モロッコ
  
   マレーネ・ディートリッヒ

※ストーリーを載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。

  片道切符〜〜燕尾服〜〜リン ゴ〜〜アミーとトム〜〜嫉妬〜〜軍法会議〜〜楽屋後衛部隊〜〜〜〜ナイフ〜〜選択〜  

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに] web拍手 by FC2
(1930)(米)(白黒)-Morocco-
監督…ジョセフ・フォン・スタンバー グ
原作…ベノ・ヴィグニー
脚色…ジュールス・ファースマン
撮影…リー・ガームス
出演…マ レーネ・ディートリッヒ(キャバレーの歌姫/アミー・ジョリー)
………ゲー リー・クーパー(外人部隊の兵士/トム・ブラウン)
………アドルフ・マンジュウ(金持ちの男/ラ・ベシエール)
………ウルリッヒ・ハウプト
………ジュリエット・コンプトン

 ジョセフ・フォン・スタンバーグ監 督とマレーネがハリウッドデビューした作品で圧倒な映像美と粋な演出で観客を酔わせた日本語スーパー字 幕作品の第1号である。(字幕:田村 幸彦)

Top

〜片道切符〜

片道切符 で戻ってこないことから、“自殺乗船客”と呼ばれているキャバレーの歌姫ア ミー(マ レーネ・ディートリッヒ)が次の職場に向か う。そのアミーに富豪 ベシエール(アドルフ・マンジュウ)が 親切にする。そして、名刺を渡す。
その名詞をデッキであっさり 破り指で跳ね飛ばすアミー。
 金に興 味がないという演出が洒落ている。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

それを見 ていたベシエールはアミーに興味を持つ。

Top

〜燕尾服〜

外人部隊 の兵士たちが心と体の渇きを癒しにキャバレーに集う。
そ の中の一人がトム(ゲー リー・クーパー)だ。
モ テモテのトムの周りには女が寄ってくるが、いつも変わらぬ女たちに飽き飽きしていた。

そこに登場したのが煙草を片手にシルクハットを被り燕尾服姿の歌姫アミーだった。
舞 台のアミーを見て驚くトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

兵士たち がブーイングをする。
ア ミーに拍手をして兵士たちを静めるトム。
頬がこけ陰影に富んだ顔でト ムを見てニヤリとするアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

 この表 情が実に魅力的である。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

アミーは ズボンのポケットに片手を入れて煙草を吹かしハスキー・ボイスで歌う。
歌 い終わったアミーの勇士に敬意を示すトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパーら


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパーら

トムに一 輪の薔薇の花を抛って彼の行動に応えるアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒら

花を キャッチしたトムが驚いてアミーを見る。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパーら

客から拍 手喝采で送られるアミー。

Top

〜リンゴ〜

再び、登 場したアミーは脚を露にした衣装で、客から拍手で迎えられる。
リ ンゴを入れた籠を抱き歌いだすアミー。
ア ミー…「♪私のリンゴに値をつけて

アダムに知恵を 与えたリンゴ
この果実を かじったアダムは
新しい楽園を見つけたの」


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

キャッチ した薔薇の花を耳に挟み、ニコニコしてアミーを見ているトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

アミー…「♪リンゴを食 べれば 医者いらず
医者の女房も 亭主いらずで お楽しみ」
爆 笑する客。
ア ミー…「♪肉やパンのお 店の
ダンナ衆と お楽しみ
さあ 私のリンゴに
値を付けて」

将校たち にリンゴを売り歩くアミー。
将 校たちが次々にリンゴを買い求める。

富豪ベシ エールが紙幣を取り出し立ち上がる。
船 で会った紳士だと気付くアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ


『モ ロッコ』アドルフ・マンジュウ、マレーネ・ディートリッヒ

アミー…「また会えたわ ね」
ベ シエール…「うれしいで すな
ひとつ頂こう」
ア ミー…「お釣りがない わ」
ベ シエール…「取っておい て」
ア ミー…「あなたって親切 なのね」
ベ シエール…「お嬢さん
このあと会えるかな」
ア ミー…「悪いけど 今夜 は気が向かないわ」
ベ シエール…「またの機会 に」
ア ミー…「そうね」

リンゴを 売り歩いていたアミーが下の席の客の方へ降りてゆこうとする。
オー ナー…「下の席の客は買わんよ」
ア ミー…「試すわ」
と 言ってトムのところに近寄る。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー

