風と共に去りぬ 後編
  
     ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

※ストー リーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さ い。

前 編 後編  南部の荒廃〜〜終戦〜〜スカーレットとメラニー〜〜スカーレットとアシュレー〜〜再会〜〜ケネディの店ケネディ夫人〜〜商売
メラニーの家〜〜スカーレットとレット〜〜バトラー夫人〜〜ボニー誕生〜〜ベ ル
製 材所〜〜パーティ〜〜〜〜ス カーレットの部屋〜〜ボニーとレッ ト
階段
レットとメラニテラス別 れ〜〜メラニーレッ ト〜〜エピ ローグ

記号[☆:スタッフ・キャスト : 始めに :終わり に] web拍手 by FC2
(1939)(米、MGM)(ア カデミー賞作品賞)(アメ リカ 映画ベスト100で4位)(キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で5位)(アメ リカ 映画ベスト100 10周年版で6位)-Gone with the Wind-
監督…ヴィクター・フレミング(ジョー ジー・キューカー、サム・ウッド、ヴィクター・フレミング他の交代)(ア カデミー賞監督賞)
製作…デビッド・O・セルズニック(ア カデミー賞アーヴィング・タールバーグ記念賞)
原作…マーガレット・ミッチェル(ピューリッツア賞)
脚色…シドニー・ハワード(ア カデミー賞脚色賞)
撮影…アーネスト・ハラー/レイ・レ ナハン(ア カデミー賞撮影賞)
装置…ライル・ホイーラー(ア カデミー賞室内装置賞)
編集…ハル・C・カーン/ジェーム ズ・E・ニューカム(ア カデミー賞編集賞)
音楽…マックス・スタイナー
挿 入曲♪タラのテーマ
出演…ヴィ ヴィアン・リー(Vivien Leigh)スカーレット・オハラ(Scarlett O'Hara)(ア カデミー賞主演女優賞)(南部の心臓部といわれるジョージア州アト ランタに近いタラの 大農場主オハラ家の長女個性的な美貌と火のように激しい気性の持ち主。アシュレーに失恋した腹いせにチャール ズ・ハミルトンと結婚する)
………ク ラーク・ゲーブル(Clark Gable)レット・バトラー(Rhett Butler)(南軍の敗北を見ぬき、戦争をばか げた浪費だといって密輸入で巨利をしめる大胆不敵な風雲児。風のごとくスカーレットの前にあらわれて、彼独特の やり方で求愛をつづける)
………レスリー・ハワード(Leslie Howard)アシュレー・ウィルクス(Ashley Wilkes)(トウェルヴ・オークスと呼ばれる 大農場をもつジョン・ウィルクス家の長男。貴族的南部の教養と文化を身につけた青年。スカーレットの情熱に惹か れながら、南部の伝統的社会に相応しい従妹のメラニーと結婚する)
………オリビア・デ・ハビラン ド(Olivia Dh Havilland)メラニー・ハミルトン(Melanie Hamilton)(アシュレーの妻。献身的で寛 容な心の持ち主。チャールズの妹)
………トーマス・ミッチェル(Thomas Mitchell)ジェラルド・オハラ(Gerald O'Hara)(広大な綿花畑と多くの黒人奴隷を もつアイルランド生まれの豪農。反骨と剛毅の性格の反面に優しい心情の持ち主)(同年の『駅馬車』で アカデミー賞助演男優賞)
………バーバラ・オニール(Barbara O'Neil)エレン・オハラ(Ellen O'Hara)(ジェラルドの妻。フランス人を祖 父母にもつ優雅な貴婦人。スカーレットの母)
………ハティ・マクダニエル(Hattie Mcdaniel)マミーー(Mammy)(エレンが実家からつれてきた黒人の侍女)(ア カデミー賞助演女優賞)(オスカーを獲得した最初の黒人俳優)
………バタフライ・マックイーン(Butterfly Mcqueen)プリシー(Prissy)(オハラ家の召使)
………フレッド・クレイン(Fred Crane)ブレント・タールトン(Brent Tarleton)(双子のタールトン兄弟)
………ジョージ・リーヴス(George Reeves)スチュアート・タールトン(Stuart Tarleton)(双子のタールトン兄弟)
………イヴリン・キーズ(Evelyn Keyes)スエレン・オハラ(Suellen O'Hara)(オハラ家の次女)
………アン・ラザフォード(Ann Rutherford)カリーン・オハラ (Carreen O'Hara)(オハラ家の三女)
………ローラ・ホープ・クルーズ(Laura Hope Crews)ピティパット叔母(Aunt Pittypat)(メラニーやチャールズの叔 母。アトランタ在住)
………ハリー・ダベンポート(Harry Davenport)ミード博士(Dr.Meade)(アトランタの医師)
………オナ・マンソン(Ona Munson)ベル・ワトリング(Belle Watling)(レットの愛人。娼婦宿の経営 者)
………キャロル・ナイ(Carroll Nye)フランク・ケネディ(Frank Kennedy)(スエレンと恋仲)
………ランド・ブルックス(Rand Brooks)チャールズ・ハミルトン(Charles Hamilton)(メラニーの兄)
………アリシア・レット(Alicia Rhett)インディア・ウィルクス(India Wilkes)(アシュレーの妹)
………ハワード・ヒックマン(Howard Hickman)ジョン・ウィルクス (John Wilkes)(アシュレーやインディアの父)
………レオーナ・ロバーツ(Leona Roberts)ミード夫人(Mrs.Meade)(ミード博士の妻)
………オスカー・ポルク(Oscar Polk)ポーク(Pork)(オハラ家の内働きの黒人下僕)
………ウォード・ボンド(Ward Bond)北軍大尉トム(Tom,A Yankee Captain)
ア カデミー賞の作品・監督・脚色・主演女優・助演女優撮 影・室内装置・編集特 別(装置と色彩を認められてウィリアム・カメロン・メンジース)の 各賞とデ ビッド・O・セルズニックがアーヴィング・タールバーグ記念賞を受賞

Top

 映画史に燦然と輝く『風と共に去り ぬ』 の後編は、マーガレット・ミッチェルが作り出した4人のキャラクターが、浮き彫りになって行く。
 中でも、誇り高きスカーレット・ オハラの波乱万丈の行く末は…

Top

〜南部の荒廃〜

“風はジョージアを吹き荒れた 北軍の進撃!
南部同盟を分断 屈服させようとー 侵略者たちは進軍を続けた
アトランタから 海に至る広大な地域にー
破壊の跡を残しながら…”

タ ラは生き残った
敗北の地獄と飢えの中に…

綿畑でス カーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の妹スエレン(イヴリン・キー ズ)が小言を言ってい る。
ス エレン・・・「背骨が折れ そうよ
お姉様ったら 人をこき使って!」
ス カーレットが両手に水を入れた桶を持って寄って来て、
ス カーレット・・・「悪 かったわね
でもタラは私一人では 手に負えないの」と 言う。
ス エレン・・・「タラなんて 嫌いよ」と 言うスエレンを睨み平手打ちするスカーレット。
ス カーレット・・・「タラ を嫌いだなんて!」
悲 しみを込めて、
「親を憎むのと同じよ」
両 手に水桶を持って立ち去る。

スカー レットの方へジェラルド(トーマス・ミッチェル)が寄って来る。
両 手に水桶をさげ疲れ果てているスカーレットに向かって、
ジェ ラルド・・・「使用人に厳しくしすぎるのは 感 心できんよ」と 言い出す。

 


『風 と共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、トーマス・ミッチェル

流れ落ち る汗を拭き、
ス カーレット・・・「私 だって休みなしに 働い てるわ」と 言うスカーレット。
肩 で息をしているスカーレットにジェラルドは、
ジェ ラルド・・・「母さんに相談しよう」と 何時もの口癖を言う。
ス カーレットは視線の定まっていない父を見て落胆する。

水桶を広 間に持ってスカーレットが入って来る。
体 が衰弱しているメラニー(オリビア・ デ・ハビランド)が2階から降りて来て、
メ ラニー・・・「あなたが 働いてるのに 寝てい られないわ」と 言う。
ス カーレット・・・「その 体では無理よ」
ス カーレットの役に立ちたいと思いを込めて、
メ ラニー・・・「でも何 か…」と 言い、嬉しそうにスカーレットの返事を待つメラニー。
ス カーレット・・・「今  病気をひどくしたら  その分 世話が焼けるわ!」
メ ラニー・・・「考えが足 りなかったわ」と 言い、スカーレットの役に立てなくてがっかりして階段を上がって行く。
 メラニーがスカーレットを好き、いや、愛していることが演出されている。
 スカーレットの役に立つ、それはメラニーの喜びでもあるのだ。

外で馬の ひづめの音がし、北軍の騎兵が銃を片手に辺りを窺うようにして入って来る。
気 が付いたスカーレットはレッド(ク ラーク・ゲーブル)に 貰った銃を取りに行く。
足 音がしないように靴を脱ぎ北軍の騎兵を捜す。
が、 階段で見つかる。
北 軍の騎兵・・・「誰だ? 動くと撃つぞ!」と 言いながら銃を片手に、もう一方の手にエレンの裁縫箱を持ってスカーレットを威圧する。
そ して、
北 軍の騎兵・・・「何を隠してる?」と 言ってスカーレットに近づいて来る。
目 の前に北軍の騎兵が来たとき、後ろ手に隠していた銃を放つスカーレット。
北 軍の騎兵の顔面に命中する。
階 段を転げ落ちる。
恐 怖の表情を浮かべて見ているスカーレット。
物 音が聞こえスカーレットが振り向くと、
危 機を感じた寝巻き姿のメラニーが踊り場にサーベルを握って来ていた。
ス カーレットに向かって称賛の気持ちを込めて、
メ ラニー・・・「やっつけ たのね
よくやったわ」と 言うメラニー。
銃 声に驚いてスエレンたちが外の方から走って来る足音や声がする。
踊 り場の窓を開け、
メ ラニー・・・「スカー レットが銃の手入れをし てたら暴発したの」と 機転を利かせるメラニー。
ス エレンたちは戻って行く。

スカー レット・・・「う そが上手ね」と 言いながらも感謝の表情を浮かべるスカーレット。
 メラニーがスカーレットの役に立った喜びが、この後に行動を共にする時の仕 草に表されている。
メ ラニー・・・「埋めなく ちゃ 北軍に見つかっ たら…」
ス カーレットに近づいて、腕を掴む。
ス カーレット・・・「一人 で来たわ 脱走兵よ」
メ ラニー・・・「でも隠さ なきゃ 何から足がつ くか分からないし」
ス カーレット・・・「あず まやの下に埋めるわ  でも どうやって運ぼうか?」
メ ラニー・・・「2人で引 きずるのよ」
ス カーレット・・・「あな たは無理よ」
メ ラニー・・・「雑嚢を 探ってはいけない?」
ス カーレット・・・「よく 気がついたわ」
 スカー レットと一緒に行動するメラニーに活気が見える。

スカー レットが死体を引きずって運ぼうとすると床に血の跡が付く。
ス カーレット・・・「ガウ ンを貸して 頭に巻く わ」
そ して、寝巻きをスカーレットに渡す。
恥 じらうメラニー。
ス カーレットは死体を運びながら、
ス カーレット・・・「私は 人殺しね」と 顰める。
そ して、スカーレットの口癖、
「考えるのは明日にするわ」と 言う。

Top

〜終戦〜

南軍が降 伏し戦争が終わる。
ア シュレー(レスリー・ハワード)が戻ってくると喜ぶメラ ニーとスカーレット。
そ して、スカーレットはアシュレーが帰ってきた時のことを思い、
ス カーレット・・・「綿を 育てましょう 天に届 くほど」と 農作業に意欲を燃やす。

“戦 いに敗れた兵士たちはー 皆 家路についた
かっては富と 気品に満ちていた故郷へと
彼らと共に来た残酷な侵略者 それは北部の悪徳政治家だった”

Top

〜スカーレットとメラニー〜

帰還兵の 世話をしているメラニー(オリビア・デ・ハビランド)を呼ぶスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
嬉 しそうにしてスカーレットの所に来るメラニー。
ス カーレット・・・「死ぬ ほど働いて 手に入れ た食糧をー
あんな人たちに与えるなんて
イナゴにあげるのと同じよ」
メ ラニー・・・「怒らない で それより アシュ レーは捕虜になったと」
ス カーレット・・・「捕虜 に?」
メ ラニー・・・「もし生き てたら 今ごろは釈放 されてるわ
どこかで北部の女性に 情けをかけられてー
食事を分けて もらってるかも」
ス カーレット・・・「なら  いいけど」と、 軽く手をメラニーに添え、理解を示してやる。

 この後に、フランク(キャ ロル・ナイ)がスエレン(イヴリン・キーズ)との 結婚の承諾を願う場面がある。
 ヴィ ヴィアンは、洗濯物を腕に掛ける仕草で、スカーレットが今や家長であることを知らせる 演技をした。
 これは、『美 女ありき』の中で、ハーディ艦長が、再びネルソン提督を必要としているとエマに頼む場 面でも見られる。


『風と 共に去りぬ』ハティ・マクダニエル、オリビア・デ・ハビランド、ヴィヴィア ン・リー

一人の兵 士が家に向かって道をヨボヨボして歩いて来ているのを見て、
ス カーレット・・・「また 来たの
食べるかしら?」
マ ミー・・・「もちろん」
メ ラニー・・・「用意する わ」
 この後のシーンで、スカーレットとメラニー、メラニーとアシュレー、スカー レットとアシュレー(レスリー・ハワー ド)の結びつきを演出している。
 アシュレーに気が付くメラニーと気が付かないスカーレット。
 スカーレットはアシュレーの幻想を追い求めているだけだから、容姿が変わる と分からない。
 それよりも、メラニーが見知らぬ人の方へ行こうとしているのを引き止めよう としている。
 メラニーとの繋がりが強いことを示している。
 上手い演出だ。
 スカーレットとメラニーは好対照でありながら、いや、あるからこそと言った 方がいいかもしれないが、惹かれあっている。
 ただ、メラニーは気付いているが、スカーレットはそれに気付くまで年月が必 要だった。
 勿論、この時点では気が付いていない。

Top

〜スカーレットとアシュレー〜

ス カーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が税金300ドルの相談を アシュレー(レ スリー・ハワード)にする場面である。
 ヴィ ヴィアン・リーが一番、得意な艶かしい演技が見られるところだ。


