ヒッチコック・ア ワー
-The Alfred Hitchcock Hour-
ひ き逃げを見た
-I Saw the Whole Thing-

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに] web拍手 by FC2
(1962)(米)(TV映 画)-I Saw the Whole Thing-
Part2


〜 証人ジョン・ホーイ大佐〜

ジョン・ ホーイ大佐が杖をつきながら入って 来て、宣誓し証人席に座る。
アンダーソン検事…「交差点に面した家に お住まいですね」


[ひき逃げ を見た] ジョン・ザレンバ、フィリップ・オーバー

ジョン・ ホーイ大佐…「そうだ」
アンダーソン検事…「図のとおりですか」
”ホーイ大佐宅”と書かれた図を見て、
ジョン・ホーイ大佐…
「そ うだ」と言う。
アンダーソン検事…
「事故の日 戸 外に いましたね」
ジョン・ホーイ大 佐…
「庭にいた」
アンダーソン検事…
「見たこ とを お話し下さい」
ジョン・ホーイ大佐…
「あの日 庭でバラの世話をしていると スポー ツ カーが 交差点に向かってきた」
ア ンダーソン検事…
「ど れくらいの速さで?」
ジョン・ホーイ大佐…
「速すぎて すぐには止まれなかった」
アンダーソン検事…
「停止しなかったと?」
ジョン・ホーイ大佐…
「そうだ そこへバイクが来て  衝 突した」
アンダーソン検事…
「バイクがよけられた 可能性 は?」
話を遮られて、
ジョン・ホーイ大佐…
「まだ話は終わっとら ん  口を挟むな」と怒る。
ニールソン判事…
「まあ そう怒ら ずに  確認してるだけです」
ニールソン判事に、
ジョン・ホーイ大佐…
「余計やや こしくなる」と返す。
苦笑いするニールソン判事。

アンダーソン検事…
「黙っておりますので 続けて下さい」
ジョン・ホーイ大佐…「あとは あまりない 車は止まらずに バイクと衝突 そのまま逃 げ た」と言い、バーンズを睨む。
バーンズ…
「…」
アンダーソン検事…
「車は速度 を落 としましたか」
ジョン・ホーイ大佐…「ブレーキをかけたが 遅すぎた」
アンダーソン検事…「一方の バイ クですが 速さはどうでした?」
ジョン・ホーイ大佐…「普通だったな」
アンダーソン検事…「で も よけられなかったと?」
ジョン・ ホー イ大佐…「弾丸と同じだ 発射されると 方向は 変え られん 気づいたときは遅い あんな車を公道で 走らせるのが間違いだ」と声を荒げてバーンズを見て言う。
バーンズ…
「…」
アンダーソン検事…
「最後に1つだけ 事故の前または 後に  被告か被害者と面識は?」

ジョン・ホーイ大佐…
「2つの質問だ」
ニールソン判事…「4つです お答えを」
ジョン・ホーイ大佐…「”ノーノーノ― ノー” だ」
頷き、
アンダーソン検事…
「以上です」と言い、笑顔になるアンダーソン検事。
ニールソン判 事…「反 対尋問を」
バーンズ…「ホーイ大佐  大 変失礼な質問ですが」
怒り、
ジョン・ホーイ大佐
「異議あ り」と、ニールソン判事に向かって言う。
ニールソン判事…「証人に は許 されません」
ジョン・ホーイ大佐…「あ の事 故の張本人が…」
ニールソン判事…「自 分の弁護をする場合は 尋問できま す
検事のときと同様に お答え下さ い」

