グレタ・ガルボ - Greta Garbo -

グレタ・ガルボ 　　

web拍手 by FC2

(1905.9.18-1990.4.15) (スウェーデン、ストックホルム生まれ)-Greta Garbo-

プロフィール

独自の作品解釈

写真館

～プロフィール～

　アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズに「映画界ただ一人の大悲劇女優」と称賛され、フランスの詩人ジャン・コクトーは「彼女こそエレガントな美のきわみ」と讃えたと言う。
　ガルボは帽子を大人の女のムードを醸し出すように被った。そのエレガントさから“ガルボ・ハット”という名称が生まれた。
　また、神秘的なトレンチコートの独特のスタイルなどは“ガルボ・スタイル”として一世を風靡した。
　美人女優が世に出るたびに何かにつけて比較されるガルボは、フランスやイタリアでは“崇高なる女神”日本では“神聖ガルボ帝国”という神々しい愛称で拝められていた。
　神秘的な美貌と妖艶なムードで無声映画時代から女王として君臨していたガルボは、1941年に『奥様は顔が二つ』に出演後「私は一人になりたい」の名文句とともに36才で潔く銀幕から引退して余生を送った。
　引退後も神秘的なベールに包まれた女優として、事あるごとに取り上げられていたガルボは1990年4月15日に天国へ旅立った。
　ガルボはトーキー作品に出演すると「ガルボが喋った」、笑うと「ガルボが笑った」と話題になっていた。
　天国でも、やはり「ガルボが…」なのだろうか。
　伝説の美女は天国でも拝められていそうだ。

～独自の作品解釈～

1927 1935		『アンナ・カレニナ』シネマトーク　～神秘的なガルボと情熱的なヴィヴィアン～
1939		『ニノチカ』-Ninotchka-★

～年譜～
[1905][1912][1919][1922　放浪者ペッテル][1923][1924　イエスタ・ベルリングの伝説][1925　喜びなき街][1926　イエニバスの激流　明眸罪あり　肉体と悪魔][1927　アンナ・カレニナ]
[1928　崇高なる女性　恋多き女][1929　女の秘密　野生の屑　接吻][1930　アンナ・クリスティー　ロマンス][1931　スザン・レノックス　船出の朝　インスピレーション　間謀マタハリ]
[1932　お気に召すまま　グランド・ホテル][1933　クリスチナ女王][1934　彩られし女性][1935　アンナ・カレニナ][1937　椿姫　征服][1939　ニノチカ][1941　奥様は顔が二つ]
[1954][1990][2000 20世紀の映画スターベストテン][写真][雑誌]

1905

…9月18日、スウェーデン、ストックホルム市ブレキンゲガータン32番地生まれ。本名グレタ・ロヴィッサ・グスタフソン。
父カール・グスタフソンは労務者で、母アンナは裁縫を手内職にしていたという貧しい地域で育った。
姉と兄が一人ずつ。(1986.7.10[1973.1.20] 『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

1912

…カタリナ小学校入学。

1919

…父が病床に就き、姉と兄は出稼ぎに、グレタは退学して家事を手伝う。

1920

…父死亡。14才で理髪店の見習いとして働く。
この頃劇場で芝居を見て、ひそかに舞台に憧れていたという。
姉の友人の紹介でPUB(デパート)につとめる。帽子販売コーナー担当。
帽子コーナーの専属モデルとなり、PUBのPR映画に出演。
スウェーデン消費者協同組合制作のお菓子と焼きガマのPR映画に出演。

1922

…2本のPR映画でグレタは「スウェーデンのマック・セネット」という評判をとっていたコメディアン、エーリック・ペチュレルの目にとまり、ペチュレル自作自演のコメディ『放浪者ペッテル』の脇役を貰う。

『放浪者ペッテル』(スウェーデン、E・A・ペチュレル)(サイレント)
-監督:エーリック・ペチュレル
-出演:/グレタ・グスタフソン(ガルボ以前の芸名)(村長の3人娘の末娘)
-16才で映画デビュー。グレタはずん胴で脚の太い水着美人のひとりとして登場したそうだ。

