ジュリエッタ・マシーナ

※ストーリーを載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。

  〜プロローグ〜〜口減らし〜〜大道芸〜〜叩き込み〜〜〜〜綱渡り〜〜おもちゃ〜〜サー カス〜〜小石プレゼント〜〜出 所
聖 地〜〜旋 律〜〜衝撃〜〜ショック〜〜置 き去り〜〜エピローグ〜 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1954)(伊)(ア カデミー外国語映画賞)(キネマ旬報ベス トテン1位)(キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で7位)(キ ネマ旬報創刊90周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で10位)-La Strada-
監督…フェ デリコ・フェリーニ(ヴェ ネチア国 際映画祭サン・マルコ銀獅子賞受賞)(キ ネマ旬報監督賞)
脚本…フェ デリコ・フェリーニ/トゥリオ・ピネッリ
撮影…オテッロ・マルテッリ
音楽…ニーノ・ロータ
出演…アンソニー・クイン(ザンパノ/大道芸人)
………ジュリエッタ・マシーナ(ジェルソミーナ)
………リチャード・ベイスハート(綱渡り芸人/アルレッキーノ)
………アルド・シルベーニ(サーカス団長)
………リビア・ベントゥリーニ(修道女)
………マルチェラ・ロベレ(未亡人)

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 【神 の愛は信じぬ者にも及ぶ】と いう思いで作ったというフェ デリコ・フェリーニ監督。だからこそ、このセリフ【この世で役に立たないものは何ひとつない】は、心に響くのだろう

 この作品は、切ない。内容について触れようとするだけで、映像とメロ ディーが 広がり涙が溢れてくる。
 純真な心(精神薄弱)を持つ娘ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)が、本能むき出しの獣のように生きる男ザンパノ(アン ソ ニー・クイン)に、一人の人間として扱われない。ただの道具、 商品とし て扱われ、人格を無視される。それでも、天使のような優しい心で尽くそうとする。「私がいないと 彼は独りぼっ ち」と言う思いから。

 どのシーンも素晴らしいが、特に好きなシーンは、「私は何の役にも立たない女よ」と言うジェルソミーナに、綱渡り芸人アルレッキーノ(リチャード・ベイスハート)「この世の中にあるものは何かの 役に立つんだ」と言って聞かせる所と 去って行く所だ。

 流れるニーノ・ロータの美しく、哀しいメロディーが切ない。最高だ。

 フェ デリコ・フェリーニとニーノ・ロータが残したイタリア美術が煌く『道』は最高峰だ
 勿論、ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン、リチャード・ベイス ハート の名演があってのことだが。

 フェ デリコ・フェリーニの妻、ジュリエッタ・マシーナがフェリーニについて語った。
 「彼は、一人の人間、一対の男女に目を向けるやり方で、神の救いについて 語っている」と。
 その代表的な作品がこの『道』 だ。

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〜プロローグ〜

ニーノ・ロータの美しいメロディーが流れる。
浜辺の風景に溶け込んでいる無垢なジェルソミーナが映し出される。
 海は ジェルソミーナにとって故郷そのものなのだ。
浜 辺に落ちている棒を集めて背負っているジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナの妹…「ジェルソミーナ! ジェル ソミーナ!」


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ジェルソミーナの妹…「ジェ ルソミーナ! 早くお帰り
ママがすぐ帰れって
大きなオート三輪車に 乗った人が来てる
ローザが死んだんだって」
妹 たちがジェルソミーナを呼びに来る。
家 の方に走って向かうジェルソミーナ。

〜口減らし〜

束にした棒を背負ったまま、ザンパノを見ているジェルソミーナ。
母 親…「ローザをつれてった ザンパノを覚えて るだろ」
末 の子を抱いたまま、4人姉妹の長女のジェルソミーナに話して聞かせる母親。
ザンパノはオート三輪車の荷台をねぐらにして放浪生活をしている粗野な大道芸人 で、芸の手伝いをさせる目的と、欲望を満たすために、以前、買った家を訪ねたのだ。
母 親…「かわいそうな娘だよ」と泣き ながら言う母親。
鉄 柱に凭れて銜え煙草をしてジェルソミーナを見ているザンパノ。
母 親…「お墓がどこだかもわからない
かわいそうに 死んじまったんだよ
やさしい娘だったのに
どんなことでも よくできる娘だった」
泣 き続ける母親。
背 負っていた棒を手放し悲しむジェルソミーナ。
母 親…「ザンパノ この娘もよく似てるだろ
ジェルソミーナだよ」
話 続ける母親。
巻 き煙草に息を吹きかけ、銜えるザンパノ。
母 親…「本当に私たちは不幸だよ
ザンパノ この娘はね
ローザと違って とても従順なんだよ」
話 続ける母親。
ジェ ルソミーナを見るザンパノ。
母 親…「言うこともよくきく
少し変り者だけれどー」と言う 母親。
ザ ンパノを見て俯き、母親の方を見るジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

