キャサリン・ヘプバーン
   (1907.5.12-2003.6.29) (アメリカ、コネチカット州ハートフォード生まれ)(キャサリン・ヘップバーンの表記も)-Katharine Hepburn-
プロフィール 独自の作品解釈 写真館
年譜

〜プロフィール〜

 ブロードウェイの舞台で脚光を浴び、ハリウッドから声がかかって映画デビューし3作 目でオスカー受賞。
  その後もオスカーを受賞し最多の4回(男女を通じ最多)、 ノミネートも12回(この回数はオスカーを3回受賞したメリル・ストリープが19回と記録を 伸ばし続けている[2015 現在])という 凄い記録の持ち主。
  役者たちに目標とされ続けている演技派女優で、アメリカで最も偉大な女優といわれているキャサリン・ヘプ バーン。
 “ア カデミー賞=キャサリン”というイメージなのだが彼女は自身の授賞式に1度も出席 していない。(プレゼンターとしては1度出席)
  インタビューや私生活の公表も拒否し続けていたという。(1987年に著書「『アフリカの女 王』とわたし」を出すまで)
  その徹底ぶりでも分かるようにキャサリンは強い意志を持っていた。

 骨っぽく中性的な魅力のキャサリンの台詞は、まるで機関銃から放されているよ うなテンポで入り込んでくる。
 そ こに柔軟性のあるユーモラスな演技のチャーミングさと、妙な色気が加わり引き込んでいくのだ。
 観 客は何時の間にか1本筋の通った矢でハートを射止められているといった具合だ。

 キャサリンの卓越した演技力がワンシーンで観られるのが『旅 情』(1955)のラストだ。
  ホームにかけつけたロッサノ・ブラッツィが駅頭で差し出した一輪のくちなしの花を見て、キャサリンが涙を浮 かべて頷くシーンだ。
  アメリカからヴェニスへ観光旅行にやってきたハイミスが、恋するヴェニスで恋を土産にできた喜びを溢れさせ ていた。
  これぞオスカー女優の名演である。

 その聡明で爽やかなキャサリンが心奪われたのはス ペンサー・トレイシーだ。
 『我 は海の子』(1937)(ポルトガル人漁師)(ア カデミー賞主演男優賞)を見て以来、彼の魅力に心奪われたキャサリ ンは彼と9作共演するなど、公私共に良きパートナーとなった。
  1993年の自伝で27年間ス ペンサー・トレイシーと共に過ごした歳月を、
「私は、“愛している”という言葉のほんとうの意味がわかったような気がし たのだ。自分自身の興味や自分自身のたのしみよりも、その人のこと、その人の興味、その人のたのし みを優先させるーだれかを愛するとはそういうことだ。だって、私はあなたを愛しているのだから」
「私はスペンサー・トレイシーを愛した。彼のこと、彼の興味、彼の要求をな によりも優先させた。これは、楽なことではなかった。私はどうしようもなく“私、私、私”という人 間だったからだ。
私はスペ ンサー・トレイシーに夢中になり、この人のためならなんでもできると思った。とてもふしぎな感じ だった。そのときの気分は…どう表現したらよいのだろう。 ふたりのあいだのドアがいつもあけっぱなしになっている感じだった。予約などといったものが、いっ さい必要ないという感じだった」
「あなた、スペンサーと30年近くもいっしょに暮らしたんでしょ。あの人の どこがよくてそんなに長くつづいたの?ー私はよくこんな質問を受ける。どういうわけ か、私はこの質問に答えられない。率直にいって、よくわからないのだ。あの人から離れるなんて考えられなかった、としかいいようがない。彼はそこにいて、 私は彼のものだっだ。私が望んだのは、彼がしあわ せで、無事で、上機嫌でいてくれることだ。私は、 彼に仕えるのが好きだっだ。彼の言葉に耳をかたむけ、食事を出し、おしゃべりをし、彼のために仕事 をするのが好きだったのだ。私は彼のじゃまをしないようにした。彼をいらつかせたり、ペースをみだ したり、心配をかけたり、うるさがらせたりしないようにつとめた」
「スペンスの人生が晩年に近づくと(つまり最後の 6、7年間のことだが)、 私はほとんどの仕事から身をひき、ひたすら彼のそばにいることにした。そばにいれば心配もかけないだろうし、彼がさみしがることもないだろうと思ったから だ。そうすることが私にはうれしかった。私は絵を描き、文をつづった。おだやかな気持ちで私は願っ た。どうかスペンスが永遠に生きていてくれますように、と。
それはいったいなんだったんのだろう。私はスペンスをまるごと感じていた。全面的にといっても、全人的にといいかえ てもよい。ほんとうに彼のことが好きだった。深い深いところで彼が好きだったのだと語り、“至福の時間だった”と結んだキャサリンに興味を持った。(1993.9.15キャサリン・ヘプバーン著「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」 芝山幹郎訳 文藝春秋より)(スペンス:ス ペンサー・トレイシーの愛称)
 スペンサー・トレイシーの 遺作となった『招 かれざる客』(1967)で見せ た“あ、うん”の呼吸は、「これだ!」と納得した。

 また、ヘ ンリー・フォンダにどうしてもオスカーを取らせたいと願うジェー ン・フォンダにラヴ・コールされて出演した『黄 昏』(1981)での愛妻ぶりも 見事というほかない。
 ヘンリー・フォンダとは初共 演だったと後で知り驚いた。
 ジェーン・フォンダが確執が あった父に「友達になりたい」と言う重要なシーンが撮られる日にどうしても涙が出てこなかった時、キャ サリン・ヘプバーンが取った行動を語ったのを載せる。
「初めて脚本を読んだ時から 最後のリハーサルまで毎回 こ の場面になるたびに 涙があふれ出た
実生活では絶対 父に 言 えないセリフだったから
本番の朝なんて 声にならなかった」
「そこで まず父を撮ったの
私は父に心から感じて 演じてほしかった  最後の映画になると 分かってたの
父はアドリブが大嫌いで  何もかも リハーサルどおりでないと許せない人だった
でも 最後のクローズアップ  “友達に…”の所で 私は本番で初めて  父に触れたの  父は動揺した  私には はっきり分かったわ  感情がこみ上げ 思わず横を向いたの
 ジェー ンは流れ出た涙を拭い話を続けた。
「私には かけがえのない  経験だった」
「そして 私の番に  私の役にとっても重要だし 個人的にも意味深い場面よ」
  身を乗り出し声を潜め両手を広げて会場の生徒たちに話す。
なのに 肝心の本番で  涙が出なくなってしまった  1滴も出ないの
“リー・ストラスバーグは どこ?”  “五感の記憶は?”  ふだんなら 歌うと泣ける」
  両手で力を込め「曲も全く効果 がない」
 声を落とし「慌 てたわ」
 横を向き鼻を啜る。
  本題に入る表情になる。
「そして いよいよという時  なんとキャサリンが現れた」
  流れ落ちる涙を指で拭きながら、呆れた表情をして「出 番もないのによ」 と 手を前に差し出し話す。
  生徒たちから笑い声が起きる。
  流れ落ちる涙を指で拭くジェーン。
  キャサリンの口真似をして「彼 女は“順調?”と」と言 う。
  笑いが起きる。
  横を向き、続きを話し出すための呼吸を整える。
「私は “涙が出ないの  でも父には言わないで”と」と涙声 になって話す。
「やがて準備が整い 私は皆がおぼれてくれたらと思ったわ」
  流れ落ちる涙を指で拭くジェーン。
「本番が迫り すごく怖かった」
  その時の感情が蘇り、涙が溢れてくる。
  それを拭いながら「私は監督に  “カメラが回る前にー” “後ろを向いて 準備したい”と」 と 手真似をしながら言う。
「何の考えもなく 後ろを向いた  背後にボート 正面は茂み  顔を上げると キャサリンが茂みの中に」
  笑いが起きる。
  その生徒たちの方に体を向け「こ んな感じ」と、両 手を前に出し拳を強く握り締める。
  笑いが起きる。
 拳 を強く握り締め続ける。
  それを見て、また笑いが起きる。
 更 に、強く握り締め上下に動かし「彼 女は母親として」握 り締めている指を一つ開いて示し
「“あなたならできる  頑張って ジェーン”と」と、 拳を強く握り締め上下に動かし感情を込める。
 拳 を握り締めたまま「ま た 先輩として   私の心境を理解し   見守ってくれていた
そして 同じ女として  拳を震わせ 私が演じられるよう念じてくれていたの」と 涙を一杯浮かべて何度も上下に強く握り締めて話していた。
  キャサリンへの感謝を込めたトークであった。
  私はキャサリンに対して演技が上手いというだけで特に興味を持っているわけではなかったが、このエピソード にキャサリンの人となりが見えてきて胸を打たれた。

 また、ジェー ン・フォンダはこのようなことも話した。
  この作品でキャサリン・ヘプバーンが4度目のアカデミー賞を受賞したことを祝おうと電話したところ、キャサ リンから開口一番に返ってきたのが“こ れで追いつけないわよ”だった という。(2005年 ジョン・L・ティシュマン劇場で録 画されたアクターズ・スタジオ・インタビューでジェーン・フォンダが自らを語ったものから 参考)
  それまで2回受賞していたジェー ン・フォンダもノミネートされていたからだ。
  最多受賞(4回)したキャサリン・ヘプバーンがジェー ン・フォンダをライバル視していたということだ。
  このトークからもキャサリンの人となりが見えてきて笑いが止まらなかった。

 最後にキャサリンがス ペンサー・トレイシーの魅力を語ったのを載せる。
「だって彼はケンカっぱやくて荒々しくて人一倍誇り高い男なん ですもの!」と、そ して、「樫の木のような人、夏の 嵐のような人。そして、男が男だった時代の人でした」と偲んだ。
  そのキャサリンには「あなたは女優が女優だっ た時代の人で、後世まで残る大女優でした」と偲ぶファンが沢山いて「素 敵な女性でした」と拍手を送るだ ろう。

[追記]

6/29はキャサリン・ヘプバーン没後20年です。
オスカー最多4回受賞という凄い記録の持ち主で、役者たちに目標とされ続けている演技派女優です。
骨っぽく中性的な魅力のキャサリンの台詞は、まるで機関銃から放されているようなテンポで入り込んでき て、1本筋の通った矢でハートを射止められます。
特に好きな『招 かれざる客』
(1967)『黄昏』(1981)『旅情』(1955)を観て味わいたいと思います。
2023.6.13 yurikoariki

キャサリーン・ヘプバーンの愛称” ケイト”。

ア カデミー主演女優賞『勝利の朝』(1933)『乙 女よ嘆くな』(1935)『フィ ラデルフィア物語』(1940)『女 性No.1』(1942)『ア フリカの女王』(1951)『旅 情』(1955)『雨を降らす 男』(1956)『去年の夏突然に』(1959)『夜への長い旅路』(1962)『招 かれざる客』(1967)『冬 のライオン』(1968)『黄 昏』(1981)で12回ノミネート され、『勝利の朝』(1933)『招かれ ざる客』(1967)『冬 のライオン』(1968)『黄昏』(1981)ア カデ ミー主演女優賞を受賞
カ ンヌ国際映画祭主演女優賞『夜への長い旅路』(1962)
ヴェ ネツィア国際映画祭主演女 優賞『若草物語』(1933)
英国アカデミー賞主演女 優賞『招 かれざる客』(1967)『冬 のライオン』(1968)『黄昏』(1981)
※エミー賞を『廃墟 の愛』(1975)『小 麦は緑』(1979)受賞し、『ミ セス・デラフィールドの結婚』(1986)はノ ミネート
※トニー賞に『ココ』(1969)ノミネート

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〜独自の作品 解釈〜

1940

『フィ ラデルフィア物語』-The Philadelphia Story-
『フィ ラデルフィア物語』と『上流社会』〜 シネマトーク
1951
『ア フリカの女王』-The African Queen-(英)
1955
『旅 情』-Summertime-(英)
ストー リーの結末を載せていますので、映画をご覧になっていない方は、ご了承下さい。
1967
『招 かれざる客』-Guess Who's Coming to Dinner-
1981
『黄 昏』-On Golden Pond-

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〜年譜〜
[1907][1928 女帝(V) ゆりかご泥棒(V) おおきな池 (V) 項日(V) 素 晴らしき休日(V) 死神の休日(V)][1930 田舎の1ヶ月(V) ロマンティック・ヤング レディ(V) あっぱれクライトン(V) 
芸術とボトル夫人(V)
]
[1931 新婚ほやほや(V) 猫とカナリヤ(V)  帰ってきた男(V) 動物の王国(V)][1932 戦士の夫(V) 陽のあたる花嫁(V) 愛の鳴咽][1933 人生の高度計 勝利の朝  若 草物語 湖(V)]
[1934
 野いばら 小牧師][1935 心の痛手 乙女よ嘆くな][1936 男装 スコットランドのメア リー女王 女性の反逆]
[1937 偽装の女 ジェーン・エア(V) ステージ・ ドア][1938 赤ちゃん教育 素晴らしき休日]
[1939
 フィラデルフィア物語(V)][1940 フィラデルフィア物語]
[1942 女性No.1 愛はなく(V) 火の女 愛は なく(V)][1943 ステージドア・キャンティーン][1944 龍子][1945 愛はなく][1946 底流]
[1947
 大草原 愛の調べ]
[1948 愛の立候補宣言][1949 アダム氏とマダム][1950 お気に召すまま(V)][1951 アフリカの女王][1952 パットとマイク 女百万長者(V)][1955 旅情  じゃじゃ馬ならし(V) 
尺には尺を(V) ヴェニ スの商人(V)
][1956 雨を降らす男 ロマンス・ライン][1957 デスク・セット ヴェニスの商人(V) 空騒 ぎ(V)]
[1959 去年の夏突然に][1960 十二夜(V) アントニーとクレオパトラ (V)]
[1962
 夜への長い旅路][1967 招かれざる客][1968 冬のライオン]
[1969 シャイヨの伯爵夫人 ココ(V)][1971 トロイアの女][1973 微妙なバランス ガラスの動物園(TV)][1975 廃墟の愛(TV) オレゴン魂]
[1976
 重大な問題(V)][1978 ゆかいな風船旅行][1979 小麦は緑(TV)][1981 黄昏 ウェストサイド・ワルツ(V)][1982][1984 グレース・クイッグリーの究極の解決]
[1986 ミセス・デラフィールドの結婚(TV)]
[1987][1988
 ローラ・ランシング、ここに眠る(TV)][1992 二階の男(TV)][1993][1994 めぐり逢い][1999][2003][2004][2010]
[写真]

