ヒッ チコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-

-Dip in the Pool-
         
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストーリーの結末を載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承 下さ い。

  〜船旅〜〜エミリー〜〜レ ンショー〜〜探り〜〜プール〜〜翌朝〜〜快走〜〜名案〜〜目 撃者?〜〜精神異常〜  

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1958.6.1)(米) (CBS)(TV映画)-Dip in the Pool-
監督…ア ルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)
制作…ア ルフレッド・ヒッチコック/ジョーン・ハリソン(Joan Harrison)
原作…ロアルド・ダールの短編小説 『海の中へ』
脚本…ロバート・C・デニス(Robert C. Dennis)
撮影…ジョン・F・ウォーレン(John F. Warren)

出演…キーナン・ウィン(ボネヴィル)Keenan Wynn/フェイ・レイ(レンショー夫人)Fay Wray/フィリップ・ボーヌフ(レンショー/紳士)Philip Bourneuf/ルイーズ・プラット(ボネ ヴィル夫人)Louise Platt/リーン・ラング(エミリー)Doreen Lang/ラルフ・クラン トン(Ralph Clanton)/ドリス・ロイド(Dris Lloyd)/Ashley Cowan/オーウェン・カニンガム(Owen Cunningham)/バリー・ハーベイ(Barry Harvey)
ス トーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック

 成り上がり者のボネヴィルは、妻と ヨーロッパ旅行するが、観光はそっちのけで趣味の賭け事ばかり考えている。

〜船旅〜
ボネヴィル夫妻はヨーロッパの船旅に出た。


『賭』

客室で夕食の着替えをしているボネヴィル。
観光ガイドを化粧しながら読んでいるボネヴィル夫人。

ボネヴィル夫人…
「”フィレンツェは ま さに美術品の宝庫である シニョーリア広場の 傍らにたたずむー”

『賭』ルイーズ・ プラット(ボネヴィル夫人)キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
”ウフィツィ美術館 には ボッティチェリや ダ・ヴィンチの傑作が並ぶ広場に隣接する  ヴェッキオ宮殿は…”」
振り返って、

ボネヴィル…「何だって」と聞き返すボネヴィル
夫人…
「ヴェッキオ宮殿よ ”美しい建築として名高い”」と 言い、読み続ける夫人。
観光に全く興味がなく、
ボネヴィル…「あちこち建 てたもんだ」と言うボネヴィル
品格のない夫に、
夫人…「人前では そういうこ と…」と注意する夫 人。
外を指差し、


『賭』ルイーズ・プラット(ボ ネヴィル夫人)、キーナン・ウィン(ボネヴィル)
ボネヴィル…「ヨーロッパの連中 には 言わんさ こっちはこっちで 楽しくやると言うボネヴィル
 趣味の賭け事をするということ。
夫人…「でしょうね  フランス旅行の時は カジノや酒場でお楽しみ」と吐き捨て るように言う夫人。
開き直って、
ボネヴィル…「それがどう した」と言うボネヴィル
夫人…「いつだっ てー 一週間で有り金をすって ホテルにカン ヅメ 今度はいやよ 私がもらった遺産なんだから」と言う夫 人。
 賭け事ばかりしている夫にうんざりしている。
ボネヴィル…「文化に4千 ドル払っても 一文にもならん 車を買うほうがましだ」と、 むきになって言うボネヴィル
 成り上がり者らしい言い分だ。
を指して、
夫人…「あなたは いつもそう 実用性がなければ 価値がない のね」と、とがめる夫人。
苛立って、
ボネヴィル…「いい加減に しろ 酒が来た」と言い、
ノックされたドアの方に向かって、
「入って」と言うボネ ヴィル。
接客係が
接客係…「酔い止めもお持ちしました」と 言って入ってくる。
ボネヴィル…「マティーニ は辛口に?」と言い、受け取るボネヴィル
接客係…「いたしました」と言う 接客係。
ボネヴィル…「チップだ」と言い渡すボネヴィル
夫人…「いくらあげ たの?」と聞く夫人。
ボネヴィル…「1ドル」と 答えるボネヴィル
夫人…「多すぎるわ  見栄を張らないで 下船の時だけでいいのに」と教える夫 人。
 見栄っ張りな夫に。
ボネヴィル…「チップで 食ってる連中だ」と偉そうに言うボネヴィル
夫人…「やめてちょ うだい 滞在費は 1500ドルしかないのよ アッ シジに行くには 節約しないと」と、うんざりして言う夫人。
ボネヴィル…「アッシジは やめだ フィレンツェとローマ それにピサで十分だ」と言うボネヴィル
夫人…頼 むから 興味がなくて も我慢してよと 言う夫人。
 折角、ヨーロッパ旅行に来たのだから。
酔い止めを飲む
ボネヴィル
 船旅に慣れていない。
マティーニが入ったグラスを掲げ、わざとらしく夫人の目の前に持って来て、
ボネヴィル…「酒を払い戻したらどうだ」と皮肉を言い、

