デカローグ



  [第1話][第2話][第3話][第4話][第5話][第6話][第7話][第8話][第9話][第10話] 
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(1988-89)(ポーランド)(TV ドラマ/全10話)-Dekalog/The Decalogue-(1988 年ヨーロッパ映画祭グランプリ)(1988年フェリックス賞)(1988 年ダンケルク国際映画祭国 際批評家連盟賞)(1988年サンパウロ国際映 画祭 国際批評家連盟賞)(1988年ストラスブール・シルティグハイム市 賞)(1988 年ライン州議会賞)(1989 年ヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞)(1989年ミラノ国際映画祭 Youth&Film賞)(1989年サンパウロ 国際映画祭一般部門 賞)(1990 年シドニー国際映画祭銅賞)(1990 年ベローナ・キリスト教会協会賞)(1990年イタリア 「ENNIOFLAIANO」協会脚本賞)
監督…クシシュトフ・キェシロフスキ(モ ントリオール国際映画祭監督部門国際批評家連盟賞)
製作リシャルト・フトコフスキ
脚本クシシュトフ・キェシロフスキ/ クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
音楽…ズビグニエフ・プレイスネル
出演[第1話]ア ンリク・バラノウスキ(父/クシシュトフ)/ボ イチェフ・クラタ(息 子/ パヴェウ)
[第2話]ク リスティナ・ヤンダ(妻 /ドロタ)/ア レクサンデル・バルディーニ(老医師)
[第3話]ダ ニエル・オルブリフスキー(ヤヌーシュ)/マリア・パクルニス(エヴァ)
[第4話]ア ドリアンナ・ビェジェインスカ(アンカ)/ヤヌーシュ・ガ ヨス(父/ミハウ)
[第5話]ミ ロスワフ・バカ(ヤツェッ ク)/クシシュトフ・グロビ シュ(ピョートル)
[第6話]オ ラフ・バシェンコ(トメク)/グラジナ・シャポウォフスカ(マグダ)
[第7話]アンナ・ ポロニー(母/エヴァ)/マヤ・バレルコスカ(娘 /マイカ)
[第8 話]テレサ・マシェスカ(エリザベタ)/マリア・コシャルスカ(ゾフィア)
[第 9話]エ ワ・ブラシュスク(妻/ハンカ)/ピオトル・マチャリカ(夫/ロメク)
[第10 話]イェ ジ・シュトゥール(兄/イェジ)/ズビグニェフ・ザマホフ スキ(弟/アルトゥル)
ア ルテュル・バルシス(1話から6話、8話,9話に登場する謎の青年)※ キシロフスキ「男 は行動に影響を 与えることはないが、主人公た ちに何をしているかについて考 えるように仕向ける……男の執 拗な凝視は内省を誘う」

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 ク シシュトフ・キェシロフスキ監督「モーゼの十 戒」をイメージし、一話完結型の連作十話で構成 させた作品である。テレビドラマとして製作されたが質の高さから、1989年のヴェネチア映画祭で上映されたのち、各国で劇場公開されたという。
 10の挿話はそれぞれ独立した作品だが、ワルシャワ郊外の集合住宅の住人であるので、 他の挿話の脇役として登場する。私 は当時、偶々放送されていた第5話を観て、リアルな映像に衝撃を受けた。その後、全 作品を観た。どの話も釘付けになったが、第1話と第5話は脳裏に 焼き付いて離れない。特 に抒情的な第6話はトメクマグダの 心理描写が細やかに描かれていて好きだ。
 「人の才能を見出すんじゃなくて、輝きを見出すん だ」と語っていたキェシロフスキ作品の人物は皆、輝いている。だから沁み込んで くるのだろう。