…ペチュレルから王立演劇学校に通い演技の勉強をするように忠告される。

1923

…スウェーデン映画の巨匠マウリツ・スティルレルがラゲルレーフ女史の小説『イエスタ・ベルリングの伝説』の映画化を企画し、なるべく素人の俳優を求めて王立演劇学校に「最も成績の悪い生徒」を依頼したという。
スティルレルが初めてグレタに会ったときに、大柄で脚が太くてずん胴で、よくふとった彼女を見て「もう10キロばかり痩せてくれなきゃ！」と叫んだそうだ。
そして、無知なグレタに手取り足取り教えこんだという。(1986.7.10[1973.1.20] 『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

1924

『イエスタ・ベルリングの伝説』(スウェーデン、S・F)(サイレント)☆
-監督:マウリツ・スティルレル
-原作:セルマ・ラゲルレーフ
-脚本:マウリツ・スティルレル /ラグナー・ヒュルテーン＝カヴァリウス
-撮影:ユリウス・イェンソン
-出演:グレタ・グスタフソン(ガルボ以前の芸名)(イタリア人の伯爵夫人/エリサベータ・ドーナ)/ラルス・ハンソン /イェルダ・ルンドクヴィスト

『イエスタ・ベルリングの伝説』グレタ・ガルボ

…『イエスタ・ベルリングの伝説』は北欧のみならず、ヨーロッパ中で大ヒット。
スティルレルはすでにグレタ・ガルボという芸名を考え出していたという。
…『イエスタ・ベルリングの伝説』はドイツで最もヒットし、この映画を見たG・W・パプストからガルボに声が掛かり『喜びなき街』に出演することになる。

1925

『喜びなき街』-The Joyless Street Die freudlose Gasse-(独、ゾーファー)(9巻)(サイレント)☆
-監督:G・W・パプスト
-原作:ヒューゴー・ベタウァー
-脚色:ウィリー・ハース
-撮影:グイド・シーベル
-出演:ウェルナー・クラレス/ ヤーロ・フュルト/グレタ・グスタフソン(ガルボ以前の芸名)(中産階級の娘)/ファレスカ・ゲルト/アスタ・ニールセン(貧しい労働者階級の娘)/カール・エトリンガー/イルカ・グリュニング/アイナール・ハンソン
-第1次世界大戦直後の恐慌と貧困に苦しむウィーンを舞台にした社会ドラマ。

…ガルボは母国とドイツで3本の作品に出演した後、恩師スティルレル監督とハリウッドに招かれ、MGMと契約を結ぶ。(芸名＝グレタ・ガルボ)
スティルレルがMGMの製作部長ルイス・B・メイヤーに招かれる際に、ただ一つつけた条件がガルボとの契約であったという。
メイヤーは「グレタ・ガルボとは何者かね？」と怪訝そうに問い返したそうである。(1986.7.10[1973.1.20]『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

『喜びなき街』グレタ・ガルボら

1926

『イバニエズの激流』-The Torrent/Ibanez' Torrent-(米、MGM)(7巻)(サイレント)☆
-監督:モンタ・ベル
-原作:ビセンテ・プラスコ・イバニエス
-脚色:ドロシー・ファーナム
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:リカルド・コルテス(ラファエル)/グレタ・ガルボ(レオノーラ・モレノ)/ガートルード・オルムステッド/エドワード・コネリー/ルシアン・リトルフィールド/M・マトックス(ラファエルの母)
-渡米第1回主演映画。ガルボはエキゾティスムとロマンティシズムで粉飾されて売り出されたという。

『イバニエズの激流』グレタ・ガルボら

『明眸罪あり』-The Temptress-(米、MGM)(9巻)(サイレント)
-監督:フレッド・ニブロ
-原作:ヴィセンテ・ブラスコ・イバネス
-脚本:ドロシー・ファーナム
-出演:グレタ・ガルボ(エレナ)/アントニオ・モレノ(建築家)/ロイ・ダルシー/マーク・マクダーモット(侯爵)/ライオネル・バリモア(銀行家)
-ガルボが周囲の男たちを翻弄しつづける魔性の女を演じた作品で愛慾の闘争が描かれている。

『明眸罪あり』グレタ・ガルボ、アントニオ・モレノ

…マウリツ・スティルレルは『明眸罪あり』の監督に起用されたものの脚本に手を入れすぎて、撮影初日からスタッフと対立して大もめしたそうだ。
特に主演のアントニオ・モレノとウマが合わず10日目には監督を降ろされ、フレッド・ニブロが代行することになったという。(1986.7.10[1973.1.20] 『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

