新・
ヒッチコック劇場
-Alfred Hitchcock
Presents-
処刑道路
-Road
Hog-
アルフレッド・ヒッチコック
※ストーリーを載せていますので、TV映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ
い。
☆ → 〜サー
ビスエリア〜〜事故〜〜悪ふざけ〜〜復讐〜〜処刑〜 ←
記号[☆:スタッフ・キャスト →:
始めに ←:終わりに]
(1980年代)(米)(TV映画)-Road
Hog-
演出…マリオ・ディ・レオ
制作…レビュー・スタジオ(米)
原作…ハロルド・ダニエルズ
脚本…チャールズ・グラント・クレイ
グ/スティーブン・クローニッシュ/スティーブ・ベイヨー
出演…バート・ヤング(セールスマン/エド・フラタス)
ストーリーテラー…ア
ルフレッド・ヒッチコック
声…熊倉一雄(ア
ルフレッド・ヒッチコック)
翻訳…鈴木導
山師の父と息子3人で鉱脈を掘っているメド
ウィック一家。
そ
の脇の道路をラジオのボリームを上げ、いい気でキャデラックを運転している男エド・フラタスが通りかかる。
『処刑道路』
ヒッチハイクしようと若者が手を挙げているのをクラクションを鳴らし追い払い、
フ
ラタス…「エ〜 ヘッヘ
乗せてやるかよ
ヘッヘヘヘ ヘッヘヘヘ
エ〜 ヘッヘヘヘ」と、
笑い飛ばし通り過ぎてゆく。
『処刑道路』
Top
〜サービスエリア〜
そのフラタスと言う男はサービスエリアに2週間置きに来ては“ハイウェイキング”気取りの粗野なセールスマンであった。
フ
ラタス…「僻地に商品を持ってきてやってい
る」と
豪語して商品を売り付けていた。
フ
ラタスは、そのサービスエリアの飲食店で働く新しい女従業員に興味を持つ。
女…「あたしは亭主持ちよ」と
言って嫌がっているのにも構わず、ネックレスを渡し口説こうとしている。
フ
ラタス…「2週間後にまた来るから」と
言って。
女
は不快に思う。
Top
〜
事故〜
一方、鉱脈を掘っていたメドウィック一家の末息子ジョーイが足場から落ち意識不明にな
る。
『処刑道路』
急いで車の荷台にジョーイを乗せ2人の兄が介抱し、父親が運転して20分かかる町の病
院まで車を飛ばす。
が…
Top
〜
悪ふざけ〜
道路の前を先ほどサービスエリアを出たばかりのフラタスが音楽をガンガン鳴らしキャデ
ラックを走らせていた。
車を運転しながら父親メドウィックが言う。
父
親メドウィック…「町まで20分だ」
荷
台で介抱しているマイクが、
マ
イク…「しっかりしろよ ジョーイ」と
ジョーイに声を掛ける。
ト
ムも心配そうにジョーイを見守っている。
前
を走っているキャデラックが目に入った父親が、クラクションを鳴らし道を譲るようにと合図する。
“プ〜プ〜 プップップ〜”
父
親メドウィック…「お〜い 頼む 退いてく
れ」
父
親が追い越そうとするがフラタスが進行を邪魔する。
“プップッ プップッ プップッ プ〜プ〜 プップップ〜プ〜 プ〜プ〜〜”
父
親メドウィック…「頼む」
荷
台の方を見てジョーイの容態を心配する父親。
父
親メドウィック…「退いてくれよ」
“プップップ〜プ〜 プ〜プ〜”
フ
ラタス…「追い越したけりゃ
ウインカーを出せよ」と
言ってからかうフラタス。
“プップップ〜プ〜 プ〜プ〜”
フ
ラタス…「ア〜 ハハハ」
葉巻を銜え、高笑いしながら蛇行運転をし進行の邪魔を続けるフラタス。
悪ふざけに驚き、
父
親メドウィック…「何するんだ」
“プップップップップッ”
片
手を大きく振り、
父
親メドウィック…「退け 退けったら」
必
死に叫ぶ父親。
フ
ラタス…「こりゃ〜
ウインカー出せよ
ア〜ハハハ ヒ〜」
邪
魔をし続けるフラタス。
父
親メドウィック…「退けったら」
ジョー
イの容態が悪化する。
マ
イクたちにジョーイの容態を聞く父親。
父
親メドウィック…「ジョーイはどうだ」
マ
イク…「早く父さん 体当たりして」
一
刻を争う容態に焦る父親。
ア
クセルを踏み込みマイクたちに、