『掛』ルイーズ・プラット(ボ ネヴィル夫人)、キーナン・ウィン(ボネヴィル)
夫人の前に置き船室を出てゆくボネヴィル
呆れて見ている夫人。
 
”何て人なの”と。
〜エミリー〜
通路で乗客のエミリーとぶつかる
ボネヴィル

『賭』リーン・ラング(エミリー)、キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
エミリー…「ご めんなさい 足元がふらついて」と言うエミリー。
ボ ネヴィル…「船旅の いいところです 危険に満ちている」と紳士気取りで言い、 立ち去るボネヴィル
後から来た付き人に、
エミリー…「親切な方とお話を」と 言うエミリー。
周りを見渡して、
付き人…「どの人?」と言う 付き人。
エミリー…「もう行ったわ」と 言うエミリー。
付き人…
「夕食の着替えを」と言い、エミリーを連れてゆく付き人。
〜レンショー〜
ダイニングルームで知り合いを探すボネヴィル。

『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)ら
船中で出会ったレンショーを見つけ、
ボネヴィル…
「レンショーさん」と 言い近寄るボネヴィル。
レン ショー…「ボ ネヴィルか どうぞ座って…」と言うレンショー。
 歓迎していない。
場の空気が読めないボネヴィルはドッカと座り、周りを見回す。
迷惑そうなレンショーは、
レンショー…「妻 はまだ着替えを」と言い、場をつなぐ。

『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィル)、フィリップ・ボーヌフ(レンショー)
ボネヴィル…「うちのも」と 言うボネヴィル。
レンショー…「マティーニでもどうだ」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「いいですね おごりますよ」と 言うボネヴィル。
 カッコつけたいボネヴィルは、チャンスとばかりにしゃしゃり出る。
「マティーニを2つ 辛口で」
と、 ウェイターに声を上げ注文するボネヴィル。
不快な表情になるレンショー。
空気が読めないボネヴィルは得意顔になっている。
ボネヴィル…「旅行の計画は?」と 聞くボネヴィル。
手持ちぶさそうにして、
レンショー…「特にないが 観光地は避けるつもりだ」と言うレンショー。
ボネヴィル…「文化 文化と うるさいですからね」と 言うボネヴィル。
 妻に注意されていたことはそっちのけで、教養のなさをさらけ出す
嘲笑し、
レンショー…「海外旅行は?」と 聞くレイショー。
ボネヴィル…「初めてです 飛行機より遅いが快適 だ」と言うボ ネヴィル。
マティーニを持って来たウェイターに、
ボネヴィル…「い くら? 釣りはチップに」と財布を内ポケットから取り出して言うボネヴィ ル。
呆れて見ているレンショー。
 ”田舎者が”と思いながら。


『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)、フィリップ・ボーヌフ(レンショー)ら
ボネヴィル…で は… 」
ウェイターが置いたマティーニを取ろうとしてひっくり返すボネヴィル。
  慣 れていないので。

「おっと失礼

『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)、フィリップ・ボーヌフ(レンショー)
”こちらも零されては”と、 グラスをサッと手に取るレンショー。
レンショー…「今夜は海が荒れるそうだ 船酔いしな いといいが」と話すレンショー。
ボネヴィル「平気です 地元の海で鍛えられてる」と 言うボネヴィル。
 先ほど酔い止めを飲んでいたが虚勢を張っている。
レンショー…「ではヨットを?」と 聞くレンショー。
ボネヴィル…「週末だけですがね」と 言うボネヴィル。
 ヨットレースと取り違えている。
ボネヴィル…「お代わりは?」と 言うボネヴィル。
レンショー…「夕食前は 1杯と決めてる 食後のブランデーはどうだ
あとでプールに来てくれ そこで飲もう…」
と言うレンショー。

