ヒッ チコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
会葬者
-There Was an Old Woman-
         
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストーリーの結末を載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承 下さ い。

  ミス・モニカ〜〜フランクとアン〜〜親戚?〜〜遺言状〜〜2 階〜〜空 腹〜〜お金〜〜座席〜〜食料〜〜ナイフ〜〜カップ ケーキ〜〜葬儀用花輪 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1956.3.18)(米) (CBS)(TV映画)-There Was an Old Woman-
監督…ロバート・スティーブンソン(Robert Stevenson)
制作…ア ルフレッド・ヒッチコック/ジョーン・ハリソン(Joan Harrison)
原作…ジェリー・ハカディ(Jerry Hackady)/ハロル ド・ハカディ(Harold Hackady)
脚本…マリアン・クックレル(Marian Cockrell)
出演…エステル・ウィンウッド(ミス・モニカ・ロートン/葬儀屋)Estelle Winwood/チャー ルズ・ブロンソン(フラ ンク・ブラムウェル)Charles Bronson/ノーマ ン・クレーン(アン/ブラムウェル)Norma Crane/ダブス・グリア(テッド/郵便屋)Dabbs Greer/エマーソン・ト レーシー(アー サー)Emerson Treacy
ストーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック

 たかり屋フランクが一人暮らしの老 女モニカが大金を持っていることを耳にする。
 それを奪おうと妻アンを連れて老女の屋敷を訪れるが…

〜 ミス・モニカ〜
葬儀屋モニカ
(エステル・ウィンウッド)の玄関ドアに葬 儀用の花輪が飾ってある。

『会葬者』

ミス・モニカが 郵便屋テッド(ダブス・グリア)に、
モニカ…
「お早う テッド」明るく挨拶する。
テッド…「ミス・モニカ 気持ちのいい朝で」と挨拶するテッド
モニカ…
「本当ね 心が洗われるようよ オスカーが生きてた ら…」と言い、テッドからミルクを受け取るモニカ。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ダブス・グリア(テッド)

玄関ドアの花輪を見て、
デッド…「お 悔やみ申します 苦しんでお亡くなりに?」と言うテッ ド。
モニカ…「い え ちっとも 心臓発作でポックリよ 婚約者のシシリーの 嘆きようったら
後追い自殺しないかと 心配だわ」
と、あっけらかんと 答えるモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

テッド…「心が痛みますな 他にご入り用の物は?」と言うテッド。
上等のクリームを注文し、資産家の葬式だから気を使うと話すモニカ。
注文を受け帰っていくテッド。

〜フランクとアン〜
たかり屋のフラ ンク(チャールズ・ブロ ンソン)が店で朝食をと りながら、
フ ランク…「お前の兄貴がダメならー  ヒッチ ハイク続行だぞ うまくタカれよ つべこべ言わずに電話しろ
コレクトコールにしろ」
と、
妻のアン(ノーマン・クレーン)に小銭を渡す

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)
不満あらわに、
アン…「あんたの親戚は?」と言 うアン
フランク…「つべこべ言わずに電話しろ」と 言うフランク。
不満たらたらに電話をしに行くアン。
 
フランクからいつもこの調子で指示されているのだろ う。
郵便屋テッドが店のアーサーと話すのを耳にする フランク。
聞き耳を立てるフランク。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)

”一人暮らしの老婆モ ニカが金を隠し持っている 屋敷のどこかに”という内容に、これはいける”と 気合が入るフランク。

アンが戻って来て、
アン…「仕事に出て た 会社にかけるわ」と言う。
フランク…「もういい  作戦変更だ 電話帳を持ってこい」と 言うフランク。
”どういうことだろう”と 首を傾げるアン。