抱き抱えていた末の子を降ろし、ハンカチを口に当てて話し続ける母親。
母 親…「毎日キチンと食事すれば変る
ローザをついで ザンパノと行くかい?
そしたらいくらかでも お金になるしー」
母 親の話を聞き、ザンパノの方を見るジェルソミーナ。
母 親…「家でも口がへるんだよ
どう ジェルソミーナ」と言う 母親。
俯 くジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナの肩を抱き話続ける母親。
母 親…「ザンパノは親切で お前も幸せよ
あちこちも見られる
歌って踊って しかもー
これをごらん 一万リラもくらたんだよ
見てごらん 一万リラだよ」と言 い、懐からお金を取り出して見せる母親。
つ まらなそうにしていたジェルソミーナがお金を見る。
話 が終わるのを待っているザンパノ。
母 親…「屋根も修理できるし 当分は食べられ る」と言う母親。
にっ こりするジェルソミーナ。
母 親…「ところで父さんはどこだろ」
悲 しそうな顔をするジェルソミーナ。
母 親…「ジェルソミーナ」
泣 いているジェルソミーナを抱きしめて泣く母親。
母 親…「お前は一人前なのに 働いたことがな い」と言う母親。
首 を横に振るジェルソミーナ。
母 親…「誰もお前がいけないとは 言わないよ」と言う 母親。
母 親の胸に顔を埋めて泣くジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナを見ているザンパノ。
母 親…「ママを助けてくれるかい?」
抱 きしめながら泣く母親。
ザ ンパノの方を見て頷くジェルソミーナ。
母 親…「あんた この娘を
芸人にしてくれる?」
ザ ンパノの目的が分かっていても口減らしに、娘を売り飛ばすしかないと選択し泣く母親。
ザ ンパノ…「大丈夫さ 犬にだって芸が教えられ る」と答えるザンパノ。
 こ の“犬 にだって”と言うザンパノの考えが、 ジェルソミーナを傷つけて行くことになる。
ザ ンパノ…「子供たち サラミを1キロとー
チーズを半キロだ ぶどう酒2本
さあ 買って来い
早く行け」
交 渉が成立してニヤリとして子供たちに使いをさせるザンパノ。
走っ て使いをする子供たち。
向 きを変えて海の方へ歩き出すジェルソミーナ。
母 親…「どこへ行くの? ジェルソミーナ
どうしたの」
ジェ ルソミーナの行動に驚いて言う母親。
ジェ ルソミーナを見ているザンパノ。
母 親…「ザンパノ…」
ザ ンパノに向かって首を傾げ、
「ジェルソミーナ!」
ジェ ルソミーナを呼ぶ母親。
ジェルソミーナのことが解っていない母親が 描かれているシーンだ。
 浜辺はジェルソミーナの聖地なの だ。
砂浜に座り込み海を見て、涙ぐむジェルソミーナ。
浜辺に別れを告げている。

母親がジェルソミーナを連れてオート三輪車の方へ向かっている。
近 所の人…「行くのかい?」
近 所の人がジェルソミーナに声を掛ける。
ジェ ルソミーナ…「よく働いて家へ お金を送って あげる
芸人になって歌って踊るわ ローザみたいに」
グ ルリと回って見せ得意げに話すジェルソミーナ。
 ジェルソミーナは貧しい家族の犠牲になって 売られてしまうのに、姉のように一人前に買われていくことを喜ぶ。
近 所の人…「いつ帰るの?」
近 所の人が言う。
母親の方を見るジェルソミーナ。
答 えられないで、
母 親…「行かないで 行かないで
娘や 行かないで」と言い ジェルソミーナにしがみつく母親。
母 親に抱きつき、妹たちに別れのキスをするジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「すぐ戻って来るよ」と言う ザンパノ。

泣きながら見送る家族に向かって、
ジェ ルソミーナ…「行くわよ!」とマン トを翻して言うジェルソミーナ。
 ジェルソミーナが家族に決意を見せる。
母 親…「ジェルソミーナ! お前のショールだ よ」
ショー ルを振りながら言う母親。
大 好きなこの地と家族と離れ離れになることが分かり悲しそうな表情をするジェルソミーナ。
オー ト三輪車のエンジンを掛けたザンパノが、
ザ ンパノ…「さあ 早く乗れ!」と言 う。
オー ト三輪車の方に走って行くジェルソミーナ。
母 親…「ああ 娘や!
かわいそうな私の娘や!」
泣 き続ける母親。
荷 台に乗るジェルソミーナ。
オー ト三輪車が走り出す。
荷 台から家族に向かって手を振るジェルソミーナ。
走っ て追い掛けて行く妹たち。
遠ざかる家族を見ながら涙を流すジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

オート三輪車の荷台から、遠ざかってゆく家族に手を振り泣くジェルソミーナ。

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〜大道芸〜

群衆に芸を見せようとしているザンパノ。
ザ ンパノ…「直径5ミリの 鉄より硬い鋼鉄の鎖 だ
この鎖を切って見せる」
群 衆に話すザンパノ。
荷 台から見ているジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「胸の筋肉の力で 切って見せます
この鉤を引きちぎる」
驚 いて見ているジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「ありがとう
ありがとう 皆様がた
まず 肺にうんと空気を 吸いこみます
ヘタをすると 血管が破裂します
いつか ミラノで
これをやって 目が 見えなくなった男がいます
目の神経に ムリがかかったからです
目が見えなくなればー 一生の終りだ
心臓の弱い人は 見ない方がいいですぞ
出血するかも知れん」と言 い、大きく息を吸い込む。
怖 そうに見ているジェルソミーナ。
握 り拳にした両腕を挙げ、