『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
なんのことだろうと、
ボネヴィル…「プール?」と 聞くボネヴィル。
レンショー…「賭博場のことだよ」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「…」
苦笑いする。
レンショー…「知らないんだったな 教えよう
毎日 船長は一日分の 航行距離予測を出す それをもとに船客が 競りで 距離を賭けるんだ
1割は寄付される」
と話すレンショー。
賭博の話に、
ボネヴィル…「面白そうだ 選択肢はいく つ?」と興味を示すボネヴィル。
レンショー…「20だ 船長の予測から上下 10 ほかに高低ナンバーがある」と 説明するレンショー。
ボネヴィル…「それは?」と 聞くボネヴィル。
レンショー…「低ナンバーは 選択肢の範囲 よりも下 高ナンバーは上だ 参加するかね」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「いくらで競り落とせます?」と 聞くボネヴィル。
レンショー…「場合による わずか100ポンドの時 もあった」と話すレンショー。
ボネヴィル…「300ドルも?」と 気持ちが乗ってくるボネヴィル。
レンショー…「だが7千ドル稼げると 思えば安い」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「7千ドル… あなたも参加を?」と 繰り返すボネヴィル。
 完全に嵌まり込んでいるボネヴィル。
レンショー…「いや 賭け事は苦手だ」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「でも株をやるんでしょう」と 言うボネヴィル。
レンショー…「あれはまた別だ 知識を仕入れて 安 全な株に投資する 詳細な報告書を読んでね」と 言うレンショー。
嬉しそうに、
ボネヴィル…「インサイダー情報?」と 言うボネヴィル。
レンショー…「まあね  船の賭けとは違う 妻が来た  ボネヴィル君だ」と言い、立ち上がって夫人にボネヴィルを紹介するレン ショー。
挨拶を交わすレンショー夫人とボネヴィル。


『賭』キーナ ン・ ウィン(ボネヴィル)、フェイ・レイ(レン ショー夫人)、フィリップ・ボーヌフ(レンショー)
夕食に向かいながら話すレンショー夫妻。
レンショー夫人…「な ぜ彼と付き合うの」と言う夫人。
レンショー…「悪 いやつじゃない」と言うレンショー。
夫人…「品のない人」と言う夫人。

『賭』
フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、フェイ・レ イ(レン ショー夫人)
レンショー…「そうだが 茶飲み話 くらいは できる」と言うレンショー。
夫人…「奥 さんがお気の毒だわ いい方なのに
あの格子縞の上着を見てよ 三流の司会者み たい」
と言う夫人。
レンショー…「確 かにそうだが面白い男だ
賭博場で会おうと言うと ”プール?”とき た 泳ぐと思ったらしい
と話すレンショー。
冷笑しながら夕食に向かうレンショー夫妻。

Top
〜探り〜
マティーニを飲 んでいるボネヴィル。
厳しい表情で近づいてきたボネヴィル夫人に、


『賭』キーナン・ウィン(ボネ ヴィル)、ルイーズ・プラット(ボネヴィル夫人)
ボネヴィル…「レンショーのおごりだ」と嘘を言い、その場を繕うボネヴィル
ボネヴィル夫 人…「いいのよ 食事をしましょう」と 言う
 嘘だという事は分かっている。

海が荒れて来ている。


『賭』
夕食時、船長の動向に探 りを入れるボネヴィル。
上級乗組員パーサー の隣に座り込み、
ボネヴィル…
「パーサー」

『賭』キーナ ン・ウィン(ボ ネヴィル)ら
と声かけるボネヴィル。
パーサー…「何です」と言うパー サー。
ボネヴィル「船 長はもう航海距離予測を 出したのかな」と聞くボネヴィル。
パーサー…「え え おそらく」と言うパーサー。
率直に、
ボネヴィル…「い つごろ?」と聞く。
驚き、
パーサー…「午 後です」とそっけなく答えるパーサー。
 探りを入れられていることが不快でたまらない。
ボネヴィル…「天気が崩れる前?」と踏 み込んで聞くボネヴィル。
パーサー…「そ うです 4時ごろに」と言うパーサー。
ボネヴィル…「荒 れてきたのは6時だったね」と言うボネヴィル。
パーサー…「そ うです」と不快な表情 を浮かべるパーサー。

