Part1[☆　→ 〜死装束〜〜異変〜〜部屋〜〜エ ヴァ〜〜半身不随〜〜焦り〜〜悪夢〜〜歩行訓練〜〜困惑〜〜失 意〜〜言語障害〜]
Part2 へ[〜介護〜〜かつての姿〜〜ケア〜〜尊厳〜〜来客〜〜拒否〜〜悪化〜〜解放〜〜弔い〜〜共に〜〜空間〜 ←]

　仲睦まじく暮らしていた老夫婦に突然、襲い掛かってきた試練に正 面から向き合い、ともに生きると決めた至高の愛。
　ジョ ルジュが 娘エヴァに「本気で話し合うという と？」とかえした言葉が、重く「人生とは？　愛とは？　生きるとは？　死とは？」と 問いかけてくる。
　観終わっても立ち上がれない。

　※フランスの俳優ジャン＝ルイ・ト ランティニャンさんが、6月17日（現地時間）に91歳で お亡くなりになったという 記事を目にしました。
  「トリコロール/赤の愛」「男 と女」「離愁」「愛、アムール」など、 重厚な演技で魅了する、渋い役 者でした。
  また、「愛、アムール」は10年ぶりにビデオを観て、作品の 素晴らしさを再認識して 掲載させようと準備している時 でしたので驚きました。
  心より哀悼の意を表しま す。                                            　　　　　　　 2022.6.18 yurikoariki

〜死装束〜

駆けつけ た消防士がドアを取り外し、
消防士…「消 防です　誰かいますか？」と 異臭がする部屋に入ってくる。
管理人夫妻が消防士に説明しな がら怖々と部屋を覗き込んでい る。
鼻を抑えながら、密閉された寝 室のドアを手荒く開けようとす る。
悪臭に堪らなくなり窓を開けて ゆく警官。
扉が開いたとの知らせで寝室に 入って行った警察官が目にした のは、花束を持った手を胸に合 わせ供花で覆 われた 死装束 の老女アンヌ(エマニュエル・リヴァ)の姿だっ た。

「AMOUR」のタイトルが映し出され老夫婦の人生を胸に沁み 込ませてゆく。
音楽を奏でながら。

アパルトマンで仲睦まじく暮ら していた老夫婦。ある日、妻の様子に異変を感じた夫ジョルジュ(ジャ ン＝ルイ・トランティニャン)。

妻ア ンヌ(エマニュエル・リヴァ)に病院で診てもらうことを勧 める。

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〜 部屋〜

誰もいない部屋が映し出される。
　小 津監督のような描写だ。

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〜エ ヴァ〜

検査の結果、頸動脈が詰まっていた。
もともと医者嫌いのアンヌは恐れ、恐怖心で 途方に暮れていたが、手 術しないと、さらに重い発作を起こすと医者に言われた。
手術することになったが、失敗率5％の確率で起きてしまう不幸がアンヌの身に起きた。
家庭内不和の 中、心配して駆けつけた娘エヴァ(イザベール・ユベール)に ジョルジュはアンヌの経 過を説明 し、
ジョルジュ…「ハラハラ する毎日だよ　以前なら　まだ寝てる時間だ　おかげで血糖値 が下がった」と苦笑いする。
苦笑いし、
エヴァ…「大 変なことに」と言う エヴァ。
ジョ ルジュ…「あ あ」と答え るジョルジュ。
エ ヴァ…「何 か手伝う？」と 言うエヴァ。
ジョ ルジュ…「必 要ない　忙しいのに　来てくれ ただけで嬉しい」と答えるジョルジュ。
エ ヴァ…「…」
ジョ ルジュ…「実 際のところ何もできん　退院後 の様子を見て　決めるつもりだ 　何とかなるだろう
看護師を雇うことにするか　私 1人で介護するかも　夫婦で困 難を　乗り越えてきたが　また 新たな局面だな」と言うジョルジュ。
エ ヴァ…「不 思議ね　さっき急に　子供の頃を思い出した の　2人の愛し合う声を　盗み聞きしてた
聞くと安心するの　両親の愛の絆を　確認できるから」と話す。