『道』アンソニー・クインら

ザンパノ…「うん!」
鎖 を引きちぎるザンパノ。
群 衆が拍手する。
怖々 と拍手するジェルソミーナ。

〜叩き込み〜

食事を終えたザンパノが料理を上手く出来ないでいるジェルソミーナに、
ザ ンパノ…「スープも作れんのか?」と言 う。
ジェ ルソミーナ…「ダメなの」と答え るジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「まるで豚の餌だ」と言う ザンパノ。
荷 台へ行き、
ザ ンパノ…「舞台用の衣装があるぞ 靴も服もあ る
どれか合うだろう
優雅にしろ」と言う ザンパノ。
傍 に来るジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「汚いなりの女の子とは 仕事をせん
身なりをよくしろ」と言う ザンパノ。
ショ ンボリするジェルソミーナ。
持っ てきた衣装をジェルソミーナに持たせ、帽子を被せるザンパノ。
嬉 しそうに帽子を見るが、ザンパノが見ているので感情を抑えるジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「言え“ザンパノが来たよ”と」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ」と言う ジェルソミーナ。
つ まらなそうにジェルソミーナの容姿を見ているザンパノ。
嬉 しそうに帽子を見ているジェルソミーナ。
帽 子を取り替えて被せて見るザンパノ。
ザ ンパノ…「ザンパノが来たよ!」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ!」と言う ジェルソミーナ。
“どうにもならない女だ”と思いながら、次のステップに移るザンパノ。
嬉 しそうに帽子を見上げて、小躍りするジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「来い」
ザ ンパノが呼ぶ。
恐 る恐る近づくジェルソミーナ。
腰 掛けてトランペットを見せ、
ザ ンパノ…「トランペットがある」と言い 吹いて聴かせ下に置くザンパノ。
ト ランペットを手に取り吹くジェルソミーナ。
手 荒にトランペットを取り上げるザンパノ。
ザ ンパノ…「言う通りにしろ」と言 い、小太鼓を首に掛けてやるザンパノ。
小 太鼓を指差し、
ザ ンパノ…「いいか 太鼓をたたくんだ」と言う ザンパノ。
手 で小太鼓を叩くジェルソミーナ。
睨 むザンパノ。
気 まずくなって視線を逸らすジェルソミーナ。
ば ちで叩いて見せ、
ザ ンパノ…「ザンパノが来たよ!」と言う ザンパノ。
ば ちで叩いて、
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ!」と言う ジェルソミーナ。
呆 れたように、ばちを取り上げて、このように持ってという風な仕草をして叩いて見せ、
ザ ンパノ…「ザンパノが来たよ!」と言い ばちをあげて見せ、ばちをジェルソミーナに渡すザンパノ。
ば ちで叩いて、
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ!」と言う ジェルソミーナ。
怒っ たザンパノが近くの植物を抜き、葉を取って茎だけにする。
“何をしているのだろう”と嬉しそうに見ているジェルソミーナ。
腰 掛けて、
ザ ンパノ…「やれ」と指示 するザンパノ。
ば ちで叩いて、
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ!」と言う ジェルソミーナ。
茎 で脚を叩くザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「アン!」
痛 そうに脚を押さえ、後退りするジェルソミーナ。


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナら

ザンパノ…「こっちへ来 い ここへ来るんだ」と言 い、自分の前に来させるザンパノ。
ば ちで叩いて、
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ!」と言う ジェルソミーナ。
茎 で脚を叩くザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「アン!アン!アン!」
痛 そうに脚を押さえ、後退りするジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「こう言うんだ “ザンパノが来た よ!”」と手を あげ声を張り上げて言い、厳しく芸を叩き込むザンパノ。
泣 き出すジェルソミーナ。
続 けるように指示するザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが来たよ! ザンパノ が来たよ! ザンパノが来たよ!」と泣き ながら言い、小太鼓をばちで叩き続けるジェルソミーナ。
そ れを近所の子供たちが見ている。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

ジェルソミーナ…「きら めく炎 かがやく火
とぶ火花 夜!」と焚き 火を見ながらマントを翻すジェルソミーナ。
 無垢なジェルソミーナにとって海、 火、音楽、神は特別のものなのだ。
 海は故郷、火は生命、音楽は安ら ぎ、神は崇高というように

ザンパノはジェルソミーナを彼の芸の手伝いをさせるだけでなく、欲望を満たす道具 として扱ってゆく。
“買った女なのだから どう扱おうといいのだ”と言う傲慢な態度で。
ジェルソミーナは乱暴に扱われて涙を流すが、ザンパノが喜ぶのであればと受け入れ てゆく。

ザンパノに仕込まれたジェルソミーナが本番で小太鼓を叩いている。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

