新・ ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock Presents-
毒のある関係
-Anniversary Gift-

        
     アルフレッド・ヒッチコック

※ストー リーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

  〜毒蜘蛛〜〜結婚記念日〜〜愛人〜〜毒蛇〜〜プレゼント〜〜不安何処?〜〜助けて!〜〜知らない 

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わり に] web拍手 by FC2
(1980年代)(米)(TV映画)-Anniversary Gift-
演出…リチャード・ブガイスキ
制作…タウンゼント・フィルム・プロ ダクションズ(米)
原作…ジョン・コリア
脚本…ロブ・ヘデン
出演…パメラ・スー・マーティン(妻/メリンダ)
ストーリーテラー…ア ルフレッド・ヒッチコック
翻訳…鈴木導

仕事漬けの夫マークに構ってもらえないでつ まらない妻メリンダ。
そ れに、マークは薄気味の悪い爬虫類や毒蜘蛛などのペットを飼っている。
忙 しいマークに頼まれてペットに餌をやるメリンダ。
水 槽でじぃーと目だけを出していた鰐に、飲んでいたウイスキーを入れ悪戯するメリンダ。
鰐 が驚いて動き出す。その音にフクロウが反応し鋭い視線をメリンダに送る。
水 槽の鼠の尻尾を摘み別の水槽の蛇にやろうとする。


『毒の ある関係』パメラ・スー・マーティン

フクロウ がメリンダの動きを注 視している。
水 槽の蓋を開けると、蛇が頭をあげる。

メ リンダ…「嫌ねぇ」と言いながら水槽に 鼠を落す。
鼠 を飲み込む蛇を薄気味悪く思いながら、後退りするメリンダ。
後 ろにいたフクロウが羽を打立つかせる。

メ リンダ…「あっ! あっ!」
驚 いた拍子に、毒蜘蛛が入っている金網のケースを倒すメリンダ。
電 話で商談していたマークが駆けつけてくる。

マー ク…「どうしたんだ!」
メ リンダ…「あ〜 あ〜」
マー クが怖がってしゃがみ込んでいるメリンダの両腕を掴んで起こす。
フクロウを見ながら、

メ リンダ…「飛び掛ってきたの」と荒い息遣いで言う メリンダ。
「はぁ はぁ」
フ クロウに目を遣ったマークが、ひっくり返った足元の金網のケースを見る。

マー ク…「何て事を
気をつけなきゃ 困る な」
金 網のケースを持ち上げ中に入っている毒蜘蛛を見る。
マー ク…「ことにステラはデリケートで」
ケー スの中でメリンダの方へ動いてくる毒蜘蛛。
それを見て気持ち悪くなり身 震いするメリンダ。
マー ク…「ちょっとした事で気分を壊す」
金網のケー スを元に戻して、
「“さあ これでいい ぞステラ”」と毒蜘蛛に言う。
金 網のケースの中で動き回る毒蜘蛛。 
マー ク…「“無事でよかったな〜”」と毒蜘蛛に話し掛け る。
メリンダを 見て笑いながら、
マー ク…「メリンダ 君より連中の方が
驚いたんじゃないか〜
ほら もう寝ようか
忘れさせてやる」と言い寝室へ連れて ゆく。

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〜 毒蜘蛛〜

寝室で寝 ているメリンダに毒蜘蛛が近づいて来る。
毒蜘蛛が体に振れる。
寝返りをする。
掛け布団の下が不気味に動 く。
メ リンダの胸元に毒蜘蛛が近づいて来る。
寝 苦しくなったメリンダが目を覚ます。
毒 蜘蛛がメリンダの喉を這い回っているのが目に入る。