ニールソン判事に礼を言い、
バーンズ…「大佐 失礼 なこ とを お聞きしますが 足がお悪いのですね」
ジョン・ホーイ大佐…「片足を 失っ た」
バーンズ…「お 気の 毒です ひょっとして 自動車事故でー  失ったのでは?」
ジョン・ホーイ大佐…「違 う 戦争でだ」
バーンズ…「そ うですか どうもー スポーツ カーが お嫌いなのが解せなく て」
ジョン・ホーイ大佐…「それも質問か」
バーンズ…「いえ ただの感想です  教えて下さい 事故のとき何を 考えていました か」
ジョン・ホーイ大佐…「き みには関係ない」
バーンズ…「何 か考えたはずだ スポーツ カーを見て どう思ったんで す」
ジョン・ホーイ大佐…「飛ばしてると思った」
バーンズ…「それだけですか」
ジョン・ホーイ大佐…「バ ラのこともだ」
バーンズ…「お 庭のバラですね ご自慢です か」
ジョン・ホーイ大佐…「悪いかね」
バーンズ…「とんでもない 奥さん をー 亡くされましたね」
ジョン・ホーイ大佐…「そ うだ」
バーンズ…「お 子さんは?」
ジョン・ホーイ大佐…「いない」
バーンズ…「ためらったようですが」
ジョン・ホーイ大佐…「子 供はいない」
バーンズ…「こ れまでも?」
ジョン・ホーイ大佐…「不愉快だ あれこれと…」と声を荒げ、判事の方を見る。
ニールソン判事…「答えて下さい」
ジョン・ホー イ大 佐…「息子 がいた」
バー ンズ…「ど うされたんです」
ジョン・ホーイ大佐…「死んだ」
バーンズ…「お気の毒です 戦地で亡くなられ た?」
ジョン・ホーイ大佐…「いや 3歳だった」
バーンズ…「よく思い出されるでしょ うね  事故のときも息子さんが 頭をよぎったのでは?」
ジョン・ホーイ大佐…「…」
バーンズ…「立ち入っ て恐 縮ですが 息子さんの死因は?」
ジョン・ホーイ大佐…「ス ポーツ カーにひかれた」
 そ れで… スポーツカーが嫌いなわけだ。


[ひき逃げを見た]
ジョン・フォーサイ ス、フィリップ・オーバー

Top

〜 証人スチュワート〜

 ヒッチコック劇場、お馴染み のジョン・ フィードラ―の登場だ。


[ひき逃げを見た]ジョン・ザレンバ、ジョン・フィードラー

アンダーソン検事…「スチュワートさん  曖昧な目撃談を聞いてー ご自分の証言に不安は?」
スチュワート…「全くありません」
ア ンダーソン検事…「あな たの事故の記憶は 確 実なものですか」
スチュワート…「完璧です」
ア ンダーソン検事…「恋愛問 題に頭 をー 悩ませていた?」
スチュワート…「幸 せな結婚 生活を 送ってます」
アンダーソン検事…「スポーツカーは嫌い?」
スチュワート…「好きです 息子の誕生祝いに 買って やりました」
ア ンダーソン検事…「バーン ズ氏の十 八番を 拝借しましょう 事故のとき何を考えていましたか」
スチュワート…「何 も ひき 逃げ犯のこと以外は」と言い、バーンズの方を見る。
バーンズ…「…」
アンダーソン検事…「あなたも運転中でしたね」
スチュワート…「ええ すぐ後ろにいました」
アンダーソン検事…「ど れくらい 後ろですか」
スチュワート…「だいたいー 20メートルです」
ア ンダーソン検事…「事故はよく見えましたか」
スチュワート…「はっきりとね 右手からバイクが 来て 車 は交差点でブレーキを だが衝突して男が投げ出された」
アンダーソン検事…「あなたは何を?」
スチュワート…「車を止めて けが人を助けました」
ア ンダーソン検事…「スポー ツカー は?」
スチュワート…「逃 げていき ましたよ」
アンダーソン検事…「”ひき逃げ犯”と言われましたが それだ けでは曖 昧です 具体的にはどの人です?」
バーンズを指して、
スチュワート…「もちろん やつのことさ」
頷き、
アンダーソン検 事…「以上です」と言い、満足そうにスチュワートを見る。
ニー ル ソン判事…「反対尋問を」
バーンズ…「先ほど検事さんに 得意の質問を取られて しまいま した 何も考えていなかったという返事でしたね」
ス チュワート…「そうだ」
バー ンズ…「本当ですか 私は何をしていてもー とり とめのな いことを考えています
たとえば今は あなたのネクタイの柄や この法廷は暑いなといったことを…」
ス チュワート…「運転のことを考えていた」
バーンズ…「運転中ずっとですか」
スチュワート…「そのとおり だから事故を起 こさな い」
バーンズ…「あなたの車の速度は?」
スチュワート…「時速60キロ」
バーンズ…「停止するには  速すぎる のでは?」
スチュワート…「表示の手前 で徐行し たんだ」
バーンズ…「だ が車を 止めたのは 事故の後だと」
スチュワート…「言っ てないね」
バーンズ…「言 いましたよ もう一度 先ほど の証言 を」
ニールソン判事…「読 み返して下さい」と法廷書記官に言う。
顔を顰めバーンズを見るスチュワート。