1907

5月12日、アメリカ、コネチカット州ハートフォード生まれ。(6人兄 弟の2番目で長女)
父 トーマス・ノーヴァル・ヘプバーンは著名な医師、母キャサリン・マーサ・ホートンは婦人参政権論者。
幼い頃から演劇に興味を持つ。


キャサリン・ヘプバーン と2才年上の兄

キャサリンの2才年上の兄トムが16才のときに突然亡くなる。
2010 年11月30日、「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバーン〜」の放送(NHKhi/PM10:00-PM11:30)で、その死がキャサリンの人生に大きな影響を与えたことを伝えていた。
キャ サリンが友人へ宛てた手紙。
“愛する者の死は 苦痛そのものです
私もこのような試練を 自分が若いときに 学ばねばいけませんでした
私の兄トムが 死んだときのことです
私が起こしに行ったら 兄は首をつっていたのです”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
兄トムは優秀で優しく、誰にでも愛される人柄だったという。
キャ サリンの弟である父親から当時のことを聞いていた甥マンディ・ヘプバーンがキャサリンとトムのことを話す。
本当に 本当に 仲がよかった
首をつったトムを見て 彼女はとても恐怖を感じ
それは 一生の深いトラウマになりました
その出来事の少し前に トムはマジックショーで 首つりのトリックを見ていたので
家族は「彼はトリックのまねをしていて 失敗してしまったのだ」と言っていました
彼女は 非常に苦しんでいました
自分の兄が首をつって死んでるのを 発見するなんてこと 想像できますか
寝室に入ってみると 愛する人が 首をつって死んでいたのです
それは 一生残る傷になるということです
決して消えない傷跡として 自分の一部となり ずっと残るのです
「もし自分がとめていたら」「そんなことは やめてと言っていたら」と思ってしま うのです”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
キャサリンが大切な人を亡くした友人へ宛てた手紙に、その当時のこと記していた。
“私は母がハドソン川を渡る船の上で 泣いていたのを覚えています
しかし その後 彼女が泣いている姿を二度と見ませんでした
つねに思いやり深く 明るく振舞って 私を喜ばせようと できる限りのことを してくれたのです
私も喜んでいる振りをしていました
私は気づいたのです
悲しみは 自分ひとりのものとすべきで
誰にも見せてはいけないということを
できることなら 自分のみじめさではなく
喜びと希望というメッセージを 人に伝えたい
それが 亡くなったその人への愛の証しになると思うから(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
兄の死がキャサリンの人生にどんな影響を与えたかの問いに甥マンディ・ヘプバーン。
“私にもわかりません
でも とても大きな影響だったと思います
その手紙に書いてあるようなことを 彼女に決意させたのではないでしょうか
「人生はタフだ 自分の力すべてを使って 前に進んだほうがいい
そうしなければ 自殺してしまうかもしれない」”
女優となったキャサリンは兄トムの誕生日を自分の誕生日として公表していたという。
そ のことはなぜだったのかと問われた甥マンディ・ヘプバーン。
“兄への敬意でしょう
トムの死によって キャサリンは さらに強く生きる決意をしたのです
彼のために 自分のために 生きるのだと”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
ブリン・モーア大学で心理学を学びながら演劇を続ける。

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1928

<女帝>-The Czarina-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<ゆりかご泥棒>-The Cradle Snatchers-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<おおきな池>-The Big Pond-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン
-グレイトネックでの初演(ブロードウェイ公演に先立つテスト公演)でバーバラ役をおろされる。

<項日>-These Days-(V)(11月12日コート・シアターで初演)
-出演:キャサリン・ヘプバーン
-ブロードウェイ・デビュー作。

<素晴らしき休日>-Holiday-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン
-主演女優の代役を1度のみ。

<死神の休日>-Death Takesa Holiday-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン
-フィラデルフィアでの公演を最後に(ブロードウェイ公演の1ヶ月前)役をおろされる。

学生演劇や大学で心理学博士の学位を得て卒業後地方劇団(ボルティモア に本拠をおくエドウィン・H・クノッフ・ストックカンパニーのサマーストック(夏期の短い公演)で初舞 台)に出演しながら、ダンスや発声(ニュー ヨークへ出てフランシス・ロビンソンの訓練を受ける)などの基本的な訓練を続 ける。
12月12日、ラドロウ・オグデン・スミス(愛称ラディ)と結婚する。

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1930

<田舎の1ヶ月>-A Month in the Country-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<ロマンティック・ヤン グレディ>-Romantic Young Lady-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<あっぱれクライトン>-The Admirable Crichton-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<芸術とボトル夫人>-Art and Mrs.Bottle-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

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1931

<新婚ほやほや>-Just Married-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<猫とカナリヤ>-The Cat and Canary-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<帰ってきた男>-The Man Who Came Back-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<動物の王国>-The Animal Kingdom-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン
-ピッツバーグでの公演のあとに役をおろされる。

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1932

<戦士の夫>-The Warrior's Husband-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン(女戦士/アンティオペー)
-ブロードウェイデビュー、話題となる。

<陽のあたる花嫁>-The Bride the Sun Shines On-(V)(サマーストック)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

ブロードウェイに進出して注目を浴びたところをRKO社にスカウトされ映画デビューす る。

『愛の鳴咽』-A Bill of Divorcement-(米、RKO)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作総指揮:デイヴィッド・ O・セルズニック
-原作:クレメンス・ディーン
-脚色:ハワード・エスタブルッ ク/ハリー・ワグスタフ・グリブル
-撮影:シド・ヒコックス
-美術:キャロル・クラーク
-編集:アーサー・ロバーツ
-出演:ジョン・バリモア/ビ リー・バーク/キャサリン・ヘプバーン/デイヴィッド・マナース/ポール・カヴァナー
-映画デビュー。

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1933

『人生の高度計』-Christopher Strong-(米、RKO)
-監督:ドロシー・アーズ ナー 
-原作:ギルバート・フランコー
-脚色:ゾー・エイキンス
-撮影:バート・グレノン
-出演:キャサリン・ヘプバーン /コリン・クライヴ/ヘレン・チャンドラー/ビリー・バーク/ラルフ・フォーブス

『勝利の朝』-Morning Glory-(米、RKO)
-監督:ローウェル・シャーマン
-原作:ゾー・エイキンス
-脚色:ハワード・J・グリーン
-撮影:バート・グレノン
-出演:キャサリン・ヘプバーン(ア カデミー主演女優賞)/ダグラス・フェアバンクス・ジュニア/アドルフ・マンジュウ/メアリー・ダ ンカン/C・オーブリー・スミス
-主演スーザン・ストラスバーグ、ヘンリー・フォンダ『女優志願』(1958)としてリメイクされる。


『勝 利の朝』ア ドルフ・マンジュウ、キャサリン・ヘップバーン


『勝利の朝』キャサリン・ヘップバーン

『若草物語』-Little Women-(米、RKO)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-原作:ルイザ・メイ・オルコッ ト
-脚色:サラ・Y・メイソン/ ヴィクター・ヒアマン
-撮影:ヘンリー・ジェラード
-作曲:マックス・スタイナー
-セット:ホーブ・アーウィン
-衣装(デザイン):ウォル ター・プランケット
-出演:キャサリン・ヘプバーン(ヴェ ネツィア国際映画祭主演 女優賞)/ジョーン・ベネット/ポール・ルーカス/エドナ・メイ・オリヴァー/ジー ン・パーカー


『若草物語』キャサリン・ヘップバーン

<湖>-The Lake-(V)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

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1934

『野いばら』-Spitfire-(米、RKO)(撮影 1933年)(「奇跡の処女」の表記も)
-監督:ジョン・クロムウェル
-製作:メリアン・C・クーパー
-原作:ルーラ・ヴォルマー
-脚本:ジェーン・マーフィン/ ルーラ・ヴォルマー
-撮影:エドワード・クロンジェ イガー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ロバート・ヤング/ラルフ・ベラミー/マーサ・スリーパー/サラ・ヘイドン

『小牧師』-The Little Minister-(米、RKO)
-監督:リチャード・ウォーレス
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:ジェームズ・M・バリー
-脚本:ジェーン・マーフィン/ サラ・Y・メイソン/ヴィクター・ヒアマン
-撮影:ヘンリー・ジェラード
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ジョン・ビール/アラン・ヘイル/ドナルド・クリスプ/ラムスデン・ヘーア

5月、ラドロウ・オグデン・スミスと離婚する。

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1935

『心の痛手』-Break of Hearts-(米、RKO)
-監督:フィリップ・モイラー
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:レスター・コーエン
-脚本:サラ・Y・メイソン/ ヴィクター・ヒアマン/アンソニー・ヴェイラー
-撮影:ロバート・デグラス
-音楽:マックス・スタイナー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /シャルル・ボワイエ/ジョン・ビール/ジーン・ハーショルト/サム・ハーディ

『乙女よ嘆くな』(「アリス・アダムス」の表記も)- Alice Adams-(米、RKO)(アカデミー作品賞ノミネート)
-監督:ジョージ・スティーヴン ス
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:ブース・ターキントン
-脚色:ジェーン・マーフィン/ ドロシー・ヨースト/モーティマー・オフナー
-撮影:ロバート・デ・グラス
-衣装(デザイン):ウォルター・プランケット
-出演:キャサリン・ヘプバーン(アカデミー主演女優賞ノミネート)/フレッド・マクマレイ/フレッド・ストーン/イヴリン・ヴェネブル/フラン ク・アルバートソン

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1936

『男装』-Sylvia Scarlett-(米、RKO)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:コンプトン・マッケン ジー
-脚色:グラディス・アンガー/ ジョン・コリア/モーティマー・オフナー
-撮影:ジョセフ・H・オーガス ト
-出演:キャサリン・ヘプバーン /エドモンド・グウェン/ケー リー・グラント/ブライアン・エイハーン/ナタリー・ペイリー

スコットランドのメアリー女王-Mary of Scotland-(123分)(米、RKO)(白 黒)
-監督:ジョ ン・フォード
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作(戯曲):マクス ウェル・アンダースン
-脚:ダドリー・ニコルズ
-撮影:ジョセフ・H・オーガス ト
-音楽:マクス・ス タイナー/ナサニエル・シルクレッド
-美術:ヴァン・ネ スト・ポルグレイス/キャロル・クラーク
-編集:ジェイン・ ローリング
-出演:キャサリン・ヘプバーン(メアリー)/フロレンス・エルドリッジ(メアリーの従姉妹イング ランド女王/エリザベス)/ジョン・キャラダイ ン(リッツィ オ)/ダグラス・ウォルトン(ダーンリー卿)/フレドリック・マーチ(ボスウェル伯)/ロバート・バラット/アイアン・キース/A・モウブレイ /D・クリスプ

『女性の反逆』-A Woman Rebels-(米、RKO)
-監督:マーク・サンドリッチ
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:ネッタ・サイレット
-脚色:アンソニー・ヴェイラー /エルネスト・ヴァイダ
-撮影:ロバート・デグラス
-音楽:ナサニエル・シルクレッ ト
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ハーバート・マーシャル/エリザベス・アラン/ドナルド・クリスプ/ドリス・ダッドリー

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1937

『偽装の女』-Quality Street-(米、RKO)
-監督:ジョージ・スティーヴン ス
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:ジェームズ・M・バリー
-脚色:アラン・スコット/モー ティマー・オフナー
-撮影:ロバート・デ・グラス
-作曲:ロイ・ウェッブ(アカデミー作曲賞ノミネート)
-出演:キャサリン・ヘプバーン /フランチョット・トーン/エリック・ブローア/フェイ・ベインター/コラ・ウイザースプーン
-主演マリオン・デイヴィス、サイレント映画『クォリティ街』(1927)のリメイク。

<ジェーン・エア>-Jane Eyre-(V)(1936年12月26日、ニューヘイヴンの劇場で初日-1937年4月3日、ボルティモ アで終演:14週間にわたる公演)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

『ジェーン・エア』の14週間にわたる公演のあいだ、キャサリンに「君は すばらしい 僕の心  魂 すべては 君とともに」と熱心に電報を送り続けた大富豪で実業家であり飛行機乗りであったハワー ド・ヒューズはキャサリンに密着していて、連日のように新聞にふたりのロマンスが報じられた。
キャ サリンはリーランド・ヘイワードと別れて間もない時期だったという。