モニカ邸に向かうブラムウェル夫妻。
アン…「フランク  あせらないで」と必死に止めようとするアン。
構わず玄関先に向かうフランク。
アン…「出たとこ勝負じゃ 失敗するって」と 言うアン。
両手に持っていたトランクを下し、
フランク…「お前は黙ってろ!」と怒 り出し、
「万事 俺に任せとけ 俺は歴史協会の人間で 古い邸宅を見て回ってるんだ」
と 身振り手振りで説明するフランク。
 たかり屋らしい知恵に自己満足している。
アン…「朝っぱらから 歴史だの 迷惑がられるだけよ」と 言うアン。
〜親戚?〜
フランクがドアベルを押そうとするとドアが開き、
モ ニカ…「おはよう」とモニカが 出てくる。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、チャールズ・ブロンソン (フランク)、ノーマン・クレーン(アン)

身を正して、
フランク…
「ロートンさ ん フランク・ブラムウェルと 妻のアンです」と挨拶するフラ ンク。
モニカ…「ブラムウェ ルさん? 荷物をお持ちだけど…」と 不審な表情を浮かべるモニカ。
不意を突かれ慌て、
フランク…「宿をまだ決めてなくて」と 本音を言ってしまうフランク。
モニカ…「水臭い人ね  他へ泊まるつもり? 一族の人間は いつでも大歓迎よ
お部屋を探しましょう 荷物を持って中へ」
と言い、2人を中へ 案内するモニカ。
思い掛けない展開で中に入り込めることになって喜ぶフランク。
驚くアン。

 ”これってどういうこと?”と困惑している。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

モニカ…「皆さん お 集まりよ オスカーに会ってやって ブラムウェルね…
オスカーの母方の親戚ね きっ とそうよ お母様のときも みんな涙に暮れて

『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)、エステル・ウィンウッド(モニカ)
「で も どんな人だったか… 皆さん!」と言いながら奥の 部屋へ案内し仕切りのカーテンを開けるモニカ。
「ブラムウェル夫妻よ オスカーの母方 のご親戚」
と部屋に向 かってにこやかに夫妻を紹介するモニカ。
アン…「中に入った ら ウソがバレちゃう」と 怯えてフランクに言うアン。
フランク…「俺に任せておけ」と 虚勢を張るフランク。

『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)

モニカ…「さ あ 皆さん お待ちかねよ 早く中へ入って」と言う。
バレてしまうと怖気ついているアン。
 親戚どころか、金を奪いにきたのだから。


『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)、エステル・ウィンウッド(モニカ)

〜遺言状〜
モニカ…
「よくいらし たわ 呼 んでもないのにと言い、フランクの腕 に手を入れエスカレートされるモニカ。
怖がっているアンの腕を引っ張ってモニカに伴うフランク。
「オスカーのいとこや おばさま方よ」と、 それぞれの椅子に向かってブラムウェル夫妻を紹介するモニカ。
驚いて見ているフランク。
気味悪がるアン。
 そこには誰もいないから。
「ミスター・ファーレル ミス・ネルソン  ミ ス・ララビー」と椅子を指しながら紹介してゆくモニ カ。
”何をしているのだろう”とモニカの行動を見ているブラムウェルズ夫妻。



『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)

「ミス・ファラロン ミス ター・メイ アー チボールドご夫妻にー アー チボールド家の お嬢さんとお坊ちゃ ん」と嬉しそうに語り掛けるモニカ。
呆気に取られているフランクを突くアン。
アンを見て頭を人差し指で小突くフランク。
 ”この婆さん頭がおかしい”のだと。
「ミス・シシリーに ミセス・ローリマー  ミス ター・チャルマー」と椅子に語り続けているモニカ。
「そして殿方お二人 あなた方は そこへど うぞ  ひとつ右に移って ミスター・ファーレル」と言う モニカ。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ノーマン・クレーン(ア ン)、チャールズ・ブロンソン(フランク)

座ろうとしている夫妻に、
モニカ…「悪いけど 遺 言状は先に 読んでしまったわ
相続は関係ないでしょう? 遠縁の親戚だもの
と言うモニカ。
何を言っているのだろうと聞こうとするフランクを遮って、
「我々一族は葬儀の前に 遺言状を見るの」と 嬉しそうに話すモニカ。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