メ リンダ…「あっ」
顔が凍りつ く。
メ リンダ…「あなた」

毒 蜘蛛から目を離さないようにしながら、隣で寝ているマークを軽く手で叩きながら起こす。
目 が覚めたマークが電気を点けメリンダの方を見る。

マー ク…「どうした? 何だ」
メ リンダ…「…」
喉 に毒蜘蛛が這っているのを目で知らせるメリンダ。


『毒の ある関係』パメラ・スー・マーティン

マーク…「びっくりす るから 動かないで」
毒蜘蛛を そっと掴みながら、
マー ク…「“さあ おいでステラ
よし いい子だ”」と掴まえるマーク。
メ リンダ…「はああっ」
素 早く身を避け、嫌そうに毒蜘蛛を見ているメリンダ。
マー ク…「“どうした〜 散歩したくなった か”
さっき 箱を倒した拍 子に
金網が破れたらしい な」
掴んだ毒蜘 蛛を見ながら言う。
メ リンダ…「嫌! そんなもの
いつまでも弄ってない で」
マー ク…「ええっ
ああ 分かった
“よし いいかステラ
いい子だな
お前は朝まで ここに いなさい
うん”」
毒 蜘蛛に話し掛けながら、傍にあったガラス容器に入れる。
「“そうだ いいぞ〜
よし”」

マー クが毒蜘蛛を入れたのを確認すると、
メ リンダ…「明日中に 家から追い出してよ
売るか 食べちゃうか
剥製にするか 何でも いいから処分して」と言う。
マー ク…「待ってくれ それじゃ君に“ミンク のコートを売れ”と言うのと同んなじだ」
メ リンダ…「いいわ ステラとか
あのイグアナとか 蛇 とかカラスがいなくなるなら
何もいらないわ
ミンクのコートも ダ イヤのネックレスも」
マー ク…「何故 動物を嫌うんだ」
メ リンダ…「汚らしくて 煩くて
気味が悪くて 何の役 にも立たないからよ」
マー ク…「役に立たない?」
頭を抱える メリンダ。
マー ク…「僕の趣味だ ペットがただひとつの 気晴らしなんだ」
メ リンダ…「それじゃ私は何よ」
マー ク…「分からないな
気晴らしにはならな い」
メ リンダ…「ありがとう 嬉しいわ」
呆 れてベッドに横になるメリンダ。
“何で分かってくれな いのだろう”と思いながら、電気 を消し背中合わせに横 になるマーク。
自 分の方をマークが向くのを感じて目を閉じるメリンダ。
目 を閉じているメリンダを覗き込み、
“あ あ〜 どうしてこんなことになるんだ”とふて腐れながら ベットに横になるマーク。

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〜結婚記念日〜

初めての 結婚記念日であるの で、昨晩のことで機嫌を損なわせた分を、取り直そうと朝食の準備をしているマークが、
マー ク…「夕べは本当に馬 鹿なことを 言って しまった
色々考えて 眠れなかった
馬鹿だよ
今日が初めての記念日で 最高の一年を送れたっていうのに
まるで駄々っ子だ」と言う。
メ リンダ…「いいのよ 子 供みたいな言い方を したのは私の方だから」
マー ク…「いやぁ そんな ことはない」
メ リンダ…「まあ 二人と も言い過ぎがあった けど 今日は特別の日なんだから
すっきりと忘れましょ」
マー ク…「だから好きなん だ」と抱き寄せるマー ク。

おしゃれ して、出掛けると言う メリンダに、
マー ク…「アレンの傍を通 る?」と言う。
メ リンダ…「どうかしら  何故?」
マー ク…「シャンペンを届 けてくれないか
僕たちを引き合わせてくれた お礼に」
メ リンダ…「それはいい考 えね 喜ぶわ」
マー ク…「僕から“よろし く”って」
メリンダを見送るマーク。

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〜 愛人〜

アレンに 抱かれているメリンダ。
メ リンダ…「ああ〜 アレ ン 本当に会いた かったわ」
ア レン…「僕もだよ」
メ リンダ…「マークと一緒 にいるのは もう我 慢できないわ
もう嫌」
ア レン…「うん どうした  金持ちには魅力が ないか
フフン 燃えさせてくれないか」
メ リンダ…「う うん
下手糞なの」
ア レン…「シ〜
ああメリンダ」

メリンダ がマークに頼まれて 持ってきたシャンパンをグラスに注ぎながら、
ア レン…「煙草は吸わないのに」とメリンダに言う。
溜息をつ き、
メ リンダ…「さっきも言ったけど もう我慢で きないわ
家中薄気味悪いペット がいるし 最低よと言うメリンダ。
グ ラスを片手にメリンダにキスしながら、