[ひき逃げを見た]ジョン・フォーサイス、ジョン・フィードラー

法廷書記官…「”バイクが衝突 して  男が投げだされた””あなたは何を?””車を止めて けが人を助けました”」
スチュワート…「駐車したという意味だ 一時停止はしていた」
バー ンズ…「バイクが来るのを見て  徐行するのに夢中で 前の車のことなど 見ていなかったのでは?」
ス チュワート…「いや すべて見てい た あんたは停止しなかった 無謀な運転で 事故を引き起こしたんだ」と 断定する。

[ひき逃げを見た] ジョン・フォーサイス、ジョン・フィードラー

スチュ ワートに一礼し、肩を落とし反対尋問を終わる。
 断定されては反論の余地がないから。

〜 証人ピーターソン〜
ア ンダーソン検事…「尋問は以上で す」
ニールソン判事…「まだ立たないで  反対尋問があります」
バーンズ…「ピーターソンさん お手 間を取らせます」


[ひき逃げを見た]ジョン・フォーサイス、ウィリス・ブーチェイ、ウィリアム・ ニューウェル

ピー ターソン…「かまわんよ」
バーンズ…「ほかの証人 と一致した ご意見ですね」
ピーターソ ン…「それが 事実だからさ」
バーンズ…「そ うとは限りません あの日 あなたは  居酒 屋から出てきて 事故を目撃したんですね」
ピーターソ ン…「そ う言ったか?」
バーンズ…「違うんですか」
ピーターソ ン…「どっちかだな 出てきたところか  入っていく前だ」
バーンズ…「重要な点ですよ 出た後 なら  道路を向いてるし 入る前なら 店のほうを向いています」
ピーターソ ン…「断 言はできん」
バーンズ…「なぜです」
ピーターソ ン…「店のほうを向い てー 出てくることもあるからさ」
バーンズ…「追い出され るという 意味ですか」
ピーターソ ン…「ちょっ と違うな」
バーンズ…「出 て行けと言われる?」
ピーターソ ン…「両 脇を抱えられて 出てくるってこと だ」
バーンズ…「あの日もそうでしたか」
ピーターソ ン…「い や 金銭的理由で退散したんだ  からっけつでね」
バーンズ…「何杯 飲んでいました か」
ピーターソ ン…「1〜2 杯しか飲んでない そう女房に 言ったよ」
 女 房殿、強し。
バーンズ…「しかし 実際は?」
ピーターソ ン…「5〜6 杯ってとこかな」
バーンズ…「はっきり見えましたか」
ピーターソ ン…「幻 が? そこまではー 酔ってな い」
バーンズ…「そうではなく 事故のこ とです」
ピーターソ ン…「な んだ そのことか」
バーンズ…「はっきり見たんですね」
ピーターソ ン…「と んでもない」
バーンズ…「目撃証言を
行ったでしょう」
ピーターソ ン…「お れが?」
バーンズ…「そうですよ 居酒屋を出 たときは 泥 酔していた?」
ピーターソ ン…「た ぶんな」
バーンズ…「かなり酔っ払っていたん ですね」
ピーターソ ン…「最 初の言葉がいいな」
バーンズ…「”泥酔”?」
ピーターソ ン…
頷く。
 か なり酔っていたんだ。
バーン ズ…「では事故の詳細は わから なかった と?」
ピーターソン…「そうかもしれん」
バーン ズ…「いいですか よく聞 いて下さい スポーツカーが 一時停止するのを見ました か」
ピーター ソン…「そこは憶えてな いな 人がはね飛ばされるのを見て  酔いがさめたよ だから酒場に逆戻りし た」
ピーターソン笑みを浮かべてお辞儀し、

バーンズ…「尋問を終わ ります」と言う。

〜 友人ジェリーとバーンズ

バー ンズは、これまでのやり取りで陪審員が どのように受け取っているだろうかと、友人ジュリーに聞く。
ステラが分娩室に入ったと連絡を受け、気にしているバーンズに今は裁判に 集中するようにとアドバイスするジェリ―。