『肉体と悪魔』-Flesh and the Devil-(米、MGM)(9巻)(サイレント)☆
-監督:クラレンス・ブラウン
-原作:ヘルマン・ズーデルマン『消えぬ過去』
-脚色:ベンジャミン・グレイザー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(伯爵の妻/フェリシタス)/ジョン・ギルバート(レオ)/ラルス・ハンソン(ウルリッヒ)/バーバラ・ケント/ウィリアム・オーラモンド/ジョージ・フォーセット /マーク・マクダーモット(オーストリアの伯爵)
-ガルボとジョン・ギルバートのコンビが誕生した作品である。
情痴に狂って争っていた二人の青年が友愛に目覚めるまでが描かれるが、ガルボの妖婦ぶりが見事で話題を呼ぶ。

『肉体と悪魔』グレタ・ガルボ、ジョン・ギルバート

1927

『アンナ・カレニナ』-Love-(米、MGM)(8巻)(サイレント)☆
-監督:エドモンド・グールディング
-原作:レオ・トルストイ
-脚本:フランシス・マリオン
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(アンナ)/ジョン・ギルバート(ヴロンスキー大尉)/ジョージ・フォーセット/エミリー・フィッツローイ/ブランドン・ハースト(カレーニン)
-ドストイェフスキーが「この作品の中には世界の最大秘密が、悪の秘密が、恐ろしい深さや力、今日までのわが国になかった程の芸術的完成の現実主義と共に表現されている」と言っているように、奥の深い作品なのだろう。
何度も映画化されている。
最初の映画化は、1910年にロシアにおいてで、その後、もう一度、それからアメリカで1915・1927(グレタ・ガルボ主演)・1935(グレタ・ガルボ主演)の三度、イタリアで1917年、ドイツで1919年、ハンガリーで1920年、イギリスで1948(ヴィヴィアン・リー主演)年、アルゼンチンで1956年、それぞれ一度、という映画歴になっている。(1966年飯島正著　参考)
その後も、ソ連で1968年にタチアナ・サモイロワ主演や、1998年にソフィー・マルソー主演が映画化されている。
私は、グレタ・ガルボの2作品と、ヴィヴィアン・リー、それに、タチアナ・サモイロワと、ソフィー・マルソーのアンナを観た。国や監督で、解釈が違う。（他の作品でもいえることだが）
それに、アンナを演じる女優の役の捕らえ方の違いも面白い。
他の作品も観たいものだ。
※『アンナ・カレニナ』のシネマトークを載せています。

1928

『崇高なる女性』-The Divine Woman-(米、MGM)
-監督:ヴィクトル・シェストレム
-原作:グラディス・アンガー
-脚本:ドロシー・ファーナム
-撮影:オリヴァー・マーシュ
-出演:グレタ・ガルボ(マリアンヌ)/ラルス・ハンソン(脱走兵/リュシアン)/ローウェル・シャーマン(母の愛人/ラグランド)/ジョン・マック・ブラウン
-スターの座を振り捨てて愛する脱走兵と、二人だけの世界へ旅立って行くというメロドラマ。

『恋多き女』-Woman of Affairs-(米、MGM)☆
-監督:クラレンス・ブラウン
-原作:マイケル・アーレン
-脚色:ベス・メレディス
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:ヒュー・ウィン
-出演:グレタ・ガルボ(英国貴族の娘ダイアナ・メーリック)/ジョン・ギルバート(ネヴィル・モンターグ)/ルイス・ストーン/ジョン・マック・ブラウン(デヴィッド)/ダグラス・フェアバンクス・ジュニア(兄/ジョフリー)/D・セバスチャン(コンスタンス)
-愛するネヴィル(ジョン・ギルバート)との結婚を父親に反対され、また、品行をなじられて絶望的になったダイアナ(グレタ・ガルボ)の悲恋。

…11月8日、ハリウッドで大成できずに、失意のうちに故国スウェーデンに帰っていたガルボの育ての親マウリツ・スティルレル死去。
このニュースを『野生の蘭』の撮影中に聞いたガルボは顔面蒼白になり、しばしことばも出ず、失神せんばかりだったという。