トム…「花をありがと う」
ア ミー…「リンゴはいかが?」と トムの男気を試すアミー。

隣 の兵士に向かって、
ト ム…「20フラン貸せ」と 言うトム。
ト ムを指差して、
兵 士…「締めて60フランの貸しだ」と 言う兵士。
客 から笑いが起きる。
借 りた紙幣を見て、
ト ム…「半月分の給料が飛ぶ」と 言うトム。
ア ミー…「タダでも構わないわよ」と 言うアミー。
 十分に トムの気持ちがキャッチできたからだ。
ト ム…「借りは作らない主義だ」と 言うトム。
兵 士たちが拍手する。
そ の拍手に応え、皆に紙幣を見せリンゴを買うトム。
受け取ったリンゴをすぐにかじる。
 スト レートのアプローチを示している。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー

トム…「ヒザを貸すよ」と アミーの腕を掴み膝に引き寄せるトム。
そ の様子を見ているベシエール。
膝 から離れるアミー。

ア ミーの腕を掴んだままのトム。
ア ミー…「強気なのね 女性には」と 言い、トムの手をはらうアミー。
振 られたと思いがっかりするトム。
そ して、
ト ム…「強気な男は嫌い?」と 聞くトム。
ア ミー…「たぶん」と 答えるアミー。
しょ んぼりとリンゴをかじるトム。
ア ミー…「お釣りよ
兵隊さん」と 籠から取り出した物を渡して離れるアミー。
アミーを見詰めるトム。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー

その手には鍵が握り締められていた。
感触を味わいながらにっこり するトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

Top

〜アミーとトム〜

アミーの 住まい。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ

トム…「なぜモロッコな んかに 来たんだ」と 聞くトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ

アミーを 見ているトムを上眼づかいに見詰め、
ア ミー…「外国人部隊に入った理由を 話す人い る?」と言うアミー。
ト ム…「いないな 誰も聞かず誰も答えない

おれも過去を捨てたんだ」と 言うトム。
ア ミー…「女の外人部隊もあるのよ
だけど軍服はないわ 旗もね
勲章も もらえない
勇敢に戦っても」


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー

アミー…「傷ついても  負傷手当さえないわ」と 言うアミー。
ト ム…「何か力になりた い」と 言うトム。
ア ミー…「結構よ 聞き飽 きたセリフだわ」と 言い、
トムを見詰め、

「もう一度 男を信じさせてくれる?」と 言うアミー。
ト ム…「おれには無理だ  別の男に頼んでくれ
おれなど頼りにならない」
見詰め合う。
ア ミー…「もう帰って
あなたを… 好きになりそう」と 言うアミー。
ト ム…「何人もの女とつき あったが
今 初めて思ったな
10年前に会いたかった」と 言うトム。
 粋な名 台詞だ。

指を2本クルクルと回すポーズをして出てゆくトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

同じポーズを返すアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

 キュー トでカッコいいクーパーと、ハンサムないい女マレーネが交わす愛のポーズの粋でカッコイイことと いったらない。

Top

〜嫉妬〜

このまま 別れられないアミーがトムの後を追う。
追っ てきたアミーを見て驚いたトムが嬉しそうに「うちまで送ろう」とアミーの前に腕を差し出す。
甘 えるように腕を引き寄せるアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ

トムに気 のあるセザール大佐の妻が嫉妬して、住民を使ってトムを殺そうとする。
金 を貰って襲い掛かってきた住民を退けるトム。

Top

〜軍法会議〜

状況を 知っているセザール大佐だが、トムを抹殺しようと軍法会議にかけようとする。
ア ミーは正当防衛だと言うが、痴情が絡んでいるため自分の力ではトムを救い出せないと感じる。
セ ザール大佐とは懇意の仲だから力になると言う富豪ベシエールの手を借りることにする。
見 返りは「君の笑顔だ」と言う紳士の。

トムは軍 法会議は逃れられたが、セザール大佐が同行する戦場アマルファ峠に向かうこと になる。

Top

〜楽屋〜

トムのこ とを心配するアミーにトムは遠征に出され、じきにこの町を発つと話すベシエー ル。
そ して、アミーに高級ブレスレットをプレゼントしてプロポーズする。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、アドルフ・マンジュウ