『賭』キーナ ン・ ウィン(ボネヴィル)ら
構わず話し続けるボネヴィル。
ボネヴィル…「教えてくれ 船長は今夜が荒天だと 知っていた?」と言うボネヴィル。
 賭けのことしか頭にないので不躾な質問をしていると 思っていない。
探ろうとしているボネヴィルに呆れ果て、
パーサー…「さあ どうでしょう こうなんです
船長と航海士が話し合って 天気を調べ 航海距離予測を立てます」
と 言い、かわして話すパーサー。
ボネヴィル…「だ が一晩中 海が荒れれば 低ナンバーかもしれない 違うか?」と 言うボネヴィル。
”そうだったのか プールをしようとしているのか”と気づき、
パーサー…「そうですね 暴風雨なら 船長も予想外でしょう」と 答えるパーサー。
賭けに勝つことしか頭にないので、
ボネヴィル…「き みだったらー どの距離に賭ける?」と聞くボネヴィル。
呆れ果てて、
パーサー…「わ かりません まだ予測値を知らないので 競りの直前に 発表されるんです」と 答え、他の人に話し掛けて話題を変えようとするパーサー。
間が持たなくなったボネヴィルが、向かいの席で同席した紳士と文化の話題で会話を楽しんでいるボネヴィ ル夫人を見る。


『賭』ルイーズ・プラット(ボ ネヴィル夫人)ら
その話 題に入れないし、入りたいとも思わないので、つまらなそうに席を立つボネヴィル。
 ”一文にもならない話しばかりして”と思っている。
デッキに出て、
ボネヴィル…「嵐で船足が落ちてるかな?」通りがかりの下級乗組員に尋ねるボ ネヴィル。
乗組員…「そりゃもう  でなきゃ客がみんな 海に落っこちますよ」と答える乗組員
これで確信を得た気分になるボネヴィル。

〜プール〜
ボ ネヴィル…「競りに参加 するつもりです」とレンショーに言うボネヴィル。、
レンショー…「だと思ったよ」と言 うレンショー。
ボネヴィル…「なぜ?」と聞くボネヴィ ル。
レンショー…「顔に書いてある ギャンブラーの目だ」と答えるレンショー。
ボネヴィル…「7千ド ルですよ」と言うボネヴィル。。
レン ショー…「私なら安全圏でいく」と 話すレンショー。
ボネヴィ ル…
「ま たはズルい手を使う?」と 言うボネヴィル。
顔を顰めるレンショー。

競りが始まる。
気持ちが高鳴るボネヴィルと冷静に楽しむレンショー。


『賭』フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
進行係…「皆さん  明日の正午までの 航行距 離予測が出ました 515マイルです
上下10マイルずつを足して 選択範囲とします
つまり505から525です その範囲外と思われる方は 高低ナンバーにどうぞ では始め ます」
と話す進行係。
ボネヴィル…「515か 以前も乗船されてましたね この予測は どうです」とレンショーに言うボネヴィル。
レンショー…
「平均的な値だと思うが」と 言うレンショー。
進行係…「515の方?」
ボ ネヴィル…「いつもより低くはない?」と レンショーに聞くボネヴィル。
レン ショー…
「あ あ」と答え、

『賭』
フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、キーナン・ウィン(ボネヴィル)
「八百長はし てないだろう?」と聞くレンショー。
ボネヴィル…「八百長ではないが パーサーと同席した」と 言うボネヴィル。
レンショー…「彼 は何と?」と聞くレンショー。
ボネヴィル…「知らないと言ってたが
船長は4時ごろ 予測を立てたと 天気が崩れる前だ」
と話すボネヴィル。
レンショー…「で は低い数に?」と聞くレンショー。
ボネヴィル…「もっ と下です このまま嵐が続けば 低ナンバーだ」と言い、ニヤリとするボネヴィル。

『賭』
フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、キーナン・ウィン(ボネヴィル)
レンショー…「それは冒険だな 止めはしない どこに賭けるも きみ の自由だ」と言うレンショー。
進行係…「次は505です 505の方は?」
参加者A…「150ポンド」
参加者 B…「160ポンド」
ボネヴィル…「高値ですね」と言う ボネヴィル。
レンショー…「皆  悪天候を気にしてる」と言うレンショー。
進行係…「200 ほかには?」
ボネヴィル…「上限はいくら?」とレン ショーに聞くボネヴィル。
レンショー…「そ うだな 250か 300ポンドかも」と答えるレンショー。
ボネヴィル…「900 ドル? それは無理だ 手持ちの現金がない」と言うボネヴィ ル。
レンショー…「小 切手でもいい」と言うレンショー。
ボネヴィル…「小 切手ね」と考え込むボネヴィル。
進行係…「次は低ナンバーです ご存知のように 低ナンバーは
選択範囲の最低値より 低い数ー つまり505未満の すべての値です
では低ナンバーの方?」
参加者 C…「90ポ ンド」
レン ショーに、