第1話 [ある運命に関する物語]-あなたは私の他になにものをも神としてはならない-(1988)(ポーラン ド)(56分)-Dekalog 1: Dekalog, jeden-
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ビエスワフ・ズドルト
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
出演:アンリク・バラノウスキ(
父 /クシシュトフ)/ボイチェフ・クラタ(息子/ パヴェウ)/マヤ・コモロフスカ(伯母/イリナ)/アルトゥル・バルチス(謎 の青年/湖のそばで焚き木にあたっているホームレス)
-
大学教授クシシュトフ(アンリク・バラノウスキ)徹 底的な合理主義者で息子パヴェウ(ボ イチェフ・クラタ)に コンピューター やチェスを教え込み仲良く暮らしている。母親は出稼ぎ中で伯母イリ ナ(マヤ・コモロフスカ)が二人の世話 をしている。クシシュトフは気 象庁からのデータで近所の氷の 厚さ を割り出して、安全にスケートで滑 れると判断するのだが…
続きはこ ちら


[あ る運命に関する物語]ボイチェフ・クラタ


[あ る運命に関する物語]ボイチェフ・クラ タ、マヤ・コモロフスカ


[あ る運命に関する物語]ボイチェフ・クラ タ、アンリク・バラノウスキ


[あ る運命に関する物語]ボイチェフ・クラタ、アンリク・バラノウスキ


[あ る運命に関する物語]アンリク・バラノウスキ

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第2話[ある選択 に関する物語]-あなたはあなたの 神、主の名をみだりに唱えてはならない-(1988)(ポーラン ド)(59分)-Dekalog 2: Dekalog, dwa-
監督:
クシシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:ク シシュトフ・キエシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ズビグニエフ・プレイスネル
美術:ハ リナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズ ビグニフ・ プレイスネル
撮 影監督:エドワルド・クウォシンスキ
出演:クリスティナ・ヤンダ(妻 /ドロタ)/レ クサンデル・バルディーニ(老医師)/オルギェルト・ウカシェビッチ(アンドレ)/アルトゥル・バルチス(謎の青年/病院の用務員)
-重病で危篤状態に陥っているアンドレの妻ドロタ(クリスティナ・ヤンダ)は、夫(オルギェルト・ウカシェビッチ)を愛しながらも別の男の子どもを身ごもってしまう。
老医師
(レ クサンデル・バルディーニ)「もし夫が死ぬのならこ の子を生 むことができるが、夫が生き延 びるなら中絶するしかない」「病 状を教えてほしい」と 迫るが彼は返答を拒否する。


[ある選択に関する物語]レ クサンデル・バルディーニ、クリスティナ・ヤンダ


[ある選択 に関する物語]レ クサンデル・バルディーニ
 

[ある選択に関する物語]クリスティナ・ヤンダ


[ある選択 に関する物語]オルギェルト・ウカシェビッチ

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第3話[あるク リスマス・イヴに関する物語]-安息日 を覚えてこれ を聖とせよ-(1988)(ポーラン ド)(58分)-Dekalog 3: Dekalog, trzy-
監 督:
クシシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ピョートル・ソボチンスキ
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
出演:ダニエル・オルブリフスキ(ヤヌーシュ)/マリア・パクルニス(エヴァ)/ジョアン・チェプコスカ(ヤヌー シュの妻)/アルトゥル・バルチス(謎の青年/車掌)
-家族とクリスマスイブを祝っていた父親ヤヌーシュ(ダニエル・オルブリフスキ)のもとに、かつての恋人 エヴァ(マリア・パクルニス)から電話が入る…


[あるク リスマス・イヴに関する物語]ダニエル・オルブリフスキ、マリア・パクルニス


[あるク リスマス・イヴに関する物語]ダニエル・オルブリフスキetc


[あるク リスマス・イヴに関する物語]マリア・パクルニス、ダニエル・オルブリフスキ


[ある
ク リスマス・イヴに関する物語]ジョアン・チェプコスカ



[あるク リスマス・イヴに関する物語]