ア レン…「さあ 結婚記念日のお祝いしよう
マークが言うように
“愛し合う二人が 幸 せとお金に恵まれますように”」と言う。
メ リンダ…「やめて おかしくなるわ
あなたは糞面白くもな い話を 朝から晩まで聞かずに済むからいいけど
毎日一緒にいる身にも なってよ
それにペット 毒蜘蛛 に喉を這い回れたらどんな気持ちがすると思う
ア レン…「フン 可愛い毒蜘蛛ちゃん」と 笑いながらメリンダの頭の上で蜘蛛が這うような仕草を指でして言う。
メ リンダ…「直ぐそれなんだから もうやめる わ」と脹れ立ち上がる。
メリンダに 近づき、
ア レン…「今やめたら これまでの苦労が全部 水の泡になる
ねっ “時間を掛けて やろう”って決めたろ
“少なくとも2年は待 とう”って
100万ドルの保険金 を貰うのに 焦りが禁物なことは
分かってるはずだ」言う。
メ リンダ…「“誰にも疑われない 上手い手が ある”って言ったでしょ」
ア レン…「あるさ」
メ リンダ…「じゃ教えて頂戴 もうこれ以上待 つ気はないわ
どうやるの」
ア レン…「きっと気に入るよ」

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〜 毒蛇〜

アレンか ら方法を聞いたメリンダが、
メ リンダ…「身の毛が弥立つわ」と 言いながら妖しげな店に入ってゆこうとして躓く。
「何よ これ」

“ガ チャン”ドアが閉まる。
不 気味な剥製が展示されているのを気持ち悪そうに見回す。


『毒の ある関係』パメラ・スー・マーティン

メリン ダ…「誰もいな いの」
地下から“バ ン  バン〜”と物音がする。
地下へ降りてゆくメリンダ。
蛇 が水槽で動いているのを怖々と見るメリンダ。
“バ ン! バン バン バン バン バン”と 大きな物音がする。
メ リンダが張り詰めた気持ちで音がする方を見ると、鉈のような刃物が振り下ろされている。
少 年が刃物を手にしているのが見え、

メ リンダ…「今日は」声を掛けるメリンダ。
少年が振り向き、

少 年…「ああ いらっしゃい」言う。
驚 いて少年を見ているメリンダ。

少 年…「立っていないで どうぞ
それで用は何」
メ リンダ…「ちょっと話があって エドワー ド・アキュラさんに会いたいの」
チ ラシを見ながら言うメリンダ。
少 年…「ああ お父さんだけど留守
何か欲しいの」
メ リンダ…「うん それじゃ また後で出直し てくるわ」と帰ろうとするメリ ンダ。
メリンダに、