ボネヴィル…
「安値だ」とホッとして言うボネヴィル。
レンショー…「まだわ からん」と 言うレンショー。
進 行係…「90からで す」
参加者D…「100」
参加者E…「175」
進行係…「175ポンドです ほかの方?」
参加者 F…「200 ポンド」
進行係…「250ポンドです いかがです か? ほかの方?」
周 りを見回し、思い切って、
ボネヴィ ル…「260」と 言うボネヴィル。

『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
参加者G…「270」
参加者 H…「280」
ボネヴィル…「300」
参加者H…「325」
ボネヴィル…「350」

『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
進行係…「350ポンドです ほかはござい ますか? 350ポンドです ほかの方?」
緊張して周り を見回すボネヴィル。
進行係…「落札です」

『賭』キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
呆然としてい るボネヴィルに、
レンショー…「おめでとう」と握手するレンショー。

『賭』フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
ボネヴィル…「ど うも 350ポンド…」と言い、我に返るボネヴィル。
レンショー…「980 ドルだ ふだんより高かったな 当たれば1万ドルだ」と言う レンショー。
ボネヴィル…「1 万? そんなに? それはすごい 小切手を切ろう」と言うボネヴィル。
 ”プール”初参加のボネヴィルは競りに乗せられたように落札したので、 金額がよく分かっていなかった。

Top
〜翌朝〜
ボネヴィルが眩しそうに、


『賭』キーナン・ウィン(ボネ ヴィル)、ルイーズ・プラット(ボネヴィル夫人)
ボネヴィル…「すまんが 明 かりを消してくれ」とボネヴィル夫人に言う。
ボネヴィル夫人…「明かりじゃないわ もう朝よ」と言う夫人。
驚いて目が覚めるボネヴィル。

夫人…「パリの日程を考え直したの ルーヴル を 早めに切り上げれば 一晩予定があくわ」と話す夫人。
船室から外を見るボネヴィル。

『賭』キーナ ン・ウィン(ボネ ヴィル)
外は快晴だ。
”海は
凪いでる”

『賭』
落胆するボネヴィル。
”どうしよう 大変なことになった”
夫人…
「楽 しみたいでしょ 多少のお金なら 遣っていいわよ」と言う夫人。

『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)
夫人の元にいき、
ボネヴィル…「いずれわかることだから  話しておこう」と 言うボネヴィル。
様子が可笑しい夫を見ている夫人。
ボネヴィル…「つ いてなかった」と言うボネヴィル。

『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィル)、ルイーズ・プラット(ボ ネヴィル夫人)
身を起こして、
夫人…
「また賭けを したのね 大切な旅費で」と言う夫人。
ボネヴィル…「い けると思った 当たれば豪遊しても 釣りがくる金だ  でも だめだった」と 目頭を抑え弁明するボネヴィル。
夫人…「アッシジを 諦めれば 50ドル浮くわ どう?」と夫を覗き見て言う夫人。
天井を仰ぎ、
ボネヴィル…「そ れじゃ足りん」と言うボネヴィル。
夫人…「困ったわね  顔色が悪いわよ」と言う夫人。
ボネヴィル…「船 酔いだ」と言いながらベッドに横になるボネヴィル。
それを見て、
夫人…「おかしな人 ね 昨夜のひどい揺れは 平気だったのに  海が凪いだら酔うなんて」と 笑う夫人。
手振りして、
ボネヴィル…「放っ といてくれ」と言うボ ネヴィル。
 それはそうだ、大博打に負けが濃厚になったのだから。気分 が悪くなるだろう。


『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)、ルイーズ・プラット (ボネヴィル夫人)
 
Top
〜快走〜
快走しているクルーズ船。

『賭』

航行距離が気が気でないボネヴィルが デッキで見ている。

『賭』キーナン・ウィン (ボネ ヴィル)
通りがかったパーカーが、
パーカー…
快晴ですね  ボネヴィルさん」と、にこやかに話し掛ける。
ボ ネ ヴィル…「嵐 が嘘のようだ 風がやんだのは?」と聞くボネヴィ ル。

