シェーン
  
   アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

※ストーリーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。

  広大な自然〜〜シェー ン〜〜ライカー〜〜食卓〜〜木 株〜〜ジョーイの宿敵〜〜ソーダ水〜〜空瓶〜〜威信〜〜大 乱闘
大好き〜〜殺 し屋〜〜早撃 ち〜〜狙い〜〜フィーリング
前哨戦〜〜獲物〜〜〜〜目障り〜〜説得〜〜決 着〜〜決闘〜〜別 れ〜 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わり に] web拍手 by FC2
(1953)(米、パラマウント)(西部劇)(アメ リカ 映画ベスト100で69位)(アメ リカ 映画ベスト100 10周年版で45位)-Shane-
監督…ジョージ・スティーヴンス
製作…ジョージ・スティーヴンス
原作…ジャック・シェーファー
脚色…A・B・ガスリー・ジュニア
撮影…ロイヤル・グリッグス(ア カデミー撮影賞(カラー部門))
特殊効果…ゴードン・ジェニングス
美術…ハル・ペレイラ/ウォルター・ タイラー
音楽…ヴィクター・ヤング
主題曲♪遥かなる山の呼び声
出演…アラン・ラッド(流れ者のガンファイター/シェーン/ローン・ ライダー)
………ヴァン・ヘフリン(ジョー・スターレット)
………ジー ン・アーサー(マリアン・スターレット)
………ブランドン・デ・ウィルデ(ジョーイ・スターレット)
………ジャック・パランス(ウィルソン)
………エミール・メイヤー(ルーフ・ライカー)
………ベン・ジョンソン(クリス)
………エリシャ・クック・ジュニア(トリー)
………エドガー・ブキャナン
※アカデミー作品・監督・脚色・助演 男優(ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス)賞ノミネー ト、撮 影賞(カラー部門)を受賞。
英国アカデミー賞作品賞(総合)・ 男優賞(国外)(ヴァン・ヘフ リン)がノミネート。

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 真の勇気、友情、愛が描かれた不滅 の名作。
 ワ イオミング州の開拓地に水を求めてやってきた流れ者のガンマン、シェーン(アラン・ラッド)がジョーイ少年(ブランドン・デ・ウィルデ)に話し 掛けるオープニングとラストシーンが好きだ。
 特 にオープニングのシェーンの背後に流れる郷愁溢れる♪遥かなる山の呼び声の メロディーと、 小川の細波、小鳥の囀り、長閑な牛の鳴き声が心地よく響いてくるのが堪らない。
 そこにアラン・ラッドの魅力的な低音が加わる演出は最高だ。
 この作品が大ヒットし今日でも愛されているのがよく解る。

  9才の ジョーイ少年の視点で映し出されてゆく映像は、観客の視線を少年と同一化させ興味を増幅させる。
 流れ者のシェーンならずとも、体を休めたくなる温かい一家、愛に溢れた家族。
 シェーンはジョーとの男同士の意気を感じ合い、また、優しく包み込むようなマリアン(ジー ン・アーサー)との心の交わり、それにジョー イ少年が抱く英雄像に応えようとする。
 理想的な家族を守るために一度は捨てた銃で決闘の場へ向かう。
 命を掛けて…
 詩情豊かな風景描写に人情と精神が盛り込まれた名作中の名作だ。
 映画史上に残る名ラストシーン「シェーン! カムバック!」と共に作品は生き続けている。

 ま ず、巨匠ジョージ・スティーヴンスの巧みな演出に拍手だ。
 ジョーイ少年の視点で描きながら、それぞれの立場(シェー ンを英雄として見ているジョーイとそれを壊さないようにしているシェーン。男の意気を大切に思っているシェーン とジョー。シェーンとジョーとマリアンの三 角関係。ジョーとライカーの長年の対立。シェーンとクリスの格闘。シェーンとウィルソンの早撃ち対決。大人の対 応を見せるグラフトン。虚勢を張るトリー。 農民たちのリーダー格のジョーの立場。混迷する農民たち。人間と動物の関係など)か ら作品を楽しめるような演出をしている。
 また、配役がいい。
  開拓農民の家に流れ着いたガンマン、シェーンはアラン・ラッドそのものと言える適役である。
  アラン・ラッドの穏やかな表情と低音の魅力が落ち着いたシェーンのイメージにピッタリである。
  ジョーイを演じたブランドン・デ・ウィルデは少年らしい好奇心、正義感を率直に伝える好演であった。
  黒装束で薄笑いを浮かべ不気味さを漂わせたウィルソン役のジャック・パランスの悪役ぶりや、シェーンに仄か な想いを寄せる人妻マリアンを慎ましく演じたジー ン・アーサー、それに、男らしいジョーを演じたヴァン・ヘフリンの味も見逃せない。

  思春期 にTV放映されたこの作品を観て巨匠ジョージ・スティーヴンスが描く真の勇気、友情、愛に感動した。
  私が洋画ファンになったきっかけの作品であるが、数十年、年を重ねた今日でも色褪せていない。
 お薦めの作品である。

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〜広大な自然〜

馬に乗っ た流れ者のシェーンの眼下にワイオミングの草原が広がる。


『シェー ン』

丘を降り 平原から盆地へ静かに馬を歩ませて行くシェーン(アラン・ラッ ド)
バッ クに♪遥かなる山の呼び声のメロディーが流れている。
広大な自然をゆったりと進んで行くシェーン。

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〜シェーン〜

河の浅瀬 で水を飲んでいた鹿が馬の足音に反応して見る。


『シェー ン』アラン・ラッド

ライフル 銃を持って鹿を見ている少年ジョーイ・スターレット(ブランド ン・デ・ウィルデ)が木蔭から鹿に狙いを定める。
“カチィ”
ジョー イがレバーを引く音がする。
 ジョー イにとって鹿は庭の畑の作物を食い荒らす敵であり、戦闘ごっこに興味を持つ年頃の格好の遊び相手で あった。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

“ヒヒヒィ〜ン”
そ の鹿の先から、馬の鳴き声がする。


『シェー ン』アラン・ラッド

こちらに 向かって落ち着いた歩調で馬を進めるウエスタンウエアのシェーンが眼に留まるジョーイ。
身を乗り出してシェーンを“じっ”と見ているジョーイ。
 ジョー イが初めて目にするウエスタンウエアでシェーンが堂々と威厳を備えてこちらに向かってきていたから だ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

体重を鐙 にかけてゆったりと鞍にまたがってはいるが、視線はあらゆる物を見逃さない シェーンがジョーイの家に近づいてくる。
シェー ンの方を見ている鹿。


『シェー ン』アラン・ラッド

身を屈め てシェーンを見ているジョーイ。
シェー ンの方を見ていた鹿が逃げる。
 鹿 が逃げることでシェーンが敵ではないと描いているような気がする。

庭 で作業をしている父ジョー・スターレット(ヴァン・ヘフリ ン)の方へ駆け出すジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

台所から 母マリアン・スターレット(ジー ン・アーサー)の歌声が聞こえる。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ウィルデ

具合の悪 い所に太い古い根が四方に張り出している木株を斧で取り除こうとしている ジョー。(ジョーはそ の木株を“自分の前に 立ちはだかっている人間か何か”のように思って、ことあるごとに取り除こうとしていた)
“ドン ドン ドン”
ジョー に、
ジョー イ…「誰か来る」
と 言うジョーイ。
作 業の手を止めシェーンの方を見て、


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン

ジョー…「誰かな いい さ」と 肩で息をしながら言い、
“ドン ドン”
作業を続けるジョー。

歌 いながら食事の準備をしているマリアン。
 窓 枠に花などを飾って綺麗にしている。
 きちっとした生活を送っていることを映像で伝えている。
柵 に駆け登りシェーンを見ているジョーイ。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

近づいて くるシェーンを見ながら首筋の汗を拭き作業を続けるジョー。
“ドン ドン”
綺 麗に整備された屋敷を眺めながら近づき、作業をしているジョーを見み、優しい歌声がする方に視線を向ける シェーン。
“ドン”
作業を続けているジョー。

シェー ンを“じっー”と見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

柵に登っ て見ているジョーイに微笑むシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェーン の反応に驚きながらも見続けるジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

“ドン ドン”
作業を続けているジョー。
歌 いながら食事の準備をしていたマリアン(ジー ン・アーサー)がシェーンに気付き窓越しに見 る。


『シェー ン』ジーン・アーサー

ジョーに 近づき、


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン

河の浅瀬 から庭に近づき、
シェー ン…「ここを 通っていいかな」と 言うシェーン。

斧 を置き、
ジョー…「かまわんがね」と 言うジョー。
軽 く指を差し、
シェー ン…「北へ行く」と 言うシェーン。
言 葉を交わしていたシェーンが視線を感じマリアンの方を見る。
シェー ンと視線が合いそうになり、そっと隠れるマリアン。
 こ の辺りであまり見掛ないシェーンに興味を持っている。
再 び、ジョーの方を見て、
シェー ン…「ここで牧場を?」と 言うシェーン。
ジョー…「…」
シェー ンを見ているジョー。
柵に登ったままシェーンを見ているジョーイに、
シェー ン…「やあ」と 穏やかに声を掛けるシェーン。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

目の前のシェーンをチラリと見るジョーイ。
ジョー イ…「…」
向き合うことになって戸惑い下を向くジョーイ。
穏やかに、
シェー ン…「おれをじっと 見てたね」と言うシェーン。
俯いたまま、
ジョー イ…「見てた」と 答えるジョーイ。
シェー ン…「注意深いのは いいことだ
将来はー」
確信するように頷き、
「大物になる」と 言うシェーン。
シェーンをそっと見上げるジョーイ。

“ウッーメェー ウーメェ”
牛の鳴き声がする。
牛の方を見て、

シェー ン…「ジャージー牛は久々に見た」と 言うシェーン。
ジョー…「いろいろ増える ジャージーにホルスタイン」と 言うジョー。
ジョー の方に向きを変え近づき、
シェー ン…「ほかにも」と 言うシェーン。
近 づいたシェーンに、
ジョー…「水でもと?」と 柄杓に入った水を差し出すジョー。
馬 から降り、
シェー ン…「頂こう」と 言い、柄杓を受け取るシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン

シェーンが柄杓を口に持ってゆこうとしたとき、柵から降りて来たジョーイがライフ ル銃のレバーを引く。
“カチィ カチィ”
音に反動し素早くベルトに手を持って行き構えるシェーン。
その反動で、
“ガチャン!”と 物音がする。
驚いて後退りしてシェーンを見るジョーイ。
二人を見ているジョー。
台所から顔を覗かすマリアン。
ジョーイだと判って気まずそうに構えをとくシェーン。
シェーンに、
ジョー…「敏感だな」と 言うジョー。
 シェー ンが只者ではない感触を持つ。
台所の窓隅から、
マリアン…「ジョーイ」と 言うマリアン(ジー ン・アーサー)
マリアンを見るジョーイ。
マリアンを見るシェーン。
マリアン…「人に向けるな んて」と注意するマリアン。
ジョーイ…「違うよ 母さ ん」と言うジョーイ。
ジョーイからシェーンに視線を移し奥に下がるマリアン。
ジョー イに、
シェーン…「驚いたよ」と馬の手綱を持って 言うシェーン。
シェーンに近づきながら、
ジョー…「ライフルを見せた かったんだ 銃が得意そうだから」と言うジョー。
鞍を締め直しながらジョーイを見るシェーン。
ジョーイ…「でしょ」と言うジョーイ。
シェーン…「まあね」と答えるシェーン。

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〜ライカー〜

二人を見 ていたジョーに緊張が走る。
馬 に乗った牧場業者のルーフ・ライカー(エミール・メイ ヤー)が 手下を連れてやってくるのが見える。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ア ラン・ラッド

ライカー 一味を見ながらジョーイからライフル銃を取り、
ジョー…「お仲間の到着だ」とシェーンに言うジョー。

 シェーンがジョーと対立している牧場業者のボス、ライカーの回し者と思って いる。
そ して、シェーンの方を向き、
ジョー…「ライカーの要求は?」と 言う。
シェー ン…「ライカー?」と 言い、ジョーを見るシェーン。
ジョー…「そう言った」と 言うジョー。
シェー ン…「初めて聞く名だ」と 答えるシェーン。
ジョー…「柵は閉めてってくれ」と 言うジョー。
軽 くライフル銃を差し、
シェー ン…「銃を下ろしたら 出て行くよ」と 言うシェーン。
ジョー…「とにかく 早く出て行け」と 声を強めるジョー。
威厳を備えたシェーンが、
シェー ン…「自分の意思で去る」と 静かに言う。