少 年…「どうしてよ わざわざ出直してくる の」と刃物を片手に言う少年。
「ペットが欲しいなら  今買ったら」
メ リンダ…「ええ そうね」
少 年…「ねぇ イグアナなんかどう?
今週はサービスになっ てるけど」と 水槽で動き回っているイグアナを見て言う。
メ リンダ…「ええ 家に一匹いるわ
彼 ずっと前から飼っ てるの」
少 年…「ああ〜 プレゼントするの
じゃあ 有り触れたも のは駄目だ
そこのニシキヘビの子 供は
今は軽いけど大きくな ると…」
メ リンダ…「でも ニシキヘビもいるし 普通 のペットじゃ満足しない人なの
プレゼントして喜んで もらいたいから…
コーラルスネーク言うメリンダ。
笑いながら、
 少年…「危ない奴が好き なんだね」言う少年。
メ リンダ…「この店に置いてある」
少 年…「それはあるけど…」と勿体振ったよう に言う少年。
メ リンダ…「そう 貰うわ」
少 年…「ああ どうかなぁ
初めて家に入ったんで  本 当に皆が言う通り凄いのか
見てから売りたいんだ けど〜
水槽の三色の横縞模様の蛇 を見ながら言う少年。
メ リンダ…「凄いって 何が?」
 少年…「ああ〜 エヘン
この蛇に噛まれると  ほんの3秒で地面に倒れてもがき苦しむ
耐え切れない痛ささ
全然息ができない
喘いで! ヒュ〜
震えて!
そして… お終い」と ジェスチャーしながら説明する少年。
メ リンダ…「そんななの」
少 年…「うん 大体そんなとこ」
三 色の横縞模様の蛇を見るメリンダ。
メ リンダ…「私に売ってもらえる」
少 年…「どうしようかなぁ
ああ
お父さんはよく調べて からじゃないと 毒蛇は売らないの」
メ リンダ…「幾らでも払うわ」
メリンダの様子を窺って、
少 年…「“売れる時には 何でも売っちまえ”と言われ てるしねぇ」
蛇の方を見ながら思案してい るような表情をする少年。
蛇 をチラリと見て少年 の返事を待っているメリンダ。
少 年…「500ドルで どう?」
メ リンダ…「買ったわ」
“上手くいった”と笑顔を見せ蛇 を入れている水槽の方へゆく少年。
少 年…「リボン掛ける?」
メ リンダ…「そうね そうして」
足元の水槽に入っている三色の横縞 模様の蛇を見て、
メ リンダ…「待ってよ ここにも三匹いるじゃ ない」と 言うメリンダ。
少 年…「そいつはキングスネーク 似てるけど毒がないの」

小箱に 入った蛇を怖そうに持っているメリンダに、
少 年…「あんまり怖がらな い方がいいよ
蛇にも分かって 興奮するから」と 腕組みをして言う少年。
メ リンダ…「そう よく覚 えとくわ」
少 年…「友達にも家の店を 勧めて」と 笑いながら言う少年。

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〜プレゼント〜

マーク…「結婚記念日 おめでとう」
マー クがメリンダにプレゼントを渡す。
メ リンダ…「これ何」
マー ク…「“君が今日に続く幸せな時間を 何 時までも記憶に残しておけるように”」
プレゼント の時計を見て、
メ リンダ…「まあ! 素敵だわ
どうもありがとうマー ク」と言い時計を填める メリンダ。
「あら いけない6時 だわ
ケーキを頼んだの」と言い立ち上げるメ リンダ。
マー ク…「ケーキなんて いらないさ」
メ リンダ…「駄目よ〜 好きなんでしょ
食後にシャンペン飲み ながら 食べようと思ったの
楽しみにしてて」
マー ク…「僕も行くよ」

メ リンダ…「駄目
待って」
プ レゼントを取りに行くメリンダ。
メ リンダ…「私のプレゼントも受け取って」
待っ ていたマークにプレゼントを渡す。
「“今のままのあなた が好きだ”と言いたかったの」
精一杯、明 るい表情で、
キングスネークよ
いいペットになるんで すって」と言うメリンダ。
“メリンダから大好き な爬虫類をプレゼントされるなんて”
と、驚き急いでリボ ンを解き開けようとするマーク。
メ リンダ…「ねぇ 待って
まだ蛇を見ると いい気持ちしないの〜
ケーキを取ってくる間に 仲良くなっといて
いいわね」
マー ク…「そうするよ」
出て行くメ リンダに、
「直ぐ帰ってきて」と言い箱を開ける マーク。
マー ク…「ああ〜 僕は本当に運のいい男だよ」と嬉し そうに三色の横縞模様の蛇を見て言う。


『毒の ある関係』

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〜 不安〜

アレンの ところにメリンダが来る。
ア レン…「何しに来た」
メ リンダ…「他に何処で待てばいいの」とケーキを手荒く渡 しながらと言う。
メ リンダ…「誰にも見られなかったわよ」
ア レン…「ならいいさ
もう勝負は付いてるよ  心配することはないって」
メ リンダの肩を揉んでいるアレンの手を払いのけ、
メ リンダ…「“勝負は付いてる〜”
フットボールか何かを  見物してるみたいな言い方しないでよ」と苛立つメ リンダ。
ア レン…「またまた」
メ リンダ…「あなたはあの家に 入っていかな くていいからよ
化け物屋敷の方が ま だましだわ
ああ〜嫌だ あの子が 言ったことが忘れられないの
恐ろしいわ
アレン 私 死体って 見たことないのよ