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ、アドルフ・マンジュ ウ

トムが楽 屋に入ってくる。
気 を利かせてベシエールが楽屋を出る。

アミー…「長くなるの?  また会えるわよね」と トムに言うアミー。
セ ザール大佐に目の敵にされているトムは、
ト ム…「無理だろう 今度は戻れない気がする」
と 言う。
抱 き合いキスをする二人。
耳 元に、
ア ミー…「行かないで」と 囁くアミー。
ベ シエールからプロポーズされていたのを耳にしていたトムは、
ト ム…「今夜 脱走し
貨物船で欧州へ渡ろうかと」と 言い、アミーの反応を見る。
間 を置き、
ア ミー…「そうなの」と 言い、グラスを眺めながら考える。
ト ム…「一緒に来ないか?」と 言いアミーの反応を見ているトム。
ア ミー…「行くわ」と 言うアミー。
出 番を知らせるブザーが鳴る。
 二人を引き裂く音だ。
キ スをして、
ア ミー…「すぐ戻るわ 待ってて」と 言い舞台に向かうアミー。
ア ミーの返事を喜んだトムであったが、あの高級ブレスレットが目に入る。
ベ シエールにプロポーズされているアミーを連れて行くことが、彼女の幸せになるのかと考え込む。
身を引くことにしたトムは、鏡に口紅で"I changed my mind Goodluck!"と別れの言葉を書き残して出て行く。
 粋な演 出に拍手だ。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

Top

〜後衛部隊〜

戦地に向 かうトムを見送りに来たアミーが彼を捜す。
ト ムは相変わらず女たちに囲まれている。
ト ムを見付けたアミーが、

ア ミー…「私もお別れのあいさつを したいわ」と 言う。
動 揺する気持ちを抑えて、
ト ム…「さようなら」と 空いている手を差し出し握手する。
握 手したまま、
ア ミー…「昨夜はなぜ?」と 問うアミー。
ト ム…「寄る所があってね」と 女たちに囲まれたままで言うトム。
小 太鼓とトランペットが鳴り、整列しに行くトム。
 またも二人を引き裂く音だ。
集 合を知らせる笛が吹かれる。
別 れの言葉を残したトムを追うに追えないアミーは動揺する。
行 進する外人部隊を見ているアミーの傍にベシエールが来る。
外 人部隊の後から荷物を背負って行進している女たちを見て、
ア ミー…「彼女たちは?」と 聞くアミー。
ベ シエール…「言うなら“後衛部隊”だな」と 答えるベシエール。
ア ミー…「ついて行ける?」と 問うアミー。
ベ シエール…「やっと追いついたときにー
男が死んでたりする」と 説明するベシエール。
ア ミー…「普通じゃないわ」と 言うアミー。
ベ シエール…「どっちにしろ 自分の男にホレて るんだ」と 言うベシエール。
“後衛部隊”と言われる女たちを粋がって見ているアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

だが、次第に表情が曇ってくる。
 彼女たちの気持ちが解るから。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

アミーは“トムはどうして気が変わったのだろうか? 無事なのだろう か?”とトムのこと ばかり思い続けて、酒を浴びるように飲み感情を爆発させる日々を送っていた。
仕 事をする気になれずにいるアミーの楽屋に、花輪を送り続けているベシエールが訪ねて来る。
ベ シエールにトムが3週間前に鏡に残していった別れの言葉を見せるアミー。
捨 てられたと思っているアミーの感情が再び高まり、ベシエールに注いでもらった酒を鏡に浴びせグラスを投げ捨 てる。
苦 しい胸の内を察したベシエールは優しく手を差し出す。

Top

〜音〜

アミーは ベシエールの優しさを受け入れて婚約する。
ベ シエールの屋敷で婚約祝のパーティが開かれている。
にこやかに席に着いていたア ミーに帰還する外人部隊の小太鼓とトランペットの音が 聞こえてくる。
次第に近づいてくる小太鼓の 音が、トムの安否を気遣うアミーの心臓の鼓動の高まり に連動してゆく。
抑えきれない感情の高まりで 立ち上がるアミー。
ベシエールに感謝しつつもど うしようもない感情だ。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

トムの元へ向かおうとするアミー。
その時、椅子に引っ掛かった 真珠の首飾りが弾け飛び散る。
響き渡る音。
 感情が 表現されたこの音の響きは、感情の高まりの極みとベシエールとの破談を演出している。
 これこそ、演出の極みだ。
 巧い。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

帰還する 外人部隊の中に入り込んで必死にトムを捜し回るアミー。
兵 士を手荒く掴んで、
ア ミー…「トムは死んだ の?」と 聞くアミー。
兵 士…「手荒なまねはやめ な びっくりするだろ
まだアマルファだ 生き延びるさ」と 言う兵士。
ア ミー…「負傷を?」と 聞くアミー。
兵 士…「遠足に行ったん じゃない 眠らせてく れ」と答え去ってゆく兵 士。
ど うしようと頭を抱えるアミー。
“負傷しているのでは”とトムのことが頭の中を駆け巡る。

