離愁
  
   ジャン=ルイ・トランティニャン、ロミー・シュナイダー

※ストーリーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。

  〜避難〜〜〜〜〜〜深 い関係〜〜寛ぎ案内所ユダヤ人機銃掃射〜〜〜〜旅の終わり〜〜3年後〜〜再会〜〜〜  

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに ;終わり に] web拍手 by FC2
(1974)(仏)-Le Train-
監督…ピエール・グラニエ・ドフェー ル
製作…ピエール・グラニエ・ドフェー ル
製作総指揮…ラルフ・ボーム
原作…ジョルジュ・シムノン
脚本…ピエール・グラニエ・ドフェー ル/パスカル・ジャルダン
撮影…ワルター・ウォティッツ
編集…ジャン・ラウェル
音楽…フィリップ・サルド
出演…ジャン=ルイ・トランティニャ ン(フランス人/ジュリアン・マロアイユ)
………ロ ミー・シュナイダー(ドイツ生まれのユダヤ人/アンナ)
………ニク・アリギ(妻/モニーク)
………アンヌ・ヴィアゼムスキー
………レジーヌ
………フランコ・マツィエリ
………ジョルジュ・シムノン
………ピエール・グラニエ=ドフェー ル
………モーリス・ビロー
………ポール・ル・ペルソン(ナチス秘密警察/係員)

Top

 ロ ミー・シュナイダーが艶っぽく、ラストシーンではジャン=ルイ・トランティニャンとロミー・ シュナイダーが、究極の愛を演じた。
 熱 い視線と肌の温もり、そして、動悸を画面に描き出した傑作で脳裏に焼き付いて離れない。

Top

〜避難〜

第2次大 戦初期(1940年5月)、 ベルギーの国境近くのフュノアで平凡な生活を送っていた修理業を営むフランス人のジュリアン(ジャ ン=ルイ・トランティニャン)が ドイツ軍のフランス侵攻から逃れるために、身 重な妻モニーク(ニ ク・アリギ)と娘を連れてスダンから列 車に乗ろうとする。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ニク・アリギら

だが、 ジュリアンは警備係に妻子が乗る客車とは別の貨車に乗るよう指示される。


『離愁』ニ ク・アリギ、ジャン=ルイ・ト ランティニャンら

Top

〜女〜

妻子を気 遣うジュリアンが指示され乗った最後部の貨車には人目を惹く若い女アンナ(ロ ミー・シュナイダー)が乗っていた。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

アンナが 気になるが目を合わせないようにしようとするジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

二人は自 由に身動きできない貨車の中で、互いに寄り添うようにしながら旅を続けたが、 殆んど口をきかなかった。
だ がアンナはジュリアンの視線に気がついていた。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャンら


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャンら

ジュリア ンは赤ちゃん連れの若い女を見ているアンナに突然、
ジュ リアン…「妻も臨月 だ」と 言う。
 ア ンナに惹かれてゆくことに対しての自己抑制だ。
自 由に身動きできない貨車での旅は続く。

アンナの 気を引こうとしている同車両の男を見ていたジュリアンは、眼鏡を外し隣に座っ ているアンナの耳から目、鼻、そして口元へと視線を送る。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

それを見 ていた男が、
男…“お前も気があるのだろ う”と 口元から指を弾いてからかう。

抑制しよ うとしてもアンナの魅力に引き込まれてゆくジュリアン。
ま た、ユダヤ人であるアンナもナチスに追われ続けた辛い過去を、ジュリアンを知ることでしばし忘れることが出 来た。
二 人の心は次第にたかまり求めあった。
ジュ リアンは、それが不倫の恋と知りつつアンナに対する愛は深まるばかりだった。

Top

〜愛〜

客車に 乗っている妻子のことを気にしながらも、同じ貨車のアンナのことを心配するジュ リアン。
停 車した駅で体調を気遣い様子を見に来る夫の態度が変化していることに気付く妻。

アンナに 相手にされなくて面白くない男が瓶を割り、それをジュリアンに向け決闘するよ うに促がす。
男 の前に進み出るジュリアン。
 女を愛しているから。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン ら