お得意の鎖を引きちぎる芸を見せるザンパノ。


『道』アンソニー・クインら

二人で大道芸を見せているザンパノとジェルソミーナ。
恥 ずかしがりながらも、上手く役をこなすジェルソミーナ。
 このシーンのマシーナの演技は絶品だ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クインら

酒場で食事をするザンパノとジェルソミーナ。
ザ ンパノに話し掛けるジェルソミーナ。
だ が、野望を抱いているザンパノは話に興味がない。
い い女を目にしたザンパノはジェルソミーナを疎外する。


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナら

ザンパノが酒場で見かけた女と出て行き、ジェルソミーナを置き去りにする。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

野宿する破目になるジェルソミーナ。
翌 朝、近所の子供たちが野良犬を見ているような目でジェルソミーナを見ている。
ジェ ルソミーナを憐れに思った、その子らの母親が食べ物を彼女の傍に置いているからだ。
惨 めなジェルソミーナ。

ザンパノの居場所を聞いたジェルソミーナが駆け出して行く。
森 のはずれの畑の中で酔い潰れて寝ているザンパノを見つけ、起こそうとするが起きない。
そ の間に見つけたトマトの種を畑に植えるジェルソミーナ。
目 が覚めたザンパノが当然のようにジェルソミーナを急き立て、次の地へ向かう。
そ の際、ジェルソミーナが種を植えていたことを思い出し笑うザンパノ。
ザ ンパノ…「いったい何を考えているんだ」


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナら

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〜女〜

結婚披露宴で大道芸を見せているザンパノとジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クインら

ザンパノが式場で料理を作っている女の元へ行き、またもやジェルソミーナを置き去りに する。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

納屋で女から貰った服を嬉しそうに着ているザンパノ。
相 手にされないで悲しんでいたジェルソミーナが、あのメロディーを口ずさむ。
ジェ ルソミーナ…「覚えてる?」と言 い、ハミングするジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナ…「雨の日に聞いた歌よ」と貰っ た服を着ているザンパノに言うジェルソミーナ。
ハ ミングするジェルソミーナ。


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ

ジェルソミーナ…「なぜ トランペットを 教えないの? 教えて頂戴
ローザに教えたのに なぜ私はダメ?」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「どうだ」と貰っ た服を着て見せ得意がるザンパノ。

全然、相手にされないで泣き出すジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「どうしたんだ」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「別に」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「なぜ泣くんだ?」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「私にもわからない」と言っ たジェルソミーナが洞穴に落ちる。
洞 穴で泣きじゃくるジェルソミーナ。
上 から覗き込みながら、
ザ ンパノ…「上れ」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いや!」と剥れ るジェルソミーナ。
笑 いながら、
ザ ンパノ…「上れよ」と言う ザンパノ。
泣 き続けるジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「そこで寝るのか」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「ここで寝るわ」と泣き ながら言うジェルソミーナ。

夜が明ける。
穴 から這い上がってくるジェルソミーナ。
寝 ているザンパノを見て腹立たしく思うジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナ…「帰るわ 故郷へ
いやになったわ」と寝て いるザンパノに向かって言うジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナ…「仕事じゃない 仕事はいいのよ
芸人は楽しいから
あんたって人が嫌いなの」と言 い、ザンパノの体を突付くジェルソミーナ。
驚 いて向き直り、
ザ ンパノ…「何だと?」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「帰るわ」と言い 出口に向かうジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナを見るザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「故郷の家へ」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「バカを言うな」と言 い、向きを変え目を閉じるザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「靴は置いてくわ オーバーも
何もかも」と言い 出口に向かうジェルソミーナ。
靴 とオーバーを脱ぎオート三輪車の荷台に戻し、買われた時に着ていたマントを着る。
ジェ ルソミーナ…「私にはもう 我慢できなくなっ た」と言い粗末な靴を手に持ち 離れてゆく。
ザ ンパノが休んでいる納屋に向かって、
ジェ ルソミーナ…「だから帰るわ」と悲し そうに言いながら、再三、無視されたことに腹を立て出て行くジェルソミーナ。

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〜綱渡り〜

飛び出してきたものの、何処に向かえばいいのか判らないジェルソミーナは道端に座り込 む。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

蟻の巣を目にしたジェルソミーナが、棒切れを穴に差込み蟻を手の甲に置き吹いて飛ば す。
ま るで羽ばたかせたいかのように。
つ まらなそうにしていたジェルソミーナに、縁日を知らせる宣伝マンの音楽が聴こえてくる。

音楽に誘われてついて行った縁日で教会のパレードを目にするジェルソミーナ。
 このシーンは「神と愛」をテーマに するフェリーニの神髄である。
 フェリーニの大好きな道化師と共に息 吹が注がれている。

綱渡り芸が行われている。


『道』

それを見ているジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

綱渡り芸人アルレッキーノがユニークな表情のジェルソミーナを見て吹き出す。


『道』リチャード・ベイスハート

アルレッキーノを尊敬の眼差しで見詰めるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

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〜おもちゃ〜

独りでいるジェルソミーナが男たちにからかわれている。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノが現れ嫌がるジェルソミーナを叩き手荒く連れ帰る。
 これがザンパノの愛の表現だ。
 これでは愛は伝わらないのに。