…ガルボは大の映画ファンでゲーリー・クーパーの出る映画は必ず見に行き、エルンスト・ルビッチ監督とエリッヒ・フォン・シュトロハイム監督の作品は1本も見逃さなかったそうだ。(1986.7.10[1973.1.20]『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

1929

『女の秘密』-The Mysterious Lady-(米、MGM)(6巻)(サイレント)
-監督:フレッド・ニブロ
-原作:ルドウィッヒ・ウォルフ
-脚色:ベス・メレディス
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:マーガレット・ブース
-出演:グレタ・ガルボ(ロシアの女スパイ/タニア)/コンラッド・ネーゲル(オーストリアの将校/カール・フォン・ハイネルスドルフ)/グスタフ・フォン・セイファーティッツ/エドワード・コネリー/アルバート・ポレット
-第1次世界大戦直前のウィーンを舞台に、ロシアの女スパイとオーストリアの将校との悲恋。

『女の秘密』グレタ・ガルボ

『野生の蘭』-Wild Orchids-(米、MGM)(11巻)(サイレント)
-監督:シドニー・A・フランクリン
-原作:ジョン・コルトン
-脚本:ハンス・クレーリー/リチャード・スカイヤー
-脚色:ウィリス・ゴールドベック
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(スターリングの妻/リリー)/ルイス・ストーン(ジョン・スターリング)/ニルス・アスター(ジャワのプリンス)

『野生の蘭』グレタ・ガルボ、ニルス・アスター、ルイス・ストーン

『接吻』-The Kiss-(米、MGM)(7巻)(サイレント)
-監督:ジャック・フェーデ
-原作:ジョージ・M・サヴィル
-脚色:ハンス・クレーリー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:ベン・ルイス
-出演:グレタ・ガルボ(イレーヌ・ガリー)/コンラッド・ネーゲル(弁護士/アンドレ)/アンダース・ランドルフ/ホームズ・ハーバート(ラッサル氏)/ルー・エイヤース(ラッサルの息子/ピエール)
-フランスの巨匠ジャック・フェーデが渡米して監督したメロドラマ。

『接吻』グレタ・ガルボ、コンラッド・ネーゲル

1930

『アンナ・クリスティ』-Anna Christie-(米、MGM)(10巻)
-監督:クラレンス・ブラウン
-原作戯曲:ユージン・オニール
-脚色:フランシス・マリオン
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:ヒュー・ウィン
-出演:グレタ・ガルボ(港の女/アンナ・クリスティ)/チャールス・ビックフォード(水夫/マット・バーク)/ジョージ・F・マリオン(アンナの父/クリス)/マリー・ドレッスラー/ジェームズ・Ｔ・マック
-トーキー第1作。強いスウェーデン語の訛りのあるハスキー・ヴォイスが心配されたが「ガルボが喋った」と話題になり“ニュー・ガルボ”として人気を博した。
ガルボの映画における第一声は港の売春酒場でジン・ウィスキーを注文する「ジンム・ヴィスキ」で、娼婦の生活にくたびれた女の雰囲気にぴったりのハスキー・ヴォイスであった。

『アンナ・クリスティ』グレタ・ガルボ

『ロマンス』-Romance-(米、MGM)(9巻)
-監督:クラレンス・ブラウン
-原作戯曲:エドワード・シェルダン
-脚本:ベス・メレディス/エドウィン・ジャスタス・メイヤー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(プリマドンナ/リタ・カヴァリーニ)/ルイス・ストーン/ゲーヴィン・ゴードン(高位聖職者/トム・アームストロング)/エリオット・ニュージェント(孫/ハリー)/フローレンス・レイク
-高位聖職者トム(ゲーヴィン・ゴードン)が舞台女優と結婚しようとしている孫ハリー(エリオット・ニュージェント)の熱を冷まそうと過去の苦い思い出を語る。
プリマドンナ、リタ(グレタ・ガルボ)との美しいロマンスが彼女の過去を知って崩れ去ったことを…

