めぐり逢い
  
     ケーリー・グラント、デボラ・カー

※ストーリーを載せていますので、ドラマをご覧になっていない方は、ご了承下さい。

  出 会い〜〜船室〜〜不自然〜〜祖母〜〜航路エンパイアステート・ビル〜〜椅子
再会〜〜ショー ル〜 
記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わりに] web拍手 by FC2
(1957)(米)-An Affair to Remember-
監督…レオ・マッケリー
原作…レオ・マッケリー
脚本…レオ・マッケリー/ミルドレッ ド・クラム/デルマー・デイヴィス
撮影…ミルトン・クラスナー
音楽…ヒューゴ・フリードホーファー
主題歌♪過ぎし日の恋(歌: ヴィック・ダモン)
出演…ケー リー・グラント(ニッキー・フェランテ/ニコラ)
………デ ボラ・カー(テリー・マッケイ)
………リチャード・デニング(ケン)
………ネバ・バターソン(ロイス)
………キャスリーン・ネスビット(祖母)
………ロバート・O・ルイス
………チャールズ・ワッツ
………フォーチュニオ・ボナノバ

 『邂逅』のリメイクで、ケーリー・グラントデ ボラ・カー大人の会話の妙が楽しめる甘く切ないラブ・ロマンスだ

 ケー リー・グラントデ ボラ・カーの絶妙の間合いがいい。

 シガレットケースを拾うシーンといい、甲板でのキスシーンといい、どのシーンも素敵 だ。

 そして、ピアノを弾く祖母(キャスリーン・ネスビッ ト)とグラントとデボラがそれぞれを見詰めるシーンは最高だ。
 今もピアノの音色が聴こえてくる。
 躓く音も。

 そして、ラストシーンは、涙、涙だ。
 ケーリー・グラントデ ボラ・カーの魅力が名作にしたと思う。
  お薦めの作品だ。

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 〜出会い〜

マルセイユからニューヨーク行きの豪華客船で一人旅をしていた大人の男女が出会 う。
金 持ちの女から女へ渡り歩くことで社交界のゴジップネタになっているプレーボーイのニッキー(ケーリー・グラント)と大富豪の婚約者ケン(リチャード・デニング)がいるクラブ歌手テリー(デ ボラ・カー)だ。

デッキの上で暇を弄んでシガレットケースを探していたニッキーが、自分のシガレット ケースを持って通り過ぎようとしているテリーに興味を示す。
ニッ キー…「失礼  僕のタバコ入れだ」と、 声を掛ける。
テ リーが振り向く。
シ ガレットケースを差し出しながら、ハンサムなニッキーを眺めて、
テ リー…「実は私 宝石泥棒なの」と、 反応を楽しむ。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

ニッキー…「信じない ね」と言うニッキー。
テ リーはニッキーからシガレットケースに目を移し、
テ リー…「拾ったので届けに…」と 言いシガレットケースを渡そうとするが、思い止まる。
「あなたのだって証拠は?」と 言うテリー。
ちょっ と気まずそうに、
ニッ キー…「中に僕への献辞が」と 言うニッキー。
頷 き、シガレットケースを開けるテリー。
テ リー…「“ニコラへ”」と、 読むとニッキーの方を向き、


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

テリー…「あなたが あ の有名な…  何度も拝見しているわ 新聞や雑誌で」と 言うテリー。
恥 ずかしそうに下を向いていたニッキーが、
ニッ キー…「婦人雑誌でも? 合 格だね」と、 シガレットケースを受け取ろうとする。
テ リー…「まだよ」と、 手でポーズをとるテリー。
内 容を読み、口笛を吹き驚く。
テ リー…「お熱い献辞 フ ランス語は不得意なの 正 確に品よく 訳してくださる?」
恥 ずかしそうにテリーを見ながら、
ニッ キー…「意味はこうだ “ヨッ トでの夢の3夜に ガブリエラ”」と 言うニッキー。
熱 い献辞に圧倒され、“そう 判っ たわ”と頷き、
テ リー…「あなたのね」と、 シガレットケースを渡すテリー。
ケー スを受け取り、
ニッ キー…「「氷の女王」って君の歌?」と 言うニッキー。
笑 い出すテリー。
テ リー…「「月夜のガブリエラ」って 歌を作る つもりよ
 お茶の間に浸透するかしら」と、 言って去ろうとするが戻り、首を横に振って去るテリー。
テ リーの後を追い、
ニッ キー…「待って 困っ てるんだ」と 言うニッキー。
テ リー…「遊びが過ぎるのよ 自業自得」
ニッ キー…「相談を」
テ リー…「私はだめ 聞くより話したいクチで」
ニッ キー…「正直な顔だ」
鏡 で顔を見て、“この顔が?”とおどけるテリー。
ニッ キー…「信用できるね」
テ リー…「まあね」
ニッ キー…「頼む」
テ リー…「船長も正直そうよ 彼に話せば?」
ニッ キー…「僕の船室へ」
“ああ”と彼の考えを読み取ったテリーは、
テ リー…「私の船室」と、 言ってニッキーの口説きをさらりとかわす。
 大人の会話を楽しみながら も愛人に対して貞淑なテリーと、自分の船室へ誘い込もうとするニッキーのプレイボーイぶりが出てい て実に面白い。
 こうした、ウィットな会話が随所に出てくる。

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 〜船室〜

テリーの船室で、
ニッ キー…「助かったよ 退屈で死ぬとこだった  出航以来 美人を見ていない
 美人はもう旅をしないのかと あきらめたら君がいた
 君は命の恩人だ」と 言いながらテリーの前に腰掛けるニッキー。
テ リー…「そんなセリフで 女性を口説いてきた の?  私が参るとでも?」と 言うテリー。
ニッ キー…「参ったら驚きだ」
テ リー…「嫌みなら負けないわよ 自 信あるの い くわよ」
ニッ キー…「どうぞ」
テ リー…「婚約者はご存じ? ガブリエラのこ と」
ニッ キー…「二人は親友だ」
テ リー…「進んでるのね」
窓 から外を見てニッキー。
ニッ キー…「この船 かなり速いよ」と 言う。
テ リーの横に腰掛、「グズグズできな い  人生はシャンパンの泡だ 軽く陽気に」と 口説く。
テ リー…「ロゼが好きよ」と かわすテリー。
ニッ キー…「一緒にバラ色の夢を見よう 嫌か い?」と言うニッキー。
首 を大きく振るテリー。
ニッ キー…「何?」
ニッ キーの後ろの方を指すテリー。
指 している方へ体を向けるニッキー。
テ リーが男と写っているのを見てテリーの方を向く、再び写真を見てテリーの方を向き、
ニッ キー…「無視しよう」と 言うニッキー。
首 を横に振り、
テ リー…「だめ」と 言うテリー。
ニッ キー…「ご主人?」
テ リー…「いいえ」
ニッ キー…「じゃ いいさ」
テ リー…「だめ」
ニッ キー…「なぜ一緒に来ない?」
テ リー…「テキサスで大仕事なの  合併話をまとめるまで 旅に出てろって
 私 経済音痴で  理解できないの  損すればするほど  税の控除で もうかるとか
 だめな会社が強い会社に 合併されるとー う まくいくとか
 彼は私を評価してるけど 事業の才能はないって」と 話すテリー。
ニッ キー…「なくていい」と 言うニッキー。
にっ こりとして、
テ リー…「ありがとう」と 言うテリー。
笑 いながら写真の方を見て、
ニッ キー…「信頼されてるわけだ」と 言うニッキー。
テ リー…「無条件で」
ニッ キー…「過ちは?」
首 を横に振りながら、
テ リー…「5年間 一度も 残 念ながら事実よ」と 言うテリー。
残 念そうに下を向き、
ニッ キー…「なるほど」と シガレットケースからタバコを取り出し吸おうとして、テリーに聞くニッキー。
ニッ キー…「タバコは?」
テ リー…「結構よ」
首 を横に振るテリー。
タ バコを銜えて、
ニッ キー…「火がない」と ポケットに手をやり探すニッキー。
テ リー…「お熱い文句でつけたら?」と 言うテリー。
ニッ キー…「うまい もっと聞かせてよ」
銜 えていたタバコを取り、「幸 運な男だ 魅力的かい?」と 言うニッキー。
テ リー…「世界的プレーボーイには 少しは惑わ されるかも」と 言うテリー。
ニッ キー…「なるほど」
写 真の方を見て、「楽しかったよ」と ドアの方へ行き、振り向き、
「デッキ・テニスでもやるかな」と 言うニッキー。
首 を振り、
テ リー…「気を悪くしたの?」と 言うテリー。
ニッ キー…「そういうこと」と 言うニッキー。
ニッ キーに近づきながら、
テ リー…「ごめんなさい  自尊心を傷つけた?」と 言うテリー。
ド アを開けながら、
ニッ キー…「散歩でもして傷をいやすよ」と 外へ出て行こうとするニッキー。
頷 き見送るテリー。
閉 めかけたドアを開けニッキー。
ニッ キー…「よければ…」と テリーを誘う。
そ れに応じて一緒に出てゆくテリー。
 気楽に航海をしようというわけだ。

