「ア シュレーが何なの?」
メ ラニー・・・「面倒を見 て
私の面倒を見てくれたように…」
ス カーレット・・・「見る わ」
メ ラニー・・・「お願い よ」
頷くスカーレット。
メ ラニー・・・「彼には内 緒で…」と言う メラニー。
ド アを開ける音がして入り口でミード博士が待っている。
立 ち上がり、両手でメラニーの手を包み込み、
ス カーレット・・・「お休 み」
手 にキスをするスカーレット。
メ ラニー・・・「約束よ」と言う メラニー。
ス カーレット・・・「ほか には?」
メ ラニー・・・「バトラー 船長に… 優しくね」
ス カーレット・・・「レッ ドに?」
メ ラニー・・・「あなたを 愛してるわ」
更に感情が高ぶってくるスカーレット。
泣きながら、
ス カーレット・・・「わ かったわ メラニー」と 言う。
微笑を浮かべて、
メ ラニー・・・「さような ら」と 言うメラニー。
ス カーレット・・・「さよ うなら」
メラニーの額に泣きながら別れのキスをするスカーレット。
 メラニーがスカーレットに対して全幅の信頼と友情や愛情を抱いてことが演出 される。
 メラニーが死の間際にどうしても会いたいのはスカーレットである。
 メラニーにとってスカーレットは後を任せられる一番信頼できる存在である。
 そして、快活で強い意志を持ち責任感の強いスカーレットが好き、愛している のだ。
 スカーレットも、また、母親を好きだったように温厚で優しいメラニーが好き なのだ。
 だが、それが分かったのは失う時であった。

泣きなが ら部屋から出てきたスカーレットの前にアシュレー(レスリー・ ハワード)がいた。
ス カーレット・・・「ああ、アシュレー! ア シュレー!」
椅 子に座って使い古した手袋の片方を広げて見せ、

ア シュレー・・・「この片方はどこだろう? メ ラニーが捨てたかな」と呟い ている。
ス カーレット・・・「やめて!」
抱きつき泣くスカーレット。
ス カーレット・・・「恐ろしくって…」
そのスカーレットに、しがみつくアシュレー。
二人を見ていたレット(ク ラーク・ゲーブル)は嫌悪の表情を浮かべて帽子とコートを 持って出て行く。
身 を起こして、
ア シュレー・・・「彼女なしでは生きていけな い」と言い、俯くとメラニーの 手袋を抱き締め泣き出す。
「彼女と共に すべてが去ってしまう」
手 袋に頭を摺り寄せ伏せるアシュレー。
そ んなアシュレーを見ていたスカーレットは、
ス カーレット・・・「そんなに愛してるの?」と言 う。
伏 せたまま、
ア シュレー・・・「彼女は夢だった 現実に負け ない夢だった」と言う アシュレー。
ス カーレット・・・「いつも夢ばかりね 現実を 見ないで」
両 手で顔を被い、
ア シュレー・・・「君には分からんよ」
う つ伏せて泣くアシュレー。
ア シュレーを見ながら、
ス カーレット・・・「私を愛してないと なぜ 言ってくれなかったの?
あいまいなことばかり言って
メラニーが死ぬ時に初めて…
私など愛してないなんて
ひどい仕打ちだわ」
茫 然と、
「私は幻を愛してきたのね
でも そんなことはいいの
過ぎたことよ
どうでもいいの」と独り 言を言う。
泣いているアシュレーに目を移し、
ス カーレット・・・「アシュレー ごめんなさ い」と アシュレーに優しく声を掛け肩に手を置き、
ス カーレット・・・「メラニーに涙を見せない で」と アシュレーの頭をなでるスカーレット。
ミー ド医師がアシュレーを呼びつける。
メ ラニーの元へ行くアシュレー。
茫 然と、その場にいるスカーレット。
ア シュレー・・・「メラニー!」
最 後の別れをしたインディアたちが泣きながら出てくる。
ア シュレー・・・「メラニー!」
メラニーの死。
その時、ハッと我にかえって、
ス カーレット・・・「レット!」
立ち上がりレットを探すスカーレット。
「レット!」
レットが広間にいないのに気付く。
「レット! どこにいるの?」
外 に出て行く。
濃い霧がたちこめている。
 スカーレットがいつも見る夢と同じだ。
ス カーレット・・・「レット 待って!」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

霧の中に入って行き走りながらレットを探すスカーレット。
「レット 待って!
レット!
レット!
レット!」

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〜レット〜

自宅に着 く。
ド アを開け必死にレット(クラーク・ゲーブル)探す。
ス カーレット・・・「レット!