『ステージ・ドア』-Stage Door-(米、RKO)(ア カデミー作品賞ノミネート)
-監督:グレゴリー・ラ・カヴァ(アカデミー監督賞ノミネート)
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作戯曲:エドナ・ファーバー /ジョージ・S・カウフマン
-脚本:モリー・リスキンド/ア ンソニー・ヴェイラー(アカデミー脚本賞ノミネート)
-撮影:ロバート・デ・グラス
-音楽監督:ロイ・ウェッブ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ジンジャー・ロジャース/アドルフ・マンジュウ/ゲイル・パトリック/コンスタンス・コリアー/アンドレア・ リーズ(ア カデ ミー作品賞ノミネート)


『ステージ・ドア』キャサリン・ヘップバーンら

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1938

このころからキャサリンに「ボックスオフィス・ポイズン」(興行の足をひっぱる女優)のレッテルがつ きまといはじめたという。
(いいだしたのは映画館館主ハ リー・ブラントで、グレタ・ガルボ、マレーネ・ディートリッヒ、メイ・ウェスト、ジョーン・クロフォード、ケ イ・フランシス、エドワード・アーノルド、フレッド・アステアもブラントにレッテルを貼られていた)
キャサリンが親しい友人へ送った手紙。
“ひとつ言えることは 私は今
女優人生において いまだかつてない
危機に直面しているということよ”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

『赤ちゃん教育』-Bringing Up Baby-(米、RKO)(スクリューボール・コメディ)
-監督:ハワード・ホークス
-製作:クリフ・リード
-原作:ヘイガー・ワイルド
-脚色:ダドリー・ニコルズ/ヘ イガー・ワイルド
-撮影:ラッセル・メッティ
-編集:ジョージ・ハイヴリー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ケー リー・グラント/チャールズ・ラグルズ/ウォルター・カトレット/バリー・フィッツジェラルド
-ハワード・ホークスはキャサリンを「彼女はボクサーの肉体をもっ ている。バランスが完璧で、動きがとてもきれいだ。タイミングに対してすばらしい嗅覚を働かせるこ とができるのはそのためだろう」と激賞。

出会いから2年した頃、南米にキャサリンとバカンスに出かけたハワードはキャサリンと の結婚を真剣に考えていたという。
キャ サリンは友人に、この時の決意を手紙で打ち明けていた。
“人との付き合いにおいては
YESかNOかを ハッキリさせることが 大切ではないでしょうか
私の気持ちは多分 NO
でも多分というのは 卑怯よね
明快さこそが大事でしょ
私はこれまでも 明快な人間でした
そして 今 もう一度 その自分に戻ろうと思っています”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

『素晴らしき休日』-Holiday-(米、コロンビア)(キ ネマ旬報ベストテン第6位)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:エヴェレット・リスキン
-原作:フィリップ・バリー
-脚色:ドナルド・オグデン・ス チュワート/シドニー・バックマン
-撮影:フランツ・プラナー
-美術:ステファン・グーソン/ ライオネル・バンクス(アカデミー美術賞)
-編集:オットー・メイヤー/ア ル・クラーク
-音楽監督:モリス・W・ストロ フ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ケー リー・グラント/ドリス・ノーラン/ルー・エイヤース/エドワード・エヴァレット・ホートン
-ポーリン・ケイルはキャサリンを「他人に合わせず、ウィットに 富んだヘプバーンの演技にふれると、そこいら辺のヒロイン女優は腑抜けに見えてしまう。また、彼女 の鋭角的な容姿を前にすると、丸顔のお嬢ちゃん女優は馬鹿な子豚のように見えてしまう」とニューヨーカー誌に批評を書いていたという。

『素晴らしき休日』の撮影を終えたキャサリンにはブロードウェイからの 出演依頼が2本ほどつづいたが、彼女は『風と共に去りぬ』のスカーレット役を狙っていた。(殆 どの女優がそうであったが)
ゴ シップの範囲を出ない話だそうだが、「スカーレットは私よ」とキャサリンが宣言したのを訊いた『風と共に去りぬ』のプ ロデューサー、セルズニックは「さ あ、どうかな。クラーク・ゲイブルが彼女を10年間も追いまわすと思うかね」とつぶやいたといわれている。(1993.9.15キャサリン・ヘプバー ン著「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」芝山幹郎訳 文藝春秋 参考)
キャサリンの出した結論は結婚はしない。
ハ ワードとはビジネスパートナーになることだった。
そ の時の気持ちを自伝で語っている。
“私はハワードと結婚したいとは 思わなかった
どうしたら 仕事の失敗を挽回できるのか
そのことで 頭が一杯だった
私生活を優先させるなんて 考えられなかった
野心は愛よりも強い そういうことだ”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

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1939

女優人生をかけた勝負に出たキャサリンは、映画会社との契約をすべて打ち切り、ハワー ドの出資を得て舞台の自主興行を行ったという。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

<フィラデルフィア物 語>-The Philadelphia Story-(V)(5月28日、シューパート・シアターで開幕:ニューヨークだけで415回公演-旅公 演:254回)
-演出:ロバート・シンクレア
-製作:シアター・ギルドINC
-作:フィリップ・バリー
-出演:キャサリン・ヘプバーン(トレイシー・ロード)/ジョゼフ・コットン/ヴァン・ヘフリン/シャーリー・ブース/レノア・ロナ ガン

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1940

『フィ ラデルフィア物語』-The Philadelphia Story-(米、MGM)(11月封切)(アカデミー作品賞ノミネート)
-監督:ジョー ジ・キューカー(アカデミー監督賞ノミネート)
-製作:ジョセフ・L・マンキ ウィッツ
-原作:フィリップ・バリー
-脚本:ドナルド・オグデン・ス チュワート(ア カデミー脚本賞)
-撮影:ジョセフ・ルッテンバー グ
-音楽:フランツ・ワックスマン
-出演:キャサリン・ヘプバーン(トレイシー・ロード)(ニューヨーク批評家協会主演女優賞)(アカデミー 主演女優賞ノミネート)/ケー リー・グラント/ジェー ムズ・スチュワート(ア カデミー主演男優賞)/ルース・ハッセイ(アカデミー助演女優賞ノミネート)/ジョン・ハワード/ローランド・ヤング
ア カデミー賞脚 本(脚色)主 演男優賞を受賞
-この作品は興業成績を上げようとスタッフ、キャストに力を注いでいただけ、個々 の魅力が遺憾無く発揮され見応えがあったと思う。
例 えば、図書館からス チュワートとキャサリン・ヘプバーンが出てくるのを、美容室で爪の手入れをして貰っているルー ス・ハッセイが不安げに見詰めているシーンだ。美容師は爪の手入れの仕方が悪かったのかと思い「痛かった?」と聞く。ハッセイは「平気、慣れてるの」と言いながらス チュワートに視線を送っている。心の痛 みを爪の痛みにダブらせた表現。何時も思いを寄せていながら、遠くから見守る母性愛みたいな愛を見事に 演じたシーンである
女 性を上手く演出する事にかけては右に出る者なしと言われていた監督、ジョー ジ・キューカーの手腕の一端に触れた思いだった。
スチュワートはキャサリンに思いを 寄せる雑誌記者の複雑な心情を見事に演じア カデミー主演男優賞を受賞した。


『フィラデルフィア物語』ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、ジェーム ズ・スチュワートら


『フィラデルフィア物語』キャサリン・ヘップバーン

『フィ ラデルフィア物語』と『上流社会』〜 シネマトーク

起死回生をかけた『フィ ラデルフィア物語』は大成功を収め、「ボックスオフィス・ポイズン」(興行の足をひっぱる女優)の汚名を返上し た。
プ ロデューサーとしての手腕を示し、ハリウッドでの名声を再び手にした。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

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1942

キャサリンがハリウッドに来て10年、すでにプロデューサの能力も兼ね備えた女優とし て一目置かれる存在となっていた。
脚 本や相手役も自分で選ぶ道を突き進んでいた。
そ んな彼女の目に留まったのがスペンサー・トレイシーだった。
“スペンサー・トレイシーは本物のスターだった
実力と人気を兼ね備えたスターだった
明快さと率直さが 彼の質の高さを支えていた
余計な間もなければ 不要な装飾もない
スペンサーの顔は キャンバスだった
そこに内面を描き出して行く
まるで魔法のように
この人と映画を撮りたい”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
ス ペンサーの魅力に心奪われたキャサリンは、ハリウッドの大物プロデュサーを通じて共演の企画を持ちかけた。
し かし、スペンサーは男勝りの容姿などによるイメージから気乗りしなかった。
キャ サリンは諦めずに大手映画会社の会長に直談判し資金を調達して、撮影準備を整えて再び出演を依頼した。
そ れが『女性No.1』であったという。

『女性No.1』-Woman of the Year-(米、MGM)
-監督:ジョージ・スティーヴン ズ
-製作:ジョセフ・L・マンキー ウィッツ
-脚本:リング・ラードナー・ ジュニア/マイケル・カニン(ア カデミー脚本賞)
-撮影:ジョセフ・ルッテンバー グ
-音楽:フランツ・ワックスマン
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン(アカデミー主演女優賞ノミネート)/フェイ・ベインター/レジナルド・オーウェン/マイナー・ワトソン
-社会の中に出て働く女性の実像を描くこの作品で、その後公私共に良きパートナーとなるスペンサー・トレイシーと 念願の初共演。

太平洋戦争に突入する頃に上演され、男性が戦地に赴く中で、女性の社会進出が進んだこ ともあって、多くの人々の共感を得たという。
キャ サリンが貫いてきたパンツスタイルも女性の活躍の場が広がる中でアメリカンモードの最先端となっていったそ うだ。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
スペンサーとキャサリンは共演を続けていく中で深い関係になっていったが、スペンサー は多くの苦しみを背負っていた。(すでに妻子があり、息子が耳の聞こえない障害を持っている こと、そのことと向き合えない自分の弱さ。そして、敬虔なカトリック教徒であるため離婚を許されないままキャサ リンとの関係を深めてしまったことなど)
自 分のことについて多くを語らなかったスペンサーは、人知れず心の闇を抱えその苦しみを紛らわすように酒に溺 れていたいう。
ス ペンサーの苦しみを目の当たりにしたキャサリンは、妻と子供たちに配慮して、徹底的に二人の関係をマスコミ から遮断することを決断した。
“私は本当にスペンサーのことが好きだった
深く深く 好きだった
彼に幸せになって欲しかった
スペンサーは幸せそうではなかった
私は彼の興味 彼の要求を何よりも優先させた
これは楽なことではなかったわ
私はとてつもなく自分勝手な人間だったから
そんな私がスペンサー・トレイシーのためなら 何でもできると思った
それは とっても 不思議な感じだった”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
当時、スペンサーは家を出てホテル住まいをしていたが、キャサリンが共に暮らすことは なかった。
そ して、週末にはスペンサーが家族と過ごせるように気を配ったという。
ス ペンサーは家族の前では、一切酒を飲まず、良き父、良き夫であったそうだ。
キャ サリンが母親に宛てた手紙。
“クリスマスにはスペンサーから コーヒーカップと暖炉の火かき棒を もらい ました
彼の新作映画の 撮影フィルムを見ました
すばらしい出来です
映画のセリフについて 辞書を引きながら 一晩中 ふたりで議論しました
スペンサーの意見は とてもおもしろいのよ”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
姪キャサリーン・ホートンが話すキャサリンとスペンサー。
”キャサリンがスペンサーの どこに ひかれていたかというと
彼は非常に 魅力的な男性でした
とてもセクシーで 本当に頭が良かった
キャサリンは とてもエネルギッシュでした
だからこそ 偉大なスターになれたのです
エネルギッシュなのは ヘプバーン家の特徴です
しかし 彼女は家族ですら とめられませんでした
彼女をとめられた 唯一の人が スペンサーです
彼は伯母を「キャシー」と呼んでいました
「座って キャシーとにかく座りなさい」
伯母は「わかったわ」
スペンサーにとって 伯母は魅力的で 特別で
すばらしくて 予測不能で 独創的で 聡明で
エネルギッシュで 彼を元気づけてくれる “女の子”だったのだと思います
伯母に対して 彼が激しく怒ることもあって ふたりのバランスが すばらし かった
両方にとって 必要不可欠な存在
“陰と陽”といった感じでした“(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
ス ペンサー・トレイシーは友人に「なぜキャサリン・ヘプバーンと結婚しないのか」と聞かれ、彼は「そんなことはとてもできなかった。ルイーズがジョンを育てるの に苦労しているのに、それを捨てることはできなかった。ケイト(キャサリーン・ヘプバーンの愛 称)もそのことはわかってくれた」と言い、その思いは変らなかった。(スペンサー・トレイシーはカトリックであったことと、ルイーズが障害のある 息子を育て上げたことに申し訳なさを感じ妻ルイーズと離婚しなかったそうだ)
キャ サリンは「あ なた、スペンサーと30年近くもいっしょに暮らしたんでしょ。あの人のどこがよくてそんなに長くつ づいたの?ー私はよくこんな質問を受ける。どういうわけ か、私はこの質問に答えられない。率直にいって、よくわからないのだ。あの人から離れるなんて考え られなかった、としかいいようがない。彼はそこにいて、 私は彼のものだっだ。私が望んだのは、彼がしあわせで、無事で、上機嫌でいてくれることだ。私は、 彼に仕えるのが好きだっだ。彼の言葉に耳をかたむけ、食 事を出し、おしゃべりをし、彼のために仕事をするのが好きだったのだ」と1993年に出した自伝に載せている。(1993.9.15キャサリン・ヘプバー ン著「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」芝山幹郎訳 文藝春秋 参考)
このコンビはス ペンサー・トレイシーの遺作『招 かれざる客』まで合計9作品もの秀作を生み出す。
初 めて二人が会ったときの身長の話題は伝説となっている。
キャ サリンは言った「私のほうが背が 高いみたいね」。す るとス ペンサーが荒っぽく答えた「心配することはない。私の身長に合うように君を切ってしまうか ら」と。