『シェー ン』アラン・ラッド

ジョーの 直ぐ横にいたジョーイがジョーを見る。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン

ジョーイ の視線に自分の判断ミスを感じ、ライフル銃を下げるジョー。
窓越しにマリアンも見ている。
ライフル銃を下げるのを確認すると馬に乗ってその場を立ち去るシェーン。
シェーンを見ているジョーとジョーイ。
河の浅瀬の反対側の柵を開けようとしているシェーン。

ライカー一味が河の浅瀬の方から、水飛沫を上げ畑の作物を踏み潰してジョーたちの 前に来る。


『シェー ン』エミール・メイヤーら


『シェー ン』エミール・メイヤー、ブランドン・デ・ウィルデ、ヴァン・ヘフリンら

牧場業者 のボス、ルーフ・ライカーが馬上から、
ライカー…「スターレッ ト」と ジョーを見下ろして言う。
ライフル銃を持ったまま頷くジョー。
不 安を抱きながら窓越しに見ているマリアン。
ライカーの弟がジョーのライフル銃を指差しからかうように、
ライカーの弟…「もめ事か い」と言う。
気まずそうにライフル銃を握り直すジョー。
馬鹿にして笑うライカーたち。
ジョーの傍でライカーたちを見ているジョーイ。
心配して窓越しに見ているマリアン。
ジョー に、
ライカー…「そう構えるな
ひと言 伝えに来た
牛肉の契約は済んだ」と言うライカー。
ジョー…「6人で伝令か?」と言うジョー。
ライカー…「聞け」と 言うライカー。
ジョー…「関係ない」と答えるジョー。
ライカー…「大ありだ」と怒鳴り、
「この土地を牛追いに使う」と言うライカー。
ジョー…「おれの土地から出 ろ」と言うジョー。
ライカー…「何がお前の土 地だ」と声を荒げ、
「冬前には出て行けよ」と言うライカー。
ジョー…「嫌と言えば?」と言うジョー。
心配して見ているマリアン。
ライカー…「侵入者ども は…」と言うライカーに、
ジョー…「“入植者”だ」と返すジョー。
緊迫した状況を心配して納屋から出てこようとしているマリアン。
「力ずくで全員 追い出してもいいんだぞ」と脅すライカー。
ジョー…「銃に物を言わすっ て時代は もう終わったんだ
刑務所も出来た」と言うジョー。
心配してジョーの傍に来るマリアン。
ジョーを見るジョーイ。
家の端にシェーンが姿を見せる。
ライカーがシェーンに気付く。


『シェー ン』エミール・メイヤー

シェーン に気付かないジョーは、
「犯罪者には」と続ける。
家 の端によりかかってライカーを見るシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

ライカー が弟に視線を向ける。
 “聞け”と指図している。
ライカーの弟がシェーンに、
ライカーの弟…「誰だ」
と 言う。


『シェー ン』

相手を見据えて、
シェーン…「友人だ」と、はっきり答えるシェー ン。
驚 いて声がする方を振り返るジョー、マリアン、ジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

ライ カー…「スターレッ ト 警告はしたぞ」と言うライカー。
ジョー…「聞いたよ さっさ と出て行け」と言うジョー。
“覚えておけよ”とばかりにジョーを睨み、手下に引き上げるよう顎で指図するライカー。
畑を踏み潰して去るライカーたち。
その行為を悲しむように牛が“メ〜”と鳴く。
 開拓民と牧場業者は対立していた。
 落ち着き払ったシェーンの態度にひとまず引き下がったわけだ。
ライカーたちが去るのを見て立ち去ろうとするシェーン。
声掛け難そうにしてシェーンを見ているジョーに、
マリアン…「夕食の用意が  すぐできるわよ」と言い、きっかけを つくってやるマリアン(ジー ン・アーサー)
 夫の性格を熟知している良妻ぶりが描かれている。
 また、シェーンに興味を惹かれてもいる。
きっかけを得たジョーが、
ジョー…「あんた」とシェーンに声を掛 け近づく。
馬の手綱を持っていたシェーンが振り向く。
気まずそうにシェーンに近づき、
ジョー…「待ってくれ おれ はてっきり…」と言い、マリアンと ジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)に視線を向ける。
再 びシェーンの方を向き、
「言いすぎたよ」と謝るジョー。
 謝るのが苦手な性格が描かれている。
ライフルを持ち上げ、
ジョー…「大体 弾なんか
入ってないんだ」と言い、シェーンに 渡すジョー。
成り行きを見ていたマリアンが微笑む。
ジョーイが二人に近づく。
シェーン…「銃に」と言い、ライフルを 受け取るシェーン。
近づいてきたジョーイを指差し、
ジョー…「弾入りを持たす にゃ 早すぎる」と言うジョー。
マリアンが微笑みながら夕食の準備に向かう。
 機転が利く良妻振りが描かれている。

ジョー…「機嫌を直して くれ」と言 い、ライフルを受け取り、
ジョー…「おれは

ジョー・スターレット」と 言い、
ジョーイを差し、

「息子のジョーイ」と 紹介するジョー。
照 れくさそうに、
ジョー…「女房が言ってたろ
夕食を一緒に食べないか」と 言い、親愛の情を込めて握手を求めるジョー。
シェー ン…「シェーンだ」と 言い、握手するシェーン。
和やかに相手を見て握手している手に親愛の情が込められ、がっちり握り合う。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

握手をし ているシェーンとジョーを見て喜ぶジョーイ。
 シェーンの虜になっている。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー…「近ごろは神経 質になって」と言う ジョー。
ジョーイに近寄り、

シェー ン…「ジョーイ」と、 和やかに握手をするシェーン。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

嬉しそう に握手するジョーイ。

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〜食卓〜

食事をし ながらシェーンに、
ジョー…「やつらのやり方は 古いんだ
限界がある」と 牧場業者のライカーたちの話をするジョー。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン

椅子に掛 けているシェーンの銃を見ているジョーイ(ブランドン・デ・ ウィルデ)
ジョー…「広い土地が要る割にゃ 成果はない
家畜は骨と皮
柵を囲って よく食 わせ
繁殖させるべきだ」と 熱心に話し続けるジョー。

話 しを聞いていたシェーンが銃を見ているジョーイを見る。
銃 に釘付けになっているジョーイ。
ジョー…「人間も1か所に 落ち着くべきなのさ
肉牛は少なくなるが 畑や菜園からの収穫物やー
豚や乳牛でやっていける
なあ マリアン」と 言い、マリアンに同意を求めるジョー。
 自分がやってきたことに自信をみせ、気に入ったシェーンを留ませようと思っ ている。
和 やかにマリアンの方を見るシェーン。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

マリア ン…「ご立派よ」と、 ジョーに答えるマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー

“ガタン!ガタン!”
物音に反応して素早く椅子に 掛けている銃に手を持ってゆくシェーン。
驚いて立ち上がるジョーイ。
シェーンの行動に驚くマリア ンとジョー。
“ウーメェー”と子牛の鳴き声がする。
驚いているマリアンとジョー を見ていたシェーンが、子牛の鳴き声だと分かり気まずそうに視線を落とす。
驚 いてシェーンを見続けているジョーイに子牛を柵に戻すように言うジョー。
シェー ンのことが気になって仕様がないジョーイは、シェーンの方を見ながら外に出て行く。

ジョー イに優しく視線を向けるシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェー ンに、
ジョー…「行き先は聞かないよ」と言うジョー。
 物音に反応して直ぐに銃 に手を持ってゆくシェーンが何者か見当がついているから。
困ったようにしながら、
シェーン…「さすらい旅さ
見知らぬ土地から土地 へ」と 穏やかにジョーに答えながらマリアンを見るシェーン。
 マリアンの反応を気にし ている。
シェーンの視線に反応するマリアン。
 シェー ンの視線に戸惑う。
シェーンを見ていたジョーが、
ジョー…「おれが出てくときは 箱入りでだな」と言う。
戻ってきたジョーイが、
ジョーイ…「どういう意味?」と聞く。
ジョーイの方を見たジョーは、
ジョー…「追い出したきゃ 棺おけに入れろってこと」と自らが置かれた立場を説明する。
マ リアン…「そんな言い方…」と言うマリアン。
向きになって、
ジョー…「本気だ 根を下ろすと言ったろう」と言うジョー。
マリアン…「でも嫌な言い方だわ」と 言い、シェーンに視線を向けるマリアン。
 シェーンの反応を気にし ている。
ジョー…「初めての我が家だ」と深い思いを語るジョー。
ジョーイ…「でもさっきの…」と言うジョーイ。
マリアン…「静かに 父さんの話の途中よ」と言うマリアン。
 父親を立てる良妻ぶりが 描かれている。
ジョー…「だが仕事に 人手が欲しいな」と言うジョー。
自 分に向けてラブコールされていることに考えを巡らして聞いているシェーン。
ジョー…「前に1人 雇ったが
ライカー兄弟のせいで  おれを恨んで辞めてった」と話すジョー。
傍で聞いていたジョーイが、
ジョー イ…「歯を折られてね」と椅子を揺らしながら言う。
重 苦しい空気を変えようと、準備していたパイをシェーンの前に差し出すマリアン。
持て成すマリアンを見るシェーン。
パイを持ってきたマリアンに、
ジョー…「今日はすごいな」と言うジョー。
ジョーイ…「何が?」と言うジョーイ。
ジョー…「皿もフォークも とっておきだ」と言うジョー。
ジョー イ…「僕の分は?」と言うジョーイ。
ジョーイの前にパイを置くマリアン。
マリアンに、
ジョー…「どういうわけだ?」と聞くジョー。
マリアン…「別に」と答えるマリアン。
 マリアンがシェーンを特 別に持て成していることを感じて一抹の不安を持つジョー。
食 事を終え窓から太い古い根が四方に張り出している木株をじっと見ているシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェー ン…「ごちそうを ありがとう」と、マリアンに礼を 言うシェーン。
礼儀正しさに驚きながらも、レディとして接してもらえたことを喜ぶマリアン。
シェー ン…「失礼」と 言い、戸口の方へ行くシェーン。
“いいやつだな”と思いながらシェーンを見ているジョー。
外に出たシェーンを見て、
ジョーイ…「さよならも言 わず どこへ?」とジョーに言う ジョーイ。
ジョー…「どこへも行かない さ 銃を置いてはな」と言うジョー。
銃を見たジョーイが、
ジョー イ…「見てくる」と言い戸口に向か う。
ジョー に、
マリアン…「泊めたら?」と言うマリアン。
ジョー…「そう言うよ」と言い、席を立とう とするジョー。

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〜木株〜

“ドン”
鋼 鉄が木に食い込む音が聞こえる。
シェー ンが木株に斧を振り下ろしている。

 開 拓民のスターレットの家に住み込む決意をしたのだ。
納 屋に寄り掛かってシェーンを見ているジョーイ(ブランド ン・デ・ウィルデ)
“ドン”
窓 からシェーンを見るジョー。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

シェーン を見ながら、
ジョー…「驚いたな 来てごらん」とマリアンを呼ぶジョー。

“ドン”
ジョー と一緒にシェーンを見るマリアン。
マ リアンを腕で包み込み、嬉しそうにシェーンを見ているジョー。
“ドン”
シェー ンと一緒になって木株に斧を振り下ろしているジョー。
“ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン……”


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン

同じ思いで木株に斧を振り下ろしているシェーンとジョー。
顔を見合わせた二人は男同士 の意気を感じ嬉しそうに笑う。
 開拓を阻む強敵に立ち向かう意気だ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン

“ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン……”
日が暮れている。
ジョー イと野菜の手入れをしていたマリアンが、木株を押し倒そうとしているジョーとシェーンを見る。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ブランドン・デ・ウィルデ、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

力を込め て木株を押し倒そうとしているジョーとシェーン。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

“ググッ”
微 かに木株が大地から剥がされるような音がする。
息 を荒げているジョーとシェーン。

二 人の傍に来て、
マ リアン…「馬を使ったら?」と 言うマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド、ブランドン・ デ・ウィルデ