パーカー…「朝の4時です」と 答えるパーカー。
ボネヴィル…「今は飛ばしてるね」と 言うボネヴィル。
パーカー…「遅れた分を取り戻 さないと いけませんので」
『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)ら
と念を押すよ うに言い、立ち去るパーカー。
 ヒッチコックが面白がってい るのが見えるようだ。
止めを刺され、呆然とするボネヴィル。
”ガァ〜ン”

寛いでいるレンショーと心境穏やかではないボネヴィル。


『賭』フィリップ・ボーヌフ(レンショー)、キーナン・ ウィン(ボネヴィル)
”プール”に誘った手前、 気まずいレンショーが、
レンショー…「低ナンバーはどうだね」と話し掛ける。
ボネヴィル…「負 け確実です」と言うボネヴィル。
レンショー…「わ からんぞ 昨夜の嵐でかなり遅れた」と言うレン ショー。
ボネヴィル…「今 は快走してる こうなっては 全速力で バックでもしないとだめです」と 言う。
レンショー…「船 長を買収して 頼んでみたら?」と言うレン ショー。
気まずい空気が流れる。
「すまない 下手な冗談だ 有り金 をはたいたのだったな」と言うレンショー。
ボネヴィル…「ひ どい気分だ 株の大損と同じです」と言うボネヴィ ル。
レンショー…「私 にも経験がある」と言うレンショー。
ボネヴィル…「こ んな時どうすれば?」と聞くボネヴィル。
レンショー…「諦 めるしかないよ 私だって昨夜は いい線だと思った」と 言うレンショー。
ボネヴィル…「奥 さんには何と?」と聞くボネヴィル。
レンショー…「大 損したことは隠した」と言うレンショー。
ボネヴィル…「私 は隠せない 次の船で とんぼ返りするしか…」と 言うボネヴィル。
レンショー…「そ うか それは気の毒に あと3時間ある 何か起こるかもしれん」と 言うレンショー。
身を乗り出して、
ボネヴィル…「例 えば?」
藁にも縋る思いで聞 くボネヴィル。
レンショー…「エ ンジンが故障したり また天気が崩れるかも 失礼するよ」と 言い、立ち去るレンショー。
ボネヴィル…
「どうも」と言い、
呆然とレンショーを見送りながら、
「船から飛び降りてー ケリをつけ るか」と、ふと 口から飛び出す。
待てよ、
”でも泳ぎは得意だから 溺れない 助けが来るまで 浮いてい られる”
と言う考えが浮かぶボネヴィル。
名案が浮かんだ!”


『賭』
キーナ ン・ウィン(ボネ ヴィル)
乗り気になるボネヴィル。
ボネヴィル…
”船を停め 救命ボートで  往復しなきゃならん 1時間は足止めを食う それで30マイルは減る
低ナンバー確実だぞ”
と 思いが膨らみ笑いが込みあげてくるボネヴィル。

『賭』キーナン・ウィン (ボネ ヴィル)
Top
〜名案〜
思い立った案を実行に移すボネヴィル。
ボネヴィル…
”目撃者を作らないと 運まかせは危険だ”

『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)
”目と耳がよくて 騒ぎたてる女性がいい 悲鳴 を上げさせるんだ”と構想を練るボネヴィル。
〜目撃者? 〜
目撃者に適した女性を探すボネヴィル。
デッキで海を眺めているエミリー。
エミリーの傍に行き、声を掛けるボネヴィル。
ボネヴィル…「こんにちは」
振り向いて、
エミリー…「あ なただったの」と言う エミリー。

『賭』キーナン・ウィン(ボネ ヴィル)、リーン・ラング(エミリー)
ボネヴィル…「前にお会いしましたっけ?」と 言うボネヴィル。
 ぶつかった女性だと覚えていない。何か面白い賭け話がないかと思いながら人を探していたな ので。
エミリー…「昨 夜 ぶつかって…と言うエミリー。
ボネヴィル…「そ うでした 驚いた 一瞬 超能力者かと」と言うボネヴィル。
エミリー…「な ぜ?」と聞くエミリー。
ボネヴィル…「私 がいるのを知ってたように ”あなただったの”と  なぜ わかったんです」と 言うボネヴィル。
エミリー…「足 音が」と言うエミリー。
ボネヴィル…「テ ニスシューズで?」と足を上げてシューズを見せるボネヴィル。
エミリー…「耳 はいいの」と言い、
「テニスをなさるの?」
と聞くエミリー。
ボネヴィル「運動しない と太る ので」と 答え、
「お話できてよかった」
と 言うボネヴィル。
エミリー…「こ ちらこそ」と言うエミリー。
エミリーを見て、
ボネヴィル…”耳はいい 視力も問題ない あんたに決まりだ 叫んでもら うぞ
さあ 深く息を吸って 1万ドルが かかってるんだ
彼女が高い数に 賭けてたら? 1万ドルのためなら おれを見殺しにするかも”
と 思い、
「夜分は あまり お見かけしませんね」と 話し掛け確かめるボネヴィル