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 〜不自然〜

 二人には将来の贅沢な生活を保証してくれる大金持ちの婚約者がいる。
 その、婚 約者より電報が届いたのを背中合わせで読みあっているシーンが滑稽だ


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カーら

噂になるのは拙いと別々の行動をしようとするが、デッキで会ったり、バーで同じロゼを 頼んだりしてしまっているニッキーとテリー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カーら

 随所に大人の映画を感じさせるシーンがあるが、バーでデ ボラ・カーがロゼを指先にちょっとひたし、耳たぶに香水のようにつけるのが魅力的だ

別行動のつもりが二人はことごとく一緒になってしまう。
乗 船客たちは二人の不自然な行動を見て楽しんでいる。

 
『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

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 〜祖母〜

船が停泊したヴィル・フランシュの港で、ニッキーに誘われ同行したテリーはニッキーの 祖母(キャスリーン・ネスビット)が住む別荘を訪ねる。
 亡き夫の思い出に生きる祖母役のキャスリーン・ネスビットが実にいい、美し い。
 
ニッ キーが祖母を訪ねると言ったことをプレーボーイのジョークだと思ってついてきたテリーは、
テ リー…「まあ!」
高 台にある屋敷の美しさに驚き別荘に魅せられる。
「天国の庭みたい  完璧だわ」
別 荘を見回し、
「空気まで特別  安らぎに満ちてる」
ニッ キーを見て、
「平和で 別世界みたい」と 言うテリー。
ニッ キー…「そう 祖母の世界だ」と 言うニッキー。
テ リー…「どんな方なの」
ニッ キー…「祖父は外交官だった 世 界を回って ここに隠居し  礼拝堂の裏に眠る
 祖母は墓守をしながら  共に眠れる日を待っている」と 話すニッキー。


『めぐり逢い』デボラ・カー、ケーリー・グラント

ショールを掛けた祖母が礼拝堂から出てきてニッキーことニコラに気付く。
祖 母…「ニコラ」
駆 け付けたニッキーと抱き合って喜び合う。
祖 母…「おお ニコラ
フ ランス語で、
“予告もなしで”」と 言う祖母。
ニッ キー…「“驚かせたくて”」
フ ランス語で答えるニッキー。
祖 母…「“結婚するって本当?”」
ニッ キー…「“ついにね  会うたび若返るね”」と 言うニッキー。

庭で待っているテリーに気付き、
祖 母…「“あの人が?”」と ニッキーに聞く祖母。
ニッ キー…「いや」と 答え、テリーの方へ連れて行き紹介する。
ニッ キー…「マッケイさんだ」
祖 母…「よろしく」
テ リー…「よろしく」と 祖母に握手する。
ニッ キー…「君を婚約者かって」
テ リー…「まあ?」
に こやかに笑うテリー。
祖 母…「“感じのいい方ね”」と ニッキーに向かって言い、テリーに、 
「感じのいい方と言ったの」と 言う祖母。
テ リー…「光栄ですわ」と 言うテリー。

ベンチに腰掛けた祖母に、
テ リー…「なんて美しいお庭でしょう」と 言うテリー。
祖 母…「ありがとう」
テ リー…「ずっといたいわ」
祖 母…「だめよ お若いのに  ここは思い出に浸る場所
 若い時は思い出を作るのと 言う祖母。
頷きニッキーと視線が合うテリー。
心 を打たれたことをニッキーに気付かれないように、
テ リー…「礼拝堂もすてきね」と 礼拝堂の方を見て、そちらに歩き出すテリー。
祖 母…「中へどうぞ」と 言う祖母。
祖 母の方に振り向き、
テ リー…「よろしい?」と 言うテリー。
祖 母…「“どうぞ”」
テ リー…「ありがとう」
礼 拝堂の方へ向かうテリー。

祖母…「おお ニコラ」
再 びニッキーと抱き合って喜ぶ祖母。
祖 母…「最後に礼拝堂に 入っ たのはいつ?」と 言う祖母。
ニッ キー…「おお それは…」と ニッキー。
頬 を軽くポンと叩き、
祖 母…「子供の時ね」と 言う祖母。
二 人で笑う。
祖 母…「お祈りしておいで」と 合図し、
「私はお茶を」と 言う祖母。
ニッ キー…「手伝うよ」
祖 母…「だめだめだめ」と 礼拝堂の方を指差す祖母。

祖母に促されて礼拝堂に入ったニッキーは、マリア像に向かって一心にお祈りしているテ リーを見詰める。
テ リーの視線に促されるように、自分も跪いてマリア像に向かうニッキー。
熱心にお祈りしている姿を見詰めていたニッキーはテリーに恋している自分に気付 く。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

 二人でマリア像を見上げている姿が美しい。
 そこに真実の愛が見えた。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

テリーと祖母はすっかり打ち解けて話している。
お 茶を運ぶ手伝いをしているテリーが祖母の部屋を見て、
テ リー…「すばらしいお部屋」と 言う。
頷 き、
祖 母…「主人が収集家でね 美しい物が大好き で」
嬉 しそうに、「私もよ」と 言う祖母。
お 茶をテーブルに置き、座ろうとしている祖母が腰掛けやすい向きに椅子を向けるテリー。
祖 母…「家政婦にも先立たれて 今さら 仕込む には年だし
 それに実を言うと」と 言い、椅子に腰掛ける。
「80歳で死ぬと決めていたのに  もう82
 将来のたに節約しないと」と 話し、直ぐ横で祖母を見詰めているテリーを見上げる。
優 しく、
テ リー…「賢明ですわ」と 言うテリー。