『女性No.1』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン

<愛はなく>-Without Love-(V)(3月、ニュージャージー公演)
-作:フィリップ・バリー
-出演:キャサリン・ヘプバーン

『火の女』-Keeper of the Flame-(米、MGM)(サスペンス)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:ヴィクター・サヴィル
-原作:I・A・R・ワイリー
-脚色:ドナルド・オグデン・ス チュワート
-撮影:ウィリアム・ダニエルズ
-音楽:ブロニスロー・ケイパー
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/リチャード・ウォーフ/マーガレット・ウィチャ リー/フォレスト・タッカー

<愛はなく>-Without Love-(V)(11月10日、セントジェイムズ・シアターで開幕:113回公演)
-演出:ロバート・B・シンクレ ア
-製作:シアター・ギルドINC
-作:フィリップ・バリー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /エリオット・ニュージェント/エレン・モーガン

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1943

『Stage Door Canteen』(ステージドア・キャンティーン)(米、ユナイテッド・アーティスツ)
-監督:フランク・ボーゼージ
-製作:フランク・ボーゼージ/ ソル・レッサー
-脚本:デルマー・デイヴィス
-撮影:ハリー・ワイルド
-出演:キャサリン・ヘプバーン /シェリル・ウオーカー/ウイリアム・テリー/キャサリン・コーネル/タルラー・バンクヘッド(本人に扮して登場)/ラルフ・ベラミー(本人に扮して登場)/エドガー・バーゲンとチャーリー・マッカーシー(本人に扮して登場)/アイナ・クレア(本人に扮して登場)/ジェーン・カウル(本人に扮して登場)/ウイリアム・デマレスト(本人に扮して登場)/ヘレン・ヘイズ(本人に扮して登場)ら65名を超えるスターがカメオ。キャサリン・ヘプバーンをはじめ10名ばか りが長いシーンで出演。
ポール・ムニ/ジョージ・ラフト /ジュディス・アンダー ソン/ケニー・ベイカー/タルーラ・バンクヘッド/ラルフ・ベラミー/レイ・ボルジャー/グレイシー・フィール ズ/ヒュー・ハーバート/ジーン・ハーショ ルト/ジョージ・ジェッセル/ジプシー・ローズ・リー/ハーポ・マルクス/エセル・マーマン/マール・オベロン/ラニー・ロス/マーサ・スコット/エセ ル・ウォーターズ/ジョニー・ワイズミュラー/エド・ウィン/ヘンリー・アーメッタ/ベニー・ベイカー/ヘレ ン・ブロデリック/ロイド・コリガン/ジェー ン・ダーウェル/ウィリアム・デマレスト/ヴァージニア・フィールド/ヴァージニア・グレイ/サム・ジャッフェ /アレン・ジェンキンス/ロスコー・カーン ズ/トム・ケネディ/オットー・クルーガー/ジューン・ラング/バート・ライテル/アリーン・マクマホン/ペ ギー・モラン/ラルフ・モーガン/アラン・ モーブレイ/エリオット・ニュージェント/フランクリン・パングボーン/ヘレン・パリッシュ/セレナ・ロイル /コーネリア・オーティス・スキナー/ネッ ド・スパークス/カウント・ベイシー/ザヴィエル・クーガ/ベニー・グッドマン/ロン・マカリスター/ドロ シー・フィールズ/マック・グレイ/ルイス・ ジーン・ヘイト/ジャック・ランバート/ガートルード・ローレンス/ペギー・リー/ルース・ローマン/リナ・ロ メイ/マット・ウィリス

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1944

『Dragon Seed』(龍子)(米、MGM)
-監督:ジャック・コンウェイ/ ハロルド・S・バケット
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:パール・S・バック
-脚本:マルグリット・ロバーツ/ジェーン・マー フィン
-撮影:ジドニー・ワグナー(アカデミー撮影賞ノミネート)
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ウォルター・ヒュストン/エイキム・タミロフ/ヘンリー・トラヴァース/アリーン・マクマーン(アカデミー助演女優賞ノミネート)

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1945

『Without Love』(愛はなく)(米、MGM)(コメディ)
-監督:ハロルド・S・バケット
-製作:ローレンス・A・ウイン ガーテン
-原作:フィリップ・バリー
-脚本:ドナルド・オグデン・スチュワート
-撮影:カール・フロインド
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/ルシル・ポール/キーナン・ウィン
-キャサリン・ヘプバーンが3年前に演じた舞台の映画化。

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1946

『Undercurrent』(底流)(米、MGM)
-監督:ヴィンセント・ミネリ
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:テルマ・ストレイベル
-脚 本:エドワード・チョドロフ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ロ バート・テイラー/ロバート・ミッチャム/エドマンド・グウェン/マージョリー・メイン
-撮影は『大草原』が先だったがテ イラーが海軍からもどってきたばかりと いう宣伝材料があったため、こちらが先に公開されたという。

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1947

『大草原』-The Sea of Grass-(米、MGM)
-監督:エリア・カザン
-製作:パンドロ・S・バーマン
-原作:コンラッド・リクター
-脚 色:マーゲリット・ロバーツ/ヴィンセント・ ローレンス
-撮影:ハリー・ストラドリング
-編集:ロバート・J・カーン
-音楽:ハーバート・ストサート
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/ロバート・ウォーカー/メルヴィン・ダグラス /フィリス・サクスター/ハリー・ケイリー

『愛の調べ』-Song of Love-(米、MGM)(キ ネマ旬報ベストテン第15位)
-監督製作:クラレンス・ブラウン
-原作戯曲:バーナード・シュー バート/マリオ・シルヴア
-脚色:アイヴァン・トース/イ ルムガード・フォン・クーベ/アレン・ヴィンセント/ロバート・アードリー
-撮影:ハリー・ストラドリング
-編集:ロバート・J・カーン
-音楽監督:ブロニスロー・ケイ パー
-音楽演奏:アーサー・ルビンスタイン/ ウィリアム・スタインバーグ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ポール・ヘンリード/ロバート・ウォーカー/ヘンリー・ダニエル/レオ・G・キャロル

第二次大戦後の米ソ対立の最中、マッカーシー率いる非米活動委員会がハリウッドに思想 調査に入り、政府の方針に批判的な映画制作者の洗い出しを始めた。
キャ サリンが共に映画を作っていた監督や脚本家が次々と非愛国的思想の持ち主として名指しされ仕事が続けられな い状況に陥った。
そ んな中、調査の不当性を訴える集会が開かれ28,000人の群集の前に予告なしのゲストとしてキャサリンが 登場した。
“私は文化に向けられた攻撃について話したい
文化人としてではなく ひとりのアメリカ人として
自由を奪おうとする いかなる攻撃にも 私は 常に抵抗します
これは 既にある自由を守るためだけの 闘いではありません
私たちの求める 価値のある自由を 手に入れるための闘いなのです
そのために 今夜 私たちは ここに集まったのです”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
政 府は調査に反対する俳優に対する圧力を強め、次第にハリウッド全体に自由な言論が許されない情況が広まって いった。
そ んな中、言論自由を求める有名俳優を中心とした“言論自由の会”が組織されハ ンフリー・ボガートやローレ ン・バコールらと共にキャサリンも名を列ねた。
非 愛国者のブラックリストにキャサリンの名前も載せられた。
キャ サリンの映画を上映しない映画館も現れ、次第に仕事も遣り辛くなっていった。
キャ サリンの窮地を救おうとス ペンサーは映画の企画を準備していた。
愛 国心とは何かを問いかける作品だった。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
そ れが『愛の立候補宣言』だった。

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1948

『愛の立候補宣言』-State of the Union-(米、MGM)
-監督製作:フ ランク・キャプラ
-原作:ハワード・リンゼイ/ ラッセル・クローズ(ピューリツァー賞受賞)
-脚本:マイルズ・コノリー/ア ンソニー・ヴェイラー
-撮影:ジョージ・フォルシー
-音楽:ヴィクター・ヤング
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/ヴァン・ジョンソンアンジェラ・ランズベリー/ア ドルス・マンジュー
-ピューリツァー賞受賞の戯曲で1945年にルース・ハッ シー主演で上演され、2年間の ロングランをつづけた作品の映画化。

キャサリンへの逆風は収まらなかった。

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1949

『アダム氏とマダム』-Adam's Rib-(米、MGM)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:ローレンス・ウェイン ガーテン
-原作脚本:ガースン・ケイニン/ルース・ゴー ドン(ア カデ ミー脚本賞ノミネート)
-撮影:ジョージ・J・フォル シー
-美術:セドリック・ギボンズら
-編集:ジョージ・ベームラー
-音楽:ミクロス・ローザ
-衣装(デザイン):ウォルター・プランケット
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/デイヴィッド・ウェイン/トム・イーウェル/ジュ ディ・ホリディ


『アダム氏とマダム』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーンら


『アダム氏とマダム』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン

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1950

<お気に召すまま>-As You Like It-(V)(1月26日、ニューヨークのコート・シアターで開幕:148回上演)
-演出:マイケル・ベントール
-製作:シアター・ギルドINC
-作:ウィリアム・シェークスピ ア
-出演:キャサリン・ヘプバーン

“言論自由の会”の仲間たちと共にハリウッドを飛び出し、前例のないアフリカ長期ロケ に挑む。
キャ サリンが家族に宛てた手紙。
“そういうわけで 私たち45人のつわものは
ジャングルを切り開き そこに暮らしています
湿気が多くて 虫もたくさんいるけど
ここでの暮らしは 快適です”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
そ れが『アフリカの女王』だった。

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1951

『ア フリカの女王』-The African Queen-(英)(キ ネマ旬報ベストテン第18位)
-監督:ジョン・ヒューストン(アカデミー監督ノ ミネー ト)
-製作:S・P・イーグル
-原作:C・S・フォレスター
-脚本:ジェームズ・エイジイ/ ジョン・ヒューストン(アカデミー脚本賞ノミネート)
-撮影:ジャック・カーディフ
-SFX:クリフ・リチャードソ ン
-美術:ウィルフレッド・シング ルトン
-編集:ラルフ・ケンプレン
-音楽:アラン・グレイ
-出演:ハ ンフリー・ボガート(ア カデミー主演男優賞)/キャサリン・ヘプバーン(アカデミー主演女優賞ノミネート)/ロバート・モーレイ/ピーター・ブル/セオドア・バイケル
-侵略戦争の草刈場となったアフリカにひとり取り残された気の強いクリスチャンの女(キャ サリン・ヘプバーン)が、侵 略を進めるドイツ軍に立ち向かうのに遭遇した飲ん だくれの船長が蒸気船でアフリカの川を一緒にくだる冒険物語。
キャ サリン初のカラー作品。

不当な侵略と戦うために命がけでアフリカの川をくだる女性宣教師の姿は、アメリカで自 由を求めて孤高を貫くキャサリンの姿と重なり多くの共感を呼んだという。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
ニューヨークの片隅にキャサリンの志を受け継ぐ人々が集う“キャサリンの庭”と 名づけられた場所があるという。
再 開発のため歩道を狭くしようとする交通局と、この地域の住民が戦ったときにキャサリンが力を貸してくれたこ とに因んで名づけられたそうだ。
石 碑には”キャサリン・ヘプバーンは永遠に ここに”と刻まれている。
イ ンタビューに答えた住民の声。
”キャサリンは人々の前に出て 役所と闘った 最初の著名な女優 だった
「歩行者に優しい町を作ってほしい」と嘆願してくれたんだ“(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)
最愛の母キャサリン・マーサ・ホートン死去。

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1952

『パットとマイク』-Pat and Mike-(米、MGM)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:ローレンス・ワインガー テン
-原作脚本:ルース・ゴードン、ガーソン・ケイ ニン(アカデ ミー脚本賞ノミネート)
-撮影:ウィリアム・H・ダニエ ルズ
-音楽:デヴィッド・ラクシン
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/アルド・レイ/ウィリアム・チン/サミー・ホワイ ト/チャールズ・ブチンスキ(後のブロンソン)/チャック・コ ナーズ(後のライフルマン。1951年、彼はシカゴ・カブスの1塁手だった)/ ジョージ・マシューズ
-キャサリンはテニス、ゴルフ、バスケットボールなどさまざまなスポーツをスタンドイン なしで披露しているそうだ。


『パットとマイク』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘップバーン

<女百万長者>-The Millionairess-(V)(10月10日、シアターで開幕:10週間にわたって限定公演)
-演出:マイケル・ベントール
-作:バーナード・ショー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ロバート・ヘルプマン/シリル・リチャード
-1935年にショーが書いた作品の世界初上演に参加。