エミリー…「そうですか?」言うエミリー
ボネヴィル…「昨 夜の賭けには?」と聞くボネヴィル。
エミリー…「賭け?」と言うエミリー。
ボ ネヴィ ル…「1日の航行 距離を 賭けるというやつです」と言うボネヴィル。
エミリー…「知 らなかったわ 早く休むので だめね」と言うエミリー。
ボネ ヴィル …「今晩にでも試しては? 私は運動を」と言うボネヴィル。
『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィ ル)、リーン・ラング(エミリー)
飛び込む準備をするボネヴィル。

『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィ ル)、リーン・ラング(エミリー)
エミリーが叫んでくれると確信して彼女を見るボネヴィル。
”叫んでくれよ〜”

『賭』キーナン・ウィン(ボネヴィル)、リーン・ラング(エミリー)
ボネヴィル…「助けて!」と言いながら海へ飛び込むボネヴィル。


『賭』キーナン・ウィン (ボネヴィル)、リー ン・ラング(エミリー)
ボネヴィルを見るエミリー。

『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィ ル)、リーン・ラング(エ ミリー)


『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィル)
ボネヴィル…「助けてくれ!」と、エミリーに手を振り叫ぶボネヴィル。

『賭』
キーナン・ウィ ン(ボネヴィル)
 


『賭』
キーナン・ウィン(ボネヴィル)
ボネ ヴィルを見ているエミリー。

『賭』
リー ン・ラング(エミリー)
Top

〜精 神異常〜
付き人…
「ここにいたの 探したのよ」と 言いながら来る付き人。

『賭』
リー ン・ラング(エミリー)ら
付き人…「すぐ抜け出 すんだから」と言う付き人。
エミリー…「男 性が服を着たまま 海へ」と言うエミリー。
付き人…「まさか」と 言う付き人。
エミリー…「運 動すると言って 飛び込んだの」と言うエミリー。
付き人…「誰 もいないわ」とたいし て確認をせず相手にしない付き人。
 ”また いつもの症状がでているわ”と思っている。


『賭』
リー ン・ラング(エミリー)ら
付き人…「船室に戻り ましょう」と言う付き人。
 付き人は介護人だった。エミリーに精神異常があり付き添っていたのだ。
 この場合、病室に戻ろうということだ。
エミリーの腕に手を回し、
介護人…「今度 抜け 出したら 旅行はもうなしよ」と念を押す介護人

『賭』
リー ン・ラング(エミリー)ら

エミリー…
「いい人… 手を振っていたわ」と 言いながら船室いや病室に戻るエミリー。

『賭』
リーン・ラング(エミリー)
ボ ネヴィルは、体を賭けた大博打に出た。だが、エミリーは精神異常者だった。
助けを呼んでくれているものと思っているボネヴィルは、”まだ  か〜”

”可笑し いな? どうなってるんだ”
”段々 息苦しくなってきた 早く呼んでくれ〜 ブクブ クブ ク ブクブクブク 
ブクブクブク…

ボネヴィルは、大博打に負 けたことを海底で体感した。
解明できぬまま。

 ヒッチコックはオ チを準備していた。この後、 エンジンの故障で低マイルとなりボネヴィルは賭けに勝った。
 だがボネヴィルは行方不明なので賭け金はボネヴィル夫人へ。

 賭けに参加しなかった夫人には、”棚から 牡丹餅”の大金が手に入った。 
 大金持ちになったボネヴィル夫人は2番目の夫と
優 雅な生活も獲得した。

 傍若無人の夫を支え続けたことにご褒美か。


アルフレッド・ヒッチコック
※DVD ヒッチコック劇場 第1集より
更新2020.6.12
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ヒッ チコック劇場
新・ ヒッチコック劇場
ア ルフレッド・ヒッチコック
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