同車両の 男が止めに入る。
命 を懸けたジュリアンの行動を目にしたアンナは外見とは違う男らしさに驚き、愛が本物であると感じる。
決 闘を仕掛けた男も手を引く。

そんな 中、ドイツ軍戦闘機の機銃掃射を警戒して客車と貨車は切り離される。
妻 子の乗った客車と引き離されてしまうジュリアン。

線路が爆 撃を受け列車が急停車する。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

Top

〜深い関係〜

明日は分 からない張り詰めた空気の中、二人はお互いに求め合い深い関係になっていっ た。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

Top

〜寛ぎ〜

線路の修 理の間に廃墟で寛ぐ二人。
 ひ と時の幸せを体中で味わっている二人が微笑ましい。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

Top

〜 案内所〜

ムーラン 駅で家族の消息を案内所で聞けるというアナウンスが流れる。
躊 躇しているジュリアンに行くように言うアンナ。
頷 くがアンナのことが心配で腰を上げないでいるジュリアン。

待っ ていると言い、捜しに行かせるアンナ。
ごっ た返している案内所の方に向かうジュリアン。
サ イレンが鳴る。
爆 撃が始まる。
案 内所で順番を待っていたジュリアンの足は家族の消息を気にしながらもアンナが待つ貨物車の方に向かう。
爆 撃とサイレンの音が響き渡る中、貨物車の隅で怯えているアンナ。
先 に急ぐ人々でごった返すホーム。
ジュ リアンの身を心配して貨物車の中から駅周辺を見渡すアンナ。
ア ンナの元に急ぐジュリアン。
駆 けてくるジュリアンを目にするアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

家族の消 息が分からないままに戻ってきたジュリアンに、
ア ンナ…「次の駅で分かるわ」と 言うアンナ。

 己を恥じているジュリアンの気持ちを和らげている。
 戻って来てくれたことを喜びながら。
ジュ リアン…「そうだね」と 頷くジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

Top

〜ユダヤ人〜

アンナの 国籍を聞くジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

躊躇する アンナに、再度聞き返すジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

アンナは ドイツ人でベルギーの難民キャンプにいたと話す。
そ して、ユダヤ人だと言ったアンナは悲しそうな顔になる。
 迫 害された家族、収容所での飢えと寒さと恐怖に顔が曇る。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

フランス 人のジュリアンはユダヤ人の置かれた状況を聞き驚く。

Top

〜機銃掃射〜

列車がド イツ軍戦闘機の機銃掃射を浴びる。
 貨車の皆が寛いで 笑っている映像にヒットラーたちの笑い声を被らせた後に、 機銃掃射を浴びる演出が怖い。
 戦争の悲惨さが伝 わってくる。


『離愁』

多数の死 傷者を出す。
赤 ちゃん連れの若い母親など、同車両の人々も襲撃に遭う。
悲 惨な現状に体を振るわせて怯えるアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

嗚咽して 泣いているアンナを抱き寄せ両手で頬を優しく包み込むジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

アンナ…「発車でき る?」と 聞くアンナ。
アンナの顔を両手で包み込 み、
ジュ リアン…「できるとも」と答えるジュリアン。
 これは希望を意味し ている。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

明日も知 れない状況下、二人は愛を深めてゆく。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

アンナの ことを知りたいジュリアンが夫の事を聞く。
夫 は新聞社の代表で2年前に連行されたまま消息が分からないと話すアンナ。
ユ ダヤ人の母も連行され、その夫ということで父も連行されたと言い、私もと話す。
そ して、
ア ンナ…「終着駅で どう なるの」と ジュリアンに聞く。
ア ンナを見詰めていたジュリアンは答えようがなく肩を竦める。
 故郷を追われ出会った二人の行き着くところは何処なのか。
 ジュリアンが家族と再会した後は…
 明日をも知れない旅に“不安”が覆い被さる。

Top

〜顔〜

アンナ…「“地上では  誰も助けてくれない”」と ジュリアンの膝枕で詩を読むアンナ。
アンナの顔を擦りながら、
ジュ リアン…「続きは?」と言うジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