壁の方に目をやり、飾ってある絵に、
テ リー…「まあ!」と 声を上げるテリー。
祖 母…「気に入った?」と 言う祖母。
テ リー…「いい絵だわ」
絵 のサインを覗き込み、
テ リー…「フェランテ?」と 祖母の方を見る。
祖 母…「ニコラよ」と 言う祖母。
テ リー…「ニッキー?」驚 き、再び絵を見るテリー。
祖 母…「ずっと昔のよ」と 言う祖母。
テ リー…「信じられない」と 言うテリー。
祖 母…「才能あるのよ」と 言う祖母。
祖 母の方を見て、
テ リー…「知りもしないで よけいなことを」と 言いながら、もう一脚の椅子の方へゆくテリー。
祖 母…「不幸にも自分に厳しいの」と 話す祖母。
椅 子に腰掛けるテリー。
祖 母…「だから いくら描いても  気に入らず 絵筆を捨てた」と 話す祖母。
テ リー…「惜しいわ」と 言うテリー。
祖 母…「それに忙しい子でね いろいろと」と 肩をすくめる祖母。
テ リー…「ええ」と 笑うテリー。
お 茶を入れようとする祖母。
テ リー…「私が」と お茶に手を伸ばすテリー。
にっ こりして、
祖 母…「ありがとう」
嬉 しそうに、「二人が来てくれて 興奮してる の」と 言う祖母。
お 茶を入れているテリー。
祖 母…「冷静を装ってるんだけど 分かるで しょ」と お茶目な表情でテリーを見る祖母。
テ リー…「お見事ですわ」と 祖母との会話を楽しみ入れたお茶を手渡すテリー。
テ リーの受け答えに満足した表情を浮かべて、
祖 母…「あの子がかわいくて 小 さいころはピアノで 皆を魅了し
 次に絵を習って… 何 でもできるから悪いのよ」と 話す祖母。
テ リー…「器用貧乏ね」と 言うテリー。
祖 母…「何でも楽々 手に入る  だから未知の世界に引かれる
 未知の土地 未知の女性に」と 言う祖母。
頷 き、
テ リー…「私もその一人ね」と 言うテリー。
首 を横に振り、
祖 母…「いいえ あなたは別よ」
と 言い、改まった表情になり、「実 を言うと あの子のことが心配なの  時々 怖くなる」と 視線を落とす祖母。
テ リー…「なぜ」と 聞くテリー。
祖 母…「いずれツケが回ってくるわ  払い切れないほどの」
気 を取り直すように大きく息を吸い込み、テリーの方を見て、
「あなたと一緒なら 私も安心なのだけど」と 言う祖母。
テ リー…「本当ですか」
首を横に振りながら、
「自信がないわ」と 言うテリー。
祖 母…「いざとなれば大丈夫よ あなたなら」
ニコラへのテリーの気持ちを確認でき、
「何の問題もない子よ い い人さえついてれば」と テリーの表情を覗き込む祖母。
恥ずかしがるテリー。


『めぐり逢い』キャスリーン・ネスビット、デボラ・カー

そこへニッキーが入ってくる。
ニッ キー…「二人で何の話を?」と 二人の間に腰掛ける。
テ リー…「聞かぬが花よ」と 言うテリー。
ニッ キー…「いろいろ聞き出したな」と 言うニッキー。
テ リー…「思いどおりにならないと 癇癪を起こ したそうね」と 祖母の方を見て吹き出し、笑いを堪えているテリー。
笑っ ている祖母とテリーを交互に見て、
ニッ キー…「目にゴミでも?」と テリーの顔をおどけて覗き込み会話を楽しむニッキー。
笑 いながら“やめて”と手を振るテリー。
祖 母の椅子の肘掛に腰掛ながらテリーに、
ニッ キー…「君はなんて」と 言うニッキー。
テ リー…「今は違うって」
ニッ キー…「まさか」
テ リー…「思いどおりにならないと むくれるだ け」
ニッ キー…「ううん」と 言うニッキー。
思っ てもいないことを言っていることを見抜かれているので、
テ リー…「お茶は?」と 話題を変えようとするテリー。

それを感じ取って祖母へのプレゼントを置いている所へ行くニッキー。
ニッ キー…「プレゼントだ」
と 祖母の方を見て、「見て」と プレゼントを持ち上げ祖母に見せる。
祖 母…「先がないのに」と 言う祖母。
ニッ キー…「関係ない」と 言うニッキー。
プ レゼントを置いている所へ嬉しそうに寄って来る祖母。
祖 母…「お金の無駄よ」
ニッ キー…「見れば分かる」と 言い、包み紙を開けてやるニッキー。
そ こには祖父の肖像画が…
祖 母…「ニコラ」と 肖像画を見て感激の声を上げる祖母。
ニッ キーを見て、 「どうやって描いたの」と 言う祖母。
ニッ キー…「記憶で」と 言うニッキー。
持っ てきたお茶をニッキーに手渡しながら絵を見るテリー。
声 を上げ驚くテリー。
そ のテリーに嬉しそうに、
祖 母…「アンドレよ 私の夫」と いう祖母。
喜 びに満ちて、「生きてるみたい  そっくりだわ」と 言い、釘付けになって絵を見ている祖母。
テ リー…「立派なお顔」と 絵を食い入るように見るテリー。
ニッ キーに向かって、「これを記憶 で?」と 言うテリー。
ニッ キー…「そう」と 答るニッキー。
祖 母に、「気に入った?」と 言うニッキー。
祖 母…「すばらしいわ」と 言う祖母。
ニッ キー…「昔 描いたきり 渡せないでいた」と 言うニッキー。
テリーを見て“先ほど話していた通りでしょう”という表情をして、
祖 母…「才能あるのよ」と 言う祖母。
頷くテリー。
 この二人の間合いと表情がいい


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、キャスリーン・ネスビット、デボラ・カー

素敵な一時を祝おうとグラスをそれぞれ手にする。
祖 母…「では乾杯の言葉を  なんて言えば…」と、 二人の方を見て躊躇する祖母。
テ リー…「彼の幸せな結婚を 祈るのはいかが」と、 戯けるテリー。
そ のテリーの方へ向き直り、“それ はないよ”の表情を 見せるニッキー。
祖 母へ再び促すテリー。
祖 母…「うう〜ん  ではー」
二人の方を見て優しく、「楽 しい航海になりますよう」と 言う祖母。
嬉しそうにグラスを口にするニッキー。
ちょっと戸惑いながら、
テ リー…「ありがとう」と 言い、グラスを口に持って行くテリー。
二人が結ばれることを願っている祖母の気持ちが込められているのを感じながら。

それぞれの思いを持ち記念の酒を飲むと、「ボ〜ン ボ〜〜ン」と 汽笛が聞こえてくる。
寂 しそうな表情を浮かべる祖母。
祖 母を気遣いながら帰り支度をするテリー。
祖 母の気持ちを察し、どのように別れを言おうかと考えをめぐらせているニッキー。
元 気付けるように大きく両手を広げ、
ニッ キー…「そろそろ行かないと」と 言い、祖母を抱擁する。
ニッ キーの手を両手で包み込み、
祖 母…「今日はありがとう」と 言う祖母。
気 遣いながら俯いて待っているテリーを見て、思い立ったように祖母に、
ニッ キー…「行く前にピアノを聴かせて」と 言うニッキー。
顔 を上げニッキーたちの方を見るテリー。
祖 母をピアノの方へ向かわせようとするニッキー。
祖 母…「だめよ」と 恥ずかしがる祖母。
二 人の方へ来て、
テ リー…「お願い」と 頼むテリー。
祖 母…「手が…」と 言う祖母。
ニッ キー…「言い訳しない」と ピアノの前に連れ行き椅子に座らせるニッキー。
恥 ずかしがる祖母。
テ リーに向かって、
ニッ キー…「ピアニストなんだ」と 言うニッキー。
そ う言うニッキーに頷き、優しく祖母を見ているテリー。
テ リーに、
祖 母…「昔の話」
にっ こりして見ているニッキーに指差しながら、「覚 悟して聴くのよ」と 言う祖母。
祖 母を挟みピアノの両サイドに立つ二人。
♪ 過ぎし日の恋を弾き始める祖母。
弾きながらテリーを見る祖母。
美しい音色を聴きながら祖母からニッキーに視線を移すテリー。
視線を感じ祖母からテリーに視線を移すニッキー。
微笑み合う二人。
二人の視線は祖母へ。
二人を交互に優しく見ながら弾いている祖母。
楽 譜を見つけたテリーが祖母に“こ れ”と目で聞く。
頷 く祖母。
スムーズに弾いていたが躓く祖母。
微笑むテリー。
微笑み返す祖母。
また、躓き“まあ!”と呆れニッキーの方を見る祖母。
顔をしかめる表情を見せながら、優しく祖母を見詰めるニッキー。
テ リーが祖母の演奏に合わせてハミングする。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、キャスリーン・ネスビット、デボラ・カー