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第4話[ある父と娘に 関する物語]-あなたの父と母を敬え-(1988)(ポー ランド)(55 分)-Dekalog 4-
監 督
:クシシュトフ・キェシロフスキ
製作:リシャルト・フトコフス キ
脚本:
クシシュトフ・キェシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:
クシシュトフ・パクルスキ
美術:
ハリーナ・ドブロウォルスカ
編集:
エヴァ・スマル
音響
:マルゴリャタ・ヤヴォフスカ
音楽:ズビグニフ・ プレイスネル
出演:アドリアー ナ・ビエジンスカ(アンカ)/
ヤヌーシュ・ガヨス(父/ミハ ウ)/アダム・ハヌスキエウィッツ/アルトゥル・バルチス(謎の青年/ボートを漕ぐ男)/ヤン・テサシ
-演劇学校に通うアンカ(アドリアー ナ・ビエジンスカ)は、父ミハウ(ヤヌーシュ・ガヨス)と2人で 暮らしている。仕事で度々出張へ出 かけ るミハウは、いつもアンカ宛の手紙を持 ち歩いている…


[ある父と娘に 関する物語]ヤヌーシュ・ガヨス


[ある父と娘に 関する物語]アドリアー ナ・ビエジンスカヤヌーシュ・ガヨス


[ある父と娘に 関する物語]アドリアー ナ・ビエジンスカ


[ある父と娘に 関する物語]アドリアー ナ・ビエジンスカヤヌーシュ・ガヨス
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第5話[あ る殺人に 関する物語]-あなたはなにものをも殺してはならない-(1988)(ポーラン ド)(60分)-Dekalog 5: Dekalog, piec-
監 督:
ク シシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
ク シシュトフ・キェシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:スワヴォミル・イジャック
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
出演:ミロスワフ・バカ(
ヤツェッ ク)/ヤン・テサシ(タクシー運転手)/クシシュトフ・グロビ シュ(理想主義者の弁護士/ ピョートル・バリツキ)/ズビグ ニェフ・ザパズウィック(警部 )/ バルバラ・ドジェカン・ワイダ(レジ)/ アルトゥル・バルチス(謎の青年/ハシゴを担ぐ工事作業員)
-
「法は自然の法則を真似ずにー 改良すべきだ 法は人間どうしの関係をー 規制するために作られている 我々の生き方そ のも のが法でありー その効力を守っ たり犯したりする 人間は自由 だ だが その自由は他者の自 由に制限されている 刑罰はー  復讐である 特に犯罪の防止 で はなくー 犯罪人を傷つける時 は… 法が復讐するとは何事か   無垢なる者の代りに?法を作っ た者は無垢なのか」と 司法試験最終試問を前にした理 想主義者のピョートル弁護士の ナレーションで始まる。

団 地から出てきたタクシー運転手の目の前 に上から雑巾が落ちてくる。
それを拾い上を見上げながらゴミ捨て場 に行くと浮浪者が
浮浪者…「そ の雑巾を捨てるの? まだ使えるで しょ」 と言う。
タクシー運転 手…「誰 かが上から落とした」
笑い顔で
浮浪者…「当 たった?」と言う。
タクシー運転 者…「い や 見たことないかね?」と 言う。
 
知ってい たら怒鳴りつけてやると思っている。

町 をぶらついている青年ヤツェック(ミロ スワフ・バカ)が映 画館の受付で、
ヤツェック…「面白い映画?」と 聞く。
切符売り場の女が鏡を見ながら髪を触り 、
女…「退 屈よ」と素っ気なく言う。
ヤツェック…「ど んな話」と言う。
女…「恋 愛ものだけど… どっ ちにしろ上映は 午後から」と面倒くさ そうに言う。
ヤツェック…「何 してるの」と言う。
女…「白 髪とり」と言う。
ヤツェック…「こ の辺の乗り場は? タクシーの」と 聞く。
女…「ザ ムコヴィ広場」
 特に映画を観たいわけではない。た だ、話し相手がほしいだけのヤツェッ ク。