証 人ダウリング〜

アンダーソン 検事…「名 前はダウリングですね」
ダウリング…「それは旧姓です」
アン ダーソン検事…「というと?」
ダウリン グ…「最近まで ブ ルックス夫人でした」
ニールソ ン判事…「ちょっ と失礼 つまり ご主人とは 別れたのですか」
ダウリン グ…「離婚し ました」
ニールソ ン判事…「続 けて」
アンダーソン検事…「ダ ウリングさん 事故の日 どこで  何を見たか話して下さい」
ダウリン グ…「バス停にいました」
アンダーソン検事…「車が目に入ったのは?」
ダウリン グ…「交差点の手前です」
アンダーソン検事…「一 時停止しま したか」
ダウリン グ…「ええ」


[ひき逃げを見た]ジョン・ザレンバ、クレア・グリスワルド

身を乗 り出して聞いているバーンズ。
アンダー ソン検事…
「私はー 停止したか と聞いたんです」
思わず立ち上 がって、
バーンズ…「したと言っ たぞ」と言うバーンズ。


[ひき逃げを見た] ジョン・フォーサイス

アンダーソン検事…「私が証人を 尋問中です 証人に確認したい 質問の意味 を理解しまし たか」
ダウリング…「一 時停止をしたか? しました」


[ひき逃げを見た] ジョン・ザレンバ、クレア・グリスワルド

アンダーソン検事…「確 かですか」
ダウリン グ…「た ぶん」
アンダーソン検事…「た ぶん?」
話そうと するダウ リングを遮り、
アン ダーソン検事…「そ れでは確かに見たとは 言えません な」
またも、話そう とするダウリングを遮り、
アン ダーソ ン検事…「た だ今より彼女を 弁護 側の証人と見なします」と 判事に向かって言う。
ニー ルソン判事…「よ ろしい」
ア ンダーソン検事…「裁判の始まる前に 供述書を書きましたね」
ダ ウリ ング…「ええ」
ア ンダーソン検事…「被告と面識はあります か」
ダ ウリング…「ノー」と首を横に振るダウリ ング。
アンダーソン検事…「被害者とは?」
ダ ウリング…「ノー」首を横に振るダ ウリング。
ア ンダーソン検事…
「話をしたこ とは?」
ダ ウリング…「ノー」
首を横に振り話そうとするダウ リングを遮り、
ア ンダーソン検事…「双方の弁護士とも?」と言う。
ダ ウリング…「ノー」
ア ンダーソン 検事…「事 故当時の供述書を 憶えていますか」
ダ ウリング…「イエス」と 頷くダウリング。
ア ン ダーソン検事…「だが その後 証言を変え たようだ」
ダ ウリング…「そうですか?」
ダウリングを睨みながら、
アン ダーソン検事…「供述書をここへ」と 言い、法廷書記官が持って来た供述書 をダウリングへ見せ、
ア ンダーソン検事…「あなたのサインで すね」と言う。
ダ ウリング…「イエス」と 頷く ダウリング。
ア ンダーソン検 事…「当時と今 と どちらが本当です?」
ダ ウリング…「今 です」
アンダー ソン検事…「な ぜ」
ダ ウリング…「あのと きは 勘違いしていました」とにこやか に 答える。


[ひき逃げを見た]ジョン・ザレンバ、 クレア・グリスワルド

ダ ウリングを睨みながら、
アンダーソン検事…「以上です」と 言い終わる。
ニー ルソン判事…「尋問は?」とバーンズに言う。
首 を振り立ち上がり、
バー ンズ…「ありません」と言う。
ニー ルソン判事…「”何を考えていたか”も?」
バー ンズ…「結 構です」
ニールソ ン判事…「では私が聞こう」
にこやかに座るバーンズ。
ニールソン判事…「事 故のとき 何 を考えていましたか」
ダ ウリング…「正直に?」
ニールソ ン判事…「お 願いします」
ダ ウリング…「赤ちゃんのことで す」
ニールソ ン判事…「なるほど どう しました」
ダ ウリング…「養子に出す んです」
ニールソ ン判事…「結 婚生 活は?」
ダ ウリング…「6 か月です ひどい夫でした」
ニールソ ン判事…「そ れで離婚した 子供を育てようと は?」
ダ ウリング…「両親が反対しました ま だ若いし 再婚のとき 子連れ ではまずいと 私は育てたかっ たのに 押し切られてしまっ て」
ニールソ ン判事…「も う養子に?」
ダ ウリング…「いいえ あの日 弁護士 に会って 話を決めるはずでし た」
ニールソ ン判事…「決 めたんですか」
ダ ウリング…「いいえ 事故の後 まっ すぐ家に帰りました」
ニールソ ン判事…「で はー その後 養子の話は?」
ダ ウリング…「進んでいません 翌日  電話しましたが 弁護士が多忙 で会えないと」
ニールソ ン判事…「そ うですか その後ずっと 赤ん 坊と一緒に?」
ダ ウリング…「ええ」と微笑む。
笑みを浮か べるニールソン判事。
ニールソン判事…
「弁 護士と会うつもりですか」
ダ ウリング…「いいえ」