『ロマンス』グレタ・ガルボ

『ロマンス』グレタ・ガルボ、ゲーヴィン・ゴードン

1931

『スザン・レノックス』-Susan Lenox: Her Fall and Rise-(米、MGM)(8巻)
-監督:ロバート・Z・レオナード
-原作:デイヴィッド・グラハム・フィリップス
-脚色:ワンダ・タショック
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(オーリンの娘ヘルガ/スザン・レノックス)/クラーク・ゲーブル(技師/ロドニー・スペンサー)/ジーン・ハーショルト(農夫/オーリン)/ジョン・ミルジャン/アラン・ヘイル(あらくれ男/モンドストラム)/H・ハミルトン(裕福な政治家マイク・ケリー)
-あらくれ男と結婚させようとする父から逃れ、家を飛び出したヘルガ(グレタ・ガルボ)はロドニー(クラーク・ゲーブル)と出会い、激しい恋におちた。
ロドニーはヘルガを山小屋にかくまって結婚を約束していったん去った。
しかし、その間に父が追ってきた。
列車に飛び乗って父から逃れたヘルガは流れ流れて行く。
そして、“スザン・レノックス”と名前を変えたヘルガは裕福な政治家マイク・ケリー(H・ハミルトン)の妾になった。
裕福になったヘルガはロドニーを呼び寄せるが、ロドニーはヘルガの変身振りに絶望して去って行く。
ロドニーを愛しているヘルガはすべてを捨てて彼を追って行く。

『スザン・レノックス』グレタ・ガルボ

『船出の朝』-The Single Standard-(米、MGM)(7巻)
-監督:ジョン・S・ロバートソン
-原作:アデラ・ロジャース・セント・ジョン
-脚色:ジョセフィン・ラヴェット
-撮影:オリヴァー・T・マーシュ
-出演:グレタ・ガルボ/ニルス・アスター/ドロシー・セバスチャン/ジョン・マック・ブラウン/ジョエル・マクリー

『船出の朝』ジョン・マック・ブラウン、グレタ・ガルボ

『船出の朝』のセットで　エイドリアン(デザイナー)、グレタ・ガルボ

『インスピレーション』-Inspiration-(米、MGM) (10巻)
-監督:クラレンス・ブラウン
-原作:ジーン・マーキー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:コンラッド・A・ネルヴィッヒ
-出演:グレタ・ガルボ/ロバート・モンゴメリー/ルイス・ストーン/マージョリー・ランボー/ジュディス・ヴォセーリ

『インスピレーション』グレタ・ガルボ、ロバート・モンゴメリー

『間謀マタ・ハリ』-Mata Hari-(『マタ・ハリ』の表記も)(米、MGM)(10巻)
-監督:ジョージ・フィッツモーリス
-脚色:ベンジャミン・グレイザー/レオ・ビリンスキー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(ドイツの間謀マタ・ハリ)/ラモン・ノヴァロ(ロシアの青年将校/アレキシス・ロザノフ)/ライオネル・バリモア /ルイス・ストーン(参謀部の上司)/C・ヘンリー・ゴードン
-第1次世界大戦初期、ドイツの間謀マタ・ハリ(グレタ・ガルボ)は参謀部の上司(ルイス・ストーン)から、ロシアの情報部活動を探るようにと命令される。
パリの踊り子になりすましたマタ・ハリは、重要な情報を握るロシアの青年将校アレキシス・ロザノフ(ラモン・ノヴァロ)に近づくことに成功するが、次第に愛し合うようになり…
ガルボ得意の悲恋もの。

『間謀マタハリ』グレタ・ガルボ

1932

『お気に召すまま』-As You Desire Me-(米、MGM)(7巻)
-監督:ジョージ・フィッツモーリス
-原作戯曲:ルイジ・ピランデルロ
-脚色:ジーン・マーキー
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ(ブタベストのキャバレーの歌手/サラ)/メルヴィン・ダグラス(イタリアのブルーノ・ヴァレッリ伯爵)/エリッヒ・フォン・シュトロハイム(作家/カール・ザルター)/オーエン・ムーア(画家/トリー・ボフィ)/ヘッダ・ホッパー

『お気に召すまま』エリッヒ・フォン・シュトロハイム、グレタ・ガルボ

『グランド・ホテル』-Grand Hotel-(米、MGM)(12巻)(アカデミー作品賞)☆
-監督:エドマンド・グールディング
-原作・戯曲:ヴィッキ・バウム『美しき青春』
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:ブランシュ・セーウェル
-出演:グレタ・ガルボ(バレエ・ダンサー/グルシンスカヤ)/ジョーン・クロフォード/ジョン・バリモア(宝石泥棒/フォン・ゲイガーン男爵)/ウォーレス・ビアリー/ライオネル・バリモア
-ベルリンのグランド・ホテルを舞台とする人間群像劇。
世紀の顔合わせとうたわれたMGMの2大スター、ガルボとクロフォードのショットはワン・カットすらない。
※この映画の後、同じひとつ状況(場所)のなかで交錯する人間模様を人生の縮図として描く形式を、「グランド・ホテル形式」というようになったそうだ。(1986.7.10[1973.1.20] 『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