また、躓いた祖母が、微笑んでテリーに“どうぞ”と合図する。


『めぐり逢い』キャスリーン・ネスビット

それに答えて頷くテリー。


『めぐり逢い』デボラ・カー

テリーからニッキーへ視線を移す祖母。


『めぐり逢い』キャスリーン・ネスビット

祖母を見ていたニッキーがテリーに視線を移す。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

そのニッキーを見てテリーに視線を移す祖母。


『めぐり逢い』キャスリーン・ネスビット


『めぐり逢い』キャスリーン・ネスビット

テリーが楽譜を見ながら歌いだす。
テ リー…「“この美しき愛 永久に朽ちず  やさしき思い出とならん”」
テリーを見詰めているニッキー。
テ リー…「“熱き誓い  甘き口づけ”」
ニッキーを見ている祖母。
テ リー…「“二人を永久に結ばん  この愛 日ごと深まり”」
テリーを見詰めているニッキー。
 愛しい人を見ている姿だ。
ニッキーを見て確信するようにテリーに視線を移す祖母。
テ リー…「“時の流れにも 変わることなく”」
汽 笛が「ボ〜ン」と鳴る。
悲 しそうな表情を浮かべる祖母。
テ リー…「“その喜び わが胸を照らす”」
汽 笛が再び「ボ〜〜ン」と鳴る。
下 を向き弾くのをやめる祖母。
祖 母を優しく見詰めている二人。
立 ち上がり、泣き出しそうにしながらニッキーに抱きつき、
祖 母…「汽笛の音は嫌い」と 言い、出口の方へニッキーに支えられながら向かう祖母。
後から出たテリーは祖母がショールを忘れているのに気付き持って出る。
テ リー…「これ おかけになって」と 祖母に掛けてやる。
祖 母…「まあ! ありがとう」
ショールを見て、
テ リー…「すてきね」と 言うテリー。
祖 母…「気に入って?」と 言う祖母。
テ リー…「ええ」
祖 母…「いつか送ってあげる」
テ リー…「いいえ そんな」
祖 母…「そうしたいの」と 優しくテリーの頬に手をやる祖母。
立 ち止まり愛しく祖母の後姿を見て、後を追って歩き出すテリー。
 ピアノを弾く祖母とニッ キーとテリーがそれぞれを見詰めるシーンは最高だ。
 魅かれあっていながら、踏 み出せないでいた二人が結ばれるシーンでもある。
 恋のキューピットは勿論、祖母である。
 ピアノの音色が躓く音とともに何時までも余韻を持たせ忘れられない。
 見事な演出、俳優たちの素敵な表情といい、大好きなシーンだ。

庭先まで来ると立ち止まり、
祖 母…「ここで失礼するわ 私の境界線」と テリーに言う祖母。
テ リー…「そうですね」
庭 を見渡し、「完璧な世界ね」と 溜息をつくテリー。
祖 母へ手をさし伸ばし、「伺っ てよかった」と 握手するテリー。
そ の手を両手で包み摩る祖母。
感 情の高まりを堪えて、
テ リー…「さようなら」と 言うテリー。
祖 母…「幸せにね」と 言う祖母。
石 段の方へ数歩ゆきニッキーを待つテリー。
祖 母に寄り添っていたニッキーが祖母の前に行き、祖母の両手を持ち、
ニッ キー…「じゃ これで  また来るよ 手紙も書く」と 言うニッキー。
にっ こりと首を振り、
祖 母…「そうして」と いい、抱きつく祖母。
ニッ キーも抱擁する。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、キャスリーン・ネスビット

抱きしめているニッキーを宥め軽く肩を叩き合図する祖母。
頬 にキスをするニッキー。
キ スを返す祖母。
ニッ キー…「元気で」
祖 母…「さよなら」
テ リーの方へ向かうニッキー。
そ の様子を見ていたテリーの手を握り石段を一緒に降りて行くニッキー。
見 送る祖母。
石 段を降りながら何度も祖母を振り返るテリー。
立 ち止まりニッキーの顔を見て手を放し、祖母の方へゆき抱擁するテリー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー、キャスリーン・ネスビット


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー、キャスリーン・ネスビット

テリー…「さようなら」
祖 母…「さよなら」
石 段の方へ小走りに向かうテリー。

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 〜航路〜

 魅かれあっていながら、踏み出せないでいた二人が祖母の「思い出はつくるもの」の言葉に心を打たれ、真剣に恋におち人生航路を変える決心をす る。

夜の豪華客船のデッキで、
ニッ キー…「捜したよ 船室にも行った
 泣いてた?」と 言うニッキー。
頷 くテリー。
テ リー…「感動の涙よ
 ニッキー  今日はありがとう
 忘れられない一日になりそう」と 言うテリー。
に こやかに、
ニッ キー…「祖母も喜んでた」と 言うニッキー。
微 笑むテリー。
テ リー…「手紙 書くわ」
ニッ キー…「喜ぶよ」
見 詰め合う二人。
ニッ キーがキスしようとテリーに近づく。
テ リー…「歩かない?」
デッ キを寄り添って歩く。
そ して、名シーン。
階 段で足元だけを見せてのキス
 二人の所作で最高にロマンチックなキスシーンになった。
階 段を降りてくる二人。
泣 いているテリーに、
ニッ キー…「涙はなし」と 言うニッキー。
テ リー…「だって感動の涙よ」
見詰め合う二人。
テ リー…「行く手は荒海ね」
ニッ キー…「二人の針路は変わった」と 言うニッキー。
頷くテリー。

 明日、ニューヨークに着くという夜のデッキで二人は並んで海を見詰めな がら、“シャンパン になじんだ生活を変えるのは大変なことではあるが、もう後戻りできない、いや戻らない”と思っている。
  だが、“これから、 どうして行ったら良いのか”という思いで頭が一杯 である。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

