これはフランス国旗三色の持つ青(自由)、白(平 等)、赤(博愛)の意味をテーマ にキェシロフスキ監督が作った運命と偶然の恋愛物語三部作だ。特に三部作の幕下ろしの『赤 の愛』が素晴らしく、孤独な元判事(ジャン=ルイ・トランティニャン)と純真な女子大生(イ レーヌ・ジャコブ)の出会いによってもたらせられる心理描写が圧巻 だ。この作品で主演のイ レーヌ・ジャコブに惹かれた。それにジャン=ルイ・トランティニャンも渋いいい味を出している。人 生のひだを演じている、絶品だ。 キェシロフスキ監督の作品が2003/3/8〜4/25まで渋谷のル・シネマで上映
された。『トリコロール3部作(青の愛・白の愛・赤の愛)』『ふたりのベロニカ』『傷跡』『アマチュア』『偶然』『終わりなし』『殺人に
関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』などでほとんど鑑賞した。
そもそも、私がキェシロフスキ監督を知ったのは、1990数年頃に「モーゼの十戒」 をイメージし、一話完結型の連作十話で構成された『デ カローグ』(1987〜1989)を 見てからだった。その中でも第5話[殺人に関する物語]・第6話[愛 に関する物語]に 衝撃を受けた。その第5話のオリジナルバージョンの『殺人に関する短い フィルム』(1987)と第6話のロングバー ジョン『愛に関する短いフィルム』(1988)も上映されたので十分楽しめた。『トリコロール 赤の愛』を 作った後に 亡くなったキェシロフスキ監督程、次回作を期待された人はいないと言われていた。それを感じさせる程、会場 は盛況で上記の日程より1週間追加上映された。今日(2004.6.9)、キェシロフスキ監督の作品がWOWOWで放送されることを知り紹介したくなった。
〜年譜〜
…6月27日、ポーランド、ワルシャワ生まれ。 『路面電車』
『役所の窓口』
『リクエスト』
『写真』
『ウッチの街から』
『私は兵士だった』
『工場』
『ラリーを前に』
『我々なき我々はない〜
労働者たち』 『繰り返し』
『ヴロツワフとジェロー
ナ・グラの間で』 『銅鉱の安全および衛生
の基礎』 『煉瓦工』
『地下歩道』
『レントゲン』
『初恋』
『ある党員の履歴書』
『スタッフ』
『病院』
『傷跡』-Blizna-(ポーランド)
『傷跡』 『カチンコ』
『平穏』
『私には分からない』
『ある夜警の視点から』
『種々の年齢の7人の
女』 『アマチュア』-Amator-(1979年モスクワ国際
映画祭金賞(グラ
ンプリ))(1979年モスクワ国際映画祭国際批評家連盟賞)(1979年グダニスク映画祭グランプリ)
(1979年シカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴ(グランプリ)賞)☆ 『アマチュア』 『駅』
『トーキング・ヘッズ』
『偶然』-Przypadek-☆
『偶然』 『短い労働の日』
『終わりなし』-Bez konca-☆
『終わりなし』グ ラジナ・シャポウォフスカetc
『殺人に関する短いフィ
ルム』-A Short Film About Killing/Krotki
film o zabijaniu-(1988年グダニスク映画祭グランプリ)(1988
年カンヌ国際映画祭審査員賞、国
際批評家連盟賞)(1988年第1回ヨーロッパ(フェリックス)賞作品賞)★ 『殺人に関する短いフィ ルム』 『週7日間』
『愛に関する短いフィル
ム』-A
Short Film About Love/Krotki film o milosci-(1988
年グダニスク映画祭グランプリ)(1988年サン・セバスティアン映画祭国際批評家連盟
賞、審査員特別賞、 全キリスト教会審査員賞)★ 『デ
カローグ』-Dekalog/The
Decalogue-(1988
年ヨーロッパ映画祭グラン プリ)(1988年フェリックス賞)(1988
年ダンケルク国際映画祭国 際批評家 連盟賞)(1988年サンパウロ国際映画祭国際
批評家連盟賞)(1988 年ストラスブール・シルティグハイム市賞)(1988
年ライン州議会賞) (1989 年ヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞)
(1989年ミラノ国際映画祭 Youth&Film賞)(1989年サンパ
ウロ国際映画祭一般部門 賞)(1990 年シドニー国際映画祭銅賞) (1990
年ベローナ・キリスト教会協会賞)(1990 年イタリア「ENNIO
FLAIANO」協会脚本賞)★
『デカローグ』 『ふたりのベロニカ』(1991
年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、全 キリスト教会賞)(1991年
全米映画批評家教会賞、外国作品賞)★
『トリコロール3部作/青の愛』(ヴェ
ネチア国際映画祭金獅子賞)☆ 『トリコロール3部作/白の愛』☆
『ト
リコロール3部作/赤の愛』(1994年NY批評家協会賞外国映
画賞) (1994年ロサンゼルス批評家協会賞外国映画賞)★
…3月13日、永眠。
※記号[★:特に好きな作品 ☆:面白い 作品] <前 へ-次 へ> 参 考文献 『デカローグ』 『ト リコロール3部作/赤の愛』 イ レーヌ・ジャコブ 監 督 サ イトマップ 映 画ありき2 映画ありき 〜クラシック映画に魅せら れて〜 |