『風と 共に去りぬ』レスリー・ハワード、ヴィヴィアン・リー

働いて働 いて貯まったのは10ドルぽっきりだ。
タ ラにかけられた税金300ドルを払うのは、今のスカーレットには不可能な金額だった。
ア シュレーに相談しに行くスカーレット。
屋 外で不向きな仕事をしていたアシュレーから帰って来た言葉は、
ア シュレー・・・「僕は今  生き地獄をさまよ いー
孤独にうめいている」
聞 きたくないとばかり、嫌悪の表情を浮かべるスカーレット。
ア シュレー・・・「君は恐 怖を抱いたことなど  ないだろう
現実に挑みー
僕のように逃げたりしない」
視 線をアシュレーに向け、とんでもないとばかりに詰め寄り、
ス カーレット・・・「逃げ ない?
違うわ 私も逃げたい もう疲れ果てたわ
耕したり 綿を摘んだりは もうたくさん」
気 持ちが高ぶり、
「南部は死んだのよ
死んだのよ
すべてを 北部に奪われてしまったわ」
ア シュレーに言い寄る。
ス カーレット・・・「ア シュレー メキシコへ逃 げましょう」
驚 くアシュレー。
ス カーレット・・・「そし て二人で暮らすのよ
あなたのためなら 何でもするわ
あなたが愛してるのは 私だって言ったでしょう
それにメラニーは もう子供を産めないのよ」
ア シュレー・・・「昔のこ とは忘れるんだ」
ス カーレット・・・「忘れ られないわ あなたも 私を愛してるのに」
ア シュレー・・・「愛して いない」
ス カーレット・・・「うそ よ!」
ア シュレー・・・「メラ ニーを捨てられると思う か
君は父上や妹を捨てられるか」
泣 きながら、
ス カーレット・・・「でき るわ あなたのためな ら!」
ア シュレー・・・「君の心 境は よく分かる
一人で家族を支えてきた 今後は僕も手伝うよ」
ス カーレット・・・「それ より連れて逃げて!  誰に遠慮もいらないわ」
ア シュレー・・・「そう か…
誇りはどうなる」
悲 しそうに背を向け歩き、柱に寄りかかるスカーレット。
そ して、泣き出すスカーレット。
歩 みより、抱き寄せ、宥めるアシュレー。
ア シュレー・・・「スカー レット お願いだ 泣 くのはやめて
泣きやんで 元気を出して」
額 にキスをするアシュレー。
目 と目が合う。
抱 き合いキスする。
そ して、スカーレットは泣き崩れながら、
ス カーレット・・・「私を 愛してるくせに… そ う言って!
愛してると言って!
愛してると言って!」
ア シュレー・・・「いけな い 僕は家族を連れて タラを出る」
ス カーレット・・・「愛し てると言って!
愛してると言って!」
ア シュレー・・・「僕は君 の勇気を愛している」
ス カーレット・・・「愛し てると言って!
愛してると言って!」
ア シュレー・・・「だから  もう少しで妻や子を  忘れそうだった」
ス カーレット・・・「愛し てると言って!」
ア シュレー・・・「僕には 妻子がいるんだ!」
思 いを振りきろうと顔を背けるアシュレー。
取 り乱していたスカーレットが我にかえって、
寂しそうに、

ス カーレット・・・「じゃ…  私はもう終わりよ
戦う目的も 生きる望みもないわ」
ア シュレーはスカーレットに向き直り、
ア シュレー・・・「いや  あるとも
僕より愛しているものが  君にはある」
足 元の土を掴む。
ス カーレットの手に、包み込むようにして渡す。
「タラだ」
手 の平の一握りの土を見ながら、
ス カーレット・・・「そう だったわ」
屋 内へ行きかけて立ち止まり、振向く。
「行かないで
恨んで ひもじい思いを させたりしないから
二度と取り乱さないわ」
ア シュレーから遠ざかって行くスカーレット。
頭 を垂れているアシュレー。
 「愛してると言って!」と泣き崩れるヴィ ヴィアンの演技は脆くて切ない。
 ヴィ ヴィアン両肩の動きが女心を切々と訴える。
 抱きしめてやりたい衝動にかられるのはアシュレーだけではない。
 映像を見ている私も気持ちが高ぶり揺り動かされる。

ジェラル ドは、かって世話していた男ウィルカースンの横暴さに、腹を立てる。
怒 り狂って、馬でウィルカースンが乗った馬車を全速力で追う。
柵 を飛び越えようとしたが、つまずいた馬から投げ飛ばされ死ぬ。

父は死 に、税金も払う手段がつかない。
ど うしたものかと考えあぐねているスカーレット。
マ ミー(ハティ・マクダニエル)が口にした、
「金を持ってるのはー 北部の やつらだけだね」と いうのに反応して、
ス カーレット・・・「レッ トよ」と 言い、
案を思い付く
が、
ス カーレット・・・「やせ て青白くて… ドレス もないし…」
割 れた鏡を覗き込んでいたスカーレットの目にカーテンが。
カー テンの方へ行き、生地を触って素材を確かめる。
マ ミーに向かって、
ス カーレット・・・「ドレ スの型紙を持ってき て」と 言う。
 この後、ヴィ ヴィアンの品定めをする仕草がいい。
マ ミー・・・「奥様のカー テンで何を?」
ス カーレット・・・「ドレ スを作るの」
マ ミー・・・「あたしの目 の黒いうちは そんな こと…」
ス カーレット・・・「私の ものよ お金を工面し に アトランタへ行くの」
マ ミー・・・「誰と?」
ス カーレット・・・「独り で」
マ ミー・・・「ダメです!  あたしも付き添いま すよ」
ス カーレット・・・「マ ミー…」
マ ミー・・・「猫なで声を 出しても だまされね え
絶対ついて行きますだよ」

Top

〜再会〜

監獄に囚 われの身になっているレット(ク ラーク・ゲーブル)の妹だと言い面会するスカー レット。
看 守に案内されてスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が入って来る。
ス カーレット・・・「レット!」

ス カーレットを出迎えるレット。
レッ ト・・・「スカーレット! 懐かしの妹よ」
両 腕に彼女を抱き締め額にそっとキスをする。
看 守に向かって、
レッ ト・・・「脱獄の道具を 差し入れに来たん じゃない」と 言い覗き込もうとしている看守を遮る。
 この時のゲーブルの目の動きがチャーミングだ。
そ して、嬉しそうにスカーレットに寄って行き、


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

レッ ト・・・「キスして いいか?」と 言う。
ス カーレット・・・「額にね お兄様」

レッ ト・・・「兄貴はつまらんな」
ス カーレット・・・「あなたが捕らえられたと聞 いて 心配したわ
縛り首って本当?」
レッ ト・・・「うれしいか?」
ス カーレット・・・「まあ、レット」
レッ ト・・・「心配するな
やつらの目当ては おれの金だ」
やっ ぱり持っているんだというような表情を浮かべるスカーレット。
レッ ト・・・「南軍の金を 持ち逃げしたと思って いる」
ス カーレット・・・「そうなの?」
魂 胆見え見えのスカーレット。
レッ ト・・・「いい質問だ だが金の話なんてよそ う
よく来てくれた 相変わらず美人だ」
下 がってスカーレットの両手を持ち全身を見回すレット。
笑 みを浮かべて、
ス カーレット・・・「田舎娘を おだてるのがお 上手」
レッ ト・・・「醜い女は見飽きた 回って」
両 手を上げ可愛らしく回るスカーレット。
レッ ト・・・「さすが豪華版だな」
抱 き寄せ、食い入るように見詰めるレット。
ス カーレット・・・「タラの暮らしは優雅よ
でも退屈なので たまには都会の空気を吸わなきゃ」
微 笑み合う二人。
ス カーレットを椅子に座らせ、
レッ ト・・・「賛成だ 君は 田舎にはもったいな い女だ」と 言いスカーレットの目の前に座るレット。
ス カーレット・・・「あなたが牢獄にいると聞い て とっても悲しかったわ
でも私を見捨てたあなたを 許したわけじゃないのよ」
レッ ト・・・「そりゃ手厳しい」
ス カーレット・・・「でも あなたは命の恩人だ しー
私は何不自由なく 気ままに暮らしてるのにー
あなたは牢獄にいるんですもの それも馬用のね」
立 ち上がり離れながら、
「私って 泣きたい時には 冗談を言うの」
後 ろを向き、
「泣いちゃうわ」と 言う。
信 じられない様子でスカーレットを見ているレット。
レッ トの反応を待つような目をし、いたずらっぽく脣を噛んでいるスカーレット。
 愛らしい。
ス カーレットに近寄りながらレット。
レッ ト・・・「スカーレット まさか…」
ス カーレットを振向かせるレット。
鼻 をすすって悲しんでいるふりをするスカーレット。
ス カーレット・・・「何なの?」
両 手でスカーレットを掴み、顔を覗き込むレット。
レッ ト・・・「優しい女心が芽生えたか?」
頷 きながらスカーレット。
ス カーレット・・・「そう… そうよ」
ス カーレットの両手を持ちながら、
レッ ト・・・「馬小屋に入ったかいがあった」
両 手の甲にキスをし、
レッ ト・・・「うれしいな…」
更 に、手の平にキスしようとするレット。
荒 れた手の平を見るレット。
し まったと手を引っ込めようとするスカーレット。
ス カーレットの両手をしっかり掴んで睨み、
レッ ト・・・「虚勢を張るのはよせ 優雅な暮らし をしてるだと?」と 言う。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

困っ たというような顔をしながら、
ス カーレット・・・「ええ」と 呟く。
凄 まじく、
レッ ト・・・「この手は何だ?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「馬に乗ったから…」
レッ ト・・・「これは小作人の手だ 一体 何をたくら んでる?」
ス カーレット・・・「あの、レット…」
レッ ト・・・「おれが心配だと?」
ス カーレットの手を振り落とし、離れる。
後 を追いながらスカーレット。
ス カーレット・・・「本当よ」
怒っ て振向き、
レッ ト・・・「本音を言えよ おれから何を巻き上げた い?
金か?」と 言うレット。
仮 面が剥がれ、やむなく説明するスカーレット。
ス カーレット・・・「税金に支払う300ドルよ
優雅な暮らしなんて うそ よ 地獄のような毎日
助けてちょうだい」
呆 れながら、
レッ ト・・・「担保は何だ?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「耳飾りは?」
レッ ト・・・「バカ言え」
ス カーレット・・・「じゃタラは?」
レッ ト・・・「興味ない」
ス カーレット・・・「じゃ来年の綿の収穫」
レッ ト・・・「話にならん ほかには?」
一 瞬躊躇して、
ス カーレット・・・「私が好きだと言ったわね まだ 好きなら…」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「おれは独身主義だぞ」
首 を振りながら、
ス カーレット・・・「知ってるわ」と 言うスカーレット。
見 詰めるレット。
必 死のスカーレット。
レッ ト・・・「300ドルは高すぎる
男を食い物にする女だ」と 侮辱し背を向け窓の方へ行くレット。
レッ トを視線で追い、声を強めるスカーレット。
ス カーレット・・・「お金のためなら 侮辱に耐える わ
生きてる限りは タラを手 放したくないの」
レッ トの方へ行き嘆願する。
「お願い お金をちょうだ い!」
振 り向き、
レッ ト・・・「ご期待に添えんな 金はリバプールだ
北軍に知られたら没収され る」と 言い、
バカにしたような口調で、

「恥をさらしに来ただけだ な」と 言うレット。
ス カーレット・・・「OH」
「OH」
叫 び、レットを叩く。
押 さえ込もうとするレットの腕に噛み付こうとしたりして暴れるスカーレット。
制 止させようと手をスカーレットの体にまわして押さえ、
レッ ト・・・「やめろ?」と 言うレット。
押 さえているレットの手に、再び噛みつこうとしているスカーレット。
レッ ト・・・「見られる」
やっ と、離れてスカーレット。
ス カーレット・・・「この悪党! 初めから知ってた くせに!
なのに人に恥をかかせ て!」
入 り口の方へ行くスカーレット。
ス カーレットに近寄りながら、
レッ ト・・・「おれの処刑に立ち合えば 何か遺産をく れてやるさ」と 言うレット。
入 り口で振り向くスカーレット。
そ して、睨み、怒りを爆発させ、引き戸を荒く開けながら、
ス カーレット・・・「縛り首を見て 目の前で万歳し てやるわ!」と 言い捨て出て行くスカーレット。
レッ ト・・・「フフフ」と 笑い見送るレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

Top

〜ケネディの店〜

レットに お金を借りようと企てた作戦が不発に終わり、アトランタの町をマミー(ハ ティ・マクダニエル)と歩いている スカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
フ ランク・ケネディ(キャロル・ナイ)が呼び止める。
店 を開いていると言う。
店 に案内されたスカーレットは中を見回す。
フ ランク・・・「規模は小 さいんですが頑張って ますよ」
ス カーレット・・・「業績 は?」
フ ランク・・・「おかげで何 とか
僕には商才があるようでして
スエレンと すぐ結婚できそうです」
ス カーレット・・・「そん なに ご繁盛?」
フ ランク・・・「百万長者と はいきませんが 千ドルほど貯めました」
そ うなんだとばかりに、さらに見回すスカーレット。
ス カーレット・・・「材木 まで…」
フ ランク・・・「副業にね」
驚 くスカーレット。
ス カーレット・・・「副 業? だってこの辺は  大変な建築ブームでしょ」
フ ランク・・・「本業には資 金不足でね 家も買わなければ」
ス カーレット・・・「何の ために?」
フ ランク・・・「スエレンと 暮らします」
ス カーレット・・・「彼女 とアトランタで?」
残 念とばかりに、
ス カーレット・・・「期待 できないわね」
浮 かぬ表情のスカーレット。
気 になるフランク。
フ ランク・・・「どういう意 味です?」
フ ランクの反応に名案を思いつき、
ス カーレット・・・「何で もないの」
声 のトーンを変え、愛想笑いをし甘えるように、
ス カーレット・・・「叔母 の家へ送って下さ る?」と 言うスカーレット。
ス カーレットの笑顔に反応し、
フ ランク・・・「喜んで」
い そいそと仕度をするフランク。