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〜サーカス〜

ザンパノがサーカス団に加わることになる。
大 好きなメロディーが聴こえてきて覗き込むジェルソミーナ。
 音楽はジェルソミーナにとって安ら ぎなのだ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ジェルソミーナにトランペットの吹き方を教える綱渡り芸人アルレッキーノ。


『道』リチャード・ベイスハート、ジュリエッタ・マシーナ

だが、ザンパノとアルレッキーノは以前から犬猿の仲であった。
ザ ンパノがアルレッキーノとジェルソミーナがコンビを組むことを知り怒る。
か らかうアルレッキーノ。
血 相を変えアルレッキーノを追い回す。
そ れを見て顔に手を当て、足をバタつかせ怯えるジェルソミーナ。
 見事な演技だ。
 無垢なジェルソミーナの動揺振りが伝わっ てくる。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

騒ぎを起こし警察沙汰にしたザンパノたちに愛想を尽かした団長が一団を引き連れ去って ゆく。
ジェ ルソミーナも誘われるが残る。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

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〜小石〜

先に釈放されたアルレッキーノが戻ってきて、どうして一団と一緒に行かなかったのかと 聞く。
ジェ ルソミーナ…「皆と行っても同じことよ
ザンパノといたって 変りはないわ
どっちだって同じよ」


『道』ジュリエッタ・マシーナ

私は何の役にも立たない女よ
いやだわ
生きてることがいやになった」と言い泣き 出すジェルソミーナ。

ザンパノの態度に思い当たったアルレッキーノがジェルソミーナに、
綱 渡り芸人…「惚れてるんだ」と言 う。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノが? 私に?」と言い アルレッキーノを見るジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

綱渡り芸人…「変かい?  奴は犬だ
お前に話しかけたいのに
吠える事しか知らん」と言う アルレッキーノ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

ジェルソミーナ…「かわ いそうね」と悲し そうに言うジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

綱渡り芸人…「そうだ  かわいそうだ」と言い 立ち上がる。
 顔を合すとザンパノをからかってばかりい るが、気になっていることを知られないように立ち上がったのだ。
「しかし お前以外に
誰が奴のそばにいられる?」と言う アルレッキーノ。

 「私は何の役にも立たない女よ」と言うジェルソミーナに、綱渡り芸人アルレッキーノが言って聞かせる。
 特に好きなシーンだ。

綱渡り芸人…「おれは無 学だが 何かの本で読んだ
この世の中にあるものは何 かの役に立つんだ
例えばこの石だ」と、 綱渡り芸人が言う。
ジェ ルソミーナ…「どれ?」
綱 渡り芸人…「どれでもいい」
石ころを拾う。 
綱 渡り芸人…「こんな小石でも 何か役に立って る」


『道』リチャード・ベイスハート

ジェルソミーナ…「どん な?」
綱 渡り芸人…「それは…
おれなんかに聞いても わからんよ
神様はご存知だ
お前が生れる時も死ぬ時も
人間にはわからん
おれには小石が 何の役に立つかわからん
何かの役に立つ
これが無益ならすべて無益だ
空の星だって 同じだとおれは思う
お前だって
何かの役に立ってる
アザミ顔のブスでも」
ジェルソミーナはその小石を貰う。
小石をじっと見て頷く。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

小石を握り締め、
ジェ ルソミーナ…「私がいないと 彼は独りぼっち よ」と…。

元気になったジェルソミーナを見て喜ぶアルレッキーノ。
 天使のような笑顔だ。


『道』リチャード・ベイスハート

綱渡り芸人…「おれの仕 事はいつ死ぬか
わからん危い仕事だ」と指を 使って綱渡りをして見せるアルレッキーノ。
 その後を暗示させているシーンだ。


『道』リチャード・ベイスハート、ジュリエッタ・マシーナ

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〜プレゼント〜

ザンパノを待つ気でいるジェルソミーナを警察署の前に連れて行ってやるアルレッキー ノ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

アルレッキーノはザンパノを待つジェルソミーナに、
綱 渡り芸人…「ジェルソミーナ、ジェルソミー ナ…」と、 歌い自分のネックレスを外し、
綱 渡り芸人…「これをやる」と、 俯いているジェルソミーナの首にはめてやる。


『道』リチャード・ベイスハート

俯いたままネックレスをしっかり握り締めるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

アルレッキーノは、
綱 渡り芸人…「思い出の品だ」と、 言いジェルソミーナを見詰め、


『道』リチャード・ベイスハート

片手を上げ、
綱 渡り芸人…「チャオ」と、 別れの挨拶をする。


『道』リチャード・ベイスハート

綱渡り芸人…「ジェルソ ミーナ、ジェルソミーナ…」
「チャオ!」と、 離れて行く。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

瞳を潤ませ貰ったネックレスを片手に握り締め、もう一方の手を上げ別れの挨拶をす るジェルソミーナ。
口笛を吹いて段々離れて行くアルレッキーノ。
綱 渡り芸人… 「さよなら ジェルソミーナ」と、 言い歌いながら去って行く。