タク シーのフロントガラスに鳩の糞が付いて いるのを水を流して取り除こうとしてい る運転手。

路地 を歩いているヤツェックに、追っかけ合 い喧嘩している子どもたちがぶつかりそ うになる。
もみ合いになっているのを無視して去る ヤツェック。

車を 掃除しているタクシー運転手が、ミニス カートの若い娘がトラックの荷台に手を 伸ばしそうとしているのを体を倒して覗 こうとする。
気付いた娘は構わず背伸びして荷物を受 け取る。
タバコを吸いながら見ているタクシー運 転手。

町を 当てもなくうろついているヤツェック。
少女のスケッチに目が留まる。
モデルになっている女の子がヤツェック を見る。


[ある殺人に 関する物語]

 ヤツェックがのちに事故死した妹のことを話す付箋になってい る。
通り過ぎようとして引き返し絵描きに

ヤツェック…「ザムコヴィ広場は?」と聞く。
スケッチしながら、
絵描き…「まっ すぐ行った所」と言う。
タクシー乗り場で並んでいる人に割り込んで乗っている男2人をタバコを吸いながら見ているヤツェック。
ヤツェックに、
老婦人…「あっち行きな あたしの鳩 が怯えるだろ! 行っとくれ!」と冷たく言い放つ老婦人。
鳩のそばに行き追い払うヤツェック。
老婦人…「ゴロ ツキ」と言葉を投げつける老婦人。

橋の上から混雑したハイウェイを見ているヤツェック。
脇の下を体にくっつけてタクシー乗り場を覗くヤツェック。
橋にあった石を指で押しながら、落とす。
何台も衝突した事故の音が聞こえる。
その場を立ち去るヤツェック。


第2話のアンドレとドロタ夫妻がタクシー運転手に、
アンドレ…「空いてる?」と聞く。
洗車しながら、

タクシー運転手…「洗車中だよ」と言う。
ドロタ…「寒くても待つわ」と言い物置小屋の脇で待つ夫妻。
ふき掃除をしながら二人を見るタクシー運転手。
まだかと、タクシーの方を見るアンドレ。

先ほどの若い女がタクシーの前で座り込んでブーツを触っている。
 タクシー運転手を挑発している。

タクシー運転手…「ドライブでも しないか」と誘うタクシー運転手。
”からかっただけよ”とばかりに腰を振りながら立ち去る若い女。
物置小屋からタクシーに 近づくアンドレ。
アンドレをチラリと見て、

[ある殺人に 関する物語]ヤン・テサシ

洗車が終わるのを待って いた夫妻を乗せずにスピードを上げて走 り去ってしまうタクシー運転手。
 乗車拒否して面白がっている。
アンドレ…「待ってく れ」と走って来て呆れて見ているアンドレ。

写真店のウィンドウを通して少女たちの写真を食い入るように眺めて、

ヤツェック…「すみませ ん」
写真をチェックしながら、
女技師…「何でしょ う」
ヤツェック…「これ を…」と言いなが ら、棍棒、ロープを出す。
女技師…「内装工事 の人?」
ヤツェック…「違う」
女技師…「かと思っ た」
ヤツェック…「この写真 をー 引き伸ばせるかな」
古くなった少女の写真を見て、


[ある殺人に 関する物語]
女技師…「折り目は 残るけど」
すぐに写真を取り上げ見て、

ヤツェック…「構わな い」と言うヤツェッ ク。
 
大切な写 真なのだろう。表の写真のように綺麗にして もらいたいが手放したくない思いもある。
女技師…「待って て」と写真を持って奥の方へゆく。
心配そうに、

ヤツェック…「ねえ 写 真を見れば写ってる人のー 生死が分るって本当?」
女技師…「くだらな い嘘よ」

ストライキをして行進している中に割り込んで通り列を乱れさせるヤツェック。

タクシーの窓を下げ、野良犬を見て

タクシー運転手…「食うか?  食え」と言いパン を放り投げる。

便所で、自分に笑いかけた謎の青年
(アルトゥル・バルチス)