馬車に乗 り込みながら、
ス カーレット・・・「夕食 をご一緒しません?  お別れしたくないわ」と 言うスカーレット。
ス カーレットが馬車に乗るのを助けると、
フ ランク・・・「今日はいい 予感がしてました」と 言うフランク。
そ して、馬車の手綱を解きながらスカーレットを覗き込み、
フ ランク・・・「スエレンの 近況を 聞かせて下さい」と 言う。
視 線をそらし、困ったような表情をするスカーレット。
フ ランク・・・「どうしまし た? まさか病気じゃ…」
詰 め寄るフランク。
視 線をそらした目をフランクに向けて、
ス カーレット・・・「ま あ、違うわ! そうじゃ ないのよ!」
困っ たなぁーとばかりに、
「彼女から聞いていない? もっとも本人の口からはね
何て薄情な妹でしょう」と 言うスカーレット。
フ ランク・・・「何ですか?  教えて下さい」
急 いでスカーレットの横に座ったフランクに、
ス カーレット・・・「近く の人と結婚するの」と 言うスカーレット。
馬 車の後部で驚くマミー。
フ ランク・・・「…」
ス カーレット・・・「きっ と待ちくたびれたの ね」
茫 然としているフランクを見ながら、
ス カーレット・・・「私も つらいわ」
更 に、誘惑しようと、
ス カーレット・・・「まあ  寒いこと ポケット に手を入れさせて」と 迫る。
口 をポカンとあけスカーレットを見ているマミー。
 スカーレットが自分に好意を持っているフランクを手玉に取るところを、コミ カルに演じたヴィ ヴィアンの技が冴える。
 それに、驚くマミーの表情がいい。

Top

〜ケネディ夫人〜

「アトランタ・ナショナル銀行殿
ジョージア州微収官に 税金300ドルの送金を
スカーレット・オハラ・ケネディ」

タラの税 金をフランクと一緒になり支払ったスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
泣 きながら、
ス エレン・・・「ひどいお姉 様! 私のフランクと結婚するなんて
横取りしたのよ」と 言うスエレン(イヴリン・キーズ)
メ ラニー・・・「タラを救 うためだわ」
ス エレン・・・「お姉様なん て大嫌い!」
泣 きながら駈けて行くスエレン。
宥 めようと追うメラニー(オリビア・ デ・ハビランド)とカ リーン(アン・ラザフォード)

それを見 ているアシュレー(レスリー・ハワード)
悲 しげな表情で座っているスカーレット。
ア シュレー・・・「責任は 俺にある 強盗でもす りゃよかったよ」
ス カーレット・・・「そん なことさせないわ も う済んだことよ」
ア シュレー・・・「済んだ ことか…
僕がふがいないので 君に犠牲を強いてしまった
俺も男だ 貢献してみせる」
ス カーレット・・・「何の 話?」
ア シュレー・・・「ニュー ヨークへ行く」
驚 き立ち上がるスカーレット。
ア シュレー・・・「銀行で 働くよ」
ス カーレット・・・「ダメ よ そんなの」
考 えを廻らして、
思いとどまらせようとアシュレーの前に行き、

「あなたには材木の商いを 手伝ってもらおうと」
ア シュレー・・・「僕は素 人だ 何も知らない」
ス カーレット・・・「銀行 のお仕事は専門家?」
考 えがひらめいて、
「利益は折半しましょう」
ア シュレー・・・「ありが たい話だが…」
よ かったという表情を浮かべるスカーレット。
ア シュレー・・・「ここで 再び 君の力を借りた らー
独り立ちができなくなる」
ス カーレット・・・「心配 ないわ あなたの持ち 分を 少しずつ増やして…」
そ ういうことではないとばかりに、姿勢を起こし首を振るアシュレー。
ア シュレー・・・「ダメだ よ」と いい、部屋を出て行こうとするアシュレー。
そ れを見て泣き始めるスカーレット。
ス カーレット・・・「OH アシュレー」
ア シュレーの反応を盗み見しながら、泣く振りを続ける。
振 り向くアシュレー。
ス カーレット・・・「ア シュレー」
ス カレットに戸惑いながら数歩近づき覗きこんでいるアシュレー。

スカー レットの泣き声に驚いてメラニーが入って来る。
メ ラニー・・・「スカー レット」
突っ 立っているアシュレーを見る。
泣 いているスカーレットを抱き寄せて座り、
「どうしたの?」と 言うメラニー。
ス カーレット・・・「ア シュレーが いけない の」
ス カーレットを抱きながらアシュレーの方を向き、
メ ラニー・・・「何を?」と 言うメラニー。
困っ た表情で、
ア シュレー・・・「アトラ ンタへ来いって」と 言うアシュレー。
抱 き寄せられたままメラニーをちらっと見ながら、
ス カーレット・・・「お店 を手伝ってほしいのに  イヤだって」と 言うスカーレット。
ア シュレーに向かって、
メ ラニー・・・「自分勝手 な人ね」
言 葉を返そうとするアシュレーに喋る暇を与えず、
「考えてごらんなさい スカーレットは命の恩人よ」と 言うメラニー。
参っ たとばかりに、言葉を挟めないないでいるアシュレー。
ス カーレットを前にし、見詰め、
メ ラニー・・・「ここでも 身を粉にして 私たち を養ってくれたのよ」
再 び、スカーレットを強く抱きしめ、
「かわいそうに」と 言うメラニー。
 大袈裟な仕草が可笑しいオリビア。
泣 く振りを続けるスカーレット。
諦 めて、
ア シュレー・・・「分かっ た アトランタへ行こ う」と 言うアシュレー。
よ かったという表情をし、スカーレットを抱いている手に力を込め思いを伝えるメラニー。
ア シュレー・・・「君たち には勝てん」と 言い、部屋を出て行くアシュレー。
上 手く行ったと左右に目を動かしているスカーレット。
 愛らしいヴィ ヴィアン
敗 北したアシュレーが頭を垂れて部屋を出て行く。
 スカーレットとメラニーの結びつきの強さをコミカルな演技で見せるヴィ ヴィアンとオリビア。

Top

〜商売〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)は製材所を大々的にやりだしてい る。
北 軍と商売したり囚人を雇ったりしているやり方にアシュレー(レスリー・ハワード)が意見を言う。
そ れに対してスカーレットは、
ス カーレット・・・「貧乏 のつらさを忘れたの?  私は絶対に忘れないわ
タラを追い出されないように たくさん お金を貯めるの」と 言う。
ア シュレー・・・「南部人 は皆 辛苦を重ねてい る
しかし誇りと情けは 失っていないよ」
ス カーレット・・・「飢え てね そんな愚か者に 用はないわ
私は北部人と商いをして 最後に勝利を握ってみせる」と 言うスカーレット。

益々、拡 大させているスカーレットに、
メ ラニー・・・「南部を滅 ぼした相手に よく商 売できるわね」と 言うメラニー。
ス カーレット・・・「もう 終わったことよ 彼ら を利用してやるの」と 言うスカーレット。

「戦 争終結につき 貸売お断り」
と窓口に掲げてお金を数えているスカーレット。

ミー ド夫人・・・「北部人を相手に 材木を売り歩いてるそうよ」
メ リーウェザー夫人・・・「恥 知らずね」
イ ンディア・・・「兄に無理難題を押しつけるの」
ピ ティパット叔母・・・「自分で馬車を走らせてね」と 人々がスカーレットを非難する。

レット(ク ラーク・ゲーブル)が、葉巻をくわえながら、

「ウィ ルクス&ケネディ」

の看板を つけている馬車を見ている。
ス カーレットが馬車の方へ来るのが見え、
ニヤリと笑い、

レッ ト・・・「これは懐か しい ケネディ夫人です な」
帽 子を取って、深深とお辞儀をするレット。
ス カーレット・・・「何て 恥知らずの男なの」
レッ ト・・・「待ってりゃ  おれの100万ドルが  転がり込んだのにな」
頭 を振って残念だったなぁとばかりにからかうレット。
馬 車に乗る準備をしながらスカーレット。
ス カーレット・・・「何の 用? 忙しいのよ」
レッ ト・・・「ご本人にぜ ひ うかがいたいことが ある」と 言うレット。
ス カーレット・・・「何な の?」
レッ ト・・・「愛してない 男と 結婚するのが趣味 か?」
怒っ て、
ス カーレット・・・「早く 縛り首になって!」と 言うスカーレット。
声 を出し笑うレット。
レッ ト・・・「金で命を買 える世の中だ
君もウィルクス君を 買ったろう」
ス カーレット・・・「まだ 彼が嫌い? 嫉妬して るのね」
自 尊心を持って馬車に乗ろうとしているスカーレットを制して、
レッ ト・・・「相変わらず 大した自信だ
男は皆 自分のとりこになると 思ってるのか」と 言うレット。
怒っ て、
ス カーレット・・・「どい て!」
馬 車に乗りこむスカーレット。
ス カーレットに手を添えようとしながら、
レッ ト・・・「怒りたもう な どこへ行く?」と 言うレット。
馬 車に座って、
ス カーレット・・・「製材 所よ ほっといて!」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「悪名高い貧 民窟を 独りで通り抜け るのか?」
膝 掛けをし銃をその上に見せ付けるように置き、
ス カーレット・・・「ご心 配なく 銃を持ってる わ」
背 筋を伸ばし馬車を走らせるスカーレット。
レッ トは笑い、
感心したような表情を浮かべ、

レッ ト・・・「恐れ入っ た」と 見送る。

貧民窟で 襲われるスカーレット。
そ こに居合わせたビッグ・サムが助ける。

サムから 事情を聞くフランク。
ス カーレットの様子を見て決意を固め、
フ ランク・・・「君はメラ ニーさんの家に 僕は 集会に出席する」と 威厳のある言い方をする。
怖 い思いをして泣いているスカーレットは、
フランクの言ったことに驚き、

ス カーレット・・・「私が あんな目に遭ったのに  よく出かけられるわね」と 言う。
ス カーレットの頭にキスして、
フ ランク・・・「かわいそう に 怖かったんだね」と 優しく見詰めるフランク。
ス カーレット・・・「私な ど どうでもいいのよ  ささいな出来事よね!」と 泣いているスカーレット。
フ ランクの反応を確かめながら。
フ ランクはドアの前でスカーレットの方を振り向く。
誇 りと情けを持つ南部の男の顔をして帽子を静かに被り、銃を懐からズボンの腰の所に移動させる。

Top

〜メラニーの家〜

マミー(ハティ・マクダニエル)はド アの所で、メラニー(オリビア・デ・ハビランド)、スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)、ミード夫人(レオーナ・ロバー ツ)、インディア(アリシア・レット)はテーブルを囲み編 物などをしている。
時 計の音がチクタク鳴るだけで、嫌な空気の静けさに我慢できなくなったスカーレットが、沈黙を破る。
ス カーレット・・・「男な んて身勝手よ 口先だ け
襲われた私を置いて 集会に出かけるなんて」
メ ラニーが反応し何かいいたそうにスカーレットを見上げる。
が、 スカーレットと目が合いそうになり、すぐに編物をしている自分の手元に戻す。
ス カーレットはメラニーの方を見る。
反 応がないので、視線を他に移そうとすると、スカーレットを憎しみに燃えた目で睨んでいるインディアが目に入 る。
ス カーレット・・・「イン ディアさんに うかが いますけど
なぜ私を睨むの? 顔に何かついてる?」と 言うスカーレット。
毒々 しくインディア。
イ ンディア・・・「あんな目に遭っていい気味よ 自業自得とは このことね」
メ ラニー・・・「およしな さい!」

スカー レット・・・「チャー ルズを私に取られて くやしいんでしょう」と 言うスカーレット。
睨 んでいるインディア。
ス カーレット・・・「あな たは裸にならないと  男を釣れやしないわ」と 言うスカーレット。
悪 意に満ちてインディア。
イ ンディア・・・「あなたなんか最低よ! 下品極まりない恥さらしよ
みんなの命まで 危険にさらして…」
強 い口調で、
メ ラニー・・・「インディ ア!」と 言うメラニー。
ミー ド夫人・・・「おしゃべりはやめましょう 過ぎるといけないわ」
ス カーレット・・・「私に 何か隠してるのね」と 言うスカーレット。
マ ミー・・・「し〜っ」
一 斉にマミーの方を振り向く。

立ち上 がってマミー。
マ ミー・・・「誰か来ます だ アシュレー様じゃ ねえ」
足 音に耳をそばだてる。
足 音が近づく、ドアを叩く音がする。
メ ラニー・・・「ミードさ ん 銃を」と 言うメラニー。
驚 くスカーレット。
ミー ド夫人から銃を受け取り、マミーに合図をするメラニー。
ど ういうことなのか分からないスカーレットはメラニーの動きを追っている。
メ ラニー・・・「しらを切 るのよ」
銃 を持ち、立ち上がり、構えるメラニー。
ド アをを開けるマミー。
急 ぎ足でメラニーの前へ来るレット(ク ラーク・ゲーブル)
レッ ト・・・「皆 どこ だ? 命が危険だ 教え ろ」
メ ラニーの両腕を掴んで詰め寄るレット。
レッ トを見るメラニー。
メ ラニーの直ぐ横に来て、
イ ンディア・・・「言っちゃダメ! スパイよ」と 言うインディア。
レッ ト・・・「時間がない んだ」と 言うレット。
眉 間に皺を寄せ見ているスカーレット。
メ ラニー・・・「どうした の?」と 言うメラニー。
レッ ト・・・「今夜の計画 を知っていると 北軍の 士官が口をすべらせた
やつらは待ち伏せてる」
真 剣にメラニーの目を見て言うレット。
イ ンディア・・・「しゃべっちゃダメ わなよ!」
声 に反応し視線をインディアの方へ向けかけるが、直ぐにレットの方へ戻すメラニー。
そ して、じっとレットの目を見るメラニー。
真 剣な目をメラニーに返すレット。
メ ラニーがレットの目を見ながら話し出す。
メ ラニー・・・「古いサリ バン農場です そこの 地下室に集まって…」
レッ ト・・・「行ってみ る」
出 て行くレット。
何 が行われているのか知らされていないスカーレットはイライラしてメラニーに、
ス カーレット・・・「何の 話? 隠してないで早 く教えて」と 言う。
メ ラニー・・・「あなたが 襲われた村を アシュ レーたちが焼き打ちに」
語 尾を強めて説明するメラニー。
驚 くスカーレット。
メ ラニー・・・「南部の男 は淑女を守るって」
編 物を手にして椅子に座るメラニー。
茫 然と立っているスカーレット。
ス カーレットの前に来て、憎しみを込めて、
イ ンディア・・・「捕えられたら縛り首よ あなたの責任だわ」と 言うインディア。
ア シュレーたちの身を案じているスカーレットにインディアの言葉が追い討ちをかけるようにズサリと突き刺さっ てくる。
イ ンディアに、メラニーは冷静な威厳を込めて、
メ ラニー・・・「黙らない と 出てもらうわ
誰の責任でもないわ 努力の結果がこうなったの」と 言う。
茫 然として、
ス カーレット・・・「フラ ンクにアシュレーが  私のために…」
ぐっ たりと座り込むスカーレット。