『愛、アムー ル』イザベル・ユペール
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〜半身不随〜

寝室に電動ベットが運び込まれる。
半身不随で退院してきたアンヌはジョルジュに、
アンヌ…「１ つ約束して」と改まって言う。
ジョルジュ…「何だい？」と聞くジョルジュ。
アンヌ…「二度と病室に戻さないで」と頼む。
ジョルジュ…「何だって」と言うジョルジュ。
アンヌ…「いい わね？　約束して」と言うアンヌ。
話そうとする ジョ ルジュを遮って、
アンヌ…「何も 言わないで　説得しても無駄よ　お願い」と言うアンヌ。
ジョルジュ…「何と 言えば？」と言うジョルジュ。
アンヌ…「何も 　言わなくていい　いいわね？」と念を押すアンヌ。

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〜焦り〜

ジョルジュは自分の尊厳を保ちたいというアンヌ の願 いを聞き入れ自宅で介護することにする。
しかし、アンヌの病状は悪化してゆく。
アンヌ…「想 像と現実では　かなり違うものよ」
ジョルジュ…「日々 　回復してる」
アンヌ…「もういいの　あなたには感謝して るけ ど　もう終わりにしたい　自分自身のためよ」と言うアンヌ。
ジョルジュ…「噓 だ　君の考えることは　分かる　自分が私の重荷だと　でも　逆の立場ならどう する？」と認めようとしないジョルジュ。
アンヌ…「さ あ　そんなこと　考えたくもない」と言うアンヌ。

自 分で何とかしようとしてベットから落ちた アンヌを抱き起すジョルジュ。

『愛、アムール』エ マニュエル・リヴァ、ジャン＝ルイ・トラン ティニャン
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〜 悪夢〜

介護に疲れだし悪夢に魘されるジョルジュ。

『愛、アムール』ジャン＝ルイ・トラン ティニャン、エマニュエル・リヴァ
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〜歩行訓練〜

ジョルジュは少しでも回復させようと歩行訓練をさせる。

『愛、アムール』ジャン＝ルイ・トラン ティニャン、エマニュエル・リヴァ

教え子で国際的に 活躍しているアレクサンドルから送られてきたCDを止めるように言うアンヌ。
　教えていた頃と今との ギャップに辛くなったのだ。

『愛、アムール』ジャン＝ルイ・トラン ティニャン、エマニュエル・リヴァ
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〜困惑〜

食事中に急に「アルバムを 持って来て」と言う アンヌに「今？」と困惑するジョル ジュ。
昔の写真を眺めるアンヌ。
食事を続けるジョルジュ。
何時も同じような行動をしていた二人に、ちょっとしたズレが生じて来ている。
　頼む立場と頼まれる立場という違う行動によって。

『愛、アムール』エマ ニュエル・リヴァ、ジャン＝ルイ・トラン ティニャン

アンヌに記事を読 み聞かせていたジョルジュが、アンヌが寝たのを確認すると急いで消灯する。
　介護疲れのピークが近づいて来ている。

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〜失意〜

アンヌが失禁したシーツを交換するジョルジュ。

『愛、 アムール』エマニュエル・リヴァ、ジャ ン＝ルイ・トラン ティニャン

恥じらい と情けなさに苛立つアンヌ。
  ”生きたくない”と。

『愛、アムール』エ マニュエル・リヴァ、ジャン＝ルイ・トラ ン ティニャン
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〜言語障害〜