それに もし…」
メリンダの 両手を包み込み、
ア レン…「ほら」
メ リンダ…「もしも」
ア レン…「落ち着けよ
後は簡単だろ 家に 帰って救急車を呼んで
ちょいとお芝居をする
それで終わりだ」と言うアレン。

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〜 何処?〜

怖々と家 に帰って来たメリンダには、ドアの開閉の音、電気のスイッチ、自身の足音、ど れも不気味に響いてくる。
メ リンダ…「ただいま〜」と怯えながら小声で 言う。
イ グアナ、コウモリがメリンダを見ている。
怖くて後退りする。
蛇のような物を踏む。

メ リンダ…「あ あっ!」
悲 鳴を上げて足元を見るとプレゼントした蛇によく似たコンセントだった。
メ リンダ…「ああっ」
ホッとする メリンダ。
 視聴者も騙す上手い演出だ。

寝室の方 を覗きにいく。
ベッ ドにマークが横たわっている。


『毒の ある関係』

“死んだんだわ”と目を閉じるメ リン ダ。
急いで電話 で救急車を呼ぶ。
メ リンダ…「直ぐ来て 助けが要るの
そうよ 私の主人が」
毒蜘蛛が映 し出される。
住所を伝え、

メ リンダ…「ジェイセンよ
マーク・ジェイセン  お願い急いで」と電話を切る。
目 の前のスタンドの傘の上を、毒蜘蛛が這っているのが目に入る。
毒 蜘蛛に目掛けて傍にあったクッションを投付ける。

メ リンダ…「あっ!」
その拍子に何かにぶつかり バランスを崩すメリンダ。
真後ろを見て驚く。
死んだはずのマークが 立っている。

マー ク…「メリンダどうした?」
メ リンダ…「あっ ハッ」
怖くて後退りするメリンダ。
メ リンダ…「何ともないの?」
マー ク…「ああ ちょっと
横になっている内に  寝込んじまったけど
何にぶつけていた」
眼 鏡を掛けてスタンドの方を見るマーク。
後退りしながら言うメリン ダ。

メ リンダ…「ステラよ スタンドの傘の上を歩 いてたの
つい びっくりし て…」
マー ク…「心配はいらない 後で探すよ」
メリンダを指差しながら、
マー ク…「それより君だ
あんなことできると思 わなかった」と言うマーク
メ リンダ…「何がよ」と 恐る恐る言うメリンダ。

マー ク…「プレゼントだ」
メ リンダ…「…」
マー ク…「嬉しくて 踊り出したくなった
本当に素敵な奥さんだ よ」と メリンダに抱きつくマーク。
マークの腕の中で、

メ リンダ…「今 何処なの?」と怖々と聞 くメリンダ。
マー ク…「どっかその辺にいるだろ」
メ リンダ…「あっ」
マー クから離れ、
メ リンダ…「何処にいるか知らないの?」と 驚くメリンダ。
マー ク…「酒を注いでる間に 箱から逃げ出し ちまった」
メ リンダ…「ああ それじゃ
勝手に家の中を這い 回ってるの」

マー ク…「ああ 探しては見たんだけど
何しろあいつは細いだ ろ
隠れる所は いくらで もあるからね」と 探しながら言い、ソファーに腰掛けるマーク。
メ リンダ…「直ぐ見つけないと…」
マー ク…「腹が空きゃあ ほっといても出てく るさ」
メ リンダ…「でも分かってないのよ」
マー ク…「ねぇ 言い考えがあるだ
今日は 家でお祝いし よう」と立ち上がって言う マーク。
メ リンダ…「ああ そうね
いいわ」と困り果てながら言 うメリンダ。
「あたし〜 ちょっと 風呂に入って
汗を流してくるから
その間に 探しとい て」
マー ク…「やってみるよ」とメリンダに抱きつ き、
「さあっ 風呂に入っ てきたまえ
さっぱりする」と言い浴室へ行くメ リンダを見送る。