ジョー…「この切り株と 格闘して かれこれ2年だ
今 馬に頼ったら
負けになる
こいつは自分の汗と 体で やり通したいんだ」と言うジョー。
再 びシェーンと木株に向かうジョー。

気 合を入れ押す二人。
“ビリ ビリッ”
木株が大地から剥がされるような音がする。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

二人を見ているマリアンとジョーイも力が入る。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

力一杯押す二人。
“ビリ ビリッ!
木株が大地から剥がされるよ うな音が大きくなって行く。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

木株が傾く。
興奮して見ているマリアン。
押し続けるジョーとシェー ン。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

ついに木株を押し倒すジョーとシェーン。
頼もしいジョーとシェーンを 嬉しそうに見るマリアン。
達成感を味わいながら、大地 から剥がし倒した木株を見るジョーとシェーン。
喜びを共にするマリアンと ジョーイ。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

 背後に聳え立つ山並みも祝っているみたいだ。

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〜ジョーイの宿敵〜

翌朝。
目が覚めたジョーイ(ブランドン・デ・ ウィルデ)は窓の外の 鹿の角が目に入り起き上がる。
また、作物を食い荒らしていると思い、ライフル銃を持って外に出るジョーイ。
そうっと歩きながら鹿を探すジョーイ。
後ろの畑にいるのに驚いて柵の方に走るジョーイ。
 子供らしい仕草で可愛い。
柵からライフル銃を覗かせ鹿に狙いを定めて、
ジョーイ…「バ〜ン バ〜 ン」と言うジョーイ。
鶏の雛を見ていた鹿はジョーイの声に驚いて逃げ出る。
ジョーイ…「本物の弾が欲 しいな」と独り言を言いながら小屋の方に行くジョーイ。
 畑 の作物を食べたり、飼っている家畜を脅かす鹿はジョーイの宿敵であった。
ウエスタンハットを顔に当てて小屋で横になっているシェーンの脇を通り抜け“シェーンはどこに銃を置いているのだろう?”と奥を覗くジョーイ。
横になったまま後ろから、
シェーン…「おはよう  ジョーイ」と言うシェーン。
驚いて振り向き、
ジョーイ…「なぜ 僕だと わかったの」と聞くジョーイ。
シェーン…「牛は柵の中だ ろ」と答えるシェーン。
笑いながらシェーンの傍に来るジョーイ。
顔に当てたウエスタンハットを取りながら、
シェーン…「早起きだな」と言うシェーン。
嬉しそうに、
ジョーイ…「朝ご飯も一緒 だよ」と言うジョーイ。
シェーン…「そうかい あ りがとう」と言うシェーン。
ジョーイ…「どこへ行くつ もり?」と言うジョーイ。
シェーン…「どこがい い?」と言うシェーン。
ジョーイ…「ここにいて」と 言うジョーイ。
にこやかにジョーイを見ているシェーン。
ジョーイ…「銃を教えて よ」と言うジョーイ。
シェーン…「射撃を習いた いのか」と言うシェーン。
ジョーイ…「父さんもいて ほしいって
用心棒じゃなく 仕事を手伝ってもらいたいんだ」と 話すジョーイ。
 引き止めたいばかりに勝手に親を持ち出す。
 ラストシーンにもこのような台詞が登場する。
体を起こすシェーン。
ジョーイ…「怖がって 逃 げたりしないでしょう?」と言うジョーイ。
マリアン…「ジョーイ」とマリアンがジョー イを呼ぶ声が聞こえる。
起き上がるシェーン。
マリアン…「出てらっしゃ い」とマリアンがジョーイを呼ぶ。
マリアンの方に行きながら、
ジョー イ…「いてね  シェーン」と言うジョーイ。
考え込んでいるシェーン。
 このシーンはラストシーンの伏線である。

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 〜ソーダ水〜

銃を捨てジョーを手伝うことを決めたシェーンは、丸腰でジョーに頼まれたグラフト ンの店に買い物に行く。
丸 腰のシェーンを見ていたライカーの配下クリス(ベン・ジョ ンソン)が難癖をつける。
シェー ンが隣の酒場の戸口を開けて、カウンターでバーテンダーのウィルに注文しようとする。

テー ブル席でポーカをしていたクリスが、
ク リス…「ウィル 酒場で
豚の臭いをさせとくな」と 難癖をつけ続ける。


『シェー ン』アラン・ラッド、ベン・ジョンソンら

クリスの 方に静かに顔を向けるが応じないで、


『シェー ン』アラン・ラッド、ベン・ジョンソンら

シェー ン…「ソーダ水 を」と、 ジョーイに頼まれたジュースをウィルに注文するシェーン。
ライカーの手下たちが笑う。

こ こぞとばかりにカウンターに近寄りシェーンに因縁をつけ、
ク リス…「どれにする
レモン味 イチゴ味
腰抜け味か?」と 侮辱するクリス。
カ ウンターに両肘をついたままクリスの方を向き、
シェー ン…「おれに用か」と 言うシェーン。
ク リス…「ほかに誰がいる」と 言うクリス。
体 を起こしてクリスの前に立つシェーン。
険 悪な空気を感じたグラフトンが隣の店の戸口から酒場の中を見る。
グラスに入ったウィスキーを買ったばかりのシェーンの作業服に、
ク リス…「ほらよ
男の臭いだ」と、 ぶっかけ侮辱するクリス。
 この作業服はシェーンの再 出発を意味していた。
 着替えたばかりの作業服が 汚される、それはラストシーンで少年に語る“元に戻れなかった”を予感させる演出だ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ベン・ジョンソンら

心配して 酒場に入ってきたグラフトンに奥のテーブル席のライカーの弟が、
ライカーの弟…「どうだ  グラフトン
豚を消毒してやったぞ」と言う。
ライカーの弟の方を見るシェーン。
クリスに、
グラフトン…「穏やかに頼 む」と言うグラフトン。
カウンターに片肘ついてシェーンを見下げながら、
クリス…「ソーダとイモ掘 りについて 聞いてた とこだ」とグラフトンに話、
「誰のイモ掘りの手伝いだ?
クソする手伝いだったのか」とシェーンを侮辱す るクリス。
カウンターにもたれながらクリスを見て、
シェーン…「スターレット の雇い人だ」と、はっきり言う シェーン。
鼻の先であしらうように頷き、
クリス…「聞き覚えのある 名だ」と言い、シェーンの前に立つクリス。
 殴り合いの体勢をとっている。
 腕に覚えがあるクリスは何時もこのようにして喧嘩を売っていたのだろう。
隣の店の戸口から酒場の様子を見ている農民ルイス。
カウンターから体を起こしクリスに近づくシェーン。
 喧嘩を受けようとする。
その時、バーテンダーのウィルが、
ウィル…「ソーダ水です」と言い、カウンター にソーダ水を置く。
 水をさした。
ライカーの手下たちが一斉に馬鹿にして笑う。
黙ってソーダ水を手に取るシェーン。
 “今 ではない”と思っているから。
 シェーンには戦いも儀式のようなものでなくてはならないのだ。
 笑いの中で行うことではなかった。
 出掛ける前にジョーに「我が家の もめ事に巻き込まれるな」と言われていたことも多少あったかも知れないが。
尻尾を巻いて逃げると思っているクリスは、
クリス…「ソーダ持って
ここから うせろ」と言う。
ソーダ水代をカウンターに放り、ソーダ水と荷物を持ってクリスを見るシェーン。
ソーダ水を軽く掌で遊ばせながら、クリスをしっかり見て戸口に向かうシェーン。
 クリスに“見ていなよ”とシグナルを送っている。
売られた喧嘩に応じないでいるシェーンを戸口で見ていたルイスが驚く。
気付かないクリスは、
クリス…「もう来るな」と 毒づく。
クリスたちに侮辱されても争わないで引き下がるシェーン。

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〜窓〜

その噂が 広がる。

スター レットの家で農民たちを追い出そうと嫌がらせを続けるライカー一味との対策について集会を持つ。
直ぐにこの土地から立ち去るというアーニーと、留まると言う農民たちの話し合いが続く。
後 から集会に参加したトーリが南北戦争時代の南部連合の軍人ストーンウォールと同じ名前であることと、何時も 虚勢を張っているから、ヤンクがハーモニカを賑やかに吹いてからかう。
皆、笑い合う。
 何時もこの調子なのだろう。
 和やかな笑いだ。

集会でも シェーンのことが持ち上がってくる。
隣の小部屋でジョーイ(ブランドン・デ・ ウィルデ)を寝かせ ようと本を読んで聞かせているマリアンも気になって耳を傾けている。
シェーンを英雄崇拝しているジョーイは隣の部屋の話に耳をすましていたが、内容に驚く。

集会に加 わったものの居心地が悪くなったシェーンが外に出て雨に打たれている。
窓を開け、
マリアン…「シェーン」と優しく声を掛ける マリアン。
寝台から、
ジョーイ…「シェーン
逃げたんじゃないよね」と聞くジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、アラン・ラッド

シェー ン…「話せば長い」と答え るシェーン。
マリアン…「わかってるわ

シェーン」と 言うマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド

シェー ン…「…」
マリアン…「そんなに ぬれたら
風邪をひくわ」と 言うマリアン。

小 屋に行くシェーン。
窓 を閉めるマリアン。
座っ て考え込んでいたマリアンが、
マ リアン…「ジョーイ
シェーンを 好きにならないで」と 言う。
 自 分自身にも言っている。
ジョー イ…「どうして」と 言うジョーイ。
マ リアン…「どうしても」と 言い、窓の方に行くマリアン。
ジョー イ…「よくない人?」と 言うジョーイ。
マ リアン…「いいえ」と 辛そうに答えるマリアン。
ジョー イ…「だったら…」と 言うジョーイ。
マ リアン…「いつか去る人よ
あまり好きになると 別れがつらくなるわ」と 言い、急いでランプを消すマリアン。
 顔 が熱ってくるのをジョーイに見せたくないため。
 また、シェーンに惹かれてゆくことを懼れ遮断しなくてはという思いから。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー

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〜空瓶〜

開拓農民 たちが一緒に買物に行く。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ブランドン・ デ・ウィルデ

プ ライドを取り戻すきっかけを待ち構えていたシェーンは、ソーダ水の空瓶を返しに行こうとしているジョーイ(ブ ランドン・デ・ウィルデ)か ら受け取り、再び酒場へ入る。
空瓶を持っているシェーンに、
クリス…「こりゃ驚いた」
と からかうクリス(ベン・ジョンソン)
 シェー ンの狙い通りにクリスがソーダ水の空瓶に飛び込んできたという訳だ。
カ ウンターに空瓶を置くシェーン。
ク リス…「新顔の入植者だ
通称“ソーダ野郎”さ
忘れっぽいようだな」と テーブル席から、からかい続けるクリス。
カ ウンターからクリスの方を見るシェーン。
ク リス…「来るなと言っただろう 痛い目に遭い たいのか」と 脅すクリス。
“ガチャ”
怯 えながらウイスキーの小瓶の蓋を閉めていたウィルの手元が狂い、小瓶をひっくり返す。
慌 てて小瓶を起こすウィル。
戸 口をそうっと開けて見るジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

シェー ン…「…」
クリスを見ているシェーン。
クリス…「とっとと隣に戻れ

女やガキといるのが似合いだ」と 言うクリス。
シェー ン…「静かにしろ」と 言うシェーン。


『シェー ン』エミール・メイヤー、アラン・ラッド

クリス…「聞こえねえのか」と 言い、シェーンの傍に来るクリス。
クリス…「若造に酒は10年早い」
と 続けるクリス。
ク リスを見てからウィルに、
シェー ン…「ウイスキーを2杯」と 言うシェーン。
戸 口を少し開けて見ているジョーイ。
ク リスに、
シェー ン…「先日の1杯の礼だ
今度は おれがおごろう」と 言うシェーン。
ク リス…「ここじゃ飲めんぞ」と 言うクリス。
ウイスキーが注がれた2つのグラスを両手に持ち、
シェー ン…「そのとおり」と 言い、1杯をクリスのシャツにをかけるシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ベン・ジョンソン

驚く ジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

もう1杯をクリスの顔に浴びせるシェーン。


『シェー ン』ベン・ジョンソン

そして、強烈なパンチをクリスの顔面に浴びせるシェーン。
“パキ〜ン!”