恥ずかしそうに、
ア ンナ…「“だから君を愛する”」と続けるアンナ。
 ジュリアンの分から ない言葉で。
アンナの顔を擦りながら、
ジュ リアン…「ドイツ語か

続けて」と 言うジュリアン。
目を閉じるアンナ。
アンナの顔を擦りながら、
ジュ リアン…「寝顔がいい
無邪気な顔だ」と 言うジュリアン。
目を閉じたまま微笑むアンナ。
 幸せそうだ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

ジュリア ン…「好きだよ  アンナ」と 言うジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

顔をジュリアンに寄せるアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

 愛される悦びが伝わってくる。
 ロ ミー・シュサイダーの表情が魅力的だ。

Top

〜旅 の終わり〜

列車はド イツ軍戦闘機の機銃掃射を浴びて多数の死傷者を出しながらラ・ロシェルに着い た。
二 人の旅の終わり、引き離す終点に。
赤 十字での手続きを怖れるアンナを一緒に連れてゆくジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

アンナを 救おうと赤十字で妻と偽り手続きをするジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

妻子の消 息を突き止めたジュリアンはアンナと共に病院に駆けつける。
男 の子が生まれたことを知り嬉しそうにしているジュリアン。
一 緒に病室へ行こうとするアンナを制するジュリアン。

 男のエゴが演出されている。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

病室に急 ぐジュリアンを見ているアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

アンナ…“ここに私の居 場所はない”と アンナは姿を消す決意をする。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

病院を後 にするアンナは、
ア ンナ…“これでいい”と 己に言い聞かせる。

 ロ ミー・シュナイダーの颯爽とした歩き方が素敵だ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

バスの窓 から病院の方を見詰め、
ア ンナ…“ありがとう ジュリアン”と 胸の中で礼を言い、


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

“さようなら”と 涙を流すアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

妻が病院 にいる情報を得たジュリアンが、妻の元に戻ったのを見届けたアンナは黙って姿 を消した。
ジュ リアンは再び家族と平凡な生活に戻った。

Top

〜3年後〜

それから 3年後の冬、ジュリアンはナチの秘密警察に呼び出された。
不 安そうにしているジュリアン。
鼻 を噛んでいた
ナチス秘密警察係員(ポール・ル・ペルソン)は、
係 員…「わざわざ出頭していただき 恐縮です」と やんわりと言いながら、椅子に座るように手で指す。
椅 子に腰掛けたジュリアンに、
係 員…「調査が必要なもので」と 言い、
係 員…「ご存じですか」と パスポートを見せながら聞く。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン ら

パスポー トを受け取るジュリアン。
ジュ リアン…“アンナ”と胸の中で言うが、逡巡するジュリア ン。
 頷けば同罪となる。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』


『離愁』

ジュリアンを見ていた係員が、
係 員…見覚えないようですね
お忘れかも
これは本当に 許せな いことですが」と言い、立ち上がってジュリアンの後ろ の引き出しを開ける。
資 料を見ながら、

「他人の名前を使い 不正に取得したようだ
40年5月に ラ・ロシェルにいましたね」と 聞く。
後 ろにいる係員の方を向き、
ジュ リアン…「はい」と 答えるジュリアン。
資 料を見ながら、
係 員…「その女性もです
アンナ・クプフェル
聞き覚えは?」と 続ける係員。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン ら

間を置き、
ジュ リアン…「いいえ」と言うジュリアン。
資 料に視線を置きながら、

係 員…「名前も顔も知りませんか」と 言う係員。
ジュ リアン…「…」
資 料をジュリアンの前の机に置き、
係 員…「それはあなたにも 家族にとっても」と 言い、
ジュリアンからパスポートを取り、

「いいことです」と ジュリアンの顔を覗きこむ係員。
黙っ て係員を見るジュリアン。
机 にパスポートを置き、
資料を手に取り、

係 員…「既婚 子供2人
ファノアで幸せだ」と 言い、
「仕事はラジオの修理ですか」と 言う係員。
強張らせた表情で答えるジュリアン。
係 員…「気をつけて
この女も そこに
目をつけたようだ」と 言う係員。
 秘 密警察は修理業を営むジュリアンがアンナと通じている運動員ではないかと疑っている。
ジュ リアン…「…」
黙っ て係員を見ているジュリアン。
係 員…「時代が時代だから
何とか近づきたいと思った」と 言いながら、座っているジュリアンの脇に手をやり出口の方へ招く係員。
ド アを開けてやり、
係 員…「ご苦労さまでした」と 言う係員。
握 手するジュリアンと係員。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン ら

