嘆きの天使

記号[☆：スタッフ・キャスト　→： 始めに]

　マ レーネは“100万ドルの脚線美”と称された脚線美を見せて"Falling in Love again"と 気だるく歌った官能的な歌声と、退廃的な魅力で世界中の観客を悩殺した。
こ の作品は大きなセンセーションを巻き起こし、マ レーネの名を知らしめた。
ス タンバーグはエミール・ヤニングス(ラー ト教授)の 役の如くマレーネを愛し、マ レーネは信頼する監督の作品を芸術的に高める演技を見せ監督の愛に応えた。
ス タンバーグとマ レーネという熱烈なコンビが誕生した記念碑的作品だ。

　『嘆きの天使』の大成功がドイツ映画の本格的なトーキー化を決定づけただけで な く、トーキーそのものを“芸術的に高めた”という。(1990.4.15朝日新聞「よみがえる世界のスター」山田宏一著　参考)

　主役は国際的 名声を勝ち得ていたドイツの俳優エミール・ヤニングスで、マレーネは肉感 的魅力でヤニングス演じる老教授を虜にする酒場の踊り子を見事に演じた。

『嘆 きの天使』よ り
♪私は頭のてっぺんから
足の爪先まで恋の塊
それだけが私の世界
ただ　そればかり
自然に従うために
どうしよう
私に　できることは
ただ恋することだけ(NHKhi 2010.12.1放送「永遠のヒロイン　その愛と素顔　〜お母さん　わたしを許せますか　マレーネ・ ディートリッヒ〜」より　抜粋)

この映画への出演が彼女の人生を大きく変えることになる。

『嘆 きの天使』よ り
ロー ラ…「何も言わなくて 結構よ」
「私を気に入った？」
ロー ラ…「ねえ　教授
絵葉書を持ってる？
先生って素敵よ」
ひっ くり返したシュガレットケースから飛び散った煙草を、這いつくばって拾い集めた教授の乱れた薄い髪を櫛で整 えてやり、
ロー ラ…「動かないで！
先生は文句なしにハンサムよ」(NHKhi 2010.12.1放送「永遠のヒロイン　その愛と素顔　〜お母さん　わたしを許せますか　マレーネ・ ディートリッヒ〜」より　抜粋)
と からかう。

喜 ぶラート教授(エミール・ヤニングス)。
教 授に持たせていた白粉を悪戯っぽく見て、教授に向かって吹き掛ける。
ラー ト教授…“ゴホ　ゴホ ン　ゴホン　ゴホン　ゴ ホン…”
咽 るラート教授を見て笑うローラ。

ピエロの扮装のラート教授(エミール・ヤニン グス)に、
ロー ラ…「はるばる来たの よ
出ないって？
出なさい！」(NHKhi 2010.12.1放送「永遠のヒロイン　その愛と素顔　〜お母さん　わたしを許せますか　マレーネ・ ディートリッヒ〜」より　抜粋)
と 声を荒げ命令するローラ。

退廃的でエロティックな気分に満ちたこの映画は、観客に喝采を持って迎えられた。
マ レーネを抜擢したのは監督ジョセフ・フォン・スタンバーグは、ユダヤ系オーストリア人だがハリ ウッドで新しい才能として注目を集めていたという。
ス タンバーグはマ レーネの可能性を見抜き、ハリウッド行きを強く勧めた。
躊 躇するマ ネーネの背中を押したのは、夫ルドルフ・ジーバーだったそうだ。(NHKhi 2010.12.1放送「永遠のヒロイン　その愛と素顔　〜お母さん　わたしを許せますか　マレーネ・ ディートリッヒ〜」より)
3 月31日、ベルリンの中心部にある劇場フロリア・カラストで『嘆きの天使』の特別上映会が開 かれ、その夜、マ レーネはハリウッドに向かうため汽車に飛び乗った。
ス タンバーグの売込みが成功し、大手の映画会社パラマントと契約することになったのだ。
ア メリカに向かう船上のマ レーネと、夫ルドルフとの間で互いを気遣う電報が交わされたという。
“パパ　出発したばかりなのに
もう　会いたい
お前のことばかり考えていると　可愛い娘マリアにも伝えて
おやすみの　キスを”
“ママ　君がいなくて寂しいよ
批評家たちは　君を崇めている
「主演のヤニングスもいいが
これは　もう　マレーネ・ディートリッヒの映画だったって」
君の娘マリアは　元気だよ
キスを　送る”
“帝国N新報の記事だよ
「ディートリッヒの演技は驚きだ
どんなシーンも　完全に自分のものにしている
こんな才能は　見たことがない」だって
ママ　おめでとう
ヤニングスは　絶望に打ち拉がれているそうだ
キスを　送る”(NHKhi 2010.12.1放送「永遠のヒロイン　その愛と素顔　〜お母さん　わたしを許せますか　マレーネ・ ディートリッヒ〜」より)

…パラマウントにジョセフ・フォン・スタン バーグ監督と共に招かれて渡米し契約する。