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〜 助けて!〜

浴室へ逃 げ込み、息を整える。
急 いで引き戸を閉め、隙間を塞ぐ。
浴槽の蛇口を開け、
“これ で大丈夫”と服を脱ぎ始めるメ リンダ。
居 間でグラスの準備をしているマーク。
洗 面台の前で髪を束ねるメリンダ。
洗 面台に置いてあるバスタオルの下で何やら動き出す。
何 にか動いたような気がして目を遣るメリンダ。
動きがない。
髪を束ねるのを続ける。
また、動く。
目を遣るメリンダ。
動きがない。

“気のせいか”と思った時に、バス タオルが足元に落ちる。
メ リンダ…「ハッ」

驚い て足元 を見るメリンダ。
バ スタオルの下から蛇が飛び出し、メリンダの足の方へ這って来る。


『毒の ある関係』

メリン ダ…「ア ア〜!」
悲鳴を上げ るメリンダ。


『毒の ある関係』パメラ・スー・マーティン

「ボーク
マーク 助けて
お願い」
二階の浴室 に駆け込むマーク。
マー ク…「開けるんだ」
浴 室のドアを開けようとするマーク。
メ リンダ…「動けない」
浴室のドア を叩くマーク。
メ リンダ…「助けて アア〜!
マー ク…「どうした メリ ンダ」
ド アの外から声を掛けるマーク。
隊 員…「救急車です どこ ですか」
階 下から救急隊の声が聞こえる。
マー ク…「えっ!」
驚いて振り 向くマーク。
救急隊を呼ぶ。

「こっちだ 急いでくれ」
救急隊が駆 け上がってくる。
マー ク…「鍵が掛かって る」
隊 員…「開けます」
隊員がドアを抉じ開ける と、顔を引き攣らせたメリンダが横たわっている。
驚 いてメリンダを見ているマーク。

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〜 知らない〜

メリンダ が死に寂しそうにしているマークの足元にあの蛇が這って来る。
掴みあげ蛇を見るマーク。
隊員がマークに近寄り、

隊 員…「本当にお気の毒です
あんな若い方が 心臓 麻痺を起こすなんて
ええ何があったんで しょうね」
隊 員に掴んでいる蛇を持ち上げて見せ、
マー ク…「これだ」
と言うマーク。
蛇を触りながら、

隊 員…「ああ 綺麗です
毒がないって 知らなかったのですか?と言う。
マー ク…「へっ」と苦笑いして、
「ああ 知らないと寂しそうに言う マーク。
マークを慰めて立ち去る隊 員。
キングスネークを見な がら、

マー ク…「可哀相に 知ってりゃあ こうなら ずに済んだのに」と言うマーク。


『毒の ある関係』

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 薄気味の悪い爬虫類 や毒蜘蛛などのペット を飼って いて、仕事漬けの夫マークに嫌気がさしている妻メリンダは保険金殺人を不倫相手アレンと企てていた。
 アレンから“猛毒のコーラルス ネークをプレゼントして殺害する”という誰にも疑われ ない方法を聞いたメリン ダだったが、蛇のことを知らな かった。
 そのために、コーラルスネークではなく、よく似ている無毒のキングスネークを少年に騙 されて買わされても気 付かなかった。
 爬 虫類に詳しいマークはキングスネークを貰って喜び、コーラルスネークだと思っているメリンダは一人相撲 でショック死したという訳だ。
 それも、メリンダが呼んだ救急車が駆けつけて自分を運び出すことになるとは、凄い皮肉 だ。

 保険金 100万ドルが目当て で爬虫類を飼っている金持ちの夫と結婚生活を送っていた メリンダだった訳だが、爬虫類が大嫌いな私には考えられない生活だ。
  どうぞ爬虫類が夢に出てきませんように。
 “ブ ルブルブルブル”

※コーラ ルスネークは赤・ 黒・黄の三色の横縞模様と、キングスネークは赤・黒・白の三色の横縞模様というように違うのであるが、小蛇はよ く見ないと分かりにくいそうだ。猛毒と無毒と大きな違いがあるのに。

更新2007.10.10
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ヒッチ コックがデザインしたという似顔絵

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