Top

〜再会〜

二人が知り合いだと確信を持っている係員は握手したまま、
係 員…「そうだ せっかく
来られたのですから」と言い足止めさせ、もう一方のドアに向 かって行く。
部下にレジスタンスの一員と して捕らえているアンナを、
係 員…「連れてこい」
と 言う係員。
出口に立ったまま動揺を押し隠すジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

ジュリア ンに近寄り椅子を示す係員。
椅子に座るジュリアン。
 小 汚いやり方に腹が立つが感情を抑えている。
開いたままにしているドアの 奥からドアが開く音が聞こえる。
 ここからのカメラが いい。
動揺を押し隠し、音に全神経 を傾けているジュリアン。
 ジュリアンの動悸が聞こえてきそうだ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

ジュリアンが顔を上げると、目の前の係員がジュリアンの一瞬の反応も見逃さないぞ と鋭い視線を向けている。


『離愁』

動揺していることを知られないようにしようとするが、近づく足音に反応するジュリ アン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

 カメラはアンナの足音と動きで、前を向いて座っているジュリアンの傍を通 り、隣の椅子に座るまでを映し出す。
 観客には音に全神経 を傾けているジュリアンの動悸を伝え固唾を呑ませる。
 巧い。
アンナが真っ直ぐに向いて隣 の椅子に座る。
アンナを見るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

ジュリアンの視線を感じているが視線を向けないアンナ。
 ジュ リアンの身を案じて知らぬ振りをするアンナとの再会だ。
アンナを見ていたジュリアン が係員の方に視線を向ける。
 ア ンナのことが気になっているが、知らぬ振りをしているアンナの態度に応える。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

それでも、気になってアンナを見るジュリアン。
視線を感じながらもジュリア ンを守ろうと正面を見ているアンナ。
 係 員の視線が二人に向けられているから。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

アンナを見ていたジュリアンが視線を落とす。
ジュリアンの視線に応えたい 気持ちを抑えて正面を見ているアンナ。
二人を監視している係員。


『離愁』

係員の方を見るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

正面を見ているアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

係員…「やはり無関係で すね」と 言い、資料に目をやる係員。
アンナを見るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

ジュリアンを見るアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

 係 員の視線が逸れるのを待ち侘びていた二人が交わす視線がいい。
 二人の強い結びつき が描かれている。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

再び、正面に視線を向けるアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

アンナを見ているジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

正面を見ているアンナ。
係員の方を見るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

資料に目をやりながらジュリアンに、
係 員…「もう結構ですよ」と言う係員。


『離愁』


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

Top

〜手〜

躊躇するが、意を決したように立ち上がるジュリアン。
 ここからのカメラはジュリ アンの足音と共にアンナの心情を映し出す。
感情を顔に出ないように必死 に抑えているアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

握り締めている手に力が入る。
ア ンナ…“さようなら ジュリアン!”と心で叫ぶアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

それをキャッチしたジュリアンが出口のドアの前で立ち止まり、アンナを見る。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン

アンナと視線が合う。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー

係員…“おおっ”と 面白がって見ている係員。
 ポー ル・ル・ペルソンの演技が効果を上げている。
 ポール・ル・ペルソンに『過 去を持つ愛情』(1954)の トレヴァー・ハワードや、『モ ンパルナスの灯』(1958)の リノ・ヴァンチュラのようなジワジワと追い込み締め上げる凄腕の男を感じた。


『離愁』

アンナに近寄るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャン


『離愁』、 ジャン=ルイ・トランティニャ ンら


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

愛しいアンナの顔に触れようと手を伸ばすジュリアン。
ア ンナ…“やめて!”と身を反らすアンナ。
ジュリアンの手を見るアン ナ。
 そ の手が温かい手であることを知っているから、今すぐその手に頬刷りしたい。

 が、それはジュリアンを死に追い込むことになる。
 気持ちを抑えるアンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