後ろの椅子の方に向かって、
「可哀想なシシリー もう泣くのは やめて」と 言い、椅子に近寄り、
「オスカーは天に召されたの 戻っては来ない わ」と宥めるモニカ。
呆れて見ているアン。
モニカを見ていたフランクと顔を合わせる。
”どうなってるの?”と 目で合図するアンに”黙って見ていろ”と 顎で指図するフランク。
モニカ…「お部屋に戻って休んでなさい」と 椅子に向かって言うと、
「チッピー」
と椅子に横になっている猫に、
「ぐうたらな子だね」と 鼻先を撫でる。
「ネズミを退治しておいで」と 指先で促すモニカ。
夫妻のところに戻って、
「お部屋でゆっくりしたいわね」と 言うモニカ。
待ってましたとばかりに椅子から立ち上がる夫妻。
「その前に オスカーを ひと目見てやっ て」と言うモニカ。
嫌がるアンの腕を掴んで棺の方に近づくフランク。
「昔の面影が 残っているかしら?」と 言い、棺の中を愛おしく見るモニカ。
覗き込むフランク。
怖々と覗くアン。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ノーマン・クレーン(ア ン)、チャールズ・ブロンソン(フランク)

「安らかな顔でしょう?」と言うモニカ。
”何これ!”と驚いて見 ている夫妻。


『会葬者』
モニカ…「ねえ?」と同意を求めるモニカ。
気味悪くて身震いするアン。


『会葬者』ノー マン・クレーン(アン)、 チャールズ・ブロンソン(フランク)
夫妻を2階に案内しながら、
「そ うだわ」と言うモニカ。
”今度は何?”と いう表情を浮かべるアン。
モニカ…
「食前酒を飲 みたい方は どうぞ ご自由に」と椅子に向かって言い、2階へ向かうモニカ。
椅子の方を見るフランク。
気味悪がりながら椅子の方を振り返りモニカに付いてゆくアン。

〜2階〜

2階へ上がり、
「電報で前もって 知らせてくれればー お 部屋 を用意したのに
とにかく どこか 見つけなきゃ」
と言い、部屋を見て回る モニカ。
アンはフランクに嫌 だ”という態度を見せ るが 拒否される。
「先月のお葬式は 広間で食事したのよ」と 話し、何か思い立つモニカ。



『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、チャールズ・ブロンソン (フランク)、ノーマン・クレーン(アン)

モニカが奥の部屋の方に行くと、アンが泣き出しそうに、
アン…「フ ランク あたし怖い! あの人 気が変だもの」と言う。
フランク…「ヘンなのはお前だ 金が欲しくないのか?」と 言うフランク。
奥部屋から、
モニカ…「こっ ちよ 来て」と夫妻を 呼ぶモニカ。
「私の部屋なの」と 言い部屋に招く。
怖々と部屋を見回すアン。
「故人が若いほど 悲しみは増すわ みんな 若くして死んだ オスカーもそうよ 彼は花婿の付添役だった」と 話すモニカ。
綺麗な部屋に満足して笑いがこぼれるアン。


『会葬 者』チャールズ・ブロン ソン(フランク)、ノーマン・クレーン(アン)、エステル・ウィンウッド(モニカ)

満足して胸を張っているフランク。
「シ シリーは花嫁の… これで彼女も独りぼっち 結婚式も遠い昔ね」と 話を続けるモニカ。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

上機嫌で、
フラ ンク…「結婚式? どなたのお 式です?と聞くフラン ク。
 モニカの話を聞いていないので、内容がずれている。
モニ カ…「私のよ でも式の直前 花婿は事故死したの」と 言い、記念のスノーグローブ
(日 本ではスノードーム)を持ち上げ、
「あとに残ったのはー このケーキの飾 りだけ」と言うと、


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)


「リ チャード 彼も死んだ 私を置いて!」

『会葬者』エス テル・ウィンウッド(モニ カ)
と故人リチャードに語り掛け涙を流すモニカ。
 ブラムウェル夫妻は話を聞いていない。
夫妻の方に振り返り、
「では何かあれば声をかけて お葬式の関係で 昼食は早めよ いつでも降りてきて」と 言い部屋を出てゆくモニカ。
待ってましたとばかりにドアを閉め、
フランク…
「金はこの部屋だ 探し出そうぜ」と アンに言うフランク。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

