ガス燈
  
   シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマンら
※ストーリーを載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。
  
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(1944)(米)-Gaslight-
監督…ジョー ジ・キューカー
製作…アーサー・ホーンブロウ・Jr
原作…パトリック・ハミルトンの舞台 劇を映画化。
脚本…ジョン・ヴァン・ドルーテン/ ウォルター・ライシュ/ジョン・L・ボルダーストン
撮影…ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽…ブロニスラウ・ケイパー
出演…シャルル・ボワイエ(作曲家セルギウス・バウアー/グレゴリー・ア ントン)
………イ ングリッド・バーグマン(ポーラ)(ア カデミー主演女優賞)
………ジョゼフ・コットン(探偵/ブライアン・キャメロン)
………メイ・ウィッティ(ベッシー老夫人)
………アンジェラ・ランズベリー(メード/ナンシー)
………テリー・ムーア

 19世紀のロンドン(ソーン トン広場)を舞台にした心理サスペンスの傑作。
少 女ポーラ(イ ングリッド・バーグマン)の叔母、人気歌手ア リス・アルクイスト がソーントン広場の自宅で絞殺される。
当 時、母親代わりのアリス叔母と暮らしていたポーラが、目を覚ましてくると肖像画の下の暖炉の前で叔母が首 を絞められ殺されていたのだ。
高 級住宅地で起きた動機が不明の不可解な事件として人々の関心を引くが未解決のままだ。

アリスの遺産が相続されたポーラに事件を忘れさせようという後見人の配慮でイタリア の生活が用意される。
偉 大な叔母のような歌手になるようにと。
 
10 年後。
ポー ラ(イ ングリッド・バーグマン)は叔母の親友に歌のレッスンを受けていた。
し かし、レッスンの伴奏を2週間前からしているグレゴリー・アントン(シャルル・ボワイエ)にポーラは惹 かれていて、レッスンに気持ちが入らなくなっていた。

そのグレゴリーが愛する叔母を殺害し、プラハに妻がいる男とは知る由もなかった。
グ レゴリーはアリスのプラハ公演の伴奏者セルギウス・バウアー(シャルル・ボワイ エ)で宝石(戴 冠用宝玉)に執着していた。
ア リスを絞殺し宝石を奪おうと捜していた時に、ポーラが目を覚まして来たことで奪えずに逃走したバウアー だったのだ。
ど うしても宝石のことが忘れられないバウアーは、叔母の遺産を相続してイタリアにいるポーラに近づいて来た 訳だ。
周 到な計画で近づいたバウアーの術中にはまったポーラは彼と結婚してしまう。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン

叔母の屋敷で生活するように上手く話を持っていったバウアー(シャルル・ボワイ エ)は、叔 母の荷物を屋根裏部屋に運ばせる。
そ して、怯えているポーラの心理状態を利用して部屋から出入り出来ぬように板でふさぎ、空き家から屋根裏部 屋に忍び込み宝石を捜し易くする。
予 て、そこから出入りしていたのだろう。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン

叔母が殺された屋敷で暮らすことに怯えるポーラ(イ ングリッド・バーグマン)
社 交の場に出させない夫の態度の変化に戸惑うポーラ。
グ レゴリー自身は毎晩、出かけて行く。
ま た、料理人は耳が遠い老婦人を雇い、メイドは蓮っ葉な女を雇いポーラを孤立させるグレゴリー。
寂 しくしているポーラは、夫が出かけて暫くするとガス燈が弱まり室内が暗くなることや、屋根裏部屋から物音 や足音が聞こえることなどで恐怖感が強まる。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン

グレゴリー(シャルル・ボワイ エ)は不信 感を抱いてきたポーラ(イ ングリッド・バーグマン)を、性格異常者のように追い込んでゆく。
ポー ラは正気を奪おうとしているグレゴリーの包囲網の中で、次第にノイローゼ状態に追い込まれてゆく。

叔母の熱烈なファンだった探偵キャメロン(ジョゼフ・コットン)がポーラとグ レゴリーの様子を疑問に思い捜査する。

バウアーは屋根裏部屋でついに宝石を捜し出すが、その時、屋敷に押し込んできていた キャメロンがポーラから話を聞き出し謎を解明していた。


『ガス燈』ジョゼフ・コットン、イングリッド・バーグマン


『ガス燈』ジョゼフ・コットン、イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン、ジョゼフ・コットン

宝石を見つけ胸躍らせ帰って来たバウ アー(シャルル・ボワイエ)は、 キャメロン(ジョゼフ・コットン)と 格闘の末、捕らえられる。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン

バ ウアー(シャルル・ボワイエ)は、

バウアー…「僕らの間に あったのは あの宝石だ
炎のように頭の中で 君との間を隔てていた
宝石に取りつかれて…
なぜだろう」と、 ポーラ、いや、自分に向かって言い連行される。

好奇心旺盛なベッシー老夫人(メイ・ ウィッティ)が、地獄の淵から救い出してくれたキャメロン(ジョゼフ・コット ン)にお礼 を言うポーラ(イ ングリッド・バーグマン)を見てポイントとなっていた「おや まあ」と言い終わる。

 締めを「おや まあ」で終わるところがキューカー監督らしい。
 それまでの胸のつかえを下ろしてくれた。

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 ストリーは、いたって単純だが シャル ル・ボワイエとイ ングリッド・バーグマンの演技が観るものをグイグイ引き込ませてゆく。
 二人の演技がサイコ・スリラーの世界へ導いてゆくのだ。
 特に二人の目の演技には驚かされる、素晴らしい。
 何度観ても拍手を送りたくなる。

 ボワイエが冷淡にバーグマンを見る目や、宝石に取りつかれた目。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ

 そして、困惑するバーグマンの目に、怯えるバーグマンの目だ。


『ガス燈』イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン

 これぞ名優の目だ。
 公 開時、ボワイエの瞳は多くの女学生をボーっとさせ、バーグマンはこの瞳でアカデミー賞を引き寄せた。
 
 ま た、“女性を上手く 演出する事にかけては右に出る者なし”と言われていたジョー ジ・キューカーの手腕も見事だ。
 バー グマンの魅惑を生き生きと捉えている。
 表情は勿論のこと、腕を回してキ スをするシーンや、救いを求める手、そして影で バーグマンをより美しく、魅力的に演出している。


『ガス燈』シャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン


『ガス燈』イングリッド・バーグマン

 それから、ドアが開かれるシーンが印象的な作品でもある。
  この作品を観ると何時も『心 の旅路』のドアが開くシーンを思い出す。
  扉の先に何が待ち受けるのか…という緊張感が。

※『ガス燈』は1940年の英 版があり、ソロルド・ディキンソン監督、ダイアナ・ウィンヤードとアントン・ウォルブルックが主演だった。

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