見 舞いに来たエヴァが寝室のアンヌに相談するともなく、
エヴァ…「賃貸マ ンションに　投資することに　インフレになった時　不動産は 強いし　金利が1.75％まで　下がってきてるので　タイミ ングもいい　4年前　ジョフが　株を買ったの　少額だったけ ど　すべて暴 落した　だから　すごく心配なのよ　それに…　考えることは皆同じで　不動産は高騰　帰国後は　 広告チェックに忙しいわ　でも何とかなる　時間はかかると思 うけど」と 独り言を言う。
聞 いていたアンヌが、
アンヌ…「わ…　私の…」と言う。
身 を乗り出して聞こうとするエヴァ。
アンヌ…「そ… 　祖母…　家…　持っている…　ダメ　家…　あとで…　 お金…」
ア ンヌに、
エヴァ…「マ マ　 悪いけど　意味が分からない　何て言ったの」と言うエヴァ。

『愛、アムール』エ マニュエル・リヴァ、イ ザベル・ユペー ル

悲しそうに顔を歪め、
アンヌ…「す ぐに…　おしまい…　い…　家…　売ると…　ダメ　 すぐに…　早すぎる…　それ… 　大変…　だから…　家…　売る…　お金…　なくなる…　ない…　同じ…　なくなる…　家も…」
エヴァ…「ええ　どの家の こと？　誰の家？」
アンヌ…「そ…　そぼ…　 祖母の…」
エヴァを見るアンヌに微笑み返すエ ヴァ。

居間で娘婿ジェフ(ウィリ アム・シメル)に、
ジョルジュ…「週 に3回だ　それで十分かどうか 様子を見る」と話す ジョルジュ。
ジョフ…「看護師の給料 は？」と聞く ジェフ。
ジョ ルジュ…「時給だ　相談し てみる」
聞きにく そうに、
ジョフ…「本人は？」と言う ジェフ。
ジョ ルジュ…「アンヌかね　う まく言えんが　自分の状態が　分かってない時も あるし　自覚してる時もある」
ジェフ…「医者は何 て？」

寝室か ら戻ってきたエヴァが「たわ言ばか り」と 興奮して言う。
「エヴァ　 落ち 着いて　大丈夫だ」と慰め ようと肩に 触れる。
その手を振り払い「大丈夫じゃない」と 言う。
　ジェフが心から心配して言っているのではないことが分か るか ら。
ジョルジュに、「ど うなってるの　このままにしておけない　まるで別人 だ わ」と泣きなが ら攻め寄 るエヴァ。
ジョ ルジュ…「どうしようもない　 治療 を受け　薬も飲んでる　他には方法がない」
エ ヴァ…「どうして入院させ ない の」と悪化し てゆく母の姿にいたたまれくなり入院を薦める。
ジョルジュ…「2度目の発作が 　医 者に診てもらったが　検査しなくてもいいそうだ　どちら にしろー　ホスピスに送られるだけだ
家でも同じことはできる　それにー　入院は　させな い とー　約束したんだ」と言う。
ジェフ…「重荷じゃあ りま せんか？」と言 う。
ジョルジュ…「他に良い方法 が？」と 返す。
エヴァ…「現 代医 学ならもっと良い　治療法があるはずよ」と 興奮して言うエヴァ。
ジョル ジュ…「な ら 調べればいい」と言 う。
興奮して立ち上がり窓の方へ行くエ ヴァ。
ジョ ルジュ…「お 前と同じぐらい　ママを愛して る　 父親をバカ扱いするな　でくのぼう だとでも　言うのか」と 言う。
背を向け、
エヴァ…「そんなつも りじゃ…　今の方法が最善か　疑問に思うだけ」と言 うエヴァ。
ジェフ…「別の医者に は？」上目遣 いで聞く。
苛立ち、
ジョルジュ…「いい加減にして くれ　別の医者も同じ意見だった
月曜から週3回　看護師が来る　いいか ね？  他の話題に変えよう」と言うジョルジュ。
振り返 り、
エヴァ…「例えば？」と言 うエヴァ。
　堂々 巡りに苛立つエヴァ。

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