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1955

『旅 情』-Summertime-(英)(キ ネマ旬報ベストテン第4位)
-監督:デイヴィッド・リーン
-アソシエイト・プロデュー サー:ノーマン・スペンサー
-原作戯曲:アーサー・ローレン ツ
-脚色:デイヴィッド・リーン /H・E・ベイツ
-撮影:ジャック・ヒルドヤード
-美術:ヴィンセント・コルダ
-編集:ピーター・テイラー
-録音:ピーター・ハンドフォー ド
-音楽:アレッサンドロ・チコ ニーニ
-主題歌:♪サマー タイム・イン・ヴェニス
-出演:キャサリン・ヘプバーン(ジェーン)(アカデミー主演女優賞ノミネート)/ロッサノ・ブラッツィ(レナード)/イザ・ミランダ/ダレン・マッガヴィン/マリ・アルドン/ガイターノ・アウ ディエロ(子 役)
-オスカー女優キャサリンの卓 越した演技力がワンシーンで観られるのがこの作品のラストだ。[全 文へ]


『旅 情』キャサリン・ヘップバーンロッサノ・ブラッツィ


『旅情』キャサリン・ヘップバーン

<じゃじゃ馬ならし>-The Taming of the Shrew-(V)(オーストラリア巡業)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<尺には尺を>-Measure for Measure-(V)(オーストラリア巡業)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

<ヴェニスの商人>-The Merchant of Venice-(V)(オーストラリア巡業)
-出演:キャサリン・ヘプバーン

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1956

『雨を降らす男』-The Rainmaker-(米、パラマウント)
-監督:ジョセフ・アンソニー
-製作:ハル・B・ウォリス
-原作戯曲脚色:N・リチャード・ナッシュ
-撮影:チャールズ・ラング
-編集:ウォーレン・ロウ
-音楽:アレックス・ノース
-出演:バート・ランカスター/ キャサリン・ヘプバーン(アカデミー主演女優賞ノミネート)/ウェンデル・コーリー/ロイド・ブリッジス/アール・ホリマン
-撮影の順序からいうと『ロマンス・ライン』が先だったそうだが、公開は こちらが先になったという。
1954 年のブロードウェイ・ヒット。

『ロマンス・ライン』-The Iron Petticoat-(英)(撮影は1955年)
-監督:ラルフ・トーマス
-製作:ベティ・E・ボックス
-原作:ハリー・ザルツマン
-脚本:ベン・ヘクト(クレジットから抹消)
-撮影:アーネスト・スチュワー ド
-音楽:ベンジャミン・フランケ ル
-出演:ボブ・ホープ/キャサリ ン・ヘプバーン/ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス/ロバート・ヘルプマン/デイヴィッド・コソフ
-脚本をめぐるトラブル(製作者の意図 でキャサリンの出番がかなり削られ るなど)が絶えないこ とに怒ったヘクトは自分の名をクレジットから消すように 言い残し降板。

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1957

『デスク・セット』(TV放映邦題「コンピューターとミス・ワ トソン」(おー!ウーマンリブ)-Desk Set-(米、20世紀フォックス)(シネマスコープ)
-監督:ウォルター・ラング
-製作脚本:ヘンリー・エフロン
-原作戯曲:ウィリアム・マー チャント
-脚本:フィービー・エフロン/ ヘンリー・エフロン(ノラ・エフロンはエフロン夫妻の娘)
-撮影:レオン・シャムロイ
-音楽:シリル・J・モックリッ ジ
-出演:ス ペンサー・トレイシー/キャサリン・ヘプバーン/ジョーン・ブロンデル/ギグ・ヤング/ダイナ・メ リル/ネヴァ・パターソン
-スペンサー・トレイシーとの共演で初めてのカラー。

<ヴェニスの商人>-The Merchant of Venice-(V)
-演出:ジャック・ランドー
-製作:アメリカン・シェイクス ピア・フェスティヴァル・シアター
-作:ウィリアム・シェークスピ ア
-出演:キャサリン・ヘプバーン /モリス・カーノフスキー/ドナルド・ハロン/リチャード・ウェアリング
-キャサリンは故郷コネティカット州でひらかれたアメリカン・シェイクスピア・フェス ティヴァルにゲストスターとして招かれた。

<空騒ぎ>-Much Ado About Nothing-(V)
-演出:ジョン・ハウズマン/ ジャック・ランドー
-製作:アメリカン・シェイクス ピア・フェスティヴァル・シアター
-作:ウィリアム・シェークスピ ア
-出演:キャサリン・ヘプバーン /モリス・カーノフスキー/アルフレッド・ドレイク/スタンリー・ベル

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1959

『去年の夏突然に』-Suddenly Last Summer-(米コロムビア)(キネマ旬報ベストテン第30位)
-監督:ジョセフ・L・マンキー ウィッツ
-製作:サム・スピーゲル
-原作:テネシー・ウィリアムズ
-脚本:ゴア・ヴィダル/テネ シー・ウィリアムズ
-撮影:ジャック・ヒルドヤード
-美術:ウィリアム・ケルナー
-音楽:ボクストン・オウ/マル コム・アーノルド
-出演:エ リザベス・テイラー(アカデミー主演女優賞ノミネート)/キャサリン・ヘプバーン(アカデミー主演女優賞ノミネート)/モ ンゴメリー・クリフト/アルバート・デッカー/マーセデス・マッケンブリッジ

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1960

<十二夜>-Twelfth Night-(V)
-演出:ジャック・ランドー
-製作:アメリカン・シェイクス ピア・フェスティヴァル・シアター
-作:ウィリアム・シェークスピ ア
-出演:キャサリン・ヘプバーン /モリス・カーノフスキー/リチャード・ウェアリング/O・Z・ホワイトヘッド
-1957年につづいてキャサリンはアメリカン・シェイクスピア・フェスティヴァルにゲ ストスターとして招かれた。

<アントニーとクレオパ トラ>-Anthony and Cleopatra-(V)
-演出:ジャック・ランドー
-製作:アメリカン・シェイクス ピア・フェスティヴァル・シアター
-作:ウィリアム・シェークスピ ア
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ロバート・ライアン/モリス・カーノフスキー/セイダ・トンプスン

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1962

『Long Day's Journey into Night』(「夜への長い旅路」)
-監督:シドニー・ルメット
-製作:イーリー・ランドー/ ジャック・J・ドレイファス・ジュニア
-原作脚本:ユージン・オニール
-撮影:ボリス・カウフマン(映画監督ジガ・ヴェルトフの実弟)
-音楽:アンドレ・プレヴィン
-出演:キャサリン・ヘプバーン(カ ンヌ国際映画祭主演女優賞)(アカデミー主演女優賞ノミネート)/ラルフ・リチャードソン/ジェイスン・ロバーズ・ジュニア/ディーン・ス トックウェル
-1940年に原作を書き上げたオニールは51年に死去したが、遺書に死後25年を過ぎ るまで上演しないこととなっていた。だがオニール夫人の気持がゆらいで56年にブロードウェイで上演され た。その作品の映画化。

11月、父トーマス死去。
『Long Day's Journey into Night』に出 演後、67年までス ペンサー・トレイシーの介護に専念する。
キャ サリンはアフリカロケの後も中々ハリウッドに戻らなかった。
イ ギリスで舞台に出演し、映画も国外で撮影するのに限って出演していた。
ス ペンサーとは離れ離れの日々だった。
二 人の間を友人たちの手紙が繋いだという。
そ の手紙から、次第にスペンサーの健康状態の悪化が伝わった。
“あ なたがいなくて スペンサーはとても寂しがっています”
“彼は とても あなたに会いたそうです”
“スペンサーの潰瘍は 少し厄介なものです”
“医者が何時も来ていて 彼は長い間ベッドに横になっています”
キャ サリンがハリウッドを飛び出して5年。
国 外を中心に舞台公演を行っていたキャサリンの元に、頻繁にスペンサーから連絡が入るようになる。
“戻ってきてくれ”
ス ペンサーは、ひとりホテルの一室で廃人のようになっていた。
キャサリンはハリウッドでの仕事を再開した。
そ して、スペンサーの撮影現場にも体調を気遣って同行するようにした。
し かし、63年にスペンサーが心臓の発作で倒れ入院すると、キャサリンは突然銀幕から姿を消した。
“私は殆どの仕事から身を引くことにしました
彼の傍にいれば 心配させずにすむし
彼も寂しくないだろうと 思ったからです
それは 私の幸せでもあったのです
私は絵を描き 文章を綴り 穏やかな気持ちで願いました
どうか スペンサーが永遠に生きていてくれますように”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
退 院したスペンサーとキャサリンはハリウッドの一角で同居を始めた。
高 い塀に守られるように、ひっそりと佇むコテージ。
出 会いから20年目にして、初めて得た二人のための場所であった。
二人の家に通うことを許された数少ない一人の姪キャサリーン・ホートンが話すキャサリ ンとスペンサー。
”当時 キャサリンはスペンサーの家で 一緒に暮らしていました
彼はひとりでは生活できませんでした
それは あまりにも危険でした
いざという時のために 酸素タンクが いつも廊下に 置いてありました
伯母は一緒に住むことで 彼の状態を 常に把握できました
ちゃんと食事をしているかとか
時には 散歩に連れ出したりもしていました
スペンサーであれ ハワード・ヒューズであれ 誰であっても どのような弱点 を持っていても
伯母は「何とかできる 治せるわ」と言いました
彼女は“心の修理人”でした
ハワードが「僕は耳が聞こえない どうしよう」と言ったのではなく
彼女のほうから「耳が聞こえないのね じゃあ 何とかしましょう」と言ったのです
彼女は人が傷を抱えていることに気づくと 直接そこに触れて 治そうとしまし た
心の傷を治すことが 大好きで それこそが 彼女の喜びだったのです(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

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1967

5年の沈黙の後、キャサリンとスペンサーは9作目となる共演作『招 かれざる客』で突然銀幕に姿を表す。
ス ペンサーは病を押して映画に出る決意をした。

『招 かれざる客』-Guess Who's Coming to Dinner-(米、コロムビア)
-監督製作:スタンリー・クレイマー
-オリジナル脚本:ウィリアム・ ローズ(ア カデミー脚本賞)
-撮影:サム・リーヴィット
-音楽:デヴォル
-歌:ジャクリン・フォンテイン
-主題曲:♪Billy Hill.
-出演:ス ペンサー・トレイシー(ジョーイの父/マット・ドレイトン)(英国アカデミー賞主演男優賞)(アカデミー主演男 優賞ノミネート)/シ ドニー・ポワチエ(ジョン・W・プレンティス)/キャサリン・ヘプバーン(ジョーイの母/クリスティーナ・ドレイトン)(ア カデミー主演女優賞)(英国アカデミー賞主演女優賞)/キャサリン・ホートン(ジョイ・ドレイトン/ジョアナ)/セシル・ケラウェイ(ライアン司教)/ベア・リチャーズ(ジョンの母/メアリ)/ロイ・E・グレン(ジョンの父/)
-スタンリー・クレーマー監督が人種問題を取り上げた傑作。
仲 睦ましい若いカップルがサンフランシスコ空港で飛行機から降り、タクシーに乗る。
キ スをしているカップルをバックミラーで見ている運転手が顔を顰める。
白 人の娘と黒人の青年のカップルだからだ。[全 文へ]
ア カデミー賞の10部門にノミネートされ、脚 本賞主 演女優賞を獲得。


『招かれざる客』シドニー・ポワチエ、スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘッ プバーン


『招かれざる客』キャサリン・ヘップバーン、スペンサー・トレイシー

『招 かれざる客』で共演した姪キャサリーン・ホートンが話すキャサリンとスペンサー。
”スペンサーには特別な撮影スケジュールが 組まれました
朝の10時ごろから 1日3〜4時間に限って 彼は 自分のシーンを演技しま した
彼はとてもうまく持ちこたえて 楽しんでいるようでした
あの役を演じることを大切にしていました
ふたりとも 脚本がとても気に入っていました
撮影現場には 彼の健康を気遣う 緊張感がありました
それでも 仕事をするには とても気持ちの良い現場でした
伯母は 彼が撮影することを望んでいました
とめるのは馬に「もう走らない方がいい」と 言うようなものでしょう
彼がこの仕事に 命を懸けていることを わかっていて 励ましていたのだと思 います
撮影が終わると 私たちはスペンサーの家で 毎晩 一緒に夕食を食べました
食事の後 伯母が部屋を出て行くと
スペンサーが言いました「いいかい質問がある
でも 伯母さんが戻ったら話題を変えるんだ」
その時 初めて聞かれた質問は
「死んだら どうなると思う?」
「わかりません」
「天国と地獄は信じる?」
「いいえ」
「肉体が死んでも 人格は残ると思う?」
「わかりません」
「罪を償うために 地獄に行くとは思わないの?」
「いいえ 絶対にそんなことはないわ」
(伯母が来ると)
「しー 黙って 今日は何を撮影したの?」
「今日の場面はシドニーがやってきて…」
伯母がまた出て行くと
「それで 地獄はどんなものだと思う?」
この秘密の会話は こんな感じで 時々 続いたのです
映画の一番最後のセリフは 脚本家が スペンサーのために書いたものです
スペンサー・トレイシーが キャサリン・ヘプバーンに届ける言葉として
伯母は その言葉に とても心を打たれていました
彼は 演技をする必要はなかったのでしょう
本当の気持ちだったと思います“(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

『招 かれざる客』より
マッ ト「家内に抱 いた情熱は ジョ ンに負けるものじゃない」と 話し、クリスティーナに視線を向けるマット。
涙を浮かべているクリスティーナ。
感極まり、言葉を詰まらせ、
マッ ト「燃えカス は確かだ だ が記憶は決して
うすれてはいない 死 ぬまで忘れはしない
ジョンは我々の意向を 重 視しすぎた」と 続けるマット。