マ ミー・・・「馬の足音 がこっちへ来ます」
メ ラニー・・・「縫い物を して」
皆、 編物を始める。
ド アを激しく叩く音。
メ ラニーの指示を受けドアを開けるマミー。
北 軍の兵士がゾロゾロ入って来る。
大 尉(ウォード・ボンド)が尋ねる。
大 尉・・・「ウィルクス 夫人は?」
威 厳を持って、
メ ラニー・・・「私です」と 言うメラニー。
大 尉・・・「ご主人にお 会いしたい」
メ ラニー・・・「留守で す」
大 尉・・・「本当に?」
マ ミー・・・「うそは言わ ねえ」
大 尉・・・「疑うわけ じゃないが 名誉にかけて誓えますか?」と 言う大尉。
 大尉役のウォード・ボンドは人情を重んじた巨匠ジョン・フォード監督のお気 に入りの俳優で監督の作品に殆ど出演している。
 ボンドの人間味ある演技が楽しめるところだ。
メ ラニー・・・「ケネディ さんのお店で 選挙の 集会があって」と 言うメラニー。
大 尉・・・「集会など開 かれちゃおらん
お帰りを待たせて頂こう」と 言い、
こわばったような礼をし、

大 尉・・・「家の周囲を 見張れ」と 部下に命令すると出て行く。

マミーの 動揺は色濃く、目が見開かれ、皆に指示を求めている。
メ ラニーは動揺をしている己と皆を落ち着かせようと、
メ ラニー・・・「縫い物を 続けて
私は本を…」と 言い、張り詰めた空気の中でメラニーが読み始める。
「“デビッド・カパーフィールドの生涯
第1章… 余は生まれぬ”」
時 間が経過して行く。
「“第9章 記念すべき誕生日 学校での出来事は省略す”」
ス カーレットたちの不安は高まりを増す。
更 にメラニーは読み続ける。
ス カーレットの瞳がアップになり緊迫した状況が伝えられる。
 ここで のヴィ ヴィアンの動揺し た瞳の動きは見事である。
高 まりが極限にこようとする時に、外から、酔っ払いの歌声が聞こえる。
立 ち上がり窓の方へ駆け寄るスカレットたち。
ス カーレット・・・「酔っ てるわ」
ド アの方に行こうとするスカーレットをメラニーは引き止め、
メ ラニー・・・「私に任せ て 何も言わないで ね」と 言い考えを持ってドアの方へ行く。
ス カーレットに向かって吐き捨てるように、
イ ンディア・・・「責任 取ってよ」と 言うインディア。
ミー ド夫人・・・「しっ!」と、 インディアを制止、ドアの方に行こうとするスカーレットを引き止めるミード夫人。

メラニー がドアを開く。
そ こに、アシュレー(レスリー・ハワー ド)を支えているレッ ト(ク ラーク・ゲーブル)たちと、それを阻んでいる大尉 と部下たちがい る。
大 尉・・・「静かにし ろ」と 言う大尉。
ア シュレー・・・「こんば んは メアリー」
状 況を読み取ったメラニーは、
困り果てた妻のふりをしてレットに向かって、

メ ラニー・・・「また主人 を誘って飲ませたのね  早く入りなさい」と 言う。
中 に入ろうとするレットたちを制止、
大 尉・・・「ご主人を逮 捕する」と 言う大尉。
落 ち着いて、
メ ラニー・・・「酔っ払い を逮捕なさったら 牢 が足りなくなるでしょう」と 言うメラニー。
上 目遣いしてメラニーを見るアシュレー。
メ ラニー・・・「船長さん  さあ早く」と 招き入れるメラニー。
 この時 のオリビアは教養溢れるメラニーを上手く演じている。
レッ トたちと一緒にいたミード博士(ハ リー・ダベンポート)が 酔っ払いが絡むようにして大尉にまとわりつく。
大 尉・・・「話を聞きな さい」
そ の間に歌いながらアシュレーを支えてレットが中に入る。

椅子を示 し、
メ ラニー・・・「座らせ て」と 言うメラニー。
ア シュレーを支えたレットたちは酔っ払いのように振舞って歌いながら椅子の所へ行く。
ア シュレーの表情は辛そうだ。
ア シュレーを椅子に座らせたレットを睨み怒ったふりをして、
メ ラニー・・・「船長はお 引き取り下さい 二度 とお会いしたくないわ」と 言うメラニー。
帽 子を取ってメラニーに、
レッ ト・・・「世話になっ た礼がそれか
置いてくりゃよかった」と 言うレット。
酔っ 払いのように振舞って歌いながら、
ミー ド博士・・・「さあ ご一緒に」と 言うミード博士。
ミー ド博士の方に向き直って、
メ ラニー・・・「先生まで が こんな男と!」と 言い、酔っ払いのようにして歌っているミード博士を睨むメラニー。
驚 いて見ているスカーレットたち。
椅 子に酔いつぶれたようにしてうずくまっているアシュレーに向かって、
メ ラニー・・・「何て だ らしない人なの」と 言うメラニー。
ア シュレーを小突くレット。
顔 を上げ、
ア シュレー・・・「酔っ ちゃいないよ」と 言うアシュレー。
マ ミーに向かって、
メ ラニー・・・「お部屋へ 連れていって」と 言うメラニー。
困 惑した表情の大尉。
だ が、
大 尉・・・「逮捕す る!」と 叫びアシュレーを掴もうとする。
レッ トが大尉にからまるようにして邪魔し両腕を掴む。
レッ ト・・・「こいつが何 をした? 酒ならお前も 飲むだろう」
大 尉・・・「酒は関係な い この男は今夜 村の襲撃を謀り指揮した」と 言う大尉。
ス カレットは自分のことを大尉に持ち出されてムッとしている。
レッ トは片手を大尉の肩に置き、もう一方で椅子を掴んでいる。
大 尉・・・「小屋も焼い て2人も死んだ
南部人に法の裁きを 教えてやる」と 言う大尉。
大 尉の話を聞きながらアシュレーに目を移し、再び大尉の顔を見て激しく笑い出すレット。
大 尉・・・「何がおかし い?」
笑 いながら移動し、
レッ ト・・・「そりゃ見当 違いだ 2人はおれと一 緒だったぞ」と 言い、椅子に座るレット。
大 尉・・・「お前と?  どこで?」と 問い詰める大尉。
笑 いが止まり困った表情になり、
レッ ト・・・「ご婦人の前 じゃ言えん」と 言うレット。
大 尉・・・「言うん だ!」と 詰め寄る大尉。
レッ ト・・・「じゃ外へ出 よう」と 言い、外を指差し大尉の肩に手を回し出て行こうとするレット。
レッ トに向かって、
メ ラニー・・・「ここで  おっしゃって 私も聞 きたいわ」と 言うメラニー。
レッ トの方に向き直り答えを待っている大尉。
そ の大尉をチラッと見て、その後に婦人たちに視線を向ける。
と、 いかにも困り果てたような表情でメラニーに答えるレット。
レッ ト・・・「おれの…  知り合いを訪ねた」
大 尉の方を向き、強調して興味を引きつけさせ、
「大尉も知ってる」
再 びメラニーの方を向き、
「ベルの店だ」と 言うレット。
目 を伏せるメラニー。
メ ラニー・・・「…」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「そこで遊ん で 飲んで…」と 続けるレット。
イ ンディア、呆れ果てた表情に。
憤 慨するマミー。
“まあ!”とばかりに夫を見るミード夫人。
ミー ド博士・・・「バカもん! 家内の前で何を言うか!」と 言うミード博士。
笑 うレット。
そ して、大尉に向って、
レッ ト・・・「気が済んだ か おかげで明日は家庭 争議だ」と 言うレット。
気 の毒そうな表情を浮かべてメラニーの方を見る大尉を意識して、がっかりした表情を浮かべるメラニー。
大 尉・・・「そんなこと とは…」
視 線を落としているメラニーを見て慌てる大尉。
大 尉・・・「お前とベル の店にいたと 誓えるか」と、 レットに向かって言う。
レッ ト・・・「疑うのなら ベルに尋ねろ」と 言うレット。
大 尉・・・「紳士として 誓うか?」と 言う大尉。
レッ ト・・・「紳士とし て? 勿論だ」
ニ ヤリと笑い大尉に手を差し出し握手をするレット。
メ ラニーの方を見たり、レットの方を見たり、おどおどして、
大 尉・・・「私の思い違 いだったようだ
申し訳ない」と 言う大尉。
心 底傷ついたような表情を浮かべて、
メ ラニー・・・「お引き取 り下さい」と 言うメラニー。
後 ずさりしながら、
大 尉・・・「とんだこと になって…
すみません 行くぞ」と 部下たちと出て行く。

ドアが閉 まると、
レッ ト・・・「鍵をかけて カーテンを」と 指示をしアシュレーを抱き起こすレット。
ア シュレーのシャツに血が…

レットが アシュレーを抱き上げベットに運ぶ。
意 識を失っているアシュレーの手当てをしながら、
メ ラニー・・・「何があっ たのか 教えて下さ い」と 言うメラニー。
レッ ト・・・「駆けつけた 時は すでに遅く もう 襲撃したあとで
アシュレーは負傷し 先生と逃げるところだった
だからアリバイ工作のために 店へ連れていった」
メ ラニー・・・「店の中 へ?」
レッ ト・・・「ベルは お れの友人だ」と 言うレット。
メ ラニー・・・「ごめんな さい」
レッ ト・・・「ほかにいい 場所を 思いつかなかっ た」
立 ち上がってレットを見て、
メ ラニー・・・「あなたに 助けて頂いたのは 2 度目ですわね
お礼を申し上げますわ
じゃ先生のお手伝いを」と 言い、出て行くメラニー。
そ ばで見ていたスカーレットがアシュレーに近づき手を握り締め、
ス カーレット・・・「ア シュレー アシュレー」と 案じている。
そ の様子を見ていたレットは、
レッ ト・・・「自分の亭主 のことは 心配しないの か」と 言うレット。
嘲 笑してスカーレットは、
ス カーレット・・・「彼もベルのお店へ?」と 言う。
レッ ト・・・「いや」
ス カーレット・・・「今ど こに?」
レッ ト・・・「道端に転 がってる 頭を撃たれてー
死んだよ」と 言うレット。
驚 き恐怖に包まれるスカーレット。

Top

〜スカーレットとレット〜

部屋で喪 服姿のスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が酒を飲んでいる。
フ ランク(キャロル・ナイ)の写真がスカーレットを見ている みたいで落ち着かない。
写 真を伏せる。
馬 車の音がして外を見る。
ス カーレット・・・「あ ら…」
しゃっ くりが出る。
「レットだわ」
酒 を飲んでいた事を隠そうとオーデコロンでカムフラージュすることを考え付く。
 オーデコロンでうがいをしているヴィ ヴィアンの表情が滑稽だ。

マ ミー・・・「バトラー 船長がお見えです
泣いてなさると伝えましたが」
ス カーレット・・・「すぐ 行くわ 待って頂い て」
オー デコロンを付けてドアを開け体制を整えてレッドの所へ行こうとしているスカーレットがしゃっくりをする。
 可笑しい。
ド アを閉め出て行く。
 ヴィヴィアンの品格のある閉め方に目が行く。
 いい。