ベシエー ルに、
ア ミー…「彼はアマルファ よ 行くわ」と 言うアミー。
客 たちを見回してアミーに、
ベ シエール…「重傷なの か?」と 聞くベシエール。
ア ミー…「分からないの」と 言うアミー。
席 を立とうとする客たち。
客 たちに、
ベ シエール…「お掛けを  隠すことではないの で」と言うベシエール。
ア ミーは客たちに視線を送るが、頭の中はトムのことで一杯だ。
ベ シエール…「電報で確か めて 明朝に出発しよ う」と言うベシエール。
ア ミー…「すぐ発つわ」と 言い部屋を出てゆくアミー。
ベ シエール…「車と旅支度 を」と 執事に指示を出すベシエール。
そ して、客たちに向かって、
ベ シエール…「私の願い はー 愛する女性の幸せ だけです」と 言う。
 これぞ紳士!
 アドル フ・マンジュウの立ち振る舞い が素晴らしい。

アマル ファの病院を捜し回るアミー。

Top

〜ナイフ〜

一方、ト ムは戦場で同行したセザール大佐に斥候として出され、敵の機関銃による攻撃の 先頭に立たされたが難を逃れていた。
ト ムを撃とうと後ろからついて来たセザールが敵の砲撃を浴びるという運があったからだ。

アミーは 病院でトムが重傷だと嘘をついたのがバレて分遺隊へ飛ばされ、今、町の“クリ スチーヌの店”にいると聞き出す。
ト ムが無事だと知り、ホッとするアミー。
そ して、“クリスチーヌの店”へ向かう。

トムは"AMY JOLLY"とアミーの名前を テーブルにナイフで刻んでいる。
現 地の女…「この女は 誰?」と トムの帽子を被って膝に腰掛て甘えている女が聞く。
ト ム…「話したくない」と 言うトム。
現 地の女…「うんとホレて る?」と 言う女。
ト ム…「うんとな」と 答えるトム。
現 地の女…「悲しいわね」と 慰める女。

アミーが 店に入ってくる。
ト ムを捜す。
見 付けて近づく。
ア ミーに気がつき、慌ててカードで彫った名前を隠すトム。
ト ムを見詰めているアミー。
女 を膝から下ろすトム。
ア ミーを見ていた女が、
現 地の女…「この人な の?」と 言う。
女 に、
ト ム…「黙ってろ」と 言い、女から帽子を取り被るトム。
ア ミーに、
ト ム…「何しにここに?」と 気持ちを悟られないようにしながら言う。
ア ミー…「負傷したかと」と トムを見詰めて言う。
ト ム…「かすり傷もない さ」と 答えるトム。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパーら

トム…「もう結婚を?」と 聞くトム。
ア ミー…「いいえ」と 答えるアミー。

ア ミーを上目遣いに覗き込むトム。
ア ミー…「なぜ部隊と戻らなかったの」と 聞くアミー。
帽 子のつばを下げ、
ト ム…「あの富豪と結婚するのか?」と 聞くトム。
ア ミー…「するわよ」と 答え、トムの反応を見るアミー。
ト ム…「ほんとに?」と 言うトム。
ア ミー…「気は変わらないわ」と 言い、トムの帽子のつばを上げるアミー。
見 詰め合う二人。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー

再び、帽 子のつばを下げ、
ト ム…「幸せを祈るよ お 嬢さん」と 言うトム。
集合を知らせる笛が鳴る。
 またも や、二人を引き離す音だ。
上 官…「全員集合 兵舎に 戻れ
早くしろ このノロマども」と 上官が号令を掛ける。
ア ミーの肩に触れようとする手をグラスに持って行くトムに、団扇を持っている手をトムの手から遠ざけるア ミー。
お互いに抱きつきたい気持ちを直隠す二人。
グ ラスの酒を飲み干し、
ト ム…「熱砂の行進だ」と 言うトム。
指 を2本クルクルと回すポーズをしようとするが、振り向かないアミーを見てやめる。
纏 わりついている現地の女を引きアミーから離れてゆくトム。
そ れを目の動きだけでキャッチしているアミー。