『シェー ン』アラン・ラッド、エミール・メイヤー、ベン・ジョンソンら

強烈なパンチを浴びたクリスは戸口を突き抜け、隣の雑貨店まで吹き飛ばされる。
鼻血を出したクリスがシェー ンの方を見る。


『シェー ン』ベン・ジョンソン

シェーンに向かってきたクリスと殴り合いが始まる。
クリスをこてんぱんに殴り倒すシェーン。
 殴り合いを見ていたジョーイが、シェーンがクリスに止めの一発を浴びせるの と同じくして棒飴を噛み切る。
 ジョーイも殴り合いに参加している気分になっている演出が面白い。

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〜威信〜

クリスを 殴り倒したシェーンを見ていたライカー(エミール・メイヤー)が、
ライカー…「わしに雇われてみんか」と誘う。

シェー ン…「もう雇われてる」と 断るシェーン。
ラ イカー…「農場は柄じゃあるまい 条件を言 え」と 言うライカー。
シェー ン…「結構だ」と 言うシェーン。
殴り倒されたクリスが体を起こしシェーンを見る。
 先ほどまでのからかう目ではない、腕力だけが自慢だった男が本物の男に出会っ た目だ。
ラ イカー…「スターレットの倍を払う」と 言うライカー。
シェー ン…「断る」と 言うシェーン。
ラ イカー…「何が望みだ」と 言うライカー。
シェー ン…「何も」と 言うシェーン。
隣の店の方に目をやり、
ラ イカー…「やつの女房か」と 言うライカー。
怒り、
シェー ン…「このクソったれ!」と 汚い言葉で返すシェーン。
 一 番言われたくないこと(密かに思いを寄せている)に触れられ、腹を立てているシェーンを日頃使わない言葉で表し苛立ちの大きさ を演出している。
ラ イカー…「よくも そんな口を」と 言うライカー。
シェー ン…「それが何だ」と 噛み付くシェーン。
ラ イカー…「よかろう これまでだ
ただで済むと思うな
今に頭を下げたくなる
たっぷり かわいがってもらえ」と 怒鳴るライカー。
ライカーの手下がシェーンを囲む。
シェーンの傍に来て、
ジョー イ…「行こう」と 言い、シェーンの手を引くジョーイ(ブランド ン・デ・ ウィルデ)
シェー ン…「出てろ」と 言うシェーン。
周りを見渡し、
ジョー イ…「でも大勢だ」と 言うジョーイ。
ジョーイを見て、
シェー ン…「逃げ出せと?」と 言うシェーン。
 英雄崇拝しているジョーイに、男の威信が懸っているときには引き下がれな いことを分からせる。
 たとえ殺されそうでも。
周りを見て、
ジョー イ…「多すぎるよ」と 言うジョーイ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデら

シェー ン…「さあ行け」と 言うシェーン。
心配しながら離れるジョー イ。
立ち上がったクリスは戸口の 方へ行く。
 シェー ンを大勢で殴ることに加わりたくないから。
シェーンを心配して、
グラフトン…「やめろ」
と 言うグラフトン。
男 の威信が懸っているシェーンは引き下がれない。
グ ラフトンに、
ラ イカー…「弁償はする」と 言うライカー。
ラ イカーに、
グ ラフトン…「面倒 起こすな」と 言うグラフトン。
グ ラフトンに、
ラ イカーの弟…「黙れ」と 言うライカーの弟。
グ ラフトン…「丸腰だぞ」と 言うグラフトン。
ラ イカーの弟…「銃は使わん」と 言うライカーの弟。
ラ イカー…「素手で勝負だ」と 言うライカー。
グ ラフトンに、
ラ イカーの弟…「口を出すな
おれが ぶちのめす」と 言うライカーの弟。
立 ち上がったライカーの弟にパンチを食らわすシェーン。
ラ イカーたちとの殴り合いが始まる。
シェー ンの背後から酒瓶を投げつけるライカー。
か わすシェーン。
ラ イカーの手下に酒瓶が命中する。
“しまった”という表情をするライカー。
ラ イカーに、
グ ラフトン…「よせ」と 言うグラフトン。
殴 り合いを続けている皆に、
グ ラフトン…「やめないか」と 言うグラフトン。
大 勢のライカーの手下を相手に奮闘するシェーン。
戸 口の前で見ているジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)
グ ラフトン…「やめろ」と 言い続けるグラフトン。
気 を見てシェーンに近づいたライカーの弟がパンチを浴びせる。
シェー ンがぐらついたところをライカーの手下たちが掴む。
シェー ンがライカーの手下たちに掴まれているのを見て、弟を押しのけて殴るライカー。
 ラ イカーの人間性が演出されている。
 手向かえない相手を痛めつける面白さを独り占めにしたいとする卑劣さを。


『シェー ン』エミール・メイヤー、アラン・ラッドら

殴られつ づけているシェーンを戸口の間から見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ライカー に、
ライカーの弟…「首を折れ」と言うライカーの弟。

シェーンが殴り殺されようとしているのを見ていたジョーイは怖くなってくる。
戸 口の隙間から見ていたジョーイは危機を感じ隣の店にいるジョーに、
ジョー イ…「シェーンが危ない
殺されちゃう」と 助けを求める。
酒 場の方へ行こうとするジョーに、
マ リアン…「やめて」と 言うマリアン(ジー ン・アーサー)
止 める農民。
ジョー…「シェーンは仲間だ
下手すりゃ本当に殺される」と 言い、上着を脱ぐジョー。
近 くにあった棍棒を手にしてシェーンを助けに行くジョー。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサーら

Top

〜大乱闘〜

シェーン を殴り続けているライカーに一発食らわせ、続いてライカーの弟に。
掴 まれていた手が離されたシェーンとジョーとライカーたちとの大乱闘となる。
心配して覗くマリアン。

戸 口の方へ行くジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)
殴 り合いが続く酒場。
戸 口の下から見ているジョーイの方にもグラスが飛び込んでくる。
優勢に闘い続けているシェーンとジョーを興奮して見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョーと シェーンが力を合わせてライカーたちと殴り合う。
嬉しそうに顔を見合わせた二 人は深い友情を感じ取り、体中に闘志が漲る。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド

二人を心配しながらも勇姿をしっかり見ているマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー

ジョーとシェーンの戦いぶりを見ているグラフトン。
頼もしいジョーとシェーンの 戦いぶりをすべて目に焼きつけようとしているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

グラフトンが、
グラフトン…「そこまで
いいかげんにしろ」と声を上げ仲裁に入る。
睨 み合っているライカーの手下とジョーとシェーンに、

グ ラフトン…「終わりだ
しまいには 一人残らず死ぬぞ」と 言うグラフトン。
ジョー とシェーンに、
グ ラフトン…「二人とも帰れ」と 言うグラフトン。
状 況を見ているジョーイ。
ジョーとシェーンに、
グ ラフトン…「お前たちの勝ちだ」と 勝利を告げる。
勝利宣言を聞いているマリアン。
勝利を喜ぶジョーイ。
グ ラフトン…「行け」と 言うグラフトン。
ジョー…「ライカーなどに 弁償はさせん」と 言うジョー。
床 に倒れ込んでいるライカーがジョーを見る。
ジョー が、
ジョー…「このおれとシェーンが 必ず払う」と 力強く言い、シェーンと共に酒場を後にする。


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリンら

手下に、
ライカー…「モーガン
使いと馬を用意してー
シャイアンまで 一日で行かせろ」と指示を出し、
遊びは終わりだ
今度 やり合うときは
硝煙が立ちこめるだろうよ」と言うライカー。

Top

〜大好き〜

ジョー イ…「終わりまで ずっと見てたよ」と、体を揺ら しながら嬉しそうに言うジョーイ(ブランド ン・デ・ウィルデ)
二人の怪我の手当てをしながら、
マリアン…「むちゃな子」と言うマリアン。
ジョー…「お前もだ」と言うジョー。
ジョーイ…「僕が 驚いて たら
父さんが1人をガツンと」と言うジョーイ。
ジョー…「ほとんどシェーン が 片づけたけど」と言い、
「気分は?」とシェーンを気遣う ジョー。
シェーン…「ましだ」と答えるシェーン。
マリアン…「ケンカは見苦 しいけど 二人は立派だったわ」と 言うマリアン。
ジョーイ…「シェーンがイ スで殴られて 死ぬかと」と言うジョーイ。
ジョーイの方を振り向き、
シェーン…「平気さ」と答えるシェーン。
嬉しそうに笑うジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン

シェーン の前に来て、
ジョー イ…「シェーンは誰よりも強い」と言うジョーイ。
 英雄崇拝している。
ジョー…「これでライカーも ひるむだろう」
と 言うジョー。
ジョー を見るシェーン。
マ リアン…「ライカーの話は たくさん」と 言うマリアン。
ジョー…「おれも忘れたいよ」と 言うジョー。
シェー ンに、
マ リアン…「しみるわよ」と 言い、消毒液を付けようとするマリアン。
シェー ンを見ているジョーイが、
ジョー イ…「シェーンなら どんな痛みでも平気さ」と 言う。
シェー ン…「そんなことはないよ」と 言い、笑うシェーン。
消 毒液を付けようとするマリアン。
ジョー イ…「きっとしみるよ」と 言うジョーイ。
消 毒液を付けられないマリアンが、
マ リアン…「寝なさい」と ジョーイに言うマリアン。
渋々 寝室の方に向かう。
シェー ンに、
マ リアン…「少し我慢してね」と 言い、消毒液を付けようとするマリアン。
ジョー イがドアの前で聞いているだろうとわざと、
シェー ン…「痛い」と 言うシェーン。
笑 うジョー。
“それはないよ”と、
ジョー イ…「そんな」と 言うジョーイ。
消 毒液を付けられないマリアンが、
マ リアン…「ジョーイ 怒るわよ」と ジョーイに言うマリアン。
マ リアンを見て笑うシェーン。
ジョー…「おれも寝るとしよう
さあ ジョーイ」と 言い、寝室の方に向かうジョー。
マ リアンに、
ジョー イ…「おやすみのキスは?」と 言うジョーイ。
マ リアン…「後でね」と 言うマリアン。
小 部屋のドアを閉めるジョーイ。
シェーンの肩掛けを外してやりながら、
「包帯を巻いたほうが いいわ」と 言うマリアン。
“そんな”と頭に手をやりながら、
シェー ン…「大丈夫」と 言い、
「十分だよ ありがとう」と 礼を言い、マリアンを見つめるシェーン。
シェーンに話し掛けようとするマリアン。
 “無茶しないで”と言おうとしたのだろう。
突 然ドアを開け、
ジョー イ…「母さん 僕ね…」と 言うジョーイ。
驚 いてジョーイに、
マ リアン…「なに?」と 言うマリアン。
ド アの前でマリアンに手招きするジョーイ。
ジョー イの小部屋に入るマリアン。
ド アの向こうから、
マ リアン…「何なの」と 言うマリアンの声が聞こえる。
ジョー イ…「母さん
僕 シェーンが大好きだ」と 言うジョーイの声が聞こえる。


『シェー ン』アラン・ラッド

マリア ン…「そう」と 言うマリアンの声が聞こえ る。
ジョー イ…「父さんと同じくらい それでもいいよね」と言うジョーイの声が聞こえ る。
複雑な思いで聞いていた シェーンが立ち上がって戸口に向かう。
マ リアン…「いい人だわ」
と 言うマリアンの声が聞こえる。
ジョー イ…「文句なしだ」と 言い、
「シェーンが嫌い?」と マリアンに聞くジョーイの声が聞こえる。
戸口を開け外に出るシェーン。
マ リアン…「私も好きよ」と 言うマリアンの声がする。
 シェー ンに聞こえたのか、どうなのかという微妙な演出が上手い。
外に出たシェーンが戸口を閉める。
マ リアン…「おやすみ」と 言い、ジョーイの部屋から出てくるマリアン。
シェー ンがいない。
戸口の小窓を開け小屋の方を見るマリアン。
 恋 する女の顔になっている。
寝室のドアを開けマリアンに、
ジョー…「どうした」と 声を掛けるジョー。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン

驚いて振り向いたマリアンは、
マ リアン…「ジョー」と言いジョーの傍に行き、
「抱きしめて」と言うマリアン。
 シェー ンに対して高揚してくるどうしようもない気持ちをジョーに引き戻してもらいたいのだ。

“どうした”と聞こうとするジョーに、
マ リアン…「何も言わずに ただ抱きしめて」と 言い、ジョーの胸に飛び込むマリアン。
マリアンを抱きしめたジョーは、これまでなかったマリアンの気持ちの揺れ動きに気 がつき優しく宥める。