父
親メドウィック…「ジョーイ押さえてろ」と
言い強引に追い越そうとする父親。
な
おも進路を塞ぐフラタス。
“キキキキ〜”
ぶ
つかりそうになる。
父
親がブレーキを踏む。
父
親メドウィック…「ちきしょう バカ」
“キキキキ〜”
必
死にハンドル操作をする父親。
早
く車が抜け出せないかと心配しているマイク。
心
配そうにジョーイを見ているトム。
面
白がるフラタス。
フ
ラタス…「ヒッ ヒヒヒ〜」
笑
うフラタス。
大
きくハンドルをきり邪魔するフラタス。
父
親メドウィック…「危ない!」
“キキキ〜”
マ
イクとトムが心配そうにジョーイを見ている。
“プップップップップ〜”
父
親メドウィック…「退け」
『処刑道路』
後ろを振り向きフラタス。
フ
ラタス…「ヒッ ヒヒヒ〜
ヒッ ヒヒヒ〜 ヒッヒッ」と
笑い手を挙げ、
フ
ラタス…「ヒッ ヒ〜 どんなもんだい」と
帽子を取り高く上げふざけるフラタス。
「ヒッ ハッハハ ハ〜」
必
死にハンドル操作をする父親。
荷
台から父へ、
マ
イク…「ああ〜 父さん ぶつけろ」
ジョー
イの容態を心配しながら父親。
父
親メドウィック…「ジョーイもう少しだ 頑
張れよ」
荷
台から父へ、
ト
ム…「早く父さん ジョーイが死ぬよ」
必
死にハンドル操作しながら父親。
父
親メドウィック…「退け 退け 退け〜」
片
手を大きく振り、
父
親メドウィック…「退け 退けったら」
“プップップ〜プ〜 プップップ〜プ〜”
父
親メドウィック…「ジョーイしっかりしろよ
もう直ぐだ
いいか ぶっ飛ばすぞ」
ギ
アを切り替えアクセルを踏み込む。
キャ
デラックのバンパーにぶつける。
“ガシャン”
後
ろを振り向くフラタス。
さ
らにぶつける。
“ガシャン”
“プップップ〜”
片
手を大きく振り、
父
親メドウィック…「傍に寄れ」
フ
ラタス…「ウッ
フ〜ン
そうはいかねぇよ」
ブ
レーキとアクセルの攻防が繰り広げられる。
“キキキキ〜 キキキキ〜 キキキキ〜”
マ
イク…「もうだめだよ」
父
親メドウィック…「なにぃ〜}
ジョーイが反り返り白目を見せ始める。
マ
イク…「耳から血が出てきた」
追い越そうと車をキャデラックの横につけるが、キャデラックが前を塞いだために追
い出されて車が路肩にはまってしまう。
そ
れを見てフラタス。
フ
ラタス…「ヘッヘヘヘ ヘヘ
ヘ〜ヘヘ ヘ〜」と
得意げに笑い、高々と帽子を掲げ走り去ってゆくフラタス。
路
肩で、
父
親メドウィック…「だめだ はまってしまっ
た」と
焦ってアクセルを踏み込む父親。
タ
イヤが空回りする。
荷
台ではジョーイが息絶えそうになっている。
やっ
と病院に運ばれたが手遅れだった。
ジョーイは家族に愛されていた。
彼
を工業大学にやるために兄たちも必死に働くなどして家族で支援してきていたのだ。
家
族の“希望の星”のような存在のジョーイを失った。
医者から“もっと早く病院に運んでいたら助かった”と言われたメドウィック一家は悪ふざけをしたフラタスへの復讐を決意
する。
Top
〜
復讐〜
2週間後、陽気に歌を歌いながらフラタスがやってくる。
何
時ものようにサービスエリアに商品を持って入るが、客たちはそっぽを向く。
態
度が何か変だと思っているフラタスの前に、女従業員が姿を現す。
髪
を解き色っぽい目でフラタスを見る女従業員は以前見た同じ女とは思えない変わりようだ。
女
に目を奪われるフラタス。
女
から目を離さないようにして出されたビールを一気に飲み干し、
『処刑道路』
フラタス…「エ〜
ここにいたって
どうしたって商売にはなりゃしねぇから
“時は金なり”か
コール前に行くとするか」と
言うフラタス。
そ
のフラタスに甘えたように、
女…「ねえ」と
言い寄る女。
驚
いて女を見るフラタス。
女…「まだいいじゃない」と
誘う。
フ
ラタス…「…」
女…「ちょっと休んでったら」と
ウィスキーボトルをフラタスの前に置く。
ボ
トルに手を伸ばしながらフラタス。
フ