部屋中 を探しても中々見つからず、 探す手を止め、
アン…
「フランク  お腹が空いて死にそう」と言うアン。
フランク…「う るさい! メシより金が先だ」と苛立って言うフランク。

『会葬 者』ノーマン・クレーン (アン)、チャールズ・ブロンソン(フランク)
そこに、
モニカ…「ま あ!」と呆れ顔でモニカが2人が散々散らかした部屋に入っ てくる。

『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、エステル・ウィンウッド(モニ カ)、チャールズ・ブロンソン(フランク)

「お行儀の悪い!  まるで猿のオリだわ」と言うモニカ。
部屋中探しても見つからないことに苛立ち、
フランク…「金はどこだ? さっさと寄こせ」と ブチ切れて脅迫するフランク。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン

モニカ…「そうだった の オスカーの遺産目当てね 相続人でもないクセに」と言うモ ニカ。
お腹が空いてしょうがないアンは、
アン…「ロートンさん それより 昼食はまだですの?」と 言う。
 アンにとって空腹を満たすことが一番なのだ。


『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、エステル・ウィンウッド(モニ カ)、チャールズ・ブロンソン(フランク)

モニカ…「終わったわ  誰かが遺言状を探してる間にー 食べてしまったわ」と言うモ ニカ。
落胆するアン。
「ここは私の部屋よ ブラムウェルさん 探し物 がないと分かったらー
お帰りに お金が要るなら 少しくらいあげても…」
と2人を交 互に見ながら手提げ袋を開くが、
「ないわ!」と 言うモニカ。
思わず袋の中を覗いていたアンは絶望的になってふらつく。
 この表情は最高だ。空腹が限界に達しているのがよく伝ってく る。
「どうしましょう? お客様は大勢来てるしー  家政婦のエルバイラも手一杯」と言うモニカ。
唾を飲み込んで、
アン…「台所をお借りして 昼食を作っても?」と 言うアン。
 泥棒しにきているのに、何とも惨めなこと。
モニカ…「私はケチは 言いません」と 言い、部屋を出るモニカ。
 主導権を握っているモニカは落ち着き払っている。
アンとフランクは顔を見合わせて、何か食べ物にありつけると思い、慌てて部屋を出る。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

アン…「食 べ物にありつける!」と 言いながら階段を駆け下りるアン。
それに続くフランク。

〜 空腹〜
キッチンへまっしぐらの2人。
食べ物がない。


『会葬者』

アン…
「これ見て よ! 腐りかけのチーズに牛乳 ラード缶しかないわ」と怒り を爆発させ、顔を顰めてチーズの匂いを嗅ぐアン。
フランク…「チー ズは熱すほどうまい ほら年代物だ」と言い、アンのチーズを取 り上げるフランク。
アン…「もう耐えら れない! ハンバーガー買ってくるわ」と言い外へいこうとする アン。
アンの腕を掴み、
フランク…「外 へは一歩も出るな 人に見られちゃマズい」と止めるフランク。
金を奪うのを諦めさせようと、
アン…「お金なんて  ないかもよ」と言うアン。
フランク…「お 前の目は節穴か? あの棺桶の周りの豪華な花 この屋敷の調度品 それに宝石
金は絶対どこかにある」
と言うフランク。
アン…「腹ぺこで死 にそうよ」と言うアンに、
フランク…「卑しい女だ」と言いながら削ったチーズをやるフランク。
ヒステリックに、
アン…「昨日から何も食べてないのよ!」言い、チーズを荒っぽく受け取り齧 り付くアン。
その時、電話のベルが鳴る。
慌ててキッチンを出るフランク。
〜 お金〜