『シェー ン』ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン

マリアン と寝室に入るジョー。
ドア越しに、
ジョーイ…「おやすみ 母さん」と言うジョーイ。
ドア越しに、
マリアン…「おやすみ ジョーイ」
と 答えるマリアン。
ドア越しに、
ジョー イ…「おやすみ 父さん」と 言うジョーイ。
ドア越しに、
ジョー…「おやすみ」と 答えるジョー。
ドア越しに、
ジョー イ…「おやすみ シェーン!」と 声を高めるジョーイ。


『シェー ン』

 ジョーイの声にこだまするような両親の声と、呼び掛けるジョーイの声が胸の 奥に響いてくる。
 きっと、シェーンのいる小屋にも届いただろう。

Top

〜殺し屋〜

その頃、 ライカーに雇われた名うての無法者ウィルソン(ジャック・パラ ンス)がシャイアンからやってきた。
 ウィ ルソン役のジャック・パランスの黒装束は悪役のイメージを強めた。
ウィ ルソンが酒場に足を踏み入れる。

カ ウンターの下で寝そべっていた犬が起き上がりウィルソンを避けて移動する。
 ウィルソンが不気味なことを寝そべっていた犬が避けて行くことで表す演出を 見せる。
 犬を使ってシェーンとの違いを見せる。


『シェー ン』ジャック・パランス

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〜早撃ち〜

7月4日 の独立祭。
鞍 の手入れをしているシェーンに、
ジョーイ…「もう銃は持たないの?」
と 聞くジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)
作 業をしながら、
シェー ン…「悪人は少ないようだからね」と 言うシェーン。
ジョー イ…「シェーン
秘密を教えようか」と 言うジョーイ。
作 業をしながら、
シェー ン…「いいとも」と 言うシェーン。
ジョー イ…「そこの銃を見ちゃった」と 言うジョーイ。
驚 いてジョーイを見て、銃の方を見るシェーン。
ジョー イ…「触ってみた」と 言うジョーイ。
シェー ン…「…」
ジョー イ…「怒った?」と 言うジョーイ。
作 業をしながら、
シェー ン…「怒りゃしない
でも 触るのは
やめてほしかったな」と 言うシェーン。
ジョー イ…「もと通りにしたよ」と 言うジョーイ。
作 業をしながら、
シェー ン…「偉い」と 言うシェーン。
ジョー イ…「また見ていい?」と 言うジョーイ。
銃 を手に取るシェーン。
ジョー イ…「撃ち方を教える約束だよ」と 言うジョーイ。
シェー ン…「…」
ジョー イ…「お願い」と 言うジョーイ。
シェー ン…「よし おいで」と 言い、小屋の出口に行くシェーン。
外 に出て待つジョーイ。
ホ ルスターをつけるシェーン。
小 屋から出てきたシェーンに、
ジョー イ…「撃つぞ」と 言い、撃つ構えをするジョーイ。
ジョー イを見て笑い、
シェー ン…「基礎からだな こっちへ
立って」と 言い、小屋の前に立たせるシェーン。
ジョー イの前で、
シェー ン…「両腕を体の横に」と 言いながらポーズを取るシェーン。
言 われたポーズをするジョーイ。
ジョー イを見て、
シェー ン…「ホルスターが低いな 腕が伸びきって る」と 言うシェーン。
ホ ルスターを見るジョーイ。
シェー ン…「直そう」と 言い、ジョーイのホルスターの位置を調整してやるシェーン。
シェー ン…「グリップはー
ひじと手首の間に 来るように
そうすればー
抜いたときに うまく構えられる」と 言い、ジョーイの玩具の銃を抜いて見せてやるシェーン。
シェー ン…「さあ 抜いてみろ」と 言うシェーン。
銃 を抜いて見せるジョーイ。
シェー ン…「そうだ」と 褒めるシェーン。
ジョー イ…「ガンマンは皆 こうするの?」と 聞くジョーイ。
シェー ン…「いや それぞれ
工夫してるもんだ
ショルダー・ホルスターに するやつ
ベルトやズボンに差すやつ」と 話しながら場所を教えるシェーン。
ベ ルトに差した銃を触りながら頷くジョーイ。
シェー ン…「2丁使うやつ
だが1丁で十分だ」と 説明を続けるシェーン。
独 立祭に着て行くドレスに着替えたマリアンが小屋の横を通り掛るとシェーンの声が聞こえ立ち止まる。
シェー ン…「2丁は早撃ちに有利だが 正確じゃな い」と 説明を続けるシェーン。
ジョー イ…「どれが一番?」と 聞くジョーイ。
シェー ン…「今 教えた撃ち方が
たいていは有利だ」と 答えるシェーン。
ジョー イ…「撃って見せて」と 言うジョーイ。
シェー ン…「何を」と 言うシェーン。
先にある小石を指差し、
ジョー イ…「あそこの白い石」と 言うジョーイ。
立ち上がって構えたかと思うと眼にもとまらぬ早さで拳銃を抜き、


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

小石に命中させ、


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

“バババババ〜ン!”と、前方の石ころをファンニ ング(扇射ち)するシェーン。
驚くジョーイ。
驚くマリアン。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

眼を丸くして、
ジョー イ…“ヒュー”と口笛を鳴らすジョーイ。
ガンマンの表情になっている シェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェーン に、
ジョーイ…「すごいや 命中だ」と 興奮して言うジョーイ。

厳 しい表情のままグリップに銃を収めるシェーン。
シェー ンの腕前に驚きながらも不安が走るマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー

穏やかな 顔に戻って、
シェーン…「いいかい
よく見て
銃を抜くとき 腕に余裕を持たせ…」と 説明するシェーン。
柵の所で見ていたマリアンが、
マリアン…「シェーン」と声を掛ける。
声がする方を振り向いて、
シェーン…「やあ どうも
ジョーイに教えてた」と言うシェーン。
傍に来て、
マリアン…「悪いけど…」と言うマリアン。
マリアンに、
ジョーイ…「今の見た?」と聞くジョーイ。
マリアン…「ええ」と答えるマリアン。
ジョーイ…「習ってる」と言うジョーイ。
マリアン…「それより支度 して」と言い、納屋の方に誘導するマリアン。
ジョーイ…「がっかりだ」と言いながら納屋の 方に向かうジョーイ。
マリアン…「急いで」と言うマリアン。
シェーンに、
マリアン…「息子に銃は必 要ないわ」と言うマリアン。
ホルスターを外すシェーン。

納屋に行 きながら、
ジョーイ…「いつも邪魔す るんだから」と独り言を言、
「バン!」と撃つ真似をする ジョーイ。

シェー ン…「銃自体に害はない ただの道具だ
農具と同じだよ」と言うシェーン。
マリアン…「…」

シェー ン…「使い手しだいで 良くも悪くもなるん だ」と 言うシェーン。


『シェー ン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド

マリア ン…「銃など 消えてしまえば
よほど安心だわ
あなたの銃も」と言うマリアン。
シェーン…「…」


『シェー ン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド

銃声を聞 いたジョーが馬に乗って戻って来て、
ジョー…「何の銃声だ
祝砲には ちと早いぞ」と言う。
マリアンを見て、
ジョー…「すごい美女がいる な! 結婚式のドレスか」と言い、馬から降り て二人の傍にくるジョー。
ジョー…「シェーン」と言い、シェーンの 肩とマリアンの肩に手を置き、
ジョー…「馬車の用意を頼む よ お祝いに出かけよう」と言うジョー。
マリアンを抱き寄せて納屋に向かうジョー。
二人を見ているシェーン。

Top

〜狙い〜

開拓民を 怯えさせるのに格好の獲物が虚勢を張って酒場に飛び込んできた。
農民トーリ(エリ シャ・クック・ジュニア)だ。
強 がって戸口を壊して出てゆくトーリがターゲットになる。

獲物を捕らえた殺し屋、ウィルソン(ジャック・パランス)が不気 味な笑いを浮かべる。


『シェー ン』エミール・メイヤー、ジャック・パランスら

Top

〜フィーリング〜

独立祭を 広場で祝っている農民たち。
ジョーがぎこちなくマリアンとダンスを踊っている。
 苦手なのである。
シェーンとマリアンは息がぴったり合って踊っている。

農民たち がジョーとマリアンの結婚記念日を祝福しキスを促す。
恥 ずかしがるマリアンを強く抱きしめてキスをするジョー。
 傍で見ているシェー ンに自分のものだと見せ付けている。
ジョー イの肩に手を回し複雑な思いで見ているシェーン。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー、アラン・ラッドら

ジョーに 踊ろうというマリアンに、
ジョー…「おれは今 オリの中だ」と断り、柵の外に出るジョー。

 自 分のダンスでは満足させられないことが分かっているし、シェーンの前では形無しだと引き下がった。
息 がピッタリのマリアンとシェーンが踊っている。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、アラン・ラッド、ジーン・アーサーら

柵に凭れ て息の合った二人を見ているジョー。
嬉 しそうに踊っているマリアンを複雑な思いで見ているジョー。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン

ダンスに 興じていた農民たちはライカーが名うての無法者ウィルソン(ジャッ ク・パランス)を呼び寄せたらしいと聞き不安になる。
ただ、トーリ(エリシャ・クック・ジュニ ア)はシェーンの注意をよそに強がる。

Top

〜前哨戦〜

ライカー の用心棒としてジョーの家に来ているウィルソンとシェーンが顔を合わせる。
シェー ンとウィルソンが相手を探り合い、決闘の前哨戦をしている。


『シェー ン』ジャック・パランス、アラン・ラッド

これから の二人の行動は相手に対する意思表示だ。
ま ず、シェーンが水槽から柄杓で水をすくい、ウィルソンを見ながら一口飲む。


『シェー ン』アラン・ラッド

そして、 残った水を地面に棄てる。
 棄てる、“邪魔させないぞ”を意味している。

変わって ウィルソンが水槽から柄杓で水をすくい、シェーンを見ながら一口飲む。


『シェー ン』ジャック・パランス

そして、 残った水を音を立て水槽に流し入れる。
 汚ごす、“皆殺しにしてやるからな”を意味している。

Top

〜獲物〜

獲物がやってきた。
トーリ(エリシャ・クック・ ジュニア)を挑発して決闘に持ち込もうとするウィルソ ン。
怯えながらも強がるトーリ。
ひどい泥濘を“ピチャ ピチャ”と避けて進んでゆくトーリと、黒手 袋を填めながらスパー(拍車)“ジャ ラ ジャラ”と鳴らしポーチを進むウィルソン。
 ぬかるんだ足元を気にしながら進むトーリと、ポーチをスパーを鳴らしながら 大股で進むウィルソンを映し出す演出で、二人の胸の内を強調させている。
黒手袋をはめ終わった(射つ 用意が整った)ウィルソンが銃を抜かせようとトーリに、
ウィルソン…「抜け」と 言う。
 ウィルソンの残忍さ、冷 酷、非情が画面に映し出されたシーンだ。
 威圧感の強いジャック・パランスの演技が観客を釘付けにした。
 ジャック・パランスは、この役でもっとも凄みのある悪役として定着していっ た。
引っ込みが付かずに銃を抜こうとするトーリ。
だが、トーリが拳銃を抜こうとしたとき、すでにウィルソンの銃口はトーリに向けら れていた。
ウィルソンの構えの早さに驚き、闘志を失なって立ち竦むトーリ。
 この“間”が上手い。
 緊張感が高まる。


『シェー ン』ジャック・パランス、エリシャ・クック・ジュニア

ウィルソンの銃口から容赦なく放たれた弾丸がトーリの胸を打ち砕く。
跳ね飛ばされたトーリは泥濘 に倒れる。
 この泥水の中に頭か ら飛び込むエリシャ・クック・ジュニアの演技は絶賛された。


『シェー ン』エリシャ・クック・ジュニア

Top

〜棺〜

ライカー のやり方に怯えたルイスが先に逃げたアーニーのように土地を棄てようとする。
ル イス一家が直ぐに立ち去るというのを、トーリの葬儀を一緒にしてやろうと引き止めるジョー。