レット(ク ラーク・ゲーブル)が階下で待っているのを見て威 厳たっぷりに装 うスカーレット。
手 を差し出し階段を降りて行く。
待 ちうけるレット。
手 にキスをする。
異 様な臭いに顔が歪むレット。
レッ ト・・・「効果ない な」と 言うレット。
ス カーレット・・・「何 が?」
レッ ト・・・「コロンさ」
ス カーレット・・・「何の こと?」
視 線をそらし歩き出すスカーレット。
そ のスカーレットを見ながら付いて行き、
レッ ト・・・「酒を飲んで たろう それも浴びるほ ど」と 言うレット。
ス カーレット・・・「何し ようと勝手でしょ」
頭 を反り返らせるスカーレット。
戸 口で立ち止まり、
レッ ト・・・「独りで飲む な 知れたら評判を落と すぞ」と 言い、後ろ手でドアを閉めるレット。
窓 際の椅子に座って泣き出すスカーレット。
ス カーレットの前に行き、笑いを含んだ顔で、
レッ ト・・・「どうした?  何の演技だ?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「レッ ト 怖いの…」
レッ ト・・・「怖いもの知 らずの君が?」
言 い張って、
ス カーレット・・・「死ん で地獄へ行くのが怖い の」と 言い、しゃっくり。
笑 い出しそうになるのをこらえて、
レッ ト・・・「地獄なんて ないさ」と 言うレット。
しゃっ くりし、
ス カーレット・・・「ある わ 子供のころに言わ れたわ」と 言い、哀れっぽく見上げ、しゃっくり。
レッ ト・・・「君らしくな いな」
ス カーレットの目前に座り、
「なぜ地獄へ落ちるんだ?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「フラ ンクと結婚したからよ  妹の恋人だったのに
私が不幸にして 殺したのよ
後悔するって心情が 初めて分かったわ」と 言うスカーレット。
 笑いをこらえてスカーレットを見詰めているレットの表情がいい。
ハ ンカチを渡しながら、
レッ ト・・・「そう思って も 同じことを繰り返す のさ
盗んだことより投獄されたことを 後悔する泥棒と同じだ」と 言うレット。
渡 されたハンカチを手に、
ス カーレット・・・「母が いなくてよかったわ  こんな姿を見られたら…
母のように温厚で 優しい女性になりたかったのに」と 声を上げ泣くスカーレット。
レッ ト・・・「お前は酔っ て興奮してる 泣き上戸 だな」と 言うレット。
泣 きながら立ち上がり移動するスカーレット。
しゃっ くり。
泣 き続けるスカーレット。
ス カーレットの傍に行き、
レッ ト・・・「早く用件を 伝えよう」と 言うレット。
ス カーレット・・・「帰っ てちょうだい」
思 わず、
「何なの?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「お前なしで は生きていけん」と 言うレット。
レッ トの方へ向きを変え、
ス カーレット・・・「こん な時にそんな破廉恥 な…」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「オークス屋 敷で出会った時に この 人だと決めたんだ
だが おれの金が必要ないから 君から会いには来ない
だから結婚するしかない」と 言うレット。
ス カーレット・・・「何て 悪趣味な人」
ス カーレットの両手を握り締め、
レッ ト・・・「ひざまずい て すがろうか?」
ひ ざまずくレット。
ス カーレット・・・「汚ら わしい 帰って!」
レッ ト・・・「事を急ぎす ぎて 大事な方を仰天さ せたかな
あなたに抱いていた友情が 愛情へと変わって参りました」と 続けるレット。
しゃっ くりをするスカーレット。
レッ ト・・・「美しく 純 粋で 神々しく これぞ 真の愛ならん」
ス カーレット・・・「下品 な冗談は聞きたくない わ」
怒っ てレットの手を振り解く。
立 ち上がって、
レッ ト・・・「これは名誉 ある求婚だ 今こそチャ ンスだ」
ス カーレットの顎の下に手をやり自分の方に向かせて、
「亭主が死ぬのを待つのは もう飽きた」と 言うレット。
レッ トの手を払い、
ス カーレット・・・「下品 な うぬぼれ屋ね 何 も聞きたくないわ」と、 言いながら離れ向き直り、
「もう結婚なんてしないわ」と 言うスカーレット。
付 いてきたレットは、
レッ ト・・・「いや おれ とするんだ」と 言うレット。
睨 んで、
ス カーレット・・・「愛し てもいない あなた と? 結婚生活はもうイヤ」と 言うスカーレット。
吹 き出すレット。
レッ ト・・・「遊びのつも りでどうだ?」
ス カーレット・・・「遊 び? 男はそうでしょう けど」と 言うスカーレット。
笑 い出すレット。
ス カーレット・・・「外に 聞こえるわ」
レッ ト・・・「これまでの 相手は 役不足だった
本物を試してみろよ」
ス カーレット・・・「バカ な人ね あなたなんか 愛せないわ」
そっ ぽを向こうとするスカーレットを強く引き寄せ、
レッ ト・・・「つまらん意 地を張るな 聞きたくな い」
強 く抱きしめ強引にキスをするレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

拒むス カーレット。
が、 拒んでいた手の力が次第に抜けて行く。
ス カーレット・・・「気絶しそう…」

レッ ト・・・「して当然だ こんなキスをした男が いたか?
チャールズやフランクや アシャレーとは違うぞ」
再 びキスをするレット。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

キスに酔 いしれているスカーレットに、
レッ ト・・・「結婚すると言え!
言え!
言え!」と 強要する。

ス カーレット・・・「するわ」と 頷くスカーレット。
ニ ヤリと笑うレット。
再 びキスをしようとするが、
レッ ト・・・「本当か? 取り消さないか?」と 確認する。
ス カーレット・・・「ええ」
キ スを求めるスカーレットの顎の下に手をやり自分の方に向かせて、
レッ ト・・・「おれを見て正直に答えろ 金が目当 てか?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「まあ… それもあるけど」と 言うスカーレット。
手 を離し、
レッ ト・・・「けど何だ?」と 言い、歩き出すレット。
後 を追い、
ス カーレット・・・「あなたが嫌いじゃないし」と 言うスカーレット。
ス カーレットを見て、
レッ ト・・・「嫌いじゃない?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「思い焦がれてると言えば  うそになるわ
私たちは似ているし…」
笑 みを浮かべて聞いていたレットは、
レッ ト・・・「似た者同士だ おれだって 命がけ で愛してるとは言わん
どんな指輪がいい?」と 言う。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

嬉しそう に、
ス カーレット・・・「ダイ ヤがいいわ 大きい の」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「アトランタ で 一番大きいのを買お う」
にっ こりするスカーレット。
レッ ト・・・「新婚旅行は  派手にニューオーリン ズだ」
ス カーレット・・・「まあ  楽しみ」
満 面に笑みを浮かべるスカーレット。
レッ ト・・・「花嫁衣裳も 新調しよう」
ス カーレット・・・「まあ うれしい!」
ちょっ と考え直して、
「でも それは内緒よ」と 言うスカーレット。
吹 き出し、
レッ ト・・・「見栄を張る な」と 言うレット。
出 て行こうとするレットに、
ス カーレット・・・「さよ ならのキスは?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「本日の分は 終わりだ」
ス カーレット・・・「意地 悪ね もう来なくても いいわ」
く るりと向きを変えるスカーレットに、
レッ ト・・・「参りますと も」と 言い、ドアを閉めて出て行く。
振 り向きドアの方に近づいて見ているスカーレット。

Top

〜バトラー夫人〜

二人の生 活が始まる。
自 由奔放に振舞うスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)と、それを眺めて楽しむレット(ク ラーク・ゲーブル)の生活が…
 スカーレットが買った物を嬉しそうに扱っている仕草は、自然の流れでいい。

スカー レットが、うなされて叫び声を上げている。
う なされているスカーレットを優しくキスして抱き寄せるレット。
レッ ト・・・「また悪い夢 を見たな」
脅 えて、
ス カーレット・・・「とっ ても寒くて お腹がす いて 疲れ果てて…
霧の中を走っても 見つからないの」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「何がだ!」
ス カーレット・・・「分か らない とにかくない の いつも同じ夢を見るわ
見つける夢を いつかは見るかしら?」と 言うスカーレット。
 スカーレットが満たされていない、幻想を追っていることが演出されている重 要な場面だ。
レッ ト・・・「お前が幸せ になったらー
そんな夢は見なくなる 夢とは そういうもんだ
おれが幸せにしてみせる」
優 しく微笑みかけ抱き締めるレット。
ス カーレット・・・「私の お願いを聞いてくれ る?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「勿論だ」
ス カーレット・・・「早く 町を出ましょう」
ス カーレットを見て、
レッ ト・・・「ニューオー リンズが嫌いか?」と 言うレット。
レッ トを見詰め、
ス カーレット・・・「好き だけど 故郷のタラへ 帰りたいの」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「いいとも  明日 発とう」
再 び抱き締めるレット。

スカー レットの手を胸に抱き散歩しているレット。
レッ ト・・・「タラの こ の赤い土が お前の支え なんだ」
ス カーレット・・・「タラ をもう一度 昔の姿に 戻したいの」
レッ ト・・・「じゃ やっ てみるさ 金はいくら 使ってもいいぞ」
嬉 しそうにレットに抱きつき、キスをして、
ス カーレット・・・「何て 優しいの アトランタ にも 家を建てたいわ」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「好きに飾る といい 大理石やステン ド・グラスで」
ス カーレット・・・「私に 意地悪した人達に 思 う存分 見せ付けてやるわ」
大 声で笑い出しスカーレットを抱き寄せるレット。
ス カーレットもにこやかだ。

Top

〜ボニー誕生〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)とレット(クラーク・ゲーブル)に子供ボニーが授 かり生れる。
レッ トが手放しで喜んでいる。


『風と 共に去りぬ』

レットは ボニーをスカーレットと重ね合わせて可愛がる。

スカー レットは子供を産むことで体型が変わることを気にして子供を産まないようにしよ うと考える。
ス カーレット・・・「外出するのは やめたわ  ここで食べます」と マミーに言い伝える。

そ して、化粧台の前に座りケースに入ったアシュレー(レス リー・ハワード)の写真を眺めている。
そ こにレットが入って来る。
不 意をつかれて驚くスカーレット。
ケー スを落とす。


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー

抱擁しな がら、
レッ ト・・・「言づては聞いた おれもここで食べ る」
更 に、愛撫するレット。

顔 を背けるスカーレット。
レッ ト・・・「イヤなのか?」
ス カーレット・・・「いえ…
お好きな所でどうぞ」と、 言いながら窓際に行き、窓の方を見たまま話しかけるスカーレット。
ス カーレット・・・「レット」
レッ ト・・・「何だい?」
言 い出しにくそうに、
ス カーレット・・・「私ね… 決めたの
もう子供は産まないわ」と 言うスカーレット。
驚 き身を乗り出すレット。
そ の時、足の下で“カチャ”という音が…
ア シュレーの写真が。
ス カーレットの方を見るレット。
そ して、またアシュレーの写真に。
こ れが原因かと悟ったように、
レッ ト・・・「いいさ 1人でも産んだんだ おれ は それで満足だ」と 言いながらスカーレットの傍に行く。
ス カーレット・・・「そうじゃなくて… 意味分 かる?」
レッ ト・・・「それで離婚できるんだぞ」
振 り向き、
ス カーレット・・・「そんなこと口にするなんて 最低 紳士なら絶対に…
アシュレーなんか メラニーがあんな体なのに…」
こ れ以上言えないでいるスカーレット。
辛 辣に、
レッ ト・・・「今日 製材所へ行ったな」と 言うレット。
椅 子の方へ戻りながら、
ス カーレット・・・「それが?」
背 を向けて座る。
ス カーレットの傍に行きながら背に向かって、
レッ ト・・・「アシュレーは紳士か それでどうし た?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「言っても無駄よ」
レッ ト・・・「かわいそうな女だ」
顔 をチラリと向け、
ス カーレット・・・「私が?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「そうだ 幸せを自分で投げ捨てて
不幸を追い求めてるんだ」
ス カーレット・・・「何のこと?」
レッ ト・・・「アシュレーを手に入れたら 幸せに なれると思うか?
お前には あの男を理解できん
お前に理解できるのは 金だけだ」
ス カーレット・・・「それより さっきのこ と…」
レッ トの方を向くスカーレット。
レッ ト・・・「一人で寝ろよ おれはかまわん」
部 屋を出て行こうとするレット。
ス カーレット・・・「平気なの?」
レッ ト・・・「世の中には人が大勢いる 寂しくな いさ
よそで楽しむ」
ス カーレット・・・「心変わりすると困るから  部屋に鍵をかけるわ」
ド アの前で、
レッ ト・・・「無駄だな 鍵など すぐ壊せる」と 言い、ドアを蹴り開ける。
驚 くスカーレット。
 威厳を持った驚き。
 お見事。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

隣の部屋 で酒を注ぎ口にし、目の前に飾ってあるスカーレットの肖像画に向かって激しく グラスを投げつけるレット。
ス カーレット・・・「…」

Top

〜ベル〜

レット(ク ラーク・ゲーブル)はベル(オナ・マンソン)にスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)に対する怒りを口にする。
レッ ト・・・「あんな見 栄っ張りの 分からず屋は いない」
ベ ル・・・「よしなさ い」
レッ ト・・・「どういう意 味だ?」
ベ ル・・・「あんたは彼 女のとりこよ 惚れ抜いてるんだわ
腹が立つけどさ」
レッ ト・・・「しかし今度 は決心した」
ベ ル・・・「子供は?  大事な宝を捨てられる?」
レッ ト・・・「お前は利口 だよ いい女だ」
ベ ル・・・「なあに、 レット?」
レッ ト・・・「同じ女でも 違うもんだ
2人とも しっかり者だが…
お前には心があるし…」
ベ ルのイヤーリングを弄くりながら、
「正直だ」と 言うレット。
ベ ル・・・「さよなら」
ベ ルの頬をつねり出て行くレット。
去っ てゆくレットの足音を追っているベルにドアが閉まる音がズシリと響いてくる。
 好きな男に捨てられた女の悲しみをオナ・マンソンは細やかな表情で演じてい る。
 上手い。

レットは スカーレットの元へ戻りボニーを溺愛する。
ボ ニーは自由奔放で快活な娘に育って行く。

Top

〜製材所〜

製材所の アシュレー(レスリー・ハワード)の元にスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)が現れる。
 美しい。
 美しさと女らしさが 際立つ。
ア シュレー・・・「こんな時間に珍しいね」
ス カーレット・・・「あの、 アシュレー、  私ー」

ア シュレー・・・「僕の誕生パーティの 支度 じゃなかったの?」
ス カーレット・・・「内緒ってことになってるの に メラニーが落胆するわ」
ア シュレー・・・「大丈夫 仰天してみせるよ」
笑 うスカーレット。
ア シュレー・・・「帳簿を見てくれ
やはり商売は苦手だ」と 言うアシュレー。
ス カーレット・・・「ダメよ お帽子が新しいと  計算できないの」
ア シュレー・・・「その姿じゃ計算は似合わん
会う度に美しくなるね」
微 笑んで聞いているスカーレット。
ア シュレー・・・「オークス屋敷の園遊会を 思 い出すよ」
表 情が曇るスカーレット。
ア シュレー・・・「大勢の男性に囲まれて…」
ス カーレット・・・「あの私は もういない
何一つ 思いがかなわなかった」
ア シュレー・・・「お互いに長い旅をしたね
懐かしいな 静かな農園の夕暮れ
黒人の平和な笑い声… 黄金色の安らぎに身を任せて」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

瞳を潤ま せて、
ス カーレット・・・「ふり返っては いけないわ
昔を想い出して 進め なくなってしまうもの」と 言うスカーレット。

ス カーレットの方へ行き、
ア シュレー・・・「悲しい顔をしないで
君には幸せになって もらいたい」と 言い、抱き寄せるアシュレー。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、レスリー・ハワード

と、その 時、インディア(アリシア・レット)とミード夫人(レオーナ・ロバーツ)が 入って来た。
驚 くアシュレー。
異 変に気付き振り向くスカーレット。
イ ンディアたちは、二人を見て憤慨して出て行く。
ス カーレット・・・「ア シュレー」
驚 いてアシュレーを見るスカーレット。