再び、アンナの顔に手を差し出し、優しく頬を擦るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

濡れた瞳でジュリアンを見詰めるアンナ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

感情を必死に抑えていたアンナが微かな笑みをジュリアンに向ける。
 胸に飛びつきたい感情を抑えているアンナの表情が圧巻だ。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

微笑むジュリアン。


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン= ルイ・トランティニャン

二人を見ていた係員が、
係 員…「驚きました
やはりご存じでした か」と言う。
ジュリアンに、
ア ンナ…“知らぬ振りをして!”
と 心で叫び小さく首を振るアンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

ジュリア ン…“愛しいア ンナ”と 心の中で呼びかけアンナの頬を優しく擦るジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

アンナ…“ああ〜 ジュ リアン”
命を投げ出してアンナに愛を 示したジュリアンを見詰めるアンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

係員…「彼女の望みか  それともお互いに必要かな
あなたがレジスタンス に 誘ったのかも
理想的だ」と ジュリアンに言う係員。


『離愁』

アンナを見詰めながら、
ジュ リアン…“アンナ 独りにはしないよ”と心で語るジュリアン。
悦びと悲しみを込めて、
ア ンナ…“ああ〜 ジュリアン”
と 崩れるようにジュリアンに身を寄せるアンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

二人を見 ながら、
係 員…「通信機と
カムフラージュの 幸福な家庭
愛人は連絡係…」と 言う係員。

ジュリアンが“究極の愛”を示してくれた悦びと悲しみに泣き崩れるアンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

係員…「うまいものだ」と 続ける係員。
ジュリアンに身を寄せて泣く アンナ。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

両手でアンナの顔を包み込むジュリアン。
ジュリアンに感謝の気持ちを 込めて見詰めるアンナ。
アンナを抱き寄せ優しく両手 で包み込み、その場に膝をついて見詰めるジュリアン。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

アンナ…“ジュリアン”
究極の愛を示したジュリアン の腕に手を絡ませ、
ア ンナ…“愛してるわ”と心で応え涙を流すアンナ。
悲しみと憂いを秘めたアンナ の表情で画面が止まり、哀愁を帯びたメロディーが流れ る。


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

Top

 何と切なく胸を打つラストシーンだ ろ う。
 拷問を受け処刑されることを覚悟の上、アンナに触れて“独りではないよ”と伝えるジュリアン。
 震えているアンナに必要なのは肌 の温もりだと解っているから。
 何時も独りで心細い思いをしてきたアンナが、ジュリアンを道連 れに しないようにと頑なに感情を抑えているのが“愛”であることも解るから。

 ジュリアンは旅の途中に「終着駅で どうなるの」とアンナから聞かれた答えをやっと 出す ことができた。
 “一緒だよ 決して独りにしない よ”と。

 ナチスの拷問を受け処刑されるであろう二人。
 だが、これ以上ない愛を受けたア ンナは肌の温もりを持って、また、真実の愛を伝 えることができたジュリアンも後悔しない選択で旅立つ。
 “天国”という終着駅に。
 切ないラストシーンではあるが “究極の愛”に感動し涙が止まらない。

 “究極の愛”を視線と触れ るこ とで画面に描き出したロ ミー・シュナイダーとジャン=ルイ・トランティニャンの名演に拍手だ。
 ナチスから家族を連れ去られ、自 らも捕らえられていた収容所から逃げ出している ユダヤ人の孤独を演じ、また、愛される女の悦びを演じたロ ミー・シュナイダーが魅力的だ。
 また、ジャン=ルイ・トランティ ニャンが演じて見せた、平凡な男が愛する女と出 会い、男へと変わってゆくのも圧巻だ。
 動悸を伝えるカメラワークで 名シーンとは“これだ!”と示してくれたワルター・ウォティッツと、熱い視線と肌の温もりを演出したピエール・グラニエ・ドフェールにも。

Top

〜写真〜


『離愁』ロ ミー・シュナイダー、ジャン=ル イ・トランティニャンら


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー


『離愁』ジャ ン=ルイ・トランティニャ ン、ロミー・シュナイダー

Top
前 へ-ロミー・シュナイ ダー-次 へ
参 考文献
ロ ミー・シュナイダー
洋 画
サ イトマップ
映 画ありき2
映画あり き

〜 クラシック映画に魅 せられて〜

inserted by FC2 system