墓地で トーリの葬儀をしている農民たち。
ジョーらが棺を囲んでいる。
主 が納められている棺に近づき、泣き声をあげる犬。

“ヒ〜 ヒィン”
泣 いている親族。
親 族に寄り添うマリアンたち。
見 守るシェーン。
重 苦しい空気に場を離れようとするジョーイ。
棺 を埋葬しようと持ち上げるジョーら。
ヤ ンクがハーモニカで何時もトーリが現れる時にからかうように吹いていた南軍の進軍曲を吹く。
別 れを悲しむ音色で。
理 葬される主の棺を見送る犬。
“ヒ〜ィ ン ヒ〜ィン”


『シェー ン』

葬 儀が終わる。
ル イスが馬車の方に行きながら見送ろうとしているマリアンに、
ルイス…「奥さん お別れだ」と言い、
ジョーの方を見て、

「ジョーも」と言う。
残念そうに俯くジョー。
ルイスに手を振るアクセル。
ル イスに別れの会釈をするジョンソン。
ルイス…「子供たちを馬車に」とルイス婦人に言うルイス。
ルイスを見ていたエドが、
エド…「ルイス おれも行くよ」と言う。
見ていたジョーが、
ジョー…「待つんだ 早まるな
トーリは度胸じゃ 誰に も負けなかった
応えなきゃ浮かばれん」と言い引き止める。
ルイス…「前回の説得のときは トーリが生きてた」と言うルイス。
エド…「殺されるために残れと?」とエドも言う。
「真っ当な生活をするため だ
町を作り 教会や学校を 建て…」と説得するジョー。
ルイス…「墓所もか」と言うルイス。
返事に困り、
「とにかく何かやらね ば…」と 言い、
肩を落として椅子に座り込むジョー。

シェーン…「何のために残るのか
それは何よりも大切な  家族のためさ
妻子のためだ
ルイスには娘さんたち
アクセルには息子たち
皆 幸せに暮らす権利が ある
それを親として 毅然と 守るのかどうかだ」と説得するシェーン。
同 調するシェーンから力を得たジョーが、
「そのとおりだ
おれはあきらめんぞ
人が入植してきて 家族 を養うのが開拓地だ」と言い、
立ち上がり、

「ライカーでも誰でも 追 い出す権利はない
やつらの牛なんぞを 走 らせるより
おれたちが家族を 強く 立派に育てるんだ
ライカーひとりの 土地 じゃない」と言う。
ルイス…「だが実際は牛耳ってる」と 言うルイス。
遠方を指差しながら、
エド…「おい 見ろ」と言うエド。
ジョンソン…「火だ
ルイスの家だ」と言うジョンソン。
墓地に、
ルイス…「おれたちの!」と言うルイス。
遠方で煙が立ち上がっている。
ジョンソン…「ライカーだ」と言うジョンソン。
ルイス…「なんてことを」と言うルイス。
シェーン…「空き家にしたのが まずかった」と言うシェーン。
ルイス…「この手で建てた家だ」と言うルイス。
馬車の中から、
ルイスの妻…「子供部屋だって」と言うルイスの妻。
ルイス…「また ここで…」と言うルイス。
「皆でやれば すぐ立て直 せるさ
なあ ジョンソン」と言うジョー。
ジョンソン…「そうだ」と言うジョンソン。
マリアン…「子供部屋を作るのは 私も手伝うし
シェーンだっているわ」と言うマリアン。
シェーン…「やろう」と言うシェーン。
「もと通りに立派なのが出 来る そうだろ」と言うジョー。
ジョンソン…「おれたちに任せろ」と言うジョンソン。
アクセル…「私もやる」と言うアクセル。
ルイス…「本当か」と言うルイス。
ルイスの妻…「私たちのために?」と言うルイスの妻。
「ルイス家と 仲間全員の ためにさ」と言うジョー。
ルイス…「来てくれ まだ間に合う」と言うルイス。
「その意気だ」と言うジョー。
火を消しに家に戻るルイス。
それに続いてゆく農民たち。
ジョー とシェーンの言葉に勇気を奮い起こし、ルイスは留まることになったが、不安が解消されたわけではない。

エド…「おれの所も燃やされる」と言うエド。
ジョンソン…「見張って ろ」と言うジョンソン。
エド…「そして殺されるわ けか」と 言うエド。
「法がある 殺人は犯罪だ」と言うジョー。
エド…「保安官はいない」と言うエド。
アクセル…「160キロ先 だ」と 言うアクセル。
エド…「無法地帯だよ」と 言うエド。
「何か考えるさ」と言うジョー。
エド…「ライカーを誰が止 める
また やられるぞ」と言うエド。
「とにかく耐えろ」と言うジョー。
エド…「耐えろだと?」と声を荒げるエド。
「今に来なくなる」と言うジョー。
アクセル…「なぜわかる」と言うアクセル。
「おれが じかに
話をつけるからだ」と言うジョー。
ジョーの傍に来て、
マリアン…「しょい込みす ぎよ」と言うマリアン。
「やつを殺す」と言うジョー。
ジョーを見るシェーン。
話を聞いて驚くジョーイ。
マリアン…「それは間違っ てるわ だめよ」と言うマリアン。

火を消そ うとしているルイスたち。

Top

〜目障り〜

ライカー は目障りなジョーを酒場に誘き寄せて殺そうと計画する。
話し合いということにすれば来るだろうと。

それを手 下を従えて伝えに来るライカーの弟。
話 を聞いているジョーの後ろの小屋で銃口を向けて援護しているシェーン。
それを見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

クリス(ベ ン・ジョンソン)がシェー ンに、
クリス…「スターレットは ハメられる」と知らせに来る。

 シェー ンに殴られた後、シェーンこそ男の中の男だと目覚めさせられていたクリスは、ライカーの無法ぶりに も嫌気が差していた。
玩 具の銃で遊ぶジョーイの声が外でしている。
シェー ン…「なぜ教える」と 言うシェーン。
ク リス…「さあな 考えが変わったのさ」と 言うクリス。
玩 具の銃で遊ぶジョーイの声が外でしている。
シェー ン…「というと」と 言うシェーン。
ク リス…「ライカーとは手を切る」と 言うクリス。
玩 具の銃で遊ぶジョーイの声が外でしている。
ク リス…「じゃあな」と 帰ろうとするクリス。
玩 具の銃で遊ぶジョーイの声が外でしている。
呼 び止め、握手をしに進みでて、
シェー ン…「ありがとう」と 言い握手するシェーン。
しっ かり握手しているクリスの表情はにこやかだ。
 この男の役に立てた喜びを感じている。
 友情が芽生えた瞬間だ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ベン・ジョンソン

クリス…「またな」と言い、去るクリ ス。
玩具の銃で遊び続けているジョーイ。

Top

〜説得〜

玩具の銃 で遊び続けているジョーイの声が外でしている。
 ジョーイの中で“殺す 殺される”という刺激的な言葉が駆け巡っている。
決闘に行く準備をしているジョー。
それを心配して見ているマリアン(ジー ン・アーサー)
ジョー…「止めるな
危険は承知のうえなんだ」と言うジョー。
マリアン…「そんな
何を言ってもだめなの?」と言うマリアン。
ジョー…「好機かもしれない  あの3人は家へ帰った」と言うジョー。
マリアン…「そんなこと  信じてないでしょ」と言うマリアン。
ジョー…「あきらめるわけに は いかないんだ
家 この地 皆の将来を」と言うジョー。
マリアン…「将来って…」と言うマリアン。
玩具の銃で遊び続けていたジョーイが部屋に入っても撃ち合いの真似をしている。
マリアン…「やめなさい」と言うマリアン。
撃ち合いの真似を続けるジョーイ。
マリアン…「外で遊んで」と声を張り上げるマ リアン。
撃ち合いの真似を続けるジョーイ。
マリアン…「外へ行って」と涙を流すマリア ン。
止めるジョーイ。
マリアン…「お願いよ 外 で遊んで」と頼むマリアン。
外に出るジョーイ。
部屋を動き回りながら、
マリアン…「愚かな自尊心 だわ」と言い、椅子に腰掛けるマリアン。
「私はどうなってもいいの? ジョーイは?」と言うマリアン。
ジョー…「マリアン」と言い、
マリアンの前の椅子に腰掛け、

「お前とジョーイのために 行かなきゃならないんだ」と言うジョー。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー

ジョー…「しっぽを巻いてるおれを お前はどう思う」と言 い、
外の方に視線をやり、

ジョー…「ジョーイにだって どう説明するんだ」
と 言うジョー。
マ リアン…「OH ジョー
ジョーイ」と 悲しそうに首を横に振るマリアン。
外 で声に反応するジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー…「このところ よく考えてた」と言うジョー。
マリアン…「…」
ジョー…「おれは鈍いが 観 察力はあるつもりだ
夫を亡くしたって お前の身は心配ない
今よりずっと 大事にされるはずだ」と言うジョー。
顔を両手で覆って泣いているマリアン。
ジョー…「自分でも意外だが
今 はっきりさせたほうが
おれもすっきりする」と言うジョー。
顔を両手で覆ったまま、
マリアン…「私がそう望ん でると?」と言うマリアン。
「お前ほど気だてがよく 美しい女はいない
だからこそ お前に
認められたいんだ」と言うジョー。
顔を上げジョーを見るマリアン。
テー ブルをポンと叩き、
立ち上がりながら、

ジョー…「泣くのは早い」と言うジョー。
ホルスターをつけながら、
「おれだってタフなんだ 簡単に死なんぞ」と言うジョー。

Top

〜決着〜

外で馬に 鞍を置いているシェーン。
こ こに来たときのウエスタンウエアにホルスターをつけて。
シェー ンに気がついたジョーイ(ブ ランドン・デ・ウィルデ)が立 ち上がる。

背 筋を伸ばして家の方に向かってくるシェーン。
両 親に知らせに行き、
ジョー イ…「シェーンが銃を 出してきた」と 声高に言うジョーイ。
ジョー…「銃?」と 言うジョー。
戸 口を開け、出かけようとするジョーの前に立ちはだかるシェーン。
シェー ンに、
ジョー…「その格好は?」と 言うジョー。
立 ち上がってシェーンの傍に行き、
マ リアン…「夫を止めて 誰も行かないで」と 言うマリアン(ジー ン・アーサー)
ジョー に、
シェー ン…「おれが適任だ」と 言うシェーン。
「そうはいかん」と 言うジョー。
シェー ン…「ライカーとは五分
だが あんたに
ウィルソンは無理だ」と 言うシェーン。
ジョー…「わからんさ
お前の気持は くんでおく」と 言うジョー。
 男 の意地がぶつかり合う。
マ リアン…「二人とも正気じゃないわ 自分の命 よ
たかが小屋と土地に 懸けるって言うの?」と 二人に必死で言い、
「争い事は もうたくさん
ここを捨てましょう」と ジョーの傍により頼むマリアン。
「心にもないことを言うな 気に入ってたろう」と 言うジョー。
マ リアン…「もう嫌い」と 声を荒げるマリアン。
マ リアンを退け、
「それでも行く」と 言い、戸口に向かうジョー。
シェー ンに向かって、
マ リアン…「何か方法があるはずよ 考えて」と 言うマリアン。


『シェー ン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン

改めて、
シェーン…「行かせない」と言うシェーン。

ジョー…「止めても むだだ」と 言うジョー。
 男 として、夫として、父親として、開拓民たちのリーダーとして、ここは一歩も引けないのだ。
シェー ン…「止める」と 言うシェーン。
 マ リアンとジョーイのため、そして開拓を推し進めてゆくジョーはこれから必要とされる人材なのだ。
 みすみす死なせるわけにはいかないのだ。
「そこをどけ」と 声を荒げるジョー。
男と男の意地がぶつかり合い、緊張が走る。
こ れから起こることに息を呑むジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー…「力ずくが望みか」と言う ジョー。
緊 迫した状況に気が張り詰めているマリアン。