電話機に向かって、
モニカ…
「これ 静かにおし! 私が 出たことあって? しつこい わよ
オスカーが死んだ今では お前はもう用なしよ 郵便屋さんに言ったのよ 電話会社にお返しす るって
きっと説得の電話だわ」
と 言い、
「ところで葬儀は 日を改めます 遺産目当 ての人が いるようだから」と言うモニカ。
チーズを齧りながらモニカを見ているアン。
チーズを食べながらモニカを見ているフランク。
 ”電話には出ることがないからひとまず安心だ どうしたら金を奪えるか”と思いながら。



『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

夢想の中の来客に、
「お二人が帰るまで
式は延期 でも 夕食まではいて」と話すモニ カ。
夕食に反応してモニカの話を聞く2 人。
「ごちそうよ メニューは確か… メロンに 若鳥のソテー ライスにインゲン豆 サラダ…」
と 話すモニカ。
メニューを聞いてにこやかになるアン。
「エルバイラは チーズを買ったかしら?」と 言うモニカ。
食べていたチーズを投げ捨てるフランク。
食べるのを止め、チーズを見るアン。
 ”この腐りかけのチーズのこと?”
「カスタード・ケーキ コーヒーにシャンパン  シャンペンを飲めば きっとー シシリーも元気になるわ」と話 す。
部屋に戻ろうとするモニカに笑顔で応えるアンとフランク。
 豪勢な食事にありつけると思って。
これで食事にありつけると喜ぶアン。
フランク…「俺は広間を 調べる ば あさんを見張ってろ 逃げられちゃ困る」と 言うフランク。
アン…「任せといて」と喜んで 行こうとするアンを引き留め、
フランク…「ばあさんに はー  消えてもらう」と 言うフランク。
驚いて、
アン…「ま さか殺す気じゃ…」と 言うアン。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

フランク…「い いか 町の人間は 俺たちを知らない モニカばあさんとも 赤の他人だ」と話すフランク。
頷くアン。
フ ランク…「だった ら?」と言うフランク。
アン…「いやよ」と言うアン。
アンを揺さぶり、
フランク…「怖いのか?」と言うフランク。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

生かしておけば 俺たちが捕まる 
ババアの命と金と どっちが大事だ?と 言うフランク。
アン…「放して 人 を殺したことなんて ないから…」と言うアン。
フランク…「い まさら後戻りはできない」と言 い、恐れているアンに、
「どうせ死に損ないのババアだ」
と言いくるめるフランク。
〜 座席〜
居間を探しているフランク。
アンが来て、
アン…「フランク あなた」と 呼ぶ。
そこにモニカが来て椅子の方を見て、
モニカ…「皆さん お 食事の時間です」と声を掛け招く。
そして、
「エスコートをお願い ブラムウェルさん」と 言うモニカ。
ボーとしているフランクに身を乗り出して、
アン…「早く! お 腹が空いたわ」と言うアン。
フランク…「ミ ス・ロートン」とエスコートするフランク。
モニカ…「恐 れ入ります」と上機嫌 で受けるモニカ。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、エステル・ウィンウッド (モニカ)

モニカ…
「皆さんも」と 手招きするモニカ。
モニカが手招きした側を見ているアン。
 誰もいないのは分かっていてもつい見てしまうのだ。あまりにもモニカが自然に振舞っているか ら。
サイドテーブルに置いてあるシャンパンを手に取り上機嫌になっているフランク。
華やかにテーブルコーディネートされた席に、
「シシリー 私の隣に 座りなさいな」
言い、他の客人 の席も主催者として上機嫌に誘導してゆくモニカ。
誰も座っていない席を見ながら、モニカに付いてゆくアン。
後ろから付いてゆくフランク。
にこやかに誘導し終わったモニカが2人に気づき、
「あら やだ ブラムウェルさん まだいた の?」と言う。
フランクの顔を見るアン。
強引に傍にあった椅子に座らせるフランク。
腰を浮かせているアン。
 モニカが夢想の来客を座らせていた席だから。
不満そうに、
「でもそこは…」と 言い、
「ちょっと 失礼」と スープを取りに行き、
「皆さん 私のことは気にせず 召し上がって」と 言うモニカ。
居心地の悪い席のアンと、向かい側に座ったフランクが何も入っていない器を見ている。
フォークを持ちモニカを見るフランク。
夢想の世界の来客に、
モニカ…「エ ルバイラの料理は 天下一品ですのよ
食事制限をしてますの だから席だけ ご一緒に」
と話すモニカ。
顔を見合わせる二人。
 "なんてことだ 食べ物はないのかよ"と。
来客に、
「そうですの ミス ター・ パークウェル 自家栽培のメロンです
今年一番の 出来じゃないかしら」
と話しているモニカ。
何も入っていない器を逆さまにしているアン。
 ”お腹が空いて死にそう”と言い出しそうになるのを堪えるアン。