 それを、それぞれに届いた婚約者からの電報を風に飛ばされたり、どこに入 れたのか忘れていることで演出している。
 前回、電報を背中合わせで読みあった後に手に持っていたり、ポケットに入れ ているのと比較すると、心境の変化が読み取れ面白い。
テ リーが溜息まじりに、
テ リー…「人生って皮肉ね」と 言う。
テ リーを見て、
ニッ キー…「まったく」と 苦笑いするニッキー。
ニッ キーも同じ思いでいることを感じるテリー。
改 まった表情で、「彼に愛を?」と 聞くニッキー。
テ リー…「今はもう…」と 答えるテリー。
ニッ キー…「僕は 自分で稼いだことがない」と 言うニッキー。
頷 き、
テ リー…「私もそれを考えてたの」
ニッ キーを見て、「何て」と 言うテリー。
テ リーを見て首を横に振り、
ニッ キー…「何も」と 言うニッキー。
テ リー…「言ったわ」
間 を置き、「“君はぜいたくな女だ”」と 言うテリー。
ニッ キーが笑う。
チ ラリとニッキーを見て、
テ リー…「“毛皮やダイヤが大好きだ”」と 言うテリー。
ニッ キー…「僕が言った?」と 聞くニッキー。
頷 くテリー。
テ リー…「二人ともシャンパンに なじんだ生活
 変えるのは大変かも」と、 ニッキーに目で同意を求めるテリー。
そ して、顔を顰めて、「ビール 好 き?」と聞くテリー。
ニッ キー…「あまり」と 答えるニッキー。
“やはりね”とばかりに大きく頷くテリー。
テ リー…「父は飲んでた 朝から」と 貧しく苦しい生活をしていた過去を話しの流れの中で言うテリー。
ニッ キーは驚くが、
ニッ キー…「ビール党か」と 軽く切り返す。
  ここにテリーに対するニッキーの思いやりがみられる。
テ リー…「ええ」と ニッキーを見て頷くテリー。
思 い出したくないことだが、「午後は何で もよ」と 打ち明け、首を横に振り呆れた表情をするテリー。
そ の父親に呆れ苦笑いするニッキー。
二人は海を見る。
貧しい生活から抜け出し贅沢な暮らしをしてきているテリーと、金持ちの女から女へ 渡り歩き自分で稼いだことがないニッキー。
 “本当に慎ましやかな暮らしをしてゆけるのだろうか”と。
テ リー…「思い出のない冬はつらいわ」
間 を置き、「春はもう過ぎたし」と 言うテリー。
ニッ キー…「僕には最後の機会だ」と 言うニッキー。
ニッ キーを見て、
テ リー…「私にも」と 言うテリー。
そ のテリーを見るニッキー。
二 人は見詰め合う。
頷 き、
ニッ キー…「逃したら最後」と 言うニッキー。
テ リー…「脅かさないで」と 言うテリー。
ニッ キー…「幸せを逃すのは ばかだ」と 言うニッキー。
大 きく頷き、
テ リー…「たとえ あなたに…」と 言うテリー。
ニッ キー…「働きがなくても」と 続けるニッキー。
頷 くテリー。
間 を置きニッキー、
ニッ キー…「今すぐは無理だが  半年たって もし…」と 言うニッキー。
テ リー…「もし?」と 身を乗り出してニッキーを見るテリー。
ニッ キー…「仮定だ」と 言うニッキー。
ニッ キーをしっかり見て、
テ リー…「具体的に」と 言うテリー。
ニッ キー…「分かった  半年 夢中でやってみる  その時 君はどこにいる」と 言うニッキー。
テ リー…「何を言いたいの」と 言うテリー。
ニッ キー…「成功したらー」
思 い切って、「結婚してほしいと 言うニッキー。
“まあ!”と嬉しそうに、
テ リー…「最高のプロポーズよ」と 感激するテリー。
恥 ずかしそうに頷くニッキー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

ニッキーを覗き込みながら、
テ リー…「声が変よ」と 言うテリー。
ニッ キー…「当然だろ」と 言うニッキー。
テ リー…「分かるわ」と 言うテリー。
 何時も女から言い寄られていたニッキーが初めてプロポーズしたのだ。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

翌朝、デッキでプロポーズの返事をするテリー。
テ リー…「お互い努力して  半年後に会うのよ
 書いてきたわ」と メモを渡す。
ニッ キー…「読む?」と 言うニッキー。
頷 くテリー。
ニッ キー…「“ダーリン”」
顔 を見合わせる。
 「“7月1日 午後5時に”場 所は?」と 言うニッキー。
テ リー…「あなた 決めて」と 言うテリー。
ニッ キー…「困ったな」
ちょ うどデッキから、マンハッタンの摩天楼が見えた。
ニッ キー…「あのビルの展望台」と 言うニッキー。
ビ ルの方を見て、
テ リー…「エンパイアステート・ビルね  天国に一番 近い所」と 言うテリー。
ビ ルを指差し、
ニッ キー…「102階だ エレベーターで」と 言うニッキー。
笑っ て、
テ リー…「分かったわ」と 言うテリー。
人 目を気にしながらキスをするニッキーとテリー。
テ リー…「でも万一…」と 言うテリー。
ニッ キー…「“でも”はなし」と 言うニッキー。
テ リー…「もしもよ」と 言うテリー。
ニッ キー…「必ず行くんだ いいね」と 言うニッキー。
頷 き、
テ リー…「ええ 気をつけて」と 言うテリー。
ニッ キー…「君も」と 言うニッキー。
人生の航路を変える決心をした二人は、ニューヨーク港に船が入って行くときに半年 後の再会を約束する。
 “天国に一番 近い場所で”と。

ニューヨーク港では、それぞれの婚約者ケンとロイスが待っている。
 それぞれの婚約者を目で紹介し見定めている姿がコミカルだ。
 ケー リー・グラントデ ボラ・カーの大人の味が楽しめるシーンだ。


『めぐり逢い』デボラ・カーら


『めぐり逢い』ケーリー・グラントら

Top

 〜エ ンパイアステート・ビル〜

ニッキーは看板塗りをしながら何とか画家としてスタートとし、テリーは歌手として再出 発している。
半 年後の“7月1日 午後5時に”再会した時の為に。
テ リー…「最後の夜ですのでー 私 の大好きな歌を  お贈りします
 “二人の恋は甘く美しく
 思い出は永遠に続く
 初めての抱擁で
 恋が芽生え
 愛の世界
 はるか時空のかなたへ
 二人の愛よ とこしえに
 恋の炎の消えぬように
 手を取り ともに熱き祈りを
 ともに生き
 終生 分かち合わん
 忘れ得ぬ この恋
 忘れ得ぬ この恋”」と 歌いボストンからニューヨークへ向かうテリー。
ニュー ヨークへ着いたテリーが買い物をしようと店に入るが、元 婚約者のケン(リチャード・デニング)からテリーを引き止 めて置くように言われている従業員が時間稼ぎをする。


『めぐり逢い』デボラ・カーら

店を出ようとするテリーの元へケンが駆け付けてくる。
テ リー…「ケン  どうして ここに?」
従 業員の方を見て、頷き、「な るほど お世話さま」と 言うテリー。
テ リーを連れて出ようとするケン。
テ リー…「悪いけど急ぐの  何時?」と 言うテリー。
ケ ン…「5時5分前だ」と 時計を見て答えるケン。
テ リー…「じゃこれで」
ケ ン…「話があるんだ」
テ リー…「でも急ぐのよ  時間がないの
 じゃ電話を  だめ 結婚…」
ケ ン…「結婚するのか」
テ リー…「だから急いでるの 何時?」
ケ ン…「4分前だ」
テ リー…「さようなら」


『めぐり逢い』デボラ・カー、リチャード・デニング

ケン…「テリー 幸せを 祈ってるよ」
テ リー…「ありがとう」
ケ ン…「何かあったら連絡してくれ  遠慮しないで」
テ リー…「分かったわ」
ケ ン…「幸せに」
テ リー…「どうかしてるわ  ビルはこっちだった」と 言い、急ぐテリー。

タクシーから降りて、
テ リー…「急ぐから歩くわ  チップ込みよ」と 言うテリー。
運 転手…「なぜ急ぐ?」と 言う運転手。
テ リー…「結婚するのよ  祝ってくれる?」と 言い、嬉しそうに運転手と握手してエンパイアステート・ビルの方へ急ぐテリー。
運 転手…「結婚が逃げるかね」と 運転手が言った直後、悲鳴が…
エ ンパイアステート・ビルの目の前でテリーは交通事故に遭う。
そ のことを知らないニッキーはビルの102階で待っている。
エ レベータが開く。
“テリーが乗って来たか”と見に行くニッキー。
降 りるのかと思ったボーイが、
ボー イ…「下へ?」と 聞く。
ニッ キー…「いや」と 否定するニッキー。
エ レベータが降りて行く。
テ リーを待っているニッキー。
エ レベータが昇って来て開く。
“今度か”と中を覗き込むニッキー。
乗っ ていない。
ボー イが、
ボー イ…「下へ?」と 聞く。
ニッ キー…「いや 何時」と 否定し時間を聞くニッキー。
ボー イ…「5時10分です」と 答えるボーイ。
そ の時、下で救急車のサイレンの音がする。
だ が、ニッキーは、それにテリーが乗っていることを知らない。
待 ち続けるニッキー。
すっ かり暗くなっている。
ボー イがニッキーを見てエレベータを降す。