シェー ン…「あんたしだいだ」と 言うシェーン。
猛 獣のようにシェーンに飛び掛ってゆくジョー。
マ リアン…「ア〜〜〜!」
声 を張り上げるマリアン。
二 人の意地をかけた激しい殴り合いが始まる。
外 で殴り合いをしている二人を、心配して窓から見るマリアン。
ジョー イもマリアンに続く。
マ リアン…「NO」と 声を上げるマリアン。
“ヒヒヒィ〜ン”
繋 がれている馬の鳴き声がする。
 何 時もと違う騒動に動揺している。
別 の窓に移動して殴り合いを続けている二人を見るマリアン。
マ リアンに続くジョーイ。
“ヒヒヒィ〜ン”
繋 がれている馬が暴れる。
心 配して別の窓に移動するマリアン。
マ リアンに続くジョーイ。
“ヒヒヒィ〜ン”
繋 がれている馬が暴れる。
殴 り合う二人。
“ウーメェー”
牛 の鳴き声がする。
“ヒヒヒィ〜ン”
馬 の鳴き声がする。
戸 口に向かうマリアン。
“ヒヒヒィ〜ン”
馬 の鳴き声がする。
殴 り合いを続けている二人。
ジョー イも戸口に向かう。
激 しい物音がする。
戸 口で二人を見ていたマリアンが外に出る。
取っ 組み合いをしている二人。


『シェーン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・ デ・ウィルデ

マリアンに続いて外に出たジョーイが二人の激しい戦いを見て驚く。
マ リアン…「やめて!」と 声を張り上げるマリアン。
取っ 組み合いを続けている二人。
ど うしたらいいのかと頭を抱えるマリアン。
“ヒヒヒィ〜ン”
馬 の鳴き声がする。
殴 り合いを続ける二人。
“ウーメェー”
牛 の鳴き声がする。
ジョー のパンチにシェーンが跳ばされるのを見て驚くジョーイ。
“ウーメェー”
牛 の鳴き声がする。
“ワン ワン ワン”
犬 が吠え出す。
ざ わめく鶏。
鞍 を装着している馬の方に行き跨ろうとするジョー。
起 き上がってジョーを引き落とすシェーン。
吠え続ける犬。
執 拗な二人の戦いを悲しそうに見ているマリアン。
“ヒヒヒィ〜ン! ヒヒヒィ〜ン!”
繋がれている馬が暴れだす。
殴り合う二人。
“ヒヒヒィ〜ン! ヒヒヒィ〜ン!”
暴れる馬。
“ウーメェー”
鳴き声を上げる牛。
“ワン ワン ワン”
吠える犬。
“ヒヒヒィ〜ン! ヒヒヒィ〜ン!”
暴れる馬。
牛が柵を飛び越えようと暴れる。
心配して見ているマリアン。
激しく殴り合う二人。
“ヒヒヒィ〜ン! ヒヒヒィ〜ン!”
柵を飛び越える馬。
“ウォ〜ン!”
柵を飛び越える牛。
“ヒヒヒィ〜ン!”
暴れる馬。
どうすることも出来ずに悲しむマリアン。
 こ のような男の意気をかけた殴り合いを止める事は出来ないと解っているマリアン。
繋がれている犬も落ちつきなく後ずさりする。
“ヒヒヒィ〜ン!”
鳴き声を上げる馬。
 動 揺している動物たち。
二 人をしっかり見ているジョーイ。
ジョー を殴るシェーン。
再 び殴ろうとするシェーンの勢いを利用してパンチを浴びせるジョー。
倒 れるシェーン。
倒 れているシェーンを見て馬の方に向かおうとするジョー。
ジョー の足を掴み阻止するショーン。
倒 れるジョー。
しっ かり見ているジョーイ。
ジョーを殴るシェーン。
殴り返し猛獣のように体当たりするジョー。
殴ろうとしたシェーンがバランスを崩しぐらつく。
そのシェーンに向かって最後の力を振り絞って体当たりするジョー。
 こ のことだけは自分が解決しなければと思っているジョーの勢いが増す。
薙ぎ倒した木株のところに押し込まれるシェーン。
二人を見ているマリアンとジョーイ。
押し付けられているシェーンの手が拳錠を探る。
驚いて見ているジョーイ。
拳錠を手にしたシェーンがジョーの側頭部を拳錠で殴る。
 どうしてもジョーを行かせるわけにはいかないシェーンが止む無く阻止する。
ジョーが倒れる。
驚くジョーイ。
疲れ果てた表情でマリアンたちを見るシェーン。
二 人の殴り合いを泣いて見ていたマリアンが、


『シェー ン』ジーン・アーサー

ジョーに 駆け寄る。
ジョーの馬の鞍を外すシェーン。
シェーンを見ているジョーイ。

ジョー の馬の手綱を外し追い払うシェーン。
それを見ていたジョーイがシェーンに、
ジョー イ…「銃で殴るなんて
大嫌いだと 言う。
卑怯者みたいに言われ悲しそうな表情でジョーイを見て、


『シェー ン』アラン・ラッド

ジョーの様子を見に行くシェーン。
看病しているマリアンに、
シェーン…「すぐに気がつく」
と 言うシェーン。
ジョー イに、
マ リアン…「ジョーイ 水とタオルを」と 言うマリアン。
急 いで取りに行くジョーイ。
ジョー の拳銃を取ってマリアンに、
シェー ン…「これは隠して」と 言い、渡すシェーン。
拳 銃を受け取るマリアン。
シェー ン…「ライカーとの約束は忘れろ 誰も責めな いさ」


『シェー ン』アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー

と言い、立ち去ろうとするシェーン。
マリアン…「シェーン 待って」と 言い立ち上がり、拳銃を窓の奥に置きシェーンの傍に行くマリアン。

シェー ンに、
マ リアン…「戦いは捨てたはずよ」と 言うマリアン。
シェー ン…「気が変わった」と 答えるシェーン。
シェーンを見詰めて、
マ リアン…「私のため?」と 言うマリアン。
シェー ン…「君のため…
そして」と 言い、ジョーの方を見て、
「ジョーとジョーイのため」と 優しく答えるシェーン。
ジョー イが水を入れたバケツとタオルを持って来てジョーの傍に置く。
シェーンに、


『シェー ン』ジーン・アーサー、アラン・ラッド

マリア ン…「もう これきりなの?」と 寂しそうに言うマリアン。
優しく、


『シェー ン』アラン・ラッド

シェー ン…「いつか会える」と 言い、
ジョーの方をチラリ と見て、

「謝っていたと  ジョーに伝えてくれ」と言うシェーン。
マリアン…「必要ないわ」と答えるマリアン。
笑みを返し、
立ち去ろうとするシェーン。
シェーンに、
マ リアン…「お願いよ」
と 言うマリアン。
振り向くシェーン。
シェーンに近寄るマリアン。
ジョー を看ているジョーイが、
ジョー イ…「母さん」と 言う。
シェーンに手を差し出し握手を求めるマリアン。
 感謝と愛を込めて別れの握手だ。
握手するシェーン。
 二人にとって最大の愛の表 現だ。
堅く握手をしたまま、
マ リアン…「お願い」と 言い、
シェーンを見詰めて、

マ リアン…「自分を大切に」と 言うマリアン。
シェー ン…「…」


『シェー ン』アラン・ラッド

しっかりと手を握り締めたままマリアンを見つめているシェーン。
微笑むマリアン。
 シェーンとマリアン はもう二度と会えない、いや、会ってはいけないという思いを共有している。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ウィルデ、ジーン・アーサー、アラン・ラッド

手を離し 鞍をつけている馬の方に向かうシェーン。
シェーンを見送るマリアン。
ジョーイが、

ジョー イ…「母さん
父さんが気がついたよ」と 言う。
寂しそうな表情でシェーンを見送っていたマリアンが、
マ リアン…「ええ」と ジョーイに答えながらジョーの傍に行く。
 女 から母、妻に表情が変わって行く。
ジョーイが、
ジョー イ…「シェーンは…」と 言う。
マ リアン…「しかたなく殴ったの」と 言い、
馬に乗って柵の方へ向かうシェーンを見ながら、

「憎んではだめ」と 言うマリアン。
シェーンを見ながら、
ジョー イ…「わかってる」と 言うジョーイ。
馬 に乗ったシェーンが柵を開けている。
シェーンに向かって、
ジョー イ…「シェーン
ごめんなさい」と 言うジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー

マリア ン…「大声で」と 言うマリアン。
命を懸けて酒場へ向かう シェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェーンに謝ろうと後を追うジョーイ。
去って行くシェーンを見てい るマリアン。
 “ありがとう シェーン さよなら シェーン”と心の中で別れを告げている。
呆然と遠ざかるシェーンの方 を見るジョー。


『シェー ン』ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー

ジョー イ…「シェーン
シェーン ごめんな さい」と言いながらシェーンを追う ジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

繋がれて いた紐を引き離しジョーイを追う犬。


『シェー ン』

体重を鐙にかけて颯爽と酒場に向かうシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

シェーンを追うジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョーイを追う犬。


『シェー ン』

ジョーイに追いついた犬とシェーンを追うジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

 シェーンとジョーイと犬の繋がりを映像で見せながら、決闘の場へ観客も引き 込む上手い演出だ。

Top

〜決闘〜
 

酒場に着 き、戸口を開けテーブル席に座っているウィルソン(ジャック・ パランス)を見るシェーン。
シェー ンを見るウィルソン。


『シェー ン』ジャック・パランス

奥のテー ブルのライカー(エミール・メイヤー)を見るシェーン。
シェー ンを見るライカー。
シェー ンを見るカウンターのウィル。

シェー ンを見るカウンターの下で寝そべっている犬。
手 前のテーブルでカードをしている二人の男がシェーンを見る。
二 人の男に視線を向け、カウンターの方へスパーを“チャリ チャリ”と鳴らしな がらゆったりと向かうシェーン。
席 を立ち外に出て行くカードをしていた男。
出 て行く男を見るシェーン。
ウィ ルソンに視線を向けるシェーン。
テー ブルのコーヒーポットを横に移動させるウィルソン。
 射 つ用意を整えている。
 ウィルソンなりの儀式だ。
ス パーを“チャリ チャリ”と鳴らしながらカウンターに近づくシェーン。
寝 そべったままシェーンを見ている犬。
シェー ンを見ているカウンターのウィル。
カ ウンターに凭れてライカーを見るシェーン。
酒 場に辿り着き、戸口の下から中を覗き込むジョーイ(ブラン ドン・デ・ウィルデ)
ジョー イの直ぐ横で行動を共にする犬。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

カウン ターのシェーンからテーブルのウィルソンに視線を移すジョーイと犬。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

再び シェーンに視線を向けるジョーイ。
 緊張が走る。
奥 のテーブル席に座っているライカーに、

シェー ン…「話し合いに来た」と 言うシェーン。
ラ イカー…「お前は お呼びじゃない
スターレットは?」と 言うライカー。
身 を乗り出して聞いているジョーイ。
シェー ン…「おれが相手だ」と 言うシェーン。
ラ イカー…「話す気はない
忘れてやるから行け」と 言うライカー。
シェー ン…「話とは?」と 言うシェーン。
ラ イカー…「お前に話はない」と 言うライカー。
戸 口の下に屈んで中の様子を見ているジョーイ。
傍 にいる犬。
シェー ン…「残念だ」と 言うシェーン。
ラ イカー…「残念?」と 言うライカー。
シェー ン…「あんたの時代は もう終わってる」と 言うシェーン。
ラ イカー…「お前の時代もな ガンマン」と 言うライカー。
シェー ン…「おれは悟ってる」と 言うシェーン。
ラ イカー…「では みんなで
銃を捨て
土を耕そうじゃないか」と 言うライカー。
緊 張してシェーンからウィルソンに視線を走らせるジョーイ。
シェー ンを見ているウィルソン。
シェー ン…「まだ早い
そいつの始末は?」と 言い、ウィルソンに視線を向けるシェーン。
射 ち合いの前の儀式であるコーヒーを飲んでいたウィルソンが飲み終わったカップをテーブルに置き、
ウィ ルソン…「調子に乗るなよ」と 言い立ち上がる。
ス パーを“ジャラ ジャラ”と鳴らしながらテーブルから移動するウィルソン。
寝 そべっていた犬が頭を起こしてウィルソンを見る。
ス パーを“ジャラ ジャラ”と鳴らしながらテーブルの横に行くウィルソン。
起 き上がってカウンターから離れて行く犬。
カー ドをしていたもう一方の男が外に逃げ出す。
後 ずさりするウィル。
見 ているライカー。
両 足を広げシェーンと向かい合うウィルソン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ジャック・パランス

ウィルソ ン…「貴様とは 戦わん」と言い、黒い手袋を 填めた姿で構えているウィルソン。
 この挑発が一連の射つ用意の最終段階だ。
シェーン…「そうか ウィ ルソン」と言うシェーン。
ウィルソン…「そのとお り」と言うウィルソン。
 射つ用意が整った。
ライカー…「ウィルソンは 速いぞ」と言い、
バーテンダーのウィルに、

「ウィル 証人になれ」と言うライカー。
怯えてライカーを見るウィル。
ウィルソンに、
シェーン…「ジャック・ ウィルソンか」と言うシェーン。
ウィルソン…「だったら何 だ」と言うウィルソン。
シェーン…「うわさを聞い た」と言うシェーン。
ウィルソン…「どんな」と言うウィルソン。
テーブルの横に隠している拳銃にそうと手を伸ばしているライカー。
凭れていたカウンターから体を起こし、スパーを“チャリ チャリ”と 鳴らし前に進み出てウィルソンと向き合うシェーン。
冷笑してシェーンを見ているウィルソン。
構え、


『シェー ン』アラン・ラッド

シェー ン…「北部の 薄汚いホラ吹きだと」と言う シェーン。
緊張が走る。
シェー ンとウイルソンを見るジョーイと犬。

構えて薄笑いを浮かべるウィルソン。


『シェー ン』ジャック・パランス

笑い返し構えているシェーン。
構えて、
ウィルソン…「口だけか」と薄笑いを浮かべて挑発する ウィルソン。
緊張が走る。
銃を抜こうと拳銃に素早く手 を持って行くウィルソン。
目にもとまらない速さで拳銃 の銃声がほとんど同時に起こったが、一瞬早くシェーンの銃口からウィルソンへ弾丸が発射されていた。
“バババ〜ン!”