Top

〜パーティ〜

“どうしよう”とベッドで縮こまっているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
ド アを小忙しく叩く音がする。
ス カーレット・・・「誰?」
レッ ト・・・「だんな様 だ」
脅 えた声で、
ス カーレット・・・「どう ぞ」と 言うスカーレット。
レッ ト(ク ラーク・ゲーブル)がパーティの装いをして入って 来る。
レッ ト・・・「“貞節の部 屋”へ入るぞ
パーティの支度は?」
ス カーレット・・・「頭痛 がするの 一人で行っ て」
レッ ト・・・「そんな臆病 者なのか」
手 荒くベッドカバーを剥ぎ取り、
「起きろ! 連れてくぞ」と 言うレット。
ベッ ドカバーを引き寄せ、
ス カーレット・・・「ああ  インディアがわざと 私を…」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「インディア が町中に吹聴した」
ス カーレット・・・「大う そつきよ」
レッ ト・・・「おれにだっ て うそと本当の区別は つく」
ス カーレットの腰に手を回し引きずるレット。
「早く起きるんだ!」
必 死に抵抗して、
ス カーレット・・・「行か ないわ 誤解が解ける までは」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「お前のよう な女は メラニーに追い 出されろ」
ス カーレット・・・「私は 潔白よ でも行けない わ」
レッ ト・・・「行かないと  もう人前に顔を出せん
ボニーの将来がかかってる あの子のために行くんだ」
手 荒くベッドカバーを剥ぎ取り、スカーレットをベッドから引きずり出し部屋の向こう側へ押しやるレット。
「着ろ!」
下 着姿で脅えて立っているスカーレット。

クロゼッ トから派手なドレスを持って来るレット。
放 り投げながら、
レッ ト・・・「これを着ろ  ふさわしいドレスだ」
化 粧品をスカーレットの前に手荒く置き、
「紅も濃くして派手にふるまえ」と 言うレット。
ド レスを持って化粧台の前に座り、不安な表情を浮かべるスカーレット。

誕生パー ティが始まっている。
ド アが開けられる。
入 ろうとするスカーレットに、
レッ ト・・・「おれは帰 る」
ス カーレット・・・「ひど いわ」
レッ ト・・・「独りで行け  ライオンが待ってる」
ス カーレット・・・「一緒 に来て」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

スカー レットを押しながら、
レッ ト・・・「怖いか」
帰っ てしまうレット。

不安が広 がるが、ス カーレットは背筋を伸ばし頭を反り返し入り口に立つ。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

驚くア シュレー(レスリー・ハワード)
歌っ ていた♪陽気な、いい 奴だからをやめ、非難の目を浴びせるパーティの出席者たち。
緊 張した沈黙の中をメラニー(オリビア・デ・ハビランド)が スカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の所に行く。

ス カーレットに緊張が走る。
が、 胸を張る。
ス カーレットを見ながら、しっかりと堂々として歩み寄るメラニー。
ス カーレットも視線をそらさないでメラニーを見ている。
 これで信じていたものを確信した。
メ ラニーがスカーレットを出迎える。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

キスの挨 拶を交わし、
メ ラニー・・・「素敵なド レスね
インディアは欠席なの 代わりにお手伝いして」
ス カーレットの腰に片方の手を回し、もう一方でスカーレットの手を引き、
「皆さん お待ちよ」と 皆の方へ連れて来るメラニー。
ス カーレットを睨みつけているミード夫人(レ オーナ・ロバーツ)へ、
「ミードさん スカーレットです」と 言うメラニー。
こ わばって、
ミー ド夫人・・・「今晩は」と 言い、スカーレットと握手する。
ス カーレットもこわばって、
ス カーレット・・・「今晩 は」と 挨拶する。
客 たちはスカーレットに好奇心や非難の視線を浴びせながら挨拶する。
ス カーレットは恥ずかしさときまり悪さに耐え、挨拶に答える。
メラニーはスカーレットを客たちから守るようにしてアシュレーの前へ連れて行く。
そ して、アシュレーに、
メ ラニー・・・「あなた  飲み物を差し上げて」と、 にこやかに言いながら二人を向き合わせアシュレーに責めを負わせる。
そ れで自分のプライドを守りスカーレットを守る。
ア シュレーとスカーレットは居心地悪そうに向かい合い立っている。

Top

〜酒〜

深夜に誰 かに見られていないか見回しながら階段を降りて行くスカーレット(ヴィヴィアン・リー)
階 段の降り口付近で台所からあかりが漏れているのを見て立ち止まる。
覗 いて見ようとするが見えないので更に降りて行く。
“どうしたのだろう”と思いながら近づくスカーレットにレット(ク ラーク・ゲーブル)の声が台所から聞こえる。
レッ ト・・・「どうぞ 奥 様」
驚 き立ち止まるが、また歩き出すスカーレット。
座っ たまま上体を前に乗り出しながらスカーレットを見るレット。
酔っ た声で手招きし、
レッ ト・・・「来い!」と 言う。
が、 思い直して立ち上がりスカーレットの方に行く。
そ れを見ていて嫌悪感あらわにして立ち止まるが、また、歩き出すスカーレット。
深 深とお辞儀をして待ちうけるレット。
テー ブルの上の酒を見ているスカーレット。
レッ ト・・・「座れ」と 椅子を差し出すレット。
そ れに座るスカーレット。
レッ ト・・・「好きなだけ 飲め 遠慮はいらん」と 言い、テーブルの上の酒に手を伸ばす。
ス カーレット・・・「違う の 音がしたので…」
酒 をグラスに注ぎながら、
レッ ト・・・「そんなこと で来るもんか 飲みた かったんだろ
酒が欲しいんだ」と 言うレット。
ス カーレット・・・「いら ないわ…」
レッ ト・・・「飲め!」
グ ラスをスカーレットの前に手荒く置く。
そ して、
「格好をつけるな 飲んでることは知ってる
何でも飲むがいい」と 言うレット。
こ んな酔っ払いを相手にしていられないと不機嫌にグィと一口飲み、
ス カーレット・・・「酔っ てるのね」と 言い、立ち上がるスカーレット。
レッ ト・・・「酔ってるさ  徹底的に酔ってやる
寝るのはまだ早い」
手 荒くスカーレットを押し、
レッ ト・・・「座れ!」
ス カーレットの前に腰掛けながら、
レッ ト・・・「彼女は優し かったか
恥をかかせた女に かばってもらった気持ちは?」と 言うレット。
痛 いところを突かれ肩で息をしているスカーレット。
「彼女はお前たちを疑っていて…
その場を取り繕ったのか
体裁を気にするバカな女だと 思ったろう」
ス カーレット・・・「よし て!」
レッ ト・・・「聞け!
メラニーは それほどバカじゃない
お前がそんなことを するはずないと信じてるんだ
お前を愛してるのさ 理解に苦しむが」と 言うレット。
ス カーレット・・・「酔っ 払いとは お話できな いわ」
立 ち上がるスカーレットに、
レッ ト・・・「立ったら許 さん!」と 覆い被さるようにして脅し座らせる。
た だならぬ様子のレットを見上げているスカーレット。
脅 しに従ったスカーレットを見てホッとし話を続けながら酒に手を伸ばすレット。
レッ ト・・・「この茶番劇 の3枚目は アシュレー 君だ」
酒 をグラスに注ぎながら、
「心で不貞を働きながら 実践できん軟弱なやつさ」
注 いだ酒を一気に飲み干す。
「フラフラ坊主だ」
ス カーレット・・・「戻 る!」と 言いながら立ち上がろうとするスカーレットを手荒く突き座らせスカーレットの後ろに回るレット。
恐 怖で顔が引きつるスカーレット。
ス カーレットの前に手を出し、
レッ ト・・・「俺の手を見 ろ」
そ の手をスカーレットの顔に近づける。
顔 を歪め脅えるスカーレット。
「八つ裂きにするか」
両 手でスカーレットの顔を触りながら、
「そうすりゃお前は アシュレーを忘れるかな」
両 手で挟みながら頭の方へ移動させ、
「それが かなわぬなら これはどうだ?
両側から手で頭を挟む」と 言うレット。
髪 が波打ち顔がこわばっているスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

レッ ト・・・「そしてク ルミを割るように 押しつぶす」
レッ トの手に力が込められスカーレットの顔が歪む。
ス カーレットの緊張が極限にくる。
そ して、
ス カーレット・・・「手を 放して! この酔っ払 い!」と 力を込めて言う。
崖っ 縁まで追い込まれても強気の姿勢をみせるスカーレットに負けたレット。
そ れを気付かれないように笑うレット。
レッ ト・・・「相変わらず 強気だな
追いつめられた時は」
ス カーレットは肩で息をし怖くて堪らなかったのに強がる。
立 ち上がり鋭く、
ス カーレット・・・「追い つめられた? そんな 脅しは効果ないわ
あなたは脅すことしか 出来ない人よ
自分に出来ないことを 嫉妬するの
おやすみなさい」
く るりと向きを変えドアの方へ歩き出す。
笑 い出し、
レッ ト・・・「嫉妬? そ うだ 妬いてる」と 言うレット。
立 ち止まり振り返るスカーレット。
ス カーレットの前に来て押さえつけ、
レッ ト・・・「お前の貞節 を知っていてもだ
相手は誉れ高きアシュレーだ 手は出さんさ
彼は紳士だが 俺たち二人は違う
お前の言う下品なやからさ」と 言うレット。
怒っ てレットを払いのけ階段の方へ行こうとするスカーレット。
ス カーレットを見ていたが諦めテーブルの方に行こうとする。
が、 思い直しスカーレットを追うレット。
階 段の下でスカーレットを掴み、荒々しく自分の方に向け抱き寄せ、
レッ ト・・・「そうはさせ んぞ」
ス カーレットに強引にキスをするレット。
抵 抗するスカーレット。
抱 き締めながら、
レッ ト・・・「お前はやつ を夢見て 俺を閉め出し てきた
今日は そうはさせん」
ス カーレットを抱き上げ一気に階段を上って行く。
 力強い、男らしいゲーブルの魅力満載だ。

Top

〜スカーレットの部屋〜

ベッドで ベン・ボルトのメロディーを幸せそうにハミングしているスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

歌をやめ 昨晩のことを思い浮かべて嬉しそうにくすくす笑う。
そ して、ベッドカバーを引き上げ口元まで持って来て恥ずかしそうに思い出し笑いをする。
物 音がし驚いて上体を起こすスカーレット。
レッ ト・・・「やあ…」
レッ ド(ク ラーク・ゲーブル)が寝室に入って来る。
 嬉しそうな表情をするスカーレット。
 美しい。
に こやかに迎え入れるスカーレット。
言 いにくそうに、
レッ ト・・・「昨夜は は したないことをして 失 礼した」と 言うレット。
満 たされた顔で、
ス カーレット・・・「そん な…」
い つものからかうような口調で、
レッ ト・・・「泥酔して  お前の魅力に負けてし まった」と 言う。
失 望して開き直るスカーレット。
ス カーレット・・・「いい のよ お里は知れてる から」
ス カーレットに近づきベッドに座りながら、
レッ ト・・・「よく考えた が決心したよ お互いの ために離婚しよう」と 言う。
ス カーレット・・・「離 婚?」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「そうだ
意味のない結婚だ 金銭面では譲歩する
だからボニーを おれにくれ」
怒っ て、
ス カーレット・・・「離婚 で家名を汚したくない わ」と 言うスカーレット。
怒っ て立ち上がりながら、
レッ ト・・・「アシュレー が独身なら 自分から  せがむくせに
そうだろう?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「…」
レッ ト・・・「答えろ」
ス カーレット・・・「うる さいわ 行って」
レッ ト・・・「行くさ 用 は済んだ
商用で今日 ロンドンに発つ」と 言う。
ス カーレット・・・「ま あ!」
驚 くスカーレット。
レッ ト・・・「ボニーを連 れていく 支度をしろ」
ス カーレット・・・「私の 子供よ!」
レッ ト・・・「父親は俺だ  身勝手な母親の下には 置けん」と 言うレット。
ス カーレット・・・「口だ けは達者ね
許せません ベルのような女のそばに置くのは」
ムッ としてスカーレットに近づき、怒りを爆発させるレット。
レッ ト・・・「男なら殺す ところだ 言葉を慎め!
何が母親だ 猫の方がはるかにいい」
レッ トを見るスカーレット。
レッ ト・・・「1時間でボ ニーの支度をしろ さも ないとムチで打ちのめす」
向 きを変えて足早に部屋から出て行くレット。
 この一連の流れは旅から帰ってきた時に階段で出迎える場面でも見られる。

Top

〜ボニーとレット〜

子供部屋 へ行き、ボニーを抱き上げ、
レッ ト・・・「キスしておくれ」


『風 と共に去りぬ』クラーク・ゲーブルら

「遠いおとぎの国へ 連れてってあげよう」と 言うレット。
ボ ニー・・・「どこに? どこに?」

レッ ト・・・「ロンドン塔を見られるよ ロンド ン・ブリッジも…」
ボ ニー・・・「歌みたいに落ちる?」


『風と 共に去りぬ』クラーク・ゲーブルら

レッ ト・・・「落ちるか もしれんぞ」

ボニーが旅先で怖い夢を見て泣く。
 ボニーがスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)の分身であること を強調している。
ボ ニー・・・「ママは?」
思いがけない問いかけにショックを受けるレット(ク ラーク・ゲーブル)
優しくボニーの上にかがみ込んで、
レッ ト・・・「パパがいる じゃないか」と言うレット。
ボ ニー・・・「おうちに帰 りたい」
これほど愛情を注いでも母親に会いたがるボニーを悲しそうに見ているレット。
そして、ボニーのことを思って、やむなく連れて帰ることにするレットは傷ついてい る。