『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)

夢想の世界の来客をもてなして上機嫌のモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)
来客を見渡して、
モニカ…「皆さん食べ 終わったわ エルバイラ お皿を下げて」と言うモニカ。
”これで終わりか! 食事はでないのか”と怒りながら、向かいの 席のアンを見るフランク。
空の器を手に取って”もう どうなってるの 中身は? 食べ物は?”と 空腹に耐えられないでいるアン。
「いま何て? ミセス・アーチボールド ええ 働き者で すの
私が子供のころから エルバイラは我が家に」
と来客に話、
「ダメよ エルバイラ 誘惑しないで お医者様に言われたの スープだけになさいって
だからスープだけでいいの」
と夢想のエルバイラに言う。
スープを食しようとし、
「じゃ若鶏を運んで」と 言うモニカ。
”若鶏!”
アン…「お手伝いするわ」と 立ち上がるアン。
モニカ…「エルバイラ なら 1人で大丈夫」と言い、アンを見るモニカ。
構わず部屋を出るアン。
アンに続き、
フランク…「こいつを開けてくる」と 言い、サイドテーブルのシャンパンを取ってドアを荒っぽく閉めてゆくフランク。
〜 食料〜
驚いてドアの方を見て、来客の方へ向き直ると、
モニカ…「貧しい生まれですの 母方の遠縁のいとこですわ」と 話しスープを口にするモニカ。
キッチンに駆け込んだ夫妻が、なべ底に残っているスープをすすっている。
アン…「おいしい!  缶詰のスープとは思えない」と、木製ヘラですすりながらフラ ンクに言うアン。
 ノーマン・クレーンのヘラすすり、最高!相当にお腹空かせて挑んだのだろう。役者魂に拍手 だ。
スープをすすりながら、
フランク…「食 料もどこかに 隠してるはずだ」と言うフランク。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

持って来たシャンパンを見せるフラ ンク。
興奮して、
ア ン…「ああ 早く開けて! 飲まずにはいられない」と 言い、ヘラに付いた汁を嘗めまくるアン。
シャンパンを開けるフランク。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

一気にシャンパンを口にしたフランクの表情が変わる。
心配するアン。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

流しに駆け込み、
フランク…「酢 だ! 酸化して酢になってる!」と言い吐き出すフランク。
背中を叩くアン。


『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)

「殺してや る!」と怒りを爆発させるフランク。
アン…「ボケてるの よ」と言うアン。
フランク…「こ れまでだ あのババア もう容赦しないぞ 今すぐケリをつけてやる」と言い、ナイフを開くフランク。
心配してナイフを見ているアン。


『会葬者』ノーマン・クレーン(アン)、チャールズ・ブロンソン(フラン ク)

展開に怖くな り、
アン…
「フランク」と呟くアン。
〜 ナイフ〜
ナイフでアンを脅し、
フランク…「思ったとおりだ 開けろ」と 肖像画の奥に隠された金庫を開けるように言うフランク。
「さっさとしろよ!」と ナイフを突き付け脅す。
モニカ…「汚 い手で触ってほしくないわ」と言うモニカ。
フランク…
「命が惜しいなら 金庫を開けるこった」とナイフを突き出すフランク。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