[ある殺人に 関する物語]アルトゥル・バルチス

を投げ倒しニタリとするヤツェック。

タクシーを探しながら、ぶらついているヤツェックが、警官を目にして避ける。
店に入り、
ヤツェック…「紅茶」
店員…「ありません」
ヤツェック…「何がある」
店員…「コーヒーとケーキ」
ヤツェック…「じゃあ 両方もらう シュークリー ム」「それじゃない そっちのを」
向かいの通路にいる警官を見ながらシュークリームにかぶりついているヤツェック。
立ち去る警官を見てテーブルの下でバックからロープを取り出し解き右手に巻き付けて引っ張り強度を 確かめる。

タクシー運転手が窓から2匹の子犬を散歩させている男をジッと見ている。
車の近くに来たところでクラクションを長押しし鳴らす。
驚いた子犬たちが暴れ出し逃げ出す。
「マッジオ!」と呼ぶ男。
それを面白がって見ているタクシー運転手。

店のウィンドウ越しに少女が遊んでいるのを目にしたヤツェックが、コーヒーをかき混ぜてスプーンで 飛ばす。
 元々、飲みたかった紅茶ではなかったので。
窓にべったりと着いたのを見て少女たちが笑う。
それを見てヤツェックも笑う。


[ある殺人に 関する物語]ミロスワフ・バ

少女たちは直ぐに去ってゆく。
寂しそうに見ているヤツェック。

「面接に合格したことを 喜 びをもって伝えよう 4年間の修習生活を終えー今日から君は 我々の同僚だ」と告げられ喜ぶピョー トル。

ロープをテーブルの下で右手に何重にも巻き付け強度を確認すると立ち上がり、回収されたナイフに付 いたクリームを落とし盗む。

2人の酔っ払いが近づくのを見て走り去るタクシー運転手。

カフェを出るとき他の客のコーヒーカップの中につばを吐くヤツェック。

ヤツェックがタクシー乗り場に着くと一台は客を乗せ立ち去る。
その後に来たタクシーに乗ろうとする。
後から来た2人連れの一人が
男…「失礼 モコトゥフへは?」と言う。
首を振り、
ヤツェック…「ヴォラだ」と 言うヤツェック。
男…「急用なんですが…」
構わずタクシーへ乗り、」
ヤツェック…「モコトゥフへ」と 言うヤツェック。
タクシー運転手…「あの男の行き先 は?」と言うタクシー運転手。
ヤツェック…「ヴォラ区だ」と 嘘を言うヤツェック。
”どっちだっていいや”と車を走らせ るタクシー運転手。

反 社会的で危険な孤独者が、乗車 拒否したり意地悪な行動をして いるタクシー運転手と外から隔離された車内で一 緒になる。
何かスカッとすることをやりた く て、両 手にロープをしっかり巻き付けている。
い つも失望しているヤツェックが、 乗客を失望させて続けてい るタクシー運転手の車に乗る。

謎の青年
(ア ルトゥル・バルチス)と目が合う。
目が合わないように影になっている部分へ
背伸び して隠れるヤツェック。
”だめだよ”と 首を横に振る謎の青年=天使
(アルトゥル・バルチス)

運転手の真後ろの座席に移動して
ヤツェック…「窓を閉めて 寒くて」と 言うヤツェック。
窓を閉めるタクシー運転手。
右手に巻いているロープを見る
ヤ ツェック。
車を止めて園児たちに先に渡るよう に促すタクシー運転手。
 良い行いをする気になったのは、 何か知らせるものがあったのだろう か。
ヤツェック…「この先を左」と言うヤツェック。
タクシー運転手…「まっすぐでも行けるよ」と言うタクシー運転手。
ヤツェック…「曲がってくれ」と言うヤツェック。
タクシー運転手…「了解」と言うタクシー運転手。
人気のない道に入っていく。

ロープを巻き付けたヤツェックの両手が映し出 される
両手で引っ張り切れないことを 確かめている。
ヤツェック…「そこで止めてくれ 先へ行けない」と 言うヤツェック。
タクシー運転手…「行こうとも思わない」と 言うタクシー運転手。