Top

〜階段〜

 私が一番惹かれている場面がある。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リーら

階段で旅 から戻ったポニーを喜びと興奮で出迎え、その後レッド(クラーク・ゲーブル)が来る。
微 笑むスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
その後だ。
レットが大袈裟なジェスチャーでお辞儀をするのを見てスカーレットが顔を曇らせ る。
 そう、その表情だ。
 いい。
 寂しい気持ちが実に良く出ている。
 ヴィ ヴィアンはこのように一瞬の表情で引付ける。
階 段を上ってスカーレットに近づきながら、
レッ ト・・・「バトラー夫 人か?」と 言うレット。
寂しい気持ちを押さえて明るく、
ス カーレット・・・「お帰 りなさい」と言うスカーレット。
ス カーレットの前に来て、
レッ ト・・・「ボニーを返 す
悪い母親でも恋しいらしい」と 言うレット。
寂しそうに、
ス カーレット・・・「また お出かけ?」と言う。
傷ついているレットはスカーレットの気持ちを考えてやる余裕はない。
レッ ト・・・「察しがいい な 荷物は駅だ」
ス カーレット・・・「ま あ…」
やはり、また出ていくのかと寂しい表情を浮かべるスカーレット。
行かないでと言えないでいる。
レッ トは腰に手を当てスカーレットを覗き込み、
レッ ト・・・「顔色が悪い な 一人暮らしがこたえ たか」と、 からかう。
怒 り、
ス カーレット・・・「あな たのせいよ 一人暮ら しのせいじゃなくて…」
話 を止め向きを変え階段を上り出すスカーレット。
ス カーレットに付いて階段を上りながら、
レッ ト・・・「お続け下さ い」と 言うレット。
立 ち止まりスカーレット。
声 を荒めて、
ス カーレット・・・「また 生まれるの」と 言う。
喜び前へ踏み込みスカーレットに触れるレット。
嫌 がりレットを睨むスカーレット。
落 胆したレットは開き直り、
レッ ト・・・「そうか そ れで父親は?」と 言う。
怒 り声を荒げ、
ス カーレット・・・「あな たよ! 産みたくな かったのに
あなたの子供なんて」
一 瞬躊躇するが、
「別の人ならよかったわ!」と 言う。
せ せら笑いレットは、
レッ ト・・・「流産を祈る さ」と 言う。
レットの冷淡な態度に怒りが爆発したスカーレットはレットに飛び付くようにして掴 みかかる。
驚いて体をかわし腕を振り上げて防ごうとするレット。
前のめりになってバランスを失ったスカーレットは悲鳴をあげ階段から転げ落ちる。
意識を失っているスカーレット。
驚き血相を変え駆け下りるレット。

Top

〜レットとメラニー〜

憔 悴したレット(ク ラーク・ゲーブル)が心配そうにスカーレッ ト(ヴィ ヴィアン・リー)の部屋から出て来たピティ パット叔母(ローラ・ホープ・ク ルーズ)に尋ねる。
レッ ト・・・「どうで す?」
泣 いているピティパット叔母。
レッ ト・・・「私を… 呼 びましたか?」
ピ ティパット叔母・・・「うわ言ばかりよ」

ベッドの 上のスカーレットに激しい痛みが襲いかかっている。
泣きながら弱々しくうわ言を
ス カーレット・・・「レッ ト…
戻って…」
レットを呼んでいるスカーレット。
だが、誰も気付いてくれない。
マ ミー・・・「何です?  誰か呼びなさった か?」
ス カーレット・・・「もう ダメ… ダメよ…」
レットとスカーレットはお互いを強く求め合っているのに空回る。

自分の部 屋で頭を抱え込んで座って泣いているレット。
ノッ クが繰り返される。
気 付いたレットが立ち上がりドアを開く。
メ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)が 入って来る。
メ ラニー・・・「先生 が…」
し ばらく間を置いて重苦しく声を落として、
レッ ト・・・「死んだの か?」と 言うレット。
メ ラニー・・・「いえ 大 丈夫よ よくなりま すって」
向 きを変え窓際の椅子の方へ行き頭を抱え込むレット。
レッ トが完全に打ちのめされているのを見て、
メ ラニー・・・「しっかり なさって すぐ元気に なりますわよ」と、 体をかがめレットを包み込むようにして慰めるメラニー。
頭 を抱えたままで、
レッ ト・・・「今度の子は 産みたくないと…」と 言うレット。
レッ ドの体を小さく揺すりながら、
メ ラニー・・・「うそです わ 女なら誰だっ て…」と 言うメラニー。
レッ ト・・・「俺の子を  産みたくないと言ったん だ
だから ついカッとなって 思わずやってしまった」
メ ラニー・・・「そんなこ と おっしゃらない で」
レッ ト・・・「子供のこと は初めて聞いた 知って たら急いで戻ったよ」
メ ラニー・・・「分かって ますわ」
レッ ト・・・「なのに 俺 は あの時 何をし た?」
涙 で濡れた顔を起こして、
「せせら笑って…」と 言うレット。
レッ ドの顔を見上げて、
メ ラニー・・・「本心じゃ ないわ 知ってます」と 言うメラニー。
レッ ト・・・「嫉妬に狂わ んばかりだった」
立 ち上がり、
「俺を思ったことなど 一度もないんだ」
窓 際へ行くレット。
レッ トの前へ行き、
メ ラニー・・・「違うわ  自分じゃ 気付かぬう ちに愛してます」と 言うメラニー。
希望を持って、
レッ ト・・・「もしそうな ら 俺は待つ 何年でも 彼女が許すまで」と 言うレット。
優 しく微笑んで、
メ ラニー・・・「必ず許し てくれますわ」と 言う。
メ ラニーの顔をじっと見ていたレットは思い出し、
レッ ト・・・「いや違う  彼女が誰を愛してる か…」
躊 躇し向きを変え歩きながら、
「知らないから…」
椅 子に腰掛けるレット。
レッ トの前へ行き、
メ ラニー・・・「噂を本気 になさるの?
私は人の口など信じません」と 言うメラニー。
メ ラニーを見上げるレット。
レッ トを包み込むようにしながら、
「彼女はすぐ元気になって また子供を産みますわ」と 言う。
首 を振り、
レッ ト・・・「こんな事故 に会ったんだ もう産め ないさ」と 言うレット。
メ ラニー・・・「産めます わ 私だって今…」
メ ラニーを見上げ手を包み込み、
レッ ト・・・「それは危険 だ 万一のことがあった ら…」と 言う。
レッ トを見ながら、
メ ラニー・・・「子は親の 命を受け継ぎます
喜んで試練を受けましょう」と 言うメラニー。
メ ラニーを見上げ手を撫でながら、
レッ ト・・・「真の勇気と は このことだ
無事を神に祈ろう
私とスカーレットは あなたの世話になり通しだ
心から感謝します」
感 動し慰められ手にキスをして感謝するレット。
レッ トの頭にもう一方の手を祝祷するときのように置くメラニー。
 メラニーをマリア様のように演出する。

Top

〜テラス〜

スカー レット(ヴィ ヴィアン・リー)がテラスで安楽椅子に体を伸ばし ている。
回 復に向ってはいるが流産の苦しみと悲しみで顔色が青ざめている。
レッ ト(ク ラーク・ゲーブル)がスカーレットに、近づい て来て傍に座り、

レッ ト・・・「もし許してくれるなら 二人でもう 一度やり直そう」と 言う。
レッ トを一瞥し顔をそむけて、
ス カーレット・・・「二人で? 私たちのことか しら」と 言うスカーレット。
レッ トは悔恨の情にかられ真剣に、
レッ ト・・・「そうだ 二人でもう一度 幸せを掴 もう」と 言う。
顔 をしかめ、
ス カーレット・・・「もう何も残ってないわ」と 言うスカーレット。
静 かにはっきりと、
レッ ト・・・「ボニーがいるし 愛してる」と 言うレット。
嘲 るように、
ス カーレット・・・「いつ分かったの?」と 言う。
レッ ト・・・「ずっと愛していたが 君が振り向い てくれなかった」
レッ トの方に向き直り、
ス カーレット・・・「私にどうしてほしいの?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「製材所を閉めてくれ そして新婚旅 行をやり直そう」
顔 をしかめ、
ス カーレット・・・「製材所を? 儲かってるの に」と 言う。
レッ ト・・・「俺たちには必要ない アシュレーに やるさ」
考 えているスカーレット。
レッ ト・・・「メラニーへの礼だ」
メ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)のことを言うレットに ムッとして、
ス カーレット・・・「メラニーが何よ 私なんか そっちのけ」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「そうじゃない」
 レットはアシュレー(レ スリー・ハワード)の事をスカーレットが誉める 時、スカーレットはレットがメラニーの事を誉める 時に反論し口論となる。
 それぞれが自分に無い物を持っているアシュレーとメラニーに嫉妬しているか らだ。
 だが、レットとスカーレットはそれに気付いていないから口にする。
こ の後、ボニーが子馬に横乗りして二人の前に来る。
バー を高くして跳ぶから見てといってバーの方へ向かうボニー。
レッ トに向かってスカーレットがやめさせるように言う。
ス カーレット・・・「レット 止めて」
 母親の表情が滲み出ているヴィ ヴィアンだ。
ジェ ラルド(トーマス・ミッチェル)とボニーの相似に気付き、 顔に恐怖が浮かぶスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

ボニー は、ジェラルドのように落馬する。
ス カーレットが悲鳴を上げ気を失う。

Top

〜別れ〜

ボニーが死んだ。
 それはレッド(ク ラーク・ゲーブル)がスカーレット(ヴィヴィアン・リー)を失うことを暗示している。

マミー(ハティ・マクダニエル)はメ ラニー(オリビア・デ・ハビランド)を呼び階段 の方に向 う。
メ ラニーが彼女に続く。
レッ トがボニーが死んだ日から人が変ってしまったと泣きながら話す。
マ ミー・・・「あれほど子 煩悩の方は 見たこと なかったです
ボニー様が亡くなった時 即座にあの馬を殺しなすって」
階 段をメラニーと一緒に上る。
マ ミー・・・「自殺なさる かと 思ったほどでし た」
メ ラニー・・・「お気持ち  分かるわ」と 言うメラニー。
マ ミー・・・「スカーレッ ト様はだんな様を “人殺し”だと責めなすってね
そしたら だんな様は “お前には母の資格はねえ”って
血の凍る思いの ののしり合いですだ」
首 を振りながら、
メ ラニー・・・「聞きたく ないわ」と 言う。
マ ミー・・・「その夜か ら…
だんな様はボニー様のお部屋に…
いくら呼んでも 出てらっしゃらねえです
もう2日になります」
恐 ろしさに打ちのめされて、
メ ラニー・・・「ああ、マ ミー!」と 言うメラニー。
階 段で立ち止まり、
「そして今日 スカーレット様が 部屋の外からー
明日の葬儀を伝えたらー
“そんなことしたら殺してやる”」
再 び階段を上りながら、
「“暗がりを怖がったボニーを 土の中へは入れられん”と」と 話すマミー。
取 り乱し悲しみに打ちのめされて、
メ ラニー・・・「正気を 失ってしまってるわ」と 言う。
マ ミー・・・「ボニー様を 葬れねえです お助け 下さい」
階 段の一番上まで来ている。
胸 に手を持って行き、
メ ラニー・・・「私に何が できる?」と 言うメラニー。
マ ミー・・・「だんな様は 聞かれますよ あなた の言うことなら
お願いします」
メ ラニーはこわばる。
「お願いします」
私 がしなければならないと悟り、
メ ラニー・・・「会ってみ るわ」
レッ トの部屋の方に行くメラニー。
涙 を拭きながら、見ているマミー。
ド アを叩くメラニー。
中 からレットの声がする。
レッ ト・・・「行け 邪魔 だ!」
メ ラニー・・・「メラニー です ボニーに会わせ て下さい」
静 かにドアを開く憔悴したレット。
中 に入って行くメラニー。
そ れを祈るような表情で見ているマミー。
膝 をつき頭を下げて、
マ ミー・・・「神様 だん な様に救いを…」と 祈る。

それか ら、どれくらい経ったのだろう、疲れ果てたメラニーが出てくる。
柱 につかまりか細い声で、
メ ラニー・・・「マミー
濃いコーヒーを差し上げて スカーレットを見てきます」と 言うメラニー。
心 配しているマミー。
メ ラニー・・・「明日 葬 儀を行なわれるそう よ」と 言うメラニー。
天 を仰ぎ、
マ ミー・・・「よかった!  あなたには 天使が ついてますだ」と 言うマミー。
メ ラニーが倒れる。

Top

〜メラニー〜

メラニー(オリビア・デ・ハビランド)の 家。
死 を迎えようとしているメラニーとの別れをし、アシュレー(レスリー・ハワード)と息子が部屋から 出てくる。
そ して、ミード博士(ハリー・ダベン ポート)が、
ミー ド博士・・・「入ってもいいよ」と スカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)を呼ぶ。
泣 きながら、
イ ンディア・・・「先生 私も入れて下さい!」と 嘆願し、
「謝りたいことがあります ぜひ それを…」
泣 き崩れるインディア。
ミー ド博士・・・「彼女はスカーレットを呼んでる」
ミー ド博士とメラニーの部屋の前に来るスカーレット。
部 屋に入ろうとするスカーレットの腕を引き、
ミー ド博士・・・「安らかに行かせよう
自己満足のつまらん告白は 災いを招くだけだ
わかるね?」と 言う。
頷 くスカーレット。
 この頷き方がいい。
 ヴィ ヴィアン特有のものだ。
ミー ド博士がスカーレットを軽く押して彼女が入るとドアを閉める。
ベッ ドに近づきメラニーの手に手を添えて、
ス カーレット・・・「私 よ」と 言うスカーレット。
メ ラニーの目が静かに開く。
メ ラニーに優しい眼差しを注ぎながら腰掛けるスカーレット。
ス カーレットを見て、
メ ラニー・・・「約束し て…」と 言うメラニー。
ス カーレット・・・「する わ」
メ ラニー・・・「息子を頼 むわ
1度はあなたに預けた子よ」
悲しみが込み上げてくるスカーレット。
メ ラニー・・・「生まれた 時に」
ス カーレット・・・「変な ことをを言わないで  すぐよくなるのに」
メ ラニー・・・「あの子 を… 大学へ…」
ス カーレット・・・「ヨー ロッパのね 馬にも… 何でもする
しっかりして」と 言うスカーレット。
メ ラニー・・・「アシュ レー…
アシュレーとあなた…」
スカーレットの涙で濡れた目が大きく見開かれる。
ス カーレット・・・「ア シュレーが何なの?」
メ ラニー・・・「面倒を見 て
私の面倒を見てくれたように…」
ス カーレット・・・「見る わ」
メ ラニー・・・「お願い よ」
頷くスカーレット。
メ ラニー・・・「彼には内 緒で…」と 言うメラニー。
ド アを開ける音がして入り口でミード博士が待っている。
立 ち上がり両手でメラニーの手を包み込み、
ス カーレット・・・「お休 み」
手 にキスをするスカーレット。
メ ラニー・・・「約束よ」と 言うメラニー。
ス カーレット・・・「ほか には?」
メ ラニー・・・「バトラー 船長に… 優しくね」
ス カーレット・・・「レッ ドに?」
メ ラニー・・・「あなたを 愛してるわ」
更に感情が高ぶってくるスカーレット。
泣きながら、
ス カーレット・・・「わ かったわ メラニー」と言う。
微笑を浮かべて、
メ ラニー・・・「さような ら」と言うメラニー。
ス カーレット・・・「さよ うなら」
メラニーの額に泣きながら別れのキスをするスカーレット。
 メラニーがスカーレットに対して全幅の信頼と友情や愛情を抱いてことが演出 される。
 メラニーが死の間際にどうしても会いたいのはスカーレットである。
 メラニーにとってスカーレットは後を任せられる一番信頼できる存在である。
 そして、快活で強い意志を持ち責任感の強いスカーレットが好き、愛している のだ。
 スカーレットも、また、母親を好きだったように、温厚で優しいメラニーが好 きなのだ。
 だが、それが分かったのは失う時であった。