突き出されたナイフを目で追って、
モニカ…
「約 束して 手紙や書類を 乱暴に扱わないと」と言うモニカ。
フランク…「書 類に用はない 開けろ」と怒るフランク。
 ”何をいってるんだ 金だ”
モニカ…「開 けなきゃ 納得しそうにないわね」と言うモニカ。
目配せ喜ぶブラムウェル夫妻。
モニカ…「厚 かましい人ね」と言い ながら金庫を開ける。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、エステル・ウィンウッド (モニカ)

金庫が開くとモニカを押しのけ、
フランク…「ゴ ミしかない 金は?」と言うフランク。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、エステル・ウィンウッド (モニカ)

「扇子 踊り のパンフレット カード 紙クズだ!」
投げ捨てるフランク。
モニカ…「ひどいじゃ ない! あれだけ言ったのに 約束を破るなんて」と言い、足元に散らかった思い出の品を泣きながら拾い集めるモニカ。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)、エステル・ウィンウッド(モニカ)

「ブラムウェルさん 堪忍袋の緒が切れたわ 恥を知りなさい!
今度ばかりは許しませんよ あなたにはビタ一文 渡しません!」
と 言うモニカ。
ナイフをかざし、
フランク…「死 にたいか?」と脅すフランク。
一瞬、怯むが開き直って、
モニカ…「”死人に口 なし” お金は手に入らないわ」と言い、笑うモニカ。
ナイフを振り回して、
フランク…「う るさい」と言うフランク。
モニカ…「やればいいわ」と言うモニカ。

『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、エステル・ウィンウッド (モニカ)

客席の方を見て。、
「でも大勢が見てる前で 私を殺せるの?」と 言うモニカ。
客席を見て、
フランク…「皆殺しだ」と脅すフラ ンク。
慌てて、
モニカ…「ダメよ やめて」と言 うモニカ。
フランク…「金を渡さなきゃ 全員 血祭りに上げてやる!」と 言うフランク。
モニカ…「やめて 皆に危害は 加えないで 明日の朝まで考えさ せ て」と頼むモニカ。
怒り、
フランク…「今すぐ死にたいか?」と 言うフランク。
割り込んで、
アン…「待って この人しか 隠し場所は知らないわ 時間をあ げて  十分こたえたはずよ」と言うアン。
フランク…「いいだろう 明日の朝だ 金を寄こさなきゃ 1人残ら ずあ の世行きだ」とナイフを突き付け言うフランク。
フランクを無視して椅子の方に行き、
モニカ…「シシリー 寝る時間よ」と 抱くようにして言い、
「皆さん よい夢を」と 客席を見て部屋をでるモニカ。
フランクの顔を見るアン。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)、エステル・ウィンウッド(モニカ)

〜カップケーキ〜
朝、 役に立っていないネコに小言を言いながら、ネズミ退治用のカップケーキを作っているモニカ。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

モニカ…「これでイチ コロよ」と言いながらネズミの駆除薬をたっぷり入れる。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

「ネズミの大 好物だもの」と満足そうに笑みを浮かべるモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

アン…「フランク  起きて 台所から いい匂いがするわ あれはきっと朝食よ」と 興奮してフランクを起こすアン。
飛び起きるフランク。
ガウン姿のまま、階段を駆け下りる夫妻。
モニカに、
アン…「朝食は?」と 言うアン。
モニカ…「とっくに済 ませたわ」と言うモニカ。
アン…「まだ7時よ  コーヒーは?」と泣き出しそうに言うアン。
モニカ…「コーヒーは 嫌い エルバイラに何か作らせるわ」と言うモニカ。
”何ということだろう”と 口を両手で押さえるアン。
フランク…「待 てよ 結論は出たのか? 金を寄こさなきゃ 皆殺しだぞ」と 脅すフランク。
モニカ…「みんな帰っ たわ 昨夜のうちに1人残らず 殺人鬼に恐れをなして」と言 うモニカ。
周りをキョロキョロと見回し、
フランク…「ま さか! まだいるだろ?」と言い、探しに行くフランク。
 モニカの夢想の世界を聞かされ続けていたので、いる気になってしまっている。
 どのように探すのやら。夢想の来客を。