『招かれざる客』スペンサー・トレイシー

二人に向かって、
マッ ト「親の意見 など問題じゃない 肝 心なのは当人達の
愛情の深さだ」と 心を込めて言い、
思い起こすように、

「私達たちの半分もあれ ば」と 言葉を詰まらせ、
優しく
“そうなんだよ”と頷き、

「立派なものだ」と 話を結ぶマット。


『招かれざる客』スペンサー・トレイシー

目に一杯涙を浮かべてマットを見詰めているクリスティーナ。


『招かれざる客』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘプバーン

クリスティーナに愛を込めた微笑を返すマット。


『招かれざる客』スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘプバーン

撮影が終って2週間後、スペンサー・トレイシーは67年の生涯を閉じた。
”そう エンジンが止まった
止まってしまったのだ
やっと 安らかになれたのよね
スペンサー もういいのよ
よく頑張ったわね
苦しみも 痛みも 絶望も
もう 何もないわ
あなたはひとりで旅立ち
もう 帰ってこない
ああ〜 スペンサーが逝ってしまった
キャ サリンはスペンサーの死を電話で妻ルイーズに伝えた。
葬 式はルイーズが、全て執り行い、キャサリンは一切人前に出なかった。
教 会から運ばれていくスペンサーの棺を、少し離れた車の中で見送った。
“さようなら ここでお別れよ“
“愛してるって どういうことなのだろう
私は ただ スペンサーから離れるなんて考えられなかった
彼はそこにいて 私は彼のものだった
私は 彼に仕えるのが好きで 
彼の言葉に耳をかたむけ 食事を出し
おしゃべりをし 彼のために働くのが好きだった
スペンサーが私のことを どう思っていたのか
それは わからない
彼は そのことについて 話そうとしなかったし 私も話さなかった
ただ 27年間をともに過ごし
それは 私にとって 至福の時間だったということ
それが 愛だと
私は思う(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

ス ペンサー・トレイシー『招 かれざる客』で久しぶりに映画出演となったが撮影終了した17日後、6月10日に 心臓発作で倒れ死去。(享年67才)
私 生活でも夫婦以上のよき伴侶といわれていたキャサリンが病院に運び看取ったが「ルイーズに申し訳ない」との理由で葬儀には出席しなかったという。(葬儀の前日と当日だれもいない時に現れて閉じられた棺 のス ペンサー・トレイシーに別れを告げ見送っている)
己 の立場を弁えていた。
ス ペンサー・トレイシーは 1923年に4才年上の女優のルイーズ・トレッドウェルと結婚し、息子ジョンと娘を一人づつもうけるが、1924年に生まれた息子ジョンが聾唖者であるこ とがわかり、ス ペンサーと妻ルイーズはショックを受けた。
ス ペンサーは以前にも増して酒の量が増え、ルイーズは女優を断念しジョンを育てることに専念した。
ス ペンサーはルイーズと別居して一人暮らしを始めるが、苦労している妻を捨てることは出来なかった。
晩年、キャサリン・ヘプバーンと 公私共に良きパートナーとなったときに、友人に「なぜキャサリン・ヘプバーンと結婚しないのか」と聞かれ、彼は「そんなことはとてもできなかった。ルイーズがジョンを育てるのに苦 労しているのに、それを捨てることはできなかった。ケイト(キャサリーン・ ヘプバーンの愛称)もそのことはわかってくれた」と言い、その思いは変らなかった。
ジョンは成長してディズニー・プ ロのアーティストになり、そして、アメリカ各地に聾唖者施設を建て、生涯を聾唖者教育に捧げたという。

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1968

引退の噂が囁かれていたそうだが、スペンサーの死後、間も無く銀幕に戻ってきたとい う。

『冬のライオン』-The Lion in Winter-(米)(キ ネマ旬報ベストテン第8位)
-監督:アンソニー・ハーヴェイ
-製作:マーティン・ポール
-製作総指揮:ジョゼフ・E・レ ヴィン
-原作脚本:ジェームズ・ゴールドマン
-撮影:ダグラス・スローカム
-編集:ジョン・ブルーム
-音楽:ジョン・バリー(ア カデミー作曲賞)
-出演:ピーター・オトゥール/ キャサリン・ヘプバーン(ア カデミー主演女優賞)(英国アカデミー賞主演女優賞)/ジェーン・メロウ/ジョン・キャッスル/アンソニー・ホプキンズ/ティモ シー・ダルトン
-ヘンリー2世時代の王位継承をめぐっての壮絶な争いが描かれた作品で女性であることの 誇りを感じさせた名演。
ア カデミー賞の6部門にノミネートされ、作 曲賞主 演女優賞を獲得。


『冬のライオン』ピーター・オトゥール、キャサリ ン・ヘプバーンetc

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1969

『シャイヨの伯爵夫人』-The Madwoman of Chaillot-(米ワーナー)
-監督:ブライアン・フォーブス
-製作:エリイ・ランドー
-原作戯曲:ジャン・ジロドゥ
-脚色:エドワード・アンハルト
-撮影:クロード・ルノワール/ バーネット・ガフィ
-美術:ジョルジュ・プティトー
-編集:ロジャー・ドワイア
-音楽:マイケル・J・ルイス
-衣装(デザイン):ロジーヌ・ドラマレ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ダニー・ケイ/ドナルド・プレゼンス/シャルル・ボワイエ/イーディス・エヴァンス/ポール・ヘンリード/リ チャード・チェンバ レン/ユル・ブリナー/ダニー・ケイ/ジュリエッタ・マシーナ
-最初ジョン・ヒューストンの監督で撮影される予定で、キャストも国際的であったが、現 代風にアレンジしようとする製作サイドと対立して降板した。
予 定されていたキャストも契約をすでにかわしていたキャサリンを除いてすべてキャンセルされたという。

<ココ>-Coco-(V)
-台本・作詞:アラン・ジェイ・ ラーナー
-製作:フレデリック・ブリッソ ン
-作曲:アンドレ・プレヴィン
-装置・衣装:セシル・ビートン
-出演:キャサリン・ヘプバーン(トニー賞にノミネート)/ルネ・オーベルジョノワ/ジーン・ヴァロン/デヴィッド・ホリデイ
-ガブリエル・シャネルすなわちココの一大記を描いたミュージカル。
ニュー ヨーク・タイムズの劇評「じつに ユニークな歌声だ。誠実さと愛と咽頭炎がまじりあったような声。忘れがたく、信じがたく、そして美 しい声」であった。
※パラマントからレコード発売さ れ、はCoco♪Always Mademoiselleなど6曲を吹き込んだ。

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1971

『トロイアの女』-The Trojan Women-(米)
-監督:マイケル・カコヤニス
-製作:エニス・ノーラ/マイケ ル・カコヤニス
-原作:エウリピデス
-脚本:マイケル・カコヤニス
-撮影:アルフィオ・コンティー ニ
-音楽:ミキス・テオドラキス
-出演:キャサリン・ヘプバーン(ヘカベ)/ ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド/イレーネ・パパス/パトリック・マギー

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1973

-ア カデミー賞の授賞式に親友のローレンス・ワインガーデンへのプレゼンターとして1回だけ出席した。自身が4度受賞した授 賞式には欠席。


キャサリ ン・ヘプバー

『A Delicate Balance』(微妙なバランス)(米)
-監督:トニー・リチャードソン
-製作:イーリー・ランドー
-原作脚本:エドワード・オールビー
-撮影:デヴィッド・ウォトキン
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ポール・スコフィールド/リー・レミック/ジョゼフ・コットン

[ガラスの動物園]-The Glass Menagerie-(TVフィーチャー、12月16日、ABCより放映)
-監督:アンソニー・ハーヴェイ
-製作:デヴィッド・サスキンド
-原作脚本:テネシー・ウィリアムズ
-撮影:ビリー・ウィリアムズ
-出演:キャサリン・ヘプバーン /サム・ウォーターストーン/ジョアンナ・ミルズ/マイケル・モリアーティ
-キャサリンはつねづね「この芝居はローレット・テイラーのもの。彼女以外の人はやるべ きではない」といい つづけていたそうだが、説得に折れてTVフィーチャー版に出演した。

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1975

[廃墟の愛]-Love Among the Ruins-(TVフィーチャー、3月5日、ABCより放映)(ロマンティック・コメディ)
-監督:ジョー ジ・キューカー(エミー賞)
-製作:アラン・ディヴィス
-脚本:ジェイムズ・コスティガン(エミー賞)
-撮影:ダグラス・スロコム
-出演:キャサリン・ヘプバーン(エミー賞)/ローレンス・オリヴィエ(エミー賞)/コリン・ブレイクリー/リチャード・ピアスン

『オレゴン魂』-Rooster Cogburn-(米)
-監督:スチュアート・ミラー
-製作:ハル・B・ウォリス
-脚本:マーティン・ジュリアン
-撮影:ハリー・ストラドリン グ・ジュニア
-音楽:ローレンス・ローゼン タール
-編集:ロバート・スウィンク
-美術:プレストン・エイムズ
-衣装(デザイン):エディス・ヘッド/ラスター・ベイレス
-出演:ジョン・ウェイン/キャサリン・ヘプバーン/アンソニー・ザーブ/リチャード・ジョーダン /ジョン・マッキンタイア/ストローザー・マーティン
-ジョン・ウェインが『勇 気ある追跡』ア カデミー主演男優賞を受賞した作品の続 編。

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1976

<重大な問題>-A Matter of Gravity-(V)(ブロードハースト・シアターで初演)
-演出:ノエル・ウィルマン
-製作:ロバート・ホワイトヘッ ド/ロジャー・L・スティーヴンス/コンラート・マッセイ
-作:イーニッド・バグノルド
-出演:キャサリン・ヘプバーン /クリストファー・リーヴ/ポール・ハーディング/エリザベス・ローレンス
-ニューヨーク・タイムズの劇評に「観客は、キャサリン・ヘプ バーンの出ている芝居を見にくるというよりもキャサリン・ヘプバーンその人を見にくるのだ」と掲載された。

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1978

『ゆかいな風船旅行』-Olly Olly Oxen Free-(米)(1978年に封切されたが、アメリカでは1981年まで公開されなかった)
-監督製作:リチャード・A・コーラ
-原作:マリア・L・デ・オシオ /リチャード・コッラ/ユージン・ポワンク
-撮影:ゲイン・レシャー
-美術:ピーター・ウーリー
-音楽:ボブ・アルシバー
-衣装(デザイン):エディス・ヘッド
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ケヴィン・マッケンジー/デニス・ディムスター/オビー

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1979

[小麦は緑]-The Corn Is Green-(TVフィーチャー、1月29日、CBSより放映)
-監督:ジョー ジ・キューカー
-製作:ニール・ハートリー
-原作:エムリン・ウィリアムズ
-脚本:アイヴァン・デイヴィス
-撮影:テッド・スケイフ
-出演:キャサリン・ヘプバーン(エミー賞)/イアン・セイナー/トーヤ・ウィルコックス
-1945年、アーヴィング・ラッパー監督、ベティ・デイヴィス主演で映画化されている 作品。
ジョージ・キューカーとのコンビ10作 目で、最後となった。(ジョー ジ・キューカー83年没)

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1981

『黄 昏』-On Golden Pond-(米)(キ ネマ旬報ベストテン第4位)
-監督:マーク・ライデル
-製作:ブルース・ギルバート
-製作総指揮:マーティン・ス ターガー
-原作脚色:アーネスト・トンプスン(ア カデミー脚色賞)
-撮影:ビリー・ウィリアムズ
-編集:ロバート・L・ウォルフ
-音楽:デイヴ・グルーシン
-衣装(デザイン):ドロシー・ジーキンズ
-出演:ヘ ンリー・フォンダ(元大学教授/ノーマン)(ア カデミー主演男優賞)/キャサリン・ヘプバーン(ノーマンの妻/エセル)(ア カデミー主演女優賞)(英国アカデミー賞主演女優賞)/ジェー ン・フォンダ(1人娘/チェルシー)(アカデミー助演女優賞ノミネート)/ダグ・マッケオン(ビルの息子/ビリー)/ダブニー・コールマン(歯医者/ビル)
-迫り来る死に触れる年老いた夫、それを避ける妻。
それぞれが健忘と死を恐れている。
死神をみて初めて向き合うことに気付く妻、分かって貰えて落ち着きを取り戻す夫。

2羽のアビが連れ添って泳いでいる。
巣立った子の成長を喜んでいるみたいにゆったりと。
それは老夫婦の姿だった。[全 文へ]

『招 かれざる客』ス ペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンのように、ヘ ンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンの名演が楽しめる。
それにジェーン・フォンダの熱演も。

脚本家アーネスト・トンプソン。
“キャサリンは独特だった
それが彼女のすばらしいところで だから 60年間ものキャリアが築けたのだ ろう
自分自身であることを 恥ずかしがらなかった
スペンサーが病気だったとき キャリアを中断して 5年間 彼の面倒をみたこ とは知っているだろう
彼女は自信があったからこそ 続けることも 中断することも できたのだと思 う
キャサリンは 常に男性の扱いがうまくて コケティッシュな面があった
一緒にいる人を安心させ リラックスさせた
彼女がとても温かく 包容力があったことに 感謝してるし 僕は幸運だったと 思う”
“この物語は 徐々に認知症の症状を見せ始める夫と それを支える妻の話なん だ”
夫 が認知症であることを知った妻がとる行動でキャサリンと議論になったという。
“僕は あの部分にセリフはいらないと思っていた
老人が森で迷子になり 戻ってきて
彼も妻も黙っている それでもお互いに 通じ合えていることがわかる という ふうに
でも キャサリンは それをセリフで はっきりさせたがった
彼女の案を聞いたとき ちょっと抵抗したけど
彼女が望むことを できる限り詩的に表現した
そのセリフが”すばらしい映画セリフ100“に選ばれたんだ”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