ラタス…「おりゃ 働きもんなんだよ
エッ〜 ヘッヘ〜
エッヘッヘッヘ」と
ウィスキーボトルを持ち嫌らしい目つきをして高笑いする。
用
意された二つのコップにウィスキーを注ぐフラタス。
注
がれたコップを手にした女に、
フ
ラタス…「乾杯」と
コップを持ってゆくフラタス。
テーブルの席に移り、自慢話をしているフラタス。
酔
いが回ってきているようだ。
横
の席に座り調子を合わせて酒を勧める女。
自
分に気があると思って見ているフラタス。
酔っ
ているフラタスを誘惑する女。
“これはモノに出来る”と思いトイレへ行くと言い席を立つフラタス。
フ
ラタスが出て行くと直ぐに席を立ち引き出しから錠剤を取り出す女。
そ
の錠剤を潰してコップに入れる女。
ト
イレの鏡の前で“もうあの女は俺
のモノだ”と得意げ
に自分の姿を眺めているフラタス。
席
へ戻り女の薬指に指輪を差込みながら、
フ
ラタス…「二階のモーテルへ行こうぜ」と
誘うフラタス。
後
ろの席では男が独りで酒を飲んでいる。
嬉
しそうにフラタス。
フ
ラタス…「ウォーターベットには
鏡があるってよ ヘッヘヘ」と
言い笑う。
後
ろの席の男が映し出される。
ジョーイの父親メドウィックだ。
フ
ラタスに薬を入れたウィスキーを勧める女。
女…「まず これ飲んでからね」と。
フ
ラタス…「そうだな」と
ウィスキーを一気に飲むフラタス。
飲むのを確認したメドウィックが後ろの席からフラタスの横に移動してくる。
フ
ラタスに声掛ける。
父
親メドウィック…「あんた」
フ
ラタス…「なんだよ」
父
親メドウィック…「前のキャデラック あん
たのかい
立派だね」
フ
ラタス…「写真撮るのなら5ドルだぞ」
苦
笑いしメドウィック。
父
親メドウィック…「息子のジョーイが 古い
車が好きだった
よく言ってたよ
“パパ 金持ちになったら
一番に ああいう車を買おうね”って
それも パアーになったよ
ジョーイが 先月死んだんでね
ブタに殺された」
困
惑した表情でフラタス。
フ
ラタス…「ブタが人間を殺した?」
父
親メドウィック…「車でさ」
驚くフラタス。
メ
ドウィックが2週間前の話をする。
父
親メドウィック…「息子が現場の事故で
俺が病院へ運ぶとき
前に その車がいたんだ」
フ
ラタス…「…」
父
親メドウィック…「抜こうとしたら 路肩に
落とされた」
思い出したフラタスが葉巻を銜える。
父
親メドウィック…「息子が死にそうなのに
そのブタが 邪魔をしたんだ」
銜えた葉巻を取り出しメドウィックを見るフラタス。
父
親メドウィック…「医者が言ってた “もっ
と早く病院に運んでいたら助かった”って」
フ
ラタス…「…」
背筋が寒くなり首に手をやるフラタス。
父
親メドウィック…「ジョーイは 殺されたん
だ
あのピンクのキャデラックに乗った
デブのブタにな」
喉を押さえるフラタス。
女がフラタスを見ている。
コップを見るフラタス。
コップに残っている白い粉を見て、
フ
ラタス…「これは何だ」と
女を見て言うフラタス。
横
から、
父
親メドウィック…「コップが汚れてたんだ
ろ」
女
に向かってフラタス。
フ
ラタス…「さあ 出ようぜ」と
女の手を掴む。
父
親メドウィック…「女房は貴様なんかに
付いて行かん」
フラタスが填めた指輪を外してフラタスを見る女。
驚いて女を見てフラタス。
フ
ラタス…「じゃあ お前の息子か」
女…「…」
フラタスを見ている女。
コップに目をやり、
フ
ラタス…「毒を盛ったのか」と
女を見て言い、メドウィックの方を見るフラタス。
父
親メドウィック…「…」
フラタスを見ているメドウィック。
慌てて立ち上がり、
フ
ラタス…「俺に 毒を盛ったのか!」と
怒りテーブルをひっくり返すフラタス。
「アッ ア〜〜」
慌てて店を飛び出すフラタス。
そ
のフラタスを見ているメドウィックと女、そうサービスエリアで働くジョーイの母親だ。
妻
を抱き寄せるメドウィック。
Top
〜
処刑〜
キャデラックを飛ばし町の病院へ急ぐフラタス。
フ