[ひき逃げを見た]クレア・グリス ワルド

「も う手放せなくなりま した あの子が可愛くて」
ニー ルソン判事…「ご両親は?」
ダ ウリ ング…「今では可愛がってい ます」
ニー ルソン判事…「考えてみると  あの事故のおかげで 赤ん坊が 手元に残ったわけだ」
ダ ウリング…「そ うです」
バー ンズを指さしながら、
ニールソン判事…
「ある意 味でー バーンズ氏は恩人と 言えるのではないですか」とダウリングに言う。
ダ ウリング…「そうですね」
バーンズを援護したつもりではなかったが、結果的 にそうなっていることに困惑するダウリング。

〜 証人バーンズ

ニールソン判事…「弁 護側の証人はいますか」
バー ンズ…「一人だけ 私です」
宣誓して証言席に座るバーンズ。
ニー ルソン判事…「意見陳述をされるのですね」
頷 き、陪審員の方を向き、
バー ンズ…「皆さん 私は無実です 過失はありませんでした 事故は 残念だが 私のせいではない」
判 事に向かって、
バー ンズ…「終わります」と言い、立ち上がろうとするバーンズ。
ア ンダーソン検 事…「待って ください 証人であるバーンズ氏に 反対尋問させて下さい」
ニー ルソン判事…「どうぞ」
アンダー ソン検事…「あなたは作家ですね」
バーンズ…「イ エス」頷 くバーンズ。
ア ンダー ソン検事…「推 理小説家を書く?」
バー ン ズ…「イ エス」頷くバーンズ。
ア ンダーソン検事…「我々が知りたいのは  事実です あの交差点に 停止表示があることは?」
頷 くバー ンズ。
ア ンダーソン検事…「ではバ イクと 衝突する前に そこで一時停止をしましたか」
バー ンズ…「意見 はもう述べました 私に罪はありません」
アンダー ソン検事…「答 えを」
バー ンズ…「こ れが答えです」
アンダー ソン検事…「く り返します 一時停止をしたの です か」
バー ンズ…「…」
答えられずにいる バーンズ。
してやったりとばかりに、

アン ダーソン検事…「ど うしました」と、たたみかけ る。
バー ンズ…「私は… 自分に不利な質問には 答えられません」
騒然とする議場。
アンダー ソン検事…「証人は権利を 取り違えてるようです」
ニー ルソン判事…「バーンズさん 答えて下 さい」
バー ンズ…「答 える必要は…」
ニー ルソン判事…「ありますよ 自ら証人席に立った以上 検事の尋問に 答える義務があります 答えをどうぞ」
バー ンズ…「いえません」
アンダー ソン検事…「宣誓したのに?」
ニー ルソン判事…「警 告しますが 答えないと 法廷 侮辱罪になりますぞ」
バー ンズ…「言うべきことは言った」
アンダー ソン検事…「確かに だが答えて下さい 一時停止をしたのか しなかったのか」
バー ンズ…「…」
騒然とする議場。
アンダーソン検事 は勝ち誇った表情で、


[ひき逃げを見た]
ジョ ン・ザレンバ

ア ンダーソン検事…「以上です」と言う。
バーンズに向かって強い口調で、
ニー ルソン判事…「バーンズさん 私は検察局に 法廷 侮辱罪でー あなたを告訴するよう 申請します 明日の10時まで休廷」と言う。