レット!
レット!」
階 段を駆け上る。
「レット!
レット!」
レッ ト部屋のドアが半開きになっている。
開 く。
窓 際の椅子にレットが座っている。
ド アの所に立ち止まるスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
ゆっ くり振り向いてレット。
レッ ト・・・「どうぞ」
フ ラフラした足取りでレッドの元へ行くスカーレット。
レッ トの前に座り、
ス カーレット・・・「レット レット!」
息 があがっているスカーレット。
レッ ト・・・「メラニーは…」
頷 くスカーレット。
目 を伏せ、
レッ ト・・・「神の恵みを… あれほど優しい人は いなかった
彼女こそ真の淑女だ」と言う レット。
息 を整えてながらレットを見るスカーレット。
ス カーレットの方を向き冷淡に、
レッ ト・・・「死んでくれて都合がいいな」と言 う。
レッ トを見て、
ス カーレット・・・「何てことを 彼女を愛して たのに」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「知らなかったな 最後は優しくして やったか?」
ス カーレット・・・「立派な人よ いつも人の幸 せを願ってた
最後にあなたのことを」
しっ かりと見て、
レッ ト・・・「何と?」と言う レット。
ス カーレット・・・「“優しくしてあげて あな たを愛してる”って」
ス カーレットから顔を反らし立ち上がるレット。
上 体でレットを追うスカーレット。
窓 際でスカーレットに背を向けて、
レッ ト・・・「ほかには?」と言う レット。
ス カーレット・・・「“アシュレーの面倒を見 て”と」
振 り向き、
レッ ト・・・「先妻のお許しを得たか」と言 い、開いたバックの方へ行くレット。
レッ トを視線で追いながら、
ス カーレット・・・「どういう意味?」と言う スカーレット。
バッ クに服を入れるレット。
そ れを見て驚いて立ち上がるスカーレット。
ス カーレット・・・「何してるの?」
レッ トへ近寄るスカーレット。
レッ トとバック、レットと見ているスカーレット。
レッ ト・・・「別れだ」
レッ トを見るスカーレット。
荷 物をバックに入れながら、
レッ ト・・・「念願かなって アシュレーと暮らせ るな」と言い、別の荷物を取りに 行くレット。
開 いたバックの中の荷物を見て、
ス カーレット・・・「ああ
違うわ そうじゃないの!」
レッ トの方へ駆け寄るスカーレット。
レッ トを見て必死に、
「別れるなんてイヤよ
私が愛してるのは あなたよ 初めて分かったの
ねえ あなた
あなた」
と言う スカーレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「往生際が 悪いな 気品を持って別れよう」
涙 を溢れさせながらスカーレット。
ス カーレット・・・「待って!

聞いて 愛していることを 自分で気づかなかったの
信じて! あなたも私を愛してるでしょ」
荷 造りしながら、
レッ ト・・・「そうか じゃアシュレーは?」と言う レット。
ス カーレット・・・「本当は愛してなかったの」
レッ ト・・・「それにしては真に迫ってた」
バッ クの方へ荷物を持って行くレット。
付 いて来るスカーレット。
レッ ト・・・「おれはできる限りの ことをした
ロンドンから帰った時も…」
ス カーレット・・・「あの時はうれしかったわ  でも あなたが冷淡で…」
レッ ト・・・「階段から落ちたのは おれの責任だ
いつ おれを 呼んでくれるかと…」
ス カーレット・・・「いてほしかったわ でも嫌 がると思って…」
ス カーレットの方を向き、
レッ ト・・・「哀れだな すれ違いか もう手遅れ だが
ボニーがいたら やり直せたかもしれん
あの子はお前に似てた
戦争前の少女時代のお前だと おれは思ってた
お前だと思って 甘やかすのが楽しみだった
しかし すべては終わった」と言 い、バッグを閉めドアの方へ向かうレット。
レッ トの腕を掴み追いすがるスカーレット。
ス カーレット・・・「そんなこと言わないで 私 がいけなかった 謝るわ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

レッ ト・・・「まるで子 供だな
謝れば それで済むと でも 思っているのか」
ハ ンカチを取り出し、
「これを使え

お前がハンカチを使うとは 思わなかった」
ハ ンカチを渡し部屋を出るレット。
ハ ンカチを握り締め茫然と見詰めていたスカーレットが我に返りレッドを追う。
ス カーレット・・・「レット! どこへ行く の?」
レッ トの腕を掴むスカーレット。
立 ち止まり、
レッ ト・・・「故郷のチャールストンだ」と言う レット。
ス カーレット・・・「連れていって!」
首 を振り、
レッ ト・・・「ここの暮らしとは縁を切る」
泣 いているスカーレットに、
「ゆとりと安らぎのある 静かな人生を送りたい」
笑 いながら、
「お前に分かるか?」と言う レット。
ス カーレット・・・「いいえ
分かるのは 愛してることだけ」
レッ ト・・・「哀れだな」
階 段を降りて行くレット。
泣 いているスカーレット。
ス カーレット・・・「レット!」
後 を追い階段を降るスカーレット。
「レット!
レット!
レット!」
ド アを開け外へ出ようとするレットに、
ス カーレット・・・「レット!
残された私は どこへ行けばいいの?」と言う スカーレット。
レッ ト・・・「おれには関係ない」