モニカが掲げているカップケー キをずっと見ているアン。
アン…「フ ランク 気は確か?」と言い、目の前のカップケー キに手を伸ばすアン。
その手をピッシャリと叩くモニカ。
 アンの方が現実を見ている。
モニカ…
「ネズミのよ」と言い、 叱るモニカ。
親に叱られた子供のようにべそをかくアン。
 ”だって お腹が空いて堪らないんだもの”と。


『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ノーマン・クレーン(ア ン)

戻って来てフランクがモニカに、
フランク…「こ のクソババア! 金を出さなきゃ殺すぞ」とナイフを突き付け る。
モニカ…「さて どう しよう? リチャードに相談するわ どっちにすべきか」と言 い、キッチンを出てゆくモニカ。
フランク…「も うこっちのものだ!」と アンの両腕を掴んで言うフランク。
喜んでモニカが置いて行ったカップケーキをフランクに渡しケーキに齧り付くアン。
そのアンのケーキに乾杯し、美味しそうに食べるフランク。
この世の幸せを味わっているような表情で仲良く食べている夫妻。


『会葬者』チャールズ・ブロンソン(フランク)、ノーマン・クレーン(ア ン)

〜葬儀 用花輪〜
玄関ドアに葬儀用の花輪が2つ並んで飾ってある。


『会葬者』

 金 を奪いに来たブラムウェル夫妻は、ミス・モニカに振り回された挙句、命を失った。
 ただ、空腹は満たされ、夢想の世界の仲間入りした。
ドアを開け、
モニカ…「お はよう」と明るい表情 でテッドに挨拶するモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

テッド…「ミス・モニ カ ご親戚に不幸が?」と言うテッド。
モニカ…「実はそうな のよ しかも入れ物が足りない始末」と話すモニカ。
デッド…「入れ物?」と 言い、ドアを見るテッド。
モニカ…「グレムリー さんに言って ひつぎを至急 持ってくるようにと 最高級のを」と 言うモニカ。
テッド…「ひつぎをも う一個? ご親戚が2人も?」と聞くテッド。
モニカ…「そ れが親戚といっても 遠縁のいとこなの でも手は抜けないわ」と話すモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ダブス・グリア(テッド)

「あら 請求 書ね いまお支払いするわ」と言うモニカ。
テッド…「急ぎません よ」と言うテッド。
手提げ袋を開けながら、
モニカ…「いいのよ  5ドル札があったの どこかしら やだわ またなくなった!」と 言い、千ドル札がどっさり入っているなかを搔き分け探すモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

千ドル札を取り出し、
「テッド 千ドル札でお願い お釣りは明日でい いわ」と言い、渡すモニカ。
千ドル札を見て、
テッド…「こ んな大金 持ち歩いちゃいかんです 物騒ですよ」と言うテッド。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)、ダブス・グリア(テッド)

モニカ…
「こうするの が一番 安全なの 一番安全なんだから
ご機嫌よう
 また明日」
と 言いながら、家の中に入ってゆくモニカ。

『会葬者』エステル・ウィンウッド(モニカ)

葬儀用の花輪が映し出される。
次を呼び込んでいるみたいに。
 ”おいで おいで”と。


『会葬者』

これは「怖いもの知らず」が一番怖いって事。いや、寧ろこっ ちだろう 「失うものは何もない」。失うたびに増えていくのだから。


 
葬儀屋のミス・モニ カは身内の葬儀をするたびに、夢想の世界に入り込んでしまった。
 挙式直前に亡くなったリチャードを想い涙したように、悲しさを乗り越えるための夢想だっ たのだろう。
 それにしても、エステル・ウィンウッドの飄々とした演技は素晴らしい。彼女あっての作品 だ。
 また、男の中の男のイメージで男性化粧品「マンダム」のCMに出ていたチャールズ・ブロ ンソ ンとは程遠いイメージに驚いたのは私だけではないだろう。



アルフレッド・ヒッチコック
※DVD ヒッチコック劇場 第四集より
更新2020.5.20
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