病院に運ばれたテリーがうわ言をいっている。
テ リー…「自分の道を歩きたいのよ
 船を戻して  針路を変えて
 ニッキー 助けて  あなたは強いわ
 私は独りじゃだめ」
医 者…「安静に」
テ リー…「彼が必要なの
 ニッキー あなたが必要なの
 助けて 船を戻して
 針路を変えなきゃ」

誰もいない展望台では事故に遭ったことを知らないニッキーがテリーを待ち続けている。
雷 が鳴り出し大雨になる。
“彼女は来ないのか”と思いながらエレベータのスイッチを押しに行くニッキー。
エ レベータが昇って来る。
ボー イが、
ボー イ…「下へ?」と 聞く。


『めぐり逢い』ケーリー・グラントら

誰も乗っていないエレベータに乗るニッキー。
ニッ キーを気遣いながら閉めるボーイ。
エ レベータが降りて行く。

病室前で医者とケンがテリーのことを話している。
医 者…「楽観できません  二度と歩けないかも  しれない」
ケ ン…「かわいそうに  うわ言で名を呼んでいた男と  結婚するはずでした」
医 者…「連絡は?」
ケ ン…「まだ  治る見通しがつくまで  彼に知らせたくないと」
医 者…「強い人だ」
ケ ン…「ええ」

Top

 〜椅子〜

ニッキーがデッキでさびしそうに海を眺め、思い出の別荘を訪ねる。
主 がいない別荘を。
屋 敷を見渡し、中に入る。
ピアノの傍へ行き祖母が座っていた椅子を見る。
ピアノの横に立つと祖母が弾いてくれた音色が浮かんでくる。
躓く音も。
胸が張り裂けそうになる。
テリーの歌声もしてくる。
祖母を挟んで立っていたテリーの方を見る。
だが、彼女はいない。
彼女への思いを振り払おうと向直り部屋を歩き出す。
何時も祖母が座っていた椅子へ目が行く。
椅子の方へ寄って行く。
そして、祖母の体温を感じようと 椅子の背に手を当てる。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

その感触で祖母が亡くなったことを実感し切なくなる。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

向きを変えるとテリーが座っていた椅子が目に入る。
一旦は背を向けるが、彼女への思いを捨てきれないで、その椅子の背に手を当てる。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

亡くなった祖母がテリーに遺したショールを手に、再び祖母とテリーが座っていた椅 子を見るニッキー。
 この体温を感じようと椅子の背に手を当てるシーンでは何時も胸が締め付けら れ涙が溢れてくる。
 いいシーンだ。
 
テ リーは身障者になっていた。
子 供たちに音楽を教えながら、何時しか歩けるようになる日を待っていた。


『めぐり逢い』デボラ・カー

ニッキーは祖母が亡くなった悲しみと、テリーに裏切られた怒りから乗り越えて絵を描け るようになった。
そして、あのショールをかけたテリーをイメージした肖像画を描いた。
そ の肖像画を見て画商が、
画 商…「これで君は本物の画家だ」と 言う。
ニッ キー…「ありがとう  自信作なんだ  思いのすべてをぶつけた」と 話すニッキー。

Top

 〜再会〜

ニッキーの居所を突き止めた元婚約者ロイス(ネバ・バターソン)から電話がある。
ロ イスはニッキーをなんとか誘い出そうとするが断れバレエ公演ではと誘う。
ニッ キーは気は進まなかったがバレエ公演ぐらいならと観に行く。
 
そ の公演終了時、ニッキーとテリーは偶然に再会する。
驚 く二人。
身 障者であることを知らせたくないテリーは座ったままでニッキーを見ている。
隣 にはテリーを心配して付き添っている元婚約者ケン(リチャード・デニング)が座っている。
足 元に落としているバックを拾ってテリーに渡すニッキー。


『めぐり逢い』ネバ・バターソン、ケーリー・グラント、リチャード・デニング、デ ボラ・カーら

テリー…「こんばんは」と 挨拶するテリー。
ニッ キー…「こんばんは」と 怒って挨拶するニッキー。


『めぐり逢い』ネバ・バターソン、ケーリー・グラント、リチャード・デニング、デ ボラ・カーら

そのニッキーと連れ添っているのは元婚約者ロイスである。
ニッ キーはロイスと劇場を後にする。
誤 解されていても何も言わないで堪えているテリーに、
ケ ン…「私から話そう」と 言うケン。
テ リー…「だめよ  だめ」
ケ ン…「待ってて」
テ リー…「やめて お願い」
ケ ン…「皮肉だ  初めて外出した晩に再会とは」と 言うケン。
頷 き、
テ リー…「私にできるのは  あいさつだけ」
泣 きそうになるのを堪え、「幕は下りたわ  ハッピーエンドで 帰る?」と 言うテリー。
頷 くケン。
ケ ンの合図で車椅子が座席に…

ニッキーは早く独りになりたいと思いながら車から降り、
ニッ キー…「ありがとう」と、 ロイスに言う。
気 まずい空気を察したロイスは、
ロ イス…「誘って悪かったかしら」と 言う。
ニッ キー…「よいクリスマスを」と 言うニッキー。
車 中からニッキーの表情を窺いながら、
ロ イス…「あなたもね」と 握手をし、「またいつか」と 言い去ってゆくロイス。
ニッキーはもう会ってくれないだろうと思いながら。
ロ イスを見送り、気を静めようと街を歩き出すニッキー。

一方、公演帰りの車内のケンとテリー。
ケ ン…「街はクリスマスで  みんな楽しんでるのに…」
テ リー…「“人生よ これも”」
ケ ン…「テリー  頼むから  援助させてくれ」
テ リー…「もう一度  説明するわね
 援助を受けては彼に悪い
 受け入れてから彼のもとへ
 行けば あなたに悪い」
ケ ン…「知らせるべきだ」
テ リー…「だめよ 彼は無理してでも  治療費を出すと言うわ
 それで治らなかったら  最悪
 歩けるようになってから  彼のところへ駆けつけたいの
 仕事もあるし  何とかなるわよ  いい子にしてれば
 次のクリスマスにはきっと…」と 話すテリー。
自分の意思を確かめるように。
ケ ンは、テリーの意志が固いことを実感する。

ニッキーは思い出のエンパイアステート・ビルを見上げている。
“あの約束はなんだったんだ”と。

初舞台となるクリスマス公演前に子供たちがテリーのもとへやってくる。
テ リーが“医師から外出禁止と言わ れたことを告げる”と みんながっかりする。
“自分がいなくても大丈夫だ”と言って聞かせ、自信をつけさせようと歌わせてみる。
子 供たち…“「明日の国」という すばらしい所 がある
 夢のような所
 「明日の国」に着いたとたん
 今日のことは忘れてしまう
 雲の上を歩けば いやなことも みな忘れ
 悩みはシャボン玉のように 空に消える
 教えてあげる 「明日の国」へ行く道を
 目を閉じて 行きたいと願うだけ
 目を閉じて 願えば そこは「明日の国」”
教 えてきた子供たちの歌声に感激して手を合わせ、
テ リー…「合格よ」と 言い子供たちを激励して送り出すテリー。
 事故後、子供たちに教えてきた歌は自分自身への希望の歌でもあった。