ラタス…「病院へ行きゃ大丈夫だ 胃を洗い
りゃいいんだ
間に合うさ〜
20分で行ける 病院にさえ行きゃ」
マイクとトムが車でフラタスが来るのを待っている。
助
手席のトムがマイクに、
ト
ム…「やつが来たよ」と
知らせる。
マ
イクが車を走らせる準備をする。
不
安を払い除けようと独り言を言い続けて運転しているフラタス。
フ
ラタス…「嘘さ
大丈夫さ 病院へ行くんだ〜」
今
にも泣き出しそうにしているフラタス。
キャデラックの前に出て進行を邪魔するマイク。
驚いてクラクションを鳴らすフラタス。
“プップ〜”
フ
ラタス…「退け 暇人」
“プップッ プップッ プップッ プ〜プ〜プ〜〜”
ブ
レーキとアクセルの攻防が繰り広げられる。
“キキキキ〜 キキキキ〜 キキキキ〜”
後
ろの様子を見ながらハンドル操作をするマイク。
フ
ラタス…「退けろ 病院へ行くんだ!」
怒鳴るフラタス。
“プ〜〜〜 プップップップ〜”
ト
ム…「スピード 出し過ぎだよ」
マ
イク…「本当だ 落そう」と
トムに冷静に応えスピードを落す。
ス
ピードメーターが30から20に。
『処刑道路』
フラタス…「お〜い」
“プップップップッ プップッ”
フ
ラタス…「退け 退け 早く
退いてくれったら〜」
“キキキキ〜”
“プップッ”
フ
ラタス…「病院に行くんだ〜」
“プップップップッ プップッ プ〜〜〜”
“キキキキ〜 キキキキ〜 キキキキ〜”
蛇
行運転をし進行の邪魔をし続けるマイク。
後
ろの様子を見ているトム。
“キキキキ〜 キキキキ〜 キキキキ〜”
フ
ラタス…「退いてくれよ」
運
転しながら後ろの様子を見るマイク。
“キキキキ〜 キキキキ〜 キキキキ〜”
フ
ラタス…「退いてくれ〜 頼むよ〜
死にそうなんだ」
汗
を掻き顔が真っ赤になっているフラタス。
サ
イドミラーで後ろの様子を見るマイク。
“プップ〜”
フ
ラタス…「退いてくれ〜」
“キキキキ〜”
フ
ラタス…「退いてくれ」
“キキキキ〜”
フ
ラタス…「抜かせてくれ
死にそうなんだ」
“プップップップ〜 プ〜〜”
フ
ラタス…「退いてくれ〜 時間がねえんだ」
助
手席のトムが後ろの様子を見る。
フ
ラタス…「アッ ウ〜」
生
汗を掻き顔が真っ赤になって息苦しそうにしているフラタス。
フ
ラタス…「イ〜」
苦
しそうに前屈みになってハンドルを持っているフラタス。
フ
ラタス…「頼む 退いてくれ
ア〜」
息苦しそうに喉に手をやるフラタス。
『処刑道路』
キャデラックが大きく左右にぶれる。
フ
ラタス…「ア〜」
路肩に滑り落ちてゆくキャデラック。
マ
イクとトムが後ろの様子を見る。
フ
ラタスの手が力なく垂れる。
病院へ運び込まれたフラタスの死因は“急性心不全”と診断される。
フラタスが運ばれた時に「毒薬を盛られた」と言っていたのは風邪薬だったそうだ。
恐怖のためのストレスが高じてのショック死したという訳だ。
悪ふざけも度が過ぎると死を招くことを身を以って知ったフラタス。
時遅しだが。
愛するジョーイを失った家族の連係プレーによって
憎き男を処刑した。
まず、フラタスが自分に気があるのを利用してウィスキーを振舞い、それに薬を入れる母親から始まり、フラタ
スが飲んだのを確認した父親へバトンされ、父親は2週間前の話をし追い詰める。そして、息子たちへ。息子た
ちは道路で待ち伏せし病院へ逃げ込もうとするのを阻止し復讐を完了させる。
精神的に死に追い込む連係がなされた訳だ。
怖い。
更新2007.6.28
Top
ヒッチコックがデザインしたという似顔絵
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参考文献
ヒッ
チコック劇場
新・
ヒッチコック劇場
ア
ルフレッド・ヒッチコック
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映画あり
き
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