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

霧の中に去っていくレット。
泣きながらレットを見送っているスカーレット。
ス カーレット・・・「別れ るなんてイヤ! どう したら戻ってくれるの
考えつかないわ 頭が変になりそう
明日 考えるわ」
 

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〜エピローグ〜

ドアを閉 め泣きながら歩くスカーレット。
ス カーレット・・・「でも早く考えないと…
どうしたらいいの?」
階 段に泣き崩れ、

「どうしたら戻ってくるの?」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

うつ伏せ 泣くスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)に父ジェラルド(トーマス・ミッ チェル)、アシュレー(レスリー・ハワード)、レット(ク ラーク・ゲーブル)の声が蘇って来る。
ジェ ラルド・・・“本気かね? タラの土地が無意味 だと?
この世で頼りになる  唯一の ものが土地だ
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある

タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“この世で頼りになる 唯一のものが土地だ”
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある
タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“この世で頼りになる 唯一のものが土地だ”
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある
タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“タラだ”
ア シュレー・・・“タラだ”
レッ ト・・・“タラだ”
顔を起こし、
ス カーレット・・・「タラ!
故郷よ…
彼を連れ戻す方法は 故郷に帰って考えるわ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

「明日に望みを託して」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

ぐしゃぐしゃになった顔に一筋の希望を見出したスカーレットの瞳は輝く。

そして、タラに戻ったスカーレットは微かに葉が付いているあの大木の前でしっかり と立っている。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

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 マーガレット・ミッチェル女史の原作 は 1936年度に小説部門でピューリッツア賞を受けた傑作で面白い。それを映画化したこの作品は世界の映 画史上、永久に記憶される超大作だ。スタッフといいキャストといい、これほど、鮮明な印象を与えた 作品 はない。スカーレットはヴィ ヴィアン・リーであり、レットはク ラーク・ゲイブルであるというほかないからであろう。
 特に、ヴィ ヴィアン・リーは脳裏から離れない。それは、いうまでもないがヴィ ヴィアン・リーが生身に演じているからだ。
 スカーレットはこのうえもなく誇 り高い気品と美しさを持っている。そして、重荷 を背おあされ踏みにじられても損なわれない、強い意志も持っている。それに女心の弱さも見せて艶かし い。
 それはヴィ ヴィアン・リーにそのまま当て嵌るように思う。
 数々の伝記や映像が私に語りかけ てくるのは、ヴィ ヴィアン・リーはスカーレットであり、マイラであり、レディハミルトンであり、ブラン チで あるということだ。

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1997

ア メリカ映画ベスト100で4位

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1999

キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で5位
 

[映 画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画
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1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位

@七人の侍(黒澤 明) A浮 雲(成 瀬 巳喜男) B飢餓海峡(内田吐夢)
B東 京物語(小 津安二郎)
C
-
D幕末太陽傳(川島雄三)
D羅生門(黒澤明)
E
-
F赤い殺意(今村昌平) G仁義なき戦い(シリーズ)(深作欣 二)
G二 十四の瞳(木 下恵介)
H
-
I雨月物語(溝口健二)

@第 三の男(キャロル・リード) A2001年宇宙の旅(スタ ンリー・キューブリック) Bロー マの休日(ウィ リアム・ワイラー)
Cアラビアのロレンス(デ ヴィッド・リーン)
D風と共に去りぬ(ヴィク ター・フレミング) B市民ケーン(オーソン・ ウェルズ) F駅 馬車(ジョ ン・フォード)
F禁じられた遊び(ルネ・ク レマン)
Fゴッドファーザー(フラン シス・フォード・コッポラ)
F(フェ デリコ・フェリーニ)
G
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B
-
I
-
※1999[映画人が選ぶオールタイ ム・ベストテン](日本編)(外国編)キネマ旬報創刊80周年記念 特別企画は、従来の映画評論家を中心にしたアンケートとは異なり、監督、プロデューサー、脚本家、撮影監督など、実 際に日本映画の製作に携わる映画人(140人、144人)に、それ ぞれのベスト作品10本を順不同で選んでもらう選考方法。(1999年10月下旬 号、10月上旬号においてアンケート結果を発表)

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2007

ア メリカ映画ベスト100 10周年版で6位

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参 考文献
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』公開前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』コスチューム
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』出版前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』ミュージック
ヴィ ヴィアン・リー
ヴィ ヴィアン・リーバイオグラフィー
ク ラーク・ゲーブル
洋 画
サ イトマップ

映画あり き
映 画ありき2
〜 クラシック映画に魅 せられて〜

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