Top

 〜ショール〜

テリーのアパート。
ソ ファーに足を伸ばして座らせているお手伝いが、
お 手伝い…「なんてクリスマスでしょ」と 言う。
テ リー…「大丈夫よ」と 言い、手の届くところに必要なものを置いてもらっているテリー。
お 手伝い…「よろしければ うちで七面鳥を」
テ リー…「私の分 とっといて」
お 手伝い…「ご用の時は電話を」
テ リー…「ありがとう そうするわ  メリークリスマス」
お 手伝い…「メリークリスマス」
お 手伝いがドアを開け出て行こうとするとニッキーが立っていた。
ニッ キー…「マッケイさんは?」と 言うニッキー。
そ の声に驚いてドアの方を見るテリー。
ニッキーが祖母の形見のショールを持って、テリーのアパートを訪ねてきたのだ。
ニッ キーが入ってくる。
テ リー…「ニッキー」
ニッ キー…「テリー」と 挨拶が交わされる。
お 手伝いが様子を見ながら出てゆく。
ニッ キーを見詰めながら、
テ リー…「会えてうれしいわ」と 言うテリー。
ニッ キー…「僕もだ」と 腕を組んで座ったままのテリーを見る。
「元気?」と 言うニッキー。
慌 てるがニッキーに身障者になったことを気付かれないように、
テ リー…「元気よ 休んでるだけ」と 言うテリー。
何から切り出そうかときっかけを掴もうとしているニッキー。
テ リー…「久しぶりね」と 言うテリー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

ニッキー…「ああ」
ニッ キーがテリーに近づいて来る。
慌 てて、
テ リー…「会えてうれしいわ」と 言うテリー。
ニッ キー…「もう聞いたよ」
テ リーが座っているソファーを指し、「い い?」と 言うニッキー。
慌 てて、
テ リー…「どうぞ」と 向かい側のソファーを勧めるテリー。
テ リーの態度に戸惑い、
ニッ キー…「お邪魔じゃない?」と 言いながら勧められたソファーに座るニッキー。
テ リー…「とんでもない」と 言うテリー。
ニッ キー…「ここが川を見下ろす…?」と 言うニッキー。
テ リー…「高い所は嫌いになって」と 言うテリー。
ニッ キー…「そう」と 言うニッキー。
ニッキーに優しく微笑むテリー。


『めぐり逢い』デボラ・カー

微笑み返すニッキー。


『め ぐり逢い』ケーリー・グラント

 テリーとニッキーの微笑みに熟練した大人の表情が見られる。
 好きなシーンだ。
確かめたいことをどう切り出そうかと考えているニッキー
ニッ キー…「突然 来たんで驚いたろ」
テ リー…「ええ 本当に」
ニッ キー…「電話帳でマクブライドを 探してた ら」
何 を言い出したいのか解り対応に困っているテリー。
ニッ キー…「T・マッケイを見つけた
 ひょっとしたら マッケイさんかもしれないと」と 言うニッキー。
テ リー…「正解だわ」と 言うテリー。
ニッ キー…「失礼なことをしたのも  思い出してね  いつかの約束 破ってしまっただろ」と 言うニッキー。
“何を言い出そうとしているのだろう”と困惑するテリー。
テ リー…「破った?」
ニッ キー…「そう」
立 ち上がって歩きながら、「思い出したら 落ち着かなく なった
 あの時は悪いことをしたと  謝りたいと  約束を破ったら謝るべきだ」と 言うニッキー。
何 を考えているのか解り調子を合わせようとするテリー。
テ リー…「そうね そのとおりだわ  少なくとも“ごめんなさい”  ぐらい言うべきよね」
調 子を合わせようとしてくれたので話しやすくなり、
ニッ キー…「それで来た」と 言うニッキー。
戸 惑いながら、
テ リー…「ごていねいに」と 言うテリー。
ニッ キー…「当然だよ」と 言い、歩きながら考えているニッキー。
テ リー…「あなたが心配で」と 言うテリー。
“何を言っているんだ”と軽く笑い捨てるニッキー。
テ リー…「どうしてるかと」と 言うテリー。
テ リーを見て、
ニッ キー…「本当に?」と 言うニッキー。
テ リー…「ええ 本当よ」と、 しっかりニッキーを見て答えるテリー。
ど うしてもあの日のことを聞きだしたいニッキーは、
ニッ キー…「僕も時々 考えた  あの時は怒っただろう?」と 言いながらテリーが座っているソファーに近づく。
テ リーを見て、「待ちぼうけで」と 言うニッキー。
視 線を逸らし、
テ リー…「ええ そうだったわね」
躊 躇しながら、「腹が立ったわ  ばかにしてるって」と 言うテリー。
ソ ファーの背に両手を置き、
ニッ キー…「どれぐらい待った? 長く?」と 言うニッキー。
テ リー…「そうね ずいぶん待ったわ」と 言葉を探すテリーに、
ニッ キー…「夜中まで」と 言うニッキー。
テ リー…「まあ!」
驚 くテリー。
ニッ キー…「それから?」と 言うニッキー。
テ リー…「もう許せないと思った」
ニッ キーの反応を見ながら、「立 ちっぱなしで…」と 言うテリー。
ニッ キー…「雷雨の中を」と 言うニッキー。
テ リー…「雷雨の中?」
驚 きニッキーを見詰めるテリー。
ニッ キー…「それから?」と 言うニッキー。
テ リー…「帰って酔っ払おうって」と 言うテリー。
ニッ キー…「でも酔えない」と 言うニッキー。
テ リー…「酔えなかったの」と 言うテリー。
ニッ キー…「そうだ」と 言うニッキー。
テ リーが座っているソファーの周りを歩きながら、「代 わりに ひと月ほど  グダグダ飲み続けた」と 言うニッキー。
テ リー…「責めるの?」と 言うテリー。
ニッ キー…「僕が悪い 伝言すべきだった」と 言うニッキー。
ニッ キーを追っていた視線から自身の手元へ行き、
テ リー…「でも きっと届かなかったわ」と 言うテリー。
ニッ キー…「僕を問い詰めないのか」と 言うニッキー。
テ リー…「だって言ったでしょ 事情の許す限 りって」と 手を合わせ分かって欲しいと祈るように話すテリー。
テ リーが話すのを聞き逃すまいとしているニッキー。
テ リー…「来ない場合はー  事情があるのだと」と 言うテリー。
ニッ キー…「言ったかな」と 言うニッキー。
テ リー…「確かに言ったわ  だからもう質問はなし  お願い」と 言うテリー。
軽 く笑い張り詰めていた緊張を解すニッキー。
そ れを見て、
テ リー…「タバコいかが」と 勧めるテリー。
ニッ キー…「ありがとう」と テーブルのケースのタバコに手を伸ばす。
そ のニッキーを追うようにしながら心を込めて言う。
テ リー…「ありがとう」と。
振 り向き、“やはり何かある”と感じケースから手を離すニッキー。
ニッ キー…「感激だよ」
ソ ファーの周りを歩きながら、「やっと訪ね あてー  理由ひとつ聞けない」と テリーに話すよう頼むニッキー。
首 を横に振るテリー。
がっ かりして、
ニッ キー…「前はお互いの心まで読めたのに」と 言うニッキー。
頷 くテリー。
ニッ キー…「変わったね」と 言うニッキー。
訳 を言えない苦しさに堪えて、
テ リー…「ええ」と 首に手をやる。
ニッ キー…「そうは思えない…」と 言いかけるニッキーに、
テ リー…「やめて」と 言うテリー。
ソ ファーの背に両手を置き頭を垂れ、
ニッ キー…「分からないな」と 言うニッキー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