『シェー ン』アラン・ラッド

弾丸を浴びたウィルソンが、
“バババ〜ン!”と弾丸を発射させながら吹き 飛ばされる。


『シェー ン』ジャック・パランス

シェーンを撃とうとしているライカー。


『シェー ン』アラン・ラッド、エミール・メイヤー

身を翻しライカーを撃つシェーン。
“バババ〜ン!”
弾を浴び倒れるライカー。
吹き飛び激しく倒れるウィル ソン。
“ドドド〜ン! ドス ン!”
倒れた反動で傍に積まれてい た樽がウィルソンの上に被さるように倒れてきて激しい音をたてる。
階 上に隠れていたライカーの弟が、ライフル銃でシェーンを撃とうと手すりの方へ忍び寄る。
打 ち倒したライカーに近づくシェーン。

階 上の手すりからシェーンを狙うライカーの弟。
ラ イカーの死を確認するシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッドら

バーテン ダーのウィルの方を見るシェーン。
 正 当な戦いであったことを確認している。
 ガ ンマンにとって大切なことである。

正 当であったことを目でシェーンに伝えるウィル。
すさまじい決闘でウイルソンとライカーを射ち殺したシェーンが拳銃を“クル クル”と回しサックに戻す。
 西部劇ファンには堪らないシーンだ。
 カッコいい。


『シェー ン』アラン・ラッド

一部始終 見ていたジョーイが拳銃をサックに戻すシェーンを見てにっこりする。
 シェー ンが決闘に勝った喜びと、憧れの銃捌きを見れたから。
戸口に向かうシェーン。

シェー ンを手すりから狙っているライカーの弟。
階 上に目をやるジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

手すりか ら狙いを定めるライカーの弟。
気付いたジョーイが、
ジョーイ…「シェーン 危ない!」と大声で危険を知らせる。
ジョーイの声に反応し、さっ と身をひるがえしたシェーンが階上のライカーの弟を撃つ。
“バババ〜ン!”“バ ババ〜ン!”
弾丸を浴びたライカーの弟が 体を前にのめらせ階上から壊れた手すり共々酒場へ落ちてくる。
“ド〜ン!”
激しい物音がする。
見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

拳銃を サックに戻しながらライカーの弟を見ているシェーン。
シェーンを見ているウィル。
戸口に向かうシェーンの肩が 力なく垂れる。
 ライカーの弟の一弾 を浴びていたのだ。
嬉 しそうに見ていたジョーイが立ち上がって、戸口の横に隠れる。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

戸口まで 来たシェーンが振り返ってウィルソンを見る。


『シェー ン』ジャック・パランス

ライカーの弟とライカーを見るシェーン。
 結局、拳銃でしか解決できなかったのかと悲しそうに見ている。
戸口を開け外に出るシェーン。

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〜別れ〜

隠れてい たジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)が、
ジョーイ…「シェーン」と小声で呼び掛ける。

振 り返ってジョーイを見るシェーンは疲れ果てていた。
 精 神的、肉体的な傷がシェーンに覆い被さっていたのだろう。


『シェー ン』アラン・ラッド

ジョー イ…「信じてたよ シェーン
きっと勝つと信じて た」と言い、
「あのウィルソンだっ たの?」と聞くジョーイ。
 どうしても聞きたい ことだ。
シェーン…「そう ウィルソンだ
うわさどおりだった よ」と優しく答え、


『シェー ン』アラン・ラッド

酒場へ目をやり、
「確かに早撃ちだっ た」と言うシェーン。
知りたかった答えが返ってき て興奮しているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

シェー ン…「ジョーイ  なぜ来た」と言う シェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー イ…「謝りたくて」と言う ジョーイ。
首を横に振り、
シェーン…「謝る必要などないさ

もう お帰り」と 言うシェーン。
ジョー イ…「一緒に帰ろうよ」と 言うジョーイ。
繋いでいる馬に跨ぎながら、
シェー ン…「だめだ」と 言うシェーン。
シェーンに近寄り、
ジョー イ…「お願い」と 言うジョーイ。
馬に跨ぎ、
シェー ン…「行かなければ」と 言うシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー イ…「どうして」と 言うジョーイ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

シェー ン…「人は簡単に 変われない
型を破れないんだ
努力はしたがね」と言うシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

淋しさに包まれて涙が出できたジョーイが、


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー イ…「一緒にいて」と 言う。
シェーン…「人を撃った男に平安はない
もう戻れないんだ よ」と話すシェーン。
涙を浮かべてシェーンの話を 聞いているジョーイ。
シェーン…「殺人者の烙印は

一生 消えないんだ」と 話、
「お別れだ」と 辛そうに言うシェーン。
涙をいっぱい浮かべて聞いているジョーイ。
シェー ン…「帰ったら お母さんにー
“この地から銃は消えた 心配ない”
と伝えてくれ」と 言うシェーン。
 銃のない生活を願っていたマリアンへの返事だ。
頷き、
ジョー イ…「シェーン」と 言い、シェーンに触れるジョーイ。
手に付いた血を見て、
ジョー イ…「血が出てる ケガしたの」と 驚いて言うジョーイ。
ジョーイの頭に手をかけ、
優しく髪を触りながら、

シェー ン…「平気さ」と 言うシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

涙を浮かべてシェーンを見ているジョーイの髪を触りながら、
シェーン…「さあ 帰るんだ
強くまっすぐな男に なれ」と言い、髪を触っていた手に 力を込めるシェーン。
しっかり聞いているジョー イ。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

優しく髪を触りながらジョーイを見詰め、
シェーン…「お父さんとお母さんを 大切にしろ
ずっとだぞ」と言うシェーン。
シェーンの言うことをしっか り聞き、
シェーンをしっかり見て、

ジョー イ…「わかった」
と 答えるジョーイ。
“よし”と髪を触っている手に力を込めるシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド、ブランドン・デ・ウィルデ

馬の手綱を引き、この盆地へやって来たときのように、落ち着いた歩調で広々とした 平原の彼方へ進めるシェーン。
 あてのない旅に。
シェーンを見ていたジョーイ がポーチを走って追い、


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー イ…「あっという 間に やっつけたよね」と 言うジョーイ。
ジョーイを見て、
シェーン…「元気でな」と言うシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

ポーチに沿ってシェーンを追い、
ジョーイ…「抜かせもしなかったんだろ」と言うジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

平原の彼方へ馬を進めるシェーン。


『シェー ン』アラン・ラッド

ポーチに沿ってシェーンを追うジョーイ。
ジョーイと一緒に駆ける犬。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

納屋の端で遠ざかって行くシェーンを見るジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

ジョー イ…「父さんを手伝って
母さんも好きなん だって」とシェーンの後姿に呼び掛け るジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

ジョー イ…「本当だよ」と 言うジョーイ。
 前に同じようなこと を言った時は引き止めたいばかりに勝手に親を持ち出したから。
 ジョーイ少年の成長 を演出している。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

ジョー イ…「シェーン」と シェーンの後姿に呼び掛け るジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

去って行くシェーンの後姿を見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

小さくなって行くシェーンの後姿に向かって、
ジョー イ…「シェーン!
戻ってきて!」と呼ぶジョーイの声がこだま する。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド

戻ってこないことを感じて見ているジョーイ。


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ

かすんで見えなくなって行くシェーンに、
ジョーイ…「さよなら シェーン」と叫ぶジョーイの声がワイオ ミングの荒野にこだまする。
左手を垂らして去って行く シェーンが映し出される。


『シェー ン』アラン・ラッド

銃だけで解決させる時代が終わったと自覚しているシェーンが墓地を通って行く。


『シェー ン』アラン・ラッド


『シェー ン』アラン・ラッド

高鳴る♪遥かなる山の呼び声のメロディーに送られるようにシェーンは山の彼方に消 えてゆく。


『シェー ン』アラン・ラッド

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 銃だけで解決させる時代は終わったことを暗 示させるラストシーンにシェーン死亡説まで沸き起こり、ヒーローは死なないとするものと激論が繰り広げられ た伝説の作品である。
 『交渉人』(1998)の 中では議論するシーンを入れているほどだ。
 それほど人々に愛されている作品だ。
  自らの命を、一つの家族のために投げ出し、己を語らず、そっと去って行くガンマンの哀しき宿命。

 ヒーロー、シェーンはジョーイ少年の心の中で生き続けることは確かだ。
 私の心の中でも。

  原作の 結びはこうであった。
 「彼は開けゆく大西部の魂から抜 け出して、ぼくたちの小さな盆地に馬を乗り 入れ、その務めを果たしたとき、ふたたびもと来たところへ戻っていった男であった。そして、それが シェーンなのだった」

 映画史上に残る名ラスト シーン「シェーン! カムバック!」と共に作品は生き続ける。

 巨匠ジョージ・スティーヴン スの巧みな演出は、それぞれの心の中にシェーンをカムバックさせていることだ。

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〜写真〜


『シェー ン』ブランドン・デ・ウィルデ、アラン・ラッド


(1992.5.31) [1972.9.30]ジャック・シェーファー著「シェー ン」清水俊二訳  早川書房 表紙
アラン・ラッド、ブランドン・ デ・ウィルデ

※「シェーン」はUPの記者や“ニュー・ヘ ブン・ジャーナル=クリヤー”“ボルティモア・サン”の記者をしていた新聞記者出身のジャック・ シェーファーが1949年に発表した西部小説で処女作だそうだ。
アメリカ西部の歴史に興味 を抱い て、調べてゆくうちに、アメリカ国民の性格が形作られたのは西部においてであると確信を持つようなったジャッ ク・シェーファーは、「私が書こうと していることは、アメリカがかってどんなタイプの人間を持っていたかということである。そして、私がそ ういう人間について書くのは、私たちはいつでも、もういちどそういう人間になれると確信しているからで ある」と記していたとい う。
シェーファーがかって、 バージニア州に持っていた農場のことを“シェーンウェイ”と呼んでいたそうだ。
あとがきに“シェーン”は ここから生まれたのではと結んであったが納得である。(1982[1972] ジャッ ク・シェーファー著「シェーン」清水俊二訳  早川書房 あとがき 参考)
※アラン・ラッドの一世一 代の当たり役で0.6秒の拳銃早抜きも話題になったそうだ。
※ブランドン・デ・ウィル デは俳優として活躍していたが1972年(30才)に交通事故死 した。
※ジーン・アーサーは久し 振りにハリウッドへ行き出演した作品であった。
※悪役ジャック・パランス の出世作である。
※冒頭でジョーイがシェー ンを見るシーンに白いバスが映ってしまっているのも話題になった。
※私がこの作品を初めて観 たのは 思春期にTV放映で、当時のオープンリール方式のカセットテープレコーダーに録音して何度も聞いていた。
思いが強い作品だ。

字幕:池 村正志日本語字幕『シェーン』NHKBS2放送 参考

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1997

ア メリカ映画ベスト100で69位

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2007

ア メリカ映画ベスト100 10周年版で45位

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