[ひき逃げを見た] ジョン・フォーサイス

Top

〜 ジョージ

サ ンフォードがツイストを踊って いるパーティー会場にジョージ が来て一緒 に踊る。
サ ンフォード…「あら ジョージじゃない」
ジョー ジ…「ペニー」
サフォー ド…「会いたくなかったわ」
ジョー ジ…「な ぜだい」
サン フォード…「ひ どいことしたくせに」
ジョー ジ…「こっちの台詞だ」
サン フォード…「約束を破ったでしょ」
ジョー ジ…「ちゃ んと行ったぜ」
サン フォード…「嘘 よ」
ジョー ジ…「行ったさ でも遠慮したんだ」
サン フォード…「何のこと?」
ジョー ジ…「交差点についたらー フ レディとイチャついてた」
サ ンフォード…「フレディ? ばかね 偶 然 通りかかっただけよ」
ジョー ジ…「親 しげだったぜ」
サン フォード…「やめてよ タイプじゃないわ あの後すごかったのよ 事故があって」
ジョー ジ…「知ってる」
サ ンフォード…「あたし裁判で証言したの よ 犯人が自分で弁護するから  驚いちゃった でも停止しな かったから 有罪だけど」
ジョー ジ…「停止したよ」
サ ンフォード…「しなかったのよ そのせいで 事故を起こしたの」
ジョージ「ちゃんと一時停止してたよ」
サン フォード…「見てたの?」
ジョー ジ…「ああ スポーツカーは 止まってから走り出した バイクが突っ込んだんだ」
サン フォード…「目撃者なのに 名乗り出なかったの?」
ジョー ジ…「面倒はごめんだ」
サ ンフォード…「ちょっと待ってよ   つまり 証人は みんな 間違ってたっ てこと?」
ジョー ジ…「もちろんそうさ」
サ ンフォード…「証言しなきゃだめよ 被告の人がかわいそう ハンサムなの 裁判所へ」
ジョー ジ…「いやだね」
サ ンフォード…「行かなきゃだめよ」


[ひき逃げを見た]エ バン・エヴァンス、ビリー・ウェルズ

ジョージ…「関わりたくない」
サ ンフォード…「じゃ いいわ でもフレディなら行くわよ」
ジョー ジ…「わかった 負けたよ」
サ ンフォード…「新聞に名前が載るわよ」と嬉しそうに言い、ジョージを連れて会場を出る。
 ハンサムなバー ンズに感謝される!

Top


〜 裁判所〜

陪審員長が”無罪”を 告げる。


〜 病院〜

ジェ リー…
「危なかったな もし有罪ならー 面会日ま で息子の顔を 見られなかった」
バー ンズ…
「新生児室は… あっちだ」
ジェ リー…
「まだ法廷侮辱罪があるが」
バー ンズ…「起訴されるのか」
ジェ リー…「冗談だよ その心配 はないそうだ」
バー ンズ…「よかった」
ジェ リー…「ジョー ジがいなければ 刑務所行き だった」と言う。


[ひき逃げを見た]ジョン・ フォーサイス、ケント・スミス

聞 きながら新生児室のドアをノックし、
バーンズ…
「助 かったよ」と言う。
出て来た看護師から、
看 護師…「お名前は?」と聞かれ、
バー ンズ…「マイケル・バーンズ 息子でなく私の名で す」と答え る。
笑う看護師。
バーンズに、
ジェ リ…「だが わからないな なぜ検 事の問いに 答えなかったんだ」と 聞く。
バー ンズ…「も し答えればー 偽証罪になった」
ジェ リー…「偽証? だが きみは…」
バー ンズ…「真実を述べたさ しかし 宣誓した以上 答えれば嘘に なった」
ジェリー…「意 味がわからない  どういうことだ」
バー ンズ…「ステラは 嘘は言わない」
ジェ リー…「奥さんは関 係ないだろ」
バー ンズ…「目 撃者 なんて 何も見ていないものさ 誰も事故を  見ていなかった 誰が運転し ていたか もね」


[ひき 逃げを見た]ジョン・フォーサイス

「実はね 運転 していたのは ぼくじゃない ステラが事故に遭ったんだ」と言い、無事誕生した新生児 室の息子を嬉しそうに見ている。

 何 と何とバーンズが弁護していた の は、奥さんだったのだ。
流石 に推理小説家だ。その場にいなくて、あの想像力と推理だ。
 事故に巻き込まれた時に産気 づき、病院に急いだということ か。
 それにしても、目撃者の証言 は何といい加減なことだろう。
 固定観念の怖さをつくづく感 じた。
 だが、裁判でのやり取りは、 それぞれの個性が手に取るよう に分かって実に面白かっ た。
 バーンズも内心、「皆 見ていなかっ ただろう 私は乗っていなくて 妻が運転していたのに」と思いなが ら尋問していたと思うとこれまた、滑稽だ。
 次の作品は「恐怖の証 言」「滑稽な 目撃者」こっち か。
 また、最初にヒッチコックが 持っていた「車 の鍵」「運転 して いたのは誰かの鍵」に なっていたとはこれまたお見 事。

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