トムが立 ち去ると団扇を放り出し、テーブルに差したままになっているトムのナイフを手 に取る。
そ して、ナイフの感触を見ている。

店の出口 から奥のテーブルの方を苛立って見ているトム。
現 地の女…「忘れ物?取っ てくるよ」と 言う女。
女 に、
ト ム…「もう帰れよ」と 言うトム。

ナイフでカードを刺し切れ味を愛しみ、両手で持ち見詰めているアミー。
 ナイフ はトムとの生活と同じで切れ味がいいが危険。

トムが テーブルに戻ってくる。
ア ミーが持っているナイフを取り、
ト ム…「ナイフを忘れた」
と 言うトム。
ア ミー…「別れの言葉もよ」と 言うアミー。
ト ム…「夜明けに出発だ 見送りを?」と 聞くトム。
ア ミー…「行けたらね」と 答えるアミー。
立 ち去るトム。
目 で追うアミー。
“俺について来い”と言えない胸の内を出口の石柱にぶつけるトム。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパーら

テーブル のカードを触っていたアミーが文字に気付く。
ハートに矢が刺さったマーク に"AMY JOLLY"と彫られた文字に。


『モ ロッコ』

Top

〜選択〜

熱砂の行 進の厳しさを暗示するかのように外人部隊の旗がはためく。
ト ムが厳しい表情でこれから向かう方を見ている。
ア ミーがトムを見つけ車のブザーを鳴らす。

振 り向いたトムがアミーの傍へ来て、
ト ム…「さようなら」と 握手をし別れの挨拶をする。
ア ミー…「じゃあね」と 笑顔を向けるアミー。
車 の中のベシエールに握手をし、
ト ム…「失礼を」と 挨拶するトム。
ベ シエール…「では気をつけて」と 言うベシエール。
見詰め合うアミーとトム。
小太鼓とトランペットが鳴る。
 二人を引き裂く音だ。
動揺する二人。
整 列しに行くトム。
動 揺して見ているアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

整列して いるトムが胸の内を隠し笑顔を向ける。
笑 顔を返すアミー。
最高の笑顔を見せるトム。
 もう会 えないであろうと思うから。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

そして、 あの指を2本クルクルと回すポーズを寂しそうにする。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー

動揺を隠 して指2本のポーズを返すアミー。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ

部隊が行 進を始める。
門 のところまで走ってゆくアミー。
車 から降りて心配そうに見ているベシエール。

“ああ〜 トムが行ってしまう どうしよう”と焦っていたアミーが“後衛部隊”と言われる女たちを目にする。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒ


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒら

行進してゆくトムの方を見る、ベシエールを振り返る。
トムの方を見る。
決心がついた。
ベ シエールに別れを告げに行くアミー。
ア ミーの腕を掴み止めるベシエール。

そ の手にキスをしてトムの部隊を追う。
ア ミーを呆然と見ているベシエール。
トムの安否を気づかって待ち続け苦しんだことを、もう二度と繰り返したくないと 思ったアミーは、砂漠にハイヒールを脱ぎ捨てて(富 豪との生活を捨て)裸足で愛するトムを追う。


『モ ロッコ』

スカーフをしっかり結んで“後衛部隊”に加わろうと追うアミー。
 アミーの決心を表している。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒら

“後衛部隊”に追いついたアミーは胸を張ってしっかりと手を振って行進して地平線 に消えて行く。


『モ ロッコ』マレーネ・ディートリッヒら

アミーの後ろ姿は“もう決して後悔する選択はしないわ”であった。

Top

 ハンサムな女マレーネと、キュートな クーパーの粋な台詞に惹き込まれ、陰影を活かした映像美に酔い痴れる。
 印象深い名シーンの連続のスタン バーグ監督の演出は映画の面白さをたっぷり味わ せて大ヒットした。
 全米ではマレーネ旋風が巻き起こ り、日本ではクーパー人気が沸き起こったとい う。
 納得だ。

※マレーネの頬がこけているの は陰影を作るために奥歯を抜いたといわれている。
※砂漠を裸足で追うというシーン は劇場で笑いが起きたところもあったそうだ。
※燕尾服姿はマレーネのアイディ アだったという。


『モ ロッコ』ゲーリー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ

Top
前 へ-マレーネ・ ディートリッヒ-次 へ
前 へ-ゲーリー・クーパー-次 へ
参 考文献
マ レーネ・ディートリッヒ
ゲー リー・クーパー
洋 画
サ イトマップ
映 画ありき2
映画あり き

〜クラシック映画に魅 せられて〜

inserted by FC2 system