『黄 昏』より
エ セル「安心し て 大 丈夫よ
毒舌だって いつもどおりよ
後でー
お昼に いちごを
食べちゃったら
一緒に旧道へ行きましょう
何千回も行った道だもの
きっと きっ と思い出すわ
ねえ 聞いて
あなたは私にとって 輝 ける騎士よ
馬の上で あなたに
しっかりつかまるわね
一緒にどこまでも 行 きましょう」
ノー マン「馬は嫌 いだ
ずいぶん年をとった姫だな
なぜ こんな老いぼれと暮らす」
エ セル「さあ な ぜなのかしらね」

キャサリンに直接出演を依頼したのは、娘役を演じるジェー ン・フォンダだった。
共 演する実の父ヘ ンリー・フォンダとの間にあった確執を乗り越えるためには、キャサリンの力が必要だと考えたか らだ。
ヘ ンリース ペンサー・トレイシーを敬愛し、彼を長年支え続けたキャサリンにも尊敬の念を持っていた。(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

監督マーク・ライデルがヘ ンリージェー ンの確執がそのまま持ち込まれた撮影現場のこ とを話す。
”映画の撮影が始まった当初 ふたりは全然話をしようとはしなかった
ヘ ンリージェー ンの左翼かぶれに怒っていた
それで ふたりは仲たがいした
ヘ ンリーは人に心を開くのが苦手だった
自分を見せない 慎重な人なんだ
私とジェー ンとキャサリンは 彼に 親愛の情や敬意を示して働きかけた
キャサリンは撮影の準備やリハーサルの合間に よくスペ ンサー・トレーシーの 話をしてくれた
私はそのうち ヘ ンリーが仲間はずれに されていると感じていることに気づい た
ス ペンサーは彼女が愛した人だ
私は彼女を呼び出して頼んだ
「もうス ペンサーの話はやめて ヘ ンリーの話をしてくれないか 彼は疎外感を 感じているよ」
1日が終わるころ 彼女はス ペンサーの帽子を 持ってやってきて それをヘ ン リーに渡した
まるで「今 私の相棒はあなたよ この帽子は あなたのもの」と言っているよ うだった
彼は感激し 誰にも見られないように 物陰に隠れて泣いていた
キャサリンに ス ペンサーの帽子をかぶってと 言われ ヘ ンリーはそうしたん だ“
”キャサリンは驚くほど協力的に ふたりが 仲直りできるよう励まし 手助け していた
ボートに乗ったヘ ンリーと水の中のジェー ンが 重要な会話をするシーンでは
キャサリンは カメラの後ろから見ていて こうやって 視線で励ましていた“(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

『黄 昏』より
チェ ルシー「本来 の関係に戻りたいの」
ノー マン「どんな 関係?」
チェ ルシー「つま り 父と娘らしい関係」
ノー マン「いざと いう時の話か?
あの世に持っていけるもの以外は
みんなお前に くれてやるさ」
ノー マンの傍に来て、
チェ ルシー「やめ て
そんなことじゃないの
もういがみ合いたくないの」と 胸のうちを曝け出すチェルシー。
ノー マン「お互い 好きになれないだけだろ」と 言うノーマン。
チェ ルシー「友達 になりたいの」と 言い、涙を流すチェルシー。
ノー マン「もっと 頻繁に来れるのか?」
ノー マンに触れるチェルシー。
感 情が込み上げ、思わず顔を手で覆いながら、
「母さんに会いに」と 言うノーマン。
涙 を流しながら、
チェ ルシー「ええ  来るわ」と 言うチェルシー。
頷 くノーマン。

2005年のアクターズ・スタジオ・インタビューでジェー ン・フォンダが語った中に、確執があった父に「友達になりたい」と言う重要なシーンが撮られる日にどうしても涙が出てこなかったそうだ。
そ のときキャサリン・ヘプバーンとのことを語った。
そ のことを載せる。
「初めて脚本を読んだ時から 最後のリハーサルまで毎回
この場面になるたびに 涙があふれ出た
実生活では絶対 父に
言えないセリフだったから
本番の朝なんて 声にならなかった」
「そこで まず父を撮ったの
私は父に心から感じて 演じてほしかった
最後の映画になると 分かってたの
父はアドリブが大嫌いで
何もかも リハーサルどおりでないと許せない人だった
でも 最後のクローズアップ
“友達に…”の所で 私は本番で初めて
父に触れたの
父は動揺した
私には はっきり分かったわ
感情がこみ上げ 思わず横を向いたの
ジェー ンは流れ出た涙を拭い話を続けた。
「私には かけがえのない
経験だった」
「そして 私の番に
私の役にとっても重要だし 個人的にも意味深い場面よ」
身 を乗り出し声を潜め両手を広げて会場の生徒たちに話す。
なのに 肝心の本番で
涙が出なくなってしまった
1滴も出ないの
“リー・ストラスバーグは どこ?”
“五感の記憶は?”
ふだんなら 歌うと泣ける」
両 手で力を込め、
「曲も全く効果がない」
声 を落とし、
「慌てたわ」
横 を向き鼻を啜る。
本 題に入る表情になる。
「そして いよいよという時
なんとキャサリンが現れた」
流 れ落ちる涙を指で拭きながら、呆れた表情をして、
「出番もないのによ」と 手を前に差し出し話す。
生 徒たちから笑い声が起きる。
流 れ落ちる涙を指で拭くジェーン。
キャ サリンの口真似をして、
「彼女は“順調?”と」と 言う。
笑 いが起きる。
横 を向き、続きを話し出すための呼吸を整える。
「私は “涙が出ないの
でも父には言わないで”と」と 涙声になって話す。
「やがて準備が整い 私は皆がおぼれてくれたらと思ったわ」
流 れ落ちる涙を指で拭くジェーン。
「本番が迫り すごく怖かった」
そ の時の感情が蘇り、涙が溢れてくる。
そ れを拭いながら、
「私は監督に
“カメラが回る前にー”
“後ろを向いて 準備したい”と」と 手真似をしながら言う。
「何の考えもなく 後ろを向いた
背後にボート 正面は茂み
顔を上げると キャサリンが茂みの中に」
笑 いが起きる。
そ の生徒たちの方に体を向け、
「こんな感じ」と、両 手を前に出し拳を強く握り締める。
笑 いが起きる。
拳 を強く握り締め続ける。
そ れを見て、また笑いが起きる。
更 に、強く握り締め上下に動かし、
「彼女は母親として」
握 り締めている指を一つ開いて示し、
「“あなたならできる
頑張って ジェーン”と」と、 拳を強く握り締め上下に動かし感情を込める。
拳 を握り締めたまま、
「また 先輩として
私の心境を理解し
見守ってくれていた
そして 同じ女として
拳を震わせ 私が演じられるよう念じてくれていたの」と 涙を一杯浮かべて何度も上下に強く握り締めて話していた。
キャ サリンへの感謝が込められていた。”

ヘ ンリー・フォンダは、この作品で初めてアカデミー賞を 受賞した。
そ の5ヶ月後に亡くなった。

キャサリンが父ヘ ンリーを亡くしたジェー ンに宛てた手紙。
”親愛なるジェーンへ
長い闘病の末 とうとう人生の幕が下ろされたのですね
あなたの心の中は 引き裂かれていることでしょう
でも 一方で ヘ ンリーに平和が訪れたことを 感謝しているのではないでしょ うか
あなたが ヘ ンリーに 素晴らしい喜びと 尊厳をもたらし
彼は あなたへの愛で満ち足りていました
それが 何よりも素敵なことだったと思います(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)
そ の手紙を読んだ監督マーク・ライデル。
”なんてすてきな手紙なんだ とても感動的だ
私も長く生きているが キャサリンのような 人に出会ったことは一度もない
誰も 彼女の足元にも及ばないよ
本当に特別で とても思いやりのある人だった
彼女は 周囲の人を楽しませる人だ
彼女と一緒にいると すごく楽しい
私たちは家族になった 映画に関わった
みんなが撮影中に ひとつの家族になった
全員が 新しい歴史的な価値のある 映画を作っていると感じていた”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

2005年のアクターズ・スタジオ・インタビューでジェー ン・フォンダは、このようなことも話していた。
こ の作品でキャサリン・ヘプバーンが4 度目のアカデミー賞を受賞したことを祝おうと電話したところ、キャサリ ンから開口一番に返ってきたのが、
“これで追いつけないわよ”
だっ たという。
そ れまで2回受賞していたジェー ン・フォンダもノミネートされていたからだ。
最多受賞(4回)して いるキャサリン・ヘプバーンがジェー ン・フォンダをライバル視していたということだ。(2005年 ジョン・L・ティシュマン劇場で録画されたアクターズ・スタジオ・イン タビューでジェーン・フォンダが自らを語ったものから 参考)

    
『黄昏』ジェーン・フォンダ、ヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘプバーン

<ウェストサイド・ワル ツ>-West Side Waltz-(V)(1981年の初頭にロサンジェルスでプレミア上演され、ニューヨークでは11月19日 にエセル・バリモア・シアターで幕をあけた)
-演出:ノエル・ウィリアムズ
-製作:ロバート・ホワイトヘッ ド/ロジャー・L・スティーヴンス/センター・シアター・グループ、アーマンソン
-作:アーネスト・トンプスン
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ドロシー・ルードン/デヴィッド・マーガリーズ

1982

12月13日、セイブルックで交通事故にあい、翌年のほとんどを休養期間にあてる。

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1983

1月23日、ジョー ジ・キューカー死去。

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1984

『グレース・クイッグ リーの究極の解決』-Grace Quigley-(米)
-監督:アンソニー・ハーヴェイ
-製作:メナハム・ゴーラン/ ヨーラム・グローバス
-脚本:A・マーティン・ツヴァイバック/アドリ エンヌ・ツヴァイバック
-撮影:ラリー・パイザー
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ニック・ノルティ/チップ・ジーン

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1986

[ミセス・デラフィール ドの結婚]-Mrs.Delafield Wants to Marry-(TVフィーチャー、3月30日、CBSより放映)
-監督製作:ジョージ・シェファー
-製作総指揮:メリル・H・カー フ
-脚本:ジェイムズ・プリドー
-撮影:ウォルター・ラサリー
-出演:キャサリン・ヘプバーン(エミー賞ノミネート)/ハロルド・グールド/デンホルム・エリオット/チャールズ・フランク

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1987

著書「『アフリカの女王』とわたし」

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1988

[ローラ・ランシング、 ここに眠る]-Laura Lansing Slept Here-(TVフィーチャー、3月7日、NBCより放映)
-監督製作:ジョージ・シェファー
-製作総指揮:メリル・H・カー フ
-脚本:ジェイムズ・プリドー
-撮影:ポール・ローマン
-出演:キャサリン・ヘプバーン /リー・リチャードスン/カレン・オースティン

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1992

[二階の男]-The Man Upstairs-(TV)(12月)
-出演:キャサリン・ヘプバーン /ライアン・オニール

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1993

9月15日、著書「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」
スペンサー・トレイシーに ついて、
「私は、“愛している”という言葉のほんとうの意味がわかったような気がした のだ。自分自身の興味や自分自身のたのしみよりも、その人のこと、その人の興味、その人のたのしみ を優先させるーだれかを愛するとはそういうことだ。だって、私はあなたを愛しているのだから」
「私はス ペンサー・トレイシーを愛した。彼のこと、彼の興味、彼の要求をなに よりも優先させた。これは、楽なことではなかった。私はどうしようもなく“私、私、私”という人間 だったからだ。
私はス ペ ンサー・トレイシーに夢中になり、この人のためならなんでもできると思った。とて もふしぎな感じ だった。そのときの気分は…どう表現したらよいのだろう。 ふたりのあいだのドアがいつもあけっぱなしになっている感じだった。予約などといったものが、いっ さい必要ないという感じだった」
「あな た、ス ペンサーと30年近くもいっしょに暮らしたんでしょ。あの人のどこがよくてそんなに長 くつづ いたの?ー私はよくこんな質問を受ける。どういうわけ か、私はこの質問に答えられない。率直にいって、よくわからないのだ。あの人から離れるなんて考え られなかった、としかいいようがない。彼はそこにいて、 私は彼のものだっだ。私が望んだのは、彼がしあわ せで、無事で、上機嫌でいてくれることだ。私は、 彼に仕えるのが好きだっだ。彼の言葉に耳をかたむけ、食事を出し、おしゃべりをし、彼のために仕事 をするのが好きだったのだ。私は彼のじゃまをしないようにした。彼をいらつかせたり、ペースをみだ したり、心配をかけたり、うるさがらせたりしないようにつとめた」
ス ペンスの人生が晩年に近づくと(つまり最後の6、7年間のこと だが)、 私はほとんどの仕事から身をひき、ひたすら彼のそばにいることにした。そばにいれば心配もかけない だろうし、彼がさみしがることもないだろうと思ったから だ。そうすることが私にはうれしかった。私は絵を描き、文をつづった。おだやかな気持ちで私は願っ た。どうかス ペンスが永遠に生きていてくれますように、 と。
それはいったいなんだったんのだろう。私はス ペンスをまるごと感じていた。全面的にといっても、全人的にといいかえ てもよい。ほんとうに彼のことが好きだった。深い深いところで彼が好きだったのだと 自伝で語る。(1993.9.15キャサリン・ヘプバー ン著「Me キャサリン・ヘプバーン自伝」芝山幹郎訳 文藝春秋より)(スペンス:ス ペンサー・トレイシーの愛称)