泣きなが ら部屋から出てきたスカーレットの前にアシュレー(レスリー・ ハワード)がいた。
ス カーレット・・・「あ あ、アシュレー! ア シュレー!」
椅 子に座って使い古した手袋の片方を広げて見せ、
ア シュレー・・・「この片 方はどこだろう? メ ラニーが捨てたかな」と 呟いている。
ス カーレット・・・「やめ て!」
抱きつき泣くスカーレット。
ス カーレット・・・「恐ろ しくって…」
そのスカーレットに、しがみつくアシュレー。
二人を見ていたレット(ク ラーク・ゲーブル)は嫌悪の表情を浮かべて帽子とコートを 持って出て行く。
身 を起こして、
ア シュレー・・・「彼女な しでは生きていけな い」と 言い、俯くとメラニーの手袋を抱き締め泣き出す。
「彼女と共に すべてが去ってしまう」
手 袋に頭を摺り寄せ伏せるアシュレー。
そ んなアシュレーを見ていたスカーレットは、
ス カーレット・・・「そん なに愛してるの?」と 言う。
伏 せたまま、
ア シュレー・・・「彼女は 夢だった 現実に負け ない夢だった」と 言うアシュレー。
ス カーレット・・・「いつ も夢ばかりね 現実を 見ないで」
両 手で顔を被い、
ア シュレー・・・「君には 分からんよ」
う つ伏せて泣くアシュレー。
ア シュレーを見ながら、
ス カーレット・・・「私を 愛してないと なぜ 言ってくれなかったの?
あいまいなことばかり言って
メラニーが死ぬ時に初めて…
私など愛してないなんて
ひどい仕打ちだわ」
茫 然と、
「私は幻を愛してきたのね
でも そんなことはいいの
過ぎたことよ
どうでもいいの」と 独り言を言う。
泣いているアシュレーに目を移し、
ス カーレット・・・「ア シュレー ごめんなさ い」と アシュレーに優しく声を掛け肩に手を置き、
ス カーレット・・・「メラ ニーに涙を見せない で」とアシュレーの頭を なでるスカーレット。
ミー ド医師がアシュレーを呼びつける。
メ ラニーの元へ行くアシュレー。
茫 然とその場にいるスカーレット。
ア シュレー・・・「メラ ニー!」
最 後の別れをしたインディアたちが泣きながら出てくる。
ア シュレー・・・「メラ ニー!」
メラニーの死。
その時、ハッと我にかえって、
ス カーレット・・・「レッ ト!」
立ち上がりレットを探すスカーレット。
「レット!」
レットが広間にいないのに気付く。
「レット! どこにいるの?」
外 に出て行く。
濃い霧がたちこめている。
 スカー レットがいつも見る夢と同じだ。
ス カーレット・・・「レッ ト 待って!」
霧の中に入って行き走りながらレットを探すスカーレット。
「レット 待って!
レット!
レット!
レット!」

Top

〜レット〜

自宅に着 く。
ド アを開け必死にレット(ク ラーク・ゲーブル)探す。
ス カーレット・・・「レット!

レット!
レット!」
階 段を駆け上る。
「レット!
レット!」
レッ ト部屋のドアが半開きになっている。
開 く。
窓 際の椅子にレットが座っている。
ド アの所に立ち止まるスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)
ゆっ くり振り向いてレット。
レッ ト・・・「どうぞ」
フ ラフラした足取りでレッドの元へ行くスカーレット。
レッ トの前に座り、
ス カーレット・・・「レット レット!」
息 があがっているスカーレット。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル

レッ ト・・・「メラニー は…」
頷 くスカーレット。
目 を伏せ、
レッ ト・・・「神の恵み を… あれほど優しい人は いなかった
彼女こそ真の淑女だ」と 言うレット。
息 を整えてながらレットを見るスカーレット。
ス カーレットの方を向き、
冷淡に、

レッ ト・・・「死んでくれ て都合がいいな」と 言う。
レッ トを見て、
ス カーレット・・・「何て ことを 彼女を愛して たのに」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「知らなかっ たな 最後は優しくして やったか?」
ス カーレット・・・「立派 な人よ いつも人の幸 せを願ってた
最後にあなたのことを」
しっ かりと見て、
レッ ト・・・「何と?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「“優 しくしてあげて あな たを愛してる”って」
ス カーレットから顔を反らし立ち上がるレット。
上 体でレットを追うスカーレット。
窓 際でスカーレットに背を向けて、
レッ ト・・・「ほかに は?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「“ア シュレーの面倒を見 て”と」
振 り向き、
レッ ト・・・「先妻のお許 しを得たか」と 言い、開いたバックの方へ行くレット。
レッ トを視線で追いながら、
ス カーレット・・・「どう いう意味?」と 言うスカーレット。
バッ クに服を入れるレット。
そ れを見て驚いて立ち上がるスカーレット。
ス カーレット・・・「何し てるの?」
レッ トへ近寄るスカーレット。
レッ トとバック、レットと見ているスカーレット。
レッ ト・・・「別れだ」
レッ トを見るスカーレット。
荷 物をバックに入れながら、
レッ ト・・・「念願かなっ て アシュレーと暮らせ るな」と 言い、別の荷物を取りに行くレット。
開 いたバックの中の荷物を見て、
ス カーレット・・・「ああ
違うわ そうじゃないの!」
レッ トの方へ駆け寄るスカーレット。
レッ トを見て必死に、
「別れるなんてイヤよ
私が愛してるのは あなたよ 初めて分かったの
ねえ あなた
あなた」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「往生際が悪 いな 気品を持って別れ よう」
涙 を溢れさせながらスカーレット。
ス カーレット・・・「待っ て!
聞いて 愛していることを 自分で気づかなかったの
信じて! あなたも私を愛してるでしょ」
荷 造りしながら、
レッ ト・・・「そうか  じゃアシュレーは?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「本当 は愛してなかったの」
レッ ト・・・「それにして は真に迫ってた」
バッ クの方へ荷物を持って行くレット。
付 いて来るスカーレット。
レッ ト・・・「おれはでき る限りの ことをした
ロンドンから帰った時も…」
ス カーレット・・・「あの 時はうれしかったわ  でも あなたが冷淡で…」
レッ ト・・・「階段から落 ちたのは おれの責任だ
いつ おれを 呼んでくれるかと…」
ス カーレット・・・「いて ほしかったわ でも嫌 がると思って…」
ス カーレットの方を向き、
レッ ト・・・「哀れだな  すれ違いか もう手遅れ だが
ボニーがいたら やり直せたかもしれん
あの子はお前に似てた
戦争前の少女時代のお前だと おれは思ってた
お前だと思って 甘やかすのが楽しみだった
しかし すべては終わった」と 言い、バッグを閉めドアの方へ向かうレット。
レッ トの腕を掴み追いすがるスカーレット。
ス カーレット・・・「そん なこと言わないで 私 がいけなかった 謝るわ」
レッ ト・・・「まるで子供 だな
謝れば それで済むとでも 思っているのか」
ハ ンカチを取り出し、
「これを使え
お前がハンカチを使うとは 思わなかった」
ハ ンカチを渡し部屋を出るレット。
ハ ンカチを握り締め茫然と見詰めていたスカーレットが我に返りレッドを追う。
ス カーレット・・・「レッ ト! どこへ行く の?」
レッ トの腕を掴むスカーレット。
立 ち止まり、
レッ ト・・・「故郷の チャールストンだ」と 言うレット。
ス カーレット・・・「連れ ていって!」
首 を振り、
レッ ト・・・「ここの暮ら しとは縁を切る」
泣 いているスカーレットに、
「ゆとりと安らぎのある 静かな人生を送りたい」
笑 いながら、
「お前に分かるか?」と 言うレット。
ス カーレット・・・「いい え
分かるのは 愛してる ことだけ」
レッ ト・・・「哀れだな」
階 段を降りて行くレット。
泣 いているスカーレット。
ス カーレット・・・「レッ ト!」
後 を追い階段を降るスカーレット。
「レット!
レット!
レット!」
ド アを開け外へ出ようとするレットに、
ス カーレット・・・「レッ ト!
残された私は どこへ行けばいいの?」と 言うスカーレット。
レッ ト・・・「おれには関 係ない」
霧の中に去っていくレット。
泣きながらレットを見送っているスカーレット。
ス カーレット・・・「別れ るなんてイヤ! どう したら戻ってくれるの
考えつかないわ 頭が変になりそう
明日 考えるわ」

Top

〜エピローグ〜

ドアを閉 め泣きながら歩くスカーレット。
ス カーレット・・・「でも早く考えないと…
どうしたらいいの?」
階 段に泣き崩れ、

「どうしたら戻ってくるの?」
う つ伏せ泣くスカーレット(ヴィ ヴィアン・リー)に父ジェラルド(トーマス・ミッ チェル)、アシュ レー(レスリー・ハワード)、レット(ク ラーク・ゲーブル)の声が蘇って来る。
ジェ ラルド・・・“本気かね? タラの土地が無意味だと?
この世で頼りになる 唯一 のものが土地だ
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある
タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“この世で頼りになる 唯一のものが土地だ”
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある
タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“この世で頼りになる 唯一のものが土地だ”
ア シュレー・・・“僕より愛しているものが 君 にはある
タラだ”
レッ ト・・・“タラの この赤い土が お前の支え なんだ”
ジェ ラルド・・・“タラだ”
ア シュレー・・・“タラだ”
レッ ト・・・“タラだ”
顔 を起こし、
ス カーレット・・・「タラ!
故郷よ…
彼を連れ戻す方法は 故郷に帰って考えるわ」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

「明日に望みを託して」


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

ぐしゃぐしゃになった顔に一筋の希望を見出したスカーレットの瞳は輝く。


『風と 共に去りぬ』ヴィヴィアン・リー

そして、タラに戻ったスカーレットは微かに葉が付いているあの大木の前でしっかり と立っている。

Top

 マーガレット・ミッチェ ル女 史の原作は1936年度に小説部門でピューリッツア賞を受けた傑作で面白い。それを映画化したこの作品 は世界の映画史上、永久に記憶される超大作だ。スタッフといいキャストといい、これほど、鮮明な印 象を 与えた作品はない。スカーレットはヴィ ヴィアン・リーであり、 レットはク ラーク・ゲイブルであるというほかないからであろう。
 特に、ヴィ ヴィアン・リーは脳裏か ら離れない。それは、いうまでもないが、ヴィ ヴィアン・リーが生身に 演じ ているからだ。
 スカーレットは、このうえもなく 誇り高い気品と美しさを持っている。そして、重 荷を背おあされ踏みにじられても損なわれない、強い意志も持っている。それに、女心の弱さも見せて艶か しい。
 それは、ヴィ ヴィアン・リーにそのま ま当 て嵌るように思う。

 数々の伝記や映像が私に語り かけ てくるのは、ヴィ ヴィアン・リーはス カー レットであり、マイラであり、レディハミルトンであり、ブランチであるということだ。

Top

1997

ア メリカ映画ベスト100で4位

Top

1999

キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画[映画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]で5位
 

[映 画人が選ぶ日本・外国映画オールタイム・ベストテン]キ ネマ旬報創刊80周年記念特別企画
/
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位

@七人の侍(黒澤明) A浮 雲(成 瀬巳喜男) B飢餓海峡(内田吐夢)
B東 京物語(小 津安二郎)
C
-
D幕末太陽傳(川島雄三)
D羅生門(黒澤明)
E
-
F赤い殺意(今村昌平) G仁義なき戦い(シリーズ) (深作欣二)
G二 十四の瞳(木 下恵介)
H
-
I雨月物語(溝口健二)

@第 三の男(キャロル・リード) A2001年宇宙の旅(スタ ンリー・キューブリック) Bロー マの休日(ウィ リアム・ワイラー)
Cアラビアのロレンス(デ ヴィッド・リーン)
D風 と共に去りぬ(ヴィク ター・フレミング) B市民ケーン(オーソン・ ウェルズ) F駅 馬車(ジョ ン・フォード)
F禁じられた遊び(ルネ・ク レマン)
Fゴッドファーザー(フラン シス・フォード・コッポラ)
F(フェ デリコ・フェリーニ)
G
-
B
-
I
-
※1999
[映画人が選ぶオールタイム・ベスト テン](日本編)(外国編)キネマ旬報創刊80周年記念特別企画 は、従来の映画評論家を中心にしたアンケートとは異なり、監督、プロデューサー、脚本家、撮影監督など、実際に日本 映画の製作に携わる映画人(140人、144人)に、それぞれのベ スト作品10本を順不同で選んでもらう選考方法。(1999年10月下旬号、10 月上旬号においてアンケート結果を発表)

Top

2007

ア メリカ映画ベスト100 10周年版で6位

Top

『風 と共に去りぬ』 前 編

参考文献
『風 と共に去りぬ』
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』公開前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』コスチューム
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』出版前後
シ ネマトーク『風と共に去りぬ』ミュージック
ヴィ ヴィアン・リー
ヴィ ヴィアン・リーバイオグラフィー
ク ラーク・ゲーブル
洋 画
サ イトマップ

映画あり き
映 画ありき2
〜クラシック映画 に魅 せられて〜

inserted by FC2 system