『道』リチャード・ベイスハート


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

 ジェルソミーナの純粋な愛に、大切な 思い出のネックレースをプレゼントして去ってゆくアルレッキーノは神が使わせた天使だ。
 瞳を潤ませ貰ったネックレスを片手に 握り締め、手を振るジェルソミーナの純な姿といい、愛を奏でるニーノ・ロータの美しく、切ないメロ ディーといい、胸の奥まで染み込んでくる。
 何時観ても「愛」に触れ涙が溢れてく る。
 こんな美しいシーンを演出したフェー リーニに感謝だ。

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〜出所〜

ザンパノが出所してくる。
内心ジェルソミーナが残ってくれたことを喜ぶが、吠えることしか出来ないザンパノ は礼が言えない。


『道』アンソニー・クイン

ザンパノの態度にガッカリしながらも、アルレッキーノが話していたことを力に石を 見るジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナら

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〜聖地〜

移動中に止まった浜辺で、嬉しそうに心の故郷である海を眺めるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

海を見ていたジェルソミーナが、
ジェ ルソミーナ…「前には家へ帰りたくて 仕方な かった
でも今では どうでもよくなったわ」
波 打ち際で足の疲れを取っているザンパノの方を向き、
「あんたといる所が私の家だわ」
嬉 しそうに言う。
だ が、
ザ ンパノ…「そいつは立派な考えだ
家へ帰れば満足に食えんから 気が変ったんだ」と何時 もの調子で返すザンパノ。
怒っ て足元の砂を蹴り、
ジェ ルソミーナ…「あんたってケダモノね あきれ たわ」と言う。
笑 いながら、
ザ ンパノ…「だが本当だぜ」と言い 面白がるザンパノ。

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〜旋律〜

旅の途中、立ち寄った僧院で大好きなメロディーをトランペットで吹くジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

美しい旋律を奏でるジェルソミーナに感激する修道女。


『道』リビア・ベントゥリーニ

自分を認めてくれる修道女の態度に嬉しくなるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ、リビア・ベントゥリーニ

納屋でザンパノに「何も出来ない私とどうして一緒にいるのか」と問うジェルソミーナ。
他 の事を考えているザンパノは「可 笑しなことを言う女だ 早く寝ろ」と相手にしない。
 ジェルソミーナの存在が安らぎを齎すこと に気付かないし、気付いても言わないだろう。

横になったジェルソミーナがザンパノに、
ジェ ルソミーナ…「私が死んだら悲しい?」と言 う。
ザ ンパノ…「…」
動 揺するザンパノ。
だ が、直ぐに、
「お前 死ぬのか?」と、 素っ気無く言う。
ジェ ルソミーナ…「前にはこんな生活なら 死にた いと思ってたわ」
起 き上がって、
「今は二人が夫婦みたいね」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「…」
ジェ ルソミーナ…「小石でも役立つなら 一緒に暮 らせばいいわ
よく考える必要あるわ」と頭を 指差して言う。
ジェ ルソミーナ…「あんたは考えない?」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「考えることはねえ」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「本当に?」と言う ジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「何を考えるんだ
こんなバカげた話は いいかげんでやめろ?
早く寝ろ 眠い」と怒鳴 り、背中向きになるザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノ 少しは私を好き?」
つ まらなそうに横になって言い、背中を向けているザンパノを見て言うジェルソミーナ。
起 き上がりトランペットを手にして、あのメロディーを吹く。


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノ…「やめて寝 ろ」と声を荒げるザンパノ。

目が覚めたジェルソミーナがザンパノを捜しに行く。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノは僧院の銀のハートを盗もうとしていた。
手 が太くて届かないで困っていたところに来たジェルソミーナに、あろうことか盗るように言う。
ジェ ルソミーナ…「いやよ いやよ いやよ」と拒否 するジェルソミーナ。
 神は崇高で汚してはいけない世界な のだ。
ザ ンパノ…「何がいやだ 誰に言っとる!」と言い 殴るザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ いやよ いやよ」と言い 泣き出すジェルソミーナ。
睨 むザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ 悪いことだわ」と泣き 続けるジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「うるさい!」と怒鳴 るザンパノ。
屈 み込み泣き続けるジェルソミーナ。

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〜衝撃〜

昨夜のザンパノの神を冒涜する行動に深く傷つくジェルソミーナ。

僧院を出て行こうとしているジェルソミーナの様子が変だと思った修道女が、
修 道女…「どうしたの?」と心配 して言う。
昨 夜のことを言えないジェルソミーナは悲しそうに首を横に振る。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

オート三輪車を押すジェルソミーナ。
憔 悴しているジェルソミーナを心配して見ている修道女。


『道』リビア・ベントゥリーニ、ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン

世話になった修道女に悲しそうな目を向けるジェルソミーナ。
 切ない。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