スペンサー・トレイシー、 キャサリン・ヘプバーン

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1994

『めぐり逢い』-Love Affair-(米ワーナー)
-監督:グレン・ゴードン・キャ ロン
-製作:ウォーレン・ベイティ
-製作総指揮:アンドリュー・ Z・デイヴィス
-脚本:ロバート・タウン/ ウォーレン・ベイティ
-撮影:コンラッド・ホール
-SFX:ジョン・リチャードソ ン
-美術:フェルナンド・スカル フィオッティ
-編集:ロバート・C・ジョーン ズ
-音楽:エンニオ・モリコーネ
-衣装(デザイン):ミレナ・カノネロ
-出演:ウォーレン・ベイティ/ アネット・ベニング/キャサリン・ヘップバーン/ギャリー・シャンドリング/クロエ・ウェブ
-『邂逅』(1939)の 再映画化で評判の高かったケー リー・グラントデ ボラ・カー『め ぐり逢い』(1957)の再々映 画化。

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1999

6月、米 国映画協会(AFI)が米国で「最 も偉大なる女優50名」の中で、第 1位に選出。


[伝説のスター25]1999年

1999 男 優
1999 女 優
1
ハ ンフリー・ボガート -Humphrey Bogart-(1899.1.23-1957.1.14)
(アメリカ、ニューヨーク、ウェスト・アヴェニュー生まれ)

『マルタの鷹』(1941)『カサブランカ』(1942)『黄金』(1948)『アフリカの女王』(1951)『麗 しのサブリナ』(1954)『ケイン号の叛乱』(1954)『裸 足の伯爵夫人』(1954)
キャ サリン・ヘプバーン -Katharine Hepburn-(1907.5.12-2003.6.29)
(アメリカ、コネチカット州ハートフォード生まれ)

『勝利の朝』(1933)『フィ ラデルフィア物語』(1940)『招かれ ざる客』(1967)『冬のライ オン』(1968)『黄 昏』(1981)

2 ケーリー・グラント -Cary Grant-(1904.1.18-1986.11.29)
(イギリス、ブリストン生まれ)

『素晴らしき休日』(1938)『コ ンドル』(1939)『フィ ラデルフィア物語』(1940)『断崖』(1941)『汚 名』(1946)『め ぐり逢い』(1957)『北北西に進路を取れ』(1959)『シャ レード』(1963)
ベティ・デイビス -Bette Davis-(1908.4.5-1989.10.6)
(
アメリカ、マサチューセッツ州ロー ウェル生まれ)
『痴人の愛』(1934)『黒 蘭の女』(1938)『愛の勝利』(1939)『偽 りの花園』(1941)『イヴの総て』(1950)『何 がジェーンに起ったか?』(1962)『ふるえて眠れ』(1964)
3 ジェー ムズ・スチュワート -James Stewart-(1908.5.20-1997.7.2)
(アメリカ、ペンシルベニア州インディアナ生まれ)

『スミス 都へ行く』(1939)『フィ ラデルフィア物語』(1940)『素晴らしき哉、人 生!』(1946)『ハー ヴェイ』(1950)『グレン・ミラー物語』(1954)『裏 窓』(1954)『めまい』(1958)
オー ドリー・ヘプバーン -Audrey Hepburn-(1929.5.4-1993.1.20)
(ベルギー、ブリュッセル生まれ)
『ローマの休日』(1953)『麗 しのサブリナ』(1954)『マ イ・フェア・レディ』(1964)『ティ ファニーで朝食を』(1961)『昼 下りの情事』(1957)『シャ レード』(1957)
4 マーロン・ブランド -Marlon Brando-(1924.4.3-2004.7.1)
(
アメリ カ、ネブラスカ州生まれ)
『欲 望という名の電車』(1950)『波 止場』(1954)『野郎どもと女たち』(1955)『若 き獅子たち』(1958)『ゴッドファーザー』(1972)『ラ ストタンゴ・イン・パリ』(1972)
イ ングリッド・バーグマン -Ingrid Bergman-(1915.8.29-1982.8.29)
(スウェーデン、ストックホルム生まれ)

『誰 が為に鐘は鳴る』(1943)『ガ ス燈』(1944)『汚名』(1946)『追 想』(1956)『オ リエント急行殺人事件』(1974)
5 フレッド・アステア -Fred Astaire-(1899.5.10-1987.6.22)
(アメリカ、ネブラスカ州オハマ生まれ)

『コンチネンタル』(1934)『有頂天時代』(1936)
『ブロードウェイのバークレー夫妻』
(1949)『バンド・ワゴン』(1953)『パ リの恋人』(1957)
『タ ワーリング・インフェルノ』(1974)
グ レタ・ガルボ  -Greta Garbo-(1905.9.18-1990.4.15)
(スウェーデン、ストックホルム生まれ)

『アンナ・カレニナ』(1927)(1935)『ア ンナ・クリスティ』(1930)『グランド・ホテル』(1932)『椿姫』(1937)『ニ ノチカ』(1939)
6 ヘンリー・フォンダ -Henry Fonda-(1905.5.16-1982.8.12)
(アメリカ、ネブラスカ州生まれ)

『若 き日のリンカーン』(1939)『怒 りの葡萄』(1940)『荒 野の決闘』(1946)『戦 争と平和』(1956)『十 二人の恐れる男』(1957)『ワー ロック』(1959)
『西部開拓史』
(1962)
マ リリン・モンロー -Marilyn Monroe-(1926.6.1-1962.8.4)
(アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ)

『紳士は金髪がお好き』(1953)『帰らざる河』(1954)『七 年目の浮気』(1955)『バ ス停留所』(1956)『お 熱いのがお好き』(1959)
7 ク ラーク・ゲーブル -Clark Gable-(1901.2.1-1960.11.16)
(アメリカ、オハイオ州カディズ生まれ)

『スザン・レノックス』(1931)『或 る夜の出来事』(1934)『風 と共に去りぬ』(1939)『モ ガンボ』(1954)『深く静かに潜航せよ』(1958)『荒馬と女』(1961)
エリザベス・テイラー -Elizabeth Taylor-(1932.2.27-2011.3.23)
(イギリス、ロンドン生まれ)

『花嫁の父』(1950)『陽のあたる場所』(1951)『愛 情の花咲く樹』(1957)『熱いトタン屋根の猫』(1958)『バ ターフィールド8』(1960)『バー ジニア・ウルフなんかこわくない』(1966)
8 ジェムズ・ギャグニー -James Cagney-(1899.7.17-1986.3.30)
(
アメリカ、ニューヨーク生 まれ)
『民衆の敵』(1931)『我 れ暁に死す』(1939)『栄光の都』(1940)『いちご ブロンド』(1941)『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』(1942)『情 欲の悪魔』(1955)
ジュディ・ガーランド -Judy Garland-(1922.6.10-1969.6.22)
(
アメリカ、ミネソタ州生 まれ)
『オズの魔法使』(1939)『ブロードウェイ』(1941)『若草の頃』(1944)『ハーヴェイ・ガールズ』(1946)『イース ター・パレード』(1948)『スタア誕生』(1954)
9 ス ペンサー・トレイシー -Spencer Tracy-(1900.4.5-1967.6.10)
(アメリカ、ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ)

『我は海の子』(1937)『少年の町』(1938)『花嫁の父』(1950)『日本人の勲 章』(1955)『老 人と海』(1958)『ニュー ルンベルグ裁判』(1961)『招 かれざる客』(1967)
マ レーネ・ディートリッヒ -Marlene Dietrich-(1901.12.27-1992.5.6)
(ドイツ、ベルリン生まれ)

『嘆きの天使』(1930)『モ ロッコ』(1930)『間諜X27』(1931)『西 班牙狂想曲』(1935)『砂塵』(1939)『情婦』(1957)『黒い罠』(1958)
10
(1889.4.16-1977.12.25)
(イギリス、ロンドン生まれ)

『キッド』(1921)『巴里の女 性』(1923)『黄金狂時 代』(1925)『街 の灯』(1931)『モダン・タ イムス』(1936)『独裁者』(1940)『殺人狂時 代』(1947)『ラ イムライト』(1952)
ジョ ン・クロフォード -Joan Crawford-(1905.3.23-1977.5.10)
(
アメリカ、テキサス州サンアントニオ生まれ)
『グランド・ホテル』(1932)『雨』(1932)『私のダイナ』(1934)『ミ ルドレッド・ピアース』(1945)『大砂塵』(1954)『何がジェーンに起ったか?』(1962)
※https://yurikoariki.web.fc2.com/afi.html#1999

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2003

6月29日、死去。(享年96才)

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2004

『アビエイター』-The Aviator-(米)(ア カデミー作品賞ノミネート)
-監督:マーティン・スコセッシ(アカデミー監督賞ノミネート)
-出演:レオナルド・ディカプリ オ(ハワード・ ヒューズ)(アカデミー主演男優賞ノミ ネー ト)/ケイ ト・ブランシェット(キャサリン・ヘプバーン)(ア カデミー助演女優賞)/ケイト・ベッキンセイル(エヴァ・ガードナー)
-ケイト・ブランシェットがキャサリン・ヘップバーンを演じた。
ア カデミー助演女優賞撮 影 賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞受賞。

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キャサリン・ヘップバーン

2010

11月30日、NHKhi(PM10:00-PM11:30)にて「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」が放送。
甥 マンディ・ヘプバーンがキャサリンの人となりを話す。
“彼女は40年間 ボロボロのコートを着ていた
浮浪者のように見えたので 皆 変な顔をした
彼女は わざとボロを身にまとい こう言っているようでした
「これが私よ 見た目がみすぼらしくても
誠実に向き合ってくれたら 信頼する」
それは“見た目にとらわれないで”というメッセージでした
だから パンツをはいていたのでしょう
「なぜ女性は体をさらさなければならないの 男性は快適で 温か い服を着ているのに」
彼女がパンツをはき こう言っていました
「たかがパンツよ なぜ大騒ぎするの」
「私は快適よ 何が問題なの さあ 社会も進化して」
彼女は自分に対する世間の称賛を 信じていませんでした
“女優キャサリン”は自分自身ではないと 思っていたからです
でも 私は彼女は間違っていたと思います
「みんなが あなたのことを 大好きなんだよ」と言うと
彼女は言いました
「みんなが好きなのは私が作った怪物よ」
「違う あなたのことが好きなんだ」
「おお…」(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

キャサリンは晩年、故郷コネチカット州で家族と共に静かな時を送ったという。 
キャ サリンが愛したフェンウィックで甥マンディ・ヘプバーンが語る。
“彼女はここで過ごせたことを 喜んでいました
96歳になったとき 自分の体には もう力が残っていないことを 彼女はわかって いました”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

晩年、キャサリンが若くして亡くなった兄トムについて語った。
“私は人生において 一度たりとも トムのことを 忘れたことはありませんで した
何時も なぜ彼を救ってあげられなかったのか
彼は本当に 死にたかったのか
そのことが 私の心の中にありました
私は 彼のことが救えなかった罪の意識で 何時も一杯でした
最近 ある夢を見ました
今まで 何度も繰り返し見てきた悪夢で 目に映るのは トムの最後の姿
でも その日だけは 何時もと 違っていました
ベッドに横たわっていたトムが 起き上がって 何時ものハンサムな笑顔で 私 に笑い掛けました
そして 「あれは トリック だったんだよ」 と言いました
トムは 私に伝えに来てくれたのです
あれは事故で 彼は本当は生きたかったのだと
私は やっと ゆっくり眠ることができるようになりました(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より)

甥マンディ・ヘプバーンがキャサリンのことを語る。
“「あなたの名前がついた劇場をつくることに なったよ どう思う?」と 私が尋ね ると
「いいわね」と彼女が言うので
「本当にいいの?」と聞くと
彼女は言いました
「私は死ぬのよ それは あなたたちの問題でしょ
私は雲の上から笑って見ているから」
その言葉が忘れられません”
“彼女はいつも言っていました
「命の歌を聴きましょう」って”(NHKhi 2010.11.30放送「永遠のヒロイン その愛と素顔 〜私が愛される理由 キャサリン・ヘプバー ン〜」より 抜粋)

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〜写真〜


キャ サリン・ヘップバーン
 

キャ サリン・ヘップバーン


ジョー ジ・キューカー、キャ サリン・ヘップバーン


キャ サリン・ヘップバーン

※ 記号[:特に好きな作品 :面白い作 品]
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参 考文献
『フィ ラデルフィア物語』
シ ネマトーク 『フィラデルフィア物語』と『上流社会』
『招 かれざる客』
『黄 昏』
エ リザベス・テイラー
ジェー ン・フォンダ
ケー リー・グラント
ジェー ムズ・スチュワート
ス ペンサー・トレイシー
ハ ンフリー・ボガート
ヘ ンリー・フォンダ
モ ンゴメリー・クリフト
ジョー ジ・キューカー
女 優
サ イトマップ
映 画ありき2

映画ありき

〜クラシック映画に魅せら れて〜
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