[ある殺人に 関する物語]ミロスワフ・バ


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のちに再編 集した映画『殺人 に関する短いフィルム』が 製作・公開され、同作が 1988年・第41回カンヌ国 際映画祭で審査員賞と国際批評 家連盟賞を受賞した。

キェ シロフスキ監督の作品 が 2003/3/8〜4/25ま で渋谷のル・シネマで上映 された。『トリコロール 3部作(青 の愛・白の 愛・赤の愛)『ふたり のベロニカ』『傷跡』『アマ チュア』『偶然』『終わりな し』『殺人に 関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』な どでほとんど鑑賞した。
キェ シロフスキ監督は54 才 で 1996年に心臓病で亡くなっ ている。
私がキェ シロフスキ監督を知ったのは、1990数年頃に「モーゼの十戒」 をイメージし、一話完結型の連作十話で構成された『デカローグ』(1987〜1989)を見 てか らだった。その中でも第5話[殺人に関する物語]・第6話[愛に関する物語]に 衝撃を受けた。その第5話のオリジナルバージョンの『殺人に関する短いフィルム』(1987) と第6話のロングバー ジョン『愛に関する短いフィルム』(1988)も上映されたので十分 楽 しめた。『トリコロール 赤の愛』を作った後に 亡くなったキェ シロフスキ監督程、次回作を期待された人はいないと言われていた。それを感じさせる程、会場 は盛況で上記の日程より1週間追加上映された。


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第6話[ある愛に 関する物語]-あなたは姦淫してはならない-(1988)(ポーラン ド)(61分)-Dekalog 6: Dekalog, szesc-
監 督:
ク シシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
ク シシュトフ・キェシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ビトルド・アダメク
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
出演:オラフ・バシェンコ(
トメク)/グラジナ・シャポウォフスカ(マ グダ)/ ステファニア・イヴィンスカ(外国 にいる友人の母)/アルトゥル・バルチス(謎の青年/食品袋を持つ男)
-郵 便局で働く19歳の少年トメク
(オラフ・バシェン コ)は、 向かいのアパートに住む美しい女性 マグダ(グラジ ナ・シャポウォフスカ)の部屋をいつも望 遠鏡で覗いている…


[あ る愛に 関する物語]オラフ・バシェンコ

続きはこ ちら

のちに劇場用長編 映画とし て再編集された『愛に関す る短いフィルム』も製作・公開された。

キェ シロフスキ監督の作品 が2003/3/8〜4/25 まで渋谷のル・シネマで上映 された。トリコロール3部作(青 の愛・白の 愛・赤の愛)『ふたり のベロニカ』『傷跡』『アマ チュア』『偶然』『終わりな し』『殺人に 関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』な どでほとんど鑑賞した。
キェシロフスキ監督は54才で1996年に心臓病で亡くなっている。
私がキェ シロフスキ監督を知ったのは、1990数年頃に「モーゼの十戒」 をイメージし、一話完結型の連作十話で構成された『デカローグ』(1987〜1989)を見てか らだった。その中でも第5話[殺人に関する物語]・第6話[愛に関する物語]に 衝撃を受けた。その第5話のオリジナルバージョンの『殺人に関する短いフィルム』(1987) と第6話のロングバー ジョン『愛に関する短いフィルム』(1988)も上映されたので十分楽し めた。『トリコロール 赤の愛』を作った後に 亡くなったキェ シロフスキ監督程、次回作を期待された人はいないと言われていた。それを感じさせる程、会場 は盛況で上記の日程より1週間追加上映された。


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第7話[ある告 白に関する物語]-あなたは盗みをしてはならない-(1988)(ポー ランド)(57 分)-Dekalog 7: Dekalog, siedem-
監督:
ク シシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
ク シシュトフ・キェシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ダリウシュ・クッツ
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
出演:アンナ・ポロニー(母/エヴァ)/
マヤ・バレルコスカ(娘/マイカ)/カタリナ・ピ オマルスキー(6歳/ アニヤ)/ウラジスラウ・コワルスキ(父 /ステファン)/ ボゼナ・ディキエル(若 い男/ウォジェク)
-16 歳で私生児を産んだマイカ
(マヤ・バレルコスカ)。校長でもあるマイカの母エヴァ(アンナ・ポロニー)はスキャン ダルを避けるためにマイカの子アニヤ(カタリ ナ・ピ オマルスキー)を自分の娘として育て る。23歳になったマイカは母から娘を取り返そうと決意し実行するが…