テリーが下ろす手を見て、
ニッ キー…「結婚してないね」と 言うニッキー。
手 に目をやり、
テ リー…「ええ」と 言うテリー。
ニッ キー…「てっきり…」と 言うニッキー。
テ リー…「彼といたから?  違うの 彼はただ…」
ニッ キーを見て、「違うの」と 言うテリー。
ニッ キー…「悪いこと聞いた」と 言うニッキー。
背 を向け歩き出したニッキーに、
テ リー…「あなたはいかが」と 言うテリー。
向 き直り、
ニッ キー…「質問はなしだろ」と 言うニッキー。
テ リー…「そうね」と 言うテリー。
軽 く笑い、
ニッ キー…「順調だった 昨夜まではね  あの出会いは こたえた
 海を渡ることにして 切符を買ったよ」と 言うニッキー。
テ リー…「船で発つの?」と 言うテリー。
ニッ キー…「今夜」と 言うニッキー。
軽 く頷くテリー。
テ リーの方に近づきながら、
ニッ キー…「幸せなんだね」と 言うニッキー。
テ リー…「ええ  あなたは?」と 言うテリー。
ニッ キー…「さあね  今に世間がうわさする  “変わり者の絵描きだ  女嫌いらしい”」と 言うニッキー。
下 を向き、
テ リー…「なぜ」と 言うテリー。
ニッ キー…「世界を放浪し  会う女ごとに言うんだ  “半年後に会おう”」と 言うニッキー。
テ リー…「どこで」
ニッ キー…「どこでも高い所だ  まだ女を奉りたがってる」と 言うニッキー。
テ リー…「で 待たせる」
ニッ キー…「永遠に待たせる」と 言うニッキー。
テ リー…「その間 彼は?」
ゆっ くり向き直り、
ニッ キー…「待ってる」と 言うニッキー。
テ リー…「そんなの だめよ  あなたらしくもない 間違ってるわ」と 言うテリー。
ニッ キー…「間違ってた」と 言うニッキー。
悲 しそうに視線を落すテリー。
ニッ キー…「話題を変えよう」と 言うニッキー。
テ リー…「そうね クリスマスだし」と 言うテリー。
ニッ キー…「忘れてた」
ショー ルを取りに行き、「まさか君とクリ スマスを 過ごせるとはね  プレゼントだ」
ショールをテリーに手渡す。
テ リー…「ごめんなさい 用意してなくて」
包 み紙を開けながら、「会えるなん て…」と 言い、ショールを見て言葉を詰まらせるテリー。
ニッ キー…「実はそれも 僕からじゃない」と 言うニッキー。
ショー ルを見て、ニッキーの方を見るテリー。
テ リー…「それで手紙が返送に」
悲 しそうにショールを見るテリー。
ショー ルを肩に掛けるテリー。
そ の姿を見ていたニッキーが、
ニッ キー…「今日まで送れないでいた  これで祖母も喜ぶ」と 言うニッキー。
悲 しみを堪えて何度も首を縦に振って頷くテリー。
ニッ キー…「じゃ 用も済んだから」と 言うニッキー。
ショー ルを悲しそうに見ていたテリーが、ニッキーの方を見る。
コー トを持ち帰り仕度をするニッキー。
テ リーの傍に来て、
ニッ キー…「ではこれで」と 言うニッキー。
テ リー…「さようなら」
手 を差し出し握手を求めるテリー。
握 手をし、そのテリーの手に別れのキスをするニッキー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

“ニッキー ごめんなさい”と心の中で叫び、愛しくニッキーを見詰めるテリー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

ドアの方へ向かうニッキー。
差し出した手を力なくおろすテリー。
ド アの取っ手を持ち振り向くニッキー。


『めぐり逢い』デボラ・カー

ニッキー…「君のその姿 を描いた  見せたかった 僕の自信作だ」と 言う。
テ リーの方に向き直り、
「手放したよ  持ってても しかたないし
 売るのにも抵抗が…
 そこへ画商の話だ
 若い女性が絵を気に入りー  深い共感を示したと」と 言うニッキー。
動揺するテリー。
ニッ キー…「だから あげた
 画商が言うには
 彼女は貧しい上に…」
“ハッ”と するニッキー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

「その上に…」
“もしかして”と ニッキー。
「それで あげた」と 言うニッキー。
動揺するテリー。
ソ ファーにコートと帽子を置き、
ニッ キー…「ひどく欲しがってたし」と 話しながらテリーの肖像画を探そうとするニッキー。
口に手をあて高鳴る動悸を抑えようとするテリー。
ニッ キー…「ちょうど クリスマスだから」と 話し奥のドアを開けに行くニッキー。
「善意のつもりで」と 話しドアを開けるニッキー。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント

“ああッ”と目を閉じるニッキー。
テリーの肖像画が飾られているのを見てすべての事情が解る。
 そうだ、あのショール、 恋のキューピットの祖母のショールが再び二人の針路へ戻してくれたのだ。
 きっと、その部屋には車椅子も置かれていたのだろう。
悲しそうな顔をしてテリーの方に戻ってくるニッキー。
涙を浮かべて、


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

テリー…「そんな目で見 ないで」と 言うテリー。
テリーの前に座り、
ニッ キー…「なぜ黙ってた
 僕でなくて  なぜ君がこんな目にと 言い、テリーを抱きしめるニッキー。
涙を流しながら抱き合う。
テ リー…「私がいけないの  上ばかり見てたから
 天国に一番 近い所だけと 泣きながら話すテリー。
「あなただけを」と 言うテリー。
見詰め合うテリーとニッキー。
テ リー…「心配しないで  あなたが画家になれたのだもの
 私もきっと歩ける」
ハンカチでニッキーの涙を拭いてやりながら、「か なわぬ夢はないのよ」と 言うテリー。
笑顔を見せ、そのハンカチでテリーの涙を拭いてやり、
 ニッキー…「ああ きっと歩ける」と 言うニッキー。
抱き合う二人。


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー


『めぐり逢い』ケーリー・グラント、デボラ・カー

 
♪過ぎし日の恋が流れ、エンパイアステート・ビルが遠くで聳え立っているのが映し出さ れる。


『めぐり逢い』

 二人の針路を見守るよう に。

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 ケー リー・グラントデ ボラ・カーの息の合った感動的な作品だ。
  当初はイングリッド・バーグマンが予定されていたというが、今や二人の代表作といわれるような作品となっ た。

※レオ・マッケリー監督、シャ ルル・ボワイエ、アイリーン・ダン主演『邂逅(めぐりあい)Love Affair(1939)を同監督でリメイク、オリジナルをし のぐ大ヒットとなった。
グレン・ゴードン・キャロン監 督、ウォーレン・ベイティ製作、ウォーレン・ベイティ、アネット・ベニング主演『めぐり逢い』(1994)でも再リメイクされたがヒットしなかった。
ノーラ・エフロン監督、トム・ハ ンクス、メグ・ライアン主演の『めぐり逢えたら』(1993)で は、この『めぐり逢い』(1957)が重要なモ チーフとして取り入れられ大ヒットした。
※エンパイアステートビルは一番 高いところとしてキング・コングが大切な人を片手に登った『キング・コング』(1933)が忘れられないが、この作品でも忘れられない建物になっ た。

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参 考文献
デ ボラ・カー
ケー リー・グラント
洋 画
サ イトマップ
映 画ありき2
映画ありき
〜クラシック映画に魅 せられて〜

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