『グランド・ホテル』グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア

1933

『クリスチナ女王』-Queen Christina-(米、MGM)(10巻)
-監督:ルーベン・マムーリアン
-製作:ウォルター・ウェンジャー
-原作:ザルカ・フィアテル/ マーガレット・P・レヴィノ
-脚色:H・M・ハーウッド/ザルカ・フィアテル
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-編集:ブランシュ・セーウェル
-衣装デザイン:エイドリアン
-音楽:ハーバート・ストサート
-出演:グレタ・ガルボ(スウェーデンの女王/クリスチナ)/ジョン・ギルバート(スペイン大使/ドン・アントニオ)/アイアン・キース(マグナス)/ルイス・ストーン(チャールズ王子)/エリザベス・ヤング
-スウェーデンのクリスチナ女王の数奇な半生を描く悲恋のメロドラマ。
エイドリアンの衣装がガルボの神秘性を高めた。

『クリスチナ女王』オーブリー・スミス、グレタ・ガルボ

『クリスチナ女王』グレタ・ガルボら

『クリスチナ女王』グレタ・ガルボ

『クリスチナ女王』グレタ・ガルボら

1934

『彩られし女性』-The Painted Veil-(米、MGM)(9巻)
-監督:リチャード・ボレスラウスキー
-製作:ハント・ストロンバーグ
-原作:W・サマセット・モーム
-脚本:ジョン・ミーハン/ザルカ・フィアテル/エディス・フィッツジェラルド
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-美術:セドリック・ギボンズ
-音楽:ハーバート・ストサート
-出演:グレタ・ガルボ/ハーバート・マーシャル/ジョージ・ブレント/ワーナー・オーランド/ジーン・ハーショルト

1935

『アンナ・カレニナ』-Anna Karenina-(米、MGM)(9巻)☆
-監督:クラレンス・ブラウン
-製作:デイヴィッド・O・セルズニック
-原作:レオ・トルストイ
-脚色:クレメンス・ディーン/ ザルカ・フィアテル/S・N・ベールマン
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-出演:グレタ・ガルボ/フレドリック・マーチ/フレディー・バーソロミュー/モーリン・オサリヴァン/メイ・ロブソン
-ドストイェフスキーが「この作品の中には世界の最大秘密が、悪の秘密が、恐ろしい深さや力、今日までのわが国になかった程の芸術的完成の現実主義と共に表現されている」と言っているように、奥の深い作品なのだろう。
何度も映画化されている。
最初の映画化は、 1910年にロシアにおいてで、その後、もう一度、それからアメリカで1915・1927(グレタ・ガルボ主演)・1935(グレタ・ガルボ主演)の三度、イタリアで1917年、ドイツで1919年、ハンガリーで1920年、イギリスで1948(ヴィヴィアン・リー主演)年、アルゼンチンで1956年、それぞれ一度、という映画歴になっている。(1966年飯島正著　参考)
その後も、ソ連で1968年にタチアナ・サモイロワ主演や、1998年にソフィー・マルソー主演が映画化されている。
私は、匂い立つような美しさを際立たせているグレタ・ガルボの2作品と、生々しいヴィヴィアン・リー、それに、現実的なタチアナ・サモイロワと、現在風なソフィー・マルソーのアンナを観た。アンナを演じる女優の役の捕らえ方の違いや、国や監督で解釈が違う。それが面白い。（他の作品でもいえることだが）
他の作品も観たいものだ。

