《シネマトーク》 〜『フィ ラデルフィア物語』と『上流社会』〜 -The Philadelphia Story High Society- 『フィ ラデルフィア物語』のキャ サリン・ヘプバーンは、 顎を突出し勝気で我儘娘を表に出す演技に対して、『上流社会』は、 悪戯ぽっい茶目っ気、気品に満 ちた表情でグ レース・ケリーはヒロインを演じています。 ヘ プバーンは、 知性を感じさせる女優ですが、気品というと他の追随を許さないグ レースでしょうね。 そのグ
レースの気品を特に感じたシーンがあります。 この『上
流社会』で一番好きなシーンは、やはり、ビング・クロスビー とグレースが♪トゥルー・ラブを
ヨットで歌う所ですね。 しか し、作品の質という点では、どうでしょう。
『上流社会』はミュージカル化されていただけに、軽快でテンポ がいいですよね。 一方『フィ
ラデルフィア物語』は興業成績を上げようとスタッフ、キャストに力を注いでいただ
けに、その効果が出ていたように思いますね。 例え ば、図書館からジェー ムズ・スチュアートとキャ サリン・ヘプバーンが出てくるのを、美容室で爪の手入れをして貰っているR・ハッセイが不安げ に見詰めているシーンです。 美容師
は爪の手入れの仕方が悪かったのかと思って「痛かった?」と聞きます。 女性を 上手く演出する事にかけては右に出る者なしと言われていた監督、ジョー ジ・キューカーの手腕の一端に触れた思いでした。 勿論、
演技は一流でも滲出てくる美しさ(知性的な美しさは別として)に欠けているヘ
プバーンにダンディーなケー
リー・グラントが「君は素晴らしい女だ 男を魅了する何かがある
奪いたいと思わ せる何かが」という セリフは、無理があると思いますけど。 ケー リー・グラントが、引退
しようとしていた時に、「グレースと共演で
きるよ」というヒッ
チコックからの誘いに抗しきれずにカムバックしたのも彼女に特別な思いを持っていたからでし た。 貴方
は、どちらがお好きかしら? 更新
2005.5.28
<前 へ-ジョージ・キューカー-次 へ> <前 へ-キャサリン・ヘプバーン-次 へ> <前 へ-グレース・ケリー-次 へ> <前 へ-ケーリー・グラント-次 へ> 参 考文献 シ ネマトーク グ レース・ケリー ケー リー・グラント ジェー ムズ・スチュアート ジョー ジ・キューカー 洋 画 映 画ありき2 映画ありき 〜クラシック映画に魅せら れて〜 |