何があったのだろうかと心配して見ている修道女。


『道』リビア・ベントゥリーニら

恩を仇で返したザンパノの行為を詫び泣くジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

手を振りながら泣き続けるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

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〜ショック〜

ザンパノが人気のない山道でアルレッキーノを見つける。


『道』アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ

タイヤ交換をしていたアルレッキーノがザンパノを見て驚く。


『道』リチャード・ベイスハート

ザンパノとアルレッキーノの喧嘩が始まる。
ザ ンパノに殴られたアルレッキーノが車の角で後頭部を打ち倒れる。

殴られたアルレッキーノの様子がおかしいのに驚き駆け寄るジェルソミーナ。
ジェ ルソミーナ…「ザンパノ 早く!
様子が変よ おかしいのよ!」と 叫ぶジェルソミーナ。
近 づいてきたザンパノに、
ジェ ルソミーナ…「様子が変よ!」と怯え ながら言う。
ア ルレッキーノがワザと起き上がらないのかと、
ザ ンパノ…「おい」と足を 蹴るザンパノ。
腹 ばいになっていたアルレッキーノが呻き声を上げる。
ジェ ルソミーナ…「いやよ」と 怯えながら言うジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

様子がおかしいと思ったザンパノが膝を突き、
ザ ンパノ…「起きろ! 冗談はよせ」とアル レッキーノを揺すり仰向けにする。
力 なく仰向けになるアルレッキーノ。
ジェ ルソミーナ…「死ぬわ! 死ぬわ! 死ぬわ!  死ぬわ!」と怯え るジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノ…「静かにし ろ!」とジェルソミーナに言い、
ザ ンパノ…「おい!」
ア ルレッキーノを揺するザンパノ。
ア ルレッキーノの手を見るザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ いやよ」と言う ジェルソミーナ。
ア ルレッキーノの手を離すザンパノ。
力なく落ち、動かなくなっているアルレッキーノが映し出される。
ジェ ルソミーナ…「いやよ!」と 言い泣きそうになるジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノ…「静かにし ろ」と言うザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ! いやよ! いや よ!」と叫ぶジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「静かにしろったら!」と怒鳴 るザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ いやよ いやよ いや よ」と怯えるジェルソミーナ。
辺 りを見回し、
ザ ンパノ…「まずい事になった」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「いやよ」と言う ジェルソミーナ。
橋 の方を見たザンパノがアルレッキーノの足を持ち引き摺って行く。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ザンパノが死んだアルレッキーノを隠そうと引き摺っているのを見て、恐怖のあまり に気が狂れてしまうジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

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〜置き去り〜

生気を失っているジェルソミーナは「彼の様子が変よ ザンパノ 彼が死にそうよ!」と大道芸中も繰り返す。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

鎖を切る芸に集中できないでいるザンパノ。
ま た、塞ぎこんでばかりいるジェルソミーナを扱いかねるザンパノ。


『道』アンソニー・クイン

よくなったかと思っても、突然「彼の様子が変よ」と言い泣き出すジェルソミーナ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

堪りかねて、
ザ ンパノ…「お前の家へ帰ろう お袋さんの所へ
お袋さんの所へ 帰りたくねえのか?」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「私がいないとあんたは一人よ」と 言うジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「おれは遊んでられん! 飯のタネを 稼ぐんだ!
お前は病気だ! ここがな」と頭を 指差して訴えるようにいうザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「…」
日 だまりで横になるジェルソミーナ。
ザ ンパノ…「来い 何をしてる?
寒いぞ 乗れ 乗れ」と言う ザンパノ。
ジェ ルソミーナ…「あんたが彼を殺したのよ もう いやだわ
逃げたかったの
彼が言ったのよ 一緒にいろって
タキギが足りないわ 火が消える」と言い 寝入る。
 火は生命を意味している言葉だ。
 ジェルソミーナにとって海、火、音 楽、神は特別のものなのだ。

寝ているジェルソミーナを見るザンパノ。
“今のうちに”という考えが浮かぶ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

寝ているジェルソミーナを見て、毛布を掛けて置き去りにしようとするザンパノ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ

荷台でジェルソミーナが吹いていたトランペットが目に留まり、枕元にそっと置くザンパ ノ。
 ザンパノは罪滅ぼしのつもりだったのだろ うか。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

ジェルソミーナが目を覚めないように、オート三輪車を押して遠ざかろうとするザンパ ノ。


『道』アンソニー・クイン

 段々とジェルソミーナから離れてい くザンパノの視線から映し出され、置き去りにされたことがより強調され胸が締め付けられる。
 上手いカメラワークだ。


『道』ジュリエッタ・マシーナ


『道』ジュリエッタ・マシーナ

オート三輪車のエンジンを掛け遠ざかるザンパノ。
 だが、その先の道も寂しそうだ。


『道』

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〜エピローグ〜

ジェルソミーナが口ずさんでいた、あのメロディーをハミングしているのが聴こえて きて立ち止まるザンパノ。


『道』アンソニー・クインら

ハミングしていた女に聞くと置き去りにしたジェルソミーナが、何時も独りであのメ ロディーをトランペットで吹いていたという。
そして、4・5年前にジェルソミーナが死んだことを聞くザンパノ。


『道』アンソニー・クインら

肩を落としたザンパノ は、その夜、感情を抑えられず酔どれて、店の客たちに絡み大暴れする。
誰にも相手にされなくなったザンパノが、酔いながら向かうのは天 使ジェルソミーナの聖地、浜辺だ。
浜辺に座ったザンパノに、波が鼓動の ように押し寄せてくる。