『アンナ・カレニナ』グレタ・ガルボ

『アンナ・カレニナ』グレタ・ガルボ、フレドリック・マーチ

『アンナ・カレニナ』ベージル・ラスボーン、グレタ・ガルボ

※『アンナ・カレニナ』のシネマトークを載せています。

1937

『椿姫』-Camille-(米、MGM)(12 巻)★
-監督:ジョージ・キューカー
-原作:アレクサンドル・デュマ・フィス
-脚色:ゾー・エイキンス/フランシス・マリオン/ジェームズ・ヒルトン
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ /カール・フロイント
-作曲:ハーバート・ストサート
-出演:グレタ・ガルボ(“椿姫”と呼ばれるパリの名花/マルグリット・ゴーチェ)(NY映画批評家協会賞女優賞)/ロバート・テイラー(美青年/アルマン・デュヴァル)/ライオネル・バリモア/エリザベス・アラン/ジェシー・ラルフ、イーリー・マリヨン
-スターシステムをとるMGMが1915年のサイレント時代から何度となく映画化されているデュマ原作に、ドル箱スター、ガルボとテイラーという美男美女を共演させ話題を集めた。

『椿姫』グレタ・ガルボ、ロバート・テイラーら

『椿姫』イーリー・マリヨン、グレタ・ガルボ、ロバート・テイラー

『椿姫』グレタ・ガルボ、ロバート・テイラー

『征服』-Conquest-(米、MGM)
-監督:クラレンス・ブラウン
-製作:バーナード・H・ハイマン
-脚色:サミュエル・ホフェンシュタイン/ザルカ・フィアテル/S・N・ベールマン
-撮影:カール・フロイント
-音楽:ハーバート・ストサート
-出演:グレタ・ガルボ(伯爵夫人/マリー・ワレウスカ)/シャルル・ボワイエ(ナポレオン)/レジナルド・オーウェン/アラン・マーシャル/ヘンリー・スティーブンソン

『征服』グレタ・ガルボ

…秋、ガルボはレオポルド・ストコフスキーと出会う。
ストコフスキーは「私たちはワグナーとリストの娘コジマと同じように、必ず出会うべき定めだったのです」といって口説いたそうだ。
二人が一緒に出歩く姿がしばしば見られ、ストコフスキー夫人が離婚申し立てをするが、それをよそにガルボはスウェーデンに旅だち、ストコフスキーはイタリアへの演奏旅行に出発したそうだ。しかし、すぐその後、二人はナポリでしのび逢いをたのしんでいたという。(1986.7.10[1973.1.20] 『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

1939

『ニノチカ』-Ninotchka-(米、MGM)★
-監督・製作:エルンスト・ルビッチ
-原案:メルキオール・レングィエル
-脚本:ビリー・ワイルダー/チャールズ・ブラケット/ウォルター・ライシュ
-撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
-音楽:ウェルナー・リヒャルト・ハイマン
-出演:グレタ・ガルボ(ソ連の女闘士/ニノチカ)/メルヴィン・ダグラス(レオン)/アイナ・クレア(ロシアの伯爵夫人)/ベラ・ルゴシ/シグ・ルーマン
-共産主義のソビエトの固いお国柄を風刺したソフィスティケーション・コメディ。
「ガルボが笑った」と話題になった作品。
ソビエトからパリに亡命した伯爵夫人がからむ没収された宝石類を売りさばくようにソ連商務省の役人が命令を受けてパリに来るが花の都の華やかさに仕事どころではなくなっていた。
そこでコチコチの党員ニノチカ（グレタ・ガルボ）を派遣する。が…[全文へ]
※1957年にルーベン・マムーリアン監督、ミュージカル『絹の靴下』でリメイクされた。

『ニノチカ』グレタ・ガルボ

『ニノチカ』グレタ・ガルボら

　　　　
『ニノチカ』グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス

『ニノチカ』グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス

1941

『奥様は顔が二つ』-Two Faced Woman-(米、MGM)
-監督:ジョージ・キューカー
-製作:ゴットフリード・ラインハルト
-原案:ルドヴィグ・ブルダ
-脚本:S・N・ベールマン/ザルカ・フィアテル/ジョージ・オッペンハイマー
-撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
-作曲:ブロニスロー・ケイパー
-出演:グレタ・ガルボ(スキー場の指導員/カリン)/メルヴィン・ダグラス(ニューヨークの雑誌社の社長/ラリー・ブレーク)/コンスタンス・ベネット(情婦/ グリセルダ)/ローランド・ヤング/ロバート・スターリング
-スキー場でラリー(メルヴィン・ダグラス)にみそめられて結婚したカリン(グレタ・ガルボ)が、ニューヨークへ来てみると前情婦グリセルダ(コンスタンス・ベネット)がラリーをひきとめて放さないでいた。ラリーを取り戻すためにカリンの双生児カスリンに化けて説得に行くが、ラリーは化けたカスリンにも惚れてしまうというコメディ。