[ある告白 に関する物語]アンナ・ポロニー、カタリナ・ピオマルスキーetc


[ある告白に関する物語]マヤ・バレルコスカ、カタリ ナ・ピオマルスキー



[ある告 白に関する物語]ボゼナ・ディ キエル、カタリナ・ピオマルス キー、マヤ・バ レルコスカ


[ある告 白に関する物語]マヤ・バレル コスカ、カタリナ・ピオマルス キー


[ある告 白に関する物語][ある告白 に関する物語]ウラジスラウ・コワルスキ、アンナ・ポロニー、カタリナ・ピオマルス キー

第8話[あ る過去に 関する物語]-あなた は隣人について、偽証してはな らない-(1988)(ポーラン ド)(57分)-Dekalog 8: Dekalog, osiem-
監 督:
クシシュト フ・キェシロフスキ
製 作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:
ク シシュト フ・キェシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:アンジェイ・ジェロシェビチ
美術:ハリナ・ドブロヴォルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニ
フ・ プレイスネル
撮 影監督:
ア ンジェイ・ヤロシェヴィチ

出演:テレサ・マシェスカ(エリザベタ)/マリア・コシャルスカ(ゾフィア)/タデウシュ・ロムニキ(仕 立屋)/アル トゥル・バルチス(謎の青年/学生)
-ワルシャワ大学で 倫理学を教えるゾフィア(マリア・コシャルスカ)の元に、彼女の著 書を英訳したアメリカの倫理学者エリザベタ(テレサ・マシェスカ)が訪ねてくる。
ゾフィアの講義に参加したエリザベタが質問をした。
「ナチス時代のワルシャワで、ユダヤ人 少女の命を守るための洗礼の後見人になるのを拒ん だカトリックの夫婦の倫理とは?」と。
動揺するゾフィア。頭を抱え込むエリザベタ。


[ある過去
に関する物語]
テレサ・ マシェスカetc


[ある過去
に 関する物語]
テレサ・ マシェスカ、マリア・コシャルスカ etc

 


[ある過去に 関する物語]マ リア・コシャルスカ、テ レサ・マシェスカ


[ある過 去に 関する物語]マ リア・コシャルスカ


[ある過去に関する物語]タデウシュ・ロムニキ、テレサ・ マシェスカ


[ある過去に 関する物語]テレサ・ マシェスカ、マ リア・コシャルスカ

第9話[ある孤 独に関する物語]-あなたは他 人の妻を取ってはならない-(1988)(ポー ランド)(61 分)-Dekalog 9: Dekalog, dziewiec-
監督:
ク シシュトフ・キェシロフスキ
製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:ク シシュトフ・キエシロフスキ/クシ シュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ピョートル・ソボチンスキ
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニフ・ プレイスネル
出演:エワ・ブラシュスク(妻/ハンカ)/ピオトル・マチャリカ(夫/ロメク)/ヤン・ヤンコフスキ(物理学者の学生/愛人/マリウシュ)/アルトゥル・バルチス(謎の青年/自転車を漕ぐ男)
-心臓外科医のロメク
(ピオトル・マチャリカ)が回 復の見込みがない性的不能に陥る。自尊心を失ったロメクを「肉体関係だけが愛ではない」と慰め 励ます妻ハンカ(エワ・ブラシュスク)には愛人マリウシュ(ヤン・ヤンコフスキ)がいた。
この関係を清算しようとするが、求めてくる若いマリウシュとの情事が続く。
二人の関係を知ったロメクは電話を盗聴し妻を尾行する。
逢引するアパートに張り込み、抱き合う姿を目撃するロメク。
ある日、潜んでいたロメクにハンカが気づき…