 ジェルソミーナの涙だ。
天の声が聞こえるザンパノ。


『道』アンソニー・クイン

己を恥じ、悔いるザンパノ。


『道』アンソニー・クイン

砂浜の砂を握り締め、身もだえして泣き、崩れる。


『道』アンソニー・クイン

波が押し寄せては、引く。


『道』アンソニー・クイン

失ったものの大きさに気が付き泣き続けるザンパノ。
 ジェルソミーナの愛、「私がいないと 彼は独りぼっち よ」と傍にいてくれた天使を捨てたことに気付いたのだ。


『道』アンソニー・クイン

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 堪らない。
 ジェルソミーナの無垢な愛。
 悔いるザンパノ。

 犬のように吠えるだけでジェルソミーナを人として接することが出 来な いザンパノ。
  一人の人間として扱ってくれなくても、「何かの役に立っている」と尽くすジェルソミーナ。
  ジェルソミーナを励ましていたアルレッキーノがザンパノに命を奪われ生気を失っても、ずっと傍にいてやる。
 「何 かの役に立っている」との思 いから。
  だが、捨てられる。

 人生の愛と哀しみが、美しく切ない旋律で奏でられ、胸の奥まで染み込んでく る。
 人は残酷で あるが愛が人を救う ことを、感じさせてくれる名作だ。

〜写真〜


『道』ジュリエッタ・マシーナ

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1999

キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で7位
 

[映 画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画
/
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位

@七人の侍(黒澤 明) A浮 雲(成 瀬巳喜男) B飢餓海峡(内田吐夢)
B東 京物語(小 津安二郎)
C
-
D幕末太陽傳(川島雄三)
D羅生門(黒澤 明)
E
-
F赤い殺意(今村昌平) G仁義なき戦い(シリーズ) (深作欣二)
G二 十四の瞳(木 下恵介)
H
-
I雨月物語(溝口健二)

@第 三の男(キャロル・リード) A2001年宇宙の旅(スタ ンリー・キューブリック) Bロー マの休日(ウィ リアム・ワイラー)
Cアラビアのロレンス(デ ヴィッド・リーン)
D風 と共に去りぬ(ヴィクター・フレミング) B市民ケーン(オーソン・ ウェルズ) F駅 馬車(ジョ ン・フォード)
F禁じられた遊び(ルネ・ク レマン)
Fゴッドファーザー(フラン シス・フォード・コッポラ)
F(フェ デリコ・フェリーニ)
G
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B
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I
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※1999
[映画人が選ぶオールタイム・ベスト テン](日本編)(外国編)キネマ旬報創刊80周年記念特別企画 は、従来の映画評論家を中心にしたアンケートとは異なり、監督、プロデューサー、脚本家、撮影監督など、実際に日本 映画の製作に携わる映画人(140人、144人)に、それぞれのベ スト作品10本を順不同で選んでもらう選考方法。(1999年10月下旬号、10 月上旬号においてアンケート結果を発表)

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2009

キ ネマ旬報創刊90周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で10位
 

[映 画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]キ ネマ旬報創刊90周年記念特別企画
/
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位

@東 京物語(小 津安二郎) A七人の侍(黒澤明) B浮 雲(成 瀬巳喜男) C幕末太陽傳(川島雄三) D仁義なき戦い(シリーズ) (深作欣二) E二 十四の瞳(木 下恵介) F羅生門(黒澤明)
F丹下左膳餘話・百万両の壷 (山中貞雄)
F太陽を盗んだ男(長谷川和 彦)
G
-
H
-
I家族ゲーム(森田芳光)
I野良犬(黒澤明)
I台風クラブ(相米慎二)

@ゴッドファーザー(フランシス・フォード・コッポラ) Aタクシー・ドライバー(マー チン・スコセッシ)
Aウエスト・サイド物語(ロ バート・ワイズ)
B
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C第 三の男(キャロル・リード)
D勝手にしやがれ(ジャン・ リュック・ゴダール)
Dワイルドバンチ(サム・ペ キンパー)
B
-

F2001年宇宙の旅(スタ ンリー・キューブリック)
Gロー マの休日(ウィ リアム・ワイラー)
Gブレードランナー(リド リー・スコット)
B
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I駅 馬車(ジョ ン・フォード)
I天 井棧敷の人々(マルセル・カルネ)
I(フェ デリコ・フェリーニ)
Iめ まい(ア ルフレッド・ヒッチコック)
Iアラビアのロレンス(デ ヴィッド・リーン)
I暗殺の森(ベルナルド・ベ ルトルッチ)
I地獄の黙示録(フランシ ス・フォード・コッポラ)
Iエル・スール(ビクトル・ エリセ)
Iグラン・トリノ(クリン ト・イーストウッド)
※2009.11
[映画人が選ぶオールタイム・ベスト テン](日本編)(外国編)キネマ旬報創刊90周年記念特別企画 は、日本編は114人、外国編は121人の映画評論家や作家、文化人の投票を集計した。

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フェ デリコ・フェリーニ
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