『奥様は顔が二つ』グレタ・ガルボら

…『奥様は顔が二つ』に出演後36才で潔く引退して余生を送った。

…ガルボは彼女が演じたどの映画のヒロインの役も不満だったそうだ。
引退後も数々の映画出演の交渉を受けたが、断っていたという。
その中にはテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』もあったそうだ。
ガルボには唯一、ジャン・コクトーの『双頭の鷲』の冷たく暗い情念を秘めた悲恋の女王エリザベートの役を演じたいという夢があった。それを叶えてやろうとセシル・ビートンが英国のアレクサンダー・コルダーを動かして、実現の一歩手前までいったそうだが、結局、企画流れになってしまったという。(1986.7.10[1973.1.20]『シネアルバム12　グレタ・ガルボ　マレーネ・ディートリッヒ　世紀の伝説　きらめく不滅の妖星』山田宏一責任編集　芳賀書店　参考)

1954

…アカデミー名誉賞を授与されたが、ガルボは会場に姿を見せなかった。

…79才の時に異例のインタビューに応じたガルボは「ハリウッドは私の人生を浪費したところ。お金、名声、欲が人生をダメにした」と語ったという。(1990.4.17朝日新聞記事　参考)

1990

…ガルボは引退後も公の場に姿を見せることがなく、一生を独身で通した。
4 月15日、永眠。(享年84才)

2000

**[20 世紀の映画スターベストテン]**
/	1位	2位	3位	4位	5位	6位	7位	8位	9位	10位
日本男優	①三船敏郎	②石原裕次郎	③森雅之	④高倉健	⑤笠智衆	⑥市川雷蔵	⑦勝新太郎 ⑦阪東妻三郎	⑧ -	⑨渥美清 ⑨中村錦之助 ⑨森繁久弥	⑩ -
日本女優	①原節子	②吉永小百合	③京マチ子 ③高峰秀子	④ -	⑤田中絹代	⑥山田五十鈴	⑦夏目雅子	⑧岸恵子 ⑧若尾文子	⑨ -	⑩岩下志麻 ⑩藤純子
外国男優	①ゲーリー・クーパー	②チャールズ・チャップリン ②ジョン・ウェイン	③ -	④マーロン・ブランド ④アラン・ドロン ④ジャン・ギャバン	⑤ -	⑥ -	⑦ハンフリー・ボガート ⑦スティーブ・マックイーン	⑧ -	⑨ショーン・コネリー ⑨ポール・ニューマン	⑩ -
外国女優	①オードリー・ヘプバーン	②マリリン・モンロー	③イングリッド・バーグマン	④ヴィヴィアン・リー	⑤マレーネ・ディートリヒ	⑥グレース・ケリー	⑦フランソワーズ・アルヌール ⑦ベティ・デイビス ⑦ジョディ・フォスター ⑦グレタ・ガルボ ⑦アンナ・カリーナ ⑦ジャンヌ・モロー ⑦ロミー・シュナイダー ⑦エリザベス・テーラー	⑧ -	⑨ -	⑩ -

※2000.6.1 　朝日新聞記事
映画誌『キネマ旬報』が、映画評論家や俳優、脚本家ら74人に回答を求めて「20世紀の映画スター」を選出し、ランキングを発表した。

～写真～

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

グレタ・ガルボ

～雑誌～

1976.5『文藝春秋デラックス　懐かしのロマン　世界の映画　5月号』文藝春秋　表紙

1985.12.5雑誌『別冊太陽　No.52　女優2』平凡社　表紙　グレタ・ガルボ

※ 記号[★：特に好きな作品　☆：面白い作品] Top
＜前へ-次へ＞
参考文献
『ニノチカ』
『アンナ・カレニナ』のシネマトーク
グレタ・ガルボ写真館
クラーク・ゲーブル
ロバート・テイラー
エルンスト・ルビッチ
ジョージ・キューカー
ビリー・ワイルダー
女優
サイトマップ
映画ありき2
映画ありき
～クラシック映画に魅せられて～