[ある孤独に関する物語]
ピオトル・マチャリカ、エワ・ブラシュスク


[ある孤独に関する物語]ピオトル・ マチャリカ


[ある孤独に関する物語]エワ・ ブラシュスク


[ある孤独に関する物語]ピ オトル・マチャリカ、エワ・ブラシュスク
 

 
[ある孤 独に関する物語]エワ・ブラシュスク、ピオトル・マチャリカ

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第10話[ある希望に関する物語]-あ なた は隣人の家をむさばってはならない-(1988)(ポー ランド)(60 分)-Dekalog 10: Dekalog, dziesiec-
監 督:
クシシュトフ・キェシロフスキ

製作:リシャルト・フトコフスキ
脚本:ク シシュトフ・キエシロフスキ/
クシシュトフ・ピェシェヴィチ
撮影:ヤセット・ブラブト
美術:ハリナ・ドブロボルスカ
編集:エバ・スマル
音楽:ズビグニェフ・プレイスネル

出 演:イェジ・シュトゥール(兄/イェジ)
/ズビグニェフ・ザマホフスキ(弟/アルトゥル)
-父の死をきっ かけに久々に会った兄弟が、父の遺品の切手に高値が つくことを知り喜ぶが…
切手が盗まれ兄
(イェジ・シュトゥール)は弟(ズビグニェフ・ザマホフスキ)を、弟 は兄を疑う。
その二人が目にしたのは…


[ある希望に関する物語]イェジ・シュトゥール、ズビグニェフ・ザマホフスキ


[ある希望に関する物語]ズビグニェフ・ザマホフスキ、イェ ジ・シュトゥール


[ある希望に関する物語]イェジ・シュトゥール、ズビグニェフ・ザマホフスキ



[ある希望に関する物 語]イェジ・シュトゥール、ズビグニェフ・ザマホフスキ

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10の挿話はワ ルシャワ郊外の集合住宅の住人であるので、 他の挿話の脇役として登場している。それぞれの人間模様の続編を見ているようだ。
あの人はどうしているのだろう。乗り越えているのだろうか、沈み込んでいるのだろうかと思いを巡らせる。
 のちの作品、トリコ ロールのように青(第1話のインクが染み込こ んでいく)、白(第6話 の牛乳瓶が割れ通路に広がる)、赤(第6話の白 い洗面器の中で血が広がってゆく)など不気味に画面に入れ込まれていたり、パソコンの画面 や雪、火なども然りだ。また、窓、ガラス、鏡、穴、壁、庭、車、電話、特に牛乳は頻 繁に効果的に使われている。
それぞれの役割を楽しめるのも1話完結でありながら、続編の要素があるからだろう。

 キェシロフスキ「誰でも十戒を道 徳規範の一種として受け入れているように見 える」 「そして誰もがそれを破っている。十戒を尊重しようとすることだけで、相当なこと を成し遂げているのだ。『デカローグ』のメッセージをあえて口に出して言わなけれ ばならないとしたら、目を大きく開いて注意しながら生活し、そうして苦痛を引き起 こさないように努めなさいというだろう」と結んでいたと言う。


デカローグ



クシシュトフ・キェシロフスキ


『デカローグ』はスタ ンリー・キューブリックなどに称賛され、ロジャー・イーバートやロバート・フルフォードなどの映画批評家も 称賛した。

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〜パンフレッド〜


キェシロフスキ・コレクション〜ゆらめく愛 の輪郭/ワルシャワからパリへ〜 LE CINÉMA Bunkamura Shibuya-TOKYO

キェシロフスキ監督の作品が 2003/3/8〜4/25まで渋谷の ル・シネマで上映 された。『トリコロール3部作(青 の愛・白の 愛・赤の愛『ふたり のベロニカ』『傷跡』『アマ チュア』『偶然』『終わりな し』『殺人に 